IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 沖電気工業株式会社の特許一覧

特開2024-119203処理装置、処理方法、処理プログラム及び処理システム
<>
  • 特開-処理装置、処理方法、処理プログラム及び処理システム 図1
  • 特開-処理装置、処理方法、処理プログラム及び処理システム 図2
  • 特開-処理装置、処理方法、処理プログラム及び処理システム 図3
  • 特開-処理装置、処理方法、処理プログラム及び処理システム 図4
  • 特開-処理装置、処理方法、処理プログラム及び処理システム 図5
  • 特開-処理装置、処理方法、処理プログラム及び処理システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119203
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】処理装置、処理方法、処理プログラム及び処理システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/51 20060101AFI20240827BHJP
   G06Q 30/016 20230101ALI20240827BHJP
【FI】
H04M3/51
G06Q30/016
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025937
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】西嶋 茂
(72)【発明者】
【氏名】橋本 謙一
【テーマコード(参考)】
5K201
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5K201BA13
5K201BA14
5K201BC19
5K201BC20
5K201CA01
5K201CC02
5K201DC04
5K201DC05
5K201EC06
5K201ED01
5K201ED10
5K201FB01
5L030BB05
5L049BB05
(57)【要約】
【課題】従来と比べて利便性を向上させる。
【解決手段】コールセンタ2は、顧客端末4を用いる顧客とオペレータ端末16を用いるオペレータとの間における通話内容を示す音声認識データ54に苦情を示す文言である苦情文言が含まれるか否かを判定する第1処理部60と、第1処理部60において苦情文言が含まれると判定されると、予め録音されたオペレータの声量を示す定型文読上声量と、苦情文言よりも後の通話音声データ52におけるオペレータの声量を示す通話中発話声量とを比較して、比較結果である声量判定結果を出力する第2処理部62と、声量判定結果において声量閾値を超える差異がある場合、声量判定結果において声量閾値を超える差異がない場合よりも長い時間である第1苦情対応時後処理時間を後処理時間として設定する第3処理部64とを設ける。
【選択図】図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客装置を用いる顧客とオペレータ装置を用いるオペレータとの間における通話内容を示す通話内容情報に苦情を示す文言である苦情文言が含まれるか否かを判定する第1処理部と、
前記第1処理部において前記苦情文言が含まれると判定されると、予め録音された前記オペレータの声量を示す第1声量情報と、前記苦情文言よりも後の前記通話内容情報における前記オペレータの声量を示す第2声量情報とを比較して、比較結果である第1比較結果情報を出力する第2処理部と、
前記第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異がある場合、前記第1比較結果情報において前記第1所定情報を超える差異がない場合よりも長い時間である第1後処理時間を後処理時間として設定する第3処理部と
を備えることを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記第1処理部において前記苦情文言が含まれると判定されると、予め録音された前記オペレータにより定型文が読み上げられる速度を示す第1速度情報と、前記苦情文言よりも後の前記通話内容情報において前記オペレータにより前記定型文が発話される速度を示す第2速度情報とを比較して、比較結果である第2比較結果情報を出力する第4処理部
をさらに備え、
前記第3処理部は、前記第1比較結果情報において前記第1所定情報を超える差異があり、かつ、前記第2比較結果情報において第2所定情報を超える差異がある場合、前記第1比較結果情報において前記第1所定情報を超える差異がない場合よりも長い時間である第2後処理時間を前記後処理時間として設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記第1後処理時間と前記第2後処理時間とは同一の時間である
ことを特徴とする請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記苦情文言よりも後の前記通話内容情報において前記定型文が存在するか否かを判定し、前記定型文が存在すると判定した場合、前記第2処理部により前記第1声量情報と前記第2声量情報とを比較させて前記第1比較結果情報を出力させると共に前記第4処理部により前記第1速度情報と前記第2速度情報とを比較させて前記第2比較結果情報を出力させる一方、前記定型文が存在しないと判定した場合、前記第2処理部により前記第1声量情報と前記第2声量情報とを比較させて前記第1比較結果情報を出力させる制御部
をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の処理装置。
【請求項5】
前記第3処理部は、
前記第1処理部において前記苦情文言が含まれないと判定された場合、前記第1後処理時間よりも短い時間を前記後処理時間として設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項6】
前記後処理時間は、顧客との通話が完了した後に前記オペレータにより行われる後処理の時間である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の処理装置。
【請求項7】
ユーザにより使用される顧客装置と接続された処理装置の処理方法であって、
前記処理装置は、
顧客装置を用いる顧客とオペレータ装置を用いるオペレータとの間における通話内容を示す通話内容情報に苦情を示す文言である苦情文言が含まれるか否かを判定する第1処理ステップと、
前記第1処理ステップにおいて前記苦情文言が含まれると判定されると、予め録音された前記オペレータの声量を示す第1声量情報と、前記苦情文言よりも後の前記通話内容情報における前記オペレータの声量を示す第2声量情報とを比較して、比較結果である第1比較結果情報を出力する第2処理ステップと、
前記第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異がある場合、前記第1比較結果情報において前記第1所定情報を超える差異がない場合よりも長い時間である第1後処理時間を後処理時間として設定する第3処理ステップと
を有することを特徴とする処理方法。
【請求項8】
ユーザにより使用される顧客装置と接続された処理装置を、
顧客装置を用いる顧客とオペレータ装置を用いるオペレータとの間における通話内容を示す通話内容情報に苦情を示す文言である苦情文言が含まれるか否かを判定する第1処理部と、
前記第1処理部において前記苦情文言が含まれると判定されると、予め録音された前記オペレータの声量を示す第1声量情報と、前記苦情文言よりも後の前記通話内容情報における前記オペレータの声量を示す第2声量情報とを比較して、比較結果である第1比較結果情報を出力する第2処理部と、
前記第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異がある場合、前記第1比較結果情報において前記第1所定情報を超える差異がない場合よりも長い時間である第1後処理時間を後処理時間として設定する第3処理部と
して機能させるための処理プログラム。
【請求項9】
第1処理装置と第2処理装置とを有し、
前記第1処理装置は、
顧客装置を用いる顧客とオペレータ装置を用いるオペレータとの間における通話内容を示す通話内容情報に苦情を示す文言である苦情文言が含まれるか否かを判定する第1処理部と、
後処理時間を設定する第3処理部と
を備え、
前記第2処理装置は、
前記第1処理部において前記苦情文言が含まれると判定されると、予め録音された前記オペレータの声量を示す第1声量情報と、前記苦情文言よりも後の前記通話内容情報における前記オペレータの声量を示す第2声量情報とを比較して、比較結果である第1比較結果情報を出力する第2処理部と
を備え、
前記第3処理部は、
前記第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異がある場合、前記第1比較結果情報において前記第1所定情報を超える差異がない場合よりも長い時間である第1後処理時間を前記後処理時間として設定する
ことを特徴とする処理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、処理方法、処理プログラム及び処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コールセンタにおいては、オペレータが顧客からの様々な問い合わせや苦情等を受け付け、その対応処理を行っている。対応処理の業務の一つとして、顧客との通話終了後にその対応内容を記録として入力するオペレータ業務がある。このような、顧客からの問い合わせ内容やオペレータによる応答の記録等、顧客との通話終了後に実施される処理は後処理と呼ばれ、後処理を行うための時間は後処理時間と呼ばれる。後処理が終了すると、オペレータは、次の問い合わせの電話を受け付け可能な状態である受電可能状態となり、該オペレータは次の顧客の対応処理を行う。
【0003】
このような後処理時間が短いほどオペレータはより多くの電話対応を行うことができる。しかしながら、オペレータが苦情に対応した場合、オペレータの心理的負荷を考慮した後処理時間を設定することが望まれている。これに対し、オペレータと顧客との通話内容において苦情を示す文言を検出した場合、電話応答が苦情処理に関するものと判断し、後処理時間を通常時よりも長く設定する処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-176442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、苦情に対する耐性はオペレータ毎に異なり、また同じオペレータであっても体調等に応じて苦情に対する耐性も異なってくるため、オペレータの会話の状況に応じて、顧客に対する苦情対応を行うオペレータの心理的負荷を考慮した後処理時間を設定することが望まれている。
【0006】
本発明は以上の点を考慮したものであり、従来と比べて利便性を向上させ得る処理装置、処理方法、処理プログラム及び処理システムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明の処理装置においては、顧客装置を用いる顧客とオペレータ装置を用いるオペレータとの間における通話内容を示す通話内容情報に苦情を示す文言である苦情文言が含まれるか否かを判定する第1処理部と、第1処理部において苦情文言が含まれると判定されると、予め録音されたオペレータの声量を示す第1声量情報と、苦情文言よりも後の通話内容情報におけるオペレータの声量を示す第2声量情報とを比較して、比較結果である第1比較結果情報を出力する第2処理部と、第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異がある場合、第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異がない場合よりも長い時間である第1後処理時間を後処理時間として設定する第3処理部とを設けるようにした。
【0008】
また本発明の処理方法においては、ユーザにより使用される顧客装置と接続された処理装置の処理方法であって、処理装置は、顧客装置を用いる顧客とオペレータ装置を用いるオペレータとの間における通話内容を示す通話内容情報に苦情を示す文言である苦情文言が含まれるか否かを判定する第1処理ステップと、第1処理ステップにおいて苦情文言が含まれると判定されると、予め録音されたオペレータの声量を示す第1声量情報と、苦情文言よりも後の通話内容情報におけるオペレータの声量を示す第2声量情報とを比較して、比較結果である第1比較結果情報を出力する第2処理ステップと、第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異がある場合、第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異がない場合よりも長い時間である第1後処理時間を後処理時間として設定する第3処理ステップとを有するようにした。
【0009】
さらに本発明の処理プログラムにおいては、ユーザにより使用される顧客装置と接続された処理装置を、顧客装置を用いる顧客とオペレータ装置を用いるオペレータとの間における通話内容を示す通話内容情報に苦情を示す文言である苦情文言が含まれるか否かを判定する第1処理部と、第1処理部において苦情文言が含まれると判定されると、予め録音されたオペレータの声量を示す第1声量情報と、苦情文言よりも後の通話内容情報におけるオペレータの声量を示す第2声量情報とを比較して、比較結果である第1比較結果情報を出力する第2処理部と、第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異がある場合、第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異がない場合よりも長い時間である第1後処理時間を後処理時間として設定する第3処理部として機能させるようにした。
【0010】
さらに本発明の処理システムにおいては、第1処理装置と第2処理装置とを設け、第1処理装置は、顧客装置を用いる顧客とオペレータ装置を用いるオペレータとの間における通話内容を示す通話内容情報に苦情を示す文言である苦情文言が含まれるか否かを判定する第1処理部と、後処理時間を設定する第3処理部とを有し、第2処理装置は、第1処理部において苦情文言が含まれると判定されると、予め録音されたオペレータの声量を示す第1声量情報と、苦情文言よりも後の通話内容情報におけるオペレータの声量を示す第2声量情報とを比較して、比較結果である第1比較結果情報を出力する第2処理部とを有し、第3処理部は、第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異がある場合、第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異がない場合よりも長い時間である第1後処理時間を後処理時間として設定するようにした。
【0011】
これにより本発明は、顧客とオペレータとの会話の状況に応じてオペレータの心理的負荷を考慮した後処理時間を設定できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、顧客とオペレータとの会話の状況に応じてオペレータの心理的負荷を考慮した後処理時間を設定でき、かくして従来と比べて利便性を向上させ得る処理装置、処理方法、処理プログラム及び処理システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】コールセンタシステムの構成を示すブロック図である。
図2】業務サーバの構成を示すブロック図である。
図3】苦情文言DBの構成を示す図である。
図4】音声パーソナル情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図5】コールセンタの機能構成を示すブロック図である。
図6】顧客対応処理手順を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための形態(以下、これを実施の形態と呼ぶ)について、図面を用いて説明する。
【0015】
[1.コールセンタシステムの構成]
図1に示すように、コールセンタシステム1は、企業等のコールセンタ2と、顧客が操作する顧客端末4とにより構成されている。コールセンタ2は、顧客端末4に対し公衆網であるインターネットNTにより接続されている。
【0016】
コールセンタ2は、電話制御装置10、業務サーバ12、記憶装置14、オペレータ端末16及び音声パーソナル情報処理装置18が設けられており、これらがネットワークである通信網20を介して相互に接続されている。
【0017】
電話制御装置10は、インターネットNTに接続されており、通話データや呼制御手順を中継する処理を行うことにより、顧客端末4とコールセンタ2とを公衆網を介して接続する。また電話制御装置10は、顧客端末4とオペレータ端末16とで通話が開始される際、顧客端末4からの着信を受け付ける。さらに電話制御装置10は、オペレータ端末16と顧客端末4との通話音声の録音を行って録音結果の音声データを生成し、該音声データを記憶装置14へ順次記録し通話音声データ52として蓄積する。またさらに電話制御装置10は、オペレータ端末16と顧客端末4との通話音声の音声認識を行って音声認識結果のテキストデータを生成し、該テキストデータを記憶装置14へ順次記録し音声認識データ54として蓄積する。
【0018】
第1処理装置としての業務サーバ12は、電話制御装置10から録音結果の音声データを受信すると該音声データを通話音声データ52として記憶装置14に格納する。また業務サーバ12は、電話制御装置10から音声認識結果のテキストデータを受信すると該テキストデータを音声認識データ54として記憶装置14に格納する。さらに業務サーバ12は、顧客とオペレータとの通話内容において苦情を示す文言が含まれているか否かを判定し、含まれている場合、音声パーソナル情報処理装置18に声量判定処理及び速度判定処理(後述する)を依頼する。またさらに業務サーバ12は、顧客とオペレータとの通話内容に応じて後処理に関する入力時間である後処理時間を設定する。
【0019】
オペレータ端末16は、PC(Personal Computer)及び電話端末により構成されており、電話対応を行うオペレータにより利用される。PCは、一般的なパーソナルコンピュータと類似した構成となっている。電話端末は、一般的な電話機能を有する音声通話装置である。コールセンタ2には、複数のオペレータ端末16が設けられている。
【0020】
第2処理装置としての音声パーソナル情報処理装置18は、例えばPCやサーバにより構成されており、業務サーバ12からの依頼に応じて声量判定処理及び速度判定処理(後述する)を行い、声量判定結果及び速度判定結果を業務サーバ12へ送信する。
【0021】
顧客装置としての顧客端末4は、顧客が使用する音声通話装置であり、コールセンタ2により提供されるコールセンタサービスを利用するための通信装置である。顧客端末4は、例えば固定電話端末や携帯電話端末等である。
【0022】
[2.業務サーバの構成]
図2に示すように業務サーバ12は、制御部22、記憶部24及び通信部26がバス28を介して相互に接続された構成となっている。
【0023】
制御部22は、業務サーバ12を統括的に制御する部分であり、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を有している。この制御部22は、RAMをワークエリアとして使用しながら、ROMや記憶部24等から読み出した各種プログラムをCPUによって実行することにより、様々な処理を行う。また制御部22は、図示しない計時回路を有しており、現在の日時を取得することや、時間を計測することができる。
【0024】
また制御部22は、所定のプログラムを実行することにより、内容判定部32及び時間設定部34といった複数の機能ブロックを内部に形成する。内容判定部32は、記憶装置14に格納された音声認識データ54により示される通話内容と、記憶部24に予め記憶された苦情文言DB56(図3)(後述する)とを比較して、通話内容において苦情を示す文言が含まれているか否かを判定する。
【0025】
時間設定部34は、音声パーソナル情報処理装置18から受信した声量判定結果及び速度判定結果に応じて、これらの声量判定結果及び速度判定結果が行われた対象のオペレータである対応オペレータの後処理時間を設定する。対応オペレータは、通話終了後、後処理時間が経過するまでは、電話制御装置10によって顧客との通話が割り当てられない受電不可能状態となり、後処理時間が経過すると、電話制御装置10によって顧客との通話が割り当てられることが可能な受電可能状態に復帰する。
【0026】
記憶部24は、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)のような不揮発性の記憶媒体であり、各種プログラム及び各種情報等を記憶する。また記憶部24は、内容判定部32が苦情判定を行う際に参照する苦情文言DB56(図3)を予め格納している。図3に示すように、苦情文言DB56には、通話の中で顧客からオペレータに発言される苦情を示す文言である苦情文言が複数個格納されている。
【0027】
通信部26は、例えば有線LAN(Local Area Network)や無線LANのインタフェース等を有しており、通信網20(図1)を介して電話制御装置10や音声パーソナル情報処理装置18との間で種々の情報を送受信する。
【0028】
[3.音声パーソナル情報処理装置の構成]
図4に示すように音声パーソナル情報処理装置18は、一般的なPCやサーバにより構成されており、制御部40、記憶部42及び通信部44がバス46を介して相互に接続された構成となっている。
【0029】
制御部40は、音声パーソナル情報処理装置18を統括的に制御する部分であり、業務サーバ12の制御部22と同様に、図示しないCPU、RAM及びROM等を有している。この制御部40は、RAMをワークエリアとして使用しながら、ROMや記憶部42等から読み出した各種プログラムをCPUによって実行することにより、様々な処理を行う。
【0030】
また制御部40は、所定のプログラムを実行することにより、声量判定部48及び速度判定部50といった複数の機能ブロックを内部に形成する。声量判定部48は、声量判定処理を実行する(詳しくは後述する)。速度判定部50は、速度判定処理を実行する(詳しくは後述する)。
【0031】
ここで、後述する顧客対応処理手順RT1に先立ち、オペレータは、定期的に顧客対応の訓練を行う。訓練の際にオペレータは、顧客対応の際に必ず発言する文章である定型文を読み上げる。業務サーバ12は、この定型文の音声を録音し、録音した音声(以下では定型文読上音声とも呼ぶ)の声量を数値化し平均化したデータ(以下では定型文読上声量とも呼ぶ)と、定型文が読み上げられる速度を数値化し平均化したデータ(以下では定型文読上速度とも呼ぶ)とを、音声パーソナル情報58(図1)として記憶装置14に保存する。
【0032】
制御部40は、声量速度判定依頼を業務サーバ12から受信すると、記憶装置14の通話音声データ52を読み出して苦情と判定された時点以降の通話記録を解析し、予め記憶装置14に格納された音声パーソナル情報58の中の定型文と一致する音声を検出して抽出する。
【0033】
制御部40は、音声認識データ54における、苦情と判定された時点以降から通話終了までの通話記録において、定型文と一致する音声を抽出できた(すなわち検出できた)場合、声量判定部48により声量判定処理を行うと共に速度判定部50により速度判定処理を行う。
【0034】
具体的に声量判定部48は、声量判定処理において、苦情と判定された時点以降から通話終了までの通話音声データ52から抽出された定型文と一致する音声の声量を数値化して平均化する(以下では通話中定型文発話声量とも呼ぶ)。続いて声量判定部48は、定型文読上声量と通話中定型文発話声量とを比較し、比較結果である声量判定結果を業務サーバ12へ送信する。
【0035】
声量判定結果には、通話中定型文発話声量が定型文読上声量よりも大きく通話中定型文発話声量と定型文読上声量との差が所定の第1の声量閾値以上であるか、又は、通話中定型文発話声量が定型文読上声量よりも小さく通話中定型文発話声量と定型文読上声量との差が所定の第2の声量閾値以上である場合、定型文読上声量と通話中定型文発話声量との間に声量閾値以上の差異があることを示す情報が含まれている。一方、声量判定結果には、通話中定型文発話声量が定型文読上声量よりも大きいが通話中定型文発話声量と定型文読上声量との差が所定の第1の声量閾値未満であり、かつ、通話中定型文発話声量が定型文読上声量よりも小さいが通話中定型文発話声量と定型文読上声量との差が所定の第2の声量閾値未満である場合、定型文読上声量と通話中定型文発話声量との間に声量閾値以上の差異がないことを示す情報が含まれている。
【0036】
また具体的に速度判定部50は、速度判定処理において、苦情と判定された時点以降から通話終了までの通話音声データ52において音声パーソナル情報58の定型文と一致する文言の音声が発話される速度を数値化して平均化する(以下では通話中発話速度も呼ぶ)。続いて速度判定部50は、定型文読上速度と通話中発話速度とを比較し、比較結果である速度判定結果を業務サーバ12へ送信する。
【0037】
速度判定結果には、通話中発話速度が定型文読上速度よりも速く通話中発話速度と定型文読上速度との差が所定の第1の速度閾値以上に速いか、又は、通話中発話速度が定型文読上速度よりも遅く通話中発話速度と定型文読上速度との差が所定の第2の速度閾値以上である場合、定型文読上速度と通話中発話速度との間に速度閾値以上の差異があることを示す情報が含まれている。一方、速度判定結果には、通話中発話速度が定型文読上速度よりも速いが通話中発話速度と定型文読上速度との差が所定の第1の速度閾値未満であり、かつ、通話中発話速度が定型文読上速度よりも遅いが通話中発話速度と定型文読上速度との差が所定の第2の速度閾値未満である場合、定型文読上速度と通話中発話速度との間に速度閾値以上の差異がないことを示す情報が含まれている。
【0038】
一方、制御部40は、音声認識データ54における、苦情と判定された時点以降から通話終了までの通話記録において、定型文と一致する音声を抽出できなかった(すなわち検出できなかった)場合、速度判定部50による速度判定処理は行わずに声量判定部48により声量判定処理を行う。
【0039】
具体的に声量判定部48は、声量判定処理において、苦情と判定された時点以降から通話終了までの通話音声データ52から抽出された音声の声量を数値化して平均化する(以下では通話中発話声量とも呼ぶ)。続いて声量判定部48は、定型文読上声量と通話中発話声量とを比較し、比較結果である声量判定結果を業務サーバ12へ送信する。
【0040】
声量判定結果には、通話中発話声量が定型文読上声量よりも大きく通話中発話声量と定型文読上声量との差が所定の第1の声量閾値以上であるか、又は、通話中発話声量が定型文読上声量よりも小さく通話中発話声量と定型文読上声量との差が所定の第2の声量閾値以上である場合、定型文読上声量と通話中発話声量との間に声量閾値以上の差異があることを示す情報が含まれている。一方、声量判定結果には、通話中発話声量が定型文読上声量よりも大きいが通話中発話声量と定型文読上声量との差が所定の第1の声量閾値未満であり、かつ、通話中発話声量が定型文読上声量よりも小さいが通話中発話声量と定型文読上声量との差が所定の第2の声量閾値未満である場合、定型文読上声量と通話中発話声量との間に声量閾値以上の差異がないことを示す情報が含まれている。
【0041】
また具体的に速度判定部50は、速度判定処理において、定型文を発見できなかったことを示す速度判定結果を業務サーバ12へ送信する。以下では、通話中発話声量と通話中定型文発話声量とを特に区分しない場合、通話中発話声量と通話中定型文発話声量とをまとめて、単に通話中発話声量とも呼ぶ。
【0042】
記憶部42は、業務サーバ12の記憶部24と同様に、例えばSSDやHDDのような不揮発性の記憶媒体であり、各種プログラムや各種情報等を記憶する。通信部44は、業務サーバ12の通信部26と同様に、例えば有線LANや無線LANのインタフェース等を有しており、通信網20(図1)を介して電話制御装置10や業務サーバ12との間で種々の情報を送受信する。
【0043】
[4.顧客対応処理]
次に、コールセンタシステム1において、顧客端末4とオペレータ端末16との間で通話を行う処理である、図6に示す顧客対応処理手順RT1について説明する。ステップSP1において顧客端末4は、コールセンタ2へ発信を行う顧客の操作に基づき、電話制御装置10へ接続要求を送信する。顧客端末4から接続要求を受信すると、ステップSP2において電話制御装置10は、着信に係る電話番号を取得し、受信した接続要求に係る接続をオペレータ端末16へ割り当てる。ステップSP3において、通話が割り当てられたオペレータ端末16と、顧客端末4との通話が開始する。
【0044】
ステップSP4において電話制御装置10は、録音を開始すると共に通話音声の音声認識を開始し、通話音声データ52及び音声認識データ54を業務サーバ12を介して記憶装置14へ順次記録し蓄積する。電話制御装置10は、通話が開始されてから終了されるまで、通話音声の録音及び音声認識を継続的に行う。
【0045】
ステップSP5において業務サーバ12の制御部22は、記憶装置14から音声認識データ54を通信部26により順次読み出し、音声認識データ54において苦情文言DB56に記録されている文言と一致する文言が存在するか否かを内容判定部32により判定する。ここで肯定結果を得られると、このことは、音声認識データ54において苦情文言が含まれていることを表し、このとき制御部22は、ステップSP6において、音声パーソナル情報処理装置18の制御部40へ声量判定処理及び速度判定処理を依頼する声量速度判定依頼を通信部26により送信する。
【0046】
一方、ステップSP5において、否定結果が得られ、音声認識データ54において苦情文言DB56に記録されている文言と一致する文言が通話終了まで存在しなかった場合、音声認識データ54において苦情文言が含まれていないことを表し、このとき制御部22は、音声パーソナル情報処理装置18の制御部40へ声量速度判定依頼を送信しない。
【0047】
業務サーバ12から声量速度判定依頼を通信部44により受信すると、ステップSP7において音声パーソナル情報処理装置18の制御部40は、声量判定処理を声量判定部48により開始すると共に、ステップSP8において速度判定処理を速度判定部50により開始する。
【0048】
その後、ステップSP9において、オペレータ端末16と顧客端末4との通話が終了する。通話が終了すると、ステップSP10において音声パーソナル情報処理装置18は、オペレータ端末16と顧客端末4との切断を検出し、ステップSP11へ移る。ステップSP11において音声パーソナル情報処理装置18は、オペレータ端末16と顧客端末4とが切断されたことを示す切断通知を業務サーバ12及び音声パーソナル情報処理装置18へ送信する。
【0049】
音声パーソナル情報処理装置18から切断通知を通信部44により受信すると、ステップSP12において音声パーソナル情報処理装置18の制御部40は、声量判定部48により定型文読上声量と通話中発話声量とを比較し声量を判定する。ステップSP13において制御部40は、速度判定部50により定型文読上速度と通話中発話速度とを比較し速度を判定する。
【0050】
ステップSP14において制御部40は、声量判定部48による声量判定結果を通信部44により業務サーバ12へ送信し、ステップSP15へ移る。ステップSP15において制御部40は、速度判定部50による速度判定結果を通信部44により業務サーバ12へ送信する。
【0051】
音声パーソナル情報処理装置18から声量判定結果及び速度判定結果を通信部26により受信すると、ステップSP16において音声パーソナル情報処理装置18の制御部40は、声量判定結果及び速度判定結果に基づき時間設定部34により対応オペレータの後処理時間を設定する。
【0052】
具体的に時間設定部34は、ステップSP5に開始され通話終了まで継続された苦情判定処理において、苦情文言DB56に記録されている文言と一致する文言が音声認識データ54に存在しないと判定された場合、対応オペレータの後処理時間として通常対応時後処理時間(例えば5分)を設定する。
【0053】
また時間設定部34は、苦情文言DB56に記録されている文言と一致する文言が音声認識データ54に存在すると判定され、定型文読上声量と●通話中発話声量との間に声量閾値以上の差異はないとの情報が声量判定結果に含まれており、かつ、●定型文読上速度と通話中発話速度との間に速度閾値以上の差異はないとの情報が速度判定結果に含まれている場合、対応オペレータの後処理時間として通常対応時後処理時間を設定する。
【0054】
さらに時間設定部34は、苦情文言DB56に記録されている文言と一致する文言が音声認識データ54に存在すると判定され、定型文読上声量と通話中発話声量との間に声量閾値以上の差異があるとの情報が声量判定結果に含まれており、かつ、定型文と一致する音声を抽出できなかったとの情報が速度判定結果に含まれている場合、対応オペレータの後処理時間として通常対応時後処理時間よりも長い第1苦情対応時後処理時間(例えば10分)を設定する。
【0055】
またさらに時間設定部34は、苦情文言DB56に記録されている文言と一致する文言が音声認識データ54に存在すると判定され、定型文読上声量と通話中発話声量との間に声量閾値以上の差異があるとの情報が声量判定結果に含まれており、かつ、定型文読上速度と通話中発話速度との間に速度閾値以上の差異があるとの情報が速度判定結果に含まれている場合、対応オペレータの後処理時間として第1苦情対応時後処理時間よりも長い第2苦情対応時後処理時間(例えば15分)を設定する。
【0056】
[5.コールセンタの機能構成]
ここで、コールセンタ2における顧客対応処理に関係する基本的な機能を機能ブロック図により表すと、図5のようになる。
【0057】
第1処理部60は、業務サーバ12の内容判定部32(図2)と対応しており、顧客装置としての顧客端末4を用いる顧客とオペレータ装置としてのオペレータ端末16を用いるオペレータとの間における通話内容を示す通話内容情報としての通話音声データ52及び音声認識データ54に苦情を示す文言である苦情文言が含まれるか否かを判定する。
【0058】
第2処理部62は、音声パーソナル情報処理装置18の声量判定部48(図4)と対応しており、第1処理部60において苦情文言が含まれると判定されると、予め録音され音声パーソナル情報58に記録されたオペレータの声量を示す第1声量情報としての定型文読上声量と、苦情文言よりも後の通話音声データ52におけるオペレータの声量を示す第2声量情報としての通話中発話声量とを比較して、比較結果である第1比較結果情報としての声量判定結果を出力する。
【0059】
第3処理部64は、業務サーバ12の時間設定部34(図2)と対応しており、第1比較結果情報において、第1声量情報と第2声量情報との声量が大きく異なり、予め設定された声量閾値である第1所定情報を超える差異がある場合、第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異がない場合よりも長い時間である第1後処理時間としての第1苦情対応時後処理時間を後処理時間として設定する。
【0060】
また第3処理部64は、後述する第4処理部66による第2比較結果情報において、第1速度情報と第2速度情報との速度が大きく異なり、予め設定された速度閾値である第2所定情報を超える差異がある場合、第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異がない場合よりも長い時間である第2後処理時間としての第2苦情対応時後処理時間を後処理時間として設定する。
【0061】
第4処理部66は、業務サーバ12の速度判定部50(図2)と対応しており、第1処理部60において苦情文言が含まれると判定されると、予め録音され音声パーソナル情報58に記録されたオペレータにより定型文が読み上げられる速度を示す第1速度情報としての定型文読上速度と、苦情文言よりも後の通話音声データ52においてオペレータにより定型文が発話される速度を示す第2速度情報としての通話中発話速度とを比較して、比較結果である第2比較結果情報としての速度判定結果を出力する。
【0062】
[6.効果等]
以上の構成においてコールセンタ2は、通話内容に苦情文言が含まれると判定した場合、定型文読上声量と通話中発話声量とを比較すると共に定型文読上速度と通話中発話速度とを比較し、定型文読上声量と通話中発話声量との間に声量閾値以上の差異があり、かつ、定型文読上速度と通話中発話速度との間に速度閾値以上の差異がある場合、顧客との対話によりオペレータが心理的負荷を受けたと判断し、対応オペレータの後処理時間として通常対応時後処理時間よりも長い第2苦情対応時後処理時間を設定するようにした。
【0063】
このためコールセンタ2は、対応オペレータの心理的負荷に影響がある状況において後処理時間を長く設定し、後処理時間が短すぎてオペレータの負荷が増加することを抑制することができる。
【0064】
一方、コールセンタ2は、通話内容に苦情文言が含まれると判定したものの、定型文読上声量と通話中発話声量との間に声量閾値以上の差異はなく、かつ、定型文読上速度と通話中発話速度との間に速度閾値以上の差異はない場合、対応オペレータの後処理時間として通常対応時後処理時間を設定するようにした。
【0065】
このためコールセンタ2は、対応オペレータの心理的負荷に影響がなく後処理時間を長く設定する必要がない状況において過剰に後処理時間を長く設定することを防止し、対応オペレータの不要な待機時間をなくすことができる。
【0066】
このようにコールセンタ2は、通話中のオペレータの声量及び発話速度が、顧客と通話していない状態における該オペレータの声量及び発話速度と乖離している場合、オペレータの心理的負荷に影響が出ていると判断し、該オペレータの後処理時間を通常時よりも長く設定するようにした。このためコールセンタ2は、オペレータを適切なタイミングで受電不可能状態から受電可能状態に復帰させることができ、かくして、コールセンタ2の運営を円滑に行うことができる。
【0067】
さらにコールセンタ2は、通話内容に苦情文言が含まれないと判定した場合、対応オペレータの後処理時間として通常対応時後処理時間を設定するようにした。このためコールセンタ2は、通話内容に苦情文言が含まれず、後処理時間を長く設定する必要がない状況において過剰に後処理時間を長く設定することを防止できる。
【0068】
またコールセンタ2は、通話音声データ52における、苦情と判定された時点以降の通話記録において、定型文と一致する音声を抽出できた場合は、定型文読上声量と通話中定型文発話声量とを比較すると共に、定型文読上速度と通話中発話速度とを比較する。一方、コールセンタ2は、通話音声データ52における、苦情と判定された時点以降の通話記録において、定型文と一致する音声を抽出できなかった場合は、定型文読上速度と通話中発話速度との比較は行わずに定型文読上声量と通話中発話声量とを比較するようにした。
【0069】
このためコールセンタ2は、通話音声データ52における、苦情と判定された時点以降の通話記録において、定型文と一致する音声を抽出できなかったとしても、定型文読上声量と通話中発話声量とを比較することにより、少なくとも声量の変化に基づくオペレータの心理的負荷を考慮した後処理時間を設定できる。
【0070】
以上の構成によればコールセンタ2は、顧客端末4を用いる顧客とオペレータ端末16を用いるオペレータとの間における通話内容を示す音声認識データ54に苦情を示す文言である苦情文言が含まれるか否かを判定する第1処理部60と、第1処理部60において苦情文言が含まれると判定されると、予め録音されたオペレータの声量を示す定型文読上声量と、苦情文言よりも後の通話音声データ52におけるオペレータの声量を示す通話中発話声量とを比較して、比較結果である声量判定結果を出力する第2処理部62と、声量判定結果において声量閾値を超える差異がある場合、声量判定結果において声量閾値を超える差異がない場合よりも長い時間である第1苦情対応時後処理時間を後処理時間として設定する第3処理部64とを設けるようにした。
【0071】
これによりコールセンタ2は、顧客とオペレータとの会話の状況に応じてオペレータの心理的負荷を考慮した後処理時間を設定できる。
【0072】
[7.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においてコールセンタ2は、通話内容に苦情文言が含まれると判定した場合、定型文読上声量と通話中発話声量とを比較すると共に定型文読上速度と通話中発話速度とを比較する場合について述べた。本発明はこれに限らず、コールセンタ2は、通話内容に苦情文言が含まれるか否かに関わらず、通話開始時から通話終了時までに亘って継続的に定型文読上声量と通話中発話声量とを比較すると共に定型文読上速度と通話中発話速度とを比較しても良い。
【0073】
また上述した実施の形態において音声パーソナル情報処理装置18は、音声認識データ54における苦情と判定された時点以降から通話終了までの通話記録において定型文と一致する音声を抽出できた場合は、速度判定部50により速度判定処理を行い声量判定部48により声量判定処理を行う一方、音声認識データ54における苦情と判定された時点以降から通話終了までの通話記録において定型文と一致する音声を抽出できなかった場合は、速度判定部50により速度判定処理は行わずに声量判定部48により声量判定処理を行う場合について述べた。本発明はこれに限らず、音声パーソナル情報処理装置18は、音声認識データ54における苦情と判定された時点以降から通話終了までの通話記録において定型文と一致する音声を抽出できた場合であっても、速度判定部50により速度判定処理は行わずに声量判定部48により声量判定処理を行ったり、声量判定部48により声量判定処理は行わずに速度判定部50により速度判定処理を行ったりしても良い。
【0074】
また上述した実施の形態において業務サーバ12は、第1苦情対応時後処理時間よりも第2苦情対応時後処理時間を長い時間に設定する場合について述べた。本発明はこれに限らず業務サーバ12は、第1苦情対応時後処理時間と第2苦情対応時後処理時間とを互いに同一の長さの時間に設定しても良い。
【0075】
さらに上述した実施の形態において音声パーソナル情報処理装置18は、制御部40において各種プログラムを実行することにより、声量判定部48及び速度判定部50の各ブロックをソフトウェアによる機能ブロックとして構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、音声パーソナル情報処理装置18は、声量判定部48及び速度判定部50をハードウェアにより構成しても良く、又は、ハードウェア及びソフトウェアの協働により実現しても良い。
【0076】
さらに上述した実施の形態においては、声量判定部48及び速度判定部50を音声パーソナル情報処理装置18に設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、業務サーバ12の制御部22において各種プログラムを実行することにより、声量判定部48及び速度判定部50の各ブロックを業務サーバ12において構成しても良い。
【0077】
また上述した実施の形態においては、処理システムの具体例であるコールセンタシステム1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、コールセンタシステム1とは異なる構成の処理システムに本発明を適用しても良い。さらに上述した実施の形態においては、処理装置の具体例であるオペレータ端末16に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、オペレータ端末16とは異なる構成の処理装置に本発明を適用しても良い。
【0078】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。また、本発明は、上述した各実施の形態及び上述した他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用する場合や、該抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加する場合にも本発明の適用範囲が及ぶものである。
【0079】
さらに上述した実施の形態においては、第1処理部としての第1処理部60と、第2処理部としての第2処理部62と、第3処理部としての第3処理部64とによって、処理装置としてのコールセンタ2を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる第1処理部と、第2処理部と、第3処理部とによって、処理装置を構成しても良い。
【0080】
[8.付記]
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0081】
かかる課題を解決するため本発明の処理装置においては、顧客装置を用いる顧客とオペレータ装置を用いるオペレータとの間における通話内容を示す通話内容情報に苦情を示す文言である苦情文言が含まれるか否かを判定する第1処理部と、第1処理部において苦情文言が含まれると判定されると、予め録音されたオペレータの声量を示す第1声量情報と、苦情文言よりも後の通話内容情報におけるオペレータの声量を示す第2声量情報とを比較して、比較結果である第1比較結果情報を出力する第2処理部と、第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異がある場合、第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異がない場合よりも長い時間である第1後処理時間を後処理時間として設定する第3処理部とを設けるようにした。
【0082】
これにより本発明の処理装置は、顧客とオペレータとの会話の状況に応じてオペレータの心理的負荷を考慮した後処理時間を設定でき、かくして従来と比べて利便性を向上できる。
【0083】
また処理装置は、第1処理部において苦情文言が含まれると判定されると、予め録音されたオペレータにより定型文が読み上げられる速度を示す第1速度情報と、苦情文言よりも後の通話内容情報においてオペレータにより定型文が発話される速度を示す第2速度情報とを比較して、比較結果である第2比較結果情報を出力する第4処理部をさらに設け、第3処理部は、第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異があり、かつ、第2比較結果情報において第2所定情報を超える差異がある場合、第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異がない場合よりも長い時間である第2後処理時間を後処理時間として設定するようにした。
【0084】
これにより処理装置は、第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異があり、かつ、第2比較結果情報において第2所定情報を超える差異がある場合、第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異がない場合よりも長い時間を後処理時間として設定できる。
【0085】
さらに第1後処理時間と第2後処理時間とは同一の時間であるようにした。
【0086】
さらに処理装置は、苦情文言よりも後の通話内容情報において定型文が存在するか否かを判定し、定型文が存在すると判定した場合、第2処理部により第1声量情報と第2声量情報とを比較させて第1比較結果情報を出力させると共に第4処理部により第1速度情報と第2速度情報とを比較させて第2比較結果情報を出力させる一方、定型文が存在しないと判定した場合、第2処理部により第1声量情報と第2声量情報とを比較させて第1比較結果情報を出力させる制御部をさらに設けるようにした。
【0087】
これにより処理装置は、苦情文言よりも後の通話内容情報において定型文が存在しないため第1速度情報と第2速度情報とを比較できなくとも、第1声量情報と第2声量情報との比較結果に基づき後処理時間を設定できる。
【0088】
さらに第3処理部は、第1処理部において苦情文言が含まれないと判定された場合、第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異があり、かつ、第2比較結果情報において第2所定情報を超える差異がある場合、第1後処理時間よりも短い時間を後処理時間として設定するようにした。
【0089】
これにより処理装置は、苦情文言が含まれない場合は通常通りの後処理時間を設定でき、後処理時間を長く設定する必要がない状況において過剰に後処理時間を長く設定することを防止できる。
【0090】
さらに後処理時間は、顧客との通話が完了した後にオペレータにより行われる後処理の時間であるようにした。
【0091】
さらに本発明の処理方法においては、ユーザにより使用される顧客装置と接続された処理装置の処理方法であって、処理装置は、顧客装置を用いる顧客とオペレータ装置を用いるオペレータとの間における通話内容を示す通話内容情報に苦情を示す文言である苦情文言が含まれるか否かを判定する第1処理ステップと、第1処理ステップにおいて苦情文言が含まれると判定されると、予め録音されたオペレータの声量を示す第1声量情報と、苦情文言よりも後の通話内容情報におけるオペレータの声量を示す第2声量情報とを比較して、比較結果である第1比較結果情報を出力する第2処理ステップと、第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異がある場合、第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異がない場合よりも長い時間である第1後処理時間を後処理時間として設定する第3処理ステップとを有するようにした。
【0092】
これにより本発明の処理方法においては、顧客とオペレータとの会話の状況に応じてオペレータの心理的負荷を考慮した後処理時間を設定でき、かくして従来と比べて利便性を向上できる。
【0093】
さらに本発明の処理プログラムにおいては、ユーザにより使用される顧客装置と接続された処理装置を、顧客装置を用いる顧客とオペレータ装置を用いるオペレータとの間における通話内容を示す通話内容情報に苦情を示す文言である苦情文言が含まれるか否かを判定する第1処理部と、第1処理部において苦情文言が含まれると判定されると、予め録音されたオペレータの声量を示す第1声量情報と、苦情文言よりも後の通話内容情報におけるオペレータの声量を示す第2声量情報とを比較して、比較結果である第1比較結果情報を出力する第2処理部と、 第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異がある場合、第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異がない場合よりも長い時間である第1後処理時間を後処理時間として設定する第3処理部として機能させるようにした。
【0094】
これにより本発明の処理プログラムにおいては、顧客とオペレータとの会話の状況に応じてオペレータの心理的負荷を考慮した後処理時間を設定でき、かくして従来と比べて利便性を向上できる。
【0095】
さらに本発明の処理システムにおいては、第1処理装置と第2処理装置とを設け、第1処理装置は、顧客装置を用いる顧客とオペレータ装置を用いるオペレータとの間における通話内容を示す通話内容情報に苦情を示す文言である苦情文言が含まれるか否かを判定する第1処理部と、後処理時間を設定する第3処理部とを有し、第2処理装置は、第1処理部において苦情文言が含まれると判定されると、予め録音されたオペレータの声量を示す第1声量情報と、苦情文言よりも後の通話内容情報におけるオペレータの声量を示す第2声量情報とを比較して、比較結果である第1比較結果情報を出力する第2処理部とを有し、第3処理部は、第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異がある場合、第1比較結果情報において第1所定情報を超える差異がない場合よりも長い時間である第1後処理時間を後処理時間として設定するようにした。
【0096】
これにより本発明の処理システムにおいては、顧客とオペレータとの会話の状況に応じてオペレータの心理的負荷を考慮した後処理時間を設定でき、かくして従来と比べて利便性を向上できる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、コールセンタシステム等の顧客対応システムで広く利用することができる。
【符号の説明】
【0098】
1……コールセンタシステム、2……コールセンタ、4……顧客端末、10……電話制御装置、12……業務サーバ、14……記憶装置、16……オペレータ端末、18……音声パーソナル情報処理装置、20……通信網、22……制御部、24……記憶部、26……通信部、28……バス、32……内容判定部、34……時間設定部、40……制御部、42……記憶部、44……通信部、46……バス、48……声量判定部、50……速度判定部、52……通話音声データ、54……音声認識データ、56……苦情文言DB、58……音声パーソナル情報、60……第1処理部、62……第2処理部、64……第3処理部、66……第4処理部。

図1
図2
図3
図4
図5
図6