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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119204
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】故障予測システム、故障予測方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20240827BHJP
   G01M 17/007 20060101ALI20240827BHJP
   G01M 99/00 20110101ALI20240827BHJP
【FI】
G05B23/02 R
G01M17/007 Z
G01M99/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025942
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長澤 克浩
【テーマコード(参考)】
2G024
3C223
【Fターム(参考)】
2G024AD01
2G024BA22
2G024BA27
2G024CA13
2G024FA06
2G024FA11
3C223AA11
3C223BA03
3C223BB08
3C223BB09
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223EB02
3C223EB05
3C223FF04
3C223FF05
3C223FF24
3C223FF26
3C223FF46
3C223FF52
3C223GG01
3C223HH03
3C223HH08
3C223HH26
(57)【要約】
【課題】機器故障の予測精度に優れた故障予測技術を提供する。
【解決手段】故障予測システム1は、機器の故障予測を行うものであり、機器の複数の検査対象箇所のそれぞれのメンテナンス時履歴Aを取得する履歴取得部21と、履歴取得部21が取得したメンテナンス時履歴Aに基づいて暫定的な故障予測を行う暫定予測部22と、機器の複数の検査対象箇所のそれぞれの現在の状態Bを検出する状態検出部23と、状態検出部23が検出した現在の状態Bに基づいて異常を検出した場合に暫定予測部22による故障予測情報を現在の状態Bに基づいて更新する故障予測更新部24と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の故障予測を行う故障予測システムであって、
上記機器の複数の検査対象箇所のそれぞれのメンテナンス時履歴を取得する履歴取得部と、
上記履歴取得部が取得した上記メンテナンス時履歴に基づいて暫定的な故障予測を行う暫定予測部と、
上記機器の上記複数の検査対象箇所のそれぞれの現在の状態を検出する状態検出部と、
上記状態検出部が検出した上記現在の状態に基づいて異常を検出した場合に上記暫定予測部による故障予測情報を上記現在の状態に基づいて更新する故障予測更新部と、
を備える、故障予測システム。
【請求項2】
上記状態検出部は、検査員が上記機器の検査時に喋った音声データを上記現在の状態として検出する音声データ検出部と、上記機器の起動から停止までに要した作動時間を上記現在の状態として検出する作動時間検出部と、計測器による実測値の傾向を上記現在の状態として検出する実測値傾向検出部と、のうちの少なくとも1つを有する、請求項1に記載の故障予測システム。
【請求項3】
上記機器の上記複数の検査対象箇所に動きを伴う動作箇所が含まれている場合、上記状態検出部は、カメラによる上記動作箇所の動作軌跡を上記現在の状態として検出する動作軌跡検出部を有する、請求項2に記載の故障予測システム。
【請求項4】
上記故障予測更新部は、
上記機器の上記複数の検査対象箇所の中で異常があると判定した異常判定箇所が上記暫定予測部で故障が予測された故障予測箇所に該当する場合に、上記故障予測箇所の上記故障予測情報を上記現在の状態に基づいて更新し、
上記異常判定箇所が上記故障予測箇所とは別の故障予測箇所に該当する場合に、上記故障予測箇所に代えて上記別の故障予測箇所の上記故障予測情報を上記現在の状態に基づいて更新する、請求項1~3のいずれか一項に記載の故障予測システム。
【請求項5】
外部データサーバーが蓄積している機器保全データの中から上記メンテナンス時履歴に相当する情報のみを文字認識する文字認識部を備え、上記履歴取得部は、上記文字認識部が文字認識した上記情報を上記メンテナンス時履歴として取得する、請求項1~3のいずれか一項に記載の故障予測システム。
【請求項6】
機器の故障予測を行う故障予測方法であって、
履歴取得部を使用して、上記機器の複数の検査対象箇所のそれぞれのメンテナンス時履歴を取得する履歴取得ステップと、
暫定予測部を使用して、上記履歴取得ステップで取得した上記メンテナンス時履歴に基づいて暫定的な故障予測を行う暫定予測ステップと、
状態検出部を使用して、上記機器の上記複数の検査対象箇所のそれぞれの現在の状態を検出する状態検出ステップと、
故障予測更新部を使用して、上記状態検出ステップで検出した上記現在の状態に基づいて異常を検出した場合に上記暫定予測ステップによる故障予測情報を上記現在の状態に基づいて更新する故障予測更新ステップと、
を有する、故障予測方法。
【請求項7】
上記状態検出ステップでは、検査員が上記機器の検査時に喋った音声データを上記現在の状態として検出する音声データ検出処理と、上記機器の起動から停止までに要した作動時間を上記現在の状態として検出する作動時間検出処理と、計測器による実測値の傾向を上記現在の状態として検出する実測値傾向検出処理と、のうちの少なくとも1つを実行する、請求項6に記載の故障予測方法。
【請求項8】
上記機器の上記複数の検査対象箇所に動きを伴う動作箇所が含まれている場合、上記状態検出ステップでは、カメラによる上記動作箇所の動作軌跡を上記現在の状態として検出する動作軌跡検出処理を実行する、請求項7に記載の故障予測方法。
【請求項9】
上記故障予測更新ステップでは、
上記機器の上記複数の検査対象箇所の中で異常があると判定した異常判定箇所が上記暫定予測ステップで故障が予測された故障予測箇所に該当する場合に、上記故障予測箇所の上記故障予測情報を上記現在の状態に基づいて更新し、
上記異常判定箇所が上記故障予測箇所とは別の故障予測箇所に該当する場合に、上記故障予測箇所に代えて上記別の故障予測箇所の上記故障予測情報を上記現在の状態に基づいて更新する、請求項6~8のいずれか一項に記載の故障予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器の故障を予測する故障予測技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の生産設備では、繰り返し作動する多数の機器が使用されている。このため、各機器の故障は、生産設備の長時間停止の要因に成り得る。設備故障を管理するために、例えば、下記特許文献1には、設備故障診断方法が開示されている。この設備故障診断方法は、設備の1サイクルの動作状況に基づいて故障の発生を判定したときに、この設備故障に関与した機器を特定して表示する技術である。この設備故障診断方法によれば、故障の発見に要する労力を低減させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-189026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生産設備の長時間の設備停止を避けるためには、機器故障が発生する前に異常を把握して対処する技術が求められる。これに対して、上記の設備故障診断方法は、既に故障に至った機器を特定する技術であって機器が故障に至る前の異常を判定するものではないところ、上述の問題を解決するための対策として採用するのが難しい。また、各機器のメンメンテナンス時の履歴から故障予測を行うとしても、各機器の状態は日々刻々と変化するため、履歴のみでは信頼性の高い故障予測を得ることが難しく、設備管理上の本質的な問題解決に成り得ない。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、機器故障の予測精度に優れた故障予測技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
機器の故障予測を行う故障予測システムであって、
上記機器の複数の検査対象箇所のそれぞれのメンテナンス時履歴を取得する履歴取得部と、
上記履歴取得部が取得した上記メンテナンス時履歴に基づいて暫定的な故障予測を行う暫定予測部と、
上記機器の上記複数の検査対象箇所のそれぞれの現在の状態を検出する状態検出部と、
上記状態検出部が検出した上記現在の状態に基づいて異常を検出した場合に上記暫定予測部による故障予測情報を上記現在の状態に基づいて更新する故障予測更新部と、
を備える、故障予測システム、
にある。
【0007】
本発明の別の態様は、
機器の故障予測を行う故障予測方法であって、
履歴取得部を使用して、上記機器の複数の検査対象箇所のそれぞれのメンテナンス時履歴を取得する履歴取得ステップと、
暫定予測部を使用して、上記履歴取得ステップで取得した上記メンテナンス時履歴に基づいて暫定的な故障予測を行う暫定予測ステップと、
状態検出部を使用して、上記機器の上記複数の検査対象箇所のそれぞれの現在の状態を検出する状態検出ステップと、
故障予測更新部を使用して、上記状態検出ステップで検出した上記現在の状態に基づいて異常を検出した場合に上記暫定予測ステップによる故障予測情報を上記現在の状態に基づいて更新する故障予測更新ステップと、
を有する、故障予測方法、
にある。
【0008】
上述の各態様では、機器の故障予測に際して、先ず、機器の過去のメンテナンス時履歴に基づいて暫定的な故障予測を行う。そして、機器の複数の検査対象箇所のそれぞれの現在の状態に基づいて異常を検出した場合に、予め導出されている暫定的な故障予測情報を現在の状態に基づいて更新する。これにより、故障予測更新情報が新たに導出される。この場合、機器の各検査対象箇所の現在の状態を故障予測の更新に反映させることによって、機器の故障予測の信頼性を高めることが可能になる。
【0009】
以上のごとく、上述の各態様によれば、機器故障の予測精度に優れた故障予測技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1の故障予測システムの構成図。
図2】機器の検査対象箇所の一例について説明するための図。
図3】実施形態1の故障予測方法のフローチャート。
図4図3中の第4ステップに含まれる処理を示す図。
図5】機器の累積作動時間と作動回数との相関を示す散布図。
図6図3中の第6ステップで「Yes」になる場合の音声データの一例を示す図。
図7図3中の第6ステップで「No」になる場合の音声データの一例を示す図。
図8】実施形態2の故障予測システムの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述の態様の好ましい実施形態について以下に説明する。
【0012】
上述の態様の故障予測システムにおいて、上記状態検出部は、検査員が上記機器の検査時に喋った音声データを上記現在の状態として検出する音声データ検出部と、上記機器の起動から停止までに要した作動時間を上記現在の状態として検出する作動時間検出部と、計測器による実測値の傾向を上記現在の状態として検出する実測値傾向検出部と、のうちの少なくとも1つを有するのが好ましい。
【0013】
この故障予測システムによれば、現在の状態として、検査員が上記機器の検査時に喋った音声データと、機器の起動から停止までに要した作動時間と、計測器による実測値の傾向と、のうちの少なくとも1つを使用する。これらの情報は、異常判定を精度よく実行する助けになるうえに、故障予測更新時の判断材料として有効である。
【0014】
上述の態様の故障予測システムにおいて、上記機器の上記複数の検査対象箇所に動きを伴う動作箇所が含まれている場合、上記状態検出部は、カメラによる上記動作箇所の動作軌跡を上記現在の状態として検出する動作軌跡検出部を有するのが好ましい。
【0015】
この故障予測システムによれば、現在の状態として動作箇所の動作軌跡を使用する。この動作軌跡は、機器の複数の検査対象箇所に動きを伴う動作箇所が含まれている場合に、異常判定を精度よく実行する助けになるうえに、故障予測更新時の判断材料として有効である。
【0016】
上述の態様の故障予測システムにおいて、上記故障予測更新部は、上記機器の上記複数の検査対象箇所の中で異常があると判定した異常判定箇所が上記暫定予測部で故障が予測された故障予測箇所に該当する場合に、上記故障予測箇所の上記故障予測情報を上記現在の状態に基づいて更新し、上記異常判定箇所が上記故障予測箇所とは別の故障予測箇所に該当する場合に、上記故障予測箇所に代えて上記別の故障予測箇所の上記故障予測情報を上記現在の状態に基づいて更新するのが好ましい。
【0017】
この故障予測システムによれば、異常判定箇所が暫定予測部で既に故障が予測された故障予測箇所に該当するか否かに応じて、故障予測情報の更新に係る箇所を変更するようにしている。したがって、機器の故障予測の信頼性をさらに高めることが可能になる。
【0018】
上述の態様の故障予測システムは、外部データサーバーが蓄積している機器保全データの中から上記メンテナンス時履歴に相当する情報のみを文字認識する文字認識部を備え、上記履歴取得部は、上記文字認識部が文字認識した上記情報を上記メンテナンス時履歴として取得するのが好ましい。
【0019】
この故障予測システムによれば、外部データサーバーが蓄積している膨大な数の機器保全データの中からメンテナンス時履歴に相当する情報のみを文字認識を利用して抽出することで、メンテナンス時履歴の取得を容易に行うことが可能になる。
【0020】
上述の態様の故障予測方法において、上記状態検出ステップでは、検査員が上記機器の検査時に喋った音声データを上記現在の状態として検出する音声データ検出処理と、上記機器の起動から停止までに要した作動時間を上記現在の状態として検出する作動時間検出処理と、計測器による実測値の傾向を上記現在の状態として検出する実測値傾向検出処理と、のうちの少なくとも1つを実行するのが好ましい。
【0021】
この故障予測方法によれば、現在の状態として、検査員が上記機器の検査時に喋った音声データと、機器の起動から停止までに要した作動時間と、計測器による実測値の傾向と、のうちの少なくとも1つを使用する。これらの情報は、異常判定を精度よく実行する助けになるうえに、故障予測更新時の判断材料として有効である。
【0022】
上述の態様の故障予測方法において、上記機器の上記複数の検査対象箇所に動きを伴う動作箇所が含まれている場合、上記状態検出ステップでは、カメラによる上記動作箇所の動作軌跡を上記現在の状態として検出する動作軌跡検出処理を実行するのが好ましい。
【0023】
この故障予測方法によれば、現在の状態として動作箇所の動作軌跡を使用する。この動作軌跡は、機器の複数の検査対象箇所に動きを伴う動作箇所が含まれている場合に、異常判定を精度よく実行する助けになるうえに、故障予測更新時の判断材料として有効である。
【0024】
上述の態様の故障予測方法において、上記故障予測更新ステップでは、上記機器の上記複数の検査対象箇所の中で異常があると判定した異常判定箇所が上記暫定予測ステップで故障が予測された故障予測箇所に該当する場合に、上記故障予測箇所の上記故障予測情報を上記現在の状態に基づいて更新し、上記異常判定箇所が上記故障予測箇所とは別の故障予測箇所に該当する場合に、上記故障予測箇所に代えて上記別の故障予測箇所の上記故障予測情報を上記現在の状態に基づいて更新するのが好ましい。
【0025】
この故障予測方法によれば、異常判定箇所が暫定予測部で既に故障が予測された故障予測箇所に該当するか否かに応じて、故障予測情報の更新に係る箇所を変更するようにしている。したがって、機器の故障予測の信頼性をさらに高めることが可能になる。
【0026】
以下、上述の態様の故障予測システムおよび故障予測方法を具現化するための実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0027】
(実施形態1)
図1に示される、実施形態1の故障予測システム1は、機器の故障予測を行うためのものである。この故障予測システム1には、1つの設備管理装置20と、複数の処理端末31~35と、が含まれる。設備管理装置20は、機器を管理する管理室等で使用される。複数の処理端末31~35は、機器の設置場所で使用される。
【0028】
設備管理装置20と複数の処理端末31~35はいずれも、プロセッサ、ROM、RAM、外部機器との間での入出力を行うインターフェース等を有するコンピュータ装置である。例えば、デスクトップ型若しくはノート型のパーソナルコンピュータ(PC)、タブレット端末、モバイル端末などがコンピュータ装置として使用される。ここでいう「プロセッサ」には、コンピュータの構成要素のうち、データの演算や変換、プログラムの実行、他の装置の制御などを担う処理装置が広く包含される。典型的には、コンピュータ全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、或いはCPUの一部の機能を集積したMPU(Micro Processing unit:マイクロプロセッサ)によって、プロセッサが構成される。
【0029】
1.設備管理装置20の構成
図1に示されるように、設備管理装置20は、履歴取得部21と、暫定予測部22と、状態検出部23と、故障予測更新部24と、出力部25と、を備えている。
【0030】
履歴取得部21は、機器の複数の検査対象箇所のそれぞれの過去のメンテナンス時履歴Aを取得する機能を有する。ここでいう「メンテナンス時履歴A」には、機器のメンテナンスを実施したときに得られた各種の情報(故障履歴、検査履歴、修理履歴などの情報)が包含される。メンテナンス時履歴Aは、処理端末31から取得される。処理端末31は、外部データサーバー41が蓄積している機器保全データの中からメンテナンス時履歴Aに相当する情報のみを文字認識する文字認識部である。この処理端末31は、AI(人工知能)技術を取り入れた文字認識AIを搭載しているのが好ましい。この場合、AIの特徴である機械学習やディープラーニングによって文字の補正結果を予め学習させることで、文字認識精度を高めることが可能になる。履歴取得部21は、処理端末31が文字認識した情報をメンテナンス時履歴Aとして取得する。なお、この処理端末31が具備する文字認識機能を設備管理装置20に設けるようにしても良い。
【0031】
暫定予測部22は、履歴取得部21が取得したメンテナンス時履歴Aに基づいて暫定的な故障予測を行う機能を有する。この暫定予測部22において、例えば、機器の各検査対象箇所に故障が発生すると予測される時期などがメンテナンス時履歴Aから予測される。この暫定予測部22によれば、暫定的な故障予測情報Daが導出される。
【0032】
状態検出部23は、機器の複数の検査対象箇所のそれぞれの現在の状態Bをリアルタイムで検出する機能を有する。この状態検出部23は、音声データ検出部23aと、作動時間検出部23bと、実測値傾向検出部23cと、動作軌跡検出部23dと、を有する。
【0033】
音声データ検出部23aは、検査員が機器の検査時に喋った音声データB1を各検査対象箇所11の現在の状態Bとして検出するように構成されている。音声データB1は、処理端末32から取得される。音声データB1は、1人の検査員が発したものであってもよいし、或いは、複数の検査員による会話形式のものであってもよい。処理端末32は、マイク42に入力された音声を認識してテキストデータである音声データB1に変換する音声認識部である。これにより、音声を聞いて文字入力によってテキストデータ化する文字入力作業を省略できる。また、検査員が感覚や勘などに基づいて発した言葉は、機器の異常や故障などに関する情報を的確に把握するのに特に有効である。このため、検査員が喋った音声を直にテキストデータ化することで、機器の異常や故障などに関する重要なヒントが文字入力作業時に喪失するのを防ぐことができる。この処理端末32は、AI(人工知能)技術を取り入れた音声認識AIを搭載しているのが好ましい。この場合、AIの特徴を利用することで音声認識精度を高めることが可能になる。なお、この処理端末32が具備する音声認識機能を設備管理装置20に設けるようにしても良い。
【0034】
作動時間検出部23bは、機器の起動から停止までに要した作動時間B2を各検査対象箇所11の現在の状態Bとして検出するように構成されている。作動時間B2は、処理端末33から取得される。処理端末33は、入出力時間計測器43で計測された信号を処理して作動時間B2を導出する作動時間導出部である。このときの信号には、機器の実際の起動及び停止のタイミングを特定できる情報(例えば、機器の起動及び停止を検知するセンサから機器への入力信号の出力時刻、機器から上記センサへの出力信号の検出時刻、上記センサのON時間及びOFF時間など)が含まれている。この処理端末33は、AI(人工知能)技術を取り入れた信号処理AIを搭載しているのが好ましい。この場合、AIの特徴を利用することで信号処理精度を高めることが可能になる。なお、この処理端末33が具備する作動時間導出機能を設備管理装置20に設けるようにしても良い。
【0035】
実測値傾向検出部23cは、計測器44による実測値の傾向B3を各検査対象箇所11の現在の状態Bとして検出するように構成されている。計測器44として、例えば、電流センサ、電圧センサ、圧力センサ、振動センサなどのセンサ類を使用できる。実測値傾向検出部23cによれば、実測値が現在どのような傾向で変化しているかを把握することができる。実測値の傾向B3は、処理端末34から取得される。処理端末34は、計測器44で計測された実測値を処理してその傾向B3を管理する実測値管理部である。この処理端末34は、AI(人工知能)技術を取り入れた実測値管理AIを搭載しているのが好ましい。この場合、AIの特徴を利用することで実測値傾向の導出精度を高めることが可能になる。なお、この処理端末34が具備する実測値管理機能を設備管理装置20に設けるようにしても良い。
【0036】
動作軌跡検出部23dは、機器の複数の検査対象箇所に動きを伴う動作箇所が含まれている場合、カメラ45による動作箇所の動作軌跡B4を各検査対象箇所11の現在の状態Bとして検出するように構成されている。動作軌跡B4は、処理端末35から取得される。処理端末35は、カメラ45で撮影された動作軌跡B4を認識する動作認識部である。この処理端末35は、AI(人工知能)技術を取り入れた動作認識AIを搭載しているのが好ましい。この場合、AIの特徴を利用することで動作軌跡B4の認識精度を高めることが可能になる。なお、この処理端末35が具備する動作認識機能を設備管理装置20に設けるようにしても良い。
【0037】
故障予測更新部24は、状態検出部23が検出した現在の状態Bに基づいて複数の検査対象箇所の異常を判定した場合に暫定予測部22による故障予測情報Daを現在の状態Bに基づいて更新する機能を有する。この故障予測更新部24によれば、現在の状態Bを踏まえた包括的な故障予測判定によって、暫定的に導出された故障予測情報Daの更新後の情報である故障予測更新情報Dbが導出される。故障予測更新情報Dbは、現在の状態Bを加えることにより、故障予測情報Daに比べて予測精度が高められた情報とされる。
【0038】
設備管理装置20は、保全センター2に通信可能に接続されている。暫定予測部22が導出した故障予測情報Daと、故障予測更新部24が導出した故障予測更新情報Dbは、出力部25で出力されて保全センター2に送信される。
【0039】
2.故障予測方法
次に、実施形態1の故障予測方法について説明する。この故障予測方法は、機器の故障予測を行う方法であって、上記故障予測システム1を使用して実行される。本形態では、機器10が車両の生産設備で用いるロボットである場合について例示する。機器10の1つの形態であるロボットは、プレス工程、溶接工程、塗装工程、組立工程、検査工程などで使用されるものである。
【0040】
図2に示されるように、機器10には、複数の検査対象箇所11が設定される。図2中の検査対象箇所11は、あくまで例示的なものであって、これらに限定されるものではない。なお、機器10は、ロボットに限定されるものではない。ロボット以外に、コンベア等の搬送機や、電気や液圧などを利用して作動する作動機器等、各種の機器を使用することができる。
【0041】
実施形態1の故障予測方法は、設備管理装置20のプロセッサが所定のプログラムを実行することによって可能になる。具体的には、この故障予測方法において、図3の第1ステップS101から第9ステップS109までの処理が順次実行される。なお、所定のプログラムは、設備管理装置20のプロセッサに予め保存されていても良いし、或いは、クラウドサーバーなどからこのプロセッサにダウンロードされても良い。
【0042】
第1ステップS101は、履歴取得部21(図1を参照)を使用して、機器10の複数の検査対象箇所11(図2を参照)のそれぞれのメンテナンス時履歴Aを取得する履歴取得ステップである。この第1ステップS101では、過去のメンテナンス時履歴Aが履歴取得部21で取得される。
【0043】
第2ステップS102は、暫定予測部22(図1を参照)を使用して、第1ステップS101で取得したメンテナンス時履歴Aに基づいて暫定的な故障予測を行う暫定予測ステップである。この第2ステップS102では、暫定的な故障予測が暫定予測部22で実行される。この第2ステップS102によれば、機器10の検査対象箇所11について、例えば、「ロボットの第k軸の減速機が○日目までに故障する。」という主旨の暫定的な故障予測情報Daが導出される。そして、第2ステップS102で導出した故障予測情報Daは、ステップS103において出力部25から保全センター2に送信される。
【0044】
第4ステップS104は、状態検出部23(図1を参照)を使用して、機器10の複数の検査対象箇所11(図2を参照)のそれぞれの現在の状態Bを検出する状態検出ステップである。この第4ステップS104では、機器10の現在の状態Bを検出する検出処理が状態検出部23で実行される。本形態において、第4ステップS104は、図4中の4つの処理S104a~S104dを含むものである。第4ステップS104では、これら4つの処理S104a~S104dをいずれも実行する。
【0045】
第1の処理S104aは、検査員が機器10の検査時に喋った音声データB1を現在の状態Bとして検出する音声データ検出処理である。音声データB1は、検査員が機器10を視覚、触覚、嗅覚、聴覚などに基づいて検査したときにリアルタイムで喋った音声をデータ化したものである。したがって、このときの音声データB1は、異常判定を精度よく実行する助けになるうえに、故障予測更新時の判断材料として有効である。
【0046】
第2の処理S104bは、機器10の起動から停止までに要した作動時間B2を現在の状態Bとして検出する作動時間検出処理である。この第2の処理S104bでは、機器10の連続した任意の3回分の作動時間B2の推移情報を導出する。そして、このときの作動時間B2の推移情報を故障予測時の判断材料とする。
【0047】
ここで、図5を参照しながら、機器10の作動時間B2の推移情報について説明する。
【0048】
図5中の散布図Sは、機器10の作動回数Nを横軸とし作動時間B2の累積値である累積作動時間Tを縦軸とするものである。この散布図Sにおいて、横軸の作動回数Nの間隔は一定である。本形態では、機器10の第(n-1)回目から第(n+3)回目までの作動回数Nについて、作動回数Nと累積作動時間Tとの相関を示す散布図Sが例示されている。
【0049】
この散布図Sにおいて、機器10が異常のない正常な状態で運転されているときには、その機器10の可動部分(図示省略)のあたりが付くまでの初期状態を除いて、各回の累積作動時間Tを結ぶと右肩上がりの直線である基準線Lrになる。すなわち、機器10の作動時間B2が全ての回で概ね一定となる。ところが、機器10に異常が出始めると、次回までの累積作動時間Tの上昇分(すなわち、実際に要した作動時間B2)が増える。この場合、累積作動時間Tの前回と次回との時間差が正常時の時間差ΔTを上回る。図2では、累積作動時間T(n+1)と累積作動時間T(n)の時間差ΔTAと、累積作動時間T(n+2)と累積作動時間T(n+1)の時間差ΔTBはいずれも、正常時の時間差ΔTを上回っている。
【0050】
図5の散布図Sに基づいて、作動時間B2が第n回目から第(n+2)回目まで3回連続して上昇したときに、すなわち累積作動時間Tの第n回目から第(n+2)回目まで3点データが上昇曲線Lで結ばれるときに、機器10の故障発生時期が近いと予測される。3点データがこのような上昇曲線Lで結ばれるときには、この上昇曲線Lの延長線上(すなわち、図5中の二点鎖線で示される曲線上)に第(n+3)回目の累積作動時間T(n+3)がプロットされると推定される(図5中の□プロットを参照)。したがって、累積作動時間Tが第(n+3)回目に大幅に増えて、予め定められた管理上限値ULを超える可能性が高い。管理上限値ULとして、典型的には、機器10の仕様上の保証上限値、或いは機器10のメンテナンス時に設定された保証上限値が挙げられる。このため、累積作動時間Tが管理上限値ULを超えると機器10が実際に故障に至る可能性が高い。
【0051】
したがって、3点データが上昇曲線Lで結ばれるときに、機器10の故障発生時期が近いと予測される。直近の連続3回分の累積作動時間Tを1セットとして予測を継続することにより、管理上限値ULを使用することなく、機器10の故障予測が可能になる。このときの作動時間B2は、異常判定を精度よく実行する助けになるうえに、故障予測更新時の判断材料として有効である。
【0052】
なお、作動時間B2の推移情報の更なる詳細については、特願2022-145129号に記載の技術が参照される。
【0053】
第3の処理S104cは、計測器44による実測値の傾向B3を現在の状態Bとして検出する実測値傾向検出処理である。例えば、実測値が通常時とは異なる傾向で上昇したり下降したりしていることが第3の処理S104cで検出された場合に、該当する検査対象箇所11が異常であると判定することができる。したがって、このときの実測値の傾向B3は、異常判定を精度よく実行する助けになるうえに、故障予測更新時の判断材料として有効である。
【0054】
第4の処理S104dは、カメラ45による動作箇所の動作軌跡B4を現在の状態Bとして検出する動作軌跡検出処理である。例えば、動作箇所の動作軌跡B4が通常時の軌跡から外れていることが第4の処理S104dで検出された場合に、該当する検査対象箇所11が異常であると判定することができる。したがって、このときの動作箇所の動作軌跡B4は、異常判定を精度よく実行する助けになるうえに、故障予測更新時の判断材料として有効である。
【0055】
第4ステップS104によれば、機器10の故障予測を実行するうえで重要な判断材料となる4つの現在の状態B(音声データB1、作動時間B2、実測値の傾向B3、動作軌跡B4)を検出することができる。
【0056】
図3に示されるように、第5ステップS105から第8ステップS108までは、第2ステップS102による故障予測情報Daを更新する故障予測更新ステップである。先ず、第5ステップS105において、機器10の複数の検査対象箇所11に異常があるか否か(すなわち、異常のある検査対象箇所11が存在する否か)を判定する。検査対象箇所11に異常があると判定したことを条件に第6ステップS106にすすむ。一方で、検査対象箇所11に異常がないと判定した場合には、第4ステップS104に戻る
【0057】
第6ステップS106は、複数の検査対象箇所11の中で第5ステップS105において異常があると判定された異常判定箇所(検査対象箇所11)が、第2ステップS102で故障が予測された故障予測箇所に該当するか否かを判定するステップである。異常判定箇所が故障予測箇所に該当する場合(第6ステップS106の「Yes」の場合)に第7ステップS107にすすみ、異常判定箇所が故障予測箇所に該当しない場合(第6ステップS106の「No」の場合)に第8ステップS108にすすむ。
【0058】
第6ステップS106における判定を、例えば、第4ステップS104の第1の処理S104a(図4を参照)で検出した音声データB1に基づいて行うことができる。第2ステップS102で暫定的に減速機の故障予測がなされたと仮定した場合、図6に示されるような音声データB1を使用すれば、第6ステップS106では異常判定箇所が、暫定的な故障予測の通り、減速機であると判定される。すなわち、第6ステップS106で「Yes」となる。これに対して、図7に示されるような音声データB1を使用すれば、第6ステップS106では異常判定箇所が、暫定的な故障予測とは異なり、制御盤のアンプであると判定される。すなわち、第6ステップS106で「No」となる。
【0059】
第7ステップS107は、第2ステップS102で故障が予測された故障予測箇所の故障予測情報Daを、第4ステップS104で検出した現在の状態Bに基づいて更新するステップである。この第7ステップS107では、第4ステップS104で検出した4つの現在の状態B(音声データB1、作動時間B2、実測値の傾向B3、及び動作軌跡B4)を包括的に使用して、故障予測情報Daを更新する。
【0060】
この第7ステップS107によれば、例えば、第2ステップS102で導出した「ロボットの第k軸の減速機が○日目までに故障する。」という故障予測情報Daが、「ロボットの第k軸の減速機が○日目よりも前の△日目までに故障する。」という故障予測更新情報Dbに更新される。このように、第7ステップS107では、故障予測情報Daの更新の前後で異常判定箇所自体に変更は無く、このような場合に、当該異常判定箇所の故障予測に関する情報の精度を高めることによって、故障予測の信頼性を向上させることができる。
【0061】
第8ステップS108は、第2ステップS102で故障が予測された故障予測箇所に代えて、この故障予測箇所とは別の故障予測箇所の故障予測情報Daを、第4ステップS104で検出した現在の状態Bに基づいて更新するステップである。この第8ステップS108では、第7ステップS107の場合と同様に、第4ステップS104で検出した4つの現在の状態B(音声データB1、作動時間B2、実測値の傾向B3、及び動作軌跡B4)を包括的に使用して、故障予測情報Daを更新する。
【0062】
この第8ステップS108によれば、例えば、異常判定箇所が「減速機」に該当せず「制御盤のアンプ」である場合に、第2ステップS102で導出した「ロボットの第k軸の減速機が○日目までに故障する。」という故障予測情報Daが、「ロボットの第k軸の制御盤のアンプが○日目までに故障する。」という主旨の故障予測更新情報Dbが導出される。すなわち、この場合は、現在の状態Bを判断材料とすると、減速機よりも制御盤のアンプの方の故障に至る可能性が高いと予測される。このように、第8ステップS108では、故障予測情報Daの更新の前後で異常判定箇所自体に変更があり、別の異常判定箇所の故障予測に関する情報を得ることができる。
【0063】
第9ステップS109は、第7ステップS107及び第8ステップS108のそれぞれで導出された故障予測更新情報Dbを出力するステップである。この第9ステップS109によれば、故障予測更新情報Dbを出力部25から保全センター2に送信することができる。保全センター2では、このときの故障予測更新情報Dbを第3ステップS103で予め送信された故障予測情報Daと対比して把握することができる。
【0064】
次に、上述の実施形態1の作用効果について説明する。
【0065】
実施形態1では、機器10の故障予測に際して、先ず、機器10の過去のメンテナンス時履歴Aに基づいて暫定的な故障予測を行う。そして、機器10の複数の検査対象箇所11のそれぞれの現在の状態Bに基づいて異常を検出した場合に、予め導出されている暫定的な故障予測情報Daを現在の状態Bに基づいて更新する。この場合、機器10の各検査対象箇所11の現在の状態Bを反映させることによって、機器10の故障予測の信頼性を高めることが可能になる。
【0066】
したがって、実施形態1によれば、機器故障の予測精度に優れた故障予測システム1及び故障予測方法を提供することができる。
【0067】
以下、上述の実施形態1に関連する他の実施形態について図面を参照しつつ説明する。他の形態において、実施形態1の要素と同一の要素には同一の符号を付しており、当該同一の要素についての説明は省略する。
【0068】
(実施形態2)
実施形態2の故障予測システム1a及び故障予測方法は、実施形態1のものと基本的に同じである。本形態の故障予測システム1aは、状態検出部23が動作軌跡検出部23dを具備しておらず、且つ、処理端末35を備えていない点で、実施形態1の故障予測システム1と相違している。また、本形態の故障予測方法は、第2ステップS104において第4の処理S104dを実行しない点で、実施形態1の故障予測方法と相違している。実施形態2では、現在の状態Bとして、音声データB1、作動時間B2、実測値の傾向B3の3つを使用している。
【0069】
その他の構成及び方法は、実施形態1と同様である。
【0070】
実施形態2の故障予測システム1a及び故障予測方法は、機器10の複数の検査対象箇所11に動きを伴う動作箇所が含まれていない場合に好適に使用できる。
【0071】
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0072】
なお、本形態では、プロセッサによって実施形態1の故障予測方法を実行するためのプログラムについては、以下のような態様1~3を採り得る。
[態様1]
プロセッサに、機器の複数の検査対象箇所のそれぞれのメンテナンス時履歴を取得する機能と、取得した上記メンテナンス時履歴に基づいて暫定的な故障予測を行う機能と、上記機器の上記複数の検査対象箇所のそれぞれの現在の状態を検出する機能と、検出した上記現在の状態に基づいて異常を検出した場合に暫定的な故障予測情報を上記現在の状態に基づいて更新する機能と、を実現させるための、故障予測プログラム。
[態様2]
検査員が上記機器の検査時に喋った音声データを上記現在の状態として検出する音声データ検出機能と、上記機器の起動から停止までに要した作動時間を上記現在の状態として検出する作動時間検出機能と、計測器による実測値の傾向を上記現在の状態として検出する実測値傾向検出機能と、のうちの少なくとも1つを実現させるための、上記態様1に記載の故障予測プログラム。
[態様3]
上記機器の上記複数の検査対象箇所に動きを伴う動作箇所が含まれている場合、カメラによる上記動作箇所の動作軌跡を上記現在の状態として検出する動作軌跡検出機能を実現させるための、上記態様2に記載の故障予測プログラム。
【0073】
本発明は、上述の形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変形が考えられる。例えば、上述の各形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0074】
上述の形態では、機器10の故障予測更新に際して、4つの現在の状態B(音声データB1、作動時間B2、実測値の傾向B3、動作軌跡B4)を使用する場合や、3つの現在の状態B(音声データB1、作動時間B2、実測値の傾向B3)を使用する場合について例示したが、使用する現在の状態Bの数や組み合わせについてはこれらに限定されるものではなく、必要に応じて適宜に変更可能である。この場合、現在の状態Bの数を増やすほど、機器10の故障予測の精度を高めることができる。
【0075】
上述の形態では、車両の生産設備で用いる故障予測技術について例示したが、生産設備の種類は特に限定されるものではなく、これらの技術を車両以外の生産設備における機器故障の予測技術に適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0076】
1,1a…故障予測システム、 10…機器、 11…検査対象箇所、 21…履歴取得部、 22…暫定予測部、 23…状態検出部、 23a…音声データ検出部、 23b…作動時間検出部、 23c…実測値傾向検出部、 23d…動作軌跡検出部、 24…故障予測更新部、 31…処理端末(文字認識部)、 41…外部データサーバー、 44…計測器、 45…カメラ、 A…メンテナンス時履歴、 B…現在の状態、 B1…音声データ(現在の状態)、 B2…作動時間(現在の状態)、 B3…実測値の傾向(現在の状態)、 B4…動作軌跡(現在の状態)、 Da…故障予測情報、 S101~S109…故障予測方法、 S101…第1ステップ(履歴取得ステップ)、 S102…第2ステップ(暫定予測ステップ)、 S104…第4ステップ(状態検出ステップ)、 S104a…音声データ検出処理、 S104b…作動時間検出処理、 S104c…実測値傾向検出処理、 S104d…動作軌跡検出処理、 S105~S108…第5ステップから第8ステップ(故障予測更新ステップ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8