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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119206
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】処理装置、プログラム及び処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/51 20060101AFI20240827BHJP
   G06Q 30/015 20230101ALI20240827BHJP
【FI】
H04M3/51
G06Q30/015
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025946
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐介
【テーマコード(参考)】
5K201
5L049
【Fターム(参考)】
5K201BA13
5K201BA14
5K201CA09
5K201CB06
5K201CB10
5K201CB13
5K201CB16
5K201CC01
5K201DC02
5K201EC06
5K201ED01
5K201ED07
5K201FB01
5L049AA02
(57)【要約】
【課題】チャット対応中にオペレータ装置が障害状態に陥ってもチャットを継続可能とする。
【解決手段】記録部に記録されている、前記オペレータ装置がチャット可能な状態であるか否かを示す第1情報を、前記オペレータ装置がチャット可能な状態であるとして更新するとともに、当該第1情報に含まれている更新時刻を更新する第1処理部と、前記第1情報がチャット可能な状態であることを示している場合に、当該第1情報に含まれている更新時刻と、前記記録部を参照した現在時刻との差分が制限時間を超過しているか否かを監視する第2処理部と、前記差分が前記制限時間を超過していると判別された場合に、当該オペレータ装置に代わって管理者装置と前記顧客端末との間でチャットを行う為の接続を実行する第3処理部とを設けた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定期的にオペレータ装置から送信されてくる情報をもとに、記録部に記録されている、前記オペレータ装置がチャット可能な状態であるか否かを示す第1情報を、前記オペレータ装置がチャット可能な状態であるとして更新するとともに、当該第1情報に含まれている更新時刻を更新する第1処理部と、
前記記録部を参照し、前記第1情報がチャット可能な状態であることを示している場合に、当該第1情報に含まれている更新時刻と、前記記録部を参照した現在時刻との差分が制限時間を超過しているか否かを監視する第2処理部と、
前記第2処理部により前記差分が前記制限時間を超過していると判別された場合に、前記オペレータ装置の装置識別情報に紐付けられた、当該オペレータ装置と顧客端末との間で行われていたチャットのチャット識別情報に基づいて、当該オペレータ装置に代わって管理者装置と前記顧客端末との間でチャットを行う為の接続を実行する第3処理部と
を備えることを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記第2処理部により前記差分が前記制限時間を超過していると判別された場合に、前記オペレータ装置の装置識別情報に紐付けられた、当該オペレータ装置と前記顧客端末との間で行われていたチャットの前記チャット識別情報が、前記記録部に記録されているか否かを判別する第4処理部を備え、
前記第3処理部は、
前記第4処理部により、前記チャット識別情報が記録されていると判別された場合に、当該チャット識別情報に基づいて、前記オペレータ装置に代わって前記管理者装置と前記顧客端末との間でチャットを行う為の接続を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記第3処理部は、
前記オペレータ装置と前記顧客端末との間で行われていたチャットの前記チャット識別情報に基づいて、前記管理者装置に当該チャットの着信を送信し、当該管理者装置からの当該着信に対する応答に応じて、前記オペレータ装置に代わって前記管理者装置と前記顧客端末との間でチャットを行う為の接続を実行する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記第3処理部は、
前記管理者装置に前記チャットの着信を送信する際に、前記管理者装置に前記オペレータ装置に関する付与情報を送信する
ことを特徴とする請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記付与情報には、
前記オペレータ装置と前記顧客端末との間で行われていたチャットのメッセージが含まれている
ことを特徴とする請求項4に記載の処理装置。
【請求項6】
コンピュータを、
定期的にオペレータ装置から送信されてくる情報をもとに、記録部に記録されている、前記オペレータ装置がチャット可能な状態であるか否かを示す第1情報を、前記オペレータ装置がチャット可能な状態であるとして更新するとともに、当該第1情報に含まれている更新時刻を更新する第1処理部と、
前記記録部を参照し、前記第1情報がチャット可能な状態であることを示している場合に、当該第1情報に含まれている更新時刻と、前記記録部を参照した現在時刻との差分が制限時間を超過しているか否かを監視する第2処理部と、
前記第2処理部により前記差分が前記制限時間を超過していると判別された場合に、前記オペレータ装置の装置識別情報に紐付けられた、当該オペレータ装置と顧客端末との間で行われていたチャットのチャット識別情報に基づいて、当該オペレータ装置に代わって管理者装置と前記顧客端末との間でチャットを行う為の接続を実行する第3処理部と
して機能させる為のプログラム。
【請求項7】
処理装置の処理方法であって、前記処理装置は、
定期的にオペレータ装置から送信されてくる情報をもとに、記録部に記録されている、前記オペレータ装置がチャット可能な状態であるか否かを示す第1情報を、前記オペレータ装置がチャット可能な状態であるとして更新するとともに、当該第1情報に含まれている更新時刻を更新するステップと、
前記記録部を参照し、前記第1情報がチャット可能な状態であることを示している場合に、当該第1情報に含まれている更新時刻と、前記記録部を参照した現在時刻との差分が制限時間を超過しているか否かを監視するステップと、
前記差分が前記制限時間を超過していると判別された場合に、前記オペレータ装置の装置識別情報に紐付けられた、当該オペレータ装置と顧客端末との間で行われていたチャットのチャット識別情報に基づいて、当該オペレータ装置に代わって管理者装置と前記顧客端末との間でチャットを行う為の接続を実行するステップとを有する
ことを特徴とする処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、プログラム及び処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの企業が、顧客からの問い合わせに対応する為のコンタクトセンタシステムを有している。コンタクトセンタシステムでは、一般的に、オペレータが、電話対応用のIP電話機、及び当該IP電話機と連携するPC端末により構成されるオペレータ端末を使用して顧客対応を行うようになっている。
【0003】
このようなコンタクトセンタシステムとして、通常運用時に何らかの障害が生じた場合でもIP電話機に確立中の呼(つまり顧客との通話)が切断されないように呼救済機能を備えたものがある(例えば特許文献1参照)。
【0004】
呼救済機能は、例えば、顧客対応中にPC端末がソフトウェアのバグやハードウェアの故障などで障害状態に陥ると発動する。この呼救済機能では、一般的に、顧客とオペレータ端末とのセッション情報をコンタクトセンタシステムのサーバに保持させ、PC端末が障害状態に陥ってもIP電話機に確立中の呼だけは切断されないように顧客対応を継続させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-071858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、近年、チャットでの問い合わせにも対応するコンタクトセンタシステムが増えている。しかしながら、このようにチャットでの問い合わせに対応するコンタクトセンタシステムの場合、チャットでの問い合わせ対応中にPC端末が障害状態に陥ると、顧客とのチャットが切断されてしまい呼救済ができない。
【0007】
またチャットの場合、PC端末のフロントエンドアプリ上で動作する場合が多く、仮に呼救済ができたとしても、障害状態に陥ったPC端末ではチャットを継続することが困難となってしまう。
【0008】
このように、従来のコンタクトセンタシステムが備える呼救済機能では、チャットでの対応中にPC端末が障害状態に陥ると、チャットを継続することが困難であるという問題があった。
【0009】
本発明は以上の点を考慮したものであり、チャット対応中にオペレータ装置が障害状態に陥ってもチャットを継続可能な処理装置、プログラム及び処理方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するため本発明の処理装置においては、定期的にオペレータ装置から送信されてくる情報をもとに、記録部に記録されている、前記オペレータ装置がチャット可能な状態であるか否かを示す第1情報を、前記オペレータ装置がチャット可能な状態であるとして更新するとともに、当該第1情報に含まれている更新時刻を更新する第1処理部と、前記記録部を参照し、前記第1情報がチャット可能な状態であることを示している場合に、当該第1情報に含まれている更新時刻と、前記記録部を参照した現在時刻との差分が制限時間を超過しているか否かを監視する第2処理部と、前記第2処理部により前記差分が前記制限時間を超過していると判別された場合に、前記オペレータ装置の装置識別情報に紐付けられた、当該オペレータ装置と顧客端末との間で行われていたチャットのチャット識別情報に基づいて、当該オペレータ装置に代わって管理者装置と前記顧客端末との間でチャットを行う為の接続を実行する第3処理部とを備える。
【0011】
また本発明のプログラムにおいては、コンピュータを、定期的にオペレータ装置から送信されてくる情報をもとに、記録部に記録されている、前記オペレータ装置がチャット可能な状態であるか否かを示す第1情報を、前記オペレータ装置がチャット可能な状態であるとして更新するとともに、当該第1情報に含まれている更新時刻を更新する第1処理部と、前記記録部を参照し、前記第1情報がチャット可能な状態であることを示している場合に、当該第1情報に含まれている更新時刻と、前記記録部を参照した現在時刻との差分が制限時間を超過しているか否かを監視する第2処理部と、前記第2処理部により前記差分が前記制限時間を超過していると判別された場合に、前記オペレータ装置の装置識別情報に紐付けられた、当該オペレータ装置と顧客端末との間で行われていたチャットのチャット識別情報に基づいて、当該オペレータ装置に代わって管理者装置と前記顧客端末との間でチャットを行う為の接続を実行する第3処理部として機能させる。
【0012】
さらに本発明の処理方法は、処理装置の処理方法であって、処理装置は、定期的にオペレータ装置から送信されてくる情報をもとに、記録部に記録されている、前記オペレータ装置がチャット可能な状態であるか否かを示す第1情報を、前記オペレータ装置がチャット可能な状態であるとして更新するとともに、当該第1情報に含まれている更新時刻を更新するステップと、前記記録部を参照し、前記第1情報がチャット可能な状態であることを示している場合に、当該第1情報に含まれている更新時刻と、前記記録部を参照した現在時刻との差分が制限時間を超過しているか否かを監視するステップと、前記差分が前記制限時間を超過していると判別された場合に、前記オペレータ装置の装置識別情報に紐付けられた、当該オペレータ装置と顧客端末との間で行われていたチャットのチャット識別情報に基づいて、当該オペレータ装置に代わって管理者装置と前記顧客端末との間でチャットを行う為の接続を実行するステップとを有する。
【0013】
これにより、チャット可能な状態にあったオペレータ装置が障害状態に陥ってチャットできなくなっていることを、前回の更新時刻と現在時刻との差分が制限時間を超過していることにより特定でき、このとき障害状態に陥っているオペレータ装置の代わりに管理者装置を顧客装置と接続することでチャットを継続することができる。
【発明の効果】
【0014】
かくして本発明は、チャット対応中にオペレータ装置が障害状態に陥ってもチャットを継続可能な処理装置、プログラム及び処理方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】コンタクトセンタシステムの構成を示す図である。
図2】コンタクトセンタシステムで扱うデータの構成を示す図である。
図3】コンタクトセンタシステムの動作を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明を実施するための形態(以下、これを実施の形態と呼ぶ)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
[1.コンタクトセンタシステムの構成]
まず図1を用いて、本実施の形態によるコンタクトセンタシステム1の構成について説明する。このコンタクトセンタシステム1は、例えば企業などのコンタクトセンタに導入されるシステムであり、顧客からのチャットによる問い合わせに対応可能なシステムである。
【0018】
このコンタクトセンタシステム1は、オペレータ端末101と、スーパバイザ端末111と、サーバ121とで構成され、サーバ121と顧客端末201とがインターネット網202に接続されている。尚、図1では、サーバ121に、1人のオペレータ105が使用する1台のオペレータ端末101と、1人のスーパバイザ114が使用する1台のスーパバイザ端末111が接続されているが、複数のオペレータ105がそれぞれ使用する複数台のオペレータ端末101と、複数のスーパバイザ114がそれぞれ使用する複数台のスーパバイザ端末111が接続されていてもよい。以下の説明では、一例として、サーバ121に、複数のオペレータ105がそれぞれ使用する複数台のオペレータ端末101と、1人のスーパバイザ114が使用する1台のスーパバイザ端末111が接続されていることを前提とする。
【0019】
オペレータ端末101は、オペレータ105が使用する端末であり、ソフトフォン部102と、チャットモニタ部103と、データ処理部106と、通信手段107とを有するPC(Personal Computer)104で構成される。このオペレータ端末101は、通信手段107によりサーバ121と通信可能となっている。このオペレータ端末101は、ソフトフォン部102のIP電話機能により通話での顧客対応が可能であり、またチャットモニタ部103に表示するチャット画面を用いてチャットでの顧客対応が可能となっている。尚、図示しないが、オペレータ端末101は、マイク、スピーカ、マウス、キーボードなどの入出力部を有している。
【0020】
スーパバイザ端末111は、管理者としてのスーパバイザ114が使用する端末であり、モニタ部112と、データ処理部115と、通信手段116とを有するPC113で構成される。このスーパバイザ端末111は、通信手段116によりサーバ121と通信可能となっている。スーパバイザ端末111は、モニタ部112にコンタクトセンタシステム1の稼働状況を表示でき、スーパバイザ114はこれを監視する。またスーパバイザ端末111は、モニタ部112にチャット画面を表示でき、例えば障害状態に陥ったオペレータ端末101に代わってチャットでの顧客対応も可能となっている。尚、図示しないが、スーパバイザ端末111も、マイク、スピーカ、マウス、キーボードなどの入出力部を有している。
【0021】
サーバ121は、通信手段122と、呼処理部123と、データ処理部124と、タイマ125と、図示しない記憶部に格納されたデータファイル126とを有している。尚、通信手段122と、呼処理部123と、データ処理部124と、タイマ125と、データファイル126は、例えばサーバ121の図示しない記憶部にインストールされたプログラムをサーバ121の図示しないCPUが実行することで機能する機能部である。サーバ121は、通信手段122によりインターネット網202を介して顧客端末201と通信し、顧客端末201からのチャット着信を受け付ける。またサーバ121は、呼処理部123により端末間のチャット呼処理を制御するようになっていて、当該呼処理部123により顧客端末201から受け付けたチャット着信を処理し、顧客端末201といずれかのオペレータ端末101とのチャットを確立させる。
【0022】
またサーバ121のデータ記録部として機能するデータファイル126には、チャット呼情報を記録するチャット呼データファイル127と、チャット履歴を記録するチャット履歴ファイル128と、オペレータ端末101の登録情報である端末登録情報を記録する端末登録データファイル129と、オペレータ105の情報と呼救済先となるオペレータ(本実施の形態では例えばスーパバイザ114)の情報とを含む呼救済先情報を記録するオペレータ情報ファイル130とが含まれている。
【0023】
ここで、図2(A)に、チャット呼データファイル127に記録されるチャット呼情報D1の例を示す。この図2(A)に示すように、チャット呼データファイル127に記録されるチャット呼情報D1は、チャット呼IDとオペレータIDとで構成される。このチャット呼情報D1は、顧客端末201とオペレータ端末101との間で確立されたチャットごとに、チャット呼データファイル127に記録される情報である。
【0024】
具体的には、サーバ121のデータ処理部124は、顧客端末201といずれかのオペレータ端末101とのチャットを確立させた際に、当該チャットを識別する為のチャット呼IDを生成する。そしてデータ処理部124は、生成した当該チャット呼IDと、当該チャットを行うオペレータ105(つまり顧客端末201との間でチャットが確立したオペレータ端末101を使用するオペレータ105)の識別情報であるオペレータIDとで構成されるチャット呼情報D1を、チャット呼データファイル127に記録する。またデータ処理部124は、当該チャットが切断されると、当該チャットのチャット呼情報D1を、チャット呼データファイル127から削除するようになっている。
【0025】
図2(A)は、チャット呼データファイル127に、チャット呼IDが「****a」、オペレータIDが「ope01」のチャット呼情報D1が記録されている例である。
【0026】
つづけて、図2(B)に、チャット履歴ファイル128に記録されるチャット履歴D2の例を示す。この図2(B)に示すように、チャット履歴ファイル128に記録されるチャット履歴D2は、チャット呼IDとメッセージIDと送信先と受信先とメッセージと時刻とで構成される。このチャット履歴D2は、顧客端末201とオペレータ端末101との間でチャットのメッセージがやり取りされるごとにチャット履歴ファイル128に記録される情報である。
【0027】
具体的には、サーバ121のデータ処理部124は、顧客端末201とオペレータ端末101との間でチャットのメッセージがやり取りされた際に、当該チャットのチャット呼IDをもとに、やり取りされた当該メッセージを識別する為のメッセージIDを生成する。尚、このメッセージIDは、チャット呼ID(例えば「****a」)に、チャット内でメッセージがやり取りされた順を示す値(例えば「0001」~[9999]までの値)を付与したもの(例えば「****a0001」)とする。
【0028】
そしてデータ処理部124は、生成した当該メッセージIDと、チャット呼IDと、メッセージの送信先及び受信先と、テキストデータであるメッセージと、メッセージをやり取りした時刻とで構成されるチャット履歴D2を、チャット履歴ファイル128に記録する。尚、メッセージの送信先は、メッセージの送信先となる顧客を識別する為の顧客ID又はオペレータ105のオペレータIDであり、メッセージの受信先も同様に顧客ID又はオペレータIDである。
【0029】
図2(B)は、チャット履歴ファイル128に、チャット呼IDが「****a」、メッセージIDが「****a0001」、送信先が「USER01」、受信先が「ope01」、メッセージが「質問よろしいでしょうか」、時刻が「2022/*/* 15:10:00」のチャット履歴D2と、チャット呼IDが「****a」、メッセージIDが「****a0002」、送信先が「ope01」、受信先が「USER01」、メッセージが「どうされましたでしょうか」、時刻が「2022/*/* 15:10:07」のチャット履歴D2とが記録されている例である。
【0030】
つづけて、図2(C)に、端末登録データファイル129に記録される端末登録情報D3の例を示す。この図2(C)に示すように、端末登録データファイル129に記録される端末登録情報D3は、オペレータ端末IDとIPアドレスと端末登録時刻と端末登録状態とで構成される。この端末登録情報D3は、オペレータ端末101が登録状態であるか否かを示す情報であり、オペレータ端末101ごとに端末登録データファイル129に記録されている。
【0031】
端末登録データファイル129には、事前にオペレータ端末101ごとの端末登録情報D3が未登録状態で記録されている。未登録状態の端末登録情報D3は、図2(C)に示す上から3番目の端末登録情報D3のように、オペレータ端末101のオペレータ端末ID(例えば「3」)とIPアドレス(例えば「***.***.***.3」)を持ち、端末登録時刻が「-(null)」、端末登録状態が「未登録」となっている。
【0032】
オペレータ端末101は、データ処理部106で生成した端末登録要求を、通信手段107により定期的にサーバ121へ送信する。この端末登録要求には、例えば当該端末登録要求の送信元となるオペレータ端末101を識別する為のオペレータ端末ID(例えば「1」)とIPアドレス(例えば「***.***.***.1」)が含まれている。
【0033】
サーバ121は、通信手段122によりオペレータ端末101から端末登録要求を受信すると、データ処理部124が、受信した端末登録要求をもとに、当該端末登録要求を送信してきたオペレータ端末101の端末登録情報D3を更新する。具体的には、端末登録要求に含まれているオペレータ端末ID及びIPアドレスと一致するオペレータ端末ID及びIPアドレスを持つ端末登録情報D3を端末登録データファイル129から見つけ出し、当該端末登録情報D3に含まれている端末登録時刻を現在時刻に書き換えるとともに、端末登録状態が「未登録」であれば「登録」に書き換える。
【0034】
このように、サーバ121のデータ処理部124は、各オペレータ端末101から定期的に送信されてくる端末登録要求に従って、端末登録データファイル129に記録されている各オペレータ端末101の端末登録情報D3を更新するようになっている。つまり、オペレータ端末101が正常に動作していれば、当該オペレータ端末101から定期的にサーバ121へ端末登録要求が送信され、サーバ121側で当該オペレータ端末101の端末登録情報D3が定期的に更新されるようになっている。一方で、例えばオペレータ端末101が障害状態に陥ると、当該オペレータ端末101からサーバ121へ端末登録要求が送信されなくなることで、当該オペレータ端末101の端末登録情報D3が更新されなくなる。この為、登録状態にあるオペレータ端末101の端末登録情報D3に含まれている端末登録時刻が所定時間更新されていなければ、このことは、当該オペレータ端末101が障害状態に陥っていることを意味する。
【0035】
図2(C)は、端末登録データファイル129に、3台のオペレータ端末101の端末登録情報D3が記録されている例であり、1番目と2番目の端末登録情報D3は、オペレータ端末101が登録状態であり、3番目の端末登録情報D3は、オペレータ端末101が未登録状態であることを示している。
【0036】
つづけて、図2(D)に、オペレータ情報ファイル130に格納される呼救済先情報D4の例を示す。この図2(D)に示すように、オペレータ情報ファイル130に記録される呼救済先情報D4は、オペレータIDとオペレータ端末IDと呼救済先オペレータIDとスーパバイザ端末IDとで構成される。尚、ここでいう呼救済先オペレータとは、スーパバイザ114のことである。
【0037】
この呼救済先情報D4は、オペレータ105及び当該オペレータ105が使用するオペレータ端末101と、当該オペレータ端末101が障害状態に陥った場合の呼救済先となるスーパバイザ114及び当該スーパバイザ114が使用するスーパバイザ端末111とを紐付ける情報であり、事前にオペレータ105ごとにオペレータ情報ファイル130に記録されている。
【0038】
例えば、図2(D)に示す1番上の呼救済先情報D4は、オペレータIDが「ope01」、オペレータ端末IDが「1」、呼救済先オペレータID(つまりスーパバイザ114のオペレータID)が「SV」、スーパバイザ端末IDが「2」となっている。これは、「ope01」で識別されるオペレータ105が使用する「1」で識別されるオペレータ端末101が障害状態に陥った場合の呼救済先が、「SV」で識別されるスーパバイザ114及び「2」で識別されるスーパバイザ端末111であることを意味する。
【0039】
尚、呼救済先情報D4は、オペレータIDによりチャット呼情報D1と紐付けられている為、呼救済先情報D4のオペレータ端末IDと、チャット呼情報D1のチャット呼IDは、オペレータIDにより紐付けられていると言える。
【0040】
サーバ121は、オペレータ端末101が障害状態に陥ったことを検出すると、データ処理部124が当該オペレータ端末101のオペレータ端末IDと一致するオペレータ端末IDを持つ呼救済先情報D4をオペレータ情報ファイル130から見つけ出し、呼処理部123が、顧客端末201とのチャットに、当該呼救済先情報D4に呼救済先として示されているスーパバイザ端末111を割り込ませることで呼救済を行うようになっている。
【0041】
またサーバ121の呼処理部123は、呼救済を行う際に、呼救済先のスーパバイザ端末111に対し、通信手段122を介してチャットの着信とともに付与情報を通知するようになっている。この付与情報には、障害状態に陥ったオペレータ端末101に関する情報として、当該オペレータ端末101を使用していたオペレータ105のオペレータIDと、障害状態に陥った時刻とが含まれている。
【0042】
スーパバイザ端末111は、通信手段116によりチャットの着信とともに付与情報を受信すると、モニタ部112にチャットの着信と付与情報(オペレータID、及び障害状態に陥った時刻)を表示することで、これらをスーパバイザ114に通知するようになっている。これにより、スーパバイザ114は、どのオペレータ105のオペレータ端末101で、いつ障害が発生したのかを把握することができる。そして、スーパバイザ114は、当該通知を受けると、スーパバイザ端末111を操作してチャットの着信に応答する。これに応じて、サーバ121の呼処理部123が、顧客端末201とのチャットに、スーパバイザ端末111を割り込ませるように、顧客端末201とスーパバイザ端末111とをチャット接続することで呼救済を行う。これにより、以降、顧客とスーパバイザ114との間でチャットが継続されることになる。コンタクトセンタシステム1の構成は、以上のようになっている。
【0043】
[2.コンタクトセンタシステムの動作]
つぎに、コンタクトセンタシステム1の動作について説明する。ここでは、コンタクトセンタシステム1の動作として、呼救済を行う際の動作(呼救済動作と呼ぶ)について説明する。図3に、当該呼救済動作の手順となるフローチャートを示す。
【0044】
この呼救済動作は、主にサーバ121で実行される動作であり、サーバ121のタイマ125にトリガをかけて定期的に実行されるようになっている。またコンタクトセンタシステム1に複数のオペレータ端末101が存在する場合、サーバ121では、オペレータ端末101ごとにこの呼救済動作を行うようになっているが、ここでは、説明を簡単にする為、1台のオペレータ端末101に対して行う呼救済動作について説明する。
【0045】
図3に示すように、呼救済動作では、最初のステップSP301において、サーバ121のデータ処理部124が、端末登録データファイル129を確認(参照)する。つづくステップSP302において、データ処理部124は、オペレータ端末101(例えば端末登録データファイル129に記録されている1番目の端末登録情報D3に対応するオペレータ端末101)が既に端末登録状態であるか否か(つまり1番目の端末登録情報D3に含まれている端末登録状態が「登録」であるか否か)を判別する。
【0046】
ここで、当該オペレータ端末101が未登録状態である場合、当該オペレータ端末101に対して呼救済をする必要はない為、データ処理部124は、ステップSP302で否定結果を得て、呼救済動作を終了する。
【0047】
これに対して、当該オペレータ端末101が登録状態である場合、データ処理部124は、ステップSP302で肯定結果を得て、ステップSP303に移る。ステップSP303において、データ処理部124は、当該オペレータ端末101の前回の端末登録時刻(つまり当該オペレータ端末101の端末登録情報D3に含まれている端末登録時刻)と現在時刻(つまり端末登録データファイル129を確認した時刻)との差分を算出する。ここでは、この差分を、端末登録後経過時間と呼ぶ。そしてデータ処理部124は、算出した端末登録後経過時間と、あらかじめ設定されている端末登録監視時間とを比較する。つづくステップSP304において、データ処理部124は、端末登録後経過時間が端末登録監視時間を超過しているか否かを判別する。
【0048】
ここで、オペレータ端末101が正常に動作している場合、上述したように、端末登録情報D3に含まれている端末登録時刻は定期的(例えば1分ごと)に更新される。一方で、端末登録監視時間は、端末登録時刻の更新間隔(つまり1分間)よりも長い時間(例えば2分間)に設定されている。この為、前回の端末登録時刻と現在時刻との差分である端末登録後経過時間が、この端末登録監視時間を超過していない場合、このことは、端末登録時刻の更新間隔が正常であり、オペレータ端末101が正常に動作していること、つまり当該オペレータ端末101に対して呼救済をする必要はないことを意味する。この場合、データ処理部124は、ステップSP304で否定結果を得て、呼救済動作を終了する。
【0049】
これに対して、端末登録後経過時間が、端末登録監視時間を超過している場合、このことは、端末登録時刻が正常に更新されてなく(つまり端末登録が中断されていて)、オペレータ端末101が障害状態にあり、当該オペレータ端末101に対して呼救済をする必要があることを意味する。この場合、データ処理部124は、ステップSP304で肯定結果を得て、ステップSP305に移る。
【0050】
ステップSP305において、データ処理部124は、当該オペレータ端末101の端末登録情報D3から当該オペレータ端末101のオペレータ端末IDを取得する。
【0051】
つづくステップSP306において、データ処理部124は、オペレータ情報ファイル130を確認(参照)し、つづくステップSP307において、ステップSP305で取得したオペレータ端末IDと同一のオペレータ端末IDを持つ呼救済先情報D4からオペレータIDと呼救済先オペレータIDとスーパバイザ端末IDとを取得する。
【0052】
つづくステップSP308において、データ処理部124は、チャット呼データファイル127を確認(参照)し、つづくステップSP309において、チャット呼データファイル127に、ステップSP305で取得したオペレータ端末IDと同一のオペレータ端末IDを持つチャット呼情報D1が記録されているか否かを判別する。
【0053】
ここで、ステップSP305で取得したオペレータ端末IDと同一のオペレータ端末IDを持つチャット呼情報D1が記録されていない場合、このことは、オペレータ端末101が障害状態に陥っているものの現在チャットでの顧客対応は行っておらず、呼救済をする必要はないこと意味する。この場合、データ処理部124は、ステップSP309で否定結果を得て、呼救済動作を終了する。
【0054】
これに対して、ステップSP305で取得したオペレータ端末IDと同一のオペレータ端末IDを持つチャット呼情報D1が記録されている場合、このことは、オペレータ端末101がチャットでの顧客対応中に障害状態に陥っており、呼救済をする必要があること意味する。この場合、データ処理部124は、ステップSP309で肯定結果を得て、ステップSP310に移る。
【0055】
ステップSP310において、データ処理部124は、当該チャット呼情報D1からチャット呼IDを取得する。つづくステップSP311において、データ処理部124は、通信手段122を介して、ステップSP307で取得したスーパバイザ端末IDにより識別されるスーパバイザ端末111に対して信号(例えば障害状態に陥ったオペレータ端末101が発生したことを示す信号)を送信する。つづけて、サーバ121の呼処理部123は、ステップSP310で取得したチャット呼IDをもとに、通信手段122を介して、当該スーパバイザ端末111に対してチャットの着信を通知する。つまりこのチャットの着信は、顧客端末201と障害状態に陥ったオペレータ端末101との間で行われていたチャットにスーパバイザ端末111を割り込ませる為の着信である。
【0056】
またこのとき呼処理部123は、通信手段122を介して、スーパバイザ端末111に対して付与情報を送信する。この付与情報には、上述したように、障害状態に陥ったオペレータ端末101を使用していたオペレータ105のオペレータIDと、障害状態に陥った時刻とが含まれている。尚、障害状態に陥った時刻とは、上述したステップSP304で、端末登録後経過時間の算出に用いた現在時刻であり、端末登録後経過時間が端末登録監視時間を超過していると判別したときの時刻とほぼ同時刻である。スーパバイザ端末111は、チャットの着信と付与情報を通信手段116により受信すると、これらをモニタ部112に表示する。
【0057】
つづくステップSP312において、スーパバイザ114は、スーパバイザ端末111を操作してチャットの着信に応答する。これに応じて、サーバ121の呼処理部123が、顧客端末201とスーパバイザ端末111とをチャット接続する処理を行い、顧客端末201とのチャットにスーパバイザ端末111を割り込ませることで呼救済を行う。これ以降、オペレータ105に代わり、スーパバイザ114が顧客とのチャットを継続することになる。呼救済動作は、以上のようになっている。
【0058】
[3.まとめと効果]
ここまで説明したように、本実施の形態のコンタクトセンタシステム1は、オペレータ装置としてのオペレータ端末101と、管理者装置としてのスーパバイザ端末111と、処理装置としてのサーバ121とを有する。
【0059】
そして、サーバ121は、定期的にオペレータ端末101から送信されてくる情報である端末登録要求をもとに、記録部としての端末登録データファイル129に記録されている、当該オペレータ端末101がチャット可能な状態であるか否かを示す第1情報としての端末登録情報D3を、当該オペレータ端末101がチャット可能な状態であるとして更新するとともに、当該端末登録情報D3に含まれている更新時刻としての端末登録時刻を更新する第1処理部(データ処理部124)を有する。
【0060】
さらにサーバ121は、定期的に端末登録データファイル129を参照し、端末登録情報D3がチャット可能な状態であることを示している場合に、当該端末登録情報D3に含まれている前回の端末登録時刻と、前記端末登録データファイル129を参照した現在時刻との差分である端末登録後経過時間が制限時間としての端末登録監視時間を超過しているか否かを監視する第2処理部(データ処理部124)を有する。
【0061】
さらにサーバ121は、第2処理部(データ処理部124)により端末登録後経過時間が端末登録監視時間を超過していると判別された場合に、オペレータ端末101の装置識別情報であるオペレータ端末IDに紐付けられた、当該オペレータ端末101と顧客端末201との間で行われていたチャットを識別する為のチャット識別情報としてのチャット呼IDに基づいて、当該オペレータ端末101に代わって管理者装置としてのスーパバイザ端末111と顧客端末201との間で当該チャットを行う為の接続を実行する第3処理部(呼処理部123)とを有する。
【0062】
さらにサーバ121は、第2処理部(データ処理部124)により端末登録後経過時間が端末登録監視時間を超過していると判別された場合に、オペレータ端末101の装置識別情報であるオペレータ端末IDに紐付けられた、当該オペレータ端末101と顧客端末201との間で行われていたチャットを識別する為のチャット呼IDが、記録部としてのチャット呼データファイル127に記録されているか否かを判別する第4処理部(データ処理部124)を備え、第3処理部(呼処理部123)が、第4処理部(データ処理部124)により、チャット呼IDが記録されていると判別された場合に、当該チャット呼IDに基づいて、当該オペレータ端末101に代わって管理者装置としてのスーパバイザ端末111と顧客端末201との間で当該チャットを行う為の接続を実行するようにした。
【0063】
これにより、サーバ121は、チャット可能な状態にあったオペレータ端末101が障害状態に陥ってチャットできなくなっていることを、前回の端末登録時刻と現在時刻との差分が端末登録監視時間を超過していることにより特定でき、このとき障害状態に陥っているオペレータ端末101に代わってスーパバイザ端末111を顧客端末201とチャット接続することで顧客とのチャットを継続することができる。このように、コンタクトセンタシステム1のサーバ121は、チャット対応中にオペレータ端末101が障害状態に陥ってもチャットを継続することができる。
【0064】
またサーバ121では、前回の端末登録時刻と現在時刻との差分が端末登録監視時間を超過しているか否かにより、オペレータ端末101が障害状態に陥ったか否かを判別するようにしたことにより、別途、オペレータ端末101が障害状態に陥っているか否かを検出する為の専用のハードウェアなどを用意する必要がなく、従来のコンタクトセンタシステムと同等のハードウェア構成で上述の効果を得ることができる。
【0065】
[4.他の実施の形態]
[4-1.他の実施の形態1]
尚、上述した実施の形態では、サーバ121のデータ処理部124が、上述した第1処理部、及び第2処理部として機能するようにしたが、これに限らず、例えばデータ処理部124の代わりに、第1処理部として機能する第1のデータ処理部と、第2処理部として機能する第2のデータ処理部を、サーバ121に設けるようにしてもよい。
【0066】
[4-2.他の実施の形態2]
また上述した実施の形態では、オペレータ端末101が障害状態に陥った場合の呼救済先をスーパバイザ端末111とした場合について述べたが、これに限らず、オペレータ端末101が障害状態に陥った場合の呼救済先を、例えば、現在チャットを行っていない他のオペレータ端末101としてもよい。尚、現在チャットを行っていない他のオペレータ端末101については、例えば、端末登録データファイル129に記録されている端末登録情報D3が登録状態を示していて、且つ端末登録後経過時間が端末登録監視時間を超過していないオペレータ端末101(つまりチャット可能で障害状態に陥っていないオペレータ端末101)のうち、当該オペレータ端末101を使用するオペレータ105のオペレータIDを持つチャット呼情報D1がチャット呼データファイル127に存在しないオペレータ端末101(つまりチャットを現在行っていないオペレータ端末101)とすればよい。
【0067】
またこれに限らず、例えば、オペレータ端末101が障害状態に陥った場合に、スーパバイザ端末111にチャットの着信を送信しても、当該スーパバイザ端末111からの応答が得られなかった場合に、呼救済先を、チャットを行っていない他のオペレータ端末101に切り替えて、当該オペレータ端末101にチャットの着信及び付与情報を送信するようにしてもよい。
【0068】
[4-3.他の実施の形態3]
さらに上述した実施の形態では、サーバ121の呼処理部123が、呼救済先となるスーパバイザ端末111に付与情報を送信するようにした。この付与情報には、障害状態に陥ったオペレータ端末101に関する情報として、当該オペレータ端末101を使用するオペレータ105のオペレータIDと障害状態に陥った時刻とが含まれるとしたが、これに限らず、例えばこの付与情報に、障害状態に陥ったオペレータ端末101と顧客端末201との間でやり取りされていたチャットのメッセージを含ませるようにしてもよい。このようにすれば、呼救済先となるスーパバイザ114は、顧客とのチャットに割り込む前に、やり取りされていたチャットの内容を確認したうえで、オペレータ105に代わって顧客とのチャットを継続することができる。尚、障害状態に陥ったオペレータ端末101と顧客端末201との間でやり取りされていたチャットのメッセージについては、チャット履歴ファイル128に記録されているチャット履歴D2から取得すればよい。
【0069】
[4-4.他の実施の形態4]
さらに上述した実施の形態では、顧客とオペレータ105との間でチャットを行うコンタクトセンタシステム1に本発明を適用したが、本発明は、データ通信回線を使用してチャットを行う様々なコンタクトセンタシステム1に適用できる。例えば、テキストメッセージに限らず、音声メッセージをやり取りするボイスチャットを行うコンタクトセンタシステムにも適用できる。
【0070】
さらに上述した実施の形態では、処理装置及びコンピュータの具体例としてサーバ121を用いたが、これに限らず、サーバ121と同等に機能するものであれば、サーバ121とは部分的に異なる構成の処理装置及びコンピュータを用いてもよい。
【0071】
[4-5.他の実施の形態5]
さらに、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0072】
[5.付記]
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0073】
かかる課題を解決するため本発明の処理装置においては、定期的にオペレータ装置から送信されてくる情報をもとに、記録部に記録されている、前記オペレータ装置がチャット可能な状態であるか否かを示す第1情報を、前記オペレータ装置がチャット可能な状態であるとして更新するとともに、当該第1情報に含まれている更新時刻を更新する第1処理部と、前記記録部を参照し、前記第1情報がチャット可能な状態であることを示している場合に、当該第1情報に含まれている更新時刻と、前記記録部を参照した現在時刻との差分が制限時間を超過しているか否かを監視する第2処理部と、前記第2処理部により前記差分が前記制限時間を超過していると判別された場合に、前記オペレータ装置の装置識別情報に紐付けられた、当該オペレータ装置と顧客端末との間で行われていたチャットのチャット識別情報に基づいて、当該オペレータ装置に代わって管理者装置と前記顧客端末との間でチャットを行う為の接続を実行する第3処理部とを備える。
【0074】
また本発明においては、前記第2処理部により前記差分が前記制限時間を超過していると判別された場合に、前記オペレータ装置の装置識別情報に紐付けられた、当該オペレータ装置と前記顧客端末との間で行われていたチャットの前記チャット識別情報が、前記記録部に記録されているか否かを判別する第4処理部を備え、前記第3処理部は、前記第4処理部により、前記チャット識別情報が記録されていると判別された場合に、当該チャット識別情報に基づいて、前記オペレータ装置に代わって前記管理者装置と前記顧客端末との間でチャットを行う為の接続を実行する。
【0075】
さらに本発明においては、前記第3処理部は、前記オペレータ装置と前記顧客端末との間で行われていたチャットの前記チャット識別情報に基づいて、前記管理者装置に当該チャットの着信を送信し、当該管理者装置からの当該着信に対する応答に応じて、前記オペレータ装置に代わって前記管理者装置と前記顧客端末との間でチャットを行う為の接続を実行する。
【0076】
さらに本発明においては、前記第3処理部は、前記管理者装置に前記チャットの着信を送信する際に、前記管理者装置に前記オペレータ装置に関する付与情報を送信する。
【0077】
さらに本発明においては、前記付与情報には、前記オペレータ装置と前記顧客端末との間で行われていたチャットのメッセージが含まれている。
【0078】
さらに本発明のプログラムにおいては、コンピュータを、コンピュータを、定期的にオペレータ装置から送信されてくる情報をもとに、記録部に記録されている、前記オペレータ装置がチャット可能な状態であるか否かを示す第1情報を、前記オペレータ装置がチャット可能な状態であるとして更新するとともに、当該第1情報に含まれている更新時刻を更新する第1処理部と、前記記録部を参照し、前記第1情報がチャット可能な状態であることを示している場合に、当該第1情報に含まれている更新時刻と、前記記録部を参照した現在時刻との差分が制限時間を超過しているか否かを監視する第2処理部と、前記第2処理部により前記差分が前記制限時間を超過していると判別された場合に、前記オペレータ装置の装置識別情報に紐付けられた、当該オペレータ装置と顧客端末との間で行われていたチャットのチャット識別情報に基づいて、当該オペレータ装置に代わって管理者装置と前記顧客端末との間でチャットを行う為の接続を実行する第3処理部として機能させる。
【0079】
さらに本発明の処理方法においては、処理装置の処理方法であって、処理装置は、定期的にオペレータ装置から送信されてくる情報をもとに、記録部に記録されている、前記オペレータ装置がチャット可能な状態であるか否かを示す第1情報を、前記オペレータ装置がチャット可能な状態であるとして更新するとともに、当該第1情報に含まれている更新時刻を更新するステップと、前記記録部を参照し、前記第1情報がチャット可能な状態であることを示している場合に、当該第1情報に含まれている更新時刻と、前記記録部を参照した現在時刻との差分が制限時間を超過しているか否かを監視するステップと、前記差分が前記制限時間を超過していると判別された場合に、前記オペレータ装置の装置識別情報に紐付けられた、当該オペレータ装置と顧客端末との間で行われていたチャットのチャット識別情報に基づいて、当該オペレータ装置に代わって管理者装置と前記顧客端末との間でチャットを行う為の接続を実行するステップとを有する。
【0080】
これにより、チャット可能な状態にあったオペレータ装置が障害状態に陥ってチャットできなくなっていることを、前回の更新時刻と現在時刻との差分が制限時間を超過していることにより特定でき、このとき障害状態に陥っているオペレータ装置の代わりに管理者装置を顧客装置と接続することでチャットを継続することができる。かくして本発明は、チャット対応中にオペレータ装置が障害状態に陥ってもチャットを継続可能な処理装置、プログラム及び処理方法を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、例えばコンタクトセンタシステムなどの顧客対応システムで広く利用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1……コンタクトセンタシステム、101……オペレータ端末、105……オペレータ、111……スーパバイザ端末、114……スーパバイザ、121……サーバ、122……通信手段、123……呼処理部、124……データ処理部、125……タイマ、126……データファイル、127……チャット呼データファイル、128……チャット履歴ファイル、129……端末登録データファイル、130……オペレータ情報ファイル、201……顧客端末、202……インターネット網、D1……チャット呼情報、D2……チャット履歴、D3……端末登録情報、D4……呼救済先情報。
図1
図2
図3