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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119208
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】携帯用加工機
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/02 20060101AFI20240827BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20240827BHJP
   B23D 45/16 20060101ALI20240827BHJP
   B23D 47/02 20060101ALI20240827BHJP
   B23D 47/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B25F5/02
B25F5/00 H
B25F5/00 Z
B23D45/16
B23D47/02
B23D47/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025950
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 正
(72)【発明者】
【氏名】稲吉 広共
(72)【発明者】
【氏名】雷 鳴利
【テーマコード(参考)】
3C040
3C064
【Fターム(参考)】
3C040AA01
3C040CC02
3C040CC05
3C040LL05
3C064AA05
3C064AA06
3C064AC02
3C064BA01
3C064BA12
3C064BB11
3C064BB12
3C064BB55
3C064BB80
3C064BB84
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA26
3C064CA54
3C064CA60
3C064CA61
3C064CA62
3C064CB05
3C064CB17
3C064CB32
3C064CB63
3C064CB72
3C064CB82
3C064CB84
3C064CB91
3C064CB92
3C064CB95
(57)【要約】
【課題】前後長さがコンパクトで、かつ重量バランスが良い携帯用加工機を提供すること。
【解決手段】携帯用加工機1は、前後方向に延在するハンドル3を有する。ハンドル3の左右いずれか一方に、刃具4が並んで設けられる。ハンドル3の後部3bの下面に設けられたバッテリ装着部3eに、バッテリパック8が装着される。バッテリパック8は、最長辺が左右方向に配向され、最長辺の左右中心がハンドル3の左右中心よりも刃具4側に位置する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯用加工機であって、
前後方向に延在するハンドルと、
前記ハンドルの左右いずれか一方に並設される刃具と、
前記ハンドルの後部下面に位置し、最長辺が左右方向に配向され、前記最長辺の左右中心が前記ハンドルの左右中心よりも前記刃具側に位置するバッテリを有する携帯用加工機。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯用加工機であって、
前記バッテリの前記最長辺が、前記刃具が延在する仮想平面を横切る携帯用加工機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の携帯用加工機であって、
前記ハンドルの前記後部下面には、前記バッテリが左右方向にスライド可能に装着されるバッテリ装着部が設けられる携帯用加工機。
【請求項4】
請求項3に記載の携帯用加工機であって、
前記バッテリは、前記バッテリ装着部に係止するフックと、前記フックを前記バッテリ装着部から係止解除する際に操作する操作部を有し、
前記操作部は、前記ハンドルの前記後部下面から前記刃具側に突出するバッテリ端部に位置する携帯用加工機。
【請求項5】
請求項4に記載の携帯用加工機であって、
前記操作部は、前記刃具が延在する仮想平面と交差するように位置する携帯用加工機。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の携帯用加工機であって、
被加工材に載置されかつ加工機本体が上下に揺動可能に装着されるベースを有し、
前記バッテリは、前記加工機本体が下死点に位置する際に、前記ベースに対して20~50度の角度で上後に傾斜する携帯用加工機。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載の携帯用加工機であって、
前記ハンドルは、後上方に延在する前部と、前記前部の後端から後下方に延在する後部を有し、前記バッテリは、前記ハンドルの前記後部に対して120度±20度の角度で後方に突出する携帯用加工機。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つに記載の携帯用加工機であって、
前記バッテリの前記最長辺の延長方向における中心は、前記刃具と前記ハンドルとの間に位置する携帯用加工機。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1つに記載の携帯用加工機であって、
前記バッテリを含む前記携帯用加工機の重心は、前記刃具と前記ハンドルとの間に位置する携帯用加工機。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1つに記載の携帯用加工機であって、
前記刃具を回転させるモータを有し、
前記モータのステータの左右方向の最外端と前記ハンドルの距離は、前記刃具と前記ハンドルの距離よりも短くなるように前記ハンドルが配置される携帯用加工機。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つに記載の携帯用加工機であって、
前記ハンドルは、前記刃具の右側に位置する携帯用加工機。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1つに記載の携帯用加工機であって、
被加工材に載置されかつ加工機本体が左右に傾動可能に装着されるベースと、
前記ベースに対して前記加工機本体の左右方向の傾きを固定する後側の傾動固定操作部を有し、
前記バッテリは、後上方に傾斜し、かつ前記傾動固定操作部の上方にオーバーラップする携帯用加工機。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1つに記載の携帯用加工機であって、
前記バッテリは、前記ハンドルの前記後部下面から左右方向に突出し、かつ左右方向に突出する距離が反刃具側よりも前記刃具側の方が長くなるように設定される携帯用加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用加工機に関し、例えば携帯用マルノコ、カッタ、溝切カッタなどに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の携帯用マルノコは、前後方向に延在するハンドルを有する。ハンドルの後面にバッテリが上方からスライドして装着される。しかしバッテリは、電源容量に応じて大型化する場合がある。この場合、バッテリを含むマルノコ全体は、前後長さが大きくなってしまう。
【0003】
特許文献2の携帯用マルノコも、前後方向に延在するハンドルを有する。ハンドルの右側に円盤状刃具が装着される。ハンドルの後部下面にバッテリが左側からスライドして装着される。そしてバッテリがハンドルの後部から左側に突出し、バッテリの重さによってマルノコ全体の重心が刃具から遠くなる。そのため刃具によって被加工材を加工することについて改善の余地がある。この構造を左勝手として利用する場合も想定できる。この場合、ハンドルの左側に刃具が位置し、バッテリがハンドルの後部に右側から装着される。しかしこの場合、使用者は、一般に右手でハンドルを把持する。そのためバッテリの着脱をする左手とハンドルを把持する右手が交差してしまう。そのためバッテリの着脱について改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-293672号公報
【特許文献2】特開2014-79812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って前後長さがコンパクトでかつ重量バランスが良い携帯用加工機が従来、必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの局面によると、携帯用加工機は、前後方向に延在するハンドルを有する。ハンドルの左右いずれか一方に刃具が並設される。ハンドルの後部下面にバッテリが位置する。バッテリは、最長辺が左右方向に配向され、最長辺の左右中心がハンドルの左右中心よりも刃具側に位置する。
【0007】
従ってバッテリは、ハンドル後部下側において最長辺が左右方向に延在する。そのためバッテリを装着した状態の加工機全体の前後長さを短くすることができる。さらにバッテリは、バッテリ後部から刃具側へ延在している。そのためバッテリの重さが刃具側に位置し、刃具によって被加工材を加工しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る携帯用加工機を左斜め後方から見た斜視図である。
図2】携帯用加工機の上面図である。
図3】携帯用加工機の右側面図である。
図4】携帯用加工機の後面図である。
図5】携帯用加工機の下面図である。
図6図3におけるVI-VI線断面図である。
図7】バッテリパックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の他の局面によるとバッテリの最長辺が、刃具が延在する仮想平面を横切る。そのためバッテリの重心が刃具に近づき、刃具によって被加工材を加工しやすい。
【0010】
本開示の他の局面によると、ハンドルの後部下面には、バッテリが左右方向にスライド可能に装着されるバッテリ装着部が設けられる。そのためハンドルを把持しない方の手でバッテリを容易に着脱できる。
【0011】
本開示の他の局面によると、バッテリはバッテリ装着部に係止するフックと、フックをバッテリ装着部から係止解除する際に操作する操作部を有する。操作部は、ハンドルの後部下面から刃具側に突出するバッテリ端部に位置する。従って操作部を加工機全体の重心に近い位置に設けられる。そのためバッテリの着脱性を高められる。
【0012】
本開示の他の局面によると、操作部は、刃具が延在する仮想平面と交差するように位置する。従って操作部が刃具の後方にあるデッドスペースに設けられる。そのため加工機全体の左右長さを短くすることができる。
【0013】
本開示の他の局面によると、携帯用加工機は、被加工材に載置されかつ加工機本体が上下に揺動可能に装着されるベースを有する。バッテリは、加工機本体が下死点に位置する際に、ベースに対して20~50度の角度で上後に傾斜する。従ってバッテリが大型化してもバッテリがベースに対して干渉しにくい。
【0014】
本開示の他の局面によると、ハンドルは後上方に延在する前部と、前部の後端から後下方に延在する後部を有する。バッテリは、ハンドルの後部に対して120度±20度の角度で後方に突出する。従ってハンドルを把持する手に干渉しにくい角度でバッテリを配置できる。
【0015】
本開示の他の局面によると、バッテリの最長辺の延長方向における中心は、刃具とハンドルとの間に位置する。従ってバッテリの重心が加工機全体の中心に近くなる。これにより加工機の操作性が向上する。
【0016】
本開示の他の局面によると、バッテリを含む携帯用加工機の重心は、刃具とハンドルとの間に位置する。従って加工機全体の安定性を高められる。そのため刃具によって被加工材を加工しやすい。
【0017】
本開示の他の局面によると、携帯用加工機は、刃具を回転させるモータを有する。モータのステータの左右方向の最外端とハンドルの距離は、刃具とハンドルの距離よりも短くなるようにハンドルが配置される。従って、加工機全体の左右方向のバランスが良くなる。そのため刃具によって被加工材を加工しやすい。
【0018】
本開示の他の局面によると、ハンドルは刃具の右側に位置する。従ってハンドルを右手で把持する場合、墨線が使用者の体中心に近くなるため墨線が見やすくなる。そしてハンドルを把持する右手に交差させることなく、左手でバッテリを着脱できる。左利きの使用者が左手でハンドルを把持する場合もある。この場合は、刃具が使用者の体中心より遠くなり、加工機の一般的な使用状態になる。
【0019】
本開示の他の局面によると、携帯用加工機は、被加工材に載置されかつ加工機本体が左右に傾動可能に装着されるベースを有する。後側の傾動固定操作部がベースに対して加工機本体の左右方向の傾きを固定する。バッテリは、後上方に傾斜し、かつ傾動固定操作部に上方にオーバーラップする。従って加工機全体の前後長さを短くしつつ、バッテリが後側の傾動固定操作部に干渉しにくい。
【0020】
本開示の他の局面によると、バッテリは、ハンドルの後部下面から左右方向に突出する。バッテリの左右方向に突出する距離は反刃具側よりも刃具側の方が長くなるように設定される。従ってバッテリの重心が刃具側に位置し、刃具によって被加工材を加工しやすい。
【0021】
次に、本開示の実施例の1つを図1~7に基づいて説明する。図1に示すように携帯用加工機1は、携帯用切断機の1つであって、携帯用左勝手マルノコと称される。携帯用加工機1は、被加工材の上面に当接させる矩形平板形のベース5と、ベース5の上面側に支持された加工機本体2を有する。以下の説明では、携帯用加工機1において切断進行方向を前側と定義する。そして使用者は、携帯用加工機1の後側に位置し、使用者を基準に左右方向を定義する。
【0022】
図2、3に示すように加工機本体2は、前後中央の下領域にモータハウジング2aを有する。モータハウジング2aには、図6に示すように駆動源としての電動モータ10が収容される。モータハウジング2aの左端部に円筒形のギアハウジング2cが接続される。ギアハウジング2cの左側に円板形の刃具4が取外し可能に装着される。刃具4はチップソー(Tipped saw blade)と称される丸鋸刃である。モータハウジング2aとギアハウジング2cの結合部の上方にループ形のハンドル3が設けられる。ハンドル3の内周側にスイッチレバー3cが設けられる。ハンドル3を把持した手の指先でスイッチレバー3cをオン操作することで電動モータ10が起動する。これにより刃具4が回転する。
【0023】
図1に示すようにハンドル3の後部3bの下面にバッテリ装着部3eが設けられる。バッテリ装着部3eにバッテリパック(バッテリ)8が取り付けられる。バッテリパック8は、例えばリチウムイオンバッテリであって、バッテリ装着部3eにスライドして着脱される。バッテリパック8は、バッテリ装着部3eから取り外して別途用意した充電器により充電することで繰り返し使用できる。
【0024】
図1、3に示すように加工機本体2は、前支持部6と後支持部7を介してベース5の上面に支持される。前支持部6と後支持部7は、前後方向に軸を向ける左右傾動支軸6a、7aをそれぞれ有する。加工機本体2は、前後の左右傾動支軸6a、7aによって左右に傾動可能に支持される。図3、4に示すように前支持部6と後支持部7は、ベース5の前後部上面に起立するアンギュラープレート6b、7bを有する。アンギュラープレート6b、7bは、前面視あるいは後面視において円弧状の支持溝6f、7hをそれぞれ有する。支持溝6f、7hに加工機本体2の前後部に設けられた支持軸6g、7iが挿通される。支持軸6g、7iによってアンギュラープレート6b、7bに傾動ブラケット6c、7cが組付けられる。支持軸6g、7iの先端に摘みねじ6d、7dが取り付けられる。
【0025】
図4に示すように摘みねじ6d、7dを緩めることで、支持軸6g、7iが支持溝6f、7hに沿って移動される。これにより傾動ブラケット6c、7cがアンギュラープレート6b、7bに対して左右に傾動する。それにより加工機本体2が左右傾動支軸6a、7aを中心に左右に傾動する。摘みねじ6d、7dを締めることで、傾動ブラケット6c、7cがアンギュラープレート6b、7bに対して固定される。これにより加工機本体2の左右傾動位置が固定される。摘みねじ6d、7dが傾動固定操作部に相当する。
【0026】
図1、3に示すように前側の傾動ブラケット6cに、左右方向に長い上下揺動支軸6eが設けられる。上下揺動支軸6eに加工機本体2の前部が回転可能に連結される。図2に示すように後側の傾動ブラケット7cに前後方向に延在する円弧形のデプスガイド7eが結合される。デプスガイド7eは側面視において円弧状のガイド溝を有する。そのガイド溝に加工機本体2と結合された固定ねじ7gが挿通される。加工機本体2は、デプスガイド7eのガイド溝に沿って上下に揺動する。これにより刃具4のベース5の下面側への突き出し量が変化する。図3の実線は、加工機本体2をベース5に対して下死点に位置させて切り込み深さを最大に設定した状態を示す。図3の仮想線は、加工機本体2をベース5に対して上死点に位置させた状態を示す。
【0027】
図2に示すように固定ねじ7gの先端に固定レバー7fが取り付けられる。固定レバー7fを下方に傾動操作すると固定ねじ7gが締め込まれる。これによりデプスガイド7eが固定ねじ7gに挟み込まれる。このため加工機本体2のベース5に対する上下揺動位置が固定される。固定レバー7fを上方に傾動操作すると固定ねじ7gが緩められる。これにより加工機本体2の上下揺動位置が変更される。このため刃具4の切り込み深さを調整することができる。
【0028】
図6に示すように電動モータ10は、左右方向に長いモータ軸11を有する。電動モータ10は、ブラシレスモータであってステータ13とロータ12を備える。ステータ13は、バッテリパック8から供給された電力により磁束を発生する。ロータ12は永久磁石であってモータ軸11に設けられる。モータ軸11には、冷却ファン15とピニオンギア14が取り付けられる。冷却ファン15が回転すると、モータハウジング2aの右側面に形成された吸気口2bからモータハウジング2a内に外気が導入される。導入された外気が電動モータ10を冷却する。ピニオンギア14は、出力部20の出力ギア21に螺合される。出力ギア21がスピンドル22に圧入される。ピニオンギア14と出力ギア21とスピンドル22がギアハウジング2cに収容される。
【0029】
図1、6に示すようにスピンドル22の先端は、ギアハウジング2cから左方に突出する。スピンドル22の先端に固定ねじで刃具4が装着される。刃具4の上部側は固定カバー4aと防塵カバー4bに覆われる。固定カバー4aと防塵カバー4bは、ギアハウジング2cの左端面に結合される。防塵カバー4bは、左右の分割体によって構成される。防塵カバー4bは刃具4の周囲に沿った半円形のカバー部4cを有する。カバー部4cの前部に排出口4dが形成される。排出口4dは上方へ延びる略円筒形状を有する。排出口4dに集塵ダクト4eが接続される。集塵ダクト4eに集塵袋(図示省略)が装着される。
【0030】
図1、5に示すように刃具4の下部側はベース5の窓部5aを経て下面側に突き出される。刃具4の下面側の周縁部は可動カバー4fで覆われる。可動カバー4fは、固定カバー4aに対して刃具4の回転中心(スピンドル22)付近を中心として回動可能に支持される。図5に示すように可動カバー4fは、ギアハウジング2cとの間に設けられた引張ばね4gによって閉じる方向に付勢される。可動カバー4fは、引張ばね4gに抗して図3における時計回りに回動される。これにより刃具4の周縁を露出する。
【0031】
図3に示すようにモータハウジング2aの後方にはコントローラ収容部2dが設けられる。コントローラ収容部2dに矩形平板形のコントローラ2eが収容される。電動モータ10は、ロータ12の位置を検出するセンサ基板を有する。センサ基板がコントローラ2eの制御基板に信号を発信する。制御基板には、電動モータ10の電流をスイッチングする駆動回路が搭載される。したがって制御基板が受信信号に基づいて電動モータ10を制御する。制御基板には、バッテリの状態の検出結果に応じて過放電又は過電流状態とならないように電動モータ10への電力供給を遮断するオートストップ回路も搭載される。
【0032】
図1、3に示すようにハンドル3は、前部3aと後部3bを有する。前部3aは、モータハウジング2aとギアハウジング2cの結合部付近から後上方に延びる。後部3bは、前部3aの後端から後下方に延びる。後部3bの後端はバッテリ装着部3eの前部上面に結合される。バッテリ装着部3eは概ね平板形を成す。スイッチレバー3cの上方には、ロックオフボタン3dが設けられる。ロックオフボタン3dは、後部3bの左右両側面に配置される。ロックオフボタン3dを押し込み操作しない状態ではスイッチレバー3cの引き操作が禁止されたロックオフ状態となる。ロックオフボタン3dの何れか一方側を押し込み操作すると、ロックオフ状態が解除される。これによりスイッチレバー3cを引き操作可能となる。スイッチレバー3cの引き操作を解除すると、ロックオフボタン3dの押し込み操作が解除されて、ロックオフ状態に自動復帰する。ロックオフ状態により使用者の意図しない不用意な起動が防止される。
【0033】
図3に示すようにハンドル3の前部3aの右側部には、アダプタ収容部3fが設けられる。アダプタ収容部3fには、近距離無線通信用の通信アダプタ3gが取外し可能に収容される。通信アダプタ3gにより携帯用加工機1と他の無線機器との間で近距離無線通信がなされる。近距離無線通信により、携帯用加工機1の起動停止操作に連動して、例えば付近に設置した集塵機の起動停止がなされる。
【0034】
図7には、取り外したバッテリパック8を示す。バッテリパック8は左右方向の長さ寸法がL、前後方向の幅寸法がD、上下方向の高さ寸法がHを有する概ね直方体形を有する。各方向の寸法は、通常この種のバッテリパックと同様、長さ寸法L>幅寸法D>高さ寸法Hの大小関係となっている。すなわち、長さ寸法Lは、しっかりした取付状態を維持するためにレール部を長くしており、その都合上、1番長い寸法となっている。幅寸法D は、端子とレール部を並べて配置する都合上、2番目に長い寸法になっている。相対的に自由度がある長さは高さ寸法Hであるが、本実施形態では1番短くした。
【0035】
図7に示すようにバッテリパック8は、スライドタイプのバッテリパックであり、上面にあるレールとバッテリ装着部3eにある係合部をレールに平行に動かして係合させることで取付けられる。バッテリパック8の上面に4つの端子8aが設けられる。各端子8aは2つの電力端子8dと、2つの通信端子8eを有する。各電力端子8dは、各端子8aの並び方向(前後方向)の両外側に位置する。各通信端子8eは、各端子8aの並び方向(前後方向)の内側に位置する。各端子8aは、バッテリパック8の最長辺に沿って延びる。各端子8aは互いに平行に並ぶように設けられる。バッテリパック8は各端子8aに沿ってバッテリ装着部3eにスライドされる。これによりバッテリパック8はバッテリ装着部3eに装着される。バッテリパック8の長手方向がバッテリ装着部3eに対する着脱方向(スライド方向)となる。図2に示すように着脱方向は左右方向となる。バッテリパック8は、バッテリ装着部3eに対して右方(取り付け方向)へスライドされてバッテリ装着部3eに装着される。バッテリパック8は、バッテリ装着部3eに対して左方(取り外し方向)にスライドされて取り外される。バッテリパック8の最長辺が左右方向に延在することで、加工機本体2の前後長さを短くできる。
【0036】
図7に示すようにバッテリパック8の左部上面にU字状のフック8bが設けられる。フック8bは、バッテリパック8が装着位置までスライドされるとバッテリ装着部3eに対して係止される。これによりバッテリパック8はバッテリ装着部3eに装着された状態に保持される。バッテリパック8の左側部に、フック8bの係止状態を解除する操作部8cが設けられる。操作部8cを下方に押し込むことで、フック8bが下方に移動される。これによりフック8bのバッテリ装着部3eに対する係止状態が解除される。
【0037】
図2、4に示すようにバッテリパック8はバッテリ装着部3eの下面に沿って装着される。装着されたバッテリパック8は、その左右端部がバッテリ装着部3eから左右に向かって突出する。左側の突出部の突出長さは、右側の突出部の突出長さよりも大きい。左側の突出部は刃具4の後方において刃具4が延在する仮想平面上を横切る。バッテリパック8の操作部8cは左側の延出部に位置する。操作部8cは刃具4が延在する仮想平面と交差するように設けられる。バッテリパック8の左右方向の中心位置は、刃具4とハンドル3の間に位置する。
【0038】
図3に示すようにバッテリ装着部3eに装着されたバッテリパック8は、ベース5に対して35度の角度で上後に傾斜する。これによりバッテリパック8が大型化してもベース5に対して干渉しにくくできる。バッテリパック8は、後側の摘みねじ7dに対して上方にオーバーラップする。これにより加工機本体2の前後長さを短くできる。さらにバッテリパック8が摘みねじ7dに干渉しにくくできる。バッテリパック8はハンドル3の後部3bに対して120度の角度で後方に突出する。これにより、バッテリパック8をハンドル3を把持する手に干渉しにくい角度で配置できる。
【0039】
図6に示すようにハンドル3からステータ13の最右端までの左右方向の距離Mは、ハンドル3から刃具4までの左右方向の距離Nより短い。ここでステータ13の最右端はラミネーション13a(永久磁石部)の端部とし、ラミネーション13aの端部に当接して設けられているセンサ基板は含まない。刃具4の位置は刃具4の厚み方向の中心とする。このため、例えばハンドル3の位置が不動の前提では、携帯用加工機1の重心Gを刃具4に近づけることができる。携帯用加工機1の重心Gはハンドル3と刃具4との間に位置するように設定される。このため、携帯用加工機1の左右のバランスを取りやすい。これにより携帯用加工機1の安定性を高めることができる。
【0040】
以上のように図2に示すように携帯用加工機1は、前後方向に延在するハンドル3を有する。ハンドル3の左側に刃具4が並設される。ハンドル3の後部3bの下面にバッテリパック8が位置する。バッテリパック8は、最長辺(長さ寸法L)が左右方向に配向され、最長辺の左右中心がハンドル3の左右中心よりも刃具4側に位置する。従ってバッテリパック8は、ハンドル3の後部3bの下側において最長辺が左右方向に延在する。そのためバッテリパック8を装着した状態の携帯用加工機1全体の前後長さを短くすることができる。さらにバッテリパック8は、バッテリパック8の後部から刃具側へ延在している。そのためバッテリパック8の重さが刃具4側に位置し、刃具4によって被加工材を加工しやすい。
【0041】
図2に示すようにバッテリパック8の最長辺が、刃具4が延在する仮想平面を横切る。そのためバッテリパック8の重心が刃具4に近づき、刃具4によって被加工材を加工しやすい。
【0042】
図1に示すようにハンドル3の後部3bの下面には、バッテリパック8が左右方向にスライド可能に装着されるバッテリ装着部3eが設けられる。そのためハンドル3を把持しない方の手でバッテリパック8を容易に着脱できる。
【0043】
図7に示すようにバッテリパック8は、バッテリ装着部3eに係止するフック8bと、フック8bをバッテリ装着部3eから係止解除する際に操作する操作部8cを有する。操作部8cは、ハンドル3の後部3bの下面から刃具4側に突出するバッテリ端部に位置する。そのためバッテリパック8の着脱性を高められる。
【0044】
図2に示すように操作部8cは、刃具4が延在する仮想平面と交差するように位置する。従って操作部8cが刃具4の後方にあるデッドスペースに設けられる。そのため加工機本体2の左右長さを短くすることができる。
【0045】
図3に示すように携帯用加工機1は、被加工材に載置されかつ加工機本体2が上下に揺動可能に装着されるベース5を有する。バッテリパック8は、加工機本体2が下死点に位置する際に、ベース5に対して35度の角度で上後に傾斜する。従ってバッテリパック8が大型化してもバッテリパック8がベース5に対して干渉しにくい。
【0046】
図3に示すようにハンドル3は後上方に延在する前部3aと、前部3aの後端から後下方に延在する後部3bを有する。バッテリパック8は、ハンドル3の後部3bに対して120度の角度で後方に突出する。従ってハンドル3を把持する手に干渉しにくい角度でバッテリパック8を配置できる。
【0047】
図2に示すようにバッテリパック8の最長辺の延長方向における中心は、刃具4とハンドル3との間に位置する。従ってバッテリパック8の重心が携帯用加工機1の中心に近くなる。これにより携帯用加工機1の操作性が向上する。
【0048】
図2に示すようにバッテリパック8を含む携帯用加工機1の重心Gは、刃具4とハンドル3との間に位置する。従って携帯用加工機1の安定性を高められる。そのため刃具4によって被加工材を加工しやすい。
【0049】
図6に示すように携帯用加工機1は、刃具4を回転させる電動モータ10を有する。電動モータ10のステータ13の左右方向の最外端とハンドル3の距離Mは、刃具4とハンドル3の距離Nよりも短くなるようにハンドル3が配置される。従って携帯用加工機1の重心Gが刃具4に近づく。そのため刃具4によって被加工材を加工しやすい。
【0050】
図2に示すようにハンドル3は刃具4の右側に位置する。従ってハンドル3を右手で把持する場合、墨線が使用者の体中心に近くなるため墨線が見やすくなる。そしてハンドル3を把持する右手に交差させることなく、左手でバッテリパック8を着脱できる。左利きの使用者が左手でハンドル3を把持する場合もある。この場合は、刃具4が使用者の体中心より遠くなり、加工機の一般的な使用状態になる。
【0051】
図3に示すように携帯用加工機1は、被加工材に載置されかつ加工機本体2が左右に傾動可能に装着されるベース5を有する。後側の摘みねじ7dがベース5に対して加工機本体2の左右方向の傾きを固定する。バッテリパック8は後上方に傾斜し、かつ摘みねじ7dに上方にオーバーラップする。従って携帯用加工機1全体の前後長さを短くしつつ、バッテリパック8が後側の摘みねじ7dに干渉しにくい。
【0052】
図2に示すようにバッテリパック8は、ハンドル3の後部3bの下面から左右方向に突出する。バッテリパック8の左右方向に突出する距離は反刃具4側よりも刃具4側の方が長くなるように設定される。従ってバッテリパック8の重心が刃具4側に位置し、刃具4によって被加工材を加工しやすい。
【0053】
以上説明した実施例には種々変更を加えることができる。例えば携帯用加工機1は携帯用切断機の一種である携帯用マルノコを例示した。これに代えて丸鋸刃の替わりにダイアモンドホイールを用いるカッタについても同様に適用することができる。これに代えて溝加工用の溝切カッタについても同様に適用することができる。携帯用加工機1は左勝手マルノコを例示した。これに代えて右勝手マルノコについても同様に適用することができる。すなわちハンドル3の右側に刃具が並設されても良い。
【0054】
バッテリパック8はバッテリ装着部3eにスライド可能に着脱される構成を例示した。これに代えてスライドせず例えばバッテリ装着部3eに押し付けて装着する構成としても良い。バッテリパック8は左右方向にスライドされる構成を例示した。これに代えて前後方向や上下方向にスライドされる構成としても良い。バッテリパック8はベース5に対して傾斜しない構成としても良い。バッテリパック8はハンドル3に対して任意の角度で設けられる構成で良い。バッテリパック8は厚さや前後左右の長さが異なる構成でも良い。バッテリパック8は刃具4の延在する仮想平面を左右方向に横切る構成を例示した。これに代えてバッテリパック8は仮想平面と交差しない構成であっても良い。バッテリパック8の左右中心はハンドル3と刃具4の間に位置する構成を例示した。これに代えてバッテリパックの左右中心はハンドル3側から刃具4を超えて位置する構成でも良い。
【0055】
操作部8cは下方に押し込むボタンとしての構成を例示した。これに代えて上方、左右、又は前後に押し込む構成としても良い。操作部8cはボタンではなく例えばレバーを引っ張って係止解除する構成でも良い。操作部8cはバッテリパック8の下面、左右面、又は前後面に設ける構成でも良い。
【0056】
電動モータ10はブラシレスモータを例示した。これに代えてブラシ付きDCモータとしても良い。出力部20は減速ギア部を介して電動モータ10の回転出力を伝達される構成でも良い。
【0057】
ベース5は矩形平板形の部材を例示した。しかし被加工材に合わせて任意の形状で構成しても良い。
【0058】
実施例の携帯用加工機1が本開示の1つの局面における携帯用加工機の一例である。実施例のハンドル3が本開示の1つの局面におけるハンドルの一例である。実施例の刃具4が本開示の1つの局面における刃具の一例である。実施例のバッテリパック8が本開示の1つの局面におけるバッテリの一例である。
【0059】
実施例のバッテリ装着部3eが本開示の1つの局面におけるバッテリ装着部の一例である。実施例のフック8bが本開示の1つの局面におけるフックの一例である。実施例の操作部8cが本開示の1つの局面における操作部の一例である。
【0060】
実施例のベース5が本開示の1つの局面におけるベースの一例である。実施例の電動モータ10が本開示の1つの局面におけるモータの一例である。実施例の摘みねじ6d、7dが本開示の1つの局面における傾動固定操作部の一例である。
【符号の説明】
【0061】
1 携帯用加工機
2 加工機本体
2a モータハウジング
2b 吸気口
2c ギアハウジング
2d コントローラ収容部
2e コントローラ
10 電動モータ
11 モータ軸
12 ロータ
13 ステータ
13a ラミネーション
14 ピニオンギア
15 冷却ファン
20 出力部
21 出力ギア
22 スピンドル
3 ハンドル
3a 前部
3b 後部
3c スイッチレバー
3d ロックオフボタン
3e バッテリ装着部
3f アダプタ収容部
3g 通信アダプタ
4 刃具
4a 固定カバー
4b 防塵カバー
4c カバー部
4d 排出口
4e 集塵ダクト
4f 可動カバー
4g 引張ばね
5 ベース
5a 窓部
6 前支持部
6a 左右傾動支軸
6b アンギュラープレート
6c 傾動ブラケット
6d 摘みねじ(傾動固定操作部)
6e 上下揺動支軸
6f 支持溝
6g 支持軸
7 後支持部
7a 左右傾動支軸
7b アンギュラープレート
7c 傾動ブラケット
7d 摘みねじ(傾動固定操作部)
7e デプスガイド
7f 固定レバー
7g 固定ねじ
7h 支持溝
7i 支持軸
8 バッテリパック
8a 端子
8b フック
8c 操作部
8d 電力端子
8e 通信端子
G 重心
L 長さ寸法
D 幅寸法
H 高さ寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7