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特開2024-119213情報提供装置、情報提供方法及び情報提供プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119213
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供方法及び情報提供プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20240827BHJP
   A61D 1/02 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G06Q50/02
A61D1/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025956
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】阪本 浩和
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC01
5L050CC01
(57)【要約】
【課題】防疫効果を高めるための情報を提供する。
【解決手段】情報提供装置は、産業動物から取得された原料血液の管理情報と、前記原料血液に基づく血液製剤の製造過程における検査により得られた検査情報とを取得し、前記検査情報に含まれる産業動物の感染症に関わるデータを、前記管理情報に基づいて、集計範囲ごと及び集計期間ごとに集計する分析部と、各集計範囲について、x番目の集計期間までの集計結果を用いて、x+1番目以降の集計期間における集計結果を予測する予測部と、前記産業動物の感染症に関わるデータに影響を与える因子を示す影響情報を取得し、前記予測されたx+1番目以降の集計期間における各集計範囲のうち、補正対象となる集計範囲での集計結果を補正する補正部と、補正された集計結果を含む、前記予測されたx+1番目以降の集計期間における各集計範囲での集計結果を提供する提供部とを有する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業動物から取得された原料血液の管理情報と、前記原料血液に基づく血液製剤の製造過程における検査により得られた検査情報とを取得し、前記検査情報に含まれる産業動物の感染症に関わるデータを、前記管理情報に基づいて、集計範囲ごと及び集計期間ごとに集計する分析部と、
各集計範囲について、x番目の集計期間までの集計結果を用いて、x+1番目以降の集計期間における集計結果を予測する予測部と、
前記産業動物の感染症に関わるデータに影響を与える因子を示す影響情報を取得し、前記予測されたx+1番目以降の集計期間における各集計範囲のうち、補正対象となる集計範囲での集計結果を補正する補正部と、
補正された集計結果を含む、前記予測されたx+1番目以降の集計期間における各集計範囲での集計結果を提供する提供部と
を有する情報提供装置。
【請求項2】
前記管理情報には、前記原料血液が取得された場所及び日付に関する情報が含まれる、請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記原料血液が取得された場所は、前記産業動物が食肉処理される食肉処理場の位置であり、前記原料血液が取得された日付は、前記産業動物が食肉処理された日付である、請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記補正部は、
前記産業動物の感染症に関わるデータに影響を与える影響元となる集計範囲を特定する第1の特定部と、
取得した影響情報に基づいて、影響を受ける集計範囲を特定する第2の特定部と、
前記影響元となる集計範囲と、前記影響を受ける集計範囲とに基づいて、前記補正対象の集計範囲を特定する第3の特定部と
を有する請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記影響情報には、媒介手段に関する情報、気象に関する情報、飼養管理状態に関する情報、廃棄物処理方法に関する情報、人の感染症情報、の少なくともいずれかが含まれる、請求項4に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記補正部は、
前記補正対象の集計範囲での集計結果に係数をかけ合わせることで補正する、請求項5に記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記補正部は、
前記補正対象の集計範囲での集計結果が増加方向の影響を受ける場合、1.0以上の係数をかけ合わせることで補正し、
前記補正対象の集計範囲での集計結果が減少方向の影響を受ける場合、1.0未満の係数をかけ合わせることで補正する、請求項6に記載の情報提供装置。
【請求項8】
前記補正部は、
前記補正対象の集計範囲での集計結果が、複数の影響情報の影響を受ける場合、複数の影響情報それぞれに対応する係数に基づいて導出される1つの係数をかけ合わせることで、前記補正対象の集計範囲での集計結果を補正する、請求項7に記載の情報提供装置。
【請求項9】
前記検査情報には、微生物またはウイルスの種類及び量が含まれる、請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項10】
産業動物から取得された原料血液の管理情報と、前記原料血液に基づく血液製剤の製造過程における検査により得られた検査情報とを取得し、前記検査情報に含まれる産業動物の感染症に関わるデータを、前記管理情報に基づいて、集計範囲ごと及び集計期間ごとに集計する工程と、
各集計範囲について、x番目の集計期間までの集計結果を用いて、x+1番目以降の集計期間における集計結果を予測する工程と、
前記産業動物の感染症に関わるデータに影響を与える因子を示す影響情報を取得し、前記予測されたx+1番目以降の集計期間における各集計範囲のうち、補正対象となる集計範囲での集計結果を補正する工程と、
補正された集計結果を含む、前記予測されたx+1番目以降の集計期間における各集計範囲での集計結果を提供する工程と
をコンピュータが実行する情報提供方法。
【請求項11】
産業動物から取得された原料血液の管理情報と、前記原料血液に基づく血液製剤の製造過程における検査により得られた検査情報とを取得し、前記検査情報に含まれる産業動物の感染症に関わるデータを、前記管理情報に基づいて、集計範囲ごと及び集計期間ごとに集計する工程と、
各集計範囲について、x番目の集計期間までの集計結果を用いて、x+1番目以降の集計期間における集計結果を予測する工程と、
前記産業動物の感染症に関わるデータに影響を与える因子を示す影響情報を取得し、前記予測されたx+1番目以降の集計期間における各集計範囲のうち、補正対象となる集計範囲での集計結果を補正する工程と、
補正された集計結果を含む、前記予測されたx+1番目以降の集計期間における各集計範囲での集計結果を提供する工程と
をコンピュータに実行させるための情報提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報提供装置、情報提供方法及び情報提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
家畜の感染症対策として、畜産農家、食肉処理場、製剤製造企業、動物用医薬品製造販売企業、獣医療機関等が連携し、相互に情報を共有する情報共有システムの開発が進められている。
【0003】
当該システムによれば、例えば、血液製剤の原料となる血液とともに、当該血液を提供した動物の各種個体情報を動物用医薬品製造販売企業に提供することで、動物用医薬品製造販売企業は治療対象動物に対して、治療効果の高い血液製剤を選別し、提供することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2022/137711号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、感染症対策においては、治療効果だけでなく防疫効果の観点からも情報を共有することが重要である。防疫効果を高めるための情報を提供することができれば、感染拡大を未然に防ぐことが可能になるとともに、人獣共通感染症のヒトへの感染拡大、さらにはパンデミックをも未然に防ぐことが可能となり、感染症対策として有益だからである。
【0006】
本開示は、防疫効果を高めるための情報を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様によれば、情報提供装置は、
産業動物から取得された原料血液の管理情報と、前記原料血液に基づく血液製剤の製造過程における検査により得られた検査情報とを取得し、前記検査情報に含まれる産業動物の感染症に関わるデータを、前記管理情報に基づいて、集計範囲ごと及び集計期間ごとに集計する分析部と、
各集計範囲について、x番目の集計期間までの集計結果を用いて、x+1番目以降の集計期間における集計結果を予測する予測部と、
前記産業動物の感染症に関わるデータに影響を与える因子を示す影響情報を取得し、前記予測されたx+1番目以降の集計期間における各集計範囲のうち、補正対象となる集計範囲での集計結果を補正する補正部と、
補正された集計結果を含む、前記予測されたx+1番目以降の集計期間における各集計範囲での集計結果を提供する提供部とを有する。
【0008】
また、他の一態様によれば、情報提供方法は、
産業動物から取得された原料血液の管理情報と、前記原料血液に基づく血液製剤の製造過程における検査により得られた検査情報とを取得し、前記検査情報に含まれる産業動物の感染症に関わるデータを、前記管理情報に基づいて、集計範囲ごと及び集計期間ごとに集計する工程と、
各集計範囲について、x番目の集計期間までの集計結果を用いて、x+1番目以降の集計期間における集計結果を予測する工程と、
前記産業動物の感染症に関わるデータに影響を与える因子を示す影響情報を取得し、前記予測されたx+1番目以降の集計期間における各集計範囲のうち、補正対象となる集計範囲での集計結果を補正する工程と、
補正された集計結果を含む、前記予測されたx+1番目以降の集計期間における各集計範囲での集計結果を提供する工程とをコンピュータが実行する。
【0009】
また、他の一態様によれば、情報提供プログラムは、
産業動物から取得された原料血液の管理情報と、前記原料血液に基づく血液製剤の製造過程における検査により得られた検査情報とを取得し、前記検査情報に含まれる産業動物の感染症に関わるデータを、前記管理情報に基づいて、集計範囲ごと及び集計期間ごとに集計する工程と、
各集計範囲について、x番目の集計期間までの集計結果を用いて、x+1番目以降の集計期間における集計結果を予測する工程と、
前記産業動物の感染症に関わるデータに影響を与える因子を示す影響情報を取得し、前記予測されたx+1番目以降の集計期間における各集計範囲のうち、補正対象となる集計範囲での集計結果を補正する工程と、
補正された集計結果を含む、前記予測されたx+1番目以降の集計期間における各集計範囲での集計結果を提供する工程とをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、防疫効果を高めるための情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】情報提供装置の適用例を示す図である。
図2】製剤製造企業における、血液製剤製造プロセスの概要及び情報提供装置の機能構成の概要を示す図である。
図3】製剤製造企業が取得可能な管理情報の一例を示す図である。
図4】製剤製造企業により生成される収集情報の一例を示す図である。
図5】情報提供装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図6】情報提供装置の分析部の詳細を示す図である。
図7】分析部により分析された分析結果の一例を示す図である。
図8】情報提供装置の学習部及び予測部の機能構成の詳細を示す図である。
図9】情報提供装置の補正部の機能構成の詳細を示す図である。
図10】補正部により生成される予測集計結果の分布例を示す図である。
図11】補正部により特定される影響元となる地域の特定例を示す図である。
図12】補正部が有する影響範囲判定部、補正対象地域特定部及び予測集計結果補正部の処理の具体例を示す第1の図である。
図13】補正部が有する影響範囲判定部、補正対象地域特定部及び予測集計結果補正部の処理の具体例を示す第2の図である。
図14】補正部が有する影響範囲判定部、補正対象地域特定部及び予測集計結果補正部の処理の具体例を示す第3の図である。
図15】補正部が有する影響範囲判定部、補正対象地域特定部及び予測集計結果補正部の処理の具体例を示す第4の図である。
図16】予測部により予測された予測集計結果及び補正部により補正された補正後の予測集計結果の一例を示す図である。
図17】情報提供装置の提供部の機能構成の詳細を示す図である。
図18】情報提供装置による情報提供処理の流れを示すフローチャートである。
図19】情報提供装置により提供される情報の利用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0013】
[第1の実施形態]
はじめに、第1の実施形態に係る情報提供装置を製剤製造企業に適用した場合の適用例について説明する。図1は、情報提供装置の適用例を示す図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る情報提供装置150は、
・製剤製造企業130の血液製剤製造プロセス140による血液製剤の製造過程で収集された情報を取得し、
・微生物の量またはウイルスの量(詳細は後述)についての予測集計結果を算出し、
・算出した予測集計結果を影響情報に基づき補正し、補正後の予測集計結果を出力する。
【0014】
血液製剤製造プロセス140は、符号120に示す食肉処理場群(図1の例では、食肉処理場1~食肉処理場MまでのM個の食肉処理場)から、血液製剤を製造する際の原料となる原料血液を、ロット単位で取得する。なお、各食肉処理場がロット単位で提供する原料血液は、各食肉処理場と提携する、符号110に示す畜産農家群(図1の例では、畜産農家1~畜産農家NまでのN個の畜産農家)から運び込まれる産業動物に対して、食肉処理を行うことで取得される。
【0015】
図1の例は、食肉処理場1と提携する畜産農家には、畜産農家1、畜産農家2が含まれることを示している。また、図1の例は、食肉処理場2と提携する畜産農家には、畜産農家n、畜産農家n+1が含まれことを示している。更に、図1の例は、食肉処理場Mと提携する畜産農家には、畜産農家N-1、畜産農家Nが含まれることを示している。
【0016】
また、図1に示すように、符号120に示す食肉処理場群からは、ロット単位の原料血液のほか、ロット単位の管理情報が製剤製造企業130に提供される。管理情報には、原料血液に関する情報のほか、当該原料血液が取得された産業動物の個体情報や飼養情報等が含まれる(詳細は後述)。
【0017】
なお、符号120に示す食肉処理場群からロット単位で提供される原料血液には、それぞれの食肉処理場に運び込まれた複数の産業動物に対して食肉処理が行われた際に、複数の産業動物それぞれから取得された血液が混在しているものとする。
【0018】
血液製剤製造プロセス140は、ロット単位で提供された原料血液を処理することで、血漿製剤、IgG製剤(Ig:Immunoglobulin(免疫グロブリン))、Alb製剤(Alb:Albumin(アルブミン))を製造する。
【0019】
また、血液製剤製造プロセス140では、血漿製剤、IgG製剤(免疫グロブリン製剤)、Alb製剤(アルブミン製剤)が製造される過程で各種検査が行われ、産業動物の感染症に関わるデータが取得される。なお、産業動物の感染症に関わるデータとは、例えば、各種検査が行われることで測定された、原料血液中の微生物の量(単位量あたりの個数)またはウイルスの量(単位量あたりの個数)を指す。取得された産業動物の感染症に関わるデータを含む検査情報は、管理情報とともに、情報提供装置150に通知される。なお、原料血液中の微生物の量またはウイルスの量として、単位量あたりの個数以外の量が測定されてもよい。具体的には、単位量あたりの個数以外の量として、例えば、力価、活性等のように、微生物またはウイルスの存在が間接的に測定されてもよい。
【0020】
情報提供装置150では、検査情報に含まれる、産業動物の感染症に関わるデータを、管理情報に基づいて分析し、所定の集計範囲ごと、所定の集計期間ごとに集計する。なお、所定の集計範囲とは、血液製剤製造プロセス140で用いた原料血液の取得元の地域(本実施形態では、食肉処理場)を指す。更に、所定の集計期間とは、微生物の量またはウイルスの量を集計する期間を指す。例えば、血液製剤製造プロセス140が、1つの食肉処理場から提供される原料血液を、1日あたり、10ロット分ずつ処理する場合であって、所定の集計期間が1日であったとする。この場合、情報提供装置150では、血液製剤製造プロセス140にて、当該10ロット分の原料血液が処理された際に測定された微生物の量またはウイルスの量を、所定期間に集計された微生物の量またはウイルスの量として取り扱う。なお、情報提供装置150による集計方法は任意であり、本実施形態では、一例として平均値を用いる。
【0021】
また、情報提供装置150では、それぞれの集計範囲(本実施形態では、食肉処理場)ごとに、過去から現在までの所定の集計期間ごとの集計結果の推移から、将来の集計結果(予測集計結果)を算出する。
【0022】
更に、情報提供装置150では、産業動物の感染症に関わるデータに影響を与える因子を示す影響情報を取得し、算出した予測集計結果のうち、補正対象の集計範囲(影響を受ける集計範囲)での予測集計結果を補正し、補正後の予測集計結果を出力する。
【0023】
このように、第1の実施形態に係る情報提供装置150では、血液製剤製造プロセス140による血液製剤の製造過程で測定される微生物の量またはウイルスの量を、
・所定の集計範囲(食肉処理場)ごと、及び、
・所定の集計期間(1日)ごと、
に集計し、予測集計結果を算出したうえで、影響情報に基づき補正する。これにより、第1の実施形態に係る情報提供装置150では、防疫効果を高めるための情報として、「補正後の予測集計結果」を提供することが可能になる。
【0024】
<血液製剤製造プロセスの概要及び情報提供装置の機能構成の概要>
次に、製剤製造企業130における、血液製剤製造プロセス140の概要及び情報提供装置150の機能構成の概要について説明する。図2は、製剤製造企業における、血液製剤製造プロセスの概要及び情報提供装置の機能構成の概要を示す図である。
【0025】
図2に示すように、血液製剤製造プロセス140は、血漿分離工程141、血漿製剤製造工程142、IgG製剤製造工程143、Alb製剤製造工程144、微生物/ウイルス検査工程145_1~145_5、情報収集部146を含む。
【0026】
このうち、血漿分離工程141は、取得したロット単位の原料血液を、血漿と血球とに分離する。
【0027】
また、血液製剤製造プロセス140は、例えば、血漿分離工程141において分離した血漿に対して、遠心分離処理、エタノール処理、沈殿物採取処理を繰り返すことで、
・血漿製剤製造工程142、
・IgG製剤製造工程143、
・Alb製剤製造工程144、
を実行し、血漿製剤、IgG製剤、Alb製剤を製造する。ただし、血液製剤製造プロセス140による血漿製剤、IgG製剤、Alb製剤の製造処方はこれに限定されず、他の任意の製造処方が用いられてもよい。
【0028】
このとき、血液製剤製造プロセス140が取得したロット単位の原料血液の一部は、微生物/ウイルス検査工程145_1に分配される。これにより、微生物/ウイルス検査工程145_1では、産業動物の感染症に関わるデータとして、原料血液に含まれる微生物の種類、各種類の微生物の量、原料血液に含まれるウイルスの種類、各種類のウイルスの量を測定する。
【0029】
また、血漿分離工程141において分離された血漿に対して、遠心分離処理、エタノール処理、沈殿物採取処理が繰り返される過程で中間生成物が取得される。そして、取得された中間生成物の一部は、微生物/ウイルス検査工程145_2に分配される。これにより、微生物/ウイルス検査工程145_2では、産業動物の感染症に関わるデータとして、中間生成物に含まれる微生物の種類、各種類の微生物の量、原料血液に含まれるウイルスの種類、各種類のウイルスの量を測定する。
【0030】
また、血漿製剤製造工程142により製造された血漿製剤の一部は、微生物/ウイルス検査工程145_3に分配される。IgG製剤製造工程143により製造されたIgG製剤の一部は、微生物/ウイルス検査工程145_4に分配される。Alb製剤製造工程144により製造されたAlb製剤の一部は、微生物/ウイルス検査工程145_5に分配される。これにより、微生物/ウイルス検査工程145_3~145_5では、産業動物の感染症に関わるデータとして、
・血漿製剤、IgG製剤、Alb製剤それぞれに含まれる微生物の種類、各種類の微生物の量、
・血漿製剤、IgG製剤、Alb製剤それぞれに含まれるウイルスの種類、各種類のウイルスの量、
を測定する。
【0031】
このように、微生物/ウイルス検査工程145_1~145_5における検査には、
・血漿製剤、IgG製剤、Alb製剤の製造前に行われる、原料血液に対する検査、
・血漿製剤、IgG製剤、Alb製剤の製造時の中間工程において行われる中間生成物に対する検査、
・血漿製剤、IgG製剤、Alb製剤の製造後に行われる、血漿製剤、IgG製剤、Alb製剤に対する検査、
が含まれ、これらの検査により得られた検査情報は、情報収集部146により収集される。なお、図2に示す血液製剤製造プロセス140において、微生物/ウイルス検査工程145_1~145_5における検査は、必ずしも、全て実行される必要はなく、一部の微生物/ウイルス検査工程のみが実行されてもよい。また、微生物/ウイルス検査工程145_1~145_5における検査には、上記検査項目以外の検査項目が含まれていてもよい(つまり、検査情報には、産業動物の感染症に関わるデータ以外のデータが含まれていてもよい)。
【0032】
情報収集部146は、微生物/ウイルス検査工程145_1~145_5における検査により得られた検査情報を収集する。
【0033】
また、情報収集部146は、収集した検査情報を、取得した管理情報と対応付けて、収集情報として情報提供装置150に通知する。
【0034】
情報提供装置150には、情報提供プログラムがインストールされており、当該プログラムが実行されることで、情報提供装置150は、分析部151、学習部152、予測部153、補正部154、提供部155として機能する。
【0035】
分析部151は、情報収集部146より通知された収集情報のうち、検査情報に含まれる産業動物の感染症に関わるデータ(微生物の種類、各種類の微生物の量、ウイルスの種類、各種類のウイルスの量)を、管理情報に基づいて分析する。
【0036】
具体的には、分析部151は、産業動物の感染症に関わるデータに対応する、原料血液が取得された食肉処理場を、管理情報に基づき特定することで、産業動物の感染症に関わるデータを、特定した食肉処理場ごとに分類する。また、分析部151は、産業動物の感染症に関わるデータに対応する、原料血液が食肉処理場で取得された日付を、管理情報に基づき特定することで、食肉処理場ごとに分類された産業動物の感染症に関わるデータを、更に、日付ごとに分類する。
【0037】
更に、分析部151は、食肉処理場ごと、日付ごとに分類した産業動物の感染症に関わるデータを集計し、食肉処理場ごと、日付ごとの集計結果を、分析結果として、分析結果格納部156に格納する。
【0038】
学習部152は、分析結果格納部156に格納された分析結果を読み出し、食肉処理場ごとに、学習用データを生成する。なお、学習部152では、例えば、
・1日目の集計結果から、5日目の集計結果までを入力データ、6日目の集計結果を正解データ、
・2日目の集計結果から、6日目の集計結果までを入力データ、7日目の集計結果を正解データ、
・3日目の集計結果から、7日目の集計結果までを入力データ、8日目の集計結果を正解データ、
・・・
とする学習用データを生成する。
【0039】
また、学習部152は、生成した学習用データを用いて、予測モデルに対して学習処理を行い、学習済み予測モデルを生成する。なお、学習部152が学習処理を行う予測モデルには、任意の機械学習モデルが適用可能であり、例えば、Transformerが適用されてもよい。
【0040】
予測部153は、学習部152により生成された学習済み予測モデルを有する。予測部153は、分析結果格納部156に格納された分析結果を読み出し、食肉処理場ごとに、現在日からみて過去の所定日数分の集計結果を、学習済み予測モデルに入力することで、現在日以降の所定日数分の予測集計結果を予測する。
【0041】
また、予測部153は、食肉処理場ごとに予測した予測集計結果を、補正部154に通知する。
【0042】
補正部154は、産業動物の感染症に関わるデータに影響を与える因子を示す影響情報を取得し、“影響を受ける範囲”を判定する。例えば、影響情報として、感染症の媒介手段に関する情報を取得した場合、補正部154は、媒介手段の移動範囲を、影響を受ける範囲と判定する。また、例えば、影響情報として、気象に関する情報を取得した場合、補正部154は、気象に基づく微生物、ウイルスの拡散範囲を、“影響を受ける範囲”と判定する。
【0043】
また、補正部154は、産業動物の感染症に関わるデータに影響を与える影響元となる地域(本実施形態では、周辺と比較して、集計結果が多い(または少ない)食肉処理場)を特定する。また、補正部154は、特定した影響元となる食肉処理場に対して、“影響を受ける範囲”に含まれる食肉処理場についての予測集計結果を補正する。
【0044】
なお、補正部154は、“影響を受ける範囲”に含まれる食肉処理場についての予測集計結果に、所定の係数をかけ合わせることで、当該予測集計結果を補正する。補正部154は、影響元となる食肉処理場からみて、“影響を受ける範囲”に含まれる食肉処理場が、増加方向の影響を受ける場合には、予測集計結果に1.0以上の係数をかけ合わせることで、当該予測集計結果を補正する。一方、補正部154は、影響元となる食肉処理場からみて、“影響を受ける範囲”に含まれる食肉処理場が、減少方向の影響を受ける場合には、予測集計結果に1.0未満の係数をかけ合わせることで、当該予測集計結果を補正する。
【0045】
また、補正部154は、“影響を受ける範囲”に含まれる食肉処理場について補正された予測集計結果を含む、補正後の予測集計結果を、提供部155に通知する。
【0046】
提供部155は、補正部154より通知された、食肉処理場ごとに予測した補正後の予測集計結果を、所定の表示態様で可視化する。また、提供部155は、可視化した補正後の予測集計結果を、予め定められた送信先に送信する。
【0047】
<管理情報の具体例>
次に、製剤製造企業130が各食肉処理場から取得する管理情報の具体例について説明する。図3は、製剤製造企業が取得可能な管理情報の一例を示す図である。図3に示すように、管理情報には、原料血液情報310と、個体情報320と、飼養情報330とが含まれる。
【0048】
原料血液情報310には、各食肉処理場から製剤製造企業130に提供される原料血液に関する情報が含まれる。具体的には、原料血液情報310には、情報の項目として、“ロット番号”、“個体識別番号”、“回収日付情報”、“ロット血液量情報”、“回収場所情報”等が含まれる。
【0049】
“ロット番号”には、ロット単位で提供される原料血液の各ロットを識別する番号が格納される。“個体識別番号”には、対応するロットの原料血液に、複数の産業動物から取得された血液が混在する場合において、当該複数の産業動物それぞれを識別するための番号が格納される。“回収日付情報”には、対応するロットの原料血液が取得された日付が格納される。“ロット血液量情報”には、対応するロットに含まれる原料血液の量が格納される。“回収場所情報”には、対応するロットに含まれる原料血液が取得された食肉処理場を識別するための情報が格納される。
【0050】
個体情報320には、原料血液情報310の“個体識別情報”に格納された番号により識別される各産業動物の個体に関する情報が含まれる。具体的には、個体情報320には、情報の項目として、“個体識別情報”、“種類情報”、“品種情報”、“雌雄情報”、“生年月日情報”等が含まれる。
【0051】
“個体識別情報”には、原料血液情報310の“個体識別情報”に格納された複数の産業動物それぞれを識別するための番号が格納される。“種類情報”には、対応する個体識別情報により識別される産業動物の種類を示す情報が格納される。“品種情報”には、対応する産業動物の対応する種類における品種を示す情報が格納される。“雌雄情報”には、対応する産業動物の雌雄を示す情報が格納される。“生年月日情報”には、対応する産業動物の生年月日を示す情報が格納される。
【0052】
飼養情報330には、原料血液情報310の“個体識別情報”に格納された番号により識別される各産業動物の飼養状況に関する情報が含まれる。具体的には、飼養情報330には、情報の項目として、“個体識別情報”、“既往歴情報”、“飼料情報”等が含まれる。
【0053】
“個体識別情報”には、原料血液情報310の“個体識別情報”に格納された複数の産業動物それぞれを識別するための番号が格納される。“既往歴情報”には、更に、情報の項目として、“畜産農家”と“食肉処理場”とが含まれる。
【0054】
“既往歴情報”の“畜産農家”には、対応する個体識別情報により識別される産業動物の既往歴を示す情報のうち、畜産農家にて飼養している間に発症した疾患に関する情報が格納される。一方、“既往歴情報”の“食肉処理場”には、対応する個体識別情報により識別される産業動物の既往歴を示す情報のうち、食肉処理場での検査により発見された疾患に関する情報が格納される。“飼料情報”には、対応する個体識別情報により識別される産業動物が飼養される際に用いられた飼料の種類に関する情報が格納される。
【0055】
<収集情報の具体例>
次に、情報収集部146により収集され、情報提供装置150が取得する収集情報の具体例について説明する。図4は、製剤製造企業により生成される収集情報の一例を示す図である。
【0056】
図4に示すように、収集情報400には、情報の項目として、“ロット番号”、“個体識別情報”、“回収日付情報”、“ロット血液量情報”、“回収場所情報”、“微生物”、“ウイルス”が含まれる。
【0057】
このうち、“ロット番号”、“個体識別情報”、“回収日付情報”、“ロット血液量情報”、“回収場所情報”は、図3に示した管理情報に含まれる、原料血液情報310の情報の項目と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0058】
一方、“微生物”、“ウイルス”には、血液製剤製造プロセス140による血液製剤の製造過程で、微生物/ウイルス検査工程145_1~145_5による検査により得られた検査情報に含まれる、産業動物の感染症に関わるデータが格納される。
【0059】
図3に示すように、“微生物”には、更に、情報の項目として、“種類”、“量”が含まれる。“微生物”の“種類”には、微生物/ウイルス検査工程145_1~145_5により検査が行われることで検出された微生物の種類が格納される。また、“微生物”の“量”には、微生物/ウイルス検査工程145_1~145_5により検査が行われることで測定された、それぞれの種類の微生物の量が格納される。
【0060】
同様に、“ウイルス”の“種類”には、微生物/ウイルス検査工程145_1~145_5により検査が行われることで検出されたウイルスの種類が格納される。また、“ウイルス”の“量”には、微生物/ウイルス検査工程145_1~145_5により検査が行われることで測定された、それぞれの種類のウイルスの量が格納される。
【0061】
<情報提供装置のハードウェア構成>
次に、情報提供装置150のハードウェア構成について説明する。図5は、情報提供装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0062】
図5に示すように、情報提供装置150は、プロセッサ501、メモリ502、補助記憶装置503、I/F(Interface)装置504、通信装置505、ドライブ装置506を有する。なお、情報提供装置150に含まれる各ハードウェアは、バス507を介して相互に接続されている。
【0063】
プロセッサ501は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の各種演算デバイスを有する。プロセッサ501は、各種プログラム(例えば、情報提供プログラム等)をメモリ502上に読み出して実行する。
【0064】
メモリ502は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の主記憶デバイスを有する。プロセッサ501とメモリ502とは、いわゆるコンピュータを形成し、プロセッサ501が、メモリ502上に読み出した各種プログラムを実行することで、当該コンピュータは上記各種機能部を実現する。
【0065】
補助記憶装置503は、各種プログラムや、各種プログラムがプロセッサ501によって実行される際に用いられる各種情報を格納する。例えば、分析結果格納部156は、補助記憶装置503により実現される。
【0066】
I/F装置504は、操作装置510、表示装置520等と接続する接続デバイスである。I/F装置504は、情報提供装置150の管理者(不図示)による操作を、操作装置510を介して受け付ける。また、I/F装置504は、処理の結果を出力し、表示装置520を介して情報提供装置150の管理者に表示する。
【0067】
通信装置505は、ネットワーク550を介して外部装置540(提供部155により可視化された補正後の予測集計結果が送信される送信先の装置等)と通信するための通信デバイスである。
【0068】
ドライブ装置506は記録媒体530をセットするためのデバイスである。ここでいう記録媒体530には、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記録媒体530には、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。
【0069】
なお、補助記憶装置503にインストールされる各種プログラムは、例えば、配布された記録媒体530がドライブ装置506にセットされ、該記録媒体530に記録された各種プログラムがドライブ装置506により読み出されることでインストールされる。あるいは、補助記憶装置503にインストールされる各種プログラムは、通信装置505を介してネットワーク550よりダウンロードされることで、インストールされてもよい。
【0070】
<情報提供装置の分析部の詳細>
次に、情報提供装置150の分析部151の詳細について説明する。図6は、情報提供装置の分析部の詳細を示す図である。図6に示すように、分析部151は、更に、地域分類部601、期間分類部602、集計部603を有する。
【0071】
地域分類部601は、情報収集部146より収集情報400を取得する。また、地域分類部601は、収集情報400のうち、検査情報に含まれる産業動物の感染症に関わるデータ(微生物の種類、各種類の微生物の量、ウイルスの種類、各種類のウイルスの量)それぞれについて、対応する“回収場所情報”を参照する。これにより、地域分類部601は、産業動物の感染症に関わるデータに対応する、原料血液が取得された食肉処理場(食肉処理場1、2、・・・等)を特定する。
【0072】
また、地域分類部601は、収集情報400の産業動物の感染症に関わるデータを、特定した食肉処理場ごとに分類する。
【0073】
期間分類部602は、特定した食肉処理場ごとに分類された、産業動物の感染症に関わるデータについて、対応する“回収日付情報”を参照する。これにより、期間分類部602は、食肉処理場ごとに分類された産業動物の感染症に関わるデータを、更に、日付ごとに分類する。
【0074】
集計部603は、期間分類部602より、食肉処理場ごと、日付ごとに分類された産業動物の感染症に関わるデータを取得する。また、集計部603は、食肉処理場ごと、日付ごとに分類された産業動物の感染症に関わるデータを、微生物の種類ごと、ウイルスの種類ごとに、それぞれの量を集計し、集計結果を得る。
【0075】
また、集計部603は、食肉処理場ごと、日付ごと、微生物の種類ごとに集計した集計結果(微生物の量)と、食肉処理場ごと、日付ごと、ウイルスの種類ごとに集計した集計結果(ウイルスの量)とを、分析結果として、分析結果格納部156に格納する。
【0076】
図7は、分析部により分析された分析結果の一例を示す図である。図7に示すように、分析結果700は、食肉処理場の数(M)に応じた数の分析結果700_1~700_Mを含む。
【0077】
また、分析結果700_1~700_Mには、それぞれ、日付ごと、微生物の種類ごとに集計した集計結果(微生物の量)と、日付ごと、ウイルスの種類ごとに集計した集計結果(ウイルスの量)とが含まれる。
【0078】
具体的には、微生物の量の集計結果は、“微生物1”から“微生物i”までのi種類の微生物に分類して集計される(分析結果700_1の符号720_1参照)。更に、微生物の量の集計結果は、“期間T”、“期間T”、“期間T”、・・・等(分析結果700_1の符号710_1参照)、日付ごとに分類して集計される。
【0079】
なお、本実施形態において、“期間T”、“期間T”、“期間T”、・・・には、日付(MM月DD日)、または、所定の起算日からの日数(第D日目)が格納される。ただし、“期間T”、“期間T”、“期間T”、・・・に格納される情報(集計期間)は、日付ごとの情報に限定されず、所定日数を含む期間の情報であってもよい。具体的には、“期間T”、“期間T”、“期間T”、・・・には、例えば、MM月DD日~MM月DD日、または、所定の起算日から数えて第D日目~第D日目といった情報が格納されてもよい。
【0080】
同様に、ウイルスの量の集計結果は、“ウイルス1”から“ウイルスj”までのj種類のウイルスに分類して集計される(分析結果700_1の符号720_2参照)。更に、ウイルスの量の集計結果は、“期間T”、“期間T”、“期間T”、・・・等(分析結果700_1の符号710_2参照)、日付ごとに分類して集計される。
【0081】
<情報提供装置の学習部及び予測部の詳細>
次に、情報提供装置150の学習部152及び予測部153の処理の詳細について説明する。図8は、情報提供装置の学習部及び予測部の詳細を示す図である。図8に示すように、学習部152は、更に、学習用入力データ取得部801、予測モデル802、比較/変更部803、学習用正解データ取得部804を有する。
【0082】
学習用入力データ取得部801は、分析結果格納部156に格納された分析結果700から、学習用データ(入力データ)を読み出し、予測モデル802に入力する。具体的には、学習用入力データ取得部801は、例えば、分析結果700_1のうち、所定の起算日から所定日数分の各種類の微生物の量の集計結果を読み出し、予測モデル802に入力する。続いて、学習用入力データ取得部801は、起算日を変更し(例えば、起算日を1日後ろにずらし)、変更後の起算日から所定日数分の各種類の微生物の量の集計結果を読み出し、予測モデル802に入力する。学習用入力データ取得部801では、これらの処理を、変更後の起算日から数えて所定日数の終わりが、現在日の前日となるまで繰り返す。
【0083】
また、学習用入力データ取得部801では、各種類の微生物の量の集計結果について、上記処理を実行した後は、各種類のウイルスの量の集計結果についても、同様の処理を実行する。
【0084】
図8の例は、学習用入力データ取得部801が、“期間T”から“期間T”までの“微生物1”のそれぞれの集計結果(A_T、A_T、A_T)を、学習用データ(入力データ)として読み出した様子を示している。
【0085】
学習用正解データ取得部804は、分析結果格納部156に格納された分析結果700から、学習用データ(正解データ)を読み出し、比較/変更部803に入力する。具体的には、学習用正解データ取得部804は、例えば、分析結果700_1のうち、所定の起算日から所定日数経過した日の次の日の各種類の微生物の量の集計結果を読み出し、比較/変更部803に入力する。続いて、学習用正解データ取得部804は、起算日を変更し(例えば、起算日を1日後ろにずらし)、変更後の起算日から所定日数経過した日の次の日の各種類の微生物の量の集計結果を読み出し、比較/変更部803に入力する。学習用正解データ取得部804では、これらの処理を、変更後の起算日から数えて所定日数経過した日の次の日が、現在日となるまで繰り返す。
【0086】
また、学習用正解データ取得部804では、各種類の微生物の量の集計結果について、上記処理を実行した後は、各種類のウイルスの量の集計結果についても、同様の処理を実行する。
【0087】
図8の例は、学習用正解データ取得部804が、“期間T”の“微生物1”の集計結果(A_T)を、学習用データ(正解データ)として読み出した様子を示している。
【0088】
予測モデル802は、学習用正解データ取得部804から所定日数分の各種類の微生物の量の集計結果が入力されるごとに、所定日数が経過した日の次の日の各種類の微生物の量の集計結果を出力データとして出力する。
【0089】
比較/変更部803は、予測モデル802から出力された出力データと、学習用正解データ取得部804により入力された、対応する正解データとを比較し、誤差に応じて、予測モデル802のモデルパラメータを更新する。これにより、各種類の微生物の量について、学習済み予測モデルが生成される。学習部152により生成された、各種類の微生物の量についての学習済み予測モデルは、学習済み予測モデル812_1として、予測部153に適用される。
【0090】
なお、各種類の微生物の量についての学習済み予測モデルが、学習済み予測モデル812として、予測部153に適用されると、続いて、予測モデル802及び比較/変更部803では、各種類のウイルスの量について、同様の処理を実行する。これにより、各種類のウイルスの量について、学習済み予測モデルが生成される。学習部152により生成された、各種類のウイルスの量についての学習済み予測モデルは、学習済み予測モデル812_2として、予測部153に適用される。
【0091】
図8に示すように、予測部153は、更に、予測用入力データ取得部811、学習済み予測モデル812_1、812_2を有する。
【0092】
予測用入力データ取得部811は、分析結果格納部156に格納された分析結果700から、予測用入力データを読み出し、学習済み予測モデル812_1または812_2に入力する。具体的には、予測用入力データ取得部811は、例えば、現在日からみて過去の所定日数分の各種類の微生物の量の集計結果を、分析結果700_1から読み出し、各種類の微生物の量についての学習済み予測モデル812_1に入力する。
【0093】
また、予測用入力データ取得部811は、各種類の微生物の量について、上記処理を実行した後は、例えば、現在日からみて過去の所定日数分の各種類のウイルスの量の集計結果を、分析結果700_1から読み出す。更に、予測用入力データ取得部811は、読み出した各種類のウイルスの量の集計結果を、各種類のウイルスの量についての学習済み予測モデル812_2に入力する。
【0094】
学習済み予測モデル812_1は、各種類の微生物の量についての学習済み予測モデルであり、現在日以降の各種類の微生物の量の予測集計結果(ここでは、現在日の次の日の各種類の微生物の量の予測集計結果)を予測する。また、学習済み予測モデル812_2は、各種類のウイルスの量についての学習済み予測モデルであり、現在日以降の各種類のウイルスの量の予測集計結果(ここでは、現在日の次の日の各種類のウイルスの量の予測集計結果)を予測する。
【0095】
具体的には、予測用入力データ取得部811より、現在日からみて過去の所定日数分の各種類の微生物の量の集計結果が学習済み予測モデル812_1に入力される。これにより、学習済み予測モデル812_1では、現在日以降の所定日数分(ここでは1日分)の各種類の微生物の量の予測集計結果を予測する。
【0096】
同様に、予測用入力データ取得部811より、現在日からみて過去の所定日数分の各種類のウイルスの量の集計結果が学習済み予測モデル812_2に入力される。これにより、学習済み予測モデル812_2では、現在日以降の所定日数分(ここでは1日分)の各種類のウイルスの量の予測集計結果を予測する。
【0097】
学習済み予測モデル812_1及び812_2は、各種類の微生物の量の予測集計結果及び各種類のウイルスの量の予測集計結果を出力する。
【0098】
図8の例は、“期間Tα”を現在日として、“期間Tα-2”から“期間Tα”までの“微生物1”の集計結果(A_Tα-2、A_Tα-1、A_Tα)が、学習済み予測モデル812_1に入力された様子を示している。これにより、図8の例では、学習済み予測モデル812_1により、“期間Tα+1”の“微生物1”の予測集計結果(A_Tα+1)が予測される。
【0099】
<情報提供装置の補正部の詳細>
次に、情報提供装置150の補正部154の処理の詳細について説明する。図9は、情報提供装置の補正部の詳細を示す図である。図9に示すように、補正部154は、更に、分布特定部901、影響元地域特定部902、影響範囲判定部903、補正対象地域特定部904、予測集計結果補正部905を有する。
【0100】
分布特定部901は、予測部153より、食肉処理場の数(M)に応じた数の予測集計結果を取得する。また、分布特定部901は、各食肉処理場を含む地図上の各食肉処理場の位置に、対応する予測集計結果(特定の1種類の微生物またはウイルスの量の予測集計結果)を割り当てることで、予測集計結果の分布を特定する。なお、分布特定部901は、かかる処理を全ての種類の微生物、ウイルスについて行い、それぞれ予測集計結果の分布を特定する。更に、分布特定部901は、特定した予測集計結果の分布を、影響元地域特定部902及び予測集計結果補正部905に通知する。
【0101】
影響元地域特定部902は第2の特定部の一例であり、分布特定部901より通知された予測集計結果の分布を参照することで、周辺の食肉処理場と比較して、予測集計結果が多い(または少ない)食肉処理場を特定する。影響元地域特定部902は、周辺の食肉処理場の予測集計結果との差分を算出し、算出した差分値が所定の閾値以上となる食肉処理場を、産業動物の感染症に関わるデータに影響を与える影響元となる食肉処理場として特定する。また、影響元地域特定部902は、特定した影響元となる食肉処理場を、補正対象地域特定部904に通知する。
【0102】
影響範囲判定部903は第1の特定部の一例であり、影響情報を取得する。本実施形態において、影響情報には、
・媒介手段に関する情報、
・気象に関する情報、
・飼養管理状態に関する情報、
・廃棄物処理方法に関する情報、
・人の感染症情報、
等が含まれる。
【0103】
媒介手段に関する情報とは、畜産農家の人、畜産農家に出入りする業者、畜産農家で取り扱われる物、畜産農家の人が所有する車、畜産農家に出入りする業者が所有する車等の、感染症の媒介手段についての移動(往来)範囲に関する情報を指す。また、媒介手段に関する情報には、畜産農家周辺の野生動物の移動(徘徊)範囲に関する情報が含まれていてもよい。
【0104】
気象に関する情報とは、温度、湿度、日照時間、風向、風量等の、微生物、ウイルスの拡散範囲に影響を与える情報を指す。
【0105】
飼養管理状態に関する情報とは、畜産農家の飼育施設の構造(換気、温度、湿度)、飼料の種類及び量(栄養状態)、予防対策の有無(ワクチン接種、消毒作業)等の、微生物の量、ウイルスの量の増減に影響を与える情報を指す。
【0106】
廃棄物処理方法に関する情報とは、畜産農家における産業動物の排泄物の処理方法等の、微生物、ウイルスの拡散範囲に影響を与える情報を指す。
【0107】
人の感染症情報とは、人獣共通の感染症の場合の人の感染症の状況を指し、人の感染症の方が先行している地域において、産業動物の微生物の量、ウイルスの量の増減に影響を与える情報を指す。
【0108】
影響範囲判定部903は、取得した影響情報に基づいて、“影響を受ける範囲”を判定する。具体的には、影響範囲判定部903は、影響情報が媒介手段に関する情報であった場合、感染症の媒介手段についての移動(往来、徘徊)範囲を、影響を受ける範囲と判定する。また、影響範囲判定部903は、影響情報が気象に関する情報であった場合、微生物、ウイルスの拡散範囲を、影響を受ける範囲と判定する。また、影響範囲判定部903は、影響情報が飼養管理状態に関する情報であった場合、微生物の量、ウイルスの量が増減する範囲を、影響を受ける範囲と判定する。また、影響範囲判定部903は、影響情報が廃棄物処理方法に関する情報であった場合、微生物、ウイルスの拡散範囲を、影響を受ける範囲と判定する。また、影響範囲判定部903は、影響情報が人の感染症情報であった場合、微生物の量、ウイルスの量が増減する範囲を、影響を受ける範囲と判定する。
【0109】
更に、影響範囲判定部903は、影響を受ける範囲を補正対象地域特定部904に通知する。
【0110】
補正対象地域特定部904は第3の特定部の一例であり、影響元地域特定部902より通知された影響元となる食肉処理場と、影響範囲判定部903より通知された影響を受ける範囲とに基づいて、補正対象となる地域(食肉処理場)を特定する。具体的には、補正対象地域特定部904は、影響元となる食肉処理場からみて、影響を受ける範囲に含まれる食肉処理場を、補正対象となる食肉処理場として特定する。
【0111】
また、補正対象地域特定部904は、補正対象となる食肉処理場を、予測集計結果補正部905に通知する。
【0112】
予測集計結果補正部905は、分布特定部901より、予測集計結果の分布を取得し、補正対象地域特定部904より、補正対象となる食肉処理場を取得する。また、予測集計結果補正部905は、予測集計結果の分布に含まれる各食肉処理場についての予測集計結果のうち、補正対象となる食肉処理場についての予測集計結果を補正する。
【0113】
上述したように、予測集計結果補正部905は、補正対象となる食肉処理場が、増加方向の影響を受ける食肉処理場であった場合には、予測集計結果に1.0以上の係数をかけ合わせることで、予測集計結果を補正する。また、予測集計結果補正部905は、補正対象となる食肉処理場が、減少方向の影響を受ける食肉処理場であった場合には、予測集計結果に1.0未満の係数をかけ合わせることで、予測集計結果を補正する。
【0114】
また、予測集計結果補正部905は、補正した予測集計結果を含む予測集計結果を、補正後の予測集計結果として、提供部155に通知する。
【0115】
<補正部の処理の具体例>
次に、補正部154による処理の具体例について説明する。なお、以下では、特定の1種類の微生物(“微生物1”)についての予測集計結果について説明する。
【0116】
(1)分布特定部による処理の具体例
はじめに、補正部154の分布特定部901により処理されることで生成される予測集計結果の分布例について説明する。図10は、補正部により生成される予測集計結果の分布例を示す図である。
【0117】
図10において、符号1010、符号1020は、所定のエリアの地図であり、地図内の破線は、自治体(都道府県または市町村)の境界を表している。また、符号1010、1020に示す地図において、円形のマークは、食肉処理場の位置を示しており、マーク内の色は、微生物1の量の集計結果(測定値)または予測集計結果(予測値)を表している。
【0118】
このうち、符号1020は、分布特定部901により処理されることで生成される予測集計結果の分布例を示している。一方、符号1010は、集計結果(測定値)の分布例を示している。分布特定部901では、例えば、符号1020を予測集計結果の分布として、影響元地域特定部902及び予測集計結果補正部905に通知する。
【0119】
(2)影響元地域特定部による処理の具体例
次に、補正部154の影響元地域特定部902により処理されることで特定される、影響元となる地域の特定例について説明する。図11は、補正部により特定される影響元となる地域の特定例を示す図である。図11において、符号1020は、図10に示した符号1020と同じであり、分布特定部901により処理されることで生成される予測集計結果の分布例を示している。一方、図11において、符号1100は影響元となる地域の特定例を示している。
【0120】
具体的には、符号1100に示す地図に含まれるマークのうち、円1101~円1104に囲まれたマークは、影響元となる地域(食肉処理場)を表している。図11の例では、4箇所の食肉処理場が、周辺の食肉処理場と比較して、予測集計結果が多いため、影響元となる地域(食肉処理場)として特定されたことを示している。
【0121】
(3)影響範囲判定部、補正対象地域特定部及び予測集計結果補正部による処理の具体例
次に、補正部154の影響範囲判定部903により特定される“影響を受ける範囲”の特定例、及び、補正部154の補正対象地域特定部904と予測集計結果補正部905とにより処理されることで得られる、補正後の予測集計結果の分布例について説明する。
【0122】
(3-1)具体例その1
図12は、補正部が有する影響範囲判定部、補正対象地域特定部及び予測集計結果補正部の処理の具体例を示す第1の図である。図12において、符号1100は、図11に示した符号1100と同じであり、影響元となる食肉処理場の特定例を示している。一方、図12において、符号1210は“影響を受ける範囲”の特定例を示している。具体的には、符号1210に示す地図において、自治体1211は、特定された“影響を受ける範囲”であり、
・影響元となる食肉処理場(円1101~円1104のいずれか)が含まれる範囲、かつ、
・影響情報が媒介手段に関する情報であった場合に、当該情報から導き出される、感染症の媒介手段の移動範囲(同じ自治体1211内で人、物が移動するケース)、
を示している。
【0123】
また、図12において、符号1220は補正後の予測集計結果の分布例を示している。具体的には、符号1220に示す地図において、符号1221~1226に示すマークは、
・影響を受ける範囲(自治体1211)に含まれる食肉処理場、かつ、影響元となる食肉処理場以外の食肉処理場である補正対象地域(補正対象の食肉処理場)を特定し、
・補正対象地域(補正対象の食肉処理場)の予測集計結果に、1.0以上の係数がかけ合わされることで補正された、補正後の予測集計結果に応じた配色が施された様子、
を示している。
【0124】
(3-2)具体例その2
図13は、補正部が有する影響範囲判定部、補正対象地域特定部及び予測集計結果補正部の処理の具体例を示す第2の図である。図13において、符号1100は、図11に示した符号1100と同じであり、影響元となる食肉処理場の特定例を示している。一方、図13において、符号1310は“影響を受ける範囲”の特定例を示している。具体的には、符号1310に示す地図において、範囲1311は、特定された“影響を受ける範囲”であり、
・影響元となる食肉処理場(円1101~円1104のいずれか)が含まれる範囲、かつ、
・影響情報が気象に関する情報(矢印1312に示す風量及び風向)であった場合に、当該情報から導き出される、微生物1の拡散範囲、
を示している。
【0125】
また、図13において、符号1320は補正後の予測集計結果の分布例を示している。具体的には、符号1320に示す地図において、符号1321~1327に示すマークは、
・影響を受ける範囲(範囲1311)に含まれる食肉処理場、かつ、影響元となる食肉処理場以外の食肉処理場である補正対象地域(補正対象の食肉処理場)を特定し、
・補正対象地域(補正対象の食肉処理場)の予測集計結果に、1.0以上の係数がかけ合わされることで補正された、補正後の予測集計結果に応じた配色が施された様子、
を示している。
【0126】
(3-3)具体例その3
図14は、補正部が有する影響範囲判定部、補正対象地域特定部及び予測集計結果補正部の処理の具体例を示す第3の図である。図14において、符号1100は、図11に示した符号1100と同じであり、影響元となる食肉処理場の特定例を示している。一方、図14において、符号1410は“影響を受ける範囲”の特定例を示している。具体的には、符号1410に示す地図において、範囲1411~1417は、“影響を受ける範囲”であり、
・影響情報が飼養管理状態に関する情報(予防対策(ワクチン、消毒))であった場合に、当該情報から導き出される、微生物1の量が減少する範囲、
を示している。
【0127】
また、図14において、符号1420は補正後の予測集計結果の分布例を示している。具体的には、符号1420に示す地図において、符号1421~1427に示すマークは、
・影響を受ける範囲(範囲1411~1417)に含まれる食肉処理場である補正対象地域(補正対象の食肉処理場)を特定し、
・補正対象地域(補正対象の食肉処理場)の予測集計結果に、1.0未満の係数がかけ合わされることで補正された、補正後の予測集計結果に応じた配色が施された様子、
を示している。
【0128】
(3-4)具体例その4
図15は、補正部が有する影響範囲判定部、補正対象地域特定部及び予測集計結果補正部の処理の具体例を示す第4の図である。図15において、符号1100は、図11に示した符号1100と同じであり、影響元となる食肉処理場の特定例を示している。一方、図14において、符号1410は“影響を受ける範囲”の特定例を示している。具体的には、符号1510に示す地図において、範囲1511は、“影響を受ける範囲”であり、
・影響元となる食肉処理場(円1101~円1104のいずれか)が含まれる範囲、かつ、
・影響情報が廃棄物処理方法に関する情報(排泄物の処理方法が共通の畜産農家)であった場合に、当該情報から導き出される微生物1の拡散範囲、
を示している。
【0129】
また、図15において、符号1520は補正後の予測集計結果の分布例を示している。具体的には、符号1520に示す地図において、符号1521~1522に示すマークは、
・影響を受ける範囲(範囲1511)に含まれる食肉処理場、かつ、影響元となる食肉処理場以外の食肉処理場である補正対象地域(補正対象の食肉処理場)を特定し、
・補正対象地域(補正対象の食肉処理場)の予測集計結果に、1.0以上の係数がかけ合わされることで補正された、補正後の予測集計結果に応じた配色が施された様子、
を示している。
【0130】
<補正後の予測集計結果の具体例>
次に、予測部153により予測された予測集計結果、及び、補正部154により補正された補正後の予測集計結果の具体例について説明する。図16は、予測部により予測された予測集計結果及び補正部により補正された補正後の予測集計結果の一例を示す図である。
【0131】
図16に示すように、予測部により予測された予測集計結果及び補正部により補正された補正後の予測集計結果1600は、食肉処理場の数(M)に応じた数の、予測集計結果及び補正後の予測集計結果1600_1~1600_Mを含む。
【0132】
また、予測集計結果及び補正後の予測集計結果1600_1~1600_Mには、それぞれ、
・各種類の微生物の量の予測集計結果及び補正後の予測集計結果(予測集計結果及び補正後の予測集計結果1600_1の場合には、予測集計結果及び補正後の予測集計結果1610_1)と、
・各種類のウイルスの量の予測集計結果及び補正後の予測集計結果(予測集計結果及び補正後の予測集計結果1600_1の場合には、予測集計結果及び補正後の予測集計結果1620_1)と、
が含まれる。
【0133】
図16に示すように、食肉処理場1の予測集計結果及び補正後の予測集計結果1610_1において、横軸は期間を、縦軸は各種類の微生物の量をそれぞれ表している。なお、図16の例では、食肉処理場1の予測集計結果及び補正後の予測集計結果1610_1として、現在日までの各種類の微生物の量の集計結果(測定値)もあわせて記載している。
【0134】
具体的には、食肉処理場1の予測集計結果及び補正後の予測集計結果1610_1において、現在日までの各実線は、現在日までの各種類(ここでは3種類)の微生物の量の集計結果(測定値)を表している。また、現在日以降の各点線は、現在日以降の所定日数分(ここでは、3日分)の各種類(ここでは3種類)の微生物の量の予測集計結果(予測値)を表している。更に、現在日以降の各破線は、現在日以降の所定日数分(ここでは、3日分)の各種類(ここでは3種類)の微生物の量の補正後の予測集計結果(予測値)を表している。
【0135】
同様に、食肉処理場1の予測集計結果及び補正後の予測集計結果1620_1において、横軸は期間を、縦軸はウイルスの量をそれぞれ表している。なお、図16の例では、食肉処理場1の予測集計結果及び補正後の予測集計結果1620_1として、現在日までの各種類のウイルスの量の集計結果(測定値)もあわせて記載している。
【0136】
具体的には、予測集計結果及び補正後の予測集計結果1620_1において、現在日までの各実線は、現在日までの各種類(ここでは3種類)のウイルスの量の集計結果(測定値)を表している。また、現在日以降の各点線は、現在日以降の所定日数分(ここでは、3日分)の各種類(ここでは3種類)のウイルスの量の予測集計結果(予測値)を表している。更に、現在日以降の各破線は、現在日以降の所定日数分(ここでは、3日分)の各種類(ここでは3種類)のウイルスの量の補正後の予測集計結果(予測値)を表している。
【0137】
<情報提供装置の提供部の詳細>
次に、情報提供装置150の提供部155の処理の詳細について説明する。図17は、情報提供装置の提供部の詳細を示す図である。図17に示すように、提供部155は、更に、抽出部1701、可視化部1702、送信部1703を有する。
【0138】
抽出部1701は、補正部154より補正後の予測集計結果を取得する。また、抽出部1701は、複数種類の微生物またはウイルスについての補正後の予測集計結果のうち、
・現在日以降の微生物またはウイルスの量の補正後の予測集計結果が、所定の閾値以上となるもの、あるいは、
・現在日以降の微生物またはウイルスの量の補正後の予測集計結果の増加率が、所定の閾値以上となるもの、
を抽出する。
【0139】
可視化部1702は、抽出部1701により抽出された補正後の予測集計結果を可視化する。なお、可視化部1702による可視化方法は任意である。本実施形態において、可視化部1702は、各食肉処理場を含む地図上に、各食肉処理場の位置を示すマークをプロットする。また、本実施形態において、可視化部1702は、それぞれのマークに対して、対応する補正後の予測集計結果(特定の1種類の微生物またはウイルスの量の補正後の予測集計結果)に応じた配色を施す(図12図15参照)。
【0140】
可視化部1702では、抽出部1701によって抽出された微生物またはウイルスの種類の数だけ、上記の地図を生成する。
【0141】
なお、可視化部1702は、補正後の予測集計結果に限らず、現在日の集計結果についても同様の手法で可視化し、補正後の予測集計結果と対比できるように配置してもよい。
【0142】
送信部1703は、可視化部1702において可視化された補正後の予測集計結果を、予め定められた送信先に送信する。本実施形態において送信部1703が送信する送信先には、例えば、動物用医薬品製造販売企業、獣医療機関、農業共済組合、官庁、畜産農家等が含まれる。
【0143】
<情報提供装置による情報提供処理の流れ>
次に、情報提供装置150による情報提供処理の流れについて説明する。図18は、情報提供装置による情報提供処理の流れを示すフローチャートである。
【0144】
ステップS1801において、情報提供装置150は、情報収集部146より、収集情報400を取得する。
【0145】
ステップS1802において、情報提供装置150は、取得した収集情報400を分析し、分析結果700を格納する。
【0146】
ステップS1803において、情報提供装置150は、取得した分析結果700を読み出し、学習用データ(入力データ)及び学習用データ(正解データ)を取得する。
【0147】
ステップS1804において、情報提供装置150は、取得した学習用データ(入力データ)及び学習用データ(正解データ)を用いて、予測モデルに対して学習処理を行うことで、学習済み予測モデルを生成する。
【0148】
ステップS1805において、情報提供装置150は、生成した学習済み予測モデルを予測部153に適用することで、実行可能な学習済み予測モデルを更新する。
【0149】
ステップS1806において、情報提供装置150は、読み出した分析結果700から、予測用入力データを取得する。
【0150】
ステップS1807において、情報提供装置150は、予測用入力データを、更新した学習済み予測モデルに入力することで予測処理を実行し、予測集計結果を取得する。
【0151】
ステップS1808において、情報提供装置150は、影響情報を取得する。
【0152】
ステップS1809において、情報提供装置150は、取得した影響情報に基づいて、取得した予測集計結果を補正し、補正後の予測集計結果を算出する。
【0153】
ステップS1810において、情報提供装置150は、補正後の予測集計結果を可視化し、所定の送信先に送信する。
【0154】
ステップS1811において、情報提供装置150は、情報提供処理を終了するか否かを判定する。ステップS1811において、情報提供処理を継続すると判定した場合には(ステップS1811においてNOの場合には)、ステップS1801に戻る。
【0155】
一方、ステップS1811において、情報提供処理を終了すると判定した場合には(ステップS1811においてYESの場合には)、情報提供処理を終了する。
【0156】
<情報提供装置により提供される情報の利用例>
次に、情報提供装置150により提供される情報(可視化された補正後の予測集計結果)の利用例について説明する。図19は、情報提供装置により提供される情報の利用例を示す図である。
【0157】
図19に示すように、情報提供装置150により可視化された補正後の予測集計結果は、例えば、動物用医薬品製造販売企業に送信され(矢印1901参照)、動物用医薬品の製造計画の作成に利用される。
【0158】
また、図19に示すように、情報提供装置150により可視化された補正後の予測集計結果は、例えば、農業共済組合に送信され(矢印1902参照)、畜産農家に対する防疫指導(矢印1911参照)に利用される。これにより、畜産農家では、補正後の予測集計結果に基づく防疫指導に従って、防疫処置を行うことができる。
【0159】
また、図19に示すように、情報提供装置150により可視化された補正後の予測集計結果は、例えば、獣医療機関に送信され(矢印1903参照)、畜産農家の産業動物に対する治療方法等に反映される(矢印1912参照)。
【0160】
また、図19に示すように、情報提供装置150により可視化された補正後の予測集計結果は、例えば、官庁に送信され(矢印1904参照)、防疫マニュアルの策定等に利用される。
【0161】
また、図19に示すように、情報提供装置150により可視化された補正後の予測集計結果は、例えば、食肉処理場に送信され、食肉処理する際に、食肉処理業者に注意喚起を促すことに利用される。
【0162】
なお、畜産農家による防疫処置の結果は、例えば、食肉処理場を介して、製剤製造企業130にフィードバックするように構成してもよい(矢印1931、1932参照)。
【0163】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第1の実施形態に係る情報提供装置150は、
・産業動物から取得された原料血液の管理情報と、原料血液に基づく血液製剤の製造過程における検査により得られた検査情報とを、収集情報として取得する。
・取得した収集情報のうち、検査情報に含まれる産業動物の感染症に関わるデータ(微生物の種類、各種類の微生物の量、ウイルスの種類、各種類のウイルスの量)を、管理情報に基づいて、食肉処理場ごと、及び、日付ごとに集計する。また、食肉処理場ごと、及び、日付ごとに集計した各種類の微生物の量の集計結果及び各種類のウイルスの量の集計結果を、分析結果として格納する。
・食肉処理場ごとに、現在日までの集計結果を用いて、現在日以降の予測集計結果を予測する。
・産業動物の感染症に関わるデータに影響を与える因子を示す影響情報を取得し、予測された予測集計結果のうち、補正対象の集計範囲の予測集計結果を補正する。
・補正された予測集計結果を含む予測集計結果である、補正後の予測集計結果を可視化し、所定の送信先に送信する。
【0164】
これにより、送信先では、可視化された補正後の予測集計結果に基づく動物用医薬品の製造計画や防疫指導、防疫マニュアルの策定、可視化された補正後の予測集計結果に基づく治療方法による治療等を実現することができる。
【0165】
つまり、第1の実施形態に係る情報提供装置150によれば、防疫効果を高めるための情報を提供することができる。
【0166】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、現在日までの集計結果を用いて、現在日以降の予測集計結果を予測するものとして説明したが、予測集計結果の予測方法は、これに限定されない。例えば、現在日より所定日数前までの集計結果を用いて、現在日以降の予測集計結果を予測してもよい。つまり、学習済み予測モデル812は、x番目の集計期間までの集計結果を用いて、x+1番目以降の任意の集計期間における集計結果を予測できるように構成されてもよい。
【0167】
同様に、上記第1の実施形態では、学習用データ(入力データ)として、例えば、起算日から所定日数分の各種類の微生物の量を用いるものとして説明した。また、学習用データ(正解データ)として、例えば、起算日から所定日数経過した日の次の日の各種類の微生物の量を用いるものとして説明した。しかしながら、学習用データの取得方法はこれに限定されず、例えば、起算日から所定日数経過した日以降の任意の期間の各種類の微生物の量を、学習用データ(正解データ)として用いてもよい。つまり、過去の集計結果であって、y番目の集計期間までの集計結果を学習用データ(入力データ)として用い、y+1番目以降の任意の集計期間の集計結果を学習用データ(正解データ)として用いてもよい。
【0168】
また、上記第1の実施形態では、微生物用の学習済み予測モデル812_1と、ウイルス用の学習済み予測モデル812_2とを生成する場合について説明したが、両者は1つの学習済み予測モデルで実現してもよい。あるいは、食肉処理場ごと、微生物の種類ごと、ウイルスの種類ごとに、異なる学習済み予測モデルを生成するようにしてもよい。
【0169】
また、上記第1の実施形態では、予測集計結果を予測する予測モデルとして、学習用データを用いた機械学習モデルを利用する場合について説明したが、予測集計結果を予測する予測モデルは、当該機械学習モデルに限定されない。例えば、統計処理を行うことで予測集計結果を予測する予測モデルを用いてもよい。
【0170】
また、上記第1の実施形態では、産業動物の感染症に関わるデータ(微生物の種類、各種類の微生物の量、ウイルスの種類、各種類のウイルスの量)を集計する際、食肉処理場単位で集計する場合について説明した。しかしながら、集計範囲は食肉処理場に限定されず、例えば、同一の自治体に属する食肉処理場ごとに(つまり、複数の食肉処理場ごとに)、集計するようにしてもよい。
【0171】
また、上記第1の実施形態では、補正後の予測集計結果を可視化する際、微生物の種類ごと、または、ウイルスの種類ごとに別々の地図にわけて表示する場合について説明した。しかしながら、補正後の予測集計結果の可視化方法はこれに限定されず、例えば、複数種類の微生物、または、複数種類のウイルスについて、同一地図上にまとめて表示してもよい。
【0172】
また、上記第1の実施形態では、補正後の予測集計結果を可視化する際、微生物の量及びウイルスの量に応じて異なる配色を施す構成とした。しかしながら、予測集計結果を可視化する際の、微生物の量及びウイルスの量の表示態様はこれに限定されない。例えば、微生物の量及びウイルスの量に応じた棒グラフを、3次元の地図上に表示してもよい。
【0173】
また、上記第1の実施形態では、補正後の予測集計結果を可視化する際、微生物の量及びウイルスの量に応じて異なる配色が施されたマークを、地図上の食肉処理場の位置に配置する構成とした。しかしながら、情報提供装置150が提供する情報は、これに限定されず、例えば、各マークを選択した場合には、微生物の量の集計結果及びウイルスの量の集計結果の遷移を示すグラフ(例えば、図9に示すグラフ)が表示されるように構成してもよい。
【0174】
また、上記第1の実施形態において、図3では、産業動物として、“牛”を例示したが、産業動物は牛に限定されず、豚、鶏等、牛以外の動物であってもよい。
【0175】
また、上記第1の実施形態では、ロット単位の原料血液及びロット単位の管理情報が、食肉処理場から製剤製造企業130に提供されるものとして説明した。しかしながら、ロット単位の原料血液及びロット単位の管理情報は、食肉処理場から直接、動物用医薬品製造販売企業に提供されてもよい。また、上記第1の実施形態では、原料血液及び管理情報を、ロット単位で取り扱うものとして説明したが、個体ごとに取り扱うようにしてもよい。このように、個体ごとに取り扱うことで、上述した集計範囲を、食肉処理場に代えて、例えば、畜産農家単位とし、畜産農家単位で上述した予測及び補正を行うことができる。
【0176】
また、上記第1の実施形態では、血液製剤製造プロセス140において、血漿製剤、IgG製剤、Alb製剤が製造されるものとして説明した。しかしながら、血液製剤製造プロセス140において製造される製剤は、これらに限定されず、原料血液に含まれるあらゆる有用成分が製剤化されてもよい。
【0177】
また、上記第1の実施形態では、影響情報として、媒介手段に関する情報、気象に関する情報、飼養管理状態に関する情報、廃棄物処理方法に関する情報、人の感染症情報を例示したが、影響情報はこれらに限定されない。
【0178】
また、上記第1の実施形態では、影響情報に含まれる複数の情報のうちの1つの情報を用いて予測集計結果を補正する場合について説明した。しかしながら、1つの補正対象地域に対して、影響情報に含まれる複数の情報が影響を及ぼす場合にあっては、複数の情報を用いて、当該補正対象地域の予測集計結果を補正するように構成してもよい。この場合、予測集計結果補正部905では、複数の情報それぞれに対応する係数に基づいて、1つの係数を導出し、導出した1つの係数をかけ合わせることで、予測集計結果を補正する。
【0179】
また、上記第1の実施形態では、情報提供装置150が、単体で情報提供プログラムを実行する場合について説明した。しかしながら、情報提供装置150は、例えば、複数台のコンピュータにより構成されてもよく、それぞれにデータ処理プログラムをインストールすることで、データ処理プログラムが、分散コンピューティングの形態で実行されてもよい。
【0180】
なお、本開示の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1>産業動物から取得された原料血液の管理情報と、前記原料血液に基づく血液製剤の製造過程における検査により得られた検査情報とを取得し、前記検査情報に含まれる産業動物の感染症に関わるデータを、前記管理情報に基づいて、集計範囲ごと及び集計期間ごとに集計する分析部と、
各集計範囲について、x番目の集計期間までの集計結果を用いて、x+1番目以降の集計期間における集計結果を予測する予測部と、
前記産業動物の感染症に関わるデータに影響を与える因子を示す影響情報を取得し、前記予測されたx+1番目以降の集計期間における各集計範囲のうち、補正対象となる集計範囲での集計結果を補正する補正部と、
補正された集計結果を含む、前記予測されたx+1番目以降の集計期間における各集計範囲での集計結果を提供する提供部と
を有する情報提供装置。
<2>前記管理情報には、前記原料血液が取得された場所及び日付に関する情報が含まれる、<1>に記載の情報提供装置。
<3>前記原料血液が取得された場所は、前記産業動物が食肉処理される食肉処理場の位置であり、前記原料血液が取得された日付は、前記産業動物が食肉処理された日付である、<2>に記載の情報提供装置。
<4>前記補正部は、
前記産業動物の感染症に関わるデータに影響を与える影響元となる集計範囲を特定する第1の特定部と、
取得した影響情報に基づいて、影響を受ける集計範囲を特定する第2の特定部と、
前記影響元となる集計範囲と、前記影響を受ける集計範囲とに基づいて、前記補正対象の集計範囲を特定する第3の特定部と
を有する、<1>乃至<3>に記載の情報提供装置。
<5>前記影響情報には、媒介手段に関する情報、気象に関する情報、飼養管理状態に関する情報、廃棄物処理方法に関する情報、人の感染症情報、の少なくともいずれかが含まれる、<4>に記載の情報提供装置。
<6>前記補正部は、
前記補正対象の集計範囲での集計結果に係数をかけ合わせることで補正する、<5>に記載の情報提供装置。
<7>前記補正部は、
前記補正対象の集計範囲での集計結果が増加方向の影響を受ける場合、1.0以上の係数をかけ合わせることで補正し、
前記補正対象の集計範囲での集計結果が減少方向の影響を受ける場合、1.0未満の係数をかけ合わせることで補正する、<6>に記載の情報提供装置。
<8>前記補正部は、
前記補正対象の集計範囲での集計結果が、複数の影響情報の影響を受ける場合、複数の影響情報それぞれに対応する係数に基づいて導出される1つの係数をかけ合わせることで、前記補正対象の集計範囲での集計結果を補正する、<6>または<7>に記載の情報提供装置。
<9>前記検査情報には、微生物またはウイルスの種類及び量が含まれる、<1>乃至<8>のいずれかに記載の情報提供装置。
<10>産業動物から取得された原料血液の管理情報と、前記原料血液に基づく血液製剤の製造過程における検査により得られた検査情報とを取得し、前記検査情報に含まれる産業動物の感染症に関わるデータを、前記管理情報に基づいて、集計範囲ごと及び集計期間ごとに集計する工程と、
各集計範囲について、x番目の集計期間までの集計結果を用いて、x+1番目以降の集計期間における集計結果を予測する工程と、
前記産業動物の感染症に関わるデータに影響を与える因子を示す影響情報を取得し、前記予測されたx+1番目以降の集計期間における各集計範囲のうち、補正対象となる集計範囲での集計結果を補正する工程と、
補正された集計結果を含む、前記予測されたx+1番目以降の集計期間における各集計範囲での集計結果を提供する工程と
をコンピュータが実行する情報提供方法。
<11>産業動物から取得された原料血液の管理情報と、前記原料血液に基づく血液製剤の製造過程における検査により得られた検査情報とを取得し、前記検査情報に含まれる産業動物の感染症に関わるデータを、前記管理情報に基づいて、集計範囲ごと及び集計期間ごとに集計する工程と、
各集計範囲について、x番目の集計期間までの集計結果を用いて、x+1番目以降の集計期間における集計結果を予測する工程と、
前記産業動物の感染症に関わるデータに影響を与える因子を示す影響情報を取得し、前記予測されたx+1番目以降の集計期間における各集計範囲のうち、補正対象となる集計範囲での集計結果を補正する工程と、
補正された集計結果を含む、前記予測されたx+1番目以降の集計期間における各集計範囲での集計結果を提供する工程と
をコンピュータに実行させるための情報提供プログラム。
【0181】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせ等、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0182】
130 :製剤製造企業
140 :血液製剤製造プロセス
145_1~145_5 :微生物/ウイルス検査工程
150 :情報提供装置
151 :分析部
152 :学習部
153 :予測部
154 :補正部
155 :提供部
310 :原料血液情報
410 :収集情報
601 :地域分類部
602 :期間分類部
603 :集計部
700 :分析結果
801 :学習用入力データ取得部
802 :予測モデル
803 :比較/変更部
804 :学習用正解データ取得部
811 :予測用入力データ取得部
812 :学習済み予測モデル
901 :分布特定部
902 :影響元地域特定部
903 :影響範囲判定部
904 :補正対象地域特定部
905 :予測集計結果補正部
1701 :抽出部
1702 :可視化部
1703 :送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19