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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119249
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/298 20210101AFI20240827BHJP
【FI】
H01M50/298
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026016
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】月森 直人
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA01
5H040DD05
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】小型化を可能にしたワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】ワイヤハーネス10は、電池パック11のハウジング12に電池13と共に収容される。ワイヤハーネス10は、電池13に電気的に接続される電線部材20を備える。電線部材20は、自身の剛性によって形状を保持可能な剛性電線21と、長さ方向の一端部に剛性電線21が接続された可撓電線22と、可撓電線22の長さ方向の他端部に設けられた端子23と、を有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックのハウジングに電池と共に収容され、前記電池に電気的に接続されるワイヤハーネスであって、
前記電池に電気的に接続される電線部材を備え、
前記電線部材は、自身の剛性によって形状を保持可能な剛性電線と、長さ方向の一端部に前記剛性電線が接続された可撓電線と、前記可撓電線の長さ方向の他端部に設けられた端子と、を有している、
ワイヤハーネス。
【請求項2】
前記電線部材は、複数並列されている、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記複数の電線部材を互いに連結する連結部材を備える、
請求項2に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記連結部材は、前記電線部材の長さ方向に沿って間隔を空けて複数設けられ、
前記複数の電線部材の各々における前記剛性電線は、前記複数の連結部材の間において露出されている、
請求項3に記載のワイヤハーネス。
【請求項5】
前記複数の連結部材の少なくとも1つは、前記ハウジングに固定される固定部を有している、
請求項4に記載のワイヤハーネス。
【請求項6】
前記複数の連結部材の少なくとも1つは、前記剛性電線と前記可撓電線との接続部を被覆する被覆部を有している、
請求項4に記載のワイヤハーネス。
【請求項7】
前記剛性電線は、直線状に形成されている、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項8】
前記剛性電線は、前記可撓電線に接続される第1接続端部を有し、
前記可撓電線は、前記第1接続端部に接続される第2接続端部を有し、
前記第1接続端部および前記第2接続端部の各々は、平板状をなし、
前記第1接続端部と前記第2接続端部とは、互いの板面が接するように接続され、
前記第1接続端部および前記第2接続端部の各板面が、前記ハウジングの幅方向に沿うように配置される、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項9】
前記剛性電線は、前記可撓電線に接続される第1接続端部を有し、
前記可撓電線は、前記第1接続端部に接続される第2接続端部を有し、
前記第1接続端部および前記第2接続端部の各々は、平板状をなし、
前記第1接続端部と前記第2接続端部とは、互いの板面が接するように接続され、
前記第1接続端部および前記第2接続端部の各板面が、前記ハウジングの高さ方向に沿うように配置される、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項10】
前記可撓電線は、前記剛性電線の両端部にそれぞれ接続され、
前記端子は、一対の前記可撓電線にそれぞれ設けられている、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項11】
前記電池パックは、前記電池に接続される第1端子台と、外部接続用の第2端子台と、を有し、
一対の前記端子の一方は、前記第1端子台に接続され、
一対の前記端子の他方は、前記第2端子台に接続される、
請求項10に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、車両用の電池パックが記載されている。電池パックのハウジング内には、電池と、当該電池に電気的に接続されるワイヤハーネスとを備える。電池への電力の入出力は、ワイヤハーネスを介して行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-83731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電池パックの小型化のため、電池パックのハウジング内におけるワイヤハーネスの配線スペースが縮小傾向にある。このため、電池パックに用いられるワイヤハーネスの小型化が求められている。
【0005】
本開示の目的は、小型化を可能にしたワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のワイヤハーネスは、電池パックのハウジングに電池と共に収容され、前記電池に電気的に接続されるワイヤハーネスであって、前記電池に電気的に接続される電線部材を備え、前記電線部材は、自身の剛性によって形状を保持可能な剛性電線と、長さ方向の一端部に前記剛性電線が接続された可撓電線と、前記可撓電線の長さ方向の他端部に設けられた端子と、を有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示のワイヤハーネスによれば、小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態における電池パックの平面図である。
図2図2は、同形態におけるワイヤハーネスの斜視図である。
図3図3は、同形態のワイヤハーネスにおけるプロテクタの搭載箇所の分解斜視図である。
図4図4は、同形態のワイヤハーネスにおけるプロテクタの搭載箇所の断面図である。
図5図5は、同形態のワイヤハーネスにおけるクリップの搭載箇所の断面図である。
図6図6は、変更例のワイヤハーネスにおけるプロテクタの搭載箇所の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のワイヤハーネスは、
[1]電池パックのハウジングに電池と共に収容され、前記電池に電気的に接続されるワイヤハーネスであって、前記電池に電気的に接続される電線部材を備え、前記電線部材は、自身の剛性によって形状を保持可能な剛性電線と、長さ方向の一端部に前記剛性電線が接続された可撓電線と、前記可撓電線の長さ方向の他端部に設けられた端子と、を有している。
【0010】
この構成によれば、ワイヤハーネスの電線部材は、自身の剛性によって形状を保持可能な剛性電線を有している。このため、ワイヤハーネスは、剛性電線の形状を保持するために、剛性電線の外周を覆う外装部材等を別途必要としない。したがって、剛性電線の部分における電線部材の径を小さくすることが可能となり、その結果、ワイヤハーネスを小型化することが可能となる。また、剛性電線は、自身の剛性によって形状を保持可能であるため、剛性電線における支持点を少なく抑えることが可能となる。これにより、ワイヤハーネスの省スペース化に寄与できる。さらに、電線部材は、剛性電線と端子との間を繋ぐ可撓電線を備える。このため、電線部材の端子と相手部品との接続において、製造公差等によって生じる位置のばらつきを可撓電線の撓みによって吸収することが可能となる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記電線部材は、複数並列されていてもよい。
この構成によれば、複数の電線部材を備えるワイヤハーネスにおいて、小型化が可能となる。
【0012】
[3]上記[2]において、前記ワイヤハーネスは、前記複数の電線部材を互いに連結する連結部材を備えていてもよい。
この構成によれば、連結部材によって、複数の電線部材を保持することが可能となる。
【0013】
[4]上記[3]において、前記連結部材は、前記電線部材の長さ方向に沿って間隔を空けて複数設けられ、前記複数の電線部材の各々における前記剛性電線は、前記複数の連結部材の間において露出されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、剛性電線が複数の連結部材の間において露出される。すなわち、ワイヤハーネスは、剛性電線の外周を覆う部材が連結部材以外に存在しない構成となる。これにより、剛性電線の部分における電線部材の径を小さくすることが可能となる。
【0015】
[5]上記[4]において、前記複数の連結部材の少なくとも1つは、前記ハウジングに固定される固定部を有していてもよい。
この構成によれば、複数の電線部材を、連結部材を介して電池パックのハウジングに固定することが可能となる。
【0016】
[6]上記[4]または[5]において、前記複数の連結部材の少なくとも1つは、前記剛性電線と前記可撓電線との接続部を被覆する被覆部を有していてもよい。
この構成によれば、剛性電線と可撓電線との接続部を、連結部材の被覆部によって保護することが可能となる。
【0017】
[7]上記[1]から[6]のいずれかにおいて、前記剛性電線は、直線状に形成されていてもよい。
この構成によれば、電池パックにおける電線配置スペースにおいて直線状の部分が存在する場合に、当該直線状の部分に直線状の剛性電線を配置することで、電池パックの小型化に寄与できる。
【0018】
[8]上記[1]から[7]のいずれかにおいて、前記剛性電線は、前記可撓電線に接続される第1接続端部を有し、前記可撓電線は、前記第1接続端部に接続される第2接続端部を有し、前記第1接続端部および前記第2接続端部の各々は、平板状をなし、前記第1接続端部と前記第2接続端部とは、互いの板面が接するように接続され、前記第1接続端部および前記第2接続端部の各板面が、前記ハウジングの幅方向に沿うように配置されてもよい。
【0019】
この構成によれば、第1接続端部と第2接続端部との接続部において、ハウジングの高さ方向に小型化することが可能となる。
[9]上記[1]から[7]のいずれかにおいて、前記剛性電線は、前記可撓電線に接続される第1接続端部を有し、前記可撓電線は、前記第1接続端部に接続される第2接続端部を有し、前記第1接続端部および前記第2接続端部の各々は、平板状をなし、前記第1接続端部と前記第2接続端部とは、互いの板面が接するように接続され、前記第1接続端部および前記第2接続端部の各板面が、前記ハウジングの高さ方向に沿うように配置されてもよい。
【0020】
この構成によれば、第1接続端部と第2接続端部との接続部において、ハウジングの幅方向に小型化することが可能となる。
[10]上記[1]から[9]のいずれかにおいて、前記可撓電線は、前記剛性電線の両端部にそれぞれ接続され、前記端子は、一対の前記可撓電線にそれぞれ設けられていてもよい。
【0021】
この構成によれば、電線部材の両端部における端子と相手部品との接続において、製造公差等によって生じる位置のばらつきを可撓電線の撓みによって吸収することが可能となる。
【0022】
[11]上記[10]において、前記電池パックは、前記電池に接続される第1端子台と、外部接続用の第2端子台と、を有し、一対の前記端子の一方は、前記第1端子台に接続され、一対の前記端子の他方は、前記第2端子台に接続されてもよい。
【0023】
この構成によれば、電池パックの第1端子台と第2端子台とを電気的に繋ぐワイヤハーネスにおいて、小型化することが可能となる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。
【0024】
(ワイヤハーネス10)
図1に示すように、本実施形態のワイヤハーネス10は、例えば車両用の電池パック11に用いられる。電池パック11は、例えば、車両における室内空間の床部を形成するフロアパネルの下側に配置される。電池パック11は、例えば、車両の高さ方向に平らな形状をなす。
【0025】
電池パック11は、ハウジング12と、ハウジング12に収容された複数の電池13と、各電池13と電気的に接続された第1端子台14と、外部接続用の第2端子台15と、を備える。各電池13は、例えば複数の電池セルにて構成される。ワイヤハーネス10は、ハウジング12に収容される。ワイヤハーネス10は、例えば、第1端子台14と第2端子台15とを電気的に接続する。
【0026】
電池パック11は、互いに直交する三方向として、長手方向X、幅方向Y、および高さ方向Zを有している。複数の電池13は、ハウジング12内において、例えば長手方向Xに沿って複数並んでいる。また、長手方向Xに沿って並ぶ電池13の列は、幅方向Yにおいて複数設けられている。
【0027】
(電線部材20)
図1および図2に示すように、ワイヤハーネス10は、電池13に電気的に接続される電線部材20を備える。ワイヤハーネス10、例えば、複数の電線部材20を備える。複数の電線部材20は、例えば、ハウジング12の高さ方向Zに並ぶように並列されている。
【0028】
図2に示すように、各電線部材20は、剛性電線21と、可撓電線22と、端子23とを備える。
(剛性電線21)
剛性電線21は、長さ方向の全体にわたって例えば直線状をなしている。剛性電線21は、ハウジング12内において例えば長手方向Xに沿って配置される。剛性電線21は、例えば、ハウジング12内の電線配置スペースにおける直線状に延びる部分に配置される。当該電線配置スペースにおける直線状に延びる部分は、例えば、幅方向Yに並ぶ電池13の間において長手方向Xに沿って形成されている。
【0029】
剛性電線21は、自身の剛性によって形状を保持可能に構成されている。本明細書における「剛性」とは、曲げの力などに対する対象物の変形のしにくさの度合いである。すなわち、剛性電線21は、自重によって垂れ下がりにくい性質を有している。
【0030】
図5に示すように、剛性電線21は、導電性を有する芯線24と、芯線24の外周を被覆する絶縁被覆25とを有している。
芯線24は、例えば、単一の導体からなる単芯線である。芯線24の横断面形状、すなわち、長さ方向と直交する断面形状は、例えば円形をなす。単芯線としては、例えば、内部が中実構造をなす柱状の1本の金属棒からなる柱状導体や内部が中空構造をなす筒状導体などを用いることができる。芯線24の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。剛性電線21は、芯線24の剛性によって、前述の特性、すなわち、自身の形状を保持可能な特性を有している。
【0031】
絶縁被覆25は、合成樹脂等の絶縁体にて形成されている。絶縁被覆25は、例えば、芯線24の外周面を周方向全周にわたって被覆している。剛性電線21の横断面形状は、任意の形状に形成することができる。剛性電線21の横断面形状は、例えば、円形状、半円状、多角形状、正方形状、扁平形状等に形成されている。本実施形態の剛性電線21の横断面形状は、円形状に形成されている。
【0032】
(可撓電線22)
図2に示すように、可撓電線22は、剛性電線21の長さ方向の端部と端子23とを繋ぐ電線である。可撓電線22の長さ方向の一端部は、剛性電線21の長さ方向の端部に接続されている。可撓電線22の長さ方向の他端部には、端子23が設けられている。端子23は、可撓電線22の芯線に電気的に接続されている。可撓電線22および端子23は、剛性電線21の長さ方向の両端部にそれぞれ設けられている。すなわち、各電線部材20は、一対の可撓電線22および一対の端子23を有している。電線部材20が有する一対の端子23の一方は、電池パック11の第1端子台14に接続され、当該一対の端子23の他方は、電池パック11の第2端子台15に接続される。これにより、第1端子台14と第2端子台15とが、電線部材20を介して電気的に接続される。
【0033】
可撓電線22は、例えば、芯線と、当該芯線を被覆する絶縁被覆とを有している。可撓電線22の芯線は、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚線にて形成されている。これにより、可撓電線22は、柔軟で曲げやすい性質を有している。可撓電線22は、例えば、ハウジング12内において、長さ方向の一部が屈曲する状態で配策される。
【0034】
可撓電線22は、例えば、可撓電線22の絶縁被覆の周囲を囲う図示しない外装部材を有している。当該外装部材は、柔軟な性質を持つコルゲートチューブ等で構成される。なお、剛性電線21の外径は、外装部材を含めた可撓電線22の外径よりも小さく設定されている。
【0035】
図3に示すように、剛性電線21は、長さ方向の端部において、可撓電線22に接続される第1接続端部26を有している。第1接続端部26は、剛性電線21の長さ方向の両端部にそれぞれ設けられている。各第1接続端部26は、剛性電線21の芯線24に対して電気的に接続されている。
【0036】
各可撓電線22の端部には、第1接続端部26に接続される第2接続端部27を有している。第2接続端部27は、可撓電線22の芯線に電気的に接続されている。第1接続端部26および第2接続端部27の各々は、平板状をなしている。
【0037】
図4に示すように、第1接続端部26と第2接続端部27とは、互いの板面26a,27aが接するように接続されている。これにより、剛性電線21の芯線24と可撓電線22の芯線とが電気的に接続される。第1接続端部26の板面26aと第2接続端部27の板面27aとは、例えば、溶接や圧着により互いに接続される。また、第1接続端部26および第2接続端部27の各板面26a,27aは、ハウジング12の幅方向Yに沿うように配置される。
【0038】
(連結部材30)
図2に示すように、ワイヤハーネス10は、複数の電線部材20を互いに連結する連結部材30を備える。連結部材30は、各電線部材20の間の所定の間隔を保持する。連結部材30は、例えば、電線部材20の長さ方向に沿って間隔を空けて複数設けられている。複数の電線部材20の各々における剛性電線21の絶縁被覆25は、連結部材30同士の間において露出されている。
【0039】
複数の連結部材30は、クランプ31と、プロテクタ32とを、少なくとも1つずつ含んでいる。プロテクタ32は、剛性電線21と可撓電線22との接続部C1(図3参照)に対応して設けられている。すなわち、プロテクタ32は、2つ設けられている。クランプ31およびプロテクタ32は、例えば合成樹脂にて形成されている。
【0040】
クランプ31は、電線部材20を電池パック11のハウジング12に対して固定する。連結部材30は、例えば、複数のクランプ31を含んでいる。
図5に示すように、クランプ31は、固定部41と、電線部材20を保持する第1電線保持部42とを備える。固定部41は、例えば、ハウジング12の底部12aに対して直接的にまたは間接的に固定される。固定部41には、例えば、ハウジング12の底部12aに設けられた固定ステー12bが挿入されて固定される。
【0041】
クランプ31の第1電線保持部42は、電線部材20における剛性電線21または可撓電線22を保持する。図5では、剛性電線21を保持するクランプ31を一例として示している。剛性電線21を保持するクランプ31は、例えば複数設けられている(図2参照)。
【0042】
図5に示すように、第1電線保持部42は、例えば、第1部位43と第2部位44とに分割された構造をなしている。第1電線保持部42は、電線部材20を第1部位43と第2部位44とで挟むようにして保持する。固定部41は、例えば、第2部位44に一体に形成されている。
【0043】
図3および図4に示すように、プロテクタ32は、剛性電線21の第1接続端部26と可撓電線22の第2接続端部27との接続部C1を被覆する被覆部51を有している。
図4に示すように、プロテクタ32の被覆部51は、接続部C1の周囲を覆う環状をなしている。すなわち、被覆部51は、接続部C1の幅方向Yの両側、および、高さ方向Zの両側を覆っている。
【0044】
図3に示すように、プロテクタ32は、各電線部材20における可撓電線22を保持する第2電線保持部52と、各剛性電線21の外周を覆う電線被覆部53とを有している。第2電線保持部52と電線被覆部53とは、プロテクタ32における長手方向Xの両側にそれぞれ形成されている。
【0045】
プロテクタ32は、例えば、少なくとも被覆部51から第2電線保持部52にかけて、第1分割部位54と第2分割部位55とに分割された構造をなしている。第2分割部位55は、第1分割部位54に設けられた一対のロック部56にそれぞれ係止される一対の係止部57を有している。各係止部57がロック部56に係止されることで、第1分割部位54と第2分割部位55とが互いに固定される。ロック部56および係止部57の組は、例えば、第2電線保持部52と電線被覆部53とにそれぞれ設けられている。第2電線保持部52において、各可撓電線22は、第1分割部位54と第2分割部位55とによって幅方向Yに挟まれて保持されている。可撓電線22は、例えば、締付バンドや粘着テープ等の図示しない固定部材によって第2電線保持部52に固定されていてもよい。
【0046】
次に、電池パック11のハウジング12に対するワイヤハーネス10の組付態様の一例について説明する。
例えば、まず、各電線部材20を保持する各クランプ31を、ハウジング12の底部12aに固定された各固定ステー12bに固定する。これにより、各電線部材20が各クランプ31を介してハウジング12に支持される。
【0047】
次に、各電線部材20の両端部の各端子23を、それぞれ対応する第1端子台14および第2端子台15に接続する。このとき、端子23と第1端子台14との間、および、端子23と第2端子台15との間に、製造公差等による相対的な位置ずれが生じている場合がある。ここで、電線部材20は、剛性電線21と端子23との間を繋ぐ可撓電線22を有しているため、可撓電線22の撓みにより当該相対的な位置ずれを吸収することが可能となっている。
【0048】
本実施形態の効果について説明する。
(1)電線部材20は、自身の剛性によって形状を保持可能な剛性電線21を有している。このため、ワイヤハーネス10は、剛性電線21の形状を保持するために、剛性電線21の外周を覆う外装部材等を別途必要としない。したがって、剛性電線21の部分における電線部材20の径を小さくすることが可能となり、その結果、ワイヤハーネス10を小型化することが可能となる。また、剛性電線21は、自身の剛性によって形状を保持可能であるため、剛性電線21における支持点を少なく抑えることが可能となる。これにより、ワイヤハーネス10の省スペース化に寄与できる。さらに、電線部材20は、剛性電線21と端子23との間を繋ぐ可撓電線22を備える。このため、電線部材20の端子23と、第1端子台14や第2端子台15等の相手部品との接続において、製造公差等によって生じる位置のばらつきを可撓電線22の撓みによって吸収することが可能となる。
【0049】
(2)電線部材20は、複数並列されている。この構成によれば、複数の電線部材20を備えるワイヤハーネス10において、小型化が可能となる。
(3)ワイヤハーネス10は、複数の電線部材20を互いに連結する連結部材30を備える。この構成によれば、連結部材30によって、複数の電線部材20を保持することが可能となる。
【0050】
(4)連結部材30は、電線部材20の長さ方向に沿って間隔を空けて複数設けられている。複数の電線部材20の各々における剛性電線21は、複数の連結部材30の間において露出されている。この構成によれば、剛性電線21が複数の連結部材30の間において露出される。すなわち、ワイヤハーネス10は、剛性電線21の外周を覆う部材が連結部材30以外に存在しない構成となる。これにより、剛性電線21の部分における電線部材20の径を小さくすることが可能となる。
【0051】
(5)複数の連結部材30に含まれるクランプ31は、ハウジング12に固定される固定部41を有している。この構成によれば、複数の電線部材20を、クランプ31を介して電池パック11のハウジング12に固定することが可能となる。
【0052】
(6)複数の連結部材30に含まれるプロテクタ32は、剛性電線21と可撓電線22との接続部C1を被覆する被覆部51を有している。この構成によれば、剛性電線21と可撓電線22との接続部C1を、プロテクタ32の被覆部51によって保護することが可能となる。
【0053】
(7)剛性電線21は、直線状に形成されている。この構成によれば、電池パック11における電線配置スペースにおいて直線状の部分が存在する場合に、当該直線状の部分に直線状の剛性電線21を配置することで、電池パック11の小型化に寄与できる。
【0054】
(8)剛性電線21は、可撓電線22に接続される第1接続端部26を有している。可撓電線22は、第1接続端部26に接続される第2接続端部27を有している。第1接続端部26および第2接続端部27の各々は、平板状をなしている。第1接続端部26と第2接続端部27とは、互いの板面26a,27aが接するように接続されている。第1接続端部26および第2接続端部27の各板面26a,27aが、ハウジング12の幅方向Yに沿うように配置される。この構成によれば、第1接続端部26および第2接続端部27の板厚方向を、ハウジング12の高さ方向Zに向かせた構成となる。したがって、第1接続端部26と第2接続端部27との接続部C1において、ハウジング12の高さ方向Zに小型化することが可能となる。また、接続部C1を被覆するプロテクタ32の被覆部51を、高さ方向Zに小型化することが可能となる。
【0055】
(9)端子23が設けられた可撓電線22は、剛性電線21の両端部にそれぞれ接続される。この構成によれば、電線部材20の両端部における端子23と第1端子台14および第2端子台15との接続において、製造公差等によって生じる位置のばらつきを可撓電線22の撓みによって吸収することが可能となる。
【0056】
(10)電池パック11は、電池13に接続される第1端子台14と、外部接続用の第2端子台15と、を有している。電線部材20の両端部の端子23の一方は、第1端子台14に接続され、当該両端部の端子23の他方は、第2端子台15に接続される。この構成によれば、電池パック11の第1端子台14と第2端子台15とを電気的に繋ぐワイヤハーネス10において、小型化することが可能となる。
【0057】
(変更例)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0058】
図6に示すように、第1接続端部26および第2接続端部27の各板面26a,27aが、ハウジング12の高さ方向Zに沿うように配置されていてもよい。この構成によれば、第1接続端部26および第2接続端部27の板厚方向を、ハウジング12の幅方向Yに向かせた構成となる。したがって、第1接続端部26と第2接続端部27との接続部C1において、ハウジング12の幅方向Yに小型化することが可能となる。また、接続部C1を被覆するプロテクタ32の被覆部51を、幅方向Yに小型化することが可能となる。
【0059】
・ワイヤハーネス10に含まれるクランプ31の個数は、電線部材20の長さに応じて適宜変更可能である。
・プロテクタ32は、ハウジング12に固定される固定部を有していてもよい。その場合、ワイヤハーネス10からクランプ31を省略可能である。
【0060】
・ワイヤハーネス10に含まれる電線部材20の個数は、上記実施形態に限定されるものではなく、1つまたは3つ以上であってもよい。
・ワイヤハーネス10において、各プロテクタ32に代えて、例えば、接続部C1を被覆する熱収縮チューブを設けてもよい。
【0061】
・上記実施形態のワイヤハーネス10は、第1端子台14と第2端子台15とを繋ぐように構成されるが、これに特に限定されるものではなく、電池13に電気的に接続されていれば、第1端子台14および第2端子台15に接続されない構成であってもよい。
【0062】
・電池パック11内における各電池13およびワイヤハーネス10のレイアウトは、上記実施形態に限定されるものではなく、電池パック11の構成に応じて適宜変更してもよい。例えば、ワイヤハーネス10における電線部材20の剛性電線21が、屈曲部分を有していてもよい。
【0063】
・上記実施形態では、車両のフロアパネルの下側に配置される電池パック11に設けられるワイヤハーネス10に適用したが、これに限らず、車両においてフロアパネルの下側以外の箇所に配置される電池パックに設けられるワイヤハーネスに適用してもよい。
【0064】
・今回開示された実施形態及び変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
10 ワイヤハーネス
11 電池パック
12 ハウジング
12a 底部
12b 固定ステー
13 電池
14 第1端子台
15 第2端子台
20 電線部材
21 剛性電線
22 可撓電線
23 端子
24 芯線
25 絶縁被覆
26 第1接続端部
26a 板面
27 第2接続端部
27a 板面
30 連結部材
31 クランプ
32 プロテクタ
41 固定部
42 第1電線保持部
43 第1部位
44 第2部位
51 被覆部
52 第2電線保持部
53 電線被覆部
54 第1分割部位
55 第2分割部位
56 ロック部
57 係止部
C1 接続部
X ハウジングの長手方向
Y ハウジングの幅方向
Z ハウジングの高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6