(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119266
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】障子
(51)【国際特許分類】
E06B 1/36 20060101AFI20240827BHJP
E06B 7/23 20060101ALI20240827BHJP
E06B 3/54 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
E06B1/36 Z
E06B7/23 Z
E06B3/54 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026045
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝山 翔生
(72)【発明者】
【氏名】菊野 亘
【テーマコード(参考)】
2E011
2E016
2E036
【Fターム(参考)】
2E011AC01
2E011AD01
2E011AD02
2E011AD03
2E011DA01
2E011DC00
2E016AA04
2E016CA01
2E016CB01
2E016CB02
2E016CC01
2E016DB03
2E016DC02
2E036BA01
2E036CA04
2E036DA02
2E036EB08
2E036EB09
2E036EC03
2E036GA03
2E036HA01
(57)【要約】
【課題】意匠性の低下を抑制することができる障子を提供すること。
【解決手段】障子4は、面材41と、面材41の外周部が挿入される面材挿入用溝48を有する框42,44,45,46と、面材挿入用溝48に収納され、面材41の外周部を保持するガスケット49と、を備え、面材挿入用溝48における面材41に対向する一対の開口縁には、面材41に近づく方向に突出し、ガスケット49を隠す隠蔽部481がそれぞれ形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面材と、
前記面材の外周部が挿入される面材挿入用溝を有する框と、
前記面材挿入用溝に収納され、前記面材の外周部を保持するガスケットと、を備え、
前記面材挿入用溝における前記面材に対向する一対の開口縁には、前記面材に近づく方向に突出し、前記ガスケットを隠す隠蔽部がそれぞれ形成されている障子。
【請求項2】
請求項1に記載の障子において、
前記面材挿入用溝の溝底面と前記ガスケットとの間には、セッティングブロックが配置されている障子。
【請求項3】
請求項2に記載の障子において、
前記框は、当該框における長手方向の一端から前記面材挿入用溝に前記ガスケットを挿入可能に構成され、
前記セッティングブロックにおける前記長手方向の一端側に位置する部位には、前記ガスケットの挿入方向に向かうにしたがって前記溝底面から離れるように傾斜する挿入補助傾斜面が設けられている障子。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の障子において、
前記面材挿入用溝は、前記溝底面と、前記溝底面から一対の前記隠蔽部のそれぞれの突出基端にかけて設けられた一対の溝側面と、により構成され、
前記一対の溝側面は、前記隠蔽部の突出基端から前記溝底面に近づくにしたがって互いに近づくように傾斜する開口側側面と、前記開口側側面の前記溝底面側に位置し、互いに平行な底側側面と、をそれぞれ備えている障子。
【請求項5】
請求項4に記載の障子において、
前記ガスケットは、前記面材の端面と前記セッティングブロックとの間に位置する基部と、前記基部から前記開口側側面と前記面材との間にそれぞれ位置するように延びる一対の対向部と、前記一対の対向部のそれぞれから互いに近づく方向に延びて前記面材に当接する一対の当接部と、を備え、
前記一対の当接部は、変形可能に形成されている障子。
【請求項6】
請求項5に記載の障子において、
前記基部は、前記セッティングブロックに線接触または点接触する基部側接触部を備えている障子。
【請求項7】
請求項5に記載の障子において、
前記一対の対向部は、前記開口側側面に線接触または点接触する対向部側接触部を備えている障子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの窓装置を水平方向に連結して、壁の開口部に設置する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の構成において、各窓装置は、上部フレームと、下部フレームと、中間フレームと、2本の側部フレームと、2枚の透光板と、を備えている。一方の透光板は、上部フレーム、中間フレームおよび2本の側部フレームにより四周が囲まれており、他方の透光板は、中間フレーム、下部フレームおよび2本の側部フレームにより四周が囲まれている。上部フレーム、下部フレーム、中間フレームおよび2本の側部フレームにおける見込み方向の中央には、透光板の端部を受け入れる受入溝が設けられている。受入溝には、透光板の端部を保持するガスケットが嵌め込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のような構成では、ガスケットが外部に露出しているため、窓装置の意匠性が低下してしまう。
【0005】
本発明の目的は、意匠性の低下を抑制することができる障子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の障子は、面材と、前記面材の外周部が挿入される面材挿入用溝を有する框と、前記面材挿入用溝に収納され、前記面材の外周部を保持するガスケットと、を備え、前記面材挿入用溝における前記面材に対向する一対の開口縁には、前記面材に近づく方向に突出し、前記ガスケットを隠す隠蔽部がそれぞれ形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、意匠性の低下を抑制することができる障子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】実施形態における面材挿入用溝付近の縦断面図である。
【
図4】実施形態における面材挿入用溝、セッティングブロックおよびガスケットの斜視図である。
【
図5】実施形態における障子の組み立て方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
〔室内窓の構成〕
以下、本発明の実施形態の建具である室内窓について、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の室内窓の縦断面図である。
図2は、室内窓の横断面図である。
図3は、面材挿入用溝付近の縦断面図である。
図4は、面材挿入用溝、セッティングブロックおよびガスケットの斜視図である。
図1および
図2に示す室内窓1は、室内空間を第1室内空間と第2室内空間に仕切る躯体である壁Fの躯体開口部としての壁開口部F1に設置される。本実施形態では、1枚の壁Fの壁開口部F1を塞ぐ腰高窓状に設置された室内窓1を例示するが、室内窓1は、左右方向の片側が開放されるように設置される構成(片側オープン納まり型)、下端が床に接触するように設置される構成(床設置型)、片側オープン納まり型と床設置型を組み合わせた構成、または、コーナー方立を介して互い直交するように設置される構成であっても良い。また、室内窓1と同じ構成を、屋外と屋内とを仕切る窓に適用しても良い。
【0010】
室内窓1は、壁開口部F1の上面F2に固定される上枠2と、上枠2に連結されるとともに壁開口部F1の下面F3に固定される障子ユニット3と、を備えている。障子ユニット3は、見付け方向に連結された一対の障子4を備えている。一対の障子4は、上段に位置する上段FIX窓40Aと、下段に位置する下段FIX窓40Bと、をそれぞれ備えている。なお、一対の障子4は、3段以上のFIX窓を備えていても良い。
なお、壁Fの壁面に沿った水平方向をX軸方向、壁面に沿った上下方向をY軸方向、壁面に直交する方向をZ軸方向とする。そして、X軸方向において、室内窓1を第1空間から見て左側の方向をX1方向、右側の方向をX2方向とし、Y軸方向において、上方向をY1方向、下方向をY2方向とし、Z軸方向において第2空間から第1空間に向かう方向をZ1方向、第1空間から第2空間に向かう方向をZ2方向とする。
【0011】
上枠2のX軸方向(見付け方向)の長さは、上面F2の見付け方向の長さよりも若干短い。
図1に示すように、上枠2は、上面F2にねじ止めされる長方形板状の上枠本体21と、上枠本体21のZ軸方向(見込み方向)両側縁から下方に延びる上枠対向部22と、を備えている。
上枠2の上枠本体21には、連結部材23が固定されている。連結部材23は、上枠本体21にねじ止めされる四角板状の連結部材本体231と、連結部材本体231のZ1方向側の端縁から下方に延びる連結垂下片232と、を備えている。連結垂下片232の下端側の部位には、障子4を上枠2に固定するための上框固定ねじ24が螺合される雌ねじ部232Aが設けられている。
【0012】
図1および
図2に示すように、障子ユニット3を構成する一対の障子4は、上下に並ぶ四角板状の2枚の面材41と、上側の面材41の上側に位置する上框42と、下側の面材41の下側に位置する下框43と、2枚の面材41の間に位置する中桟44と、をそれぞれ備えている。X1方向側の障子4(以下、左障子4Aと言う場合がある)は、上框42、下框43および中桟44のX1方向側の端部にねじ止めされた外側縦框45と、X2方向側の端部にねじ止めされた連結框46(以下、左連結框46Aと言う場合がある。)と、をさらに備えている。X2方向側の障子4(以下、右障子4Bと言う場合がある)は、上框42、中桟44および下框43のX2方向側の端部にねじ止めされた外側縦框45と、X1方向側の端部にねじ止めされた連結框46(以下、右連結框46Bと言う場合がある。)と、をさらに備えている。
各障子4において、上側の面材41、当該上側の面材41の四周を囲む上框42、中桟44、外側縦框45の上側の部位および連結框46の上側の部位とにより、上段FIX窓40Aが構成され、下側の面材41と、当該下側の面材41の四周を囲む中桟44、下框43、外側縦框45の下側の部位および連結框46の下側の部位とにより、下段FIX窓40Bが構成されている。
左障子4Aの左連結框46Aは、右障子4Bの右連結框46Bに連結されている。
【0013】
面材41は、例えばガラスパネルであるが、樹脂パネルであっても良い。
上框42、下框43、中桟44、外側縦框45および連結框46は、例えばアルミ押出形材であり、本発明の框を構成する。
各框42,43,44,45,46(上框42、下框43、中桟44、外側縦框45および連結框46)は、面材41の外周部が挿入される面材挿入用溝48をそれぞれ有する。各面材挿入用溝48は、各框42,43,44,45,46におけるZ軸方向中央において、同じ形状に形成されている。
各面材挿入用溝48における面材41の各主面にそれぞれ対向する一対の開口縁には、各面材41に近づく方向に突出する隠蔽部481がそれぞれ形成されている。各隠蔽部481は、各框42,43,44,45,46の長手方向の全域にわたって形成されている。互いに対向する隠蔽部481間の隙間寸法G(mm)は、面材41に傷が付かないように面材41の厚さよりも若干大きく、かつ、後述するガスケット49を隠す大きさに設定されている。
【0014】
このように、ガスケット49を隠す隠蔽部481を設けることにより、障子ユニット3の意匠性の低下を抑制することができる。
【0015】
各面材挿入用溝48の内部には、面材41の外周部を保持するガスケット49と、当該ガスケット49と面材挿入用溝48の溝底面482との間に配置されたセッティングブロック50と、が収納されている。
このような構成により、例えば地震により層間変位が生じても、セッティングブロック50により、面材挿入用溝48の溝底面482とガスケット49とが衝突することを防止でき、当該衝突時の衝撃による面材41の破損を抑制することができる。
【0016】
ガスケット49は、各框42,43,44,45,46の長手方向の長さとほぼ同じ長さに形成されており、各框42,43,44,45,46の長手方向一端から、隠蔽部481とセッティングブロック50との間の領域に挿入される。面材挿入用溝48内に位置するガスケット49は、上述したように、隠蔽部481により隠されている。
セッティングブロック50は、面材挿入用溝48の溝底面482に貼り付けられている。
【0017】
図1に示すように、各障子4の上框42は、上面部421、下面部422、連結対向部としての第1見付け面部423、第2見付け面部424および仕切面部425をそれぞれ備えている。第1見付け面部423は、上面部421と下面部422のZ1方向側の端縁を接続する。第2見付け面部424は、上面部421と下面部422のZ2方向側の端縁を接続する。仕切面部425は、上面部421と下面部422のZ軸方向の中央を接続する。
上面部421には、上枠2の連結垂下片232が差し込まれる差込孔421Aが形成されている。
下面部422には、上述した面材挿入用溝48が設けられている。
第1見付け面部423には、上框固定ねじ24が挿通されるねじ挿通長孔423Aが設けられている。ねじ挿通長孔423Aは、上框固定ねじ24の挿通位置を上下方向に調整できるように、縦長孔状に形成されている。上框42は、ワッシャ241およびねじ挿通長孔423Aに挿通された上框固定ねじ24が、連結部材23の雌ねじ部232Aに螺合されることにより、上枠2に固定されている。
第1見付け面部423の上縁および下縁には、Z1方向に延びる上框カバー取付片部426がそれぞれ設けられている。一対の上框カバー取付片部426の間の空間は、上框固定ねじ24を第1見付け面部423および連結垂下片232に固定するための固定具取付用開口部427を構成している。一対の上框カバー取付片部426の先端側には、固定具取付用開口部427全体を塞ぐ上框カバー428が着脱可能に取り付けられている。
【0018】
各障子4の下框43は、壁開口部F1の下面F3にそれぞれねじ止めされている。
図2に示すように、左障子4Aの外側縦框45は、壁開口部F1のX1方向側の第1側面F4にねじ止めされ、右障子4Bの外側縦框45は、壁開口部F1のX2方向側の第2側面F5にねじ止めされている。
【0019】
左連結框46Aは、Z1方向側から取り付けられる第1連結框固定ねじ31と、Z2方向側から取り付けられる第2連結框固定ねじ32とにより、右連結框46Bに連結されている。左連結框46Aと右連結框46BのZ1方向側の連結部位は、右連結框46Bに着脱可能に取り付けられた第1連結部位カバー33により隠されている。左連結框46Aと右連結框46BのZ2方向側の連結部位は、左連結框46Aに着脱可能に取り付けられた第2連結部位カバー34により隠されている。
【0020】
次に、面材挿入用溝48、ガスケット49およびセッティングブロック50の詳細な構成について、
図3および
図4に基づいて説明する。
なお、
図3および
図4を用いて、中桟44の面材挿入用溝48、ガスケット49およびセッティングブロック50について説明するが、各框42,43,44,45,46の面材挿入用溝48、ガスケット49およびセッティングブロック50も、以下に説明する構成を有している。
図3に示すように、面材挿入用溝48の一対の開口縁には、隠蔽部481がそれぞれ形成されている。面材挿入用溝48は、各框42,43,44,45,46の長手方向に延びる溝底面482と、当該溝底面482における各框42,43,44,45,46の短手方向両側縁から各隠蔽部481の突出基端にかけて設けられた一対の溝側面483と、により構成されている。
各溝側面483は、各隠蔽部481の突出基端から溝底面482に向かうにしたがって互いに近づくように傾斜する開口側側面484と、当該開口側側面484の溝底面482側に位置し、互いに平行な底側側面485と、を備えている。
【0021】
ここで、各框42,43,44,45,46の長手方向に直交する断面において、一対の隠蔽部481の突出先端間の寸法が、一対の隠蔽部481の突出基端間の寸法よりも小さいため、各框42,43,44,45,46の押出成形性を良くするためには、前記断面における面材挿入用溝48の領域のうち、一対の隠蔽部481の突出基端よりも溝底面482側の領域の面積をより小さくすることが好ましい。
上述したように、各溝側面483を開口側側面484と底側側面485とにより構成しているため、前記断面における一対の隠蔽部481の突出基端よりも溝底面482側の面積をより小さくすることができ、各框42,43,44,45,46の押出成形性を良くすることができる。また、セッティングブロック50と各底側側面485との隙間を十分に確保することができ、セッティングブロック50を各溝側面483に接触しないように容易に配置することができる。
【0022】
ガスケット49は、面材41の端面およびセッティングブロック50に当接可能な基部491を備えている。基部491は、各框42,43,44,45,46の長手方向の長さとほぼ同じ長さの長方形板状に形成されている。
基部491におけるセッティングブロック50に対向する面には、一対の基部側接触部491Aが設けられている。一対の基部側接触部491Aは、基部491の短手方向中心を挟んだ両側において、基部491の長手方向に延びるように形成されている。一対の基部側接触部491Aは、基部491の長手方向に直交する断面視において、基部491から半円状に突出するように形成され、セッティングブロック50に線接触するように構成されている。
なお、基部側接触部491Aは、例えば半球状に突出するように形成され、セッティングブロック50に点接触するように構成されても良い。
【0023】
基部491における各框42,43,44,45,46の短手方向両側縁には、セッティングブロック50から離れる方向に延びる一対の対向部492が設けられている。一対の対向部492は、延出先端に向かうにしたがって互いに離れるように形成され、面材挿入用溝48の各開口側側面484と面材41の各主面との間にそれぞれ位置するように構成されている。基部491と対向部492は、例えば硬質の樹脂により一体的に形成されている。
各対向部492における開口側側面484に対向する面には、対向部側接触部492Aがそれぞれ設けられている。各対向部側接触部492Aは、基部491の長手方向に延びるように形成されている。各対向部側接触部492Aは、基部491の長手方向に直交する断面視において、対向部492から半円状に突出するように形成され、開口側側面484に線接触するように構成されている。
なお、対向部側接触部492Aは、例えば半球状に突出するように形成され、開口側側面484に点接触するように構成されても良い。
【0024】
各対向部492における延出先端には、互いに近づく方向に板状に延びて面材41の各主面に当接する当接部493がそれぞれ設けられている。各当接部493は、基部491の長手方向に延びるように形成されている。各当接部493は、例えば軟質の樹脂により変形可能に構成されている。
このように、各当接部493を変形可能な樹脂により構成することにより、各当接部493との当接により面材41に傷が付いたり、面材41が破損したりすることを抑制することができる。また、当接部493を変形させながら、面材41を容易にガスケット49に挿入することができる。
【0025】
図4に示すように、ガスケット49は、各框42,43,44,45,46の長手方向の長さとほぼ同じ長さに形成されている。ガスケット49は、各框42,43,44,45,46の長手方向一端から、面材挿入用溝48における隠蔽部481とセッティングブロック50との間の領域に挿入される。
【0026】
セッティングブロック50は、各框42,43,44,45,46の長手方向の長さよりも短い長さの略長方形板状に形成されている。セッティングブロック50は、その長手方向が各框42,43,44,45,46の長手方向と平行になるように、第1主面501が溝底面482に貼り付けられている。
【0027】
セッティングブロック50における長手方向の両端面は、第1主面501側から第2主面502側に向かうにしたがって、互いに近づくように傾斜する挿入補助傾斜面503を構成している。つまり、例えば、ガスケット49が中桟44のX1方向側の端部から面材挿入用溝48に挿入される場合、X1方向側に位置する挿入補助傾斜面503は、ガスケット49の挿入方向D1(X2方向)に向かうにしたがって溝底面482から離れるように傾斜している。
このような構成により、ガスケット49の挿入方向先端を挿入補助傾斜面503に摺接させながら、ガスケット49をセッティングブロック50に引っ掛けることなくスムーズに挿入することができる。特に、セッティングブロック50における長手方向の端面全体を挿入補助傾斜面503により構成しているため、ガスケット49を溝底面482に摺接させながら面材挿入用溝48に挿入しても、ガスケット49の挿入方向先端を挿入補助傾斜面503に摺接させつつ、スムーズに挿入することができる。
また、基部側接触部491Aをセッティングブロック50の第2主面502に線接触させながら、ガスケット49を面材挿入用溝48に挿入することができる。このため、ガスケット49挿入時のセッティングブロック50に対する摩擦抵抗を減らすことができ、ガスケット49をよりスムーズに挿入することができる。
さらに、対向部側接触部492Aを面材挿入用溝48の開口側側面484に線接触させながら、ガスケット49を面材挿入用溝48に挿入することができる。このため、ガスケット49挿入時の開口側側面484に対する摩擦抵抗を減らすことができ、ガスケット49をさらにムーズに挿入することができる。また、公差によりガスケット49の対向部492が開口側側面484に当接しない形状に形成されても、対向部492から突出する対向部側接触部492Aを開口側側面484に線接触させることができ、ガスケット49により各框42,43,44,45,46に対する面材41の位置決めを適切に行うことができる。
【0028】
〔障子の組み立て方法〕
次に、障子4の組み立て方法について、図面を参照して説明する。
図5は、障子の組み立て方法の説明図である。
なお、
図5では、各框42,43,44,45,46の面材挿入用溝48、ガスケット49およびセッティングブロック50の図示を省略している。
作業者は、
図5に示す第1組み立て方法、または、第2組み立て方法により、障子4を組み立てることができる。
【0029】
第1組み立て方法では、作業者は、各框42,43,44,框45,46の面材挿入用溝48に、ガスケット49およびセッティングブロック50を収納する。
次に、作業者は、
図5の上段左側の図に示すように、中桟44の上側のガスケット49に上段FIX窓40Aを構成する面材41の下端部を挿入するとともに、下側のガスケット49に下段FIX窓40Bを構成する面材41の上端部を挿入する。また、作業者は、上段FIX窓40Aを構成する面材41の上端部を上框42のガスケット49に挿入するとともに、下段FIX窓40Bを構成する面材41の下端部を下框43のガスケット49に挿入する。
この後、作業者は、
図5の上段中央の図に示すように、各面材41の左端部に外側縦框45のガスケット49を嵌めるとともに、右端部に連結框46のガスケット49を嵌める。
最後に、作業者は、
図5の上段右側の図に示すように、ねじ47により、外側縦框45および連結框46を各框42,43,44の両端にそれぞれ固定する。
【0030】
一方、第2組み立て方法では、作業者は、各框42,43,44,45,46の面材挿入用溝48に、ガスケット49およびセッティングブロック50を収納した後、
図5の下段左下の図に示すように、ねじ47により、外側縦框45の下端部を下框43の左端に固定する。次に、作業者は、下段FIX窓40Bを構成する面材41の下端部を下框43のガスケット49に挿入するとともに、左端部を外側縦框45のガスケット49における下側の部分に挿入する。また、作業者は、下段FIX窓40Bを構成する面材41の上端部に中桟44の下側のガスケット49を嵌めつつ、中桟44の左端を外側縦框45に当接させる。さらに、作業者は、上段FIX窓40Aを構成する面材41の下端部を中桟44の上側のガスケット49に挿入するとともに、左端部を外側縦框45のガスケット49における上側の部分に挿入する。そして、作業者は、上段FIX窓40Aを構成する面材41の上端部に上框42のガスケット49を嵌めつつ、上框42の左端を外側縦框45に当接させる。
作業者は、
図5の下段中央の図に示すように、ねじ47により、外側縦框45を上框42および中桟44の左端に固定する。また、作業者は、各面材41の右端部に連結框46のガスケット49を嵌める。
最後に、作業者は、
図5の下段右側の図に示すように、ねじ47により、連結框46を各框42,43,44の右端に固定する。
【0031】
上述したように、各框42,43,44,45,46に対する面材41の位置決めを、接着剤による固定で行うのではなく、ガスケット49への挿入により行うため、接着剤を使用する場合のように、接着剤の固化後に面材41の位置調整を行うことができないという不具合が発生しない。したがって、任意のタイミングで面材41の位置調整を容易にかつ適切に行うことができ、障子4の組み立て性が向上する。
【0032】
[変形例]
面材41をガラスと比べて破損しにくい例えば樹脂で構成する場合、面材挿入用溝48内にセッティングブロック50を収納せずに、対向部492を上記実施形態の構成よりも長くして基部491が溝底面482に接触するように構成しても良い。
【0033】
セッティングブロック50の長手方向の両端面全体を挿入補助傾斜面503により構成したが、当該両端面における第1主面501側の部位を第1主面501および第2主面502に直交する垂直面にしても良く、この場合、ガスケット49を溝底面482から離した状態で挿入すれば、ガスケット49の挿入方向先端を挿入補助傾斜面503に摺接させつつ、スムーズに挿入することができる。
また、セッティングブロック50の長手方向の両端面全体、または、ガスケット49の面材挿入用溝48への挿入時にガスケット49に当接しない側の端面全体を、第1主面501および第2主面502に直交する垂直面にしても良い。
【0034】
面材挿入用溝48の一対の溝側面483を開口側側面484と底側側面485とによりそれぞれ構成したが、一対の溝側面483全体を、開口側側面484のように、隠蔽部481の突出基端から溝底面482に向かうにしたがって互いに近づくように傾斜するように形成しても良いし、底側側面485のように、互いに平行になるように形成しても良い。この場合、ガスケット49を、面材挿入用溝48とセッティングブロック50との当接により面材挿入用溝48内で位置決めされる形状に形成すれば良い。
【0035】
ガスケット49に、基部側接触部491Aおよび対向部側接触部492Aのうち一方を設けなくても良いし、両方を設けなくても良い。
【0036】
[本発明のまとめ]
本発明の障子は、面材と、前記面材の外周部が挿入される面材挿入用溝を有する框と、前記面材挿入用溝に収納され、前記面材の外周部を保持するガスケットと、を備え、前記面材挿入用溝における前記面材に対向する一対の開口縁には、前記面材に近づく方向に突出し、前記ガスケットを隠す隠蔽部がそれぞれ形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、隠蔽部によりガスケットが隠されているため、障子の意匠性の低下を抑制することができる。
【0037】
本発明の障子において、前記面材挿入用溝の溝底面と前記ガスケットとの間には、セッティングブロックが配置されていることが好ましい。
本発明によれば、層間変位が生じても、セッティングブロックにより、面材挿入用溝の溝底面とガスケットとが衝突することを防止でき、当該衝突時の衝撃による面材の破損を抑制することができる。
【0038】
本発明の障子において、前記框は、当該框における長手方向の一端から前記面材挿入用溝に前記ガスケットを挿入可能に構成され、前記セッティングブロックにおける前記長手方向の一端側に位置する部位には、前記ガスケットの挿入方向に向かうにしたがって前記溝底面から離れるように傾斜する挿入補助傾斜面が設けられていることが好ましい。
本発明によれば、ガスケットの挿入方向先端を挿入補助傾斜面に摺接させつつ、ガスケットを面材挿入用溝に挿入することができる。したがって、ガスケットをセッティングブロックに引っ掛けることなくスムーズに挿入することができる。
【0039】
本発明の障子において、前記面材挿入用溝は、前記溝底面と、前記溝底面から一対の前記隠蔽部のそれぞれの突出基端にかけて設けられた一対の溝側面と、により構成され、前記一対の溝側面は、前記隠蔽部の突出基端から前記溝底面に近づくにしたがって互いに近づくように傾斜する開口側側面と、前記開口側側面の前記溝底面側に位置し、互いに平行な底側側面と、をそれぞれ備えていることが好ましい。
本発明によれば、溝側面を上述のように設けられた開口側側面と底側側面とにより構成しているため、框の長手方向に直交する断面における一対の隠蔽部の突出基端よりも溝底面側の面積をより小さくすることができ、框の押出成形性を良くすることができる。また、セッティングブロックの配置スペースを形成する一対の底側側面を互いに平行になるように形成しているため、セッティングブロックと各底側側面との隙間を十分に確保することができる。したがって、セッティングブロックを各溝側面に接触しないように容易に配置することができる。
【0040】
本発明の障子において、前記ガスケットは、前記面材の端面と前記セッティングブロックとの間に位置する基部と、前記基部から前記開口側側面と前記面材との間にそれぞれ位置するように延びる一対の対向部と、前記一対の対向部のそれぞれから互いに近づく方向に延びて前記面材に当接する一対の当接部と、を備え、前記一対の当接部は、変形可能に形成されていることが好ましい。
本発明によれば、樹脂製の当接部との当接により面材に傷が付いたり、面材が破損したりすることを抑制することができる。また、ガスケットへの面材の挿入時に当接部が変形するため、面材を容易にガスケットに挿入することができる。
【0041】
本発明の障子において、前記基部は、前記セッティングブロックに線接触または点接触する基部側接触部を備えていることが好ましい。
本発明によれば、基部側接触部をセッティングブロックに線接触または点接触させながら、ガスケットを面材挿入用溝に挿入することができる。したがって、ガスケット挿入時の摩擦抵抗を減らすことができ、ガスケットをスムーズに挿入することができる。
【0042】
本発明の障子において、前記一対の対向部は、前記開口側側面に線接触または点接触する対向部側接触部を備えていることが好ましい。
本発明によれば、対向部側接触部を開口側側面に線接触または点接触させながら、ガスケットを面材挿入用溝に挿入することができる。したがって、ガスケット挿入時の摩擦抵抗を減らすことができ、ガスケットをスムーズに挿入することができる。また、公差により対向部が開口側側面に当接しない形状に形成されても、対向部側接触部を開口側側面に線接触または点接触させることができ、ガスケットにより框に対する面材の位置決めを適切に行うことができる。
【符号の説明】
【0043】
1…室内窓(建具)、4…障子、4A…左障子、4B…右障子、41…面材、42…上框、43…下框、44…中桟、45…外側縦框、46…連結框、46A…左連結框、46B…右連結框、48…面材挿入用溝、49…ガスケット、50…セッティングブロック、481…隠蔽部、482…溝底面、483…溝側面、484…開口側側面、485…底側側面、491…基部、491A…基部側接触部、492…対向部、492A…対向部側接触部、493…当接部、501…第1主面、502…第2主面、503…挿入補助傾斜面。