(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119273
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】電気光学装置、電気光学装置の製造方法および電子機器
(51)【国際特許分類】
H10K 59/131 20230101AFI20240827BHJP
H10K 50/84 20230101ALI20240827BHJP
H10K 71/60 20230101ALI20240827BHJP
H10K 71/16 20230101ALI20240827BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H10K59/131
H10K50/84
H10K71/60
H10K71/16
G09F9/30 365
G09F9/30 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026056
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 剛
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC21
3K107DD03
3K107DD39
3K107DD88
3K107DD95
3K107FF14
3K107FF15
3K107GG01
3K107GG03
5C094AA38
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094DA07
5C094DA13
5C094FA02
5C094FB12
5C094FB15
5C094JA08
(57)【要約】
【課題】信頼性の低下を抑制することができる電気光学装置、および電子機器を提供する。
【解決手段】電気光学装置は、駆動回路を有する基板と、前記駆動回路と電気的に接続された第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置され、コンタクトホールを有する第1絶縁層と、透光性を有する第3電極と、前記第2電極と前記第3電極との間に配置された発光機能層と、前記第3電極の前記発光機能層とは反対に配置された第2絶縁層と、前記コンタクトホール内に配置され、前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続する導電部と、を備え、前記第2電極は、前記導電部を覆い、前記導電部は、前記コンタクトホールの内壁面に配置された第1導電部と、前記第1導電部の内側に配置される第2導電部と、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動回路を有する基板と、
前記駆動回路と電気的に接続された第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配置され、コンタクトホールを有する第1絶縁層と、
透光性を有する第3電極と、
前記第2電極と前記第3電極との間に配置された発光機能層と、
前記第3電極の前記発光機能層とは反対に配置された第2絶縁層と、
前記コンタクトホール内に配置され、前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続する導電部と、を備え、
前記第2電極は、前記導電部を覆い、
前記導電部は、前記コンタクトホールの内壁面に配置された第1導電部と、前記第1導電部の内側に配置される第2導電部と、を有する、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記第2電極と前記発光機能層との間に配置され、前記第2電極と平面視で重なる開口を有する第3絶縁層を、さらに有し、
前記発光機能層は、前記開口において前記第2電極と接触し、
前記開口と、前記導電部とは、前記平面視で重なる、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記第1導電部は、チタンナイトライドを含み、
前記第2導電部は、タングステンを含む、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記第1導電部の厚さは、前記第2導電部の厚さよりも薄く、
前記第1導電部の厚さは、30nm以上60nm以下である、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記第2絶縁層は、無機ケイ素材料を含む複数の無機絶縁膜で構成される、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記複数の無機絶縁膜は、第1無機絶縁膜と、前記第1無機絶縁膜の密度よりも大きい密度の第2無機絶縁膜を含む、
請求項5に記載の電気光学装置。
【請求項7】
駆動回路を有する基板を用意する工程と、
前記駆動回路と電気的に接続された第1電極を形成する工程と、
前記第1電極上に第1絶縁層を形成する工程と、
前記第1絶縁層に、前記第1電極の一部に開口するコンタクトホールを形成する工程と、
前記コンタクトホール内に導電性を有する導電部を形成する工程と、
前記第1絶縁層上に、前記導電部を介して前記第1電極に電気的に接続された第2電極を形成する工程と、
前記第2電極上に発光機能層を形成する工程と、
前記発光機能層上に、透光性を有する第3電極を形成する工程と、
前記第3電極上に第2絶縁層を形成する工程と、
を含み、
前記第2電極を形成する工程では、
前記導電部を覆うよう前記第2電極を形成し、
前記導電部を形成する工程では、
前記コンタクトホールの内壁面上に第1導電部を形成し、
前記第1導電部の内側に第2導電部を形成する、
ことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項8】
前記第2絶縁層を形成する工程では、
CVD法により、無機ケイ素材料を含む第1無機絶縁膜を形成し、
ALD法により、無機ケイ素材料を含む第2無機絶縁膜を形成する、
請求項7に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載の電気光学装置と、
前記電気光学装置の動作を制御する制御部と、を有することを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置、電気光学装置の製造方法および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置および有機エレクトロルミネッセンス装置等の電気光学装置が知られている。かかる装置の一例として、特許文献1に記載の有機EL装置が挙げられる。
【0003】
当該文献の有機EL装置では、基板と、配線と、平坦化層と、第1電極と、有機EL層と、第2電極と、画素を区画するバンク層とが、この順に並ぶ。平坦化層には、コンタクトホールが設けられる。当該コンタクトホール内には、第1電極の一部が配置されており、第1電極は下層の配線に電気的に接続される。また、有機EL素子への水分の影響を考慮し、第2電極およびバンク層の形成後には封止が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、従来の有機EL装置では、第1電極の一部がコンタクトホール内に配置されている。そして、当該コンタクトホール内を埋めるようにバンク層が設けられている。このため、コンタクトホールの影響を受け、第2電極およびバンク層の表面は凹凸を有する。また、第2電極およびバンク層の上層に封止層を設ける場合、第2電極およびバンク層の表面の凹凸が封止層の表面に影響を与えてしまう。この結果、封止層に欠陥が生じるおそれがある。それゆえ、封止層の封止性能が低下するおそれがある。よって、電気光学装置の品質信頼性が低下するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様に係る電気光学装置は、駆動回路を有する基板と、前記駆動回路と電気的に接続された第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置され、コンタクトホールを有する第1絶縁層と、透光性を有する第3電極と、前記第2電極と前記第3電極との間に配置された発光機能層と、前記第3電極の前記発光機能層とは反対に配置された第2絶縁層と、前記コンタクトホール内に配置され、前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続する導電部と、を備え、前記第2電極は、前記導電部を覆い、前記導電部は、前記コンタクトホールの内壁面に配置された第1導電部と、前記第1導電部の内側に配置される第2導電部と、を有する。
【0007】
また、本発明の好適な態様に係る電気光学装置の製造方法は、駆動回路を有する基板を用意する工程と、前記駆動回路と電気的に接続された第1電極を形成する工程と、前記第1電極上に第1絶縁層を形成する工程と、前記第1絶縁層に、前記第1電極の一部に開口するコンタクトホールを形成する工程と、前記コンタクトホール内に導電性を有する導電部を形成する工程と、前記第1絶縁層上に、前記導電部を介して前記第1電極に電気的に接続された第2電極を形成する工程と、前記第2電極上に発光機能層を形成する工程と、前記発光機能層上に、透光性を有する第3電極を形成する工程と、前記第3電極上に第2絶縁層を形成する工程と、を含み、前記第2電極を形成する工程では、前記導電部を覆うよう前記第2電極を形成し、前記導電部を形成する工程では、前記コンタクトホールの内壁面上に第1導電部を形成し、前記第1導電部の内側に第2導電部を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態における電気光学装置を示す平面図である。
【
図3】
図1の電気光学装置の画素を説明するための平面図である。
【
図5】第2絶縁層が有機材料を含む場合の光の出射を示す図である。
【
図6】第2絶縁層が無機材料で形成される場合の光の出射を示す図である。
【
図7】本実施形態の電気光学装置の製造方法のフローである。
【
図8】第1絶縁層形成工程を説明するための図である。
【
図9】コンタクトホール形成工程を説明するための図である。
【
図10】導電部形成工程を説明するための図である。
【
図11】導電部形成工程を説明するための図である。
【
図12】導電部形成工程を説明するための図である。
【
図13】導電部形成工程を説明するための図である。
【
図14】第2電極形成工程を説明するための図である。
【
図15】第2電極形成工程を説明するための図である。
【
図16】第3絶縁層形成工程を説明するための図である。
【
図17】第3絶縁層形成工程を説明するための図である。
【
図18】第2絶縁層形成工程を説明するための図である。
【
図19】第2絶縁層形成工程を説明するための図である。
【
図20】電子機器の一例である虚像電気光学装置の一部を模式的に示す平面図である。
【
図21】電子機器の一例であるパーソナルコンピューターを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法や縮尺は実際のものと適宜異なり、理解を容易にするために模式的に示す部分もある。また、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0010】
また、要素αと要素βとの「電気的な接続」は、要素αと要素βとが直接的に接合されることで導通する構成のほか、要素αと要素βとが他の導電体を介して間接的に導通する構成も含まれる。また、「要素α上の要素β」とは、要素αと要素βとが直接的に接触している構成のほか、要素αと要素βとが他の要素を介して間接的に接触している構成も含まれる。
【0011】
1.電気光学装置
1A.電気光学装置の基本構成
図1は、第1実施形態における電気光学装置100を示す平面図である。以下では、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を適宜用いて説明する。また、X軸に沿う一方向をX1方向といい、X1方向とは反対の方向をX2方向という。同様に、Y軸に沿う一方向をY1方向といい、Y1方向とは反対の方向をY2方向という。Z軸に沿う一方向をZ1方向といい、Z1方向とは反対の方向をZ2方向という。また、Z1方向またはZ2方向からみることを「平面視」という。また、光透過性とは、可視光に対する透過性を意味し、好ましくは可視光の透過率が50%以上であることをいう。また、光反射性とは、可視光に対する反射性を意味し、好ましくは可視光の反射率が50%以上であることをいい、より好ましくは15%以下であることをいう。
【0012】
図1に示す電気光学装置100は、フルカラーの画像を表示する有機EL(エレクトロルミネッセンス)装置である。なお、画像には、文字情報のみを表示するものが含まれる。電気光学装置100は、例えば、ヘッドマウントディスプレイにおいて画像を表示するマイクロディスプレイとして好適に用いられる。なお、本実施形態では、電気光学装置100は、フルカラーの画像を表示可能であるが、単色のみの画像を表示する装置であってもよい。
【0013】
電気光学装置100は、表示領域A10と周辺領域A20とを有する。表示領域A10は、画像を表示する領域である。表示領域A10の平面視での形状は、ほぼ四角形であるが、他の形状でもよい。周辺領域A20は、表示領域A10を平面視で囲む枠状の領域である。
【0014】
表示領域A10は、複数の画素Pを含む。各画素Pは、画像の表示における最小単位である。複数の画素Pは、例えば、X軸およびY軸に沿った行列状に配置される。各画素Pは、サブ画素PBと、サブ画素PGと、サブ画素PRとを含む。サブ画素PBは、青色の波長域の光を出射する。サブ画素PGは、緑色の波長域の光を出射する。サブ画素PRは、赤色の波長域の光を出射する。赤色の波長域は、580nmを超え、700nm以下である。緑色の波長域は、500nm以上、580nm以下である。青色の波長域は、400nm以上、500nm未満である。サブ画素PB、PGおよびPRの配列は、特に限定されず、例えば、ストライプ配列、レクタングル配列、ベイヤー配列、またはデルタ配列が挙げられる。本実施形態では、サブ画素PB、PGおよびPRの配列は、ストライプ配列である。
【0015】
以下では、サブ画素PB、サブ画素PGおよびサブ画素PRを区別しない場合、サブ画素P0と表記する。サブ画素P0は、画素Pを構成する要素である。サブ画素P0は、表示する画像の最小単位である。サブ画素PB、サブ画素PG、サブ画素PRによって、カラー画像の1つの画素Pが表現される。サブ画素P0は他のサブ画素P0とは独立して制御される。
【0016】
図1に示すように、電気光学装置100は、素子基板1と、光透過性を有する透光性基板9と、を有する。電気光学装置100は、いわゆるトップエミッション構造である。電気光学装置100は、透光性基板9から光を出射させる。
【0017】
周辺領域A20には、データ線駆動回路101と、走査線駆動回路102と、制御回路103と、複数の外部端子104とが配置される。データ線駆動回路101および走査線駆動回路102は、各サブ画素P0に含まれる各部の駆動を制御する。制御回路103には、図示省略された上位回路から画像データが供給される。制御回路103は、当該画像データに基づく各種信号をデータ線駆動回路101および走査線駆動回路102に供給し、画像の表示を制御する。図示しないが、外部端子104には、図示省略された上位回路との電気的な接続を図るためのFPC(Flexible printed circuits)基板等が接続される。なお、電気光学装置100には、図示省略された電源回路が電気的に接続される。
【0018】
図2は、
図1に示すサブ画素P0の等価回路図である。電気光学装置100は、複数の走査線13および複数のデータ線14を有する。
図2では、1つのサブ画素P0に対応する1つの走査線13および1つのデータ線14が図示される。走査線13はX軸に沿って延び、データ線14はY軸に沿って延びる。なお、図示省略するが、複数の走査線13と複数のデータ線14は、格子状に配列される。また、各走査線13は
図1に示す走査線駆動回路102に接続され、各データ線14は
図1に示すデータ線駆動回路101に接続される。
【0019】
1B.電気光学装置の電気的な構成
図2に示すように、サブ画素P0は、発光素子20と、駆動回路30とを含む。発光素子20は、OLED(有機発光ダイオード)で構成される。発光素子20は、第2電極23と、第3電極25と、発光機能層24とを有する。第2電極23は、サブ画素P0ごとに設けられる画素電極であり、陽極として機能する。第3電極25は、複数のサブ画素P0で共通な共通電極であり、陰極として機能する。発光機能層24は、第2電極23と第3電極25との間に配置される。発光素子20では、第2電極23から供給される正孔と、第3電極25から供給される電子とが発光機能層24で再結合することにより、発光機能層24が光を発生させる。第3電極25には、給電線16が電気的に接続される。給電線16には、図示省略された電源回路から低位側の電源電位Vctが供給される。第2電極23は他の第2電極23とは独立して互いに異なるように設定可能である。
【0020】
駆動回路30、発光素子20の駆動を制御する画素回路である。駆動回路30は、スイッチング用トランジスター31と、駆動用トランジスター32と、保持容量33とを有する。スイッチング用トランジスター31のゲートは、走査線13に電気的に接続される。また、スイッチング用トランジスター31のソースまたはドレインの一方が、データ線14に電気的に接続され、他方が、駆動用トランジスター32のゲートに電気的に接続される。また、駆動用トランジスター32のソースまたはドレインの一方が、給電線15に電気的に接続され、他方が、第2電極23に電気的に接続される。なお、給電線15には、図示省略された電源回路から高位側の電源電位Velが供給される。また、保持容量33の一方の電極は、駆動用トランジスター32のゲートに接続され、他方の電極は、給電線15に接続される。
【0021】
走査線駆動回路102が走査信号をアクティブにすることで走査線13が選択されると、選択されるサブ画素P0に設けられるスイッチング用トランジスター31がオンする。すると、データ線14からデータ信号が、選択される走査線13に対応する駆動用トランジスター32に供給される。駆動用トランジスター32は、供給されるデータ信号の電位、すなわちゲートおよびソース間の電位差に応じた電流を発光素子20に対して供給する。そして、発光素子20は、駆動用トランジスター32から供給される電流の大きさに応じた輝度で発光する。また、走査線駆動回路102が走査線13の選択を解除してスイッチング用トランジスター31がオフした場合、駆動用トランジスター32のゲートの電位は、保持容量33により保持される。このため、発光素子20は、スイッチング用トランジスター31がオフした後も発光が可能である。
【0022】
なお、前述の駆動回路30の構成は、図示の構成に限定されない。例えば、駆動回路30は、第2電極23と駆動用トランジスター32との間の導通を制御するトランジスターをさらに備えてもよい。
【0023】
1C.電気光学装置の具体的な構成
図3は、
図1に示す電気光学装置100の画素Pを説明するための平面図である。
図3では、1つの画素Pの要素が代表的に図示される。以下では、サブ画素PRに関連する要素の符号の末尾に「R」を付し、サブ画素PGに関連する要素の符号の末尾に「G」を付し、サブ画素PBに関連する要素の符号の末尾に「B」を付す。なお、発光色ごとに区別しない場合には、符号の末尾の「B」、「G」および「R」を省略する。
【0024】
図3に示すように、素子基板1は、画素Pごとに、発光素子20R、20B、および20Gの組を有する。発光素子20Rは、サブ画素PRに設けられる発光素子20である。発光素子20Bは、サブ画素PBに設けられる発光素子20である。発光素子20Gは、サブ画素PGに設けられる発光素子20である。前述のように、第2電極23は、サブ画素P0ごとに設けられている。よって、発光素子20Rには第2電極23Rが設けられ、発光素子20Gには第2電極23Gが設けられ、発光素子20Bには第2電極23Bが設けられる。
【0025】
発光素子20Rは、赤色の波長域を含む波長域の光を発する発光領域ARを有する。発光素子20Bは、青色の波長域を含む波長域の光を発する発光領域ABを有する。発光素子20Gは、緑色の波長域を含む波長域の光を発する発光領域AGを有する。発光領域ARは、平面視で第2電極23Rの内側に設けられる。発光領域AGは、平面視で第2電極23Gの内側に設けられる。発光領域ABは、平面視で第2電極23Bの内側に設けられる。
【0026】
また、
図3に示す例では、発光領域AR、AGおよびABのそれぞれの平面視での形状は、四角形であるが、他の形状でもよい。また、発光領域AR、AGおよびABの平面視での形状は、互いに異なってもよいし、互いに等しくてもよい。
【0027】
図4は、
図1の電気光学装置100の断面図である。なお、
図4では、説明の便宜上、サブ画素PB、PGおよびPRが有する各要素を1つの断面に示す。
【0028】
図4に示すように、電気光学装置100は、素子基板1と、接着層90と、透光性基板9とを有する。素子基板1は、基板10と、複数の第1電極21と、第1絶縁層22と、複数の第2電極23と、第3絶縁層27と、発光機能層24と、第3電極25と、第2絶縁層26と、着色層5と、導電部4と、を含む。複数の第1電極21、第1絶縁層22、複数の第2電極23、第3絶縁層27、発光機能層24、第3電極25、第2絶縁層26、および着色層5とは、この順に基板10から並ぶ。
【0029】
基板10は、前述の駆動回路30を有する。詳細な図示はしないが、基板10は、例えば、シリコン基板上に駆動回路30が形成された配線基板である。なお、シリコン基板の代わりに、例えば、ガラス基板、樹脂基板またはセラミックス基板が用いられてもよい。また、駆動回路30が有する前述の各トランジスターは、MOS型トランジスター、薄膜トランジスターまたは電界効果トランジスターのいずれでもよい。また、駆動回路30が有する各要素および各種配線の材料としては、例えば、ポリシリコン、金属、金属シリサイドおよび金属化合物等の導電材料が挙げられる。
【0030】
基板10上には、複数の第1電極21が配置される。複数の第1電極21は、複数のサブ画素P0に1対1で設けられる。サブ画素PRには、第1電極21Rが設けられる。サブ画素PGには、第1電極21Gが設けられる。サブ画素PBには、第1電極21Bが設けられる。複数の第1電極21は、対応するサブ画素P0に設けられる駆動回路30と電気的に接続される。また、各第1電極21は、光反射性を有しており、発光機能層24で発する光を反射する。複数の第1電極21の材料としては、例えば、Al(アルミニウム)、Cu(銅)およびAg(銀)等の金属、あるいはこれらの金属の合金が挙げられる。例えば、各第1電極21は、アルミニウム膜と窒化チタン膜との積層体で構成される。各第1電極21の厚さは、特に限定されないが、例えば、100nm以上200nm以下である。例えば、各第1電極21は、例えば、アルミニウム膜と窒化チタン膜との積層体で構成される。例えば、各第1電極21がアルミニウム膜と窒化チタン膜との積層体で構成される場合、アルミニウム膜の厚さは、50nm以上150nm以下であり、窒化チタン膜の厚さは、10nm以上50nm以下である。
【0031】
複数の第1電極21上には、第1絶縁層22が配置される。第1絶縁層22は、複数の増反射膜221と、電極分離層222と、埋込部223と、第1光路調整層224と、第2光路調整層225と、第3光路調整層226とを含む。増反射膜221、電極分離層222、第1光路調整層224、第2光路調整層225、および第3光路調整層226は、複数の第1電極21からこの順に配置される。
【0032】
複数の増反射膜221は、複数の第1電極21の光反射性を高めるために設けられる。複数の増反射膜221は、光透過性および絶縁性を有する。複数の増反射膜221は、例えば、酸化シリコン(SiOx)を含む。複数の増反射膜221の厚さは、例えば、20nm50nm以下である。
【0033】
電極分離層222は、複数の第1電極21を互いに分離させ、互いに絶縁する。電極分離層222は、隣り合う2つの第1電極21内に配置される凹部222aを有する。凹部222aの内部は、埋込部223によって埋められている。電極分離層222および埋込部223は、例えば、窒化シリコンを含む。電極分離層222の厚さは、例えば、20nm50nm以下である。
【0034】
第1光路調整層224、第2光路調整層225、および第3光路調整層226は、光学距離L0を調整する層である。光学距離L0は、各第1電極21の第2電極23を向く面と、第3電極25の第2電極23とは反対の面との間における光学的な距離である。第1光路調整層224は、サブ画素PR、PGおよびPBに一様に配置される。第2光路調整層225は、サブ画素PRおよびPGに配置され、サブ画素PBには配置されない。第3光路調整層226は、サブ画素PRに配置され、サブ画素PGおよびPBには配置されない。また、第1光路調整層224は、電極分離層222および埋込部223の表面の凹凸の上層への影響を低減するために設けられる。第1光路調整層224、第2光路調整層225、および第3光路調整層226の各材料としては、例えば、酸化ケイ素および窒化ケイ素等の無機ケイ素材料が挙げられる。第1光路調整層224の厚さは、例えば、20nm50nm以下である。第2光路調整層225の厚さは、例えば、30nm80nm以下である。第3光路調整層226の厚さは、例えば、30nm80nm以下である。
【0035】
第1絶縁層22は、複数のコンタクトホールH0を有する。各コンタクトホールH0は、第1絶縁層22に形成される貫通孔である。各コンタクトホールH0は、第1絶縁層22を厚さ方向に貫通する。複数のコンタクトホールH0には、複数の導電部4が1対1で設けられる。よって、第1絶縁層22には、複数の導電部4が設けられる。各導電部4は、1つの第1電極21と1つの第2電極23とを電気的に接続するコンタクトプラグである。
【0036】
第3光路調整層226上には、複数の第2電極23が配置される。第2電極23は、半透過反射層である。第2電極23の材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)およびIZO(Indium Zinc Oxide)等の透明導電材料が挙げられる。第2電極23の厚さは、例えば、10nm以上30nm以下である。第2電極23上には、発光機能層24が配置される。発光機能層24は、有機発光材料を含む発光層を含む。有機発光材料は、発光性の有機化合物である。また、発光機能層24は、発光層以外に、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および電子注入層等を含む。発光機能層24は、青色、緑色および赤色の各発光色が得られる発光層を含んで白色発光を実現する。なお、発光機能層24の構成は、前述の構成に特に限定されるものではなく、公知の構成を適用することができる。発光機能層24上には、第3電極25が配置される。第3電極25は、光反射性および光透過性を有する。第3電極25は、例えば、MgAg等のAgを含む合金等に金属材料を含む。
【0037】
発光素子20Rは、第1電極21Rと増反射膜221と電極分離層222と第1光路調整層224と第2光路調整層225と第3光路調整層226と第2電極23Rと発光機能層24と第3電極25とを有する。発光素子20Gは、第1電極21Gと増反射膜221と電極分離層222と第1光路調整層224と第2光路調整層225と第2電極23Gと発光機能層24と第3電極25とを有する。発光素子20Bは、第1電極21Bと増反射膜221と電極分離層222と第1光路調整層224と第2電極23Bと発光機能層24と第3電極25とを有する。
【0038】
また、前述の光学距離L0は、サブ画素P0ごとに異なる。具体的には、サブ画素PRの光学距離L0は、赤色の波長域に対応して設定される。サブ画素PGの光学距離L0は、緑色の波長域に対応して設定される。サブ画素PBの光学距離L0は、青色の波長域に対応して設定される。
【0039】
各発光素子20は、所定の波長域の光を第1電極21と第3電極25との間で共振させる光共振構造29を有する。発光素子20R、20Gおよび20Bは互いに異なる光共振構造29を有する。光共振構造29は、発光機能層24が有する発光層で発光する光を第1電極21と第3電極25との間で多重反射させ、所定の波長域の光を選択的に強める。発光素子20Rは、第1電極21と第3電極25との間で赤色の波長域の光を強める光共振構造29Rを有する。発光素子20Gは、第1電極21と第3電極25との間で緑色の波長の光を強める光共振構造29Gを有する。発光素子20Bは、第1電極21と第3電極25との間で青色の波長の光を強める光共振構造29Bを有する。
【0040】
光共振構造29における共振波長は、光学距離L0によって決まる。当該共振波長をλ0とするとき、次のような関係式[1]が成り立つ。なお、関係式[1]中のΦ(ラジアン)は、第1電極21と第3電極25との間での透過および反射の際に生じる位相シフトの総和を表す。
{(2×L0)/λ0+Φ}/(2π)=m0(m0は整数)・・・・・[1]
取り出したい波長域の光のピーク波長が波長λ0となるよう、光学距離L0が設定される。この設定により、取り出したい所定の波長域の光が増強され、当該光の高強度化およびスペクトルの狭幅化を図ることができる。
【0041】
本実施形態では、第1光路調整層224、第2光路調整層225および第3光路調整層226を設けることにより、サブ画素PB、PGおよびPRごとに光学距離L0が調整される。なお、例えば、サブ画素PB、PGおよびPRごとに第2電極23の厚さを異ならせることにより、光学距離L0が調整されてもよい。
【0042】
複数の第2電極23上には、第3絶縁層27が配置される。第3絶縁層27は、複数の開口O1を有しており、複数の第2電極23の各外縁を覆う。開口O1は、第3絶縁層27に設けられる孔である。第3絶縁層27によって、複数の第2電極23は互いに電気的に絶縁される。第3絶縁層27が有する複数の開口により、発光領域Aが規定される。また、発光領域Aは、発光機能層24と第2電極23とが接する領域ともいえる。具体的には、発光領域ARと、発光領域AGと、発光領域ABとが規定される。第3絶縁層27の材料としては、例えば、酸化ケイ素および窒化ケイ素等のケイ素系の無機材料が挙げられる。第3絶縁層27の厚さは、例えば、10nm以上40nm以下である。
【0043】
第3電極25上には、第2絶縁層26が配置される。第2絶縁層26は、上面に平坦な面を提供するための平坦化層である。また、第2絶縁層26は、複数の発光素子20を保護する。具体的には、第2絶縁層26は、ガスバリア性を有しており、各発光素子20を外部の水分または酸素等から保護する。第2絶縁層26が設けられていることで、第2絶縁層26が設けられていない場合に比べ、発光素子20の劣化を抑制することができる。このため、電気光学装置100の品質信頼性を高めることができる。また、第2絶縁層26は、光透過性を有する。
【0044】
第2絶縁層26は、複数の無機絶縁膜260を含む。複数の無機絶縁膜260は、光透過性および絶縁性を有する。各無機絶縁膜260は、例えば、無機ケイ素材料を含む。無機ケイ素材料とは、酸化ケイ素(SiOx)、窒化ケイ素(SiN)、および酸窒化シリコン(SiON)等のケイ素を含む無機化合物である。各無機絶縁膜260は、有機材料を含んでもよいが、有機材料を含まず、無機ケイ素材料で形成されることが好ましい。各無機絶縁膜260が無機ケイ素材料で形成されることで、各無機絶縁膜260が有機材料を含む場合に比べて、第2絶縁層26の厚さを薄くすることができる。よって、視野角を拡大することができる。
【0045】
第2絶縁層26が無機ケイ素材料で形成されることで、第2絶縁層26が有機材料を含む場合に比べ、複数の無機絶縁膜260同士の屈折率差を小さくすることができる。電気光学装置100がトップエミッション構造であるため、屈折率差が小さくなることで、複数の無機絶縁膜260の各界面反射を抑制することができる。このため、光の取り出し効率を高めることができる。したがって、電気光学装置100の光学特性の低下を抑制することができる。また、視野角特性の向上を図ることができる。よって、封止性能に優れるとともに、電気光学装置100の光学特性の低下を抑制することができる。
【0046】
複数の無機絶縁膜260は、第1無機絶縁膜261、263および265と、第2無機絶縁膜262および264とを含む。第1無機絶縁膜261、第2無機絶縁膜262、第1無機絶縁膜263、第2無機絶縁膜264、および第1無機絶縁膜265は、第3電極25から順に配置される。
【0047】
第2無機絶縁膜262および264の各膜密度は、第1無機絶縁膜261、263および265の各膜密度より大きい。第1無機絶縁膜261、263および265が設けられていることで、第2絶縁層26の下層の凹凸の影響を低減することができる。第2無機絶縁膜262および264が設けられていることで、第1無機絶縁膜261、263および265に発生するおそれのある欠陥を補完し、かつ欠陥の進展を阻止することができる。このため、第2絶縁層26が密度の異なる2種の膜を含むことで、1種の膜だけで構成される場合に比べ、第2絶縁層26に欠陥が生じることを抑制することができる。さらに、欠陥が生じた場合であっても、大気中の水分等が欠陥を介して発光素子20に伝達されることが抑制される。
【0048】
第2絶縁層26の総膜厚は、特に限定されないが、500nm以上2000nm以下であることが好ましく、600nm以上1800nm以下であることがより好ましく、700nm以上1500nm以下であることがさらに好ましい。かかる範囲内であると、封止性能に優れ、かつ厚さが充分に薄い第2絶縁層26を実現できる。特に、第2絶縁層26の総膜厚が1500nm以下であることで、マイクロディスプレイとして好適に用いることができ、かつ視野角特性の向上を図ることができる。なお、総膜厚は、平均の厚さである。
【0049】
第1無機絶縁膜261の厚さD1、第1無機絶縁膜263の厚さはD3、および第1無機絶縁膜265の厚さD5のそれぞれは、第2無機絶縁膜262の厚さD2および第2無機絶縁膜264の厚さD4のそれぞれよりも厚い。かかる厚さの関係であることで、第2絶縁層26の厚さが過度に厚くならず、かつ、各無機絶縁膜260の各役割が充分に発揮される。
【0050】
厚さD1、D3、およびD5のそれぞれは、100nm以上1000nm以下であることが好ましく、300nm以上600nm以下であることがより好ましい。厚さD1、D3およびD5が上記範囲内であると、範囲外である場合に比べ、第2絶縁層26の上面を平坦面に充分に近づけることができ、かつ、電気光学装置100の柔軟性が低下するおそれが抑制される。
【0051】
厚さD2および厚さD4のそれぞれは、10nm以上100nm以下であることが好ましく、20nm以上80nm以下であることがより好ましい。厚さD2およびD4が上記範囲内であると、第2無機絶縁膜262および264による第1無機絶縁膜261、263および265の欠陥を補完する機能を顕著に発揮できるとともに、第2無機絶縁膜262および264の形成時間が過度に長くなることを抑制することができる。
【0052】
なお、図示の例では、第2絶縁層26は、5つの無機絶縁膜260を含む。ただし、第2絶縁層26が有する無機絶縁膜260の数は、5に限定されず、1~4、または6以上でもよい。ただし、「第1無機絶縁膜」と「第2無機絶縁膜」とは交互に配置されることが好ましい。
【0053】
第2絶縁層26上には、着色層5が配置される。着色層5は、所定の波長域の光を選択的に透過させるカラーフィルターである。当該所定の波長域は、色ごとのピーク波長λ0を含む。着色層5を備えることで、着色層5を備えていない場合に比べ、各サブ画素P0から発せられる光の色純度を高めることができる。着色層5は、例えば、色材を含むアクリル系の感光性樹脂材料等の樹脂材料で構成される。当該色材は、顔料または染料である。
【0054】
着色層5は、着色部51Rと、着色部51Gと、着色部51Bとを有する。着色部51Rは、サブ画素PRに対応して設けられ、発光素子20Rからの光のうち赤色の波長域の光を選択的に透過させる。着色部51Gは、サブ画素PGに対応して設けられ、発光素子20Gからの光のうち緑色の波長域の光を選択的に透過させる。着色部51Bは、サブ画素PBに対応して設けられ、発光素子20Bからの光のうち青色の波長域の光を選択的に透過させる。また、着色部51R、51Gおよび51Bは、平面視で互いに重なる部分を有する。つまり、平面視で3色の着色部51が重なっている部分が存在する。なお、着色部51R、51Gおよび51Bは、平面視で互いに重なっていなくてもよい。
【0055】
以上の素子基板1上には、接着層90を介して透光性基板9が接合される。接着層90は、例えば、エポキシ樹脂およびアクリル樹脂等の樹脂材料を用いた透明な接着剤である。透光性基板9は、素子基板1を保護するカバーである。透光性基板9は、例えばガラス基板または石英基板で構成される。
【0056】
1D.複数の導電部4の構成
複数の導電部4は、複数のサブ画素P0に1対1で設けられる。複数の導電部4は、1対1で複数のコンタクトホールH0内に設けられる。各導電部4は、コンタクトホールH0に配置される。各導電部4は、1つの第1電極21から1つの第2電極23に向かって延びる。各導電部4は、1つの第1電極21と1つの第2電極23とを電気的に接続するコンタクトプラグである。各導電部4は、対応する第2電極23に覆われている。
【0057】
各導電部4は、対応するコンタクトホールH0をほぼ埋める柱状のコンタクトプラグである。よって、各導電部4は、第2電極23の一部がコンタクトホールH0に配置されるトレンチ型とは異なる。各導電部4によりコンタクトホールH0がほぼ埋められることで、導電部4を覆う第2電極23の上層に配置される各部の表面の平坦性を従来よりも高めることができる。このため、第2電極23の上層に配置される第2絶縁層26が、従来のようにコンタクトホールH0の凹凸の影響を受け難い。よって、第2絶縁層26に当該凹凸に起因した欠陥が生じるおそれが抑制される。それゆえ、第2絶縁層26の封止性能の低下が抑制される。したがって、電気光学装置100の品質信頼性の低下を抑制することができる。
【0058】
各導電部4は、第1導電部41および第2導電部42を含む。第1導電部41は、コンタクトホールH0の内壁面に配置され、内壁面のほぼ全域を覆う。第1導電部41は、当該内壁面に接触する。第2導電部42は、第1導電部41の内側に配置され、第1導電部41の内側の空間を埋める。例えば第1導電部41に第1絶縁層22と第2導電部42との密着性を高める材料を用いることで、第1絶縁層22と第2導電部42との密着性を高めることができる。このため、各導電部4が第1導電部41を有さない場合に比べ、各導電部4の第1絶縁層22に対する密着性を高めることができるので、電気光学装置100の品質信頼性を高めることができる。また、例えばコンタクトホールH0を埋め込み易い材料を第2導電部42に用いることで、コンタクトホールH0を良好に埋め込むことができる。よって、第1電極21と第2電極23との接続不良が生じるおそれが抑制される。よって、電気光学装置100の品質信頼性を高めることができる。
【0059】
図3に示すように、各導電部4は、対応する第2電極23に平面視で重なる。また、平面図は省略するが、各導電部4は、平面視で、対応する第1電極21に重なる。また、各導電部4は、各開口O1に平面視で重なる。開口O1は、平面視で第2電極23と重なる。開口O1では、第2電極23と発光機能層24とが接触している。開口O1は、発光領域Aを形成する。
【0060】
各導電部4が各開口O1に平面視で重なるため、コンタクトホールH0および導電部4は、発光領域A内に配置される。例えば導電部4が発光領域Aの外側に配置される場合、導電部4を配置するためのコンタクト領域を発光領域Aの外側に別途設けなければならない。このため、発光領域A外の平面積が当該コンタクト領域によって増加してしまう。これに対し、導電部4が発光領域A内に配置されることで、発光領域Aの外側にコンタクト領域を設ける必要がない。このため、発光領域Aの外側、すなわち発光領域A以外の領域の平面積の増加を抑制することができる。それゆえ、開口率を向上させることができる。また、コンタクト領域を別途設ける必要がないため、コンタクト領域形成のための手間を省くことができる。また、第3絶縁層27を有することで、各サブ画素P0が確実に分離されるため、各色の鮮明さを高めることができる。
【0061】
また、各導電部4は、開口O1のうちの中心以外に配置されることが好ましく、当該中心よりも開口O1の縁の近くに配置されることが好ましい。導電部4が当該中心以外に配置されることで、当該中心に配置される場合に比べ、発光領域Aにおいて導電部4により光が遮断されることが抑制される。
【0062】
また、第1導電部41の材料としては、特に限定されないが、金属、金属窒化物ならびに金属シリサイド等の金属材料が挙げられる。具体的には例えば、チタンナイトライド(TiN)、タンタルナイトライド(TaN)またはタングステンナイトライド(WN)が挙げられる。特に、第1導電部41は、チタンナイトライドを含むことが好ましい。
【0063】
第1導電部41がチタンナイトライドを含むことで、第1絶縁層22と第2導電部42との密着性を特に高めることができる。また、第1導電部41は、当該密着性の観点から、チタンナイトライドを95%以上含むことが好ましい。なお、第1導電部41は、導電性を有すればよく、上記の材料以外を含んでもよい。
【0064】
第2導電部42の材料としては、特に限定されないが、金属、金属窒化物ならびに金属シリサイド等の金属材料が挙げられる。具体的には例えば、タングステン(W)、コバルト(Co)、または銅(Cu)が挙げられる。特に、第2導電部42は、タングステンを含むことが好ましい。
【0065】
第2導電部42にタングステンを用いる利点は以下のとおりである。タングステンを用いることで、コンタクトホールH0内を良好に埋めることができる。コンタクトホールH0のアスペクト比が高い場合であってもコンタクトホールH0内を良好に埋めることができる。また、タングステンは、各種金属の中でも耐熱性に優れる。また、第2導電部42は、コンタクトホールH0を良好に埋め込む観点から、タングステンを95%以上含むことが好ましい。なお、第2導電部42は、導電性を有すればよく、上記の材料以外を含んでもよい。
【0066】
また、各導電部4は、第1導電部41および第2導電部42以外の、例えば第3導電部を有してもよい。
【0067】
図4に示すように、第1導電部41の厚さW1は、第2導電部42の厚さW2よりも薄い。例えば、第1導電部41は、第1絶縁層22と第2導電部42との密着性のために用いられ、第2導電部42は、コンタクトホールH0を良好に埋め込むために用いられる。この観点からすると、厚さW1は厚さW2よりも薄いことが好ましい。
【0068】
具体的には、第1導電部41の厚さW1は、特に限定されないが、30nm以上60nm以下であることが好ましい。かかる範囲内であることで、範囲外である場合に比べ、コンタクトホールH0の内壁面を不足なく覆うことができよって、第1絶縁層22と第2導電部42との密着性を充分に確保することができる。加えて、第1絶縁層22の成膜時間が過度に長くならない。また、前述の効果を顕著に発揮するために、厚さW1は、35nm以上55nm以下であることがより好ましく、40nm以上50nm以下であることがさらに好ましい。
【0069】
第2導電部42の厚さW2は、コンタクトホールH0の開口幅に応じて変化する。例えば、コンタクトホールH0の開口幅が200nmのとき、厚さW2は、100nm以上 120nm以下である。また、各導電部4の平面積は、特に限定されないが、例えば、 7500nm2以上、10800nm2以下である。かかる範囲内であることで、範囲外である場合に比べ、発光領域Aにおいて導電部4が光を過度に遮ることが無く、かつコンタクトホールH0および導電部4の寸法精度を高めることができる。
【0070】
ここで、前述の第2絶縁層26が無機ケイ素材料で形成される場合、有機材料で形成される場合に比べ、第2絶縁層26はこれより下層の凹凸の影響を受け易い。また、前述のように、導電部4がコンタクトホールH0を埋めるプラグ状であることで、トレンチ型である場合に比べ、コンタクトホールH0の凹凸の影響が第1絶縁層22よりも上層に生じ難い。このため、導電部4がコンタクトホールH0を埋めるプラグ状であり、かつ、第2絶縁層26が無機ケイ素材料を含むことで、当該凹凸の影響により第2絶縁層26に欠損が生じるおそれが抑制される。
【0071】
1E.視野角特性
図5は、第2絶縁層26xが有機材料を含む場合の光Lの出射を示す図である。
図6は、第2絶縁層26が無機材料で形成される場合の光Lの出射を示す図である。
図5に示す第2絶縁層26は、2つの無機膜267および268と、有機膜269とを含む。無機膜267および無機膜268の間に有機膜269が配置される。
図6に示す第2絶縁層26は、前述の3つの第1無機絶縁膜261、263および265と、2つの第2無機絶縁膜262および264とを含む。
【0072】
図6に示す第2絶縁層26の総膜厚は、有機膜269を有していないことで、
図5に示す第2絶縁層26xの総膜厚よりも薄い。このため、
図6に示す第2絶縁層26から出射される光Lの拡がりは、
図5に示す第2絶縁層26xから出射される光Lの拡がりよりも広い。よって、第2絶縁層26を無機材料で構成することで、有機材料を含む場合に比べ、光Lの視野角を大きくすることができる。
【0073】
1F.電気光学装置100の製造方法
図7は、本実施形態の電気光学装置100の製造方法のフローである。電気光学装置100の製造方法のうち素子基板1の製造方法を説明する。
図7に示すように、素子基板1の製造方法は、基板用意工程S10と、第1電極形成工程S11と、第1絶縁層形成工程S12と、コンタクトホール形成工程S13と、導電部形成工程S14と、第2電極形成工程S15と、第3絶縁層形成工程S16、発光機能層形成工程S17と、第3電極形成工程S18と、第2絶縁層形成工程S19と、着色層形成工程S20とを有する。
【0074】
基板用意工程S10では、基板10を用意する。基板10は、前述のように、複数の駆動回路30を有する。基板10は、例えば、シリコン基板上に駆動回路30が形成された配線基板である。
【0075】
第1電極形成工程S11では、基板10上に複数の第1電極21が形成される。各第1電極21は、前述の1つの駆動回路30と電気的に接続されるよう形成される。複数の第1電極21は、例えば、スパッタリング法または蒸着法により成膜された金属膜をエッチングによりパターニングされることで形成される。
【0076】
図8は、第1絶縁層形成工程S12を説明するための図である。第1絶縁層形成工程S12では、複数の第1電極21上に第1絶縁層22が形成される。具体的には、
図8に示すように、増反射膜221と、電極分離層222と、埋込部223と、第1光路調整層224と、第2光路調整層225と、第3光路調整層226とが形成される。
【0077】
複数の増反射膜221は、例えば、熱酸化またはCVD法により形成された酸化シリコン膜をエッチングによりパターニングされることで形成される。なお、複数の増反射膜221および前述の複数の第1電極21は、一括でパターニングされてもよい。また、複数の増反射膜221上に、複数の電極分離層222が形成される。電極分離層222は、例えば、窒化シリコンを含み、CVD法により形成される。電極分離層222は、複数の増反射膜221上、および複数の増反射膜221の間に形成される。電極分離層222には、凹部222aが形成される。電極分離層222の凹部222a内には、埋込部223が形成される。埋込部223は、例えば、窒化シリコンを含み、CVD法により形成される。第1光路調整層224は、例えば、窒化ケイ素等の無機ケイ素材料を含み、CVD法により形成される。第2光路調整層225および第3光路調整層226のそれぞれは、例えば、酸化ケイ素等の無機ケイ素材料を含み、CVD法およびエッチング法により形成される。
【0078】
図9は、コンタクトホール形成工程S13を説明するための図である。コンタクトホール形成工程S13では、第1絶縁層22に複数のコンタクトホールH0が形成される。複数のコンタクトホールH0は、例えば、フォトエッチングにより形成される。フォトエッチングを用いることで、アスペクト比の高い複数のコンタクトホールH0を簡単に形成することができる。また、複数のコンタクトホールH0が形成されることで、各第1電極21の一部が露出した状態になる。
【0079】
図10、
図11、
図12および
図13のそれぞれは、導電部形成工程S14を説明するための図である。導電部形成工程S14では、複数の導電部4が形成される。
【0080】
図10に示すように、まず、第1絶縁層22上に、例えばスパッタリング法により第1導電膜41aが形成される。第1導電膜41aは、例えば、チタンナイトライドを含む。第1導電膜41aは、第1絶縁層22の上面、各コンタクトホールH0の内壁面、および第1電極21の露出部分に形成される。次に、
図11に示すように、第1導電膜41a上に第2導電膜42aが、例えばCVD法により形成される。第2導電膜42a、例えば、タングステンを含む。第2導電膜42aは、第1導電膜41aの上面、および各コンタクトホールH0の内部に形成される。
【0081】
次に、例えば、第2導電膜42aの一部をエッチバックにより除去することで、
図12に示すように、複数の第2導電部42が形成される。エッチバックとは、異方性エッチングにより、基板10の板面に対して垂直な方向にエッチングする方法である。エッチバックにより、第2導電部42は、第2絶縁層26の上面よりも若干凹んでいる。なお、第2導電部42は、第2絶縁層26の上面よりも突出していてもよいし、第2導電部42の上面と第2絶縁層26の上面とで、連続する平坦面が形成されてもよい。
【0082】
次に、例えば、第1導電膜41aの一部をエッチバックにより除去することで、
図13に示すように、複数の第1導電部41が形成される。エッチバックにより、第1導電部41は、第2絶縁層26の上面よりも若干凹んでいる。なお、第1導電部41は、第2絶縁層26の上面よりも突出していてもよいし、第1導電部41の上面と第2絶縁層26の上面とで、連続する平坦面が形成されてもよい。
【0083】
図14および
図15のそれぞれは、第2電極形成工程S15を説明するための図である。第2電極形成工程S15では、複数の第2電極23が形成される。まず、
図14に示すように、例えば、スパッタリング法または蒸着法により導電膜23aを第1絶縁層22上に形成する。導電膜23aは、例えば、透明導電材料を含む。次に、導電膜23aをエッチングによりパターニングすることで、
図15に示すように、複数の第2電極23が形成される。各第2電極23は、平面視で、対応する導電部4に重なるよう形成される。これにより、第2電極23と第1電極21とは導電部4によって電気的に接続される。
【0084】
図16および
図17のそれぞれは、第3絶縁層形成工程S16を説明するための図である。第3絶縁層形成工程S16では、第3絶縁層27が形成される。まず、
図16に示すように、例えば、CVD法により第3絶縁膜27aが形成される。第3絶縁膜27aは、例えば酸化ケイ素等の無機ケイ素材料を含む。次に、第3絶縁膜27aをエッチングによりパターニングすることで、
図17に示すように、複数の開口O1を有する第3絶縁層27が形成される。複数の開口O1は、複数の第2電極23に対応するよう形成される。各開口O1により、対応する第2電極23の一部が露出する。
【0085】
発光機能層形成工程S17では、第2電極23および第3絶縁層27上に発光機能層24が形成される。発光機能層24が有する各層は、例えば蒸着法により公知の方法で形成される。第3絶縁層27は、複数の開口O1を有するため、発光機能層24は、複数の第2電極23と接触する部分を有する。また、第3電極形成工程S18では、発光機能層24上に第3電極25が形成される。第3電極25は、例えばスパッタリング法または蒸着法により形成される。第3電極25は、例えば、MgAgを含む。
【0086】
図18および
図19は、第2絶縁層形成工程S19を説明するための図である。第2絶縁層形成工程S19では、第2絶縁層26が形成される。まず、
図18に示すように、第3電極25上に、CVD法により、無機ケイ素材料を含む第1無機絶縁膜261が形成される。CVD法を用いることで、ALD法を用いる場合に比べ、低密度な膜を形成し易い。また、CVD法を用いることで、目的とする厚さの第1無機絶縁層を迅速かつ簡単に形成することができる。また、CVD法においてプラズマを用いることが好ましい。プラズマを用いることで、用いない場合に比べ、より低温で成膜することができる。このため、第1無機絶縁膜261の応力を低減することができる。
【0087】
次に、
図19に示すように、第1無機絶縁膜261上に第2無機絶縁膜262を形成する。例えば、第1無機絶縁膜261上に、ALD法により、無機ケイ素材料を含む第2無機絶縁膜262が形成される。ALD法を用いることで、CVD法を用いる場合に比べ、高密度な膜を形成し易い。また、当該ALD法においてプラズマを用いることが好ましい。プラズマを用いることで、用いない場合に比べ、より低温で成膜することができる。このため、第2無機絶縁膜262の応力を低減することができる。
【0088】
また、第2無機絶縁膜262上に第1無機絶縁膜263を形成する。その後、第1無機絶縁膜263上に第2無機絶縁膜264を形成する。その後、第2無機絶縁膜264上に第1無機絶縁膜265を形成する。第1無機絶縁膜263および265の各形成方法は、第1無機絶縁膜261の形成方法と同じである。第2無機絶縁膜264の形成方法は、第2無機絶縁膜262の形成方法と同じである。以上のようにして第2絶縁層26が形成される。
【0089】
着色層形成工程S20では、着色層5が形成される。例えば、まず、着色部51Gが形成される。具体的には、第2絶縁層26上に、緑色の色材を含む感光性樹脂をスピンコート法で塗布して乾燥させることにより、緑色の樹脂層が形成される。その後、緑色の樹脂層のうち着色部51Gを形成する部分が露光されることで、アルカリ現像液等により当該樹脂層の未露光の部分が除去される。その後、緑色の樹脂層を硬化させることにより、着色部51Gが形成される。次に、着色部51Gの形成と同様にして、着色部51Bが形成され、その後、着色部51Rが形成される。なお、着色部51G、51Bおよび51Rの形成順は前述の順番に限定されない。
【0090】
また、図示はしないが、着色層5上に透明な樹脂材料が塗布され、その後、塗布された樹脂材料上にガラス基板等で構成された透光性基板9が配置され、かつ押圧される。この際、例えば、当該樹脂材料が感光性樹脂である場合、透光性基板9を介して光が当該樹脂材料に照射される。これにより、当該感光性樹脂は硬化する。この硬化によって、樹脂材料の硬化物で構成される接着層90が得られる。また、接着層90によって透光性基板9が着色層5に接着される。
【0091】
以上により素子基板1が形成される。また、素子基板1上に透明な樹脂材料を塗布し、塗布された樹脂材料上にガラス基板等で構成された透光性基板9を配置し、押圧する。この際、例えば、当該樹脂材料が感光性樹脂である場合、透光性基板9を介して光が当該樹脂材料に照射される。これにより、当該感光性樹脂は硬化する。この硬化によって、樹脂材料の硬化物で構成される接着層90が得られる。また、接着層90によって透光性基板9が素子基板1に接着される。
【0092】
以上により、電気光学装置100が製造される。以上の方法によれば、電気光学装置100を簡単にかつ迅速に形成することができる。
【0093】
前述のように、電気光学装置100の製造方法は、導電部形成工程S14および第2電極形成工程S15を含む。導電部形成工程S14において、コンタクトホール内を埋めるプラグ状の導電部4が形成される。かかる導電部形成工程S14を含むことで、コンタクトホールH0がほぼ埋めるコンタクトプラグである導電部3が形成されるので、導電部4を覆う第2電極23の上層に配置される各部の表面の平坦性を従来よりも高めることができる。その後、第2電極形成工程S15において、導電部4を覆うように第2電極23が形成される。導電部3がコンタクトプラグであることで、第2電極23の上層に配置される第2絶縁層26が、従来のようにコンタクトホールH0の凹凸の影響を受け難い。よって、第2絶縁層26に当該凹凸に起因した欠陥が生じるおそれが抑制される。それゆえ、第2絶縁層26の封止性能が低下するおそれが抑制される。よって、電気光学装置100の信頼性を高めることができる。
【0094】
さらに、導電部形成工程S14では、第1導電部41および第2導電部42が形成される。第1導電部41が形成されることで、第1絶縁層22と第2導電部42との密着性を高めることができる。また、第2導電部42によって第1導電部41の内部を埋めることで、コンタクトホールH0を良好に埋め込むことができる。それゆえ、第1電極21と第2電極23との接続不良が生じるおそれが抑制される。よって、電気光学装置100の信頼性を高めることができる。
【0095】
2.電子機器
前述の実施形態の電気光学装置100は、各種の電子機器に適用することができる。
【0096】
2-1.ヘッドマウントディスプレイ
図20は、電子機器の一例である虚像電気光学装置700の一部を模式的に示す平面図である。
図10に示す虚像電気光学装置700は、観察者の頭部に装着されて画像の表示を行うヘッドマウントディスプレイ(HMD)である。虚像電気光学装置700は、前述した電気光学装置100と、コリメーター71と、導光体72と、第1反射型体積ホログラム73と、第2反射型体積ホログラム74と、制御部79と、を備える。なお、電気光学装置100から出射される光は、映像光LLとして出射される。
【0097】
制御部79は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。コリメーター71は、電気光学装置100と導光体72との間に配置される。コリメーター71は、電気光学装置100から出射された光を平行光にする。コリメーター71は、コリメーターレンズ等で構成される。コリメーター71で平行光に変換された光は、導光体72に入射する。
【0098】
導光体72は、平板状をなし、コリメーター71を介して入射する光の方向と交差する方向に延在して配置される。導光体72は、その内部で光を反射して導光する。導光体72のコリメーター71と対向する面721には、光が入射する光入射口と、光を出射する光出射口が設けられる。導光体72の面721とは反対側の面722には、回折光学素子としての第1反射型体積ホログラム73および回折光学素子としての第2反射型体積ホログラム74が配置される。第1反射型体積ホログラム73は、第2反射型体積ホログラム74よりも光出射口側に設けられる。第1反射型体積ホログラム73および第2反射型体積ホログラム74は、所定の波長域に対応する干渉縞を有し、所定の波長域の光を回折反射させる。
【0099】
かかる構成の虚像電気光学装置700では、光入射口から導光体72内に入射した映像光LLが、反射を繰り返して進み、光出射口から観察者の瞳EYに導かれることで、映像光LLにより形成された虚像で構成される画像を観察者が観察することができる。
【0100】
虚像電気光学装置700は、前述の電気光学装置100を備える。前述の電気光学装置は品質信頼性が良好である。このため、電気光学装置100を備えることで、表示品質の高い虚像電気光学装置700を提供することができる。
【0101】
なお、虚像電気光学装置700は、電気光学装置100から出射される光を合成するダイクロイックプリズム等の合成素子を備えてもよい。その場合、虚像電気光学装置700は、例えば、青色の波長域の光を出射する電気光学装置100、緑色の波長域の光を出射する電気光学装置100および赤色の波長域の光を出射する電気光学装置100を備えることができる。
【0102】
2-2.パーソナルコンピューター
図21は、本発明の電子機器の一例であるパーソナルコンピューター400を示す斜視図である。
図21に示すパーソナルコンピューター400は、電気光学装置100と、電源スイッチ401およびキーボード402が設けられた本体部403と、制御部409とを備える。制御部409は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。パーソナルコンピューター400は、前述の電気光学装置100を備えるため、品質に優れる。
【0103】
なお、電気光学装置100を備える「電子機器」としては、
図20に例示した虚像電気光学装置700および
図21に例示したパーソナルコンピューター400の他、デジタルスコープ、デジタル双眼鏡、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラなど眼に近接して配置する機器が挙げられる。また、電気光学装置100を備える「電子機器」は、携帯電話機、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistants)、カーナビゲーション装置、および車載用の表示部として適用される。さらに、電気光学装置100を備える「電子機器」は、光を照らす照明として適用される。また、電気光学装置100は、フレキシブルディスプレイとしても用いることが可能である。
【0104】
以上、本発明について図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。また、本発明の各部の構成は、前述した実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。また、本発明は、前述した各実施形態の任意の構成同士を組み合わせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1…素子基板、4…導電部、5…着色層、9…透光性基板、10…基板、13…走査線、14…データ線、15…給電線、16…給電線、20…発光素子、20B…発光素子、20G…発光素子、20R…発光素子、21…第1電極、21B…第1電極、21G…第1電極、21R…第1電極、22…第1絶縁層、23…第2電極、23B…第2電極、23G…第2電極、23R…第2電極、23a…導電膜、24…発光機能層、25…第3電極、26…第2絶縁層、26x…第2絶縁層、27…第3絶縁層、27a…第3絶縁膜、29…光共振構造、29B…光共振構造、29G…光共振構造、29R…光共振構造、30…駆動回路、31…スイッチング用トランジスター、32…駆動用トランジスター、33…保持容量、41…第1導電部、42…第2導電部、41a…第1導電膜、42a…第2導電膜、51…着色部、51B…着色部、51G…着色部、51R…着色部、71…コリメーター、72…導光体、73…第1反射型体積ホログラム、74…第2反射型体積ホログラム、79…制御部、90…接着層、100…電気光学装置、100A…電気光学装置、101…データ線駆動回路、102…走査線駆動回路、103…制御回路、104…外部端子、221…増反射膜、222…電極分離層、222a…凹部、223…埋込部、224…第1光路調整層、225…第2光路調整層、226…第3光路調整層、260…無機絶縁膜、261…第1無機絶縁膜、262…第2無機絶縁膜、263…第1無機絶縁膜、264…第2無機絶縁膜、265…第1無機絶縁膜、267…無機膜、268…無機膜、269…有機膜、400…パーソナルコンピューター、401…電源スイッチ、402…キーボード、403…本体部、409…制御部、700…虚像電気光学装置、721…面、722…面、A10…表示領域、A20…周辺領域、AB…発光領域、AG…発光領域、AR…発光領域、D1…厚さ、D2…厚さ、D3…厚さ、D4…厚さ、D5…厚さ、EY…瞳、H0…コンタクトホール、L…光、L0…光学距離、LL…映像光、O1…開口、P…画素、P0…サブ画素、PB…サブ画素、PG…サブ画素、PR…サブ画素、S10…基板用意工程、S11…第1電極形成工程、S12…第1絶縁層形成工程、S13…コンタクトホール形成工程、S14…導電部形成工程、S15…第2電極形成工程、S16…第3絶縁層形成工程、S17…発光機能層形成工程、S18…第3電極形成工程、S19…第2絶縁層形成工程、S20…着色層形成工程、W1…厚さ、W2…厚さ。