(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119285
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】壁パネル
(51)【国際特許分類】
E06B 1/56 20060101AFI20240827BHJP
E06B 1/12 20060101ALI20240827BHJP
E06B 1/36 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
E06B1/56 Z
E06B1/12 Z
E06B1/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026074
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 奈実
(72)【発明者】
【氏名】相馬 剛
(72)【発明者】
【氏名】姫野 賢
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011AA01
2E011AB01
2E011AC07
2E011AD01
2E011AD02
2E011AD03
2E011AF04
2E011AF05
2E011AG00
(57)【要約】
【課題】現場作業を軽減でき、かつ、高品質の壁面を構成できるとともに、構造を簡易にできてコストを低減できる壁パネルを提供すること。
【解決手段】壁パネル1は、障子7が配置される開口部を有し、建物の壁面を構成する壁パネルであって、開口部である上材21、下材22および左右の中間縦材には、上アタッチメント51、下アタッチメント52および縦アタッチメントが取り付けられ、開口部とアタッチメントとで障子の枠が構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
障子が配置される開口部を有し、建物の壁面を構成する壁パネルであって、
前記開口部にはアタッチメントが取り付けられ、
前記開口部と前記アタッチメントとで前記障子の枠が構成される
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項2】
請求項1に記載の壁パネルにおいて、
前記開口部は、上材と、下材と、左右の縦材とを備え、
前記縦材、前記上材および前記下材には、左右の縦アタッチメント、上アタッチメントおよび下アタッチメントが取り付けられ、
前記縦材および前記縦アタッチメントで前記枠の縦枠が構成され、
前記上材および前記上アタッチメントで前記枠の上枠が構成され、
前記下材および前記下アタッチメントで前記枠の下枠が構成される
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項3】
請求項2に記載の壁パネルにおいて、
前記縦アタッチメント、前記上アタッチメントおよび前記下アタッチメントは、四方枠組みされた状態で前記縦材、前記上材および前記下材に取り付けられている
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項4】
請求項2に記載の壁パネルにおいて、
前記縦材、前記上材および前記下材は、前記縦材、前記上材および前記下材で区画される開口に面する見込み面を有し、
前記縦アタッチメント、前記上アタッチメントおよび前記下アタッチメントは、
前記見込み面に固定される固定部と、
前記枠に取り付けられた障子が閉鎖された際に、前記障子に見込み方向に対向する見付け片と、を備え、
前記障子または前記見付け片の一方には他方に当接する気密材が取り付けられている
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項5】
請求項2に記載の壁パネルにおいて、
前記縦材、前記上材および前記下材は、
前記縦材、前記上材および前記下材で区画される開口に面する見込み面と、
前記見込み面の室内側端部に連続する室内見付け面とを有し、
前記室内見付け面には、カバー材が取り付けられている
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項6】
請求項2に記載の壁パネルにおいて、
前記縦材は、前記上材および前記下材の小口が当接して固定される主縦材と、前記上材および前記下材間に配置されて前記主縦材の側面に固定される中間縦材とを備えて構成され、
前記縦アタッチメントは、前記中間縦材に取り付けられている
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項7】
請求項2に記載の壁パネルにおいて、
前記障子は、前記縦材、前記上材、前記下材のいずれかに対して機能部品を介して開閉可能に取り付けられている
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項8】
請求項2に記載の壁パネルにおいて、
前記縦アタッチメント、前記上アタッチメントおよび前記下アタッチメントのいずれかの室外側には、機能部材が取り付けられている
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項9】
請求項2に記載の壁パネルにおいて、
前記縦材、前記上材および前記下材の室外面には表面材が取り付けられ、
前記表面材および前記縦アタッチメントに跨がる防水テープと、
前記表面材および前記上アタッチメントに跨がる防水テープと、を備える
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項10】
請求項2に記載の壁パネルにおいて、
前記下アタッチメントは、前記下材の上面に配置され、
前記下アタッチメントおよび前記下材間には防水シートが配置されている
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項11】
請求項2に記載の壁パネルにおいて、
前記縦材、前記上材および前記下材は木製であり、
前記縦アタッチメント、前記上アタッチメントおよび前記下アタッチメントは、金属製である
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項12】
請求項5に記載の壁パネルにおいて、
前記カバー材は合成樹脂製である
ことを特徴とする壁パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁面を構成する壁パネルに係り、特に窓用の開口を有する壁パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の柱および梁の躯体に取り付けられて壁面を構成する壁面ユニットが知られている(例えば特許文献1参照)。この壁面ユニットは、躯体開口枠および建具を備えて構成される。躯体開口枠は、左右の縦材と、左右の縦材の上端間および下端間にそれぞれ連結される上下の横材と、左右の縦材間に設けられるまぐさと、窓台とを備えて構成される。
建具は、枠体および障子を備えて構成される。この建具は、枠体を左右の縦材、まぐさ、窓台に取り付けることで躯体開口枠に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記壁面ユニットは、工場等で製造し、建築現場に搬送して躯体に取り付けることができるため、現場作業を軽減でき、かつ、高品質の壁面を構成できる。このような壁面ユニットの利点を活かしつつ、さらに構造を簡易にできてコストも低減できる壁面ユニットとして利用可能な壁パネルが求められている。
本発明の目的は、現場作業を軽減でき、かつ、高品質の壁面を構成できるとともに、構造を簡易にできてコストを低減できる壁パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の壁パネルは、障子が配置される開口部を有し、建物の壁面を構成する壁パネルであって、前記開口部にはアタッチメントが取り付けられ、前記開口部と前記アタッチメントとで前記障子の枠が構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の壁パネルによれば、現場作業を軽減でき、かつ、高品質の壁面を構成できるとともに、構造を簡易にできてコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態の壁パネルを示す内観姿図である。
【
図2】前記実施形態の壁パネルを示す縦断面図である。
【
図3】前記実施形態のパネルを示す横断面図である。
【
図4】前記実施形態の壁パネルのパネル枠、アタッチメントおよびカバー材を示す縦断面図である。
【
図5】前記実施形態の壁パネルのパネル枠、アタッチメントおよびカバー材を示す横断面図である。
【
図6】前記実施形態の壁パネルの要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1から
図5に示すように、本実施形態の壁パネル1は、建築物に取り付ける際に単一の構造体として取り扱われるものであり、パネル枠2と、表面材3と、断熱材4と、アタッチメント5と、カバー材6と、障子7とを備えている。本実施形態では、パネル枠2に対して室内側に開く内開き窓用の障子7を壁パネル1に組み込んでいる。
なお、
図1は、壁パネル1を室内側から見た内観姿図であり、
図2および
図3は、壁パネル1の縦断面図および横断面図であり、
図4および
図5は、障子7を省略した壁パネル1の縦断面図および横断面図である。なお、各断面図では、アタッチメント5、カバー材6、障子7の断面を示すハッチングを省略している。また、以下の説明において、壁パネル1の左右方向をX軸方向とし、壁パネル1の上下方向をY軸方向とし、壁パネル1の見込み方向(屋内外方向)をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
【0009】
パネル枠2は、
図1に示すように、上材21と、下材22と、左右の縦材23、24と、縦材23、24の上端間および下端間にそれぞれ取り付けられる横材25、26とを備えて枠状に構成されている。縦材23、24と横材25、26とは横勝ちで枠組みされている。上材21、下材22は、縦材23、24間に掛け渡されて取り付けられている。上材21および横材25間と、下材22および横材26間には、縦桟27、28が配置されている。
縦材23、24は、上下の横材25、26に連結される主縦材231、241と、主縦材231、241の内周側の側面に固定され、上材21および下材22間に配置された中間縦材232、242とを備えている。
【0010】
縦材23、24を構成する主縦材231、241および中間縦材232、242と、上材21と、下材22と、上下の横材25、26と、縦桟27、28とは、それぞれ木製(中実材)であり、ネジや釘などで互いに連結されている。
パネル枠2は、上材21、下材22、中間縦材232、242で区画される開口29を有する。この開口29には、障子7が配置される。このため、本実施形態では、障子7が配置される開口部20は、上材21、下材22、縦材23、24で構成され、より具体的には、開口部20は、上材21、下材22、縦材23、24の中間縦材232、242で構成される。すなわち、縦材23、24の主縦材231、241は、主にパネル枠2の構成要素として機能し、縦材23、24の中間縦材232、242は、主に開口部20の構成要素として機能する。また、縦材23、24の主縦材231、241および中間縦材232、242は、ネジや釘等で連結されて構造的には一体化されているので、縦材23、24は、パネル枠の縦材としての機能と、開口部の縦材としての機能とを有している。
なお、縦材23、24は、別体の主縦材231、241および中間縦材232、242で構成されるものに限定されず、木材を加工して主縦材231、241および中間縦材232、242が一体に構成された縦材23、24を用いてもよい。また、縦材23、24は、全長にわたって主縦材部分および中間縦材部分を有する同一断面形状に構成してもよい。
したがって、開口部の縦材は、本実施形態の縦材23、24のように、主縦材231、241および中間縦材232、242の2部材で構成してもよいし、1部材で構成してもよい。
さらに、壁パネル1の幅寸法に比べて障子7の幅寸法が小さい場合には、パネル枠2を構成する主縦材231、241と、中間縦材232、242とを左右方向に離して配置してもよい。すなわち、中間縦材232、242を、主縦材231および主縦材241と離間して配置し、主縦材231、241の上下の両端面を上材21、下材22に固定すればよい。この場合、主縦材231、241はパネル枠2の構成要素としてのみ機能し、開口部20の構成要素となるのは中間縦材232、242である。
パネル枠2に形成する開口29の位置や高さ寸法によっては、上材21と横材25とを一体に構成してもよいし、下材22と横材26とを一体に構成してもよい。したがって、開口部20の上材および下材も1部材で構成してもよいし、2部材で構成してもよい。
【0011】
表面材3は、
図2から
図5に示すように、複数の木質板材を重ね合わせたパーティクルボードなどの耐力面材で構成され、開口29に対応する開口30を有する。表面材3の開口30は、
図4および
図5に示すように、開口上面31、開口下面32、左右の開口側面33、34によって形成されている。
断熱材4は、横材25と上材21との間と、下材22と横材26との間に配置されている。
【0012】
主縦材231、241、横材25、26は、
図2から
図5に示すように、断面矩形状に形成されている。
上材21は、
図4に示すように、横材25と同じ見込み寸法とされている。上材21は、開口29に面する下面と、室内側の見付け面にそれぞれ段部が形成されている。このため、上材21は、開口上面31に連続する第1見込み面211と、第1見込み面211の室内側端部から下方に延出された室外見付け面212と、室外見付け面212の下端から室内側に延出された第2見込み面213と、第2見込み面213の室内側端部から上方に延出された室内見付け面214と、室内見付け面214の上端から室内側に延出された第3見込み面215とを備える。
【0013】
下材22は、横材26と同じ見込み寸法とされている。下材22は、
図4および
図6に示すように、開口29に面する上面と、室内側の見付け面にそれぞれ段部が形成されている。下材22の上面には2段の段部が形成されている。このため、下材22は、開口下面32に連続する第1見込み面221と、第1見込み面221の室内側端部から上方に延出された第1見付け面222と、第1見付け面222の上端から室内側に延出された第2見込み面223と、第2見込み面223の室内側端部から上方に延出された第2見付け面224と、第2見付け面224の上端から室内側に延出された第3見込み面225と、第3見込み面225の室内側端部から下方に延出された室内見付け面226と、室内見付け面226の下端から室内側に延出された第4見込み面227とを備える。
第2見込み面223から第1見付け面222、第1見込み面221、開口下面32を介して表面材3の表面まで防水シート91が取り付けられている。
【0014】
中間縦材232、242は、
図5に示すように、見込み寸法が主縦材231、241に比べて短い略矩形状に形成され、開口29に面する見込み面に段部が形成されている。
中間縦材232、242は、開口側面33、34に連続する第1見込み面233、243と、第1見込み面233、243の室内側端部から開口中心側に延出された室外見付け面234、244と、室外見付け面234、244の開口中心側端部から室外側に延出された第2見込み面235、245と、第2見込み面235、245の室内側端部から主縦材231、241側に延出された室内見付け面236、246とを備える。
【0015】
アタッチメント5は、上材21に取り付けられる上アタッチメント51と、下材22に取り付けられる下アタッチメント52と、左右の縦材23、24に取り付けられる縦アタッチメント53、54とを備えている。各アタッチメント51、52、53、54は、金属材、例えばアルミ押出形材で構成され、これらの各アタッチメント51、52、53、54を枠組みすることでアタッチメント5が構成されている。なお、本実施形態では、縦アタッチメント53、54の上下両端間に、シーラーを挟んで上アタッチメント51および下アタッチメント52を配置し、上下のアタッチメント51、52に形成したビスホールに縦アタッチメント53、54からネジ止めすることで、縦勝ちで枠組みされている。
【0016】
上アタッチメント51は、
図4に示すように、室外面部511と、室外面部511の上端部近傍から室内側に延出された見込み面部512と、見込み面部512の室内側端部から上方に延出された室内面部513と、室内面部513から室内側に突出する突片部514とを備える。
上アタッチメント51は、さらに、室外面部511の上下方向の略中間位置から室内側に延出された室外側保持片515と、見込み面部512の室内側端部近傍から下方に延出された室内側保持片516とを備える。さらに、見込み面部512にはビスホールが形成されている。
上アタッチメント51は、表面材3の開口上面31と、上材21の第1見込み面211および室外見付け面212で区画される段部に配置され、見込み面部512から上材21に固定ネジ58をネジ込むことで上材21に固定されている。このため、上アタッチメント51では、見込み面部512が上材21の第1見込み面211に固定される固定部である。
また、上アタッチメント51の室外面部511と、表面材3とに跨がって防水テープ92が貼られており、上アタッチメント51および表面材3間の隙間からの浸水を防止している。
【0017】
下アタッチメント52は、室外面部521と、室外面部521から室内側に突出され、さらに下方に延出された連結部522と、連結部522から室内側に延出された見込み面部523と、見込み面部523の室内側端部から下方に延出された室内面部524と、室内面部524から室内側に突出する突片部525とを備える。
下アタッチメント52は、さらに、室外面部521の上下方向の略中間位置から室内側に延出された室外側保持片526と、見込み面部523の室内側端部近傍から上方に延出された室内側保持片527とを備える。
連結部522および見込み面部523にはビスホールが形成されている。また、連結部522には排水孔が形成され、この排水孔には排水弁57が取り付けられている。排水弁57は、見込み面部523の上面に浸入した雨水を室外側に排出可能に構成されている。
連結部522において、排水孔よりも下方の室外面には、上下一対の係合片528が形成されている。係合片528には、
図2に示すように、機能部材である水切り材80が着脱可能に取り付けられる。
下アタッチメント52は、表面材3の開口下面32および下材22の第2見込み面223に防水シート91を介して載置されて固定されている。すなわち、連結部522の下端は防水シート91を介して開口下面32に載置され、室内面部524および突片部525は防水シート91を介して第2見込み面223に載置されている。下アタッチメント52は、突片部525から下材22に固定ネジ58をネジ込むことで、下材22に固定されている。このため、下アタッチメント52では、突片部525が下材22の第2見込み面223に固定される固定部である。
【0018】
縦アタッチメント53、54は、
図5に示すように、同一断面形状を有し、室外面部531、541と、室外面部531、541の外周部近傍から室内側に延出された見込み面部532、542と、見込み面部532、542の室内側端部近傍から外周側に延出された延出部533、543とを備える。
縦アタッチメント53、54は、さらに、室外面部531、541の左右方向の略中間位置から室内側に延出された室外側保持片535、545と、見込み面部532、542の室内側端部近傍から内周側に延出された室内側保持片536、546とを備える。
縦アタッチメント53、54は、表面材3の開口側面33、34、中間縦材232、242の第1見込み面233、243および室外見付け面234、244で区画される段部に配置され、見込み面部532、542から中間縦材232、242に固定ネジ58をネジ込むことで中間縦材232、242に固定されている。このため、縦アタッチメント53、54では、見込み面部532、542が縦材23、24の見込み面233、243に固定される固定部である。
縦アタッチメント53、54の室外面部531、541と、表面材3とに跨がって防水テープ92が貼られており、縦アタッチメント53、54および表面材3間の隙間からの浸水を防止している。
【0019】
各アタッチメント51、52、53、54の室外側保持片515、526、535、545には室外側AT材55が取り付けられ、室内側保持片516、527、536、546には室内側AT材56が取り付けられている。
また、枠組みされたアタッチメント5は、上アタッチメント51の突片部514と、下アタッチメント52の突片部525とを室外見付け面212、第2見付け面224に当接させることで、パネル枠2に対して見込み方向(Z軸方向)に位置決めされている。
【0020】
カバー材6は、上材21に取り付けられる上カバー材61と、下材22に取り付けられる下カバー材62と、左右の中間縦材232、242に取り付けられる縦カバー材63、64とを備えている。各カバー材61、62、63、64は、合成樹脂製の押出形材で構成されている。
上カバー材61および下カバー材62は、断面L字状の同一断面形状の押出形材である。また、縦カバー材63、64は、断面L字状の同一断面形状の押出形材である。
各カバー材61、62、63、64は、見込み方向に沿った見込み面部611、621、631、641と、見込み面部611、621、631、641の室内側端部から見付け方向に延長された室内見付け面部612、622、632、642とを備え、室内見付け面部612、622、632、642から上材21、下材22、中間縦材232、242に固定ネジ68をネジ込むことでパネル枠2に固定されている。
【0021】
見込み面部611、621、631、641の室外側端部は、各アタッチメント51、52、53、54に当接されている。このため、上材21、下材22、中間縦材232、242の開口内面は、アタッチメント5およびカバー材6で覆われている。
すなわち、上アタッチメント51は、開口上面31および第1見込み面211を被覆し、下アタッチメント52は、開口下面32、第1見込み面221、第1見付け面222、第2見込み面223を被覆し、縦アタッチメント53、54は、開口側面33、34および見込み面233、243を被覆する。また、上カバー材61は、室外見付け面212、第2見込み面213、室内見付け面214を被覆し、下カバー材62は、第2見付け面224、第3見込み面225、室内見付け面226を被覆し、縦カバー材63、64は、室外見付け面234、244、見込み面235、245、室内見付け面236、246を被覆する。
【0022】
カバー材6の室内側には、
図2および
図3に示すように、木製の額縁65が配置される。額縁65は、上材21、下材22、中間縦材232、242に接着剤などで固定されており、固定ネジ68は額縁65で隠されている。
【0023】
障子7は、内開き窓用の一般的な障子であり、矩形状を成す面材75の四周に上框71、下框72および左右の縦框73、74を装着して構成されている。上框71、下框72および左右の縦框73、74は、同一断面形状を有する合成樹脂製の押出形材であり、45°の角度で切断された小口同士を溶着することで枠組みされている。面材75は、1枚のガラスあるいは複層ガラスでもよいが、本実施形態では3重のトリプルガラスである。
【0024】
障子7は、
図1に示すように、室内側から見て左側に位置する縦框73と中間縦材232とに固定される機能部品であるヒンジ10により、壁パネル1の開口部20に開閉可能に支持されている。すなわち、ヒンジ10は、
図3に示すように、パネル枠2の中間縦材232にネジ13で固定される枠側固定部11と、障子7の縦框73にネジ14で固定される障子側固定部12とを有し、上下に沿ったヒンジ軸を中心として障子7が室内側に開くように構成されている。なお、枠側固定部11は、縦カバー材63を介してネジ13で中間縦材232に固定されている。また、縦框74には、室内に臨む見付け面にハンドル15が設けられている。また、縦框74および中間縦材242には、図示および説明を省略するが、ハンドル15を操作することで施錠および解錠される錠機構が設けられる。
障子7は、閉鎖位置に移動した際に、室外側AT材55、室内側AT材56に当接する当接面を有する。また、障子7には、閉鎖位置に移動した際にカバー材6の室内見付け面部612、622、632、642に当接するAT材76が取り付けられている。
【0025】
下アタッチメント52の係合片528には、
図2に示すように、水切り材80が取り付けられている。水切り材80にはビスホールが形成され、水切り材80の左右両端には、前記ビスホールに螺合されるネジによって端部キャップ81が取り付けられている。
【0026】
[壁パネルの組立工程]
次に、壁パネル1を組み立てる工程について説明する。
サッシの製造工場において、障子7を組み立てる。この組立方法は、一般的な障子7と同一であるため、説明を省略する。組み立てた障子7は、パネル枠2の組立工場に搬送する。
【0027】
パネル枠2の組立工場では、上材21、下材22、縦材23、24、横材25、横材26を枠組みし、表面材3を取り付けるとともに断熱材4を配置してパネル枠2を組み立てる。また、パネル枠2の組立工場において、各アタッチメント51、52、53、54を枠組みしてアタッチメント5を組み立てる。
次に、パネル枠2の組立工場において、パネル枠2の開口部20つまり上材21、下材22、中間縦材232、242に枠組みしたアタッチメント5を固定ネジ58で固定する。また、パネル枠2に、上カバー材61、下カバー材62、縦カバー材63、64を固定ネジ68でそれぞれ取り付ける。
さらに、パネル枠2の組立工場において、パネル枠2に障子7を開閉可能に取り付ける。具体的には、機能部品であるヒンジ10を、パネル枠2の中間縦材232と、障子7の縦框73にそれぞれネジ13、14で固定することで、障子7をヒンジ10を介してパネル枠2に回動自在に取り付ける。
【0028】
[壁パネルの現場施工作業]
以上の組立作業によって組み立てられた壁パネル1は、輸送用のパレット上にスペーサーを介して平積みし、トラック等で施工現場に搬送する。そして、家屋等の建築物に壁パネル1を取り付ける。この壁パネル1の取付方法は、例えば、ホールダウン金物を主縦材231、241に取り付け、建築物の躯体にアンカーボルトや両引きボルト等を用いて取り付ける。
壁パネル1を家屋等に取り付けた後、ハンドル15、水切り材80、額縁65等のパネル枠2の室外面や室内面から突出する部品を取り付ける。なお、ハンドル15や水切り材80は、壁パネル1を建築物に取り付ける前に施工現場で取り付けてもよい。その後、壁パネル1の室外側に外壁材を配置して仕上げ作業を行えば良い。
【0029】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、左右の縦材23、24および縦アタッチメント53、54で窓枠の縦枠を構成し、上材21および上アタッチメント51で窓枠の上枠を構成し、下材22および下アタッチメント52で窓枠の下枠を構成しているので、専用の窓枠を用意する必要が無い。このため、窓を有する壁パネル1を構成する際に、部品点数を少なくでき、構造を簡易にできてコストを低減できる。
壁パネル1は、工場で組み立てて施工現場に搬送して建築物に取り付けることができるため、現場作業を軽減でき、かつ、高品質の壁面を構成できる。
パネル枠2にアタッチメント5、カバー材6、障子7を取り付けることで壁パネル1を組み立てることができるため、パネル枠2を組み立てるパネル工場において壁パネル1を製造することができ、生産効率を向上できる。
さらに、壁パネル1の見込み寸法内に、アタッチメント5、カバー材6、障子7を納めており、壁パネル1から突出するハンドル15や水切り材80は施工現場で取り付けているので、壁パネル1を平積みしたり、隙間無く並べて、施工現場に輸送でき、輸送効率も向上できる。
【0030】
アタッチメント5は、上アタッチメント51、下アタッチメント52、縦アタッチメント53、54を四方枠組みし、上材21、下材22、縦材23、24の見込み面に固定ネジ58で固定しているので、アタッチメント5の取付時の作業性を向上でき、さらにアタッチメント5が破損した場合や、窓種を変更する場合など、アタッチメント5を交換する際に、壁パネル1の室外側に配置される外壁材を壊さずに、室内側から固定ネジ58を外して交換することができる。
アタッチメント5を四方枠組みしているので、室外側AT材55、室内側AT材56を四方連続して設けることができ、気密性・水密性を向上できる。
さらに、防水シート91や防水テープ92は壁パネル1の組立工場で取り付けることができるので、施工品質を高いレベルで安定させることができ、防水性能を確実に維持できる。
【0031】
上材21、下材22、縦材23、24を中実の木材で構成しているので、加工が容易であり、アタッチメント5や障子7の形状に合わせて容易に加工でき、窓枠として必要な強度を確保しながら、通過熱流量を小さくできて断熱性能を向上できる。
また、アタッチメント5はアルミ等の金属製であるため、木製に比べて耐候性を向上でき、上材21、下材22、縦材23、24の室外露出面をカバーして保護することができる。また、アタッチメント5は金属製の押出形材で構成できて寸法精度も高くできるため、障子7との間で水密性、気密性を容易に確保できる。すなわち、上材21、下材22、縦材23、24によって、窓枠に必要な強度を確保でき、アタッチメント5によって、窓枠に必要な耐候性や止水性を確保できる。
【0032】
上材21、下材22、縦材23、24の室内見付け面をカバー材6で被覆できるので、壁パネル1の窓枠部分の内観意匠を向上できる。
【0033】
[変形例]
本発明は、以上の実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は本発明に含まれる。
例えば、各アタッチメント51~54は、四方枠組みされた状態で上材21、下材22、縦材23、24に取り付けられるものに限定されず、個別に取り付けてもよい。
カバー材6を設けずに、上材21、下材22、縦材23、24の室内見付け面214、226、236、237を露出させてもよい。この場合、額縁65を木製とすることで、木材を活かした内観意匠にできる。さらに、障子7の上框71、下框72、縦框73、74を木材で構成した木製障子を用いた場合は、統一感のある内観意匠を構成できる。
【0034】
上材21、下材22、縦材23、24と、障子7との間に設けられる機能部品は、障子7を開閉可能に取り付けるヒンジ10、リンク部品、フリクションステーなどの開閉部品でもよいし、障子7の開口角度を制限して障子7を開いた際の開口寸法を制限する開口制限装置(チャイルドロック装置)でもよいし、障子7を施錠するための錠および錠受けでもよい。
【0035】
壁パネル1に取り付けられる障子7は、内開き窓用に限定されず、外開き窓用、すべり出し窓用、引違い窓用、片引き窓用など、各種の窓用の障子が利用できる。また、上材21、下材22、縦材23、24および上アタッチメント51、下アタッチメント52、縦アタッチメント53、54は、窓枠として機能するため、障子の窓種に応じて構成すればよい。
下アタッチメント52の室外側に取り付けられる機能部材は、水切り材に限定されず、外部スクリーンなど、窓枠部分に取り付けられる各種の機能部材を利用できる。また、機能部材は、下アタッチメント52の室外側に取り付けられるものに限定されず、上アタッチメント51や縦アタッチメント53、54に取り付けられるものでもよい。
【0036】
壁パネル1において、障子が配置される開口部20は、上材、下材、左右の縦材を備える四方枠に限定されない。例えば、上材と左右の縦材とで構成される三方枠で開口部を構成してもよい。また、開口部の開口形状は前記実施形態のような矩形状に限定されず、三角形や台形、五角形以上の多角形などでもよい。
【0037】
[まとめ]
本発明は、障子が配置される開口部を有し、建物の壁面を構成する壁パネルであって、前記開口部にはアタッチメントが取り付けられ、前記開口部と前記アタッチメントとで前記障子の枠が構成されることを特徴とする。
本発明によれば、壁パネルの開口部にアタッチメントを取り付け、開口部およびアタッチメントで、障子の枠を構成しているので、障子を支持する枠を別途用意する必要が無い。このため、窓を有する壁パネルを構成する際に、部品点数を少なくでき、構造を簡易にできてコストを低減できる。
また、壁パネルは、工場で組み立てて施工現場に搬送して建築物に取り付けることができるため、現場作業を軽減でき、かつ、高品質の壁面を構成できる。
【0038】
本発明の壁パネルにおいて、前記開口部は、上材と、下材と、左右の縦材とを備え、前記縦材、前記上材および前記下材には、左右の縦アタッチメント、上アタッチメントおよび下アタッチメントが取り付けられ、前記縦材および前記縦アタッチメントで前記枠の縦枠が構成され、前記上材および前記上アタッチメントで前記枠の上枠が構成され、前記下材および前記下アタッチメントで前記枠の下枠が構成されることを特徴とする。
本発明によれば、開口部を構成する左右の縦材および縦アタッチメントで枠の縦枠を構成し、上材および上アタッチメントで枠の上枠を構成し、下材および下アタッチメントで枠の下枠を構成しているので、別途、枠を用意する必要が無い。このため、窓を有する壁パネルを構成する際に、部品点数を少なくでき、構造を簡易にできてコストを低減できる。
また、壁パネルは、工場で組み立てて施工現場に搬送して建築物に取り付けることができるため、現場作業を軽減でき、かつ、高品質の壁面を構成できる。
【0039】
本発明の壁パネルにおいて、前記縦アタッチメント、前記上アタッチメントおよび前記下アタッチメントは、四方枠組みされた状態で前記縦材、前記上材および前記下材に取り付けられていることが好ましい。
このような構成によれば、アタッチメントを四方枠組みしているので、左右の縦アタッチメントおよび上下のアタッチメントを連続させることができ、気密材を当接させたり配置する際に四方連続して設けることができ、気密性・水密性を向上できる。
また、四方枠組みして一体化されたアタッチメントを、壁パネルの開口部分に組み込んで取り付けることができるので、アタッチメントの取付時の作業性を向上できる。
【0040】
本発明の壁パネルにおいて、前記縦材、前記上材および前記下材は、前記縦材、前記上材および前記下材で区画される開口に面する見込み面を有し、前記縦アタッチメント、前記上アタッチメントおよび前記下アタッチメントは、前記見込み面に固定される固定部と、前記枠に取り付けられた障子が閉鎖された際に、前記障子に見込み方向に対向する見付け片と、を備え、前記障子または前記見付け片の一方には他方に当接する気密材が取り付けられていることが好ましい。
このような構成によれば、各アタッチメントは、縦材、上材、下材の開口に面する見込み面に固定される固定部を有するため、見込み面において障子を閉鎖した際に室外側に露出する部分を各アタッチメントで覆うことができ、縦材、上材、下材が雨水で濡れることを防止できる。
また、各アタッチメントの見付け片または障子の一方に他方に当接する気密材を設けたので、開き窓やすべり出し窓などの見込み方向に開閉する障子を閉鎖した際の気密性を向上できる。
【0041】
本発明の壁パネルにおいて、前記縦材、前記上材および前記下材は、前記縦材、前記上材および前記下材で区画される開口に面する見込み面と、前記見込み面の室内側端部に連続する室内見付け面とを有し、前記室内見付け面には、カバー材が取り付けられていることが好ましい。
このような構成によれば、縦材、上材、下材の室内見付け面をカバー材で被覆できるので、壁パネルの枠部分の内観意匠を向上できる。
【0042】
本発明の壁パネルにおいて、前記縦材は、前記上材および前記下材の小口が当接して固定される主縦材と、前記上材および前記下材間に配置されて前記主縦材の側面に固定される中間縦材とを備えて構成され、前記縦アタッチメントは、前記中間縦材に取り付けられていることが好ましい。
縦材を主縦材および中間縦材で構成すれば、中間縦材は障子が配置される開口部分のみに配置でき、開口部分以外は主縦材のみを配置できる。このため、主縦材は、開口を備えない壁パネルと同じ縦材を用いることができ、壁パネルを建築物の躯体に取り付けるホールダウン金物およびアンカーボルトや両引きボルトの配置位置も共通化でき、施工作業性も向上できる。
【0043】
本発明の壁パネルにおいて、前記障子は、前記縦材、前記上材、前記下材のいずれかに対して機能部品を介して開閉可能に取り付けられていることが好ましい。
縦材、上材、下材は、枠の縦枠、上枠、下枠の一部として機能するため、ヒンジ、フリクションステー、リンク、錠、錠受けなどの機能部品を介して障子を開閉可能に取り付けることで、様々な窓を壁パネルに設けることができる。
【0044】
本発明の壁パネルにおいて、前記縦アタッチメント、前記上アタッチメントおよび前記下アタッチメントのいずれかの室外側には、機能部材が取り付けられていることが好ましい。
いずれかのアタッチメントの室外側に、水切り材や外部スクリーン等の機能部材を取り付けているので、機能部材を取り付けずに壁パネルを施工現場に搬送することで、壁パネルを平積みできて輸送効率を向上できる。
【0045】
本発明の壁パネルにおいて、前記縦材、前記上材および前記下材の室外面には表面材が取り付けられ、前記表面材および前記縦アタッチメントに跨がる防水テープと、前記表面材および前記上アタッチメントに跨がる防水テープと、を備えることが好ましい。
表面材と、縦アタッチメントおよび上アタッチメントとに跨がる防水テープを設けることで、表面材と各アタッチメントとの隙間に雨水が浸入することを防止でき、防水性能を向上できる。
【0046】
本発明の壁パネルにおいて、前記下アタッチメントは、前記下材の上面に配置され、前記下アタッチメントおよび前記下材間には防水シートが配置されていることが好ましい。
下アタッチメントおよび下材間に防水シートが配置されているので、下アタッチメントおよび下材間に雨水が浸入しても防水シートによって下材を保護できるため、下材が雨水で濡れることを防止できる。
【0047】
本発明の壁パネルにおいて、前記縦材、前記上材および前記下材は木製であり、前記縦アタッチメント、前記上アタッチメントおよび前記下アタッチメントは、金属製であることが好ましい。
縦材、上材および下材は木製であるため、加工が容易であり、アタッチメントや障子の形状に合わせて加工することができる。また、縦材、上材、下材を中実の木材で構成することで、枠として必要な強度を確保しながら、通過熱流量を小さくできて断熱性能を向上できる。
また、各アタッチメントはアルミ等の金属製であるため、木製に比べて耐候性を向上でき、アタッチメントによって木製の縦材、上材、下材の室外露出面をカバーすることができる。また、各アタッチメントは金属製の押出形材で構成できて寸法精度も高くできるため、障子との間で水密性、気密性を容易に確保できる。
【0048】
本発明の壁パネルにおいて、前記カバー材は合成樹脂製であることが好ましい。
カバー材を合成樹脂製で構成すれば、金属製とした場合に比べて断熱性能を向上できる。
【符号の説明】
【0049】
1…壁パネル、2…パネル枠、3…表面材、4…断熱材、5…アタッチメント、6…カバー材、7…障子、10…ヒンジ、11…枠側固定部、12…障子側固定部、13…ネジ、14…ネジ、15…ハンドル、20…開口部、21…上材、22…下材、23…縦材、24…縦材、25…横材、26…横材、27…縦桟、28…縦桟、29…開口、30…開口、51…上アタッチメント、52…下アタッチメント、53…縦アタッチメント、54…縦アタッチメント、55…室外側AT材、56…室内側AT材、58…固定ネジ、61…上カバー材、62…下カバー材、63…縦カバー材、64…縦カバー材、65…額縁、68…固定ネジ、71…上框、72…下框、73…縦框、74…縦框、75…面材、76…AT材、80…水切り材、91…防水シート、92…防水テープ、231…主縦材、232…中間縦材、241…主縦材、242…中間縦材。