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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119287
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】植物揺動装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/06 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
A01G7/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026077
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松畑 大樹
(72)【発明者】
【氏名】嶋村 隆
(72)【発明者】
【氏名】竹川 秀人
(57)【要約】
【課題】植物の茎や枝を揺動させる植物揺動装置を目立たないように設置する。
【解決手段】植物の枝12が、複数のアームセグメント20が連なって構成され多関節アーム16の収容溝14に収容される。隣接するアームセグメント20は、一方が他方に対して首振り可能に連結されている。多関節アーム16に沿って延びる駆動線状材30が多関節アーム16の左右に配置されている。駆動アクチュエータ18によって駆動線状材30の一方に張力を付与し、多関節アーム16を湾曲させる。多関節アーム16が左右に湾曲することで、収容された枝12が揺動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアームセグメントが連なって構成された湾曲可能な多関節アームであって、隣接する前記アームセグメントの一方が他方に対して首振り可能に連結され、各アームセグメントの側面に凹部が形成され、前記凹部が連なって当該多関節アームと同方向に延びる収容溝が形成され、前記収容溝には植物の茎または枝が収容される、多関節アームと、
前記多関節アームに沿って延びる少なくとも1対の線状材であって、対を成す前記線状材が前記多関節アームの中心線に対して互いに反対側に配置され、先端の前記アームセグメントに結合し、各アームセグメントに案内されている、少なくとも1対の線状材と、
前記多関節アームの基端の前記アームセグメントと一体に設けられ、対を成す前記線状材の一方の線状材に張力を付与して、前記多関節アームを張力を付与した線状材側に向けて湾曲させる駆動アクチュエータと、
を備え、
前記多関節アームの湾曲によって前記茎または前記枝を湾曲させて植物を揺動させる植物揺動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の植物揺動装置であって、1対の前記線状材を備える、植物揺動装置。
【請求項3】
請求項2に記載の植物揺動装置であって、
前記駆動アクチュエータは、
駆動モータと、
前記駆動モータが中央部に結合され、前記駆動モータによって回動される回動アームであって、当該回動アームの両端に前記対を成す線状材がそれぞれ結合されている、回動アームと、
を有する、
植物揺動装置。
【請求項4】
請求項1に記載の植物揺動装置であって、2対の前記線状材を備え、第1の対の線状材が規定する面と、第2の対の線状材が規定する面とが交差している、植物揺動装置。
【請求項5】
請求項4に記載の植物揺動装置であって、
前記駆動アクチュエータは、
駆動モータと、
前記駆動モータが基端に結合され、前記駆動モータによって回動される回動アームであって、当該回動アームの先端に、対応する前記線状材が結合されている、回動アームと、
を含み、前記線状材のそれぞれに対応して設けられている、
植物揺動装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の植物揺動装置であって、当該植物揺動装置を前記収容溝に収容された前記茎または前記枝とは別の茎もしくは枝または幹に固定するための固定基部をさらに備える、植物揺動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の茎や枝を揺動させる植物揺動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス、打ち合わせスペース、休憩スペース、またはロビーなどの屋内施設には、観葉植物が置かれることがある。屋内では、外の自然環境とは異なり、植物に風が当たらず、枝や葉が揺れないか、または揺れが少ない。
【0003】
下記特許文献1には、一端が植物の枝に掛けられた線材(120)の他端を駆動部(110)にて引っ張り、枝を揺らす揺動装置(100)が示されている。なお、上記の( )内の符号は下記特許文献1で用いられた符号であり、本願の実施の形態で用いられる符号とは関連しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-100142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の揺動装置においては、線材に掛かる張力により直接枝を湾曲させているため、線材は、枝と交差する方向に張られている。よって、線材が目に付きやすく見映えが悪い。
【0006】
本発明は、枝等を揺動する機構が目立ちにくい植物揺動装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る植物揺動装置は、複数のアームセグメントが連なって構成され、かつ植物の茎または枝が収容される収容溝が形成された湾曲可能な多関節アームと、多関節アームに沿って延びる少なくとも1対の線状材と、対を成す線状材の一方の線状材に張力を付与して、多関節アームを張力を付与した線状材側に向けて湾曲させる駆動アクチュエータとを備える。
【0008】
アームセグメントは、隣接するアームセグメントの一方が他方に対して首振り可能に連結されている。また、各アームセグメントの側面に凹部が形成されており、この凹部が連なって多関節アームと同方向に延びる収容溝が形成されている。この収容溝に植物の茎または枝が収容される。
【0009】
対を成す線状材は、多関節アームの中心線に対して互いに反対側に配置されている。また、各線状材は、先端のアームセグメントに結合し、各アームセグメントに案内されて多関節アームに沿って延びている。
【0010】
駆動アクチュエータは、多関節アームの基端のアームセグメントと一体に設けられている。
【0011】
多関節アームの湾曲によって収容溝に収容された茎または枝が揺動する。
【0012】
上記の植物揺動装置において、1対の線状材を備えるものとすることができる。
【0013】
さらに、1対の線状材を備える植物揺動装置において、駆動アクチュエータは、駆動モータと、駆動モータが中央部に結合され、駆動モータによって回動される回動アームとを有するものとすることができる。回動アームの両端に対を成す線状材がそれぞれ結合されている。
【0014】
また、上記の植物揺動装置において、2対の線状材を備え、第1の対の線状材が規定する面と、第2の対の線状材が規定する面とが交差しているものとすることができる。
【0015】
さらに、2対の線状材を備える植物揺動装置において、駆動アクチュエータは、駆動モータと、駆動モータが基端に結合され、駆動モータによって回動される回動アームとを有するものとすることができる。回動アームの先端に、対応する線状材が結合されている。駆動アクチュエータは、各線状材にそれぞれ対応して設けられている。
【0016】
さらにまた、上記の植物揺動装置において、当該植物揺動装置を収容溝に収容された茎または枝とは別の茎もしくは枝または幹に固定するための固定基部をさらに備えるものとすることができる。
【発明の効果】
【0017】
茎または枝を揺動させる多関節アームが茎または枝に沿って配置されることで、装置が目立たず、見映えをよくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】植物揺動装置の概略構成を示す斜視図である。
図2】植物揺動装置の多関節アームを断面で示した平面図である。
図3】植物揺動装置の多関節アームを断面で示した側面図である。
図4】多関節アームの中心線に直交する断面を示した図である。
図5】植物揺動装置の多関節アームを左に向けて湾曲させた状態を示す図である。
図6】植物揺動装置の多関節アームを右に向けて湾曲させた状態を示す図である。
図7】他の実施形態の植物揺動装置の概略構成を示す斜視図である。
図8】さらに他の実施形態の植物揺動装置の概略構成を示す斜視図である。
図9図8に示す植物揺動装置の多関節アームを右に向けて湾曲させた状態を示す図である。
図10図8に示す植物揺動装置の多関節アームを上に向けて湾曲させた状態を示す図である。
図11図8に示す植物揺動装置の多関節アームを下に向けて湾曲させた状態を示す図である。
図12】鉢植えの植物に植物揺動装置を装着した状態を示す図である。
図13】鉢植えの鉢を移動および回転させる鉢駆動部に載置した態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を図面に従って説明する。図1は、植物揺動装置10の概略構成を示す斜視図である。植物揺動装置10は、植物の茎または枝12を収容する収容溝14が形成された多関節アーム16と、多関節アーム16を湾曲させる駆動アクチュエータ18を備える。多関節アーム16は、複数のアームセグメント20が連なって構成されている。隣接するアームセグメント20は、一方が他方に対して首振り可能に連結され、これにより、多関節アーム16は湾曲可能となっている。この実施形態の多関節アーム16は、6個のアームセグメント20から構成されている。各アームセグメント20の側面には凹部22が形成されており、凹部22が連なることにより、多関節アーム16と同方向に延びる収容溝14が形成される。収容溝14に収容された茎または枝12は、多関節アーム16の湾曲と共に湾曲する。以下、茎または枝12を枝12と記す。
【0020】
多関節アーム16の基端のアームセグメント20Aは、ベースブロック24に固定されている。さらに、ベースブロック24に駆動アクチュエータ18が設置されている。駆動アクチュエータ18は、モータ(例えば、サーボモータ)26と、モータ26の出力軸に固定された回動アーム28を含む。回動アーム28は、モータ26に駆動されて回動する。
【0021】
1対の駆動線状材30が多関節アーム16に沿って延びて配置されている。駆動線状材30は、鋼線であってよく、鋼線を撚り合わせたワイヤロープ、または繊維を撚り合わせたひもであってよい。対を成す駆動線状材30のそれぞれは、多関節アーム16の中心線を挟んで互いに反対側に配置されている。各駆動線状材30は、その先端が、多関節アーム16の先端のアームセグメント20Bに固定されている。各駆動線状材30は、各アームセグメント20に案内されて多関節アーム16に沿って延び、基端のアームセグメント20Aを越えて回動アーム28まで延びている。各駆動線状材30は、それらの基端が回動アーム28の両端部にそれぞれ固定されている。
【0022】
図2-4は、植物揺動装置10、特に多関節アーム16の断面を示す図である。図2は、図3に示すII-II線による平面断面図であり、図3は、図2に示すIII-III線による側面断面図である。図4は、図3に示すIV-IV線による断面図であり、駆動線状材30は省略されている。図2図3に示す断面は、多関節アーム16の中心線において互いに直交する断面であり、図4に示す断面は、多関節アーム16の中心線に直交する断面である。
【0023】
多関節アーム16の両端のアームセグメント20A,20Bをつなぐ中間の4個のアームセグメント20C,20D,20E,20Fは、同一の形状を有する。中間のアームセグメント20C-20Fは、周方向において一部が切り欠かれた円筒形の大径部32と、大径部32より小径であり、周方向において一部が切り欠かれた円筒形の小径部34とを有する。大径部32および小径部34の断面形状は、図4に示すようにC字形である。基端のアームセグメント20Aと先端のアームセグメント20Bも周方向において一部が切り欠かれたC字形の断面形状を有する。これにより、各アームセグメント20の側面に凹部22が形成され、各アームセグメント20が連なることにより、各々の凹部22が連なって枝12が収容される収容溝14が形成される。
【0024】
中間のアームセグメント20C-20Eの小径部34は、隣接する中間のアームセグメント20D-Fの大径部32の内側に進入し、小径部34と大径部32が重なった部分において、隣接する中間のアームセグメント20C-F同士が1本の連結ピン36で連結されている。基端のアームセグメント20Aは、中間のアームセグメント20C-Fと類似の、周方向において切り欠かれた段付きの略円筒形を有し、一端が隣接するアームセグメント20Cの大径部32の中に進入している。基端のアームセグメント20Aとこれに隣接する中間のアームセグメント20Cが重なった部分において1本の連結ピン36で連結されている。先端のアームセグメント20Bは、周方向において一部が切り欠かれた円筒形を有し、その一端に隣接する中間のアームセグメント20Fの小径部34が進入している。先端のアームセグメント20Bとこれに隣接する中間のアームセグメント20Fは、重なった部分において1本の連結ピン36で連結されている。各連結ピン36は、各アームセグメント20の側面の切り欠きとは反対側の側部、つまり収容溝14の底部において、隣接するアームセグメント20同士を連結している。連結ピン36で連結されたアームセグメント20は、互いに相手に対して、連結ピン36周りに回動し、首振り動作が可能である。
【0025】
各アームセグメント20の外周には、多関節アーム16の中心線に対して互いに反対側に、駆動線状材30を案内する案内片38が設けられている。各案内片38には、駆動線状材30が通る案内孔40が形成されている。対を成す駆動線状材30のそれぞれは、案内孔40を通って多関節アーム16に沿って延び、一端が先端のアームセグメント20Bと結合し、他端が駆動アクチュエータ18の回動アーム28と結合している。また、2本の駆動線状材30は、多関節アーム16の中心線に関して、互いに反対側に配置されている。
【0026】
駆動アクチュエータ18のモータ26によって回動アーム28を図2において反時計回りに回動させると、多関節アーム16の基端から先端を見たときに左側の駆動線状材30Aが緊張し、先端のアームセグメント20Aに、これを引き寄せる張力が作用する。一方、反対側の駆動線状材30Bは張力が緩められ弛緩する。これにより、多関節アーム16は、図5に示すように、左に向けて湾曲する。逆に、回動アーム28が時計回りに回動すると、右側の駆動線状材30Bが緊張し、左側の駆動線状材30Aが弛緩し、多関節アーム16は、右に向けて湾曲する。多関節アーム16は、2本の駆動線状材30が属する面内で左向きに、また右向きに湾曲する。多関節アーム16が湾曲することで、多関節アーム16に収容されている枝12も湾曲し、左右交互に湾曲することで、この枝12が揺動する。
【0027】
多関節アーム16が湾曲するとき、隣接するアームセグメント20のそれぞれの組においてアームセグメント20同士が屈曲する。このため、枝12は、多関節アーム16の全体にわたって湾曲し、湾曲が1箇所に集中することがなく、枝12に過剰な力が加わることを抑えることができる。
【0028】
2本の駆動線状材30のうち1本を弾性を有する弾性線状材に置き換えてもよい。弾性線状材は、一端が基端のアームセグメント20Aに結合され、他端が先端のアームセグメント20Bに結合され、両端のアームセグメント20A,20Bを、これらが互いに近づく向きに付勢している。また、弾性線状材は、回動アーム28に結合されていない。駆動線状材30を引くと、多関節アーム16が湾曲し、弾性線状材が延びる。駆動線状材30の緊張を解き弛緩させると、弾性線状材の付勢力によって多関節アーム16が反対側に向けて湾曲する。
【0029】
図7は、他の態様の植物揺動装置50の概略構成を示す斜視図である。植物揺動装置50は、前述の植物揺動装置10と同様の多関節アーム16、駆動線状材30、駆動アクチュエータ18、ベースブロック24を備える。植物揺動装置50は、多関節アーム16の収容された枝12とは別の茎もしくは枝または幹52に、この植物揺動装置50を固定するための固定基部54をさらに備える。別の茎または枝52は、先述の枝12より太い茎または太い枝であってよい。この別の茎もしくは枝または幹52を簡単のために幹52と記す。固定基部54は、ベースブロック24に結合されて、一体となっている。固定基部54は、幹52を挟む2つの挟持片56を有する。挟持片56で幹52を挟持することで植物揺動装置50が幹52に固定される。挟持片56の挟持力が植物揺動装置50の固定に十分でないときには、固定基部54と幹52を共にテープなどで縛って固定してもよい。幹52にて植物揺動装置50を支えることができ、枝12の負担を軽減できる。
【0030】
図8は、さらに他の態様の植物揺動装置60の概略構成を示す斜視図である。植物揺動装置60は、前述の植物揺動装置10と類似の構成を有するが、多関節アーム62の構成が相違する。前述の多関節アーム16は駆動線状材30の属する平面内でのみ湾曲可能であったが、この多関節アーム62はいずれの方向にも湾曲可能である。
【0031】
多関節アーム62には、植物の茎または枝を収容する収容溝64が形成されている。収容溝64は、多関節アーム62の延びる方向に沿って延びている。多関節アーム62は、複数のアームセグメント66が連なって構成されている。隣接するアームセグメント66は、一方が他方に対して首振り可能に連結され、これにより多関節アーム62が湾曲可能となっている。この実施形態の多関節アーム62は、6個のアームセグメント66から構成されている。各アームセグメント66の側面には凹部68が形成されており、凹部68が連なることにより、多関節アーム16と同方向に延びる収容溝64が形成される。収容溝64に収容された茎または枝は、多関節アーム62の湾曲と共に湾曲する。
【0032】
多関節アーム62の基端のアームセグメント66Aは、ベースブロック70に固定されている。さらに、ベースブロック70に4個の駆動アクチュエータ72が設置されている。個々の駆動アクチュエータ72は、モータ(例えば、サーボモータ)74と、モータ74の出力軸に固定された回動アーム76を含む。回動アーム76は、モータ74に駆動されて回動する。
【0033】
2対の駆動線状材78が多関節アーム62に沿って延びて配置されている。駆動線状材78は、鋼線であってよく、鋼線を撚り合わせたワイヤロープ、または繊維を撚り合わせたひもであってよい。対を成す駆動線状材78のそれぞれは、多関節アーム16の中心線を挟んで互いに反対側に配置されている。第1の対は駆動線状材78Aと駆動線状材78Bで構成され、第2の対は駆動線状材78Cと駆動線状材78Dで構成される。第1の対の駆動線状材78A,78Bが規定する面と、第2の対の駆動線状材78C,78Dが規定する面が多関節アーム62の中心線で交差している。各駆動線状材78は、その先端が、多関節アーム62の先端のアームセグメント66Bに固定されている。各駆動線状材78は、各アームセグメント66に案内されて多関節アーム62に沿って延び、基端のアームセグメント66Aを越えて回動アーム76まで延びている。4本の駆動線状材78は、4個の回動アーム76にそれぞれ固定されている。
【0034】
6個のアームセグメント66は同一の形状であり、先端側に球面凸部80、基端側に球面凹部82を有している。隣接するアームセグメント66の球面凸部80と球面凹部82が係合し、球面ジョイントが形成される。これにより、隣接するアームセグメント66同士が互いに首振り動作可能に連結される。各アームセグメント66の断面形状は、前述のアームセグメント20と同様にC字形である。
【0035】
各アームセグメント66の側面、特に球面凹部82が形成された部分の側面には、4方向にそれぞれ設けられた4個の案内片84が設けられている。案内片84に形成された案内孔を通って駆動線状材78が多関節アーム62に沿って延び、一端が先端のアームセグメント66Bに結合し、他端がそれぞれ対応する回動アーム76に結合している。
【0036】
駆動アクチュエータ72により1本の駆動線状材、例えば駆動線状材78Aを引くと、この駆動線状材78Aが配置された向きに多関節アーム62が湾曲する。このとき、この駆動線状材78Aと対を成す駆動線状材78Bは、これに対応する駆動アクチュエータ72により弛緩されてよい。多関節アーム62は、4本の駆動線状材78が配置された4つの向きに湾曲することができる。さらに、多関節アーム62は、これら4つの向きの間の向きにも湾曲することができる。多関節アーム62は、隣合う駆動線状材78を引いて緊張させることにより、これらの駆動線状材78の配置された向きの中間の向きに湾曲する。例えば、図8に示すように、駆動線状材78A,78Dを緊張させ、駆動線状材78B,78Cを弛緩させることで、左向きに湾曲させることができる。
【0037】
4本の駆動線状材78A-78Dの緊張および弛緩を制御することにより、多関節アーム62を多関節アーム62の中心線に対して放射方向のいずれの向きにも湾曲させることができる。例えば、右側の2本の駆動線状材78B,78Cを同様に緊張させ、左側の2本の駆動線状材78A,78Dを同様に弛緩させることにより、図9に示すように多関節アーム62を右向きに湾曲させることができる。また、上側の2本の駆動線状材78B,78Dを同様に緊張させ、下側の2本の駆動線状材78A,78Cを同様に弛緩させることにより、図10に示すように多関節アーム62を上向きに湾曲させることができる。さらに、下側の2本の駆動線状材78A,78Cを同様に緊張させ、上側の2本の駆動線状材78B,78Dを同様に弛緩させることにより、図11に示すように多関節アーム62を下向きに湾曲させることができる。各駆動線状材78A-78Dの緊張量および弛緩量を適切に調整することで、多関節アーム62をいずれの向きにも湾曲させることができる。
【0038】
植物揺動装置60も前述の植物揺動装置50と同様に、当該植物揺動装置60を別の茎もしくは枝または茎に固定するための固定基部を備えるようにしてよい。
【0039】
図12は、鉢植え90の植物に前述の植物揺動装置10または植物揺動装置50または植物揺動装置60を装着した状態を示す図である。植物が植えられた鉢92は、鉢カバー94に納めらており、鉢92と鉢カバー94の間の空間に植物揺動装置10,50,60の各駆動アクチュエータ18,72を制御する制御部96が配置されている。制御部96は、所定のプログラムに従って各駆動アクチュエータ18,72を制御し、植物揺動装置10,50,60が装着された枝12を揺動させる。
【0040】
図13は、図12に示された鉢植え90が鉢駆動部98に載置された態様を示す図である。鉢駆動部98は、鉢駆動部98が置かれた床面に沿って動くことができ、また鉛直軸周りに回転することができる。鉢駆動部98は、制御部96によって制御されてよい。鉢駆動部98が動くことにより鉢植え90の植物の全体を揺動させることができる。鉢駆動部98による全体の動きと、植物揺動装置10,50,60による個々の枝の動きを組み合わせることで、より複雑な動きを実現することができる。
【符号の説明】
【0041】
10,50,60 植物揺動装置、12 茎または枝、14,64 収容溝、16,62 多関節アーム、18,72 駆動アクチュエータ、20,66 アームセグメント、20A,66A 基端のアームセグメント、20B,66B 先端のアームセグメント、20C-F 中間のアームセグメント、22,68 凹部、24,70 ベースブロック、26,74 モータ、28,76 回動アーム、30,78 駆動線状材、36 連結ピン、38 案内片、40 案内孔、52 茎または枝または幹、54 固定基部、56 挟持片。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13