(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119299
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】車内照明システム
(51)【国際特許分類】
H05B 45/10 20200101AFI20240827BHJP
B60Q 3/80 20170101ALI20240827BHJP
B60Q 3/62 20170101ALI20240827BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20240827BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20240827BHJP
H05B 47/155 20200101ALI20240827BHJP
【FI】
H05B45/10
B60Q3/80
B60Q3/62
H05B47/105
H05B47/16
H05B47/155
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026097
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 良和
(72)【発明者】
【氏名】古田 毅
(72)【発明者】
【氏名】日比野 康司
(72)【発明者】
【氏名】西山 哲朗
【テーマコード(参考)】
3K040
3K273
【Fターム(参考)】
3K040AA02
3K040EA04
3K273PA07
3K273QA09
3K273QA37
3K273TA03
3K273TA28
3K273TA39
3K273TA44
3K273TA46
3K273TA52
3K273TA62
3K273TA78
3K273UA13
3K273UA17
3K273UA22
(57)【要約】
【課題】1本のバスケーブルで接続された複数のデバイスを1つのイルミネーションECUで制御する車内照明システムであって、ランプユニットの明るさを滑らかに増加又は減少させることのできる車内照明システムを提供する。
【解決手段】イルミネーションECU12による動作指示信号の送信が、同じ明るさの情報を含む動作指示信号を1つずつ順番に複数のランプユニット11に送信することを1セットとし、複数のランプユニット11の明るさを徐々に増加又は減少させるときに、動作指示信号が連続的にNセット(Nは2以上の任意の整数)送信され、複数のランプユニット11の各々の明るさが、nセット目(nはN-1を最大値とする任意の正の整数)の動作指示信号を受信するときからn+1セット目の動作指示信号を受信するときまで連続的に増加又は減少する、車内照明システム1を提供する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1本のバスケーブルで接続された複数のランプユニットと、
前記バスケーブルを介して前記複数のランプユニットに動作指示信号を送信するイルミネーションECUと、
を備え、
前記イルミネーションECUによる前記動作指示信号の送信が、同じ明るさの情報を含む前記動作指示信号を1つずつ順番に前記複数のランプユニットに送信することを1セットとし、
前記複数のランプユニットの明るさを徐々に増加又は減少させるときに、前記動作指示信号が連続的にNセット(Nは2以上の任意の整数)送信され、前記複数のランプユニットの各々の明るさが、nセット目(nはN-1を最大値とする任意の正の整数)の前記動作指示信号を受信するときからn+1セット目の前記動作指示信号を受信するときまで連続的に増加又は減少する、
車内照明システム。
【請求項2】
前記nセット目の前記動作指示信号が、前記n+1セット目の前記動作指示信号を受信するときに到達すべき明るさの情報と、明るさを連続的に変化させるという情報を含む、
請求項1に記載の車内照明システム。
【請求項3】
前記複数のランプユニットの各々が、前記n+1セット目の前記動作指示信号を受信するときに到達すべき明るさの情報と、前記nセット目の前記動作指示信号を受信するときから前記n+1セット目の前記動作指示信号を受信するときまでの間隔に基づいて、前記nセット目の前記動作指示信号を受信するときから前記n+1セット目の前記動作指示信号を受信するときまでの明るさの増加率又は減少率を算出する、
請求項2に記載の車内照明システム。
【請求項4】
前記複数のランプユニットの各々が、前記複数のランプユニットの明るさと、前記複数のランプユニットの明るさの増加又は減少の仕方との関係が記録されたテーブルを参照して、前記nセット目に受信する前記動作指示信号に含まれる前記複数のランプユニットの明るさの情報から、前記nセット目の前記動作指示信号を受信するときから前記n+1セット目の前記動作指示信号を受信するときまでの明るさの増加又は減少の仕方を決定する、
請求項2に記載の車内照明システム。
【請求項5】
前記動作指示信号が、前記バスケーブルを介したLIN通信によって前記複数のランプユニットに送信される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の車内照明システム。
【請求項6】
前記複数のランプユニットが、15個以上のランプユニットを含む、
請求項5に記載の車内照明システム。
【請求項7】
前記1本のバスケーブルで接続された前記複数のランプユニットで構成されるランプユニット群を複数備え、
前記イルミネーションECUが、前記複数のランプユニット群に前記動作指示信号を送信する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の車内照明システム。
【請求項8】
前記複数のランプユニットのうちの2つ以上が同じ導光体に接続されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の車内照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車内照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の車内灯と、それらを駆動させるイルミネーションモジュールと、イルミネーションモジュールに車内灯制御命令を送信するボディECUを備え、複数の車内灯がそれぞれ独立してイルミネーションモジュールと接続された車内照明システムが知られている(特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に記載の車内照明システムによれば、車内灯制御命令に含まれる明るさ(PWM信号のデューティ)を変化させつつ、車内灯制御命令を何度も連続して送信することにより、車内灯のフェードイン点灯又はフェードアウト消灯を行うことができる。
【0004】
また、従来、複数の照明素子がこれらを制御するアンビエント照明モジュールにLIN(Local Interconnect Network)で接続された車内照明システムが知られている(特許文献2を参照)。
【0005】
LINでは、1本のバスケーブルで接続された複数のデバイスを1つの制御部で制御するため、複数のデバイスの各々が独立したケーブルで制御部に接続される通信規格を用いる場合と比較して、システムで用いられるケーブルの本数を削減することができ、軽量化、省スペース化、コスト低減などの効果が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-203215号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2015/0321603号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、LINは通信速度が遅く、また、1本のバスケーブルに接続される複数のデバイスに順番に信号を送るため、1本のバスケーブルに接続されるデバイスの数が増えるほど、連続的に信号を送るときに各デバイスが信号を受信する間隔が大きくなる。
【0008】
このため、特許文献2に記載の車内照明システムのような、LINを通信規格に採用した車内照明システムにおいては、ランプユニットの明るさを徐々に増加(フェードイン)又は徐々に減少(フェードアウト)させる場合に、異なる明るさを指示する信号がランプユニットに到達する間隔が大きくなり、明るさが段階的に変化するように感じられるため、見栄えが悪くなる懸念がある。
【0009】
本発明の目的は、1本のバスケーブルで接続された複数のデバイスを1つのイルミネーションECUで制御する車内照明システムであって、ランプユニットの明るさを滑らかに増加又は減少させることのできる車内照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、下記の車内照明システムを提供する。
【0011】
[1]1本のバスケーブルで接続された複数のランプユニットと、前記バスケーブルを介して前記複数のランプユニットに動作指示信号を送信するイルミネーションECUと、を備え、前記イルミネーションECUによる前記動作指示信号の送信が、同じ明るさの情報を含む前記動作指示信号を1つずつ順番に前記複数のランプユニットに送信することを1セットとし、前記複数のランプユニットの明るさを徐々に増加又は減少させるときに、前記動作指示信号が連続的にNセット(Nは2以上の任意の整数)送信され、前記複数のランプユニットの各々の明るさが、nセット目(nはN-1を最大値とする任意の正の整数)の前記動作指示信号を受信するときからn+1セット目の前記動作指示信号を受信するときまで連続的に増加又は減少する、車内照明システム。
[2]前記nセット目の前記動作指示信号が、前記n+1セット目の前記動作指示信号を受信するときに到達すべき明るさの情報と、明るさを連続的に変化させるという情報を含む、上記[1]に記載の車内照明システム。
[3]前記複数のランプユニットの各々が、前記n+1セット目の前記動作指示信号を受信するときに到達すべき明るさの情報と、前記nセット目の前記動作指示信号を受信するときから前記n+1セット目の前記動作指示信号を受信するときまでの間隔に基づいて、前記nセット目の前記動作指示信号を受信するときから前記n+1セット目の前記動作指示信号を受信するときまでの明るさの増加率又は減少率を算出する、上記[2]に記載の車内照明システム。
[4]前記複数のランプユニットの各々が、前記複数のランプユニットの明るさと、前記複数のランプユニットの明るさの増加又は減少の仕方との関係が記録されたテーブルを参照して、前記nセット目に受信する前記動作指示信号に含まれる前記複数のランプユニットの明るさの情報から、前記nセット目の前記動作指示信号を受信するときから前記n+1セット目の前記動作指示信号を受信するときまでの明るさの増加又は減少の仕方を決定する、上記[2]に記載の車内照明システム。
[5]前記動作指示信号が、前記バスケーブルを介したLIN通信によって前記複数のランプユニットに送信される、上記[1]~[4]のいずれか1項に記載の車内照明システム。
[6]前記複数のランプユニットが、15個以上のランプユニットを含む、上記[5]に記載の車内照明システム。
[7]前記1本のバスケーブルで接続された前記複数のランプユニットで構成されるランプユニット群を複数備え、前記イルミネーションECUが、前記複数のランプユニット群に前記動作指示信号を送信する、上記[1]~[4]のいずれか1項に記載の車内照明システム。
[8]前記複数のランプユニットのうちの2つ以上が同じ導光体に接続されている、上記[1]~[4]のいずれか1項に記載の車内照明システム。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、1本のバスケーブルで接続された複数のデバイスを1つのイルミネーションECUで制御する車内照明システムであって、ランプユニットの明るさを滑らかに増加又は減少させることのできる車内照明システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る車内照明システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図2】
図2は、LIN通信を用いた従来の一般的な車内照明システムと同様の方法によって複数のランプユニットの明るさを徐々に増加させる場合の、所定のランプユニットの明るさの変化を模式的に示すグラフである。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る車内照明システムによって複数のランプユニットの明るさを徐々に増加させる場合の、所定のランプユニットの明るさの変化を模式的に示すグラフである。
【
図4】
図4(a)は、1本のバスケーブルで接続されたランプユニットのうちの2つ以上が接続される導光体の側面図である。
図4(b)は、導光体に光を供給するランプユニットと、導光体を収容する筐体が導光体に取り付けられた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(車内照明システムの構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る車内照明システム1の構成を概略的に示すブロック図である。なお、
図1では電源やGNDの表示を省略している。
【0015】
車内照明システム1は、1本のバスケーブル14で接続された複数のランプユニット11と、バスケーブル14を介して複数のランプユニット11に動作指示信号を送信するイルミネーションECU12とを備える。動作指示信号には明るさ(ランプユニット11の点灯の明るさ)の情報が含まれ、動作指示信号を受信したランプユニット11は、動作指示信号に含まれる明るさの情報に基づいた明るさで点灯又は消灯する。動作指示信号に含まれる明るさの情報は、例えば、ランプユニット11に光源として用いられる発光素子の出力を指定する情報である。
【0016】
車内照明システム1は、1本のバスケーブル14で接続された複数のランプユニット11を1つのイルミネーションECU12で制御することのできる、LIN(Local Interconnect Network)やCXPI(Clock Extension Peripheral Interface)などの通信規格を用いたものである。
【0017】
イルミネーションECU12から送信される動作指示信号は、バスケーブル14を介したLIN通信(LINの通信規格に基づいた通信)やCXPI通信(CXPIの通信規格に基づいた通信)によって複数のランプユニット11に送信される。以下、バスケーブル14を介した複数のランプユニット11への動作指示信号の送信にLIN通信を用いる場合を例に挙げて説明する。
【0018】
図1に示される例では、車内照明システム1において、LIN通信がCAN(Controller Area Network)通信と組み合わせて用いられている。この場合、ランプユニット群10(10a、10b)とイルミネーションECU12との間にLIN通信とCAN通信を変換するゲートウェイ13が用いられる。
【0019】
ここで、ランプユニット群10は、1本のバスケーブル14で接続された複数のランプユニット11で構成される群である。LIN通信の規格では、その通信容量の関係上、1つのマスターデバイスに接続することができるスレーブデバイスの最大数が16個に制限されている。このため、1つのランプユニット群10において、最大16個のランプユニット11を1本のバスケーブル14で接続することができる。
【0020】
ランプユニット群10に含まれる複数のランプユニット11とゲートウェイ13の間では、バスケーブル14を介してLIN通信が行われ、イルミネーションECU12とゲートウェイ13の間では、ケーブル15を介してCAN通信が行われる。なお、イルミネーションECU12とゲートウェイ13の間でCAN通信の代わりにCXPI通信などの他の通信規格の通信を行ってもよい。
【0021】
図1に示される例では、2つのランプユニット群10a、10bが車内照明システム1に含まれているが、車内照明システム1に含まれるランプユニット群10の数は特に限定されない。複数のランプユニット群10が車内照明システム1に含まれる場合は、イルミネーションECU12が複数のランプユニット群10に動作指示信号を送信する。また、この場合、
図1に例示されるように、1つのゲートウェイ13が複数のランプユニット群10に共通して用いられてもよいし、複数のランプユニット群10の各々に対して1つずつゲートウェイ13を用いてもよい。
【0022】
また、車内照明システム1において、CAN通信などと組み合わせずに、LIN通信を単独で用いてもよい。その場合、イルミネーションECU12と複数のランプユニット11の間でLIN通信が行われる。
【0023】
ランプユニット11は、例えば、光源としてのLEDなどの発光素子と、イルミネーションECU12から受信する動作指示信号に応じて発光素子を発光させるマイコン(マイクロコントローラ)などの制御部を備える。
【0024】
イルミネーションECU12には、ランプユニット11の動作を制御するためのユーザーによる操作を受け付ける操作部が接続されていてもよい。この場合、例えば、ユーザーによる操作部への操作がイルミネーションECU12に通知されると、点灯、消灯、明るさ変更などの操作の内容に応じて、イルミネーションECU12が複数のランプユニット11に動作指示信号を送信する。
【0025】
また、イルミネーションECU12には、車両の状態をイルミネーションECU12に通知することができるECUが接続されていてもよい。この場合、例えば、車両の駆動装置の始動や車両のアンロックなどがECUからイルミネーションECU12に通知されると、その内容に応じて、イルミネーションECU12が複数のランプユニット11に動作指示信号を送信する。
【0026】
(車内照明システムの動作)
図2は、LIN通信を用いた従来の一般的な車内照明システムと同様の方法によって複数のランプユニット11の明るさを徐々に増加させる場合の、所定のランプユニット11の明るさの変化を模式的に示すグラフである。
【0027】
イルミネーションECU12は、LIN通信の規格上、動作指示信号を送信する際に、1本のバスケーブル14で接続されるランプユニット11の全てに、同じ明るさの情報を含む動作指示信号を1つずつ順番に送信する。そして、ランプユニット11の明るさを徐々に増加(フェードイン)させる場合や徐々に減少(フェードアウト)させる場合には、1本のバスケーブル14で接続されるランプユニット11の全てに、同じ明るさの情報を含む動作指示信号を1つずつ順番に送信することを1セットとして、動作指示信号を連続的に複数セット送信する。
【0028】
図2のt
nは、所定のランプユニット11がnセット目(nは任意の正の整数)の動作指示信号を受信するタイミングを示す。所定のランプユニット11が動作指示信号を受信する間隔t
n+1-t
nは、1本のバスケーブル14で接続されるランプユニット11の全てが、順番に送信される動作指示信号、すなわち1セットの動作指示信号を受信するまでの時間と等しい。そのため、1本のバスケーブル14で接続されるランプユニット11の数が多いほど間隔t
n+1-t
nが大きくなる。
【0029】
そして、間隔tn+1-tnが大きくなるほど、明るさの変化が滑らかでなく、段階的に感じられる。例えば、1本のバスケーブル14に15個のランプユニット11が接続される場合、間隔tn+1-tnは約80msになる。間隔tn+1-tnが80ms以上の場合、明るさの段階的な変化がユーザーに認識されやすい。
【0030】
図2は、ランプユニット11の明るさを徐々に増加させる場合の例を示すグラフであるため、nが増加するほど明るさが大きくなる。反対に、ランプユニット11の明るさを徐々に減少させる場合は、nが増加するほど明るさが小さくなる。この場合も同様に、間隔t
n+1-t
nが大きくなるほど、明るさの変化が滑らかでなく、段階的に感じられる。
【0031】
図3は、本発明の実施の形態に係る車内照明システム1によって複数のランプユニット11の明るさを徐々に増加させる場合の、所定のランプユニット11の明るさの変化を模式的に示すグラフである。
図3の点線は、
図2に示される従来の一般的な車内照明システムによる明るさの変化を比較例として示したものである。
【0032】
本発明の実施の形態に係る車内照明システム1においても、LIN通信の規格上、イルミネーションECU12は、動作指示信号を送信する際に、1本のバスケーブル14で接続されるランプユニット11の全てに、同じ明るさの情報を含む動作指示信号を1つずつ順番に送信する。そして、ランプユニット11の明るさを徐々に増加させる場合や徐々に減少させる場合には、1本のバスケーブル14で接続されるランプユニット11の全てに、同じ明るさの情報を含む動作指示信号を1つずつ順番に送信することを1セットとして、動作指示信号を連続的に複数セット送信する。
【0033】
一方、本発明の実施の形態に係る車内照明システム1においては、tnにおいて受信するnセット目の動作指示信号が、n+1セット目の動作指示信号を受信するときtn+1に到達すべき明るさの情報と、明るさを連続的に変化させるという情報を含む。なお、この明るさを連続的に変化させるという情報は、例えば、明るさを連続的に変化させるか否かのいずれかを示す情報であり、極めてデータ量が小さいため、通信容量の少ないLIN通信への負担が小さい。
【0034】
そして、明るさを連続的に変化させるという情報が動作指示信号に含まれている場合に、複数のランプユニット11の各々が、n+1セット目の動作指示信号を受信するときtn+1に到達すべき明るさの情報と、nセット目の動作指示信号を受信するときtnからn+1セット目の動作指示信号を受信するときtn+1までの間隔tn+1-tnに基づいて、nセット目の動作指示信号を受信するときtnからn+1セット目の動作指示信号を受信するときtn+1までの明るさの増加率又は減少率を算出する。
【0035】
ここで、
図2に例示されるような、複数のランプユニット11の明るさを徐々に増加させる場合には、t
nからt
n+1までの明るさの増加率を算出し、複数のランプユニット11の明るさを徐々に減少させる場合には、t
nからt
n+1までの明るさの減少率を算出する。
図2において実線で示される明るさ変化の線のt
nからt
n+1までにおける傾きは、t
nからt
n+1までの明るさの増加率に等しい。
【0036】
複数のランプユニット11の各々は、算出したtnからtn+1までの明るさの増加率又は減少率に基づいて、tnからtn+1まで明るさを連続的に増加又は減少させる。なお、tnからtn+1までの増加率又は減少率の算出、及びそれに基づいた明るさの制御は、例えば、ランプユニット11に含まれるマイコンにより行われる。
【0037】
すなわち、複数のランプユニット11の明るさを徐々に増加又は減少させるときに、動作指示信号が連続的にNセット(Nは2以上の任意の整数)送信され、複数のランプユニット11の各々の明るさが、nセット目(nはN-1を最大値とする任意の正の整数)の動作指示信号を受信するときからn+1セット目の動作指示信号を受信するときまで連続的に増加又は減少する。
【0038】
その結果、t
nとt
n+1の間のランプユニット11の明るさが線形に補完され、
図2に示されるように、ランプユニット11の明るさの変化が、段階的でなく、曲線に近い滑らかなものになる。なお、ランプユニット11が明るさを徐々に減少させる場合の明るさの変化は、例えば、
図2の明るさの変化を左右反転させたような形になる。
【0039】
また、ランプユニット11は、ランプユニット11の明るさと、ランプユニット11の明るさの増加又は減少の仕方との関係が記録されたテーブルを参照して、tnとtn+1の間のランプユニット11の明るさを補完してもよい。
【0040】
例えば、明るさを連続的に変化させるという情報が動作指示信号に含まれている場合に、複数のランプユニット11の各々が、上記のテーブルを参照して、nセット目に受信する動作指示信号に含まれる複数のランプユニット11の明るさの情報から、nセット目の動作指示信号を受信するときtnからn+1セット目の動作指示信号を受信するときtn+1までの明るさの増加又は減少の仕方を決定する。
【0041】
この場合、tnからtn+1まで明るさの増加率又は減少率を多段的に変化させたり、明るさを曲線的に変化させたりすることもできるため、ランプユニット11の明るさの変化をより滑らかにすることができる。なお、上記のテーブルは、例えば、ランプユニット11に含まれる半導体メモリに格納されており、ランプユニット11に含まれるマイコンがこれを参照してtnからtn+1までの明るさの増加又は減少の仕方を決定することができる。
【0042】
上述のように、間隔tn+1-tnが80ms以上の場合、明るさの段階的な変化がユーザーに認識されやすい。このため、1本のバスケーブル14に15個以上のランプユニット11が接続される場合に、本発明の実施の形態に係るランプユニット11の明るさの変化を滑らかにするという効果がより大きく発揮される。
【0043】
なお、ランプユニット11の明るさを徐々に増加又は減少させるときの変化の開始時の明るさと終了時の明るさは、最小値(消灯)や最大値である必要はない。
【0044】
例えば、ランプユニット11が明るさを徐々に増加させる指示を受けるタイミングは、消灯状態にあるときでも点灯状態であるときでもよい。また、ランプユニット11が明るさを徐々に増加させる指示を受けたときに、最大の明るさまで増加させても、最大でない明るさまで増加させてもよい。
【0045】
同様に、ランプユニット11が明るさを徐々に減少させる指示を受けるタイミングは、最大の明るさで点灯しているときであっても、最大でない明るさで点灯しているときであってもよい。また、ランプユニット11が明るさを徐々に減少させる指示を受けたときに、消灯状態になるまで減少させても、消灯状態にならない程度まで減少させてもよい。
【0046】
(ランプユニットの配置例)
ランプユニット11は、例えば、カウルイルミネーション、足下イルミネーション、ドアイルミネーション、ラゲッジイルミネーションの光源として用いられる。車内の異なる位置に配置されたランプユニット11同士が、1本のバスケーブル14で接続されていてもよい。また、例えば、車内照明システム1における1本のバスケーブル14に接続された複数のランプユニット11のうちの2つ以上が、同じ導光体に接続されて用いられてもよい。
【0047】
図4(a)は、1本のバスケーブル14で接続されたランプユニット11のうちの2つ以上が接続される導光体2の側面図である。導光体2は、内部を伝播する光を反射して外部に射出するためのプリズム212が設けられたプリズム面211をその長さ方向に沿って有する、棒状の第1の導光部21と、棒状の第1の導光部21と一体に形成された棒状の第2の導光部22とを備える。第1の導光部21と第2の導光部22は、それぞれランプユニット11からの光を取り込むための光取込部213と光取込部221を端部に有する。プリズム212は、例えば、プリズム面211上に並べられた、各々が第1の導光部21の長さ方向に直交する方向に沿って延びる線状の溝や突起の群から構成される。
【0048】
図4(b)は、導光体2に光を供給するランプユニット11と、導光体2を収容する筐体3が導光体2に取り付けられた状態を示す図である。ランプユニット11は、導光体2の光取込部213と光取込部221に光を供給する。例えば、導光体2及びランプユニット11は、それぞれ筐体3に固定され、導光体2、ランプユニット11、及び筐体3によって、インストルメントパネルなどの車両内装などに用いられる照明装置が構成される。
【0049】
ランプユニット11から発せられた光は、光取込部213又は第2の導光部22の光取込部221から第1の導光部21に入り、プリズム212に反射されて、第1の導光部21のプリズム面211に対向する面から外部に射出される。
【0050】
(実施の形態の効果)
LIN通信を用いた車内照明システム1は、使用するケーブル数が少ないため、軽量化、省スペース化、コスト低減などの効果が得られるが、その反面、1本のバスケーブル14で接続されるランプユニット11の数によっては、明るさの変化が滑らかでなく段階的に感じられるという問題がある。上記の本発明の実施の形態に係る車内照明システム1によれば、LIN通信を用いる場合であっても、ランプユニット11の明るさを滑らかに変化させることができる。
【0051】
また、LIN通信と同様の特徴を有するCXPI通信を用いる場合も、同様の効果が得られる。なお、LIN通信を用いる場合、CXPI通信を用いる場合よりも車内照明システム1を低いコストで構築することができるが、LIN通信はCXPI通信よりも通信速度が低いため、ランプユニット11の明るさの変化が段階的に感じられるという問題が生じやすい。このため、LIN通信を用いる場合に、本発明の実施の形態に係るランプユニット11の明るさの変化を滑らかにするという効果がより大きく発揮される。
【0052】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、発明の主旨を逸脱しない範囲内において上記実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。
【0053】
また、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0054】
1 車内照明システム
10 ランプユニット群
11 ランプユニット
12 イルミネーションECU
13 ゲートウェイ
14 バスケーブル
2 導光体