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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119300
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】車両用内装パネル
(51)【国際特許分類】
   B60Q 3/217 20170101AFI20240827BHJP
   B60Q 3/14 20170101ALI20240827BHJP
   B60Q 3/82 20170101ALI20240827BHJP
【FI】
B60Q3/217
B60Q3/14
B60Q3/82
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026098
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】政次 美徳
(72)【発明者】
【氏名】上島 佑介
(72)【発明者】
【氏名】神谷 孝行
【テーマコード(参考)】
3K040
【Fターム(参考)】
3K040AA02
3K040CA05
3K040DA03
3K040DA05
3K040DB01
3K040EA04
3K040EA05
3K040EB02
3K040GB08
3K040GC01
3K040GC02
3K040GC14
(57)【要約】
【課題】夜間などの外光の少ない環境下でも高い意匠性を保持することのできる車両用内装パネルを提供する。
【解決手段】表面110を意匠面とする車両用内装パネルであって、光透過性を有する板状の基材10と、基材10の第1の面101上に設けられた、光透過性を有する加飾層11と、基材10の第2の面102上に設けられた、表面110とは反対の側からの光の照射により表面110に発光表示される図柄を有するグラデーションシート12と、を備え、グラデーションシート12は、光透過率が平面方向に連続的に変化するグラデーション部を含み、前記グラデーション部への表面110とは反対の側からの光の照射により表面110にグラデーション柄が発光表示される、車両用内装パネル1を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を意匠面とする車両用内装パネルであって、
光透過性を有する板状の基材と、
前記基材の前記表面側の面である第1の面上に設けられた、光透過性を有する加飾層と、
前記基材の前記第1の面の反対側の第2の面上に設けられた、前記表面とは反対の側からの光の照射により前記表面に発光表示される図柄を有する図柄部と、
を備え、
前記図柄部は、光透過率が平面方向に連続的に変化するグラデーション部を含み、
前記グラデーション部への前記表面とは反対の側からの光の照射により前記表面にグラデーション柄が発光表示される、
車両用内装パネル。
【請求項2】
電子機器のスイッチの図柄が表示される第1の表示部、及び前記図柄部の図柄が発光表示される第2の表示部が、前記表面に含まれる、
請求項1に記載の車両用内装パネル。
【請求項3】
前記第1の表示部へのタッチ操作を検知するタッチセンサーを備え、
前記タッチセンサーによる前記第1の表示部へのタッチ操作の検知に応じて、アンサーバックとして前記図柄部の図柄が前記第2の表示部に発光表示される、
請求項2に記載の車両用内装パネル。
【請求項4】
前記グラデーション柄の少なくとも一部が、前記第2の表示部の前記第1の表示部に隣接する領域において、前記第1の表示部側の明るさが低く、前記第2の表示部の中心側の明るさが高くなるグラデーションを有する、
請求項2に記載の車両用内装パネル。
【請求項5】
前記基材と前記加飾層の間に設けられた、前記表面とは反対の側からの光の照射により前記第1の表示部に発光表示される前記スイッチの図柄を有するスイッチ図柄部と、
前記図柄部の前記表面とは反対の側の空間の周囲を囲むように設けられた壁状の遮光部材と、
を備えた、
請求項2に記載の車両用内装パネル。
【請求項6】
前記図柄部が、グラデーションシートである、
請求項1~5のいずれか1項に記載の車両用内装パネル。
【請求項7】
前記図柄部が、前記グラデーション部としての突起を備えた透明部材であり、
前記突起が、前記第2の面に対して傾斜した傾斜面を有する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の車両用内装パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用内装パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、模様または色が施された透光性を有する加飾パネルと、加飾パネルの裏側に配置された光源とを備え、光源の点灯時には加飾パネルの表側にスイッチの図柄が表示された車両用スイッチ装置が知られている(特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に記載の車両用スイッチ装置においては、光源の消灯時には加飾パネルの表側に加飾パネルに施された模様または色のみが表れる。特許文献1によれば、光源を消灯しているときにはスイッチの図柄が表示されないために、煩雑な印象を与えることを防止でき、上記のスイッチ装置によって車両内装の意匠性を高めることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-321336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のスイッチ装置においては、夜間などの外光の少ない環境下では、加飾パネルの模様や色が視認し難く、スイッチの図柄のみが視認されるため、加飾パネルによる意匠性が低くなる。
【0006】
本発明の目的は、夜間などの外光の少ない環境下でも高い意匠性を保持することのできる車両用内装パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、下記の車両用内装パネルを提供する。
【0008】
[1]表面を意匠面とする車両用内装パネルであって、光透過性を有する板状の基材と、前記基材の前記表面側の面である第1の面上に設けられた、光透過性を有する加飾層と、前記基材の前記第1の面の反対側の第2の面上に設けられた、前記表面とは反対の側からの光の照射により前記表面に発光表示される図柄を有する図柄部と、を備え、前記図柄部は、光透過率が平面方向に連続的に変化するグラデーション部を含み、前記グラデーション部への前記表面とは反対の側からの光の照射により前記表面にグラデーション柄が発光表示される、車両用内装パネル。
[2]電子機器のスイッチの図柄が表示される第1の表示部、及び前記図柄部の図柄が発光表示される第2の表示部が、前記表面に含まれる、上記[1]に記載の車両用内装パネル。
[3]前記第1の表示部へのタッチ操作を検知するタッチセンサーを備え、前記タッチセンサーによる前記第1の表示部へのタッチ操作の検知に応じて、アンサーバックとして前記図柄部の図柄が前記第2の表示部に発光表示される、上記[2]に記載の車両用内装パネル。
[4]前記グラデーション柄の少なくとも一部が、前記第2の表示部の前記第1の表示部に隣接する領域において、前記第1の表示部側の明るさが低く、前記第2の表示部の中心側の明るさが高くなるグラデーションを有する、上記[2]に記載の車両用内装パネル。
[5]前記基材と前記加飾層の間に設けられた、前記表面とは反対の側からの光の照射により前記第1の表示部に発光表示される前記スイッチの図柄を有するスイッチ図柄部と、前記図柄部の前記表面とは反対の側の空間の周囲を囲むように設けられた壁状の遮光部材と、を備えた、上記[2]に記載の車両用内装パネル。
[6]前記図柄部が、グラデーションシートである、上記[1]~[5]のいずれか1項に記載の車両用内装パネル。
[7]前記図柄部が、前記グラデーション部としての突起を備えた透明部材であり、前記突起が、前記第2の面に対して傾斜した傾斜面を有する、上記[1]~[5]のいずれか1項に記載の車両用内装パネル。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、夜間などの外光の少ない環境下でも高い意匠性を保持することのできる車両用内装パネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る車両用内装パネルの一部の垂直断面図である。
図2図2(a)は、車両用内装パネルの表面に含まれる第1の表示部と第2の表示部の配置例を示す平面図である。図2(b)、(c)は、それぞれ、第2の表示部が発光表示されていない状態と発光表示されている表面の状態を例示する平面図である。
図3図3は、車両用内装パネルが搭載される車両の内装の一例を示す図である。
図4図4(a)は、車両用内装パネルが配置された運転席側のドアの一例を示す図であり、図4(b)は、車両用内装パネルが配置された助手席側のドアの一例を示す図である。
図5図5は、車両用内装パネルの動作に関わるシステムの構成例を示すブロック図である。
図6図6は、車両用内装パネルを用いた電子機器の動作制御の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、車両用内装パネルの変形例の一部の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(発光装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る車両用内装パネル1の一部の垂直断面図である。車両用内装パネル1は、表面110を意匠面とする車両用内装パネルであって、光透過性を有する板状の基材10と、基材10の表面110側の面である第1の面101上に設けられた、光透過性を有する加飾層11と、基材10の第1の面101の反対側の第2の面102上に設けられた、表面110とは反対の側(すなわち、図1における下側)からの光の照射により表面110に発光表示される図柄を有する図柄部としてのグラデーションシート12と、を備える。
【0012】
グラデーションシート12は、その少なくとも一部に光透過率が平面方向に連続的に変化するグラデーション部を含む、樹脂やガラスなどからなるシートである。グラデーションシート12のグラデーション部への下側からの光の照射により、表面110にグラデーション柄113が発光表示される。
【0013】
グラデーションシート12は、表面110にグラデーション柄113を鮮明に表示するため、基材10の第1の面101上ではなく、第2の面102上に設けられる。基材10の第2の面102側にグラデーションシート12を配置することにより、グラデーションシート12の入光側の面が空気層(基材10と後述する基板18との間の空気が存在する空間)との境界面になるため、グラデーションシート12の表面の凹凸による光の拡散効果が得られる。そのため、光の明るさが平面方向に変化するグラデーション柄113の鮮明な表示が可能となる。また、グラデーションシート12を第2の面102上に設けることにより、表面110に表示されるグラデーションシート12の図柄に奥行き感が生まれる。
【0014】
加飾層11は、表面110側からの光の照射により表面110側から視認可能になる模様、例えば木目模様などの全体的に施された模様、を有する。すなわち、昼間などのある程度外光が多い環境下では、加飾層11の模様を視認することができる。一方で、夜間などの外光が少ない環境下では、加飾層11の模様の視認性が低くなるが、表面110に発光表示されるグラデーションシート12の図柄は高い視認性を有する。すなわち、車両用内装パネル1によれば、夜間などの外光が少ない環境下であっても高い意匠性を保持することができる。
【0015】
加飾層11は、加飾が施された透明なシート、例えば、透明なインクで加飾された加飾シートや、人工透過皮革からなる。加飾層11は、無色でも有色でもよく、有色の場合は任意の色を有することができる。加飾層11は、後述する第1の発光素子16と第2の発光素子17の発する可視光を透過する。
【0016】
図1に示される例においては、車両用内装パネル1が加飾層11を最表面に有するため、加飾層11の表面が車両用内装パネル1の表面110となる。透明膜などの他の層が加飾層11の上に設けられる場合は、その層の表面が車両用内装パネル1の表面110となる。
【0017】
本実施の形態に係る車両用内装パネル1においては、車両に搭載された電子機器の操作、例えば、エアーコンディショナーの温度調節や風量調節、デフロスター、デフォッガー、デアイサーの作動、照明の明るさ調節、電動センターコンソールボックスなどの車内部品の位置調整などのためのスイッチの図柄が表示される第1の表示部111、及びグラデーションシート12の図柄が発光表示される第2の表示部112が、表面110に含まれる。
【0018】
後述のように、第1の表示部111に表示されるスイッチの図柄を目印としてタッチ操作を行うことにより、スイッチの図柄に対応した各種電子機器の操作を行うことができる。
【0019】
図2(a)は、車両用内装パネル1の表面110に含まれる第1の表示部111と第2の表示部112の配置例を示す平面図である。図2に示される例では、左側にデフロスターのスイッチマーク、デアイサーのスイッチマーク、デフォッガーのスイッチマークがそれぞれ表示される3つの第1の表示部111が配置され、その右側に第2の表示部112を挟んでエアーコンディショナーの風量調節のスイッチマークが表示される第1の表示部111が配置され、さらにその右側に第2の表示部112を挟んでエアーコンディショナーの温度調節のスイッチマークが表示される第1の表示部111が配置されている。
【0020】
図2(b)、(c)は、それぞれ、第2の表示部112が発光表示されていない状態と発光表示されている表面110の状態を例示する平面図である。後述するように、第2の表示部112の発光表示を第1の表示部111へのタッチ操作のアンサーバックとして用いる場合は、図2(b)はタッチ操作を行っていない状態を示し、図2(c)はタッチ操作を行った直後の状態を示す。
【0021】
図2(c)の左側の第2の表示部112に例示されるように、グラデーション柄113の少なくとも一部が、第2の表示部112の第1の表示部111に隣接する領域において、第1の表示部111側の明るさが低く、第2の表示部112の中心側の明るさが高くなるグラデーションを有することが好ましい。この場合、第2の表示部112が発光表示されたときの第1の表示部111と第2の表示部112の境界を目立たなくして、意匠性をより高めることができる。
【0022】
図3は、車両用内装パネル1が搭載される車両9の内装の一例を示す図である。車両用内装パネル1は、例えば、運転席91側のドア900、助手席92側のドア、インストルメントパネル904、センターコンソール905、フロアコンソール906、コンソールボックス907、運転席91側のAピラー908、助手席92側のAピラー909、運転席91側のBピラー910、助手席92側のBピラー、後部座席93側の左右のドア912、天井94などの部品に取り付けることができる。車両用内装パネル1の表面110は、車両用内装パネル1が取り付けられた部品の表面の一部となる。
【0023】
図4(a)は、車両用内装パネル1が配置された運転席91側のドア900の一例を示す図であり、図4(b)は、車両用内装パネル1が配置された助手席92側のドア902の一例を示す図である。図4(a)に示されるように、車両用内装パネル1をドア900に取り付ける場合、典型的には、ドア900のドアトリム901に取り付ける。また、図4(b)に示されるように、車両用内装パネル1をドア902に取り付ける場合、典型的には、ドア902のドアトリム903に取り付ける。同様に、車両用内装パネル1を後部座席93側のドア912に取り付ける場合には、ドア912のドアトリム913に取り付ける。
【0024】
図1に示されるように、基材10と加飾層11の間には、光の透過率が低い遮光部131と透過率が高い透過部132とが所定の平面パターンで配置されたフィルター層13が設けられている。フィルター層13は、加飾層11の裏面に設けられ、加飾層11とともに基材10に貼り付けられるものであってもよいし、加飾層11を貼り付ける前に基材10の第1の面101上に設けられるものであってもよい。
【0025】
フィルター層13の第1の表示部111の下方の領域は、上記の第1の表示部111に発光表示されるスイッチの図柄を有するスイッチ図柄部として機能する。フィルター層13のスイッチ図柄部では、透過部132がスイッチの図柄のパターンに配置され、その他の領域に遮光部131が配置される。そして、フィルター層13のスイッチ図柄部に表面110とは反対の側(図1における下側)から光を照射することにより、第1の表示部111にスイッチの図柄を発光表示させることができる。
【0026】
フィルター層13の第2の表示部112の下方の領域は、グラデーションシート12の図柄を第2の表示部112に発光表示させるため、例えば、第2の表示部112の発光させる領域の下方には透過部132を配置し、発光させない領域の下方には遮光部131を配置する。また、第2の表示部112の全領域を発光させる場合には、フィルター層13の第1の表示部111の下方の領域には透過部132のみを配置してもよい。
【0027】
なお、第1の表示部111に表示されるスイッチの図柄は、印刷などの発光表示以外の方法で表示されるものであってもよい。この場合、フィルター層13は車両用内装パネル1に含まれなくてもよい。
【0028】
車両用内装パネル1は、フィルター層13のスイッチ図柄部に下方から光を照射し、第1の表示部111にスイッチの図柄を発光表示させるための第1の発光素子16と、グラデーションシート12に下方から光を照射し、第2の表示部112にグラデーションシート12の図柄を発光表示させるための第2の発光素子17を備える。第1の発光素子16と第2の発光素子17は、基材10の第2の面102側、すなわち基材10の下方に設置された、プリント基板などの基板18に実装されている。
【0029】
第1の発光素子16と第2の発光素子17は、典型的にはLED(Light Emitting Diode)チップであるが、これに限定されず、例えばLD(Laser Diode)チップであってもよい。第1の発光素子16と第2の発光素子17の発光色は特に限定されず、また、フルカラーLEDなどの複数の色を発することのできる素子であってもよい。
【0030】
第2の発光素子17は、グラデーションシート12を面で照らせるように、複数設置されることが好ましい。また、この場合、複数の第2の発光素子17の点灯のタイミングを制御して、第2の表示部112に発光表示される図柄に動きを付けることができる。
【0031】
なお、基板18に実装された第1の発光素子16と第2の発光素子17は、車両用内装パネル1に含まれない部品であって、車両用内装パネル1と組み合わせた上で車両に取り付けられる部品であってもよい。
【0032】
基材10は、第1の発光素子16と第2の発光素子17の発する可視光に対して透明な材料、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂などの樹脂からなる。
【0033】
車両用内装パネル1は、図1に示されるように、グラデーションシート12の表面110とは反対の側の空間、すなわち図1におけるグラデーションシート12の下方の空間の周囲を囲むように設けられた壁状の遮光部材15を備えることが好ましい。
【0034】
遮光部材15は、第1の表示部111の下方の空間と、第2の表示部112の下方の空間を区画するため、第1の表示部111の下方に位置する第1の発光素子16から発せられた光がグラデーションシート12に照射され、第2の表示部112を発光させることを抑制できる。また、同様に、第2の表示部112の下方に位置する第2の発光素子17から発せられた光がフィルター層13のスイッチ図柄部に照射され、第1の表示部111を発光させることを抑制できる。
【0035】
遮光部材15は、例えば、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)などの可視光の透過性が低い材料からなる。遮光部材15は、例えば、基材10に固定される。
【0036】
車両用内装パネル1は、第1の表示部111へのタッチ操作を検知するためのタッチセンサー14を備える。また、タッチセンサー14による第1の表示部111へのタッチ操作の検知に応じて、アンサーバックとしてグラデーションシート12の図柄を第2の表示部112に発光表示させることができる。
【0037】
図1に示される例では、車両用内装パネル1は、電子機器のスイッチとして静電容量方式のタッチセンサー14を備えている。図1に示される基材10の第2の面102側に設けられた電極141は、電界を発生させるためのタッチセンサー14に含まれる電極である。
【0038】
図1に示されるように、電極141は、第1の表示部111の下方に設けられる。すなわち、電極141と第1の表示部111は、平面方向の位置が重なる。このため、車両用内装パネル1の表面110側からスイッチの図柄を有する第1の表示部111に手を近付けることにより、手と電極141の間に形成される擬似的なコンデンサの静電容量が変化し、この静電容量の変化をタッチ操作として検知することができる。なお、タッチ操作の検知は、手が第1の表示部111に接触したときであってもよいし、ある程度近接したときであってもよい。
【0039】
電極141は、第1の発光素子16から発せられる光を透過する。電極141の平面形状は、例えば円形や長方形であるが、これらに限定されず、第1の表示部111の形状や大きさに応じて設定することができる。
【0040】
なお、車両用内装パネル1の備えるタッチ操作を検知する手段は、上述の静電容量方式のタッチセンサー14に限定されず、例えば、物理スイッチであってもよい。物理スイッチを用いる場合、例えば、電極141の位置にマイクロスイッチが設置され、第1の表示部111へのタッチ操作による基材10の変形により、マイクロスイッチがオン状態となって操作を検知する。
【0041】
図5は、本発明の実施の形態に係る車両用内装パネル1の動作に関わるシステムの構成例を示すブロック図である。
【0042】
第1の発光素子16及び第2の発光素子17は、制御部19と電気的に接続されている。第1の発光素子16は、制御部19から送信される発光指示信号Xに基づいて発光する。第2の発光素子17は、制御部19から送信される発光指示信号Xに基づいて発光する。
【0043】
タッチセンサー14は、制御部19と電気的に接続されており、検出した静電容量の変化に応じた検知信号Xを制御部19に送信する。
【0044】
制御部19は、第1の表示部111へのタッチ操作による操作対象である、車両に搭載された電子機器95、例えば、エアーコンディショナー、照明、電動センターコンソールボックスなどに接続され、これらを動作させるための動作指示情報Xを送信する。また、制御部19が車両全体の設定や自動運転機能の制御を行うECU(Electronic Control Unit)などの車両制御装置90と接続され、車両の状態などの情報を含む車両情報Xを受信できる構成であってもよい。
【0045】
制御部19は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部19が動作するためのプログラムが格納されている。RAMは、例えば、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。
【0046】
制御部19は、車両用内装パネル1に含まれていてもよいし、車両用内装パネル1の外部、例えば、車両制御装置90に含まれていてもよい。
【0047】
図6は、本発明の実施の形態に係る車両用内装パネル1を用いた電子機器の動作制御の一例を示すフローチャートである。
【0048】
制御部19は、第1の表示部111へのタッチ操作を検知したことを報せる検知信号Xをタッチセンサー14から受信すると(ステップS1)、第2の発光素子17に発光指示信号Xを送信し、これを発光させて、アンサーバックとして第2の表示部112にグラデーションシート12の図柄を所定の時間発光表示させる(ステップS2)。また、このステップS2と並行して、制御部19は、タッチ操作された第1の表示部111に対応する動作指示情報Xを対応する電子機器95に送信し、動作させる(ステップS3)。
【0049】
なお、ステップS2において、第2の表示部112の発光領域や発光パターンなどを変えて、複数の第1の表示部111のうちのいずれがタッチ操作されたかを表示してもよい。
【0050】
第1の発光素子16は、例えば、車両の駆動装置の始動や車両のアンロックなどをトリガーとして発光し、駆動装置が停止するまで連続的に第1の表示部111を発光表示させる。制御部19は、車両の駆動装置の始動や車両のアンロックなどが実行されたとの情報を含む車両情報Xを車両制御装置90から受信すると、第1の発光素子16に発光指示信号Xを送信し、これを発光させて、第1の表示部111を発光表示させる。
【0051】
ステップS2おけるアンサーバックとして、タッチ操作された第1の表示部111の下方の第1の発光素子16をタッチ操作前と異なる色で発光させたり、点滅発光させたりしてもよい。この場合、制御部19が第1の発光素子16にも発光指示信号を送信し、異なる色で発光させたり、点滅発光させたりする。ここで、第1の発光素子16を異なる色で発光させる場合には、発光色の異なる複数の第1の発光素子16を用いて発光させる素子を切り替える方法や、フルカラーLEDなどの複数の色の光を発することができる第1の発光素子16を用いて発光色を切り替える方法などを用いることができる。また、この場合、互いに引接する第1の表示部111の下方にそれぞれ第1の発光素子16が配置され、また、互いに隣接する第1の表示部111の下方の空間は、遮光部材15によって区画される。
【0052】
(変形例)
図7は、本発明の実施の形態に係る車両用内装パネル1の変形例である車両用内装パネル2の一部の垂直断面図である。車両用内装パネル2は、グラデーションシート12の代わりに透明部材21を図柄部として備える点において、車両用内装パネル1と異なる。
【0053】
透明部材21は、グラデーション部としての突起211を備え、突起211は、基材10の第2の面102に対して傾斜した傾斜面212を有する。第2の発光素子17から発せられた光のうち、傾斜面212で屈折する光は、表面110において取り出される量が面内方向で連続的に変化し、グラデーション柄113を形成する。すなわち、透明部材21は、グラデーションシート12と同様に、その少なくとも一部に光透過率が平面方向に連続的に変化するグラデーション部を含む。また、突起211の頂点部分からは光が透過しないため、グラデーション柄113の輪郭を表現することができる。
【0054】
透明部材21は、グラデーションシート12と同様に、基材20の表面110とは反対側の面である第2の面202に設けられる。基材20は、車両用内装パネル1の基材10と同様の材料からなる板状の部材である。また、透明部材21は、典型的には、図7に示されるように、基材20の一部として形成されるが、基材20と別部品として形成された透明部材21を基材20の表面110とは反対側の面である第2の面202に貼り付けて用いてもよい。
【0055】
表面110に発光表示される透明部材21の図柄の濃淡を鮮明にするため、基材20はスモーク色を有することが好ましい。
【0056】
(実施の形態の効果)
上記の本発明の実施の形態に係る車両用内装パネル1、2によれば、その表面110にグラデーションシート12、透明部材21などの図柄部の図柄を発光表示させることにより、夜間などの外光の少ない環境下でも高い意匠性を保持することができる。また、図柄部の図柄の発光表示を電子機器95のスイッチの図柄が表示される第1の表示部111へのタッチ操作のアンサーバックとして用いることにより、夜間などの外光の少ない環境下でも高い意匠性を保持することができるスイッチ装置として車両用内装パネル1、2を用いることもできる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、発明の主旨を逸脱しない範囲内において上記実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。
【0058】
また、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0059】
1、2 車両用内装パネル
10 基材
101 第1の面
102 第2の面
11 加飾層
110 表面
111 第1の表示部
112 第2の表示部
113 グラデーション柄
12 グラデーションシート
14 タッチセンサー
141 電極
15 遮光部材
21 透明部材
211 突起
212 傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7