(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119311
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】複合管の製造方法、並びに連結具及び搬送架台
(51)【国際特許分類】
F16L 11/11 20060101AFI20240827BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20240827BHJP
B29C 44/32 20060101ALI20240827BHJP
B29C 48/32 20190101ALI20240827BHJP
B29C 48/88 20190101ALI20240827BHJP
B29C 48/13 20190101ALI20240827BHJP
B29D 23/18 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
F16L11/11
B29C44/00 E
B29C44/32
B29C48/32
B29C48/88
B29C48/13
B29D23/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026115
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金平 豊
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 孝輔
(72)【発明者】
【氏名】湯川 雅己
【テーマコード(参考)】
3H111
4F207
4F213
4F214
【Fターム(参考)】
3H111AA02
3H111BA15
3H111CA42
3H111CB03
3H111CB14
3H111DA13
3H111DB03
3H111EA02
4F207AA04
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4F207AG10
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4F214UW42
(57)【要約】
【課題】製品長さより長い仕掛り内管を用いて、波形被覆管に内管を収容してなる製品長さの複合管を製造する。
【解決手段】製品長さL
10より長い仕掛り内管16を押出ノズル21の内管送出口28cから波形成形部22へ送り出す。押出ノズル21の環状の押出し口21aから原料樹脂12aを管状にして製品長さL
10より長く連続するように波形成形部22へ押し出す。波形成形部22によって原料樹脂12aを順次波形に成形することによって仕掛り波形被覆管18を形成し、ひいては仕掛り波形被覆管18及び仕掛り内管16からなる仕掛り複合管19を製品長さL
10より長い仕掛り長さL
19になるまで順次作成する。仕掛り複合管19を巻き取ることによって仕掛り巻き重ね体19Aとする。仕掛り巻き重ね体19Aから仕掛り複合管19を順次繰り出して、真っ直ぐ伸ばして製品長さL
10ごとに切断する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性の内管が波形被覆管に収容された製品長さの複合管を製造する複合管製造方法であって、
前記製品長さより大きな長さを有して前記内管となるべき仕掛り内管を押出ノズルの内管送出口から波形成形部へ送り出す工程と、
前記押出ノズルの前記内管送出口を囲む環状の押出し口から前記波形被覆管の原料樹脂を管状にして前記製品長さより長く連続するように前記波形成形部へ押し出す工程と、
前記波形成形部によって前記原料樹脂を順次波形に成形することによって仕掛り波形被覆管を形成し、ひいては前記仕掛り波形被覆管及び前記仕掛り内管からなる仕掛り複合管を前記製品長さより長い仕掛り長さになるまで順次作成する工程と、
前記仕掛り複合管を巻き取ることによって仕掛り巻き重ね体とする工程と、
前記仕掛り巻き重ね体から前記仕掛り複合管を順次繰り出す工程と
繰り出した仕掛り複合管を真っ直ぐ伸ばす工程と、
伸ばした仕掛り複合管を前記製品長さに切断することによって前記複合管を得る工程と、
を備えたことを特徴とする複合管製造方法。
【請求項2】
前記製品長さ以上かつ前記仕掛長さよりも短い有限長の複数の有限長内管を一列に連ねることによって前記仕掛り内管とし、
前記複合管が前記仕掛り内管の切れ目又は前記有限長内管どうしの継ぎ目を含まないように前記切断を行なう請求項1に記載の複合管製造方法。
【請求項3】
管軸方向に隣接する前記有限長内管どうしを連結具によって連結することによって前記仕掛り内管とし、
前記複合管が前記連結具を含まないように前記切断を行なう請求項2に記載の複合管製造方法。
【請求項4】
前記繰り出した仕掛り複合管を、直線状に延びる搬送架台に載せて搬送するとともに、前記搬送架台の幅方向の両側に配置されたガイド部材によって前記仕掛り複合管を前記幅方向の両側からガイドする請求項1に記載の複合管製造方法。
【請求項5】
前記波形成形部における前記仕掛り複合管の成形時に、前記仕掛り複合管の内周面から突出する複数の保持凸部を管軸方向及び管周方向に分散して配置されるように形成し、前記保持凸部によって前記仕掛り内管を保持させる請求項1~4の何れか1項に記載の複合管製造方法。
【請求項6】
前記波形成形部において、前記樹脂を1.05倍~4倍の発泡倍率で発泡させる請求項5に記載の複合管製造方法。
【請求項7】
請求項3に記載の複合管製造方法に用いられる連結具であって、
前記隣接する2つの有限長内管のうち一方の対向端部の内部に挿し込まれる第1連結筒部と、前記2つの有限長内管のうち他方の対向端部の内部に挿し込まれる第2連結筒部とを有して、これら対向端部に跨る短筒状の連結具本体と、
前記第1連結筒部の外周に設けられて、前記一方の対向端部と密着又は係止される第1抜止め部と、
前記第2連結筒部の外周に設けられて、前記他方の対向端部と密着又は係止される第2抜止め部と、
を備えたことを特徴とする連結具。
【請求項8】
請求項4に記載の複合管製造方法に用いられる搬送架台であって、
前記繰り出された仕掛り複合管を載せて搬送する直線コンベアと、
前記直線コンベアの幅方向の両側に配置されて、前記仕掛り複合管をガイドするガイド部材と、
を備えたことを特徴とする搬送架台。
【請求項9】
前記直線コンベアの長さが、前記製品長さと略同等である請求項8に記載の搬送架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内管を被覆層で被覆してなる複合管の製造方法並びにその製造方法に用いられる連結具及び搬送架台に関し、特に被覆層が波形被覆管からなる複合管の製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、給水給湯用の可撓管は表面が柔らかいため、被覆層を付けて複合管とした製品が広く普及している。被覆層を発泡樹脂層としたタイプは、低価格で納まりが良く、かつ角部での引き摺り傷等に比較的強いことで市場の支持を集めている。さらに滑りやすく角に引掛かかりにくくしたり、保温性をより高めたり、生曲げ部分の内まわり側に発生するたるみやシワが目立たないようにしたり、継手接続時の内管露出性をさらに良くしたいとの要請もある。
被覆層として、大径部と小径部が管軸方向に交互に形成された波形被覆管(コルゲート管)を用いることにすれば、このような要請に応えることができる。
【0003】
特許文献1には、合成樹脂製の内管を形成して硬化させた後、その外周面上で波形被覆管を成形することで複合管を製造する方法が開示されている。
詳しくは、先に内管を成形して硬化させる。該内管を、押出ノズルの中心の内管送出口から送り出して波形成形部に導入する。波形成形部は、2つの長円形の環状軌道上に並べられた多数個の半割筒状の波付け金型を備えている。これら波付け金型が各環状軌道に沿って循環移動しながら、2つの環状軌道における対をなす波付け金型どうしが、環状軌道の約半周移動する期間中、互いに合わさって閉じた筒状の波付け金型対となる。該波付け金型対の内部に前記内管を挿し入れる。かつ2層の合成樹脂からなる被覆層を、前記押出ノズルの内管送出口を囲む二重環状の押出し口から共押し出しする。被覆層は、内管を囲む管状に形成されて波付け金型対の内部に導入される。さらに、バキュームによって、被覆層を拡径させて波付け金型対の内周の波形の型面に密着させる。これによって、被覆層が、波形に成形されて波形被覆管となる。
【0004】
この種の複合管の内管の内部には水や湯などの流体が通される。該流体の圧力、流量、温度などは使用状況によって急変し得る。すると、内管がばたついてウォーターハンマー(水撃)音が発生したり熱伸縮音が発生したりすることがある。これに対し、特許文献2の複合管においては、波形被覆管に径方向内側へ突出する保持凸部が形成され、該保持凸部によって内管が拘束されている。これにより、前記圧力等の急変による内管のバタツキを抑制して、音の発生を防止している。
さらに特許文献2においては、予め、内管を波形被覆管の成形部の上流側又は別のラインで成形して硬化させたり入手したりするなどして、用意しておき、該内管を波形被覆管成形部へ導入して、内管の外周に波形被覆管を成形している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-226144号公報
【特許文献2】特開2021-041539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
仕掛り段階における予め用意等された内管(仕掛り内管)の長さは、複合管の製品長さと一致することは少なく、通常は、製品長さより大きな有限の長さであると考えられる。一方、特許文献2には、そのような仕掛り内管から複合管を所定の製品長さになるよう形成する方法が十分に開示されていない。
本発明は、かかる事情に鑑み、製品長さより長い仕掛り内管を用いて、波形被覆管に内管を収容してなる製品長さの複合管を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明方法は、可撓性の内管が波形被覆管に収容された製品長さの複合管を製造する複合管製造方法であって、
前記製品長さより大きな長さを有して前記内管となるべき仕掛り内管を押出ノズルの内管送出口から波形成形部へ送り出す工程と、
前記押出ノズルの前記内管送出口を囲む環状の押出し口から前記波形被覆管の原料樹脂を管状にして前記製品長さより長く連続するように前記波形成形部へ押し出す工程と、
前記波形成形部によって前記原料樹脂を順次波形に成形することによって仕掛り波形被覆管を形成し、ひいては前記仕掛り波形被覆管及び前記仕掛り内管からなる仕掛り複合管を前記製品長さより長い仕掛り長さになるまで順次作成する工程と、
前記仕掛り複合管を巻き取ることによって仕掛り巻き重ね体とする工程と、
前記仕掛り巻き重ね体から前記仕掛り複合管を順次繰り出す工程と
繰り出した仕掛り複合管を真っ直ぐ伸ばす工程と、
伸ばした仕掛り複合管を前記製品長さに切断することによって前記複合管を得る工程と、
を備えたことを第1特徴とする。
【0008】
当該方法によれば、長尺の仕掛り内管を押出ノズルへ連続供給するとともに、原料樹脂を押出ノズルへ連続供給することによって、長尺の仕掛り複合管を形成できる。該仕掛り複合管を仕掛り巻き重ね体とすることによって、コンパクトに保管でき、運搬を容易化できる。
仕掛り複合管を複数の複合管に分割する際は、仕掛り巻き重ね体から繰り出した仕掛り複合管を一旦、真っ直ぐ伸ばす。これによって、巻き癖を緩和できる。したがって、分割した各複合管に複雑な巻き癖が付くのを防止でき、複合管の巻取りを円滑に行うことができる。
【0009】
好ましくは、前記製品長さ以上かつ前記仕掛長さよりも短い有限長の複数の有限長内管を一列に連ねることによって前記仕掛り内管とし、前記複合管が前記仕掛り内管の切れ目又は前記有限長内管どうしの継ぎ目を含まないように前記切断を行なう。
これによって、有限長内管から長尺の仕掛り内管が得られる。更に、仕掛り内管から切り出した複合管を構成する内管の途中に切れ目や継ぎ目が存在しないようにでき、切れ目や継ぎ目における漏れを防止できる。
前記押出ノズルよりも製造ラインの上流側で、内管を押出成形してもよいが、そうすると、製造ラインを長くしなければならず工場建屋に納まらない等のレイアウト上の課題が生じる。また、耐圧品質や製造コスト等の製造条件によって、内管の線速が決まっている場合、波形被覆管を内管の線速に合わせて成形しなければならない等の製造技術上の課題も生じる。このため、事前に有限長内管から長尺の仕掛り内管を作成して準備しておくことが好適である。
【0010】
本発明方法は、可撓性の内管が波形被覆管に収容された製品長さの複合管を製造する複合管製造方法であって、
前記製品長さ以上の有限長の複数の有限長内管を一列に連ねることによって、前記内管となるべき仕掛り内管を作成する工程と、
前記仕掛り内管を押出ノズルの内管送出口から波形成形部へ送り出す工程と、
前記押出ノズルの前記内管送出口を囲む環状の押出し口から前記波形被覆管の原料樹脂を管状にして前記製品長さより長く連続するように前記波形成形部へ押し出す工程と、
前記波形成形部によって前記原料樹脂を順次波形に成形することによって仕掛り波形被覆管を形成し、ひいては前記仕掛り波形被覆管及び前記仕掛り内管からなる仕掛り複合管を前記製品長さより長くなるよう作成する工程と、
前記仕掛り複合管を前記製品長さに切断することによって前記複合管を得る工程と、
を備え、前記複合管が前記仕掛り内管の切れ目又は前記有限長内管どうしの継ぎ目を含まないように前記切断を行なうことを第2特徴とする。
【0011】
好ましくは、管軸方向に隣接する前記有限長内管どうしを連結具によって連結することによって前記仕掛り内管とし、前記複合管が前記連結具を含まないように前記切断を行なう。
これによって、有限長内管から長尺の仕掛り内管を容易に得ることができる。更に、仕掛り内管から切り出した複合管を構成する内管の途中に切れ目や継ぎ目が存在しないようにでき、切れ目や継ぎ目における漏れを防止できる。
【0012】
好ましくは、前記繰り出した仕掛り複合管を、直線状に延びる搬送架台に載せて搬送するとともに、前記搬送架台の幅方向の両側に配置されたガイド部材によって前記仕掛り複合管を前記幅方向の両側からガイドする。
これによって、仕掛り巻き重ね体から繰り出された仕掛り複合管が、直線コンベアに沿って確実に真っ直ぐ伸ばされる。両側のガイド部材によって直線コンベア上の仕掛り複合管が蛇行又は湾曲されないように押さえることができる。この結果、仕掛り巻き重ね体の作成時に付いた巻き癖を確実に緩和できる。
【0013】
好ましくは、前記波形成形部における前記仕掛り複合管の成形時に、前記仕掛り複合管の内周面から突出する複数の保持凸部を管軸方向及び管周方向に分散して配置されるように形成し、前記保持凸部によって前記仕掛り内管を保持させる。
これによって、複合管の内管の内部を流れる流体の圧力、流量、温度などが急変したとしても、内管がばたついてウォーターハンマー(水撃)音が発生したり熱伸縮音が発生したりするのを抑制できる。
【0014】
好ましくは、前記波形成形部において、前記樹脂を1.05倍~4倍の発泡倍率で発泡させる。発泡によって保持凸部が内管と確実に接するようにできる。かつ発泡により剛性が低減されることでウォーターハンマー音等の音の発生を一層抑制することができる。
【0015】
前記複合管製造方法に用いられる連結具は、
前記隣接する2つの有限長内管のうち一方の対向端部の内部に挿し込まれる第1連結筒部と、前記2つの有限長内管のうち他方の対向端部の内部に挿し込まれる第2連結筒部とを有して、これら対向端部に跨る短筒状の連結具本体と、
前記第1連結筒部の外周に設けられて、前記一方の対向端部と密着又は係止される第1抜止め部と、
前記第2連結筒部の外周に設けられて、前記他方の対向端部と密着又は係止される第2抜止め部と、
を備えていることが好ましい。
当該連結具を用いることによって、有限長内管どうしを確実に連結でき、長尺の仕掛り内管を得ることができる。
【0016】
前記複合管製造方法に用いられる搬送架台は、
前記繰り出された仕掛り複合管を載せて搬送する直線コンベアと、
前記直線コンベアの幅方向の両側に配置されて、前記仕掛り複合管をガイドするガイド部材と、
を備えていることが好ましい。
これによって、仕掛り巻き重ね体から繰り出された仕掛り複合管を真っ直ぐ伸ばして搬送できる。
前記直線コンベアとしては、ベルトコンベア、ローラコンベア等が挙げられる。
【0017】
好ましくは、前記直線コンベアの長さは、前記製品長さと略同等である。これによって、直線コンベアを物差し代わりにして仕掛り複合管の長さを測り、製品長さの複合管を切り出すことができる。例えば、直線コンベア上の仕掛り複合管の先端部が、直線コンベアの下流端の辺りに達したとき、直線コンベアの上流端の辺りで仕掛り複合管を切断することで、製品長さの複合管を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、製品長さより長い仕掛り内管を用いて、波形被覆管に内管を収容してなる製品長さの複合管を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る複合管製造方法によって製造された製品長さの複合管の一部分を、部分的に断面にして示す正面図である。
【
図2】
図2は、前記製造方法を実施する複合管製造装置の概略構成を示す解説正面図である。
【
図3(a)】
図3(a)は、前記複合管製造装置の押し出しノズル及び波形成形部を示し、
図2の円部IIIaの拡大断面図である。
【
図3(b)】
図3(b)は、同図(a)にIIIb-IIIb線に沿う断面図である。
【
図4】
図4は、
図2のIV-IV線に沿って矢視した、前記複合管製造装置の搬送架台の一部分の平面図である。
【
図5】
図5(a)は、仕掛り内管の一部分の正面図である。
図5(b)は、仕掛り複合管の一部分の正面図である。
図5(c)は、前記仕掛り複合管から複数の複合管を切り出す際の切断位置を示す解説正面図である。
【
図6】
図6(a)は、連結具の分解断面図である。
図6(b)は、隣接する2つの有限長内管の対向端部どうしを前記連結具によって連結する様子を示す断面図である。
図6(c)は、前記2つの有限長内管の連結部分を示し、
図5(a)の円部VIcの拡大断面図である。
【
図7】
図7(a)は、本発明の第2実施形態を示し、連結具の正面図である。
図7(b)は、前記第2実施形態の連結具によって連結された2つの有限長内管の連結部分を示す断面図である。
【
図8】
図8(a)は、本発明の第3実施形態を示し、連結具の正面図である。
図8(b)は、前記第3実施形態の連結具によって連結された2つの有限長内管の連結部分を示す断面図である。
【
図9】
図9(a)は、本発明の第4実施形態を示し、連結具の正面図である。
図9(b)は、前記第4実施形態の連結具によって連結された2つの有限長内管の連結部分を示す断面図である。
【
図10】
図10(a)は、本発明の第5実施形態を示し、連結具の正面図である。
図8(b)は、前記第5実施形態の連結具によって連結された2つの有限長内管の連結部分を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<第1実施形態(
図1~
図6)>
図1は、複合管10の一部分(両端部及び中間部)を示したものである。複合管10は、例えば給水給湯用の配管として用いられる。製造時の複合管10の長さは、所定の製品長さL
10になっている。製品長さL
10は、例えばL
10=45m~50mないしは22m~25mである。複合管10は、内管11と、波形被覆管12を備えている。内管11及び波形被覆管12は、それぞれ複合管10の全長にわたって製品長さL
10だけ延びており、しかも、長さ方向の途中に切れ目も継ぎ目も無く連続する1本物になっている。
【0021】
内管11は、一定の円形断面の可撓性の管によって構成されている。内管11の材質としては、架橋ポリエチレン(PE-X)、ポリエチレン層を表皮に有した架橋ポリエチレン管(JISK6769のE種)であってもよく、金属強化多層構造などの金属を含む架橋工程を経た架橋ポリエチレン管の複合樹脂管であってもよい。内管11の材質として、上記は例示であり、可撓性、流体流通性などの所要の性能を確保し得るものであれば、特に制限はない。内管11の内部が、水、湯などの流体が通る流体通路となる。
【0022】
図1に示すように、内管11は、波形被覆管12(コルゲート管)によって被覆されている。波形被覆管12の内部に内管11が挿通されている。好ましくは、内管11と波形被覆管12とはほぼ同軸上に配置されている。
【0023】
波形被覆管12は、可撓性の発泡樹脂によって構成されている。波形被覆管12の樹脂材料としては、架橋ポリエチレン(PE-X)、ポリエチレン(PE)、高耐熱ポリエチレン(PE-RT)、ポリブテン、ポリプロピレン(PP)、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー、プラストマーその他の合成樹脂が挙げられ、単一材質に限らず複数の材質を含む複合樹脂でもよい。上記は波形被覆管12の材質の例示であり、可撓性、内管11に対する保護性などの所要の性能を確保し得るものであれば、波形被覆管12の材質として特に制限はない。
【0024】
波形被覆管12は、非発泡樹脂層を有さず、発泡樹脂の単層によって構成されている。
波形被覆管12の発泡剤としては、例えば無機系の化学発泡剤や発泡性マイクロカプセルが用いられているが、これに限らず、フロンなどに代表される物理発泡剤や超臨界流体などを用いてよい。発泡剤の配合割合によって発泡倍率が調整される。波形被覆管12を構成する発泡樹脂の発泡倍率は、好ましくは1.05倍~4倍である。
【0025】
波形被覆管12は、大径部13及び小径部14を有し、波形断面になっている。大径部13と小径部14とが管軸方向に交互に一定のピッチで配置されている。大径部13は、波形被覆管12の外部から見て環状の凸部(山部)となり、内部から見ると環状の凹部となっている。小径部14は、波形被覆管12の外部から見て環状の凹部(谷部)となり、内部から見ると環状の凸部となっている。
【0026】
図1に示すように、波形被覆管12は、保持凸部15を更に有している。保持凸部15は、波形被覆管12の管径方向内側へ突出されるとともに管軸方向及び管周方向に分布している。波形被覆管12の管軸から保持凸部15の管径方向内側への突出端15eまでの距離は、内管11の外半径と実質的に等しい。保持凸部15の突出端15eが、内管11の外周面と近接し、好ましくは当接している。保持凸部15によって、内管11が、波形被覆管12と同軸をなすように保持され、波形被覆管12に対して管径方向に変位不能に拘束されている。
【0027】
具体的には、一部の小径部14が保持凸部15となっていてもよく、小径部14から保持凸部15が突出されていてもよい。保持凸部15は、波形被覆管12の全周にわたる閉環状でもよく、周方向の一部が途切れた開環状でもよく、波形被覆管12の周方向の一部分に配置された小突起状でもよい。小突起状の保持凸部の形状は円形状でもよく、四角形その他の多角形状でもよい。また、保持凸部が、波形被覆管12の管軸方向に延びる縦スジ状でもよく、複数の縦スジ状のもよく保持凸部が波形被覆管12の周方向に間隔を置いて配置されていてもよい。さらに、保持凸部が螺旋状であってもよい。保持凸部の配置パターンは、規則的でもよく、ランダムであってもよい。開環状又は小突起状の保持凸部の場合、管軸方向に隣接する保持凸部どうしが、波形被覆管12の周方向に互いにずれて配置されていてもよい。波形被覆管12が、閉環状、開環状、小突起状、縦スジ状、螺旋状等のうち2種類以上の保持凸部を有していてもよい。
【0028】
図2に示すように、複合管10は、複合管製造装置1によって製造される。複合管製造装置1は、仕掛長さ管製造ライン20と、製品長さ管製造ライン30を備えている。仕掛長さ管製造ライン20は、押出ノズル21と、波形成形部22(コルゲーター)と、冷却部23と、引き取り部24と、仕掛長さ切断部25と、仕掛巻き取り部26とを含む。これらライン構成要素21~26が、仕掛長さ管製造ライン20の流れ方向に一列に並べられている。
【0029】
図3(a)及び
図3(b)に示すように、仕掛長さ管製造ライン20の押出ノズル21は、外筒27と内筒28を有する二重筒形状になっている。内筒28の中心穴は、内管送出口28cを構成している。外筒27と内筒28と間には、内管送出口28cを囲む環状の押出し口21aが形成されている。
【0030】
図2及び
図3(a)に示すように、波形成形部22は、一対の長円形の環状軌道22aを有している。各環状軌道22a上を複数の波付け金型22bが環状に並べられて循環される。2つの環状軌道22aの対をなす波付け金型22bどうしが、ライン20の軸線上で互いに合わさって、閉じた筒状の波付け金型対22cとなる。
【0031】
図2に示すように、製品長さ管製造ライン30は、繰り出し部31と、送り部32と、製品長さ切断部33と、搬送架台34と、製品巻き取り部35とを含む。これらライン構成要素31~35が、製品長さ管製造ライン30の流れ方向に一列に並んでいる。
図2及び
図4に示すように、搬送架台34は、ベルトコンベア(直線コンベア)34aと、複数のガイド部材34bを含む。ベルトコンベア34aは、エンドレスベルト34cと、両側のサイドフレーム34fを有して、製品長さ管製造ライン30の流れ方向に沿って水平に真っ直ぐ延びている。好ましくは、ベルトコンベア34aの長さL
34は、製品長さL
10と略同等であり、より好ましくは、L
10×0.8≦L
34≦L
10×1.2である。
【0032】
図4に示すように、両側(同図において上下)のサイドフレーム34f上には、それぞれ複数のガイド部材34bが間隔を置いて配置されている。ガイド部材34bは、例えば軸線を鉛直に向けた円筒形状に形成されている。両サイドのガイド部材34bどうしの対向距離D
34bは、複合管10の幅すなわち大径部13の外直径φ
13と略等しいか少しだけ大きい。
なお、直線コンベアが、ベルトコンベアに代えてローラコンベアであってもよい。
【0033】
複合管10は、概略次のようにして製造される。
図2及び
図5に示すように、複合管製造装置1の仕掛長さ製造ライン20によって、仕掛り長さL
19の仕掛り複合管19が形成される。仕掛り長さL
19は、製品長さL
10より長い(L
19>L
10)。好ましくは、仕掛り長さ
L19は、製品長さL
10の2倍~10倍程度であり、より好ましくは製品長さL
10の4倍~6倍程度である。続いて、製品長さ管製造ライン30によって、仕掛り複合管19が複数本の複合管10に分割される。
【0034】
詳しくは、
図5(a)に示すように、先ず、仕掛り内管16を作成する。例えば、内管11となるべき複数(図では2つだけ図示)の有限長内管17を用意する。各有限長内管17の長さは、複合管10の製品長さL
10以上かつ仕掛長さL
19よりも短い有限長L
17になっている。なお、L
10≦L
17<L
19を満たす限り、複数の有限長内管17の長さL17が互いに異なっていてもよい。
【0035】
図5(a)に示すように、これら有限長内管17を一列に連ねる。管軸方向に隣接する有限長内管17どうしを連結具40によって連結する。これによって、製品長さL
10より大きな長さを有して内管11となるべき仕掛り内管16が得られる。仕掛り内管16は、複数の有限長内管17と、連結具40とを含む。
【0036】
図6(a)に例示するように、連結具40は、連結具本体41と、抜け止め板47,48を備えている。連結具本体41は、第1連結筒部43と、第2連結筒部44を有している。連結筒部43,44は、互いに別体の短筒形状に形成されている。連結筒部43,44の材質は、例えば鉄、鋼鉄等の金属であるが、これに限らず樹脂でもよい。
【0037】
各連結筒部43,44の外径は、有限長内管17の内径と実質的に等しい。なお、連結筒部43,44は、有限長内管17内に挿し込みできればよく、その外径が有限長内管17の内径より僅かに大きくてもよく小さくてもよい。第1連結筒部43は、第2連結筒部44と対向されるとともに、その対向面43aから連結雄ネジ45が突出されている。第2連結筒部44の対向面44aには、連結雌ネジ46が形成されている。ネジ45,46は、テーパーネジになっているが、これに限らずストレートネジであってもよい。
【0038】
各連結筒部43,44の外周面には、1又は複数(ここでは2つ)の三角凹溝43b,44bが環状に形成されている。各三角凹溝43b,44bに板バネ状の抜け止め板47,48が設けられている。第1連結筒部43の第1抜け止め板47(第1抜け止め部)は、基部47bが第1連結筒部43内に埋め込まれるとともに、三角凹溝43bの斜面に沿わされることで、径方向外側へ向かって第2連結筒部44との対向側へ傾斜されている。第1抜け止め板47の先端部は、第1連結筒部43の外周面から突出されている。
【0039】
第2連結筒部44の第2抜け止め板48(第2抜け止め部)は、基部48bが第2連結筒部44内に埋め込まれるとともに、三角凹溝44bの斜面に沿わされることで、径方向外側へ向かって第1連結筒部43との対向側へ傾斜されている。第2抜け止め板48の先端部は、第2連結筒部44の外周面から突出されている。
抜け止め板47,48の材質は、バネ鋼などの金属であるが、これに限られず、樹脂でもよい。
【0040】
図6(b)に示すように、第1連結筒部43は、隣接する2つの有限長内管17のうち一方の有限長内管17Aの対向端部の内部に挿し込まれる。第1連結筒部43の対向面43aは、有限長内管17Aの管軸方向の外側へ向けられる。有限長内管17Aの管端から連結雄ネジ45が突出される。第1抜け止め板47が、有限長内管17Aの内壁に食い込むようにして密着又は係止されることで、第1連結筒部43が抜け止めされる。
【0041】
第2連結筒部44は、隣接する2つの有限長内管17のうち他方の有限長内管17Bの対向端部の内部に挿し込まれる。第2連結筒部44の対向面44aは、有限長内管17Bの管軸方向の外側へ向けられる。第2抜け止め板48が、有限長内管17Bの内壁に食い込むようにして密着又は係止されることで、第2連結筒部44が抜け止めされる。
【0042】
図6(c)に示すように、第1連結筒部43の連結雄ネジ45が第2連結筒部44の連結雌ネジ46にねじ込まれる。これによって、連結筒部43,44どうしが連結される。これら連結筒部43,44からなる連結具本体41が、2つの有限長内管17の対向端部どうしに跨り、有限長内管17どうしが連結具40を介して連結される。これによって、仕掛り内管16が得られる。
【0043】
図2及び
図3(a)に示すように、得られた仕掛り内管16が、仕掛長さ管製造ライン20に導入され、押出ノズル21の内管送出口28cから波形成形部22の波付け金型対22cの内部へ送り出される。併行して、加熱溶融された波形被覆管原料樹脂12aが、押出ノズル21に供給され、押出し口21aから波形成形部22へ向けて押し出される。好ましくは、原料樹脂12aには、発泡倍率が1.05倍~4倍となるよう所定の配合比の発泡剤を添加しておく。押出によって原料樹脂12aに加わる圧力が低下するために、押出直後から発泡が開始される。
【0044】
図3(b)に示すように、押し出された原料樹脂12aは、仕掛り内管16を囲む管状になる。
図3(a)に示すように、波形成形部22においては、波付け金型対22cに設けられた吸引穴(図示省略)からバキュームする。バキュームに代えて、管状の原料樹脂12aと内管11の間をブロー加圧してもよい。これによって、原料樹脂12aが、発泡しながら拡径されて、波付け金型対22cの波形型面に密着され、波形に成形される。
【0045】
図2に示すように、原料樹脂12aは、押出ノズル21から製品長さL
10より長く連続するよう押し出され、波形成形部22によって順次波形に成形される。これによって、製品長さL
10より長い仕掛り波形被覆管18が形成される。該仕掛り波形被覆管18によって仕掛り内管16が被覆される。これによって、仕掛り波形被覆管18及び仕掛り内管16からなる仕掛り複合管19が得られる。
【0046】
図3(a)に示すように、波形成形部22においては、仕掛り波形被覆管18の大径部13及び小径部14の成形と同時に、波付け金型対22cの保持凸部形成型部22dによって保持凸部15が形成される。保持凸部15の突出端15eは、仕掛り内管16の外周面と当接又は近接する。保持凸部15によって、仕掛り内管16が仕掛り波形被覆管18と略同軸になるよう保持される。
【0047】
図2に示すように、作成された仕掛り複合管19は、波形成形部22から順次送り出され、冷却部23の水槽23a内で冷却される。
冷却後の仕掛り複合管19は、引き取り部24の一対の回転体24a間に導入される。これら回転体24aの回転駆動によって、仕掛り複合管19に、仕掛長さ管製造ライン20の下流側(
図2において右方向)への搬送力が付与される。
引き取り部24から導出された仕掛り複合管19は、仕掛巻き取り部26のリール26aに巻き取られる。
【0048】
図2及び
図5(b)に示すように、仕掛り複合管19は、製品長さL
10より長い仕掛り長さL
19になるまで順次作成される。仕掛り複合管19の長さは、長さ測定器(図示せず)で計測してもよく、回転体24aの回転回数等から算出してもよい。
【0049】
図2に示すように、該仕掛り複合管19が、作成された順にリール26aの外周に巻き重ねられ、仕掛り巻き重ね体19Aとなる。リール26aに巻かれた仕掛り複合管19の長さが仕掛り長さL
19になったとき、仕掛長さ切断部25のカッター25aによって、仕掛り複合管19が切断される。仕掛り複合管19の切断位置は、有限長内管17の継ぎ目からずらすことが好ましい。連結具40を検知して、ロスが少なくなる位置又はタイミングで切断するようにしてもよい。仕掛長さ切断部25の位置及び台数は適宜変更してもよい。
仕掛り複合管19を仕掛り巻き重ね体19Aとすることによってコンパクトにでき、保管、運搬に有利である。
【0050】
図2に示すように、仕掛り巻き重ね体19Aは、製品長さ管製造ライン30へ送られ、繰り出し部31のリール31aに装着される。仕掛り複合管19を仕掛り巻き重ね体19Aとすることによって、搬送等を容易化できる。仕掛り巻き重ね体19Aがリール26aごと仕掛巻き取り部26から取り外されて、リール26aごと繰り出し部31に取り付けられてもよい。繰り出し部31のリール31aが、仕掛巻き取り部26のリール26aと同一リールであってもよい。
【0051】
リール31aの仕掛り巻き重ね体19Aがほどかれ、仕掛り複合管19が順次繰り出される。
繰り出された仕掛り複合管19は、直線状に伸ばされながら、送り部32の一対の回転体32a間に導入される。これら回転体32aの回転駆動によって、仕掛り複合管19に、製品長さ管製造ライン30の下流側(
図2において右方向)への搬送力が付与される。
【0052】
図2及び
図4に示すように、送り部32から導出された仕掛り複合管19は、搬送架台34の直線状のベルトコンベア34aのエンドレスベルト34c上に載せられる。ベルトコンベア34aは、回転体32aと同期して、回転体32aによる送り速度と等速で駆動される。ベルトコンベア34a上の仕掛り複合管19は、ガイド部材34bによって左右両側からガイドされる。これによって、仕掛り複合管19が、蛇行しないように真っ直ぐに伸ばされて搬送される。これによって、仕掛り複合管19に付いた巻き癖を緩和できる。
ベルトコンベア34aのサイドフレーム34fが、ガイド部材34の機能を兼ねていてもよい。
【0053】
図2に示すように、仕掛り複合管19の先端部19eが、ベルトコンベア34aの下流端の辺りまで達したとき、製品長さ切断部33のカッター33aで仕掛り複合管19が切断される。これによって、製品長さL
10の複合管10が得られる。
なお、製品長さ切断部33の位置及び台数は適宜変更してもよい。
【0054】
得られた複合管10は、製品巻取り部35の巻取りリール35aに巻き取られ、円筒状の製品巻き重ね体10Aとなる。ベルトコンベア34a上で一旦伸ばしておくことで、複合管10に複雑な巻き癖が付くのを防止できる。この結果、複合管10を巻取りリール35aに円滑に巻き取ることができる。
【0055】
更に、残りの仕掛り複合管19がベルトコンベア34a上に載せられて搬送され、その先端部が、ベルトコンベア34aの下流端の辺りまで達したとき、カッター33aで切断されて、新たな複合管10が得られる。この操作が反復されることによって、仕掛り長さL19の仕掛り複合管19から複数本(例えば4本)の複合管10が得られ、ひいては複数の製品巻き重ね体10Aが得られる。
【0056】
図5(c)に示すように、仕掛り複合管19から複合管10を切り出す時は、複合管10に連結具40が含まれないよう、仕掛り複合管19を切断する位置P19を調節する。たとえば、仕掛り複合管19内の連結具40を金属探知機(図示せず)で探知する。探知した連結具40の前後2箇所で仕掛り複合管19を切断する。その2箇所の切断位置P19より上流側及び下流側の部分をそれぞれ複合管10とする。これによって、各複合管10における内管11を途中に切れ目も継ぎ目も無い1本物にできる。したがって、内管11内の流通性を確保できるとともに、切れ目や継ぎ目における漏れを防止できる。
2か所の切断位置P19間の連結具49を含む部分19cは切除される。切除部分19aの長さは、出来るだけ短いことが好ましく、少なくとも製品長さL
10未満である。
【0057】
仕掛り複合管19内の連結具40を探知する方法としては、金属探知機による方法のほか、連結具40にICタグを設けておき、これをセンサで検知してもよく、仕掛り複合管19内を曲げたり触ったりして剛性の高い部位を特定してもよい。仕掛り複合管19の送り量と有限長さL17から連結具40の位置を推定し、その推定した位置の周辺を重点的に探知してもよい。
【0058】
複合管10においては、内管11が、保持凸部15によって保持、拘束され、内管11の管径方向への変位を抑制できる。波形被覆管12が発泡倍率1.05倍以上で発泡成形されることによって、保持凸部15が内管11と確実に接触して内管11を保持するようにできる。
【0059】
複合管10は、例えば給湯給水用の配管として用いられる。内管11の内部を水や湯などの流体が通る。該流体の圧力、流量、温度などは使用状況によって急変し得る。一方、内管11が保持凸部15によって拘束されているために、前記急変が起きても内管11のバタツキを抑制でき、ウォーターハンマー(水撃)音や熱伸縮音が発生するのを防止できる。さらに、波形被覆管12を構成する発泡樹脂が衝撃を吸収することで、ウォーターハンマー音や熱伸縮音の発生を一層確実に防止できる。
【0060】
また、内管11の被覆層として波形断面の波形被覆管12を用いることによって、配管施工時に複合管10が角張った障害物に引っ掛かったとしても、滑りやすく、引っ掛かり状態を解除しやすい。
波形被覆管12の少なくとも大径部21の内周面と内管11の外周面との間には空気断熱層が形成されるため保温性が高まる。複合管10を生曲げしたときは、内まわり側に発生するたるみやシワが目立たなくなる。
【0061】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態(
図7)>
第2実施形態は、連結具の変形例に係る。
図7(a)に示すように、第2実施形態の連結具50は、短筒状の単一ピースによって構成されている。連結具50の外径は、軸線方向の中央部50cにおいて最大となり、軸線方向の両端部へ向かってテーパ状に縮径されている。中央部50cを挟んで一方のテーパ部分が第1連結筒部51を構成し、他方のテーパ部分が第2連結筒部52を構成している。連結筒部51,52によって連結具本体50aが構成されている。連結具本体50aの連結筒部51,52どうしは、中央部50cにおいて一体に連続して分離不能である。
なお、第1連結筒部51と第2連結筒部52とが、第1実施形態の連結具40(
図6)と同様に、互いに別体かつ接合可能であってもよい。
【0062】
テーパ状の第1連結筒部51の外周における軸方向の少なくとも中途部から中央部50cまでの部分は、第1抜け止め部53を構成している。
図7(b)に示すように、第1抜け止め部53の外径は、有限長内管17の内径より大きい。
図7(a)に示すように、テーパ状の第2連結筒部52の外周における軸方向の少なくとも中途部から中央部50cまでの部分は、第2抜け止め部54を構成している。
図7(b)に示すように、第2抜け止め部54の外径は、有限長内管17の内径より大きい。
【0063】
図7(b)に示すように、第2実施形態の仕掛り内管16においては、第1連結筒部51が一方の有限長内管17Aに挿し込まれ、かつ第2連結筒部52が他方の有限長内管17Bに挿し込まれている。これによって、連結具50が、2つの有限長内管17の対向端部に跨り、2つの有限長内管17どうしが連結具50を介して連結されている。第1抜け止め部53が有限長内管17Aの対向端部の内周面に強く押し当てられて密着され、かつ第2抜け止め部54が有限長内管17Bの対向端部の内周面に強く押し当てられて密着されている。これによって、連結具50が抜け止めされている。
【0064】
<第3実施形態(
図8)>
第3実施形態は、連結具の他の変形例に係る。
図8(a)に示すように、第3実施形態の連結具60は、短筒状の単一ピースからなり、軸線方向の中央部60cにおいて第1連結筒部61と第2連結筒部62とが一体に連続している点で、第2実施形態(
図7)と同様である。連結筒部61,62によって連結具本体60aが構成されている。
なお、連結具60の第1連結筒部61と第2連結筒部62とが、第1実施形態の連結具40(
図6)と同様に、互いに別体かつ接合可能であってもよい。
【0065】
第1連結筒部61の外周面には、複数(
図8では2つ)の三角凹溝61aが第1連結筒部61の全周にわたって環状に形成されることで、複数のカエシ部63(第1抜け止め部)が形成されている。各カエシ部63は、中央部60c側ひいては第2連結筒部62側へ傾斜しながら径方向外側へ向かって尖る三角形の断面になっている。複数のカエシ部63が、第1連結筒部61の軸方向に並んで配置されている。
【0066】
同様に、第2連結筒部62の外周面には、複数の三角凹溝62aが形成されることで、複数のカエシ部64(第2抜け止め部)が軸方向に並んで形成されている。各カエシ部64は、第1連結筒部61側へ傾斜しながら径方向外側へ向かって尖る三角断面になっている。
図8(b)に示すように、連結具60の少なくともカエシ部63,64の先端部における外径は、有限長内管17の内径より大きい。
【0067】
図8(b)に示すように、第3実施形態の仕掛り内管16においては、第1連結筒部61が一方の有限長内管17Aに挿し込まれ、かつ第2連結筒部62が他方の有限長内管17Bに挿し込まれている。これによって、連結具60が、2つの有限長内管17の対向端部に跨り、2つの有限長内管17どうしが連結具60を介して連結されている。カエシ部63は有限長内管17Aの内壁に食い込むようにして密着又は係止されている。カエシ部64は有限長内管17Bの内壁に食い込むようにして密着又は係止されている。これによって、連結具60が抜け止めされている。
【0068】
<第4実施形態(
図9)>
第4実施形態は、連結具の他の変形例に係る。
図9(a)に示すように、第4実施形態の連結具70は、短筒状の単一ピースからなり、第1連結筒部71と第2連結筒部72とが、軸線方向の中央部において一体に連続するとともに軸線方向の両端部へ向かってテーパ状に縮径されている点で、第2実施形態(
図7)と同様である。連結筒部71,72によって連結具本体70aが構成されている。
なお、第1連結筒部71と第2連結筒部72とが、第1実施形態の連結具40(
図6)と同様に、互いに別体かつ接合可能であってもよい。
【0069】
第1連結筒部71のテーパ状の外周面には、雄ネジ状ないしは螺旋状の第1抜け止め部73が形成されている。第2連結筒部72のテーパ状の外周面には、雄ネジ状ないしは螺旋状の第2抜け止め部74が形成されている。
【0070】
図9(b)に示すように、第4実施形態の仕掛り内管16においては、第1連結筒部71が一方の有限長内管17Aにねじ込みによって挿し込まれ、かつ第2連結筒部72が他方の有限長内管17Bにねじ込みによって挿し込まれている。これによって、連結具70が、2つの有限長内管17の対向端部に跨り、2つの有限長内管17どうしが連結具70を介して連結されている。第1抜け止め部73は有限長内管17Aの内壁に食い込むようにして密着又は係止されている。第2抜け止め部74は有限長内管17Bの内壁に食い込むようにして密着又は係止されている。これによって、連結具70が抜け止めされている。
【0071】
<第5実施形態(
図10)>
第5実施形態は、連結具の他の変形例に係る。
図10(a)に示すように、第5実施形態の連結具80は、連結具本体80aと、抜け止め部を構成する弾性リング85,86とを備えている。連結具本体80aは、円筒形状の単一ピースからなり、その軸線方向の中央部には、環状突起80cが形成されている。連結具本体80aにおける環状突起80cを挟んで一方側の部分が第1連結筒部81を構成し、他方側の部分が第2連結筒部82を構成している。第1連結筒部81と第2連結筒部82とは一体に連続している。
なお、連結具80の第1連結筒部81と第2連結筒部82とが、第1実施形態の連結具40(
図6)と同様に、互いに別体かつ接合可能であってもよい。
【0072】
第1連結筒部81の外周面には環状溝83が形成されている。環状溝83には、第1抜け止め部を構成する弾性リング85が嵌め込まれている。同様に、第2連結筒部82の外周面には環状溝84が形成され、環状溝84には、第2抜け止め部を構成する弾性リング86が嵌め込まれている。弾性リング85,86は、それぞれ連結具本体80aの外周面から突出されている。
図10(b)に示すように、弾性リング85,86の外径は、有限長内管17の内径より大きい。
【0073】
図10(b)に示すように、第5実施形態の仕掛り内管16においては、第1連結筒部81が一方の有限長内管17Aに挿し込まれ、かつ第2連結筒部82が他方の有限長内管17Bに挿し込まれている。これによって、連結具本体80aが、2つの有限長内管17の対向端部に跨り、2つの有限長内管17どうしが連結具80を介して連結されている。有限長内管17A,17Bの端面どうし間に環状突起80cが挟まれている。弾性リング85は、有限長内管17Aの内周面に強く当たって密着又は係止されている。弾性リング86は、有限長内管17Bの内周面に強く当たって密着又は係止されている。これによって、連結具80が抜け止めされている。
【0074】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなくその趣旨に反しない限りにおいて種々の改変をなすことができる。
例えば、仕掛長さ管製造ライン20の上流側に仕掛り内管成形部を設けてもよい。該仕掛り内管成形部によって、仕掛り内管を押し出し成形し、好ましくは更に架橋処理をして、全長にわたって1本物の仕掛り内管16を形成して、該1本物の仕掛り内管16を順次、仕掛長さ管製造ライン20の押し出しノズル21へ送り込んでもよい。
波形被覆管12は、交互に配置された大径部13及び小径部14を有していればよく、必ずしも保持凸部15を有していなくてもよい。波形被覆管が、複数の樹脂層の積層構造になっていてもよく、その最内層が発泡樹脂層で構成されていてもよい。
仕掛巻き取り部26及び繰り出し部31を省略してもよい。波形成形部22によって作成された仕掛り複合管19を、仕掛巻き重ね体19Aとすることなく、したがって、仕掛巻き重ね体19Aから繰り出すことなく、製品長さ切断部33によって切断して、複合管10に分割してもよい。
仕掛り複合管を一定の間隔で切断して複数の複合管に分割してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、例えば給水給湯管に適用できる。
【符号の説明】
【0076】
L10 製品長さ
L17 有限長
L19 仕掛長さ
L32 直線コンベア長さ
1 複合管製造装置
10 複合管
10A 製品巻き重ね体
11 内管
12 波形被覆管
12a 原料樹脂
15 保持凸部
15e 突出端
16 仕掛り内管
17 有限長内管
17A 一方の有限長内管
17B 他方の有限長内管
18 仕掛り波形被覆管
19 仕掛り複合管
19A 仕掛り巻き重ね体
20 仕掛長さ管製造ライン
21 押出ノズル
21a 押出し口
22 波形成形部
22d 保持凸部形成型面
23 冷却部
24 引き取り部
25 仕掛長さ切断部
26 仕掛巻き取り部
28c 内管送出口
30 製品長さ管製造ライン
31 繰り出し部
32 送り部
33 製品長さ切断部
34 搬送架台
34a ベルトコンベア(直線コンベア)
34b ガイド部材
35 製品巻き取り部
40 連結具
41 連結具本体
43 第1連結筒部
44 第2連結筒部
47 第1抜け止め板(第1抜け止め部)
48 第2抜け止め板(第2抜け止め部)
50 連結具
50a 連結具本体
51 第1連結筒部
52 第2連結筒部
53 第1抜け止め部
54 第2抜け止め部
60 連結具
60a 連結具本体
61 第1連結筒部
62 第2連結筒部
63 カエシ部(第1抜け止め部)
64 カエシ部(第2抜け止め部)
70 連結具
70a 連結具本体
71 第1連結筒部
72 第2連結筒部
73 第1抜け止め部
74 第2抜け止め部
80 連結具
80a 連結具本体
81 第1連結筒部
82 第2連結筒部
85 弾性リング(第1抜け止め部)
86 弾性リング(第2抜け止め部)