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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119314
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 11/408 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
G11C11/408 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026121
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】青木 健
(72)【発明者】
【氏名】和田 政春
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 隆行
(72)【発明者】
【氏名】犬飼 貴士
【テーマコード(参考)】
5M024
【Fターム(参考)】
5M024AA21
5M024BB07
5M024BB08
5M024BB35
5M024BB36
5M024CC50
5M024DD99
5M024MM09
5M024PP01
5M024PP03
(57)【要約】

【課題】エラー訂正の可能性を高める半導体記憶装置の提供。
【解決手段】半導体記憶装置は、複数のメモリセルを含み、読出動作または書込動作で同時に駆動される第1および第2サブアレイを含むメモリセルアレイを備える。複数の第1配線は、メモリセルアレイにおいて第1方向に配列された複数のメモリセルを物理行とし、複数の物理行のそれぞれに対応してメモリセルに接続されている。複数の第2配線はメモリセルアレイにおいて第1方向に交差する第2方向に配列された複数のメモリセルに接続されている。デコーダは、複数の物理行のそれぞれに対応する論理行アドレスに基づいて複数の第1配線から選択配線を選択し、読出し電圧または書き込み電圧を選択配線に印加する。センスアンプは複数の第2配線からのデータを検出する。複数の物理行のうち或る物理行に隣接する物理行に対応する論理行アドレスは、第1サブアレイと第2サブアレイとの間で異なる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメモリセルを含み、読出し動作または書込み動作において同時に駆動される第1および第2サブアレイを含むメモリセルアレイと、
前記メモリセルアレイにおいて第1方向に配列された複数の前記メモリセルを物理行とし、複数の前記物理行のそれぞれに対応して前記メモリセルに接続された複数の第1配線と、
前記メモリセルアレイにおいて前記第1方向に交差する第2方向に配列された複数の前記メモリセルに接続された複数の第2配線と、
前記複数の物理行のそれぞれに対応する論理行アドレスに基づいて前記複数の第1配線から選択配線を選択し、読出し電圧または書き込み電圧を前記選択配線に印加するデコーダと、
前記複数の第2配線からのデータを検出するセンスアンプとを備え、
前記複数の物理行のうち或る物理行に隣接する物理行に対応する論理行アドレスは、前記第1サブアレイと前記第2サブアレイとの間で異なる、半導体記憶装置。
【請求項2】
前記デコーダは、前記論理行アドレスに基づいて、前記第1および第2サブアレイのそれぞれに設定された前記物理行に対応する前記第1配線を選択する、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記デコーダは、前記第1および第2サブアレイのそれぞれに設けられ、同一の前記論理行アドレスに対して互いに異なる前記物理行を選択する物理行アドレスを出力する第1および第2選択回路を備える、請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記デコーダは、
前記第1および第2サブアレイに共通に設けられ、同一の前記論理行アドレスに対して或る物理行を選択する物理行アドレスを出力する選択回路と、
前記選択回路の出力と前記第1および第2サブアレイの前記複数の第1配線との間を接続し、前記物理行アドレスのビットを前記第1サブアレイと前記第2サブアレイとの間で異なる前記物理行に対応する前記第1配線に入力する接続部とをさらに備える、請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記デコーダと前記第1および第2サブアレイとの間に設けられ、前記論理行アドレスに従って前記第1配線に電圧を印加するドライバをさらに備える、請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記接続部は、前記選択回路の出力と前記ドライバの入力との間を接続するコンタクトである、請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第1および第2サブアレイは、読出し動作または書込み動作において同時に駆動される前記複数の第1配線に対応している、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記メモリセルアレイは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)である、請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体記憶装置において、メモリセルアレイからデータを読み出しあるいは書き込むときに、互いに隣接するワード線間の干渉により、選択ワード線に隣接するワード線に接続されたメモリセルがディスターブを受ける場合がある。このようなディスターブにより多くのメモリセルのデータがエラーになると、ECC(Error Correction Code)によるデータ訂正が困難になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公開第2022/0197740号公報
【特許文献2】米国特許第10950292号明細書
【特許文献3】米国特許公開第2022/0189532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワード線間の干渉によりデータがエラーになっても、エラー訂正の可能性を高めることができる半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態による半導体記憶装置は、複数のメモリセルを含み、読出し動作または書込み動作において同時に駆動される第1および第2サブアレイを含むメモリセルアレイを備える。複数の第1配線は、メモリセルアレイにおいて第1方向に配列された複数のメモリセルを物理行とし、複数の物理行のそれぞれに対応してメモリセルに接続されている。複数の第2配線は、メモリセルアレイにおいて第1方向に交差する第2方向に配列された複数のメモリセルに接続されている。デコーダは、複数の物理行のそれぞれに対応する論理行アドレスに基づいて複数の第1配線から選択配線を選択し、読出し電圧または書き込み電圧を選択配線に印加する。センスアンプは、複数の第2配線からのデータを検出する。複数の物理行のうち或る物理行に隣接する物理行に対応する論理行アドレスは、第1サブアレイと第2サブアレイとの間で異なる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態による半導体記憶装置の構成例を示す図。
図2】比較例によるサブアレイの物理行アドレスと論理行アドレスとの対応関係を示す概念図。
図3】第1実施形態によるサブアレイの物理行アドレスと論理行アドレスとの対応関係を示す概念図。
図4】第1実施形態によるサブアレイの物理行アドレスと論理行アドレスとの対応関係を示す概念図。
図5】第2実施形態による半導体記憶装置のワード線の駆動部分の構成例を示すブロック図。
図6】マルチプレクサのそれぞれの入力信号と出力信号の論理を示す図。
図7】マルチプレクサのそれぞれの入力信号と出力信号の論理を示す図。
図8】マルチプレクサのそれぞれの入力信号と出力信号の真理値表の一例。
図9】マルチプレクサを用いたロウデコーダおよびワード線ドライバの構成例を示す図。
図10】第3実施形態によるマルチプレクサを用いたロウデコーダおよびワード線ドライバの構成例を示す図。
図11】第4実施形態によるサブアレイの構成を示すブロック図。
図12】第4実施形態によるサブアレイのワード線と論理行アドレスとの対応関係を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものである。明細書と図面において、同一の要素には同一の符号を付す。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による半導体記憶装置1の構成例を示す図である。本実施形態の半導体記憶装置1は、例えば、メモリセルMCが二次元的(平面的)あるいは三次元的(立体的)に配列されたメモリセルアレイMCAを備えたDRAMである。本実施形態では、二次元的なメモリセルアレイMCAについて説明する。メモリセルMCは、1ビットデータまたはマルチビットデータを格納するメモリセルとして用いられる。
【0009】
複数のメモリセルMCは、例えば、X-Y面内において平面的に行列状に配列されており、二次元のメモリセルアレイMCAを構成している。
【0010】
本実施形態による半導体記憶装置1は、メモリセルアレイMCAと、複数のワード線WLと、複数のビット線BLと、ロウデコーダRDと、ワード線ドライバWDと、センスアンプ回路SAと、コントローラCTLとを備えている。半導体記憶装置1は、1つの半導体チップとして構成されている。
【0011】
複数のワード線WLは、メモリセルアレイMCAにおいて、X方向に延伸しており、X方向に配列された複数のメモリセルMCに接続されている。メモリセルアレイMCA内において、複数のワード線WLは、Y方向に配列されている。複数のワード線WLの一端は、ワード線ドライバWDまたはロウデコーダRDに接続されている。
【0012】
複数のビット線BLは、メモリセルアレイMCAにおいて、Y方向に延伸しており、Y方向に配列された複数のメモリセルMCに接続されている。メモリセルアレイMCA内において、複数のビット線BLは、X方向に配列されている。複数のビット線BLの一端は、センスアンプ回路SAに接続されている。
【0013】
ロウデコーダRDは、外部からのロウアドレスに従って、複数のワード線WLから1つのワード線WLを選択する。ワード線ドライバWDは、その選択ワード線WLに書込み電圧または読出し電圧を印加する。
【0014】
センスアンプSAは、読出し動作において、選択ワード線WLに接続された選択メモリセルMCに記憶されたデータを、ビット線BLを介して検出する。あるいは、センスアンプSAは、書込み動作において、選択ワード線WLに接続された選択メモリセルMCに書込み電圧を印加してデータを書き込む。
【0015】
コントローラCTLは、ワード線ドライバWD、ロウデコーダRDおよびセンスアンプSA等を制御し、メモリセルアレイMCAへデータを書き込み、あるいは、メモリセルアレイMCAからデータを読み出す。
【0016】
メモリセルMCは、セルトランジスタTcと、セルキャパシタCcとを含む。セルトランジスタTcのゲートは、いずれかのワード線WLに接続されている。セルトランジスタTcのソースおよびドレインの一方は、ビット線BLに接続され、他方はセルキャパシタCcの一端に接続されている。セルキャパシタCcは、セルトランジスタTcのソースおよびドレインの他方と基準電圧源(例えば、グランド)との間に接続されている。
【0017】
メモリセルMCは、セルトランジスタTcを介してセルキャパシタCcに電荷を蓄積し、あるいは、セルキャパシタCcから電荷を放出することによって、論理データを記憶することができる。
【0018】
このような半導体記憶装置1において、メモリセルアレイMCAは、読出し動作または書込み動作において同時に駆動される複数のサブアレイを含む。1組のワード線WLが複数のサブアレイに設けられており、読出し動作または書込み動作において同時に駆動される。複数のサブアレイから読み出されるデータは、ページを構成する。ページは、データの読出しまたは書込みの単位である。
【0019】
ロウデコーダRDは、1組のワード線WLのうちロウアドレスに基づいてワード線WLを選択する。ワード線ドライバWDは、選択ワード線WLに読出し電圧または書込み電圧を印加する。このように、選択ワード線WLに読出し電圧または書込み電圧が印加されると、選択ワード線WLに隣接する非選択ワード線WLに接続されるメモリセルMCが近接効果によって電気的に影響を受ける。同一ワード線WLが繰り返し選択されると、そのワード線WLに隣接するワード線WLに接続されたメモリセルMCのデータは、繰り返しディスターブを受け劣化する。その結果、そのメモリセルMCのデータは、論理が反転する場合もある。
【0020】
このような場合、コントローラCTLが、ECCによるエラー訂正を用いて、エラービットを訂正することが考えられる。しかし、ECCで訂正可能なビット数には、限度があり、エラービット数が多い場合には、ECCでは訂正することができない。
【0021】
例えば、図2は、比較例によるサブアレイSub1、Sub2の物理行アドレスと論理行アドレスとの対応関係を示す概念図である。この比較例では、複数のサブアレイSub1、Sub2において各物理行に共通の論理行アドレスが設定されている。従って、或る物理行に隣接した物理行の論理行アドレスは、サブアレイSub1とサブアレイSub2とにおいて同じである。物理行は、メモリセルアレイMCAにおいてワード線WLに沿ってX方向に配列された複数のメモリセルMCの行である。物理行アドレスは、各物理行に対して固有のアドレスである。ワード線WLは、物理行のそれぞれに対応して、メモリセルMCに接続されている。よって、ワード線WLは物理行アドレスにもそれぞれ対応している。
【0022】
サブアレイSub1、Sub2の各物理行アドレスPADD0~PADD7は、図2の上端の物理行から順番に付されている。物理行アドレスPADD0~PADD7は、サブアレイSub1、Sub2において物理行に付された固定の物理アドレスである。
【0023】
論理行アドレスLADD0~LADD7は、サブアレイSub1、Sub2において、それぞれ物理行アドレスPADD0~PADD7に対して任意に設定されている。論理行アドレスLADD0~LADD7は、物理行アドレスPADD0~PADD7に対して、任意に設定可能なアドレスである。物理行アドレスPADD0~PADD7は物理行に対して変更できないが、論理行アドレスLADD0~LADD7は、物理行または物理行アドレスPADD0~PADD7に対して相対的に変更することができる。即ち、論理行アドレスLADD0~LADD7と物理行アドレスPADD0~PADD7との対応関係は変更することができる。
【0024】
読出し動作および書込み動作では、ロウデコーダRDは、外部からの論理行アドレスLADDk(k=0~7のいずれか)に基づいて、それに対応する物理行アドレスPADDm(m=0~7のいずれか)の選択ワード線WLselを選択する。これにより、選択ワード線WLselに接続された選択メモリセルMCselからデータを読出し、あるいは、選択メモリセルMCselへデータを書き込むことができる。
【0025】
比較例では、サブアレイSub1における物理行アドレスPADDmに対する論理行アドレスLADDkの対応関係は、サブアレイSub2における物理行アドレスPADDmに対する論理行アドレスLADDkの対応関係と同じである。複数のサブアレイSub1、Sub2において、物理行アドレスPADDmに対する論理行アドレスLADDkの対応関係は共通に設定されている。即ち、サブアレイSub1において物理行アドレスPADDmに対して論理行アドレスLADDkが設定されている場合、サブアレイSub2においても物理行アドレスPADDmに対して同じ論理行アドレスLADDkが設定されている。特に、図2の例では、サブアレイSub1、Sub2において、k=mとなっている。
【0026】
例えば、読出し動作または書込み動作において、論理行アドレスLADD2が選択された場合、論理行アドレスLADD2に対応する物理行アドレスPADD2のワード線WLが選択ワード線WLselになる。この物理行アドレスPADD2に隣接する2つの物理行アドレスPADD1、PADD3のワード線WLadに接続されたメモリセルMCadが近接効果によって電気的に影響を受ける。
【0027】
論理行アドレスLADD2が繰り返し選択されると、それに隣接する2つのワード線WLadに接続された複数のメモリセルMCadは、繰り返しディスターブを受ける。さらに、複数のメモリセルMCadの中には、データが反転したメモリセルMCfl(エラービット)が発生することがある。このようなエラービットは、ECCによるエラー訂正を用いて或る程度訂正することが可能である。しかし、エラービット数が多い場合には、ECCでは訂正することができない。
【0028】
例えば、図2に示すように、サブアレイSub1、Sub2において、2つの隣接ワード線WLadについて、4つずつのメモリセルMCflのデータが近接効果により反転し、エラービットになったものとする。この場合、次の読出し動作において、論理行アドレスLADD1またはLADD3が選択された場合、サブアレイSub1、Sub2において、物理行アドレスPADD2に隣接する物理行アドレスPADD1またはPADD3が選択される。よって、論理行アドレスLADD1またはLADD3のいずれも、4つのエラービットが含まれることになる。このため、読出しデータをECCによりエラー訂正することができない場合がある。
【0029】
これに対し、本実施形態では、物理行アドレスPADDmに対する論理行アドレスLADDkの設定は、サブアレイSub1、Sub2ごとに相違させている。例えば、或る物理行に隣接した物理行の論理行アドレスは、サブアレイSub1、Sub2ごとに相違している。
【0030】
図3および図4は、第1実施形態によるサブアレイSub1、Sub2の物理行アドレスと論理行アドレスとの対応関係を示す概念図である。本実施形態では、或る物理行に隣接した物理行に対応する論理行アドレスLADD0~LADD7は、サブアレイSub1とサブアレイSub2とにおいて互いに異なる。
【0031】
サブアレイSub1、Sub2の各物理行アドレスPADD0~PADD7は、図3の上端の物理行から順番に付されている。サブアレイSub1において、物理行アドレスPADD0~PADD7に対応する論理行アドレスは、それぞれLADD0~LADD7に設定されている。
【0032】
一方、サブアレイSub2において、物理行アドレスPADD0~PADD7に対応する論理行アドレスは、それぞれLADD0、LADD5、LADD2、LADD7、LADD4、LADD1、LADD6、LADD3に設定されている。このように、或る物理行に隣接した物理行の論理行アドレスLADD0~LADD7は、サブアレイSub1とサブアレイSub2とにおいて相違している。例えば、サブアレイSub1において、物理行アドレスPADD2に隣接した物理行アドレスPADD1、PADD3に対応する論理行アドレスは、LADD1およびLADD3である。一方、サブアレイSub2において、物理行アドレスPADD2に隣接した物理行アドレスPADD1、PADD3に対応する論理行アドレスは、LADD5およびLADD7である。他の物理行アドレスについても、隣接した物理行アドレスに対応する論理行アドレスは、サブアレイSub1、Sub2ごとに異なっている。
【0033】
例えば、読出し動作または書込み動作において、論理行アドレスLADD2が選択された場合、論理行アドレスLADD2に対応する物理行アドレスPADD2のワード線WLが選択ワード線WLselになる。この物理行アドレスPADD2に隣接する2つの物理行アドレスPADD1、PADD3のワード線WLadに接続されたメモリセルMCadが近接効果によって電気的に影響を受ける。
【0034】
論理行アドレスLADD2が繰り返し選択されると、それに隣接する2つのワード線WLadに接続された複数のメモリセルMCadは、繰り返しディスターブを受ける。さらに、複数のメモリセルMCadの中には、データが反転したメモリセルMCfl(エラービット)が発生することがある。
【0035】
しかし、本実施形態では、選択された物理行アドレスPADD2に隣接した物理行アドレスPADD1、PADD3に対応する論理行アドレスは、サブアレイSub1とサブアレイSub2とにおいて相違している。サブアレイSub1においては、物理行アドレスPADD1、PADD3に対応する論理行アドレスは、LADD1、LADD3である。サブアレイSub2においては、物理行アドレスPADD1、PADD3に対応する論理行アドレスは、LADD5およびLADD7である。
【0036】
例えば、図3に示すように、サブアレイSub1、Sub2において、2つの隣接ワード線WLadについて、4つずつのメモリセルMCflのデータが近接効果により反転し、エラービットになったものとする。
【0037】
図4に示すように、次の読出し動作において、論理行アドレスLADD1が選択された場合、サブアレイSub1では、物理行アドレスPADD1に対応するワード線WLが選択ワード線となる。サブアレイSub2では、物理行アドレスPADD5に対応するワード線WLが選択ワード線となる。物理行アドレスPADD5にエラービットがない場合、物理行アドレスPADD1に含まれる2つのエラービットのみが読出しデータには含まれることになる。この場合、ECCによるエラー訂正が成功する可能性が高くなる。これは、或る物理行に隣接した物理行に対応する論理行アドレスがサブアレイSub1、Sub2ごとに相違しているため、論理行アドレスの観点において、エラービットがサブアレイSub1、Sub2ごとに分散されるからである。
【0038】
このように、本実施形態によれば、或る物理行に隣接した物理行に対応する論理行アドレスをサブアレイごとに相違させる。これにより、隣接するワード線間の干渉によりメモリセルのデータがエラーになっても、エラー訂正の可能性を高めることができる。なお、論理行アドレスは、全てのサブアレイについてサブアレイごとに異なっていてもよいが、一部の複数のサブアレイについてのみ異なっていてもよい。即ち、論理行アドレスは、全サブアレイのうち一部の複数のサブアレイの間で異なっており、他の残りのサブアレイにおいて共通であってもよい。
【0039】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態による半導体記憶装置1のワード線WLの駆動部分の構成例を示すブロック図である。半導体記憶装置1は、インタフェース回路IOと、ロウデコーダRDと、メインワード線デコーダMDと、ワード線ドライバWDと、メモリセルアレイMCAとを備えている。
【0040】
インタフェース回路IOは、ロウアドレスRAを外部から受け取り、メインワード線デコーダMDおよびロウデコーダRDへ転送する。
【0041】
メインワード線デコーダMDは、ロウアドレスRAに基づいて、書き込み動作または読出し動作で同時に駆動される複数のサブアレイを選択する。書き込み動作または読出し動作で同時に駆動される複数のサブアレイに対応する1組の複数のワード線WLは、1本のメインワード線MWLに共通に接続されている。メインワード線デコーダMDは、複数のメインワード線MWLから1本のメインワード線MWLを選択的に駆動する。これにより、同時に駆動すべき1組のワード線WLおよびそれに対応する複数のサブアレイが選択される。メインワード線デコーダMDはバッファBUFを介してワード線ドライバWDに接続される。ワード線ドライバWDは、メインワード線デコーダMDの出力に従って、メモリセルアレイMCAのメインワード線MWLに電圧を印加する。
【0042】
ロウデコーダRDは、メインワード線デコーダMDで選択された1組のワード線WLのうちから、ロウアドレスRAの論理行アドレスLADDkに基づいて1本のワード線WLを選択する。即ち、ロウデコーダRDは、論理行アドレスLADDkに基づいて、サブアレイSub1、Sub2ごとに設定された物理行に対応するワード線WLを選択する。このような機能を実現するために、ロウデコーダRDは、複数のマルチプレクサMUX1、MUX2を含む。ロウデコーダRDは、3つ以上のマルチプレクサを含んでもよい。
【0043】
マルチプレクサMUX1、MUX2は、サブアレイSub1、Sub2ごとに設けられており、同一の論理行アドレスLADDkに対して互いに異なる物理行アドレスPADDmを選択する。マルチプレクサMUX1の出力電圧は、バッファBUFおよびワード線ドライバWDを介してサブアレイSub1の複数のワード線WLに印加される。ワード線ドライバWDは、マルチプレクサMUX1の出力に従って、サブアレイSub1の複数のワード線WLに電圧を印加する。また、マルチプレクサMUX2の出力電圧は、バッファBUFおよびワード線ドライバWDを介して各サブアレイSub2の複数のワード線WLに印加される。ワード線ドライバWDは、マルチプレクサMUX2の出力に従って、サブアレイSub2の複数のワード線WLに電圧を印加する。
【0044】
図6および図7は、マルチプレクサMUX1、MUX2のそれぞれの入力信号Sinと出力信号Soutの論理を示す図である。図8は、マルチプレクサMUX1、MUX2のそれぞれの入力信号Sinと出力信号Soutの真理値表の一例である。便宜的に、図6図8では、マルチプレクサMUX1、MUX2は、それぞれ入力信号Sinに対して4ビットの出力信号を出力している。しかし、マルチプレクサMUX1、MUX2は、それぞれ入力信号Sinに対して3ビット以下、あるいは、5ビット以上の出力信号を出力してもよい。
【0045】
図6および図7に示すマルチプレクサMUX1、MUX2は、同一の論理行アドレスLADDkを入力信号Sinとして入力する。このとき、マルチプレクサMUX1は、4ビットの出力信号(WN1、WN2、WN3、WN4)を出力する。マルチプレクサMUX1からの4ビットの出力信号(WN1、WN2、WN3、WN4)は、サブアレイSub1の4本のワード線WLにそれぞれ出力される。マルチプレクサMUX2は、4ビットの出力信号(WN3、WN4、WN1、WN2)を出力する。マルチプレクサMUX2からの4ビットの出力信号(WN3、WN4、WN1、WN2)は、サブアレイSub2の4本のワード線WLにそれぞれ出力される。
【0046】
例えば、図8に示すように、入力信号Sin(論理行アドレス)が2ビットデータであり、出力信号Soutが4ビットデータとして出力するものとする。入力信号が00のとき、MUX1の出力信号の各ビットWN1、WN2、WN3およびWN4は、それぞれ0、0、0および1である。即ち、マルチプレクサMUX1の出力信号Sout(WN1、WN2、WN3、WN4)は、(0001)であり、この場合、出力信号のビットWN4に対応するワード線WLが選択ワード線WLselとして駆動される。一方、マルチプレクサMUX2の出力信号Sout(WN3、WN4、WN1、WN2)は、(0100)であり、出力信号のビットWN4に対応するワード線WLが選択ワード線WLselとして駆動される。したがって、サブアレイSub1では、4番目のワード線WLが選択ワード線WLselとなり、サブアレイSub2では、2番目のワード線WLが選択ワード線WLselとなる。
【0047】
入力信号が01のとき、マルチプレクサMUX1の出力信号の各ビットWN1、WN2、WN3およびWN4は、それぞれ0、0、1および0である。即ち、マルチプレクサMUX1の出力信号Sout(WN1、WN2、WN3、WN4)は、(0010)であり、この場合、出力信号のビットWN3に対応するワード線WLが選択ワード線WLselとして駆動される。一方、マルチプレクサMUX2の出力信号Sout(WN3、WN4、WN1、WN2)は、(1000)であり、出力信号のビットWN1に対応するワード線WLが選択ワード線WLselとして駆動される。したがって、サブアレイSub1では、3番目のワード線WLが選択ワード線WLselとなり、サブアレイSub2では、1番目のワード線WLが選択ワード線WLselとなる。
【0048】
入力信号が10のとき、マルチプレクサMUX1の出力信号の各ビットWN1、WN2、WN3およびWN4は、それぞれ0、1、0および0である。即ち、マルチプレクサMUX1の出力信号Sout(WN1、WN2、WN3、WN4)は、(0100)であり、この場合、出力信号のビットWN2に対応するワード線WLが選択ワード線WLselとして駆動される。一方、マルチプレクサMUX2の出力信号Sout(WN3、WN4、WN1、WN2)は、(0001)であり、出力信号のビットWN4に対応するワード線WLが選択ワード線WLselとして駆動される。したがって、サブアレイSub1では、2番目のワード線WLが選択ワード線WLselとなり、サブアレイSub2では、4番目のワード線WLが選択ワード線WLselとなる。
【0049】
入力信号が11のとき、マルチプレクサMUX1の出力信号の各ビットWN1、WN2、WN3およびWN4は、それぞれ1、0、0および0である。即ち、マルチプレクサMUX1の出力信号Sout(WN1、WN2、WN3、WN4)は、(1000)であり、この場合、出力信号のビットWN1に対応するワード線WLが選択ワード線WLselとして駆動される。一方、マルチプレクサMUX2の出力信号Sout(WN3、WN4、WN1、WN2)は、(0010)であり、出力信号のビットWN3に対応するワード線WLが選択ワード線WLselとして駆動される。したがって、サブアレイSub1では、1番目のワード線WLが選択ワード線WLselとなり、サブアレイSub2では、3番目のワード線WLが選択ワード線WLselとなる。
【0050】
このように、本実施形態では、同一の論理行アドレスによって選択されるワード線WLは、サブアレイごとに相違する。尚、第1実施形態のように、図4に示す論理行アドレスLADD0~LADD7を出力信号として出力するためには、入力信号Sinを3ビットデータとし、出力信号Soutを8ビットの出力信号とすればよい。
【0051】
図9は、マルチプレクサMUX1、MUX2を用いたロウデコーダRDおよびワード線ドライバWDの構成例を示す図である。マルチプレクサMUX1、MUX2は、サブアレイSub1、Sub2のそれぞれに対応して設けられている。マルチプレクサMUX1、MUX2は、図6および図7に示すように入力信号Sinに対して出力信号WN1~WN4を出力する。出力信号WP1~WP4は、それぞれ出力信号WN1~WN4の反転信号である。インバータINVは、マルチプレクサMUX1、MUX2の出力信号WN1~WN4を反転させて出力信号WP1~WP4を出力する。
【0052】
ワード線ドライバWDは、メインワード線の選択信号bMWLを受けて、読出し動作または書込み動作において同時に駆動される(1ページに対応する)複数のサブアレイSub1、Sub2を選択する。選択信号bMWLは、論理ロウのときに選択状態となるロウアクティブの信号である。ワード線ドライバWDは、出力信号WN1~WN4、WP1~WP2に応じてサブアレイSub1、Sub2のそれぞれのワード線WL1~WL4に読出し電圧または書込み電圧を印加する。
【0053】
ワード線ドライバWDは、サブアレイSub1、Sub2の各ワード線WL1~WL4に対応して設けられたスイッチ回路SWを備える。スイッチ回路SWは、p型トランジスタTP1およびn型トランジスタTN1、TN2を備えている。尚、スイッチ回路SWは、各ワード線WL1~WL4のそれぞれに対応して同じ構成を有する。従って、1つのスイッチ回路SWの構成を説明し、その他のスイッチ回路SWの説明は省略する。
【0054】
トランジスタTP1は、出力信号WN1~WN4のいずれかの信号線とワード線WL1~WL4のいずれかとの間に接続されている。トランジスタTP1のゲートは、メインワード線に接続され選択信号bMWLを受ける。
【0055】
トランジスタTN1、TN2は、ワード線WL1~WL4のいずれかと接地電圧源との間に並列に接続されている。トランジスタTN1のゲートは、トランジスタTP1のゲートと共通にメインワード線に接続され選択信号bMWLを受ける。トランジスタTN2のゲートは、出力信号WP1~WP4のいずれかの信号線に接続されている。
【0056】
例えば、選択信号bMWLが論理ハイのとき、サブアレイSub1、Sub2は非選択状態である。このとき、スイッチ回路SWのトランジスタTP1は非導通状態であり、トランジスタTN1が導通状態である。これにより、出力信号WN1~WN4の状態に関わらず、サブアレイSub1、Sub2の全てのワード線WL1~WL4は、トランジスタTN1を介して接地電圧に維持される。
【0057】
一方、選択信号bMWLが論理ロウのとき、サブアレイSub1、Sub2は選択状態となる。このとき、スイッチ回路SWのトランジスタTP1は導通状態となり、トランジスタTN1が非導通状態になる。これにより、サブアレイSub1、Sub2のワード線WL1~WL4は、トランジスタTN1においては接地電圧から切断される。また、出力信号WN1~WN4の信号線がそれぞれトランジスタTP1を介してサブアレイSub1、Sub2のワード線WL1~WL4に接続される。このとき、スイッチ回路SWは、出力信号WN1~WN4、WP1~WP4bの論理によって、ハイレベル電圧またはロウレベル電圧をワード線WLへ印加する。
【0058】
サブアレイSub1、Sub2が選択状態である場合に、例えば、入力信号が00になると、図8に示すように、出力信号WN1、WN2、WN3およびWN4は、それぞれ0、0、0および1である。この場合、サブアレイSub1では、ワード線WL4が選択ワード線WLselとしてハイレベル電圧になり、サブアレイSub2では、ワード線WL2が選択ワード線WLselとしてハイレベル電圧となる。それ以外のワード線は、ロウレベル電圧に維持される。
【0059】
入力信号が01のとき、出力信号の各ビットWN1、WN2、WN3およびWN4は、それぞれ0、0、1および0である。この場合、サブアレイSub1では、ワード線WL3が選択ワード線WLselとしてハイレベル電圧となり、サブアレイSub2では、ワード線WL1が選択ワード線WLselとしてハイレベル電圧となる。それ以外のワード線は、ロウレベル電圧に維持される。
【0060】
入力信号が10のとき、出力信号の各ビットWN1、WN2、WN3およびWN4は、それぞれ0、1、0および0である。この場合、サブアレイSub1では、ワード線WL2が選択ワード線WLselとしてハイレベル電圧となり、サブアレイSub2では、ワード線WL4が選択ワード線WLselとしてハイレベル電圧となる。それ以外のワード線は、ロウレベル電圧に維持される。
【0061】
入力信号が11のとき、出力信号の各ビットWN1、WN2、WN3およびWN4は、それぞれ1、0、0および0である。この場合、サブアレイSub1では、ワード線WL1が選択ワード線WLselとしてハイレベル電圧となり、サブアレイSub2では、ワード線WL3が選択ワード線WLselとしてハイレベル電圧となる。それ以外のワード線は、ロウレベル電圧に維持される。
【0062】
このように、第2実施形態では、図6図8のようにマルチプレクサMUX1、MUX2の構成を互いに相違させ、入力信号Sinに対して出力信号を相違させている。これにより、第2実施形態は、出力信号WN1~WN4、WP1~WP4の配線の配列、ワード線ドライバWDとロウデコーダRDとの間の接続関係が同じであっても、サブアレイSub1、Sub2ごとに出力信号WN1~WN4、即ち、論理行アドレスを相違させることができる。その結果、隣接するワード線間の干渉によりメモリセルのデータがエラーになっても、エラー訂正の可能性を高めることができる。
【0063】
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態によるマルチプレクサMUX1、MUX2を用いたロウデコーダRDおよびワード線ドライバWDの構成例を示す図である。第3実施形態では、出力信号WN1~WN4、WP1~WP4の配線が1ページに対応する複数のサブアレイSub1、Sub2に対して共通化されている。これに伴い、マルチプレクサMUX1も1ページに対応する複数のサブアレイSub1、Sub2に対して共通化されている。一方、第3実施形態では、ロウデコーダRDとワード線ドライバWDとの接続関係がサブアレイSub1、Sub2ごとに相違している。
【0064】
例えば、サブアレイSub1では、出力信号WN1~WN4の配線は、それぞれコンタクトCN11~CN14を介してワード線WL1~WL4に対応したスイッチ回路SWに接続されている。出力信号WP1~WP4の配線は、それぞれコンタクトCP11~CP14を介してワード線WL1~WL4に対応したスイッチ回路SWに接続されている。
【0065】
サブアレイSub1において、コンタクトCN11~CN14、CP11~CP14は、マルチプレクサMUX1の出力とサブアレイSub1のワード線WL1~WL4との間を接続している。より詳細には、コンタクトCN11~CN14、CP11~CP14は、マルチプレクサMUX1の出力とサブアレイSub1のワード線ドライバWDの入力との間を接続している。
【0066】
一方、サブアレイSub2では、出力信号WN1の配線は、コンタクトCN23を介してワード線WL3に対応したスイッチ回路SWに接続されている。出力信号WN2の配線は、コンタクトCN24を介してのワード線WL4に対応したスイッチ回路SWに接続されている。出力信号WN3の配線は、コンタクトCN21を介してワード線WL1に対応したスイッチ回路SWに接続されている。出力信号WN4の配線は、コンタクトCN22を介してワード線WL2に対応したスイッチ回路SWに接続されている。
【0067】
また、出力信号WP1の配線は、コンタクトCP23を介してワード線WL3に対応したスイッチ回路SWに接続されている。出力信号WP2の配線は、コンタクトCP24を介してのワード線WL4に対応したスイッチ回路SWに接続されている。出力信号WP3の配線は、コンタクトCP21を介してワード線WL1に対応したスイッチ回路SWに接続されている。出力信号WP4の配線は、コンタクトCP22を介してワード線WL2に対応したスイッチ回路SWに接続されている。
【0068】
サブアレイSub2において、コンタクトCN21~CN24、CP21~CP24は、マルチプレクサMUX1の出力とサブアレイSub2のワード線WL1~WL4との間を接続している。より詳細には、コンタクトCN21~CN24、CP21~CP24は、マルチプレクサMUX1の出力とサブアレイSub2のワード線ドライバWDの入力との間を接続している。
【0069】
このように、コンタクトCN11~CN24、CP11~CP24は、論理行アドレスのビットを、サブアレイSub1、Sub2ごとに異なる物理行に対応するワード線WL1~WL4に接続する。
【0070】
尚、コンタクトCN11~CN24、CP11~CP24は、ロウデコーダRDおよびワード線ドライバWDのいずれに含まれていてもよい。
【0071】
第3実施形態の他の構成は、第2実施形態の対応する構成と同じでよい。
【0072】
マルチプレクサMUX1は、図6および図8に示すように、論理行アドレスとしての入力信号Sinに対して、物理行を選択する出力信号WN1~WN4を出力する。マルチプレクサMUX1は、サブアレイSub1、Sub2において共通であるが、ワード線WL1~WL4に対するコンタクトCN11~CN24、CP11~CP24の位置関係(接続関係)がサブアレイSub1、Sub2ごとに相違している。即ち、ロウデコーダRDの出力信号WN1~WN4、WP1~WP4の配線とワード線ドライバWDのスイッチ回路SWとの間のコンタクトCN11~CN24、CP11~CP24の位置(接続)がサブアレイSub1、Sub2ごとに相違している。
【0073】
これにより、出力信号WN1~WN4がサブアレイSub1、Sub2ごとに異なるワード線WL1~WL4へ伝達される。即ち、第3実施形態でも、サブアレイSub1、Sub2ごとに論理行アドレスを相違させることができる。
【0074】
また、第3実施形態では、マルチプレクサMUX1が複数のサブアレイSub1、Sub2に対して共通化されているので、ロウデコーダRDの回路規模を小さくすることができる。
【0075】
第3実施形態では、コンタクトCN11~CN24、CP11~CP24の位置(接続)をサブアレイSub1、Sub2ごとに相違させることによって、ロウデコーダRDは、論理行アドレス(出力信号WN1~WN4)をサブアレイSub1、Sub2ごとに異なるワード線WL1~WL4へ伝達している。しかし、出力信号WN1~WN4の配線を電気的な絶縁を維持したまま交差させることによって、ロウデコーダRDは、論理行アドレス(出力信号WN1~WN4)をサブアレイSub1、Sub2ごとに異なるワード線WL1~WL4へ伝達してもよい。
【0076】
(第4実施形態)
図11は、第4実施形態によるサブアレイSubA~SubHの構成を示すブロック図である。8つのサブアレイSubA~SubHは、1ページに対応しており、読出し動作または書込み動作において同時に駆動される。
【0077】
第4実施形態において、ロウデコーダRDおよびワード線ドライバWDは、各サブアレイSubA~SubHの両側に設けられている。ロウデコーダRDおよびワード線ドライバWDは、各サブアレイSubA~SubHの両側から半数ずつのワード線WLに接続されており、これらを駆動する。例えば、サブアレイSubAの一方側のロウデコーダRDおよびワード線ドライバWDは、4本のワード線WL1、WL3、WL5およびWL7に接続されており、他方側のロウデコーダRDおよびワード線ドライバWDは、4本のワード線WL0、WL2、WL4およびWL6に接続されている。各サブアレイSubA~SubHのこのような構成により、ロウデコーダRDおよびワード線ドライバWDは、それぞれ8本のワード線WL0~WL7を有する8つのサブアレイSubA~SubHを駆動することができる。
【0078】
図12は、第4実施形態によるサブアレイSubA~SubHのワード線WL0~WL7と論理行アドレスLADD0~LADD7との対応関係を示す表である。尚、図12では、論理行アドレスLADD0~LADD7の“LADD”を省略して数値のみ示している。
【0079】
第4実施形態において、偶数の論理行アドレスLADD0、LADD2、LADD4、LADD6は、サブアレイSubA~SubDごとに、異なるワード線WL1、WL3、WL5、WL7に設定されている。奇数の論理行アドレスLADD1、LADD3、LADD5、LADD7は、サブアレイSubA~SubDに対して共通であり、同じワード線WL6、WL4、WL2、WL0にそれぞれ設定されている。
【0080】
例えば、サブアレイSubAでは、ワード線WL0~WL7は、それぞれ論理行アドレスLADD7、LADD6、LADD5、LADD4、LADD3、LADD2、LADD1、LADD0に設定されている。
【0081】
サブアレイSubBでは、ワード線WL0~WL7は、それぞれ論理行アドレスLADD7、LADD4、LADD5、LADD2、LADD3、LADD0、LADD1、LADD6に設定されている。
【0082】
サブアレイSubCでは、ワード線WL0~WL7は、それぞれ論理行アドレスLADD7、LADD2、LADD5、LADD0、LADD3、LADD6、LADD1、LADD4に設定されている。
【0083】
サブアレイSubDでは、ワード線WL0~WL7は、それぞれ論理行アドレスLADD7、LADD0、LADD5、LADD6、LADD3、LADD4、LADD1、LADD2に設定されている。
【0084】
サブアレイSubE~SubHは、それぞれサブアレイSubA~SubDと同様に設定されている。
【0085】
この場合、例えば、論理行アドレスLADD1が選択された場合、選択ワード線WL6の物理行に隣接した物理行に対応するワード線WL5、WL7がディスターブを受ける。ワード線WL5、WL7に対応する論理行アドレスは、サブアレイSubA~SubDにおいて互いに相違し、また、サブアレイSubE~SubHにおいても互いに相違している。従って、エラービットが発生しても、エラービットは、様々な論理行アドレスに分散される。
【0086】
また、論理行アドレスLADD6が選択された場合、論理行アドレスLADD6に対応する物理行(ワード線WL)は、サブアレイSubA~SubDにおいて互いに相違し、また、サブアレイSubE~SubHにおいても互いに相違している。従って、この場合も、エラービットが発生しても、エラービットは、様々な論理行アドレスに分散される。
【0087】
このように、第4実施形態においても、或る物理行(ワード線WL)に隣接した物理行(ワード線WL)に対応する論理行アドレスをサブアレイSubA~SubD(またはSubE~SubH)ごとに相違させる。これにより、隣接するワード線間の干渉によりメモリセルのデータがエラーになっても、エラー訂正の可能性を高めることができる。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0089】
1 半導体記憶装置
MC メモリセル
MCA メモリセルアレイ
WL ワード線
BL ビット線
RD ロウデコーダ
WD ワード線ドライバ
MUX1,MUX2 マルチプレクサ
SA センスアンプ回路
CTL コントローラ
Sub1,Sub2 サブアレイ
PADD0~PADD7 物理行アドレス
LADD0~LADD7 論理行アドレス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12