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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119340
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】無線タグ読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
G06K7/10 128
G06K7/10 148
G06K7/10 264
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026161
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 渉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 茂晃
(72)【発明者】
【氏名】大石 禎利
(72)【発明者】
【氏名】野沢 誠
(72)【発明者】
【氏名】下川 サヤカ
(57)【要約】
【課題】外部への電波漏れを低減すること。
【解決手段】実施形態に係る無線タグ読取装置は、壁部材と、アンテナと、リーダとを備える。前記壁部材は、板状部材と、導体とを含む。前記板状部材は、少なくとも可視光に対する透光性を有する。前記導体は、前記板状部材の表面又は内部に配置される。前記壁部材は、特定の周波数において電波エネルギーの吸収率が高い周波数依存性を有する。前記アンテナは、前記壁部材の第1面に設けられる。前記アンテナは、前記第1面に対向する領域へ向けて電波を放射するとともに、放射された電波に応じた無線タグからの電波を受信する。前記リーダは、前記アンテナを介して、前記無線タグが内蔵するメモリのデータを読み取る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも可視光に対する透光性を有する板状部材と、前記板状部材の表面又は内部に配置される導体とを含み、特定の周波数において電波エネルギーの吸収率が高い周波数依存性を有する壁部材と、
前記壁部材の第1面に設けられ、前記第1面に対向する領域へ向けて電波を放射するとともに、放射された電波に応じた無線タグからの電波を受信するアンテナと、
前記アンテナを介して、前記無線タグの内蔵メモリのデータを読み取るリーダと、を備える
無線タグ読取装置。
【請求項2】
読取対象の無線タグ及び前記データが読み取られた無線タグの少なくともいずれかに関する情報を表示する表示部をさらに備える、
請求項1に記載の無線タグ読取装置。
【請求項3】
前記第1面に対向する領域から視認可能に、前記壁部材の前記第1面とは反対側の第2面に設けられた表示部をさらに備える、
請求項1に記載の無線タグ読取装置。
【請求項4】
前記壁部材は、第1壁部材及び第2壁部材を含み、
前記アンテナは、前記第1壁部材及び前記第2壁部材の少なくとも一方に設けられ、
前記第1壁部材の前記第1面と、前記第2壁部材の前記第1面とは対向する、
請求項1に記載の無線タグ読取装置。
【請求項5】
前記第1面に対向する領域に位置する物体を検出可能に、前記壁部材の前記第1面とは反対側の第2面に設けられた検出部をさらに備える、
請求項1に記載の無線タグ読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線タグ読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RFID(Radio Frequency Identification)タグなどの電子タグ(無線タグ)が付された物品を、無線タグとの間で交信するアンテナが搭載されたゲート内を通過させることで、無線タグに書き込まれた情報を読み取る無線タグ読取装置がある。
【0003】
上述の無線タグ読取装置のゲート内壁には、アンテナから放射された電波のゲート外(読取領域の外部)への漏出を抑制するために電波吸収体が設けられていた。しかしながら、この電波吸収体が透光性を有さないため、ゲート内を通過する利用者に閉塞感や圧迫感を抱かせるおそれがあった。一方、電波吸収体として透光性を有する導電性フィルムを利用する場合、すなわち導電性フィルムをガラスやアクリルなどの透光性を有する部材に貼り付ける構成では、十分な電波吸収能が得られない場合があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、外部への電波漏れを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る無線タグ読取装置は、壁部材と、アンテナと、リーダとを備える。前記壁部材は、板状部材と、導体とを含む。前記板状部材は、少なくとも可視光に対する透光性を有する。前記導体は、前記板状部材の表面又は内部に配置される。前記壁部材は、特定の周波数において電波エネルギーの吸収率が高い周波数依存性を有する。前記アンテナは、前記壁部材の第1面に設けられる。前記アンテナは、前記第1面に対向する領域へ向けて電波を放射するとともに、放射された電波に応じた無線タグからの電波を受信する。前記リーダは、前記アンテナを介して、前記無線タグが内蔵するメモリのデータを読み取る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1の実施形態に係る無線タグ読取装置の構成の一例を示す外観斜視図である。
図2図2は、図1の無線タグ読取装置の構成の一例を示す平面図である。
図3図3は、図1の無線タグ読取装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、図1の無線タグ読取装置の有する機能構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、図1の無線タグ読取装置により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6図6は、図5の処理において表示される画面の一例を示す図である。
図7図7は、図5の処理において表示される画面の一例を示す図である。
図8図8は、第2の実施形態に係る無線タグ読取装置の構成の一例を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、各実施形態に係る無線タグ読取装置及びプログラムについて説明する。
【0008】
以下に説明する各実施形態は、物品に付された無線タグからタグ情報の読み取りを行う形態を例示する。なお、以下の実施形態では、無線タグが付された物品として例えば店舗等で販売される商品を例示するが、これに限らない。無線タグが付された物品としては、販売や物流、保管などにおいて管理される対象の各種の物品があり得る。
【0009】
(第1の実施形態)
まず、本実施形態に係る無線タグ読取装置1の構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る無線タグ読取装置1の構成の一例を示す外観斜視図である。図2は、図1の無線タグ読取装置1の構成の一例を示す平面図である。図3は、図1の無線タグ読取装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0010】
無線タグ読取装置1は、図1及び図2に示すように、第1壁部材11、第2壁部材12及び床部材15を有する。
【0011】
第1壁部材11は、第2壁部材12と平行に、対向する位置に配置される。つまり、第1壁部材11の第1面(Y-側の面)と、第2壁部材12の第1面(Y+側の面)とは対向する。また、第1壁部材11及び第2壁部材12は、それぞれ床部材15に対して略垂直に立てられる。図1は、Z-X面に平行な第1壁部材11及び第2壁部材12がY方向に沿って配列された場合を例示する。
【0012】
第1壁部材11及び第2壁部材12は、無線タグ読取装置1のゲートを形成する。本実施形態に係る無線タグ読取装置1のゲートは、ガラス吸収体ゲート、あるいはガラス吸収体を利用したRFID(Radio Frequency Identification)ゲートと称されてもよい。ここで、ゲート内部の領域は、第1壁部材11の第1面(Y-側の面)及び第2壁部材12の第1面(Y+側の面)のそれぞれに対向する領域である。同様に、ゲート外部の領域は、第1壁部材11の第1面とは反対側の第2面の側(Y+側)及び第2壁部材12の第1面とは反対側の第2面の側(Y-側)の領域を含む。また、ゲート外部の領域は、第1壁部材11及び第2壁部材12の上端部(Z+側の端部)より上方(Z+側)の領域と、ゲート入口101より手前(X+側)の領域と、ゲート出口103より奥(X-側)の領域とを含む。
【0013】
無線タグ読取装置1のゲートは、無線タグ9が付された商品が入った商品カゴや当該商品カゴを載せたカートなどが通過する通路である。例えば、無線タグ読取装置1のユーザは、無線タグ9が付された商品を入れた商品カゴを把持したまま、あるいは当該商品カゴを載せたカートを押しながらゲート入口101からゲート出口103へ移動することで、ゲート内部を通過する。無線タグ9がゲート内部を通過する際、無線タグ読取装置1は、無線タグ9を読み取る。なお、床部材15は、ゲート内で商品などをゲート入口101からゲート出口103へ搬送する搬送装置として構成されていてもよい。このように、第1壁部材11及び第2壁部材12により規定される無線タグ読取装置1のゲートの内部は、無線タグ9の読取領域である。
【0014】
第1壁部材11は、第1支持部材111、第1板状部材113及び第1導体115を有する。第2壁部材12は、第2支持部材121、第2板状部材123及び第2導体125を有する。第1壁部材11及び第2壁部材12のそれぞれは、特定の周波数において電波エネルギーの吸収率が高い周波数依存性を有する。特定の周波数とは、例えば無線タグ読取装置1の少なくとも1つのアンテナ31から放射される電波の周波数を含む。また、特定の周波数とは、例えば無線タグ9のタグアンテナから放射される電波の周波数を含む。換言すれば、第1壁部材11及び第2壁部材12のそれぞれは、反射によって電波を遮蔽する特性と、特定周波数の電波を吸収する特性とを有する。なお、特定の周波数とは、任意の周波数により規定されてもよいし、任意の中心周波数を含む周波数帯により規定されてもよい。一例として、特定の周波数は、LF帯、HF帯、UHF帯及びマイクロ波帯のうちのいずれかの周波数帯又は当該周波数帯の周波数であってもよい。一例として、UHF帯の特定の周波数は、実施形態に係る無線タグ読取装置1が適用される国又は地域に応じて適宜決定されればよい。例えば、日本国において特定の周波数は、920MHz帯又は当該周波数帯の周波数であってもよい。当該920MHz帯は、例えば915~928MHzであるが、916.0~923.4MHzであってもよい。例えば、欧州において特定の周波数は、865MHz付近の周波数帯又は当該周波数帯の周波数であってもよい。当該865MHz付近とは、例えば862~868MHzであってもよい。例えば、米国において特定の周波数は、902~928MHzの周波数帯又は当該周波数帯の周波数であってもよい。
【0015】
第1支持部材111は、第1板状部材113を支持するフレームである。第2支持部材121は、第2板状部材123を支持するフレームである。一例として、第1支持部材111及び第2支持部材121は、それぞれ床部材15に固定又は着脱可能に接続される。
【0016】
なお、図1は、それぞれZ-側に開くコの字状(角型U字状)に形成された第1支持部材111及び第2支持部材121を例示するが、これに限らない。第1支持部材111及び第2支持部材121のそれぞれは、Z方向に延びる一対の支柱と、一対の支柱のZ+側においてX方向に亘って延びて支柱間を接続する梁とを用いて形成されていてもよい。また、第1支持部材111及び第2支持部材121のそれぞれは、Z方向に延びる一対の支柱だけで形成されてもよいし、一方の支柱と、梁とを用いてL字状に形成されてもよいし、一対の支柱のZ-側においてX方向に亘って延びて支柱間を接続する梁をさらに用いてロの字状(四角形状)に形成されてもよい。また、第1支持部材111及び第2支持部材121は、それぞれ異なる形状又は構成であっても構わない。
【0017】
第1板状部材113及び第2板状部材123のそれぞれは、少なくとも可視光に対する透光性を有する。可視光に対する透光性を有するとは、可視領域の波長についての透過率が高いことを言う。第1板状部材113及び第2板状部材123のそれぞれは、例えばガラスや、アクリルなどの樹脂などの可視光に対して透明又は透明と見做せる材料を用いて形成されている。なお、第1板状部材113及び第2板状部材123のそれぞれは、複数の層を有していてもよく、互いに異なる材質の層が含まれていてもよい。また、第1板状部材113及び第2板状部材123は、それぞれ異なる形状又は構成であっても構わない。
【0018】
第1板状部材113の表面又は内部には、第1導体115が配置される。第2板状部材123の表面又は内部には、第2導体125が配置される。一例として、第1板状部材113及び第2板状部材123の少なくとも一方の主面(Y+側の面又はY-側の面)には、それぞれ、第1導体115及び第2導体125を含む薄膜が形成されている。一例として、第1板状部材113及び第2板状部材123の内部には、それぞれ、第1導体115及び第2導体125を含む内部層が形成されている。例えば、第1板状部材113及び第2板状部材123は、それぞれ、ガラス又は樹脂パネルの間に第1導体115及び第2導体125を接着剤で埋めた内部層を挟み込んだ構造を有する。
【0019】
一例として、第1導体115及び第2導体125のそれぞれは、メッシュ状に形成された導体であってもよいし、上記の薄膜や内部層において配列又は分散された複数の微細な導体素子であってもよいし、これらの組合せであってもよい。例えば、第1導体115及び第2導体125のそれぞれとしては、例えば金属やカーボンなどの任意の導体が適宜利用されればよい。なお、第1導体115及び第2導体125は、それぞれ異なる形状又は導体であっても構わない。
【0020】
床部材15は、無線タグ読取装置1の少なくとも1つのアンテナ31及び無線タグ9のタグアンテナから放射される電波を遮蔽する電波吸収体により形成される。床部材15の電波吸収体は、導体や誘電体、磁性体、これらの組合せなど任意の材料により形成されればよい。
【0021】
なお、床部材15は、第1壁部材11及び第2壁部材12と同様に形成されていてもよい。また、無線タグ読取装置1は、第1壁部材11及び第2壁部材12のZ+側においてY方向に亘って延びて壁部材間を接続する天井部材(不図示)をさらに有していてもよい。換言すれば、無線タグ読取装置1は、ゲートの上部(Z+側)を覆う天井部材を有していてもよい。この天井部材は、第1壁部材11及び第2壁部材12と同様に形成されていてもよいし、床部材15と同様に形成されていてもよい。つまり、第1壁部材11は、床部材15又は天井部材と直交し、それぞれの第2面は読取領域、すなわち同一空間を向く。
【0022】
なお、無線タグ読取装置1は、第1壁部材11及び第2壁部材12のうちのいずれか一方を有していなくてもよい。あるいは、第1壁部材11及び第2壁部材12のうちのいずれか一方は、床部材15と同様に形成されていてもよい。また、無線タグ読取装置1は、ゲート入口101及びゲート出口103のいずれか一方を閉じる壁部材(不図示)を有していてもよい。あるいは、無線タグ読取装置1は、ゲート入口101及びゲート出口103の他方を閉じる壁部材(不図示)をさらに有していてもよい。この場合、第3壁部材及び第4壁部材の少なくとも一方は、ゲートの出入口を閉じる扉であり得る。ゲート入口101及びゲート出口103に設けられる壁部材は、第1壁部材11及び第2壁部材12と同様に形成されていてもよいし、床部材15と同様に形成されていてもよい。
【0023】
このように、実施形態に係る無線タグ読取装置1は、少なくとも可視光に対する透光性を有し、かつ、特定の周波数において電波エネルギーの吸収率が高い周波数依存性を有する少なくとも1つの壁部材を有する。換言すれば、実施形態に係る無線タグ読取装置1のゲートの少なくとも1面は、少なくとも可視光に対する透光性を有し、かつ、特定の周波数において電波エネルギーの吸収率が高い周波数依存性を有する。
【0024】
無線タグ読取装置1は、図1図2及び図3に示すように、少なくとも1つのアンテナ31を有する。少なくとも1つのアンテナ31は、ゲート内部において、壁面、床面及び上面のうちの少なくとも1つの面に配置される。
【0025】
少なくとも1つのアンテナ31のそれぞれは、第1壁部材11及び第2壁部材12のゲート内側の面に設けられる。少なくとも1つのアンテナ31のそれぞれは、無線タグ9を読み取る電波(送信波)をゲート内側の領域へ向けて放射する。少なくとも1つのアンテナ31のそれぞれは、放射された電波に応じて無線タグ9から出力された電波(応答波)を受信する。
【0026】
図1及び図2は、少なくとも1つのアンテナ31として、第1アンテナ311、第2アンテナ312、第3アンテナ313及び第4アンテナ314の4つのアンテナ31を例示する。第1アンテナ311及び第2アンテナ312は、第1壁部材11のゲート内部側(Y-側)の面に配置される。第3アンテナ313及び第4アンテナ314は、第2壁部材12のゲート内部側(Y+側)の面に配置される。
【0027】
なお、アンテナ31のX方向及びZ方向における位置は、ユーザに把持されたカゴの高さやカートに乗せられたカゴの高さなどの想定される無線タグ9の通過位置、ゲート入口101やゲート出口103までの距離、第1壁部材11及び第2壁部材12のX方向及びZ方向における長さ、アンテナ31から放射する電波の強度や指向性などの種々の条件に応じて適宜決定されればよい。
【0028】
なお、アンテナ41の数は、3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。また、アンテナ31は、第1壁部材11及び第2壁部材12のうちのいずれか一方だけに設けられていてもよい。また、アンテナ31は、上記の天井部材やゲート入口101を閉じる壁部材、ゲート出口103を閉じる壁部材に設けられていてもよい。
【0029】
無線タグ読取装置1は、図1図2及び図3に示すように、リーダ32を有する。リーダ32は、アンテナ31に電気的に接続されている。リーダ32は、例えばゲート外側に設けられるが、アンテナ31とともにゲート内側に設けられてもよい。リーダ32は、制御部21の制御に従い、無線タグ9からタグ情報を読み取るための変調波(電波)を所定の時間間隔(例えば、数十ミリ秒間隔)でアンテナ31に発信させる。また、リーダ32は、アンテナ31を介して無線タグ9が保持するタグ情報を読み取り、読み取ったタグ情報を制御部21に出力する。
【0030】
ここで、無線タグ9は、RFIDタグなどの電子タグである。無線タグ9は、情報を記憶するIC(Integrated Circuit)チップ及びタグアンテナ(インレイ)を有する。無線タグ9において、ICチップ及びアンテナは、例えば薄いフィルムに内蔵されている。無線タグ9は、無線タグ読取装置1のアンテナ31から送信された電波(送信波)をタグアンテナにより受信する。無線タグ9において電波が受信されると電力が発生する。無線タグ9は、無線タグ読取装置1のアンテナ31から、ICチップ内のフラッシュメモリなどの記憶媒体(内蔵メモリ)に記憶されているデータ(実施形態ではタグ情報)を読み出す電波を受信した場合に、当該電波に応じて発生した電力によって、送信波に対する応答波(電波)としてタグ情報を発信する。
【0031】
無線タグ9に記憶されているタグ情報は、例えば、無線タグ9が付されている商品を識別可能な商品コード(例えばEPC(Electronic Product Code)である。なお、タグ情報には、その商品に関する情報(実施形態では商品情報)がさらに含まれていてもよい。また、無線タグ9が販売や物流、保管などにおいて管理される対象の物品に付される場合、そのタグ情報は、例えば、無線タグ9が付されている物品を識別可能な識別コードであってもよいし、その物品に関する情報(実施形態では物品情報)であってもよい。
【0032】
無線タグ9は、例えば粘着面を有し、粘着力で商品に貼付される。なお、無線タグ9は、バンドなどで商品に取り付けられていてもよいし、商品の包装に埋め込まれるなど商品の包装の一部として形成されることにより商品に取り付けられていてもよい。
【0033】
無線タグ読取装置1は、図1図2及び図3に示すように、少なくとも1つの表示部51を有する。少なくとも1つの表示部51のそれぞれは、その表示がゲート内部の領域から視認可能に配置される。少なくとも1つの表示部51のそれぞれは、読み取り対象の無線タグ9及びデータが読み取られた無線タグ9の少なくともいずれかに関する情報を表示する。
【0034】
図1及び図2は、少なくとも1つの表示部51として、ディスプレイ511を例示する。ディスプレイ511は、ゲート内側から視認可能に第1壁部材11に設けられる。また、ディスプレイ511は、第1壁部材11のゲート外側(Y+側)に設けられる。つまり、ディスプレイ511の表示面は、第1壁部材11のゲート外側(Y+側)の面に対向し、かつ、ゲート内側を向く。
ディスプレイ511は、制御部21の制御に従い、生成された画面を表示するように構成される。ディスプレイ511としては、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどの各種の表示デバイスが適宜利用可能である。
【0035】
なお、表示部51の数は、2つ以上であってもよい。また、表示部51は、第1壁部材11に加えて、あるいは代えて、第2壁部材12や上記の天井部材、ゲート入口101を閉じる壁部材、ゲート出口103を閉じる壁部材に設けられていてもよい。なお、表示部51が設けられる部材が可視光に対する透光性を有する場合、表示部51は、例えばゲート外側に設けられるが、ゲート内側に設けられてもよい。表示部51がゲート外側に設けられる場合、その表示面は、例えば配置された部材を介して、すなわち透過してゲート内側から視認可能である。なお、表示部51が設けられる部材が可視光に対する透光性を有さない場合であっても、例えば天井部材が設けられていない場合に第1壁部材11又は第2壁部材12の上方(Z+側)に表示部51を配置するなど、ゲートの開放部分に表示部51を配置することにより、ゲート内側からその表示面が視認可能であってもよい。
【0036】
無線タグ読取装置1は、図1図2及び図3に示すように、少なくとも1つの検出部71を有する。少なくとも1つの検出部71のそれぞれは、ゲート内側の領域に位置する人やカート、買い物カゴなどの物体を検出可能に、ゲート外側に配置される。つまり、少なくとも1つの検出部71は、ゲートの壁部材を介して物体を検出可能である。
【0037】
図1及び図2は、少なくとも1つの検出部71として、カメラ711を例示する。カメラ711は、ゲート内側の領域、例えばゲート入口101の近傍を撮影可能に配置される。カメラ711は、第1壁部材11のゲート外側(Y+側)に設けられる。カメラ711は、制御部21の制御に従い、ゲート内側の領域、例えばゲート入口101の近傍を撮影した撮影画像を取得するように構成される。この撮影画像は、顔認識処理や瞳検出処理、物体認識処理などの物体検出に係る各種の画像処理に供される。
【0038】
なお、検出部71の数は、2つ以上であってもよい。また、検出部71は、第1壁部材11に加えて、あるいは代えて、第2壁部材12や上記の天井部材、ゲート入口101を閉じる壁部材、ゲート出口103を閉じる壁部材に設けられていてもよい。なお、検出部71が設けられる部材が可視光に対する透光性を有する場合、検出部71は、例えばゲート外側に設けられるが、ゲート内側に設けられてもよい。なお、検出部71が設けられる部材が可視光に対する透光性を有さない場合であっても、例えば天井部材が設けられていない場合に第1壁部材11又は第2壁部材12の上方(Z+側)に検出部71を配置するなど、ゲートの開放部分に検出部71を配置することにより、ゲート外側からゲート内側の領域に位置する物体を検出可能であってもよい。
【0039】
なお、物体検出に係る各種の画像処理は、カメラ711において実行されても構わない。この場合、カメラ711としては、カメラを搭載するタブレットPCやスマートフォンなどの情報処理装置が利用されてもよい。つまり、カメラ711は、ゲート内側の領域に位置する物体の検出結果を出力可能に構成されていてもよい。
【0040】
無線タグ読取装置1は、図3に示すように、制御部21、記憶部23及び通信部25を有する。無線タグ読取装置1において、制御部21、記憶部23、通信部25、リーダ32、表示部51及び検出部71は、バス29などを介して通信可能に接続される。
【0041】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を有する。CPU、ROM及びRAMは、内部バスを介して通信可能に接続される。制御部21は、例えば一般的なコンピュータと同様に構成され、ROMや記憶部23に記憶された各種プログラムをRAMにロードし、ロードされた各種プログラムをCPUが実行することにより無線タグ読取装置1の各部の動作を制御するように構成される。
【0042】
なお、実施形態に係る制御部21のCPUは、無線タグ読取装置1におけるプロセッサの一例である。当該プロセッサとしては、CPUに代えて、あるいはCPUに加えて、他のプロセッサが設けられてもよい。他のプロセッサとしては、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などの各種プロセッサや、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)で実現される専用演算回路などが適宜利用可能である。
【0043】
記憶部23は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の不揮発性の記憶媒体を備えた記憶装置である。記憶部23は、無線タグ読取装置1の動作に係る各種プログラムや各種データを記憶する。一例として、記憶部23は、制御プログラム231、読取データ、商品マスタ及び読取対象テーブルを記憶する。
【0044】
制御プログラム231は、無線タグ読取装置1を動作させるためのプログラムである。読取データは、アンテナ31を介して無線タグ9から取得されたタグ情報のデータである。商品マスタは、無線タグ9の商品コードに紐づく商品情報を格納する。読取対象テーブルは、無線タグ読取装置1により読み取るべき無線タグ9の商品コードを格納する。
【0045】
通信部25は、インターネットやイントラネットなどの電気通信回線を介して、非図示のPOS端末やストアサーバなどの外部機器と通信を行うための通信回路である。無線タグ読取装置1は、無線タグ9の読取結果や読取結果に紐づく商品情報を、これらの外部機器に出力する。
【0046】
なお、無線タグ読取装置1は、操作者の入力操作などを取得して制御部21に送信するように構成された入力デバイスをさらに有していてもよい。操作デバイスとしては、例えばタッチパネルやキーボード、マイクなどの種々のデバイスが適宜利用可能である。
【0047】
ここで、無線タグ読取装置1の機能構成を説明する。図4は、図1の無線タグ読取装置1の有する機能構成の一例を示すブロック図である。
【0048】
無線タグ読取装置1の制御部21は、RAMにロードされた制御プログラム231を実行することにより、図4に示すように、検出制御部211、読取制御部213、商品登録部215、会計処理部217及び表示制御部219としての機能を実現する。
【0049】
検出制御部211は、検出部71の動作を制御し、検出部71の検出結果に基づいてゲート内側の領域に位置する人やカート、買い物カゴなどの物体を検出する。一例として、検出制御部211は、カメラ711からの撮影画像に対して、顔認識処理や瞳検出処理、物体認識処理などの物体検出に係る各種の画像処理を施し、物体を検出する。一例として、検出制御部211は、カメラ711からのゲート内側の領域に位置する物体の検出結果を取得する。
【0050】
読取制御部213は、アンテナ31及びリーダ32と協働することで、無線タグ9に記憶されたタグ情報を読み取るリーダとして機能する。具体的には、読取制御部213は、アンテナ31及びリーダ32の動作を制御し、アンテナ31からの電波に応じた無線タグ9からの電波に基づいて、無線タグ9からタグ情報を読み取る。
【0051】
商品登録部215は、商品に付された無線タグ9から読み取られたタグ情報を登録する。具体的には、商品登録部215は、読取制御部213からのタグ情報に含まれる商品コードに基づいて商品登録処理を行う。商品登録処理は、読取制御部213により読み取られた商品を購入対象の商品として登録する処理である。例えば、商品登録部215は、商品登録処理において、商品情報を登録した商品登録ファイルを生成する。
【0052】
会計処理部217は、商品登録部215により登録された商品に関する会計処理を行う。会計処理は、商品登録ファイルに基づいて行われる、一取引の会計に係る処理である。
【0053】
表示制御部219は、画面を表示させるための表示情報を表示部51に出力することにより、各種の画面を表示部51により表示する。一例として、表示制御部219は、ゲートへの物体の侵入を検出した場合、読み取るべき無線タグ9、すなわち読取対象の無線タグ9に関する情報を表示部51により表示する。一例として、表示制御部219は、無線タグ9からタグ情報が読み取られた場合、読み取られた無線タグ9に関する情報を表示部51により表示する。
【0054】
次に、無線タグ読取装置1の動作例を説明する。図5は、図1の無線タグ読取装置1により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0055】
制御部21は、検出部71の検出結果に基づいて、ゲート内側の領域に位置する物体を検出したかを判定する(S101)。ゲート内側の領域に位置する物体が検出されなかった場合(S101:No)、図5の流れはS101の処理へ戻る。
【0056】
ゲート内側の領域に位置する物体が検出された場合(S101:Yes)、制御部21は、表示処理及び読取処理を開始する(S102)。具体的には、制御部21は、読み取られた無線タグ9に関する情報を表示するための画面81を表示部51により表示する。図6は、図5の処理において表示される画面81の一例を示す図である。画面81は、図6に示すように、読み取られた無線タグ9に関する情報を表示するための表示領域82を含む。また、画面81は、登録された商品の合計金額を表示するための表示領域821と、読み取り開始を指示するボタン823の表示と、読み取りの案内を表示するための表示領域83とを含む。なお、表示領域83は必須の構成ではなく、設けられていなくてもよい。また、制御部21は、画面81のボタン823に対する操作が行われた場合、読取処理を開始する。この場合、制御部21は、アンテナ31及びリーダ32と協働することで、無線タグ9に記憶されたタグ情報を読み取るための電波の放射を開始する。なお、ボタン823の表示は必須の構成ではなく、制御部21は、画面81の表示ととともに電波の放射を開始して読取処理を開始してもよい。
【0057】
無線タグ9からタグ情報が読み取られた場合(S103:Yes)、制御部21は、読み取られたタグ情報のタグIDに基づいて無線タグ9が付された商品を登録し(S104)、また、読み取られた無線タグ9に関する情報を含む画面85(図7参照)を表示部51により表示する(S105)。図7は、図5の処理において表示される画面85の一例を示す図である。画面85は、図7に示すように、読み取られた無線タグ9に関する情報として、読み取られた無線タグ9の商品コードなどのタグ情報に紐づく商品情報827の表示を含む。また、画面85は、読み取りの終了を指示するボタン825の表示を含む。なお、ボタン825の表示は必須の構成ではなく、設けられていなくてもよい。
【0058】
無線タグ9からタグ情報が読み取られなかった場合(S103:No)、あるいはS105の後、制御部21は、読取終了か判定する(S106)。例えば、制御部21は、予め定められて記憶部23に記憶されているしきい値より長い時間タグ情報が読み取られなかった場合や画面85のボタン825に対する操作が行われた場合、読取終了すると判定する。なお、後述するように読取対象の無線タグ9が特定されている場合には、読取対象のすべての無線タグ9の読み取りが完了した場合に読取終了すると判定されてもよい。
【0059】
読取終了と判定されなかった場合(S106:No)、図5の流れはS103の処理へ戻る。一方で、読取終了と判定された場合(S106:Yes)、制御部21は、登録された商品に関する会計処理を行う(S107)。その後、図5の流れは終了する。
【0060】
なお、制御部21は、読み取られた無線タグ9に関する情報として、読取結果のタグ情報に紐づく商品情報827に加えて、あるいは代えて、読み取られた無線タグ9のタグ情報を含む画面を表示部51により表示させてもよい。
【0061】
なお、制御部21は、ゲート内側の領域に位置する物体が検出された場合、読取対象の無線タグ9に関する情報を表示部51により表示してもよい。例えば、制御部21は、記憶部23の読取対象テーブルを参照することにより、読取対象の無線タグ9に関する情報として、読み取るべき無線タグ9の商品コードなどのタグ情報を含む画面を表示部51により表示させてもよい。例えば、制御部21は、記憶部23の読取対象テーブル及び商品マスタを参照することにより、読取対象の無線タグ9に関する情報として、読み取るべき無線タグ9の商品コードなどのタグ情報に紐づく商品情報、例えば入出荷予定情報や商品画像を含む画面を表示部51により表示させてもよい。
【0062】
なお、制御部21は、S101の処理において検出された人物の識別結果に基づいて読取対象の無線タグ9を特定してもよい。あるいは、制御部21は、読取対象の無線タグ9を特定するための特定情報を示すバーコードや2次元コードなどをカメラ711により読み取ることで、読取対象の無線タグ9を特定してもよい。これらの場合、記憶部23の読取対象テーブルは、人物や特定情報ごとに用意されていてもよい。
【0063】
従来、無線タグ読取装置のゲート内壁に設けられた電波吸収体は、可視光に対する透光性を有していなかったため、ウォークスルーゲートのゲート内を通過する利用者に閉塞感や圧迫感を抱かせるおそれがあった。また、電波吸収体として透光性を有する導電性フィルムを利用する場合、すなわち導電性フィルムをガラスやアクリルなどの透光性を有する部材に貼り付ける構成では、十分な電波吸収能が得られず、ゲート外に電波が漏出するという問題があった。
【0064】
さらに、ゲートにより視界が遮られる場合、ゲートの出口付近では、ゲートを通過する人やカーゴテナーやカートと、ゲートの外を通過する人やカーゴテナーやカートとの間における衝突リスクを低減する施策が必要であるなど、安全面で改善の余地があった。また、ウォークスルーゲートを会計で利用する場合は、顧客の動作が見えなくなるなど、店員がゲート内の様子が確認できないためにセキュリティ面で改善の余地があった。
【0065】
このような中、実施形態に係る無線タグ読取装置1は、少なくとも可視光に対する透光性を有し、特定の周波数において電波エネルギーの吸収率が高い周波数依存性を有する第1壁部材11と、第1壁部材11の第1面に設けられ、ゲート内側へ向けて電波を放射するとともに、放射された電波に応じた無線タグ9からの電波を受信するアンテナ31とを有する。
【0066】
この構成によれば、ゲートに透光性を持たせつつ、電波漏れを抑制することができる。また、利用者の不快感を軽減するとともに、安全性及びセキュリティ性を向上することができる。
【0067】
また、ゲート内に設けられた表示部51及び検出部71がウォークスルーゲート内における通行の妨げとなったり、衝突により破損したりするおそれがあった。一方で、電波吸収体の一部を切り欠いて表示部51及び検出部71を埋め込むような構成では、通行の妨げとなることを抑制できるが、表示部51及び検出部71によってゲート内に放射された電波が反射されるという問題があった。ゲート内で電波が反射されると、直接波と反射波とが重畳し、読取が不安定になる領域が発生したり、意図しないゲート外の無線タグを読み取ってしまったりするという問題があった。
【0068】
このような中、実施形態に係る無線タグ読取装置1は、上述したように、ゲートを形成する壁部材に透光性を持たせたことにより、表示部51及び検出部71をゲート外に配置することができる。これにより、表示部51及び検出部71がウォークスルーゲート内で通行の妨げとなったり、衝突されて破損したりすることなく、表示部51及び検出部71による電波の反射を抑制することができる。電波の反射抑制は、読み取り不良を低減して読み取りの精度及び速度を向上することに寄与する。また、表示部51及び検出部71に起因する凸部がゲート内から省かれることにより、ゲート内壁を掃除し易く、衛生面での向上も実現される。
【0069】
また、導電性フィルムを透明部材に貼付する場合と比較して効率よく電波吸収を図ることができるため、アンテナ31の電波の放射面に対向する位置に設けられた他の壁部材に透光性を持たせる場合であっても、意図しないゲート外の無線タグの読み取りを低減することができるという効果もある。
【0070】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、表示部51としてディスプレイ511を用いる場合を例示したが、これに限らない。図8は、第2の実施形態に係る無線タグ読取装置1の構成の一例を示す外観斜視図である。
【0071】
図8は、少なくとも1つの表示部51として、プロジェクタ513及びスクリーン515を例示する。
【0072】
プロジェクタ513は、制御部21の制御に従い、生成された画面をスクリーン515に投影表示するように構成される。
【0073】
スクリーン515は、可視光に対する透光性を有する。つまり、スクリーン515は、透明なスクリーンフィルム(透過型スクリーンフィルム)である。スクリーン515は、例えばその表面に入射した可視光の一部を散乱又は反射可能に構成され、投影された画像を表示可能である。
【0074】
一例として、プロジェクタ513及びスクリーン515は、図8に示すように、スクリーン515の表示面をゲート内側から視認可能に、ゲート外側に設けられる。例えば、プロジェクタ513は、第2壁部材12のゲート外側(Y-側)の下方(Z-側)、例えば床面上に配置される。なお、プロジェクタ513は、第2壁部材12のゲート外側(Y-側)の上方(Z+側)に配置されてもよい。スクリーン515は、第2壁部材12のゲート外側(Y-側)において、第2板状部材123のゲート外側(Y-側)に貼り付けられる。この構成において、スクリーン515の表示面は、スクリーン515の第2板状部材123側の面である。具体的には、プロジェクタ513は、スクリーン515のゲート外側(Y-側)の面に画像を投影する。スクリーン515のゲート外側に投影された画像は、スクリーン515のゲート内側での散乱光が第2板状部材123を透過することにより、ゲート内側から視認可能である。つまり、スクリーン515の表示面は、第2壁部材12のゲート外側(Y-側)の面に対向し、かつ、ゲート内側を向く。
【0075】
なお、プロジェクタ513及びスクリーン515は、スクリーン515の表示面をゲート内側から視認可能に、ゲート内側に設けられてもよい。例えば、プロジェクタ513は、第2壁部材12に読取領域を介して対向する第1壁部材11のゲート外側(Y+側)の上方(Z+側)、例えば第1支持部材111上に配置される。なお、プロジェクタ513は、第1壁部材11のゲート外側(Y+側)の下方(Z-側)に配置されてもよい。スクリーン515は、第2壁部材12のゲート内側(Y+側)において、第2板状部材123のゲート内側(Y+側)に貼り付けられる。この構成において、スクリーン515の表示面は、スクリーン515の第2板状部材123とは反対側の面である。具体的には、プロジェクタ513は、スクリーン515のゲート内側(Y+側)の面に画像を投影する。スクリーン515のゲート内側に投影された画像は、スクリーン515のゲート内側での散乱光又は反射光により、ゲート内側から視認可能である。つまり、スクリーン515の表示面とは反対側の面は、第2壁部材12のゲート内側(Y+側)の面に対向し、かつ、表示面は、ゲート内側を向く。
【0076】
なお、スクリーン515は、第2壁部材12に加えて、あるいは代えて、第1壁部材11や上記の天井部材、ゲート入口101を閉じる壁部材、ゲート出口103を閉じる壁部材に設けられていてもよい。また、表示部51としては、第1の実施形態に係るディスプレイ511とともに、本実施形態に係るスクリーン515が利用されてもよい。
【0077】
また、図8は、少なくとも1つの検出部71として、赤外線センサ713を例示する。赤外線センサ713は、ゲート内側の領域、例えばゲート入口101の近傍の物体を検出可能に配置される。赤外線センサ713は、第1壁部材11のゲート外側(Y+側)に設けられる。赤外線センサ713は、制御部21の制御に従い、ゲート内側の領域、例えばゲート入口101の近傍を通過した物体を検出するように構成される。この構成において、第1壁部材11の第1板状部材113は、可視光に加えて、赤外光に対する透光性を有する。
【0078】
なお、少なくとも1つの検出部71としては、カメラ711や赤外線センサ713に限らず、超音波センサや光センサ、モーションセンサなどが適宜利用可能である。これらのセンサであっても、ゲートの壁部材を介して物体を検出可能である。なお、少なくとも1つの検出部71として超音波センサを用いる場合、その壁部材は可視光に加えて、超音波が通過可能である。
【0079】
なお、少なくとも1つの検出部71としては、カメラ711や赤外線センサ713、超音波センサ、光センサ、モーションセンサ、これらの組合せであってもよいし、これらに加えて、あるいは代えて、マットセンサが利用されてもよい。マットセンサは、例えばゲート入口101の床面上に配置される。
【0080】
この構成であっても上述の実施形態と同様の効果が得られる。また、表示部51が透光性を有するため、投影表示を行っていない場合には、表示部51により遮られることなく、ゲート外側からゲート内側を確認することができる。また、投影表示を行う場合であっても、その表示が透過することによりゲート内側に人がいることが把握できるため、衝突の危険を低減することができる。
【0081】
(第3の実施形態)
なお、上述の各実施形態に係る無線タグ読取装置1において、壁部材とアンテナ31とは、一体に形成されていてもよい。
【0082】
本実施形態に係る無線タグ読取装置1において、アンテナ31は、少なくとも可視光に対する透光性を有する。一例として、アンテナ31は、ガラスにより形成されたガラスアンテナである。
【0083】
また、ガラスアンテナとして形成されたアンテナ31と、壁部材とは一体に形成される。例えば、第1壁部材11の第1板状部材113の内部には、第1アンテナ311及び第2アンテナ312が設けられる。第1導体115は、第1板状部材113の内部のうちの第1アンテナ311及び第2アンテナ312の周囲部分と、第1アンテナ311及び第2アンテナ312のゲート外側(Y+側)の表面部分とのうちの少なくとも周囲部分に配置される。同様に、例えば、第2壁部材12の第2板状部材123の内部には、第3アンテナ313及び第4アンテナ314が設けられる。第2導体125は、第2板状部材123の内部のうちの第3アンテナ313及び第4アンテナ314の周囲部分と、第3アンテナ313及び第4アンテナ314のゲート外側(Y-側)の表面部分とのうちの少なくとも周囲部分に配置される。
【0084】
この構成であっても上述の実施形態と同様の効果が得られる。また、アンテナ31が壁部材に埋め込まれた構成を有することから、さらなる薄型化を実現することができる。
【0085】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、外部への電波漏れを低減することができる。
【0086】
なお、上述の実施形態において「Aであるかを判定する」とは、「Aであることを判定する」ことであってもよいし、「Aではないことを判定する」ことであってもよいし、「Aであるか否かを判定する」ことであっても構わない。
【0087】
なお、本実施形態の無線タグ読取装置1で実行される各制御プログラムは、ROM等の記憶媒体に予め組み込まれて提供される。
【0088】
本実施形態の無線タグ読取装置1で実行される各制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0089】
さらに、本実施形態の無線タグ読取装置1で実行される各制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態の無線タグ読取装置1で実行される各制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0090】
本実施形態の無線タグ読取装置1で実行される制御プログラム231は、上述した各部(検出制御部211、読取制御部213、商品登録部215、会計処理部217及び表示制御部219)を含むモジュール構成となっている。制御部21のCPUは、上記記憶媒体から制御プログラム231を読み出して、上記各部を制御部21のRAMなどの主記憶装置上にロードする。これにより、上記各部が、主記憶装置上に生成される。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0092】
(付記)
(1)
少なくとも可視光に対する透光性を有する板状部材と、前記板状部材の表面又は内部に配置される導体とを含み、特定の周波数において電波エネルギーの吸収率が高い周波数依存性を有する壁部材と、
前記壁部材の第1面に設けられ、前記第1面に対向する領域へ向けて電波を放射するとともに、放射された電波に応じた無線タグからの電波を受信するアンテナと、
前記アンテナを介して、前記無線タグの内蔵メモリのデータを読み取るリーダと、を備える
無線タグ読取装置。
(2)
前記無線タグ読取装置は、読取対象の無線タグ及び前記データが読み取られた無線タグの少なくともいずれかに関する情報を表示する表示部をさらに備えてもよい。
(3)
前記無線タグ読取装置は、前記第1面に対向する領域から視認可能に、前記壁部材の前記第1面とは反対側の第2面に設けられた表示部をさらに備えてもよい。
(4)
前記壁部材は、第1壁部材及び第2壁部材を含んでもよい。
前記アンテナは、前記第1壁部材及び前記第2壁部材の少なくとも一方に設けられてもよい。
前記第1壁部材の前記第1面と、前記第2壁部材の前記第1面とは対向してもよい。
(5)
前記無線タグ読取装置は、前記第1面に対向する領域に位置する物体を検出可能に、前記壁部材の前記第1面とは反対側の第2面に設けられた検出部をさらに備えてもよい。
(6)
前記無線タグ読取装置は、前記第1面又は前記第1面とは反対側の第2面上に配置され、少なくとも可視光に対する透光性を有するとともに、投影された画像を表示可能な表示部をさらに備えてもよい。
(7)
前記アンテナは、透光性を有する材料で形成されてもよい。
前記アンテナ及び前記板状部材は、一体に形成されてもよい。
前記導体は、前記アンテナの前記第1面に対向する領域とは反対側と、前記アンテナの周囲とのうちの少なくとも前記アンテナの周囲に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 無線タグ読取装置
101 ゲート入口
103 ゲート出口
11 第1壁部材
111 第1支持部材
113 第1板状部材
115 第1導体
12 第2壁部材
121 第2支持部材
123 第2板状部材
125 第2導体
15 床部材
21 制御部
23 記憶部
231 制御プログラム
25 通信部
29 バス
31 アンテナ
311 第1アンテナ
312 第2アンテナ
313 第3アンテナ
314 第4アンテナ
32 リーダ
51 表示部
511 ディスプレイ
513 プロジェクタ
515 スクリーン
71 検出部
711 カメラ
713 赤外線センサ
9 無線タグ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【特許文献1】特開2021-044756号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8