(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119347
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】巻線界磁型回転電機および巻線界磁型回転電機の製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 1/28 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
H02K1/28 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026174
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】三好 洋一
(72)【発明者】
【氏名】古賀 清隆
(72)【発明者】
【氏名】八杉 一弘
(72)【発明者】
【氏名】知念 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】石崎 優太
【テーマコード(参考)】
5H601
【Fターム(参考)】
5H601AA09
5H601BB20
5H601CC01
5H601CC14
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD18
5H601GB00
5H601GB04
5H601GB12
5H601GB33
5H601GD03
5H601GD08
5H601GD18
5H601GD22
(57)【要約】
【課題】ロータコアに対してロータコイルが波巻形状に配置される場合に、ロータコイルのコイルエンド部が大きくなるのを抑制することが可能な巻線界磁型回転電機を提供する。
【解決手段】この巻線界磁型回転電機100では、ロータ102は、ロータコア10と、ロータコア10に対して波巻形状に配置されたロータコイル20と、を含む。そして、ロータコア10は、第1分割コア部材31と、第1分割コア部材31に対して分割された第2分割コア部材32とが、互いに組み合わされることにより形成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータコアに対して界磁巻線としてのロータコイルが配置されたロータを備える界磁型回転電機であって、
ステータと、
前記ステータに対して径方向に対向するように配置された前記ロータと、を備え、
前記ロータは、軸方向に延びるとともに周方向に並ぶ複数のスロットを有する前記ロータコアと、前記ロータコアに対して前記複数のスロットの各々を前記軸方向に沿って通過するように波巻形状に配置された前記ロータコイルと、を含み、
前記ロータコアは、第1分割コア部材と、前記第1分割コア部材に対して分割された第2分割コア部材とが、互いに組み合わされることにより形成されている、巻線界磁型回転電機。
【請求項2】
前記ロータコアは、前記複数のスロットの各々の前記周方向の両側に配置された複数のティースを含み、
前記複数のスロットの各々において、前記ティースの先端部同士の前記周方向の間隔は、前記ティースのうちの前記先端部よりも根元部側の部分同士の前記周方向の間隔よりも小さく、
前記ロータコアは、前記ロータコイルが前記波巻形状に配置された前記第1分割コア部材に対して、前記第2分割コア部材が組み付けられることにより形成されている、請求項1に記載の巻線界磁型回転電機。
【請求項3】
前記第1分割コア部材は、前記複数のスロットの各々よりも前記径方向の内側に配置された第1係合部を含み、
前記第2分割コア部材は、前記複数のスロットの各々よりも前記径方向の内側に配置され、前記第1係合部と係合する第2係合部を含み、
前記ロータコアは、前記第1係合部と前記第2係合部とが互いに係合するように、前記第1分割コア部材と前記第2分割コア部材とが互いに組み合わされることにより形成されている、請求項1に記載の巻線界磁型回転電機。
【請求項4】
前記ロータコアは、前記複数のスロットの各々の前記周方向の両側に配置された複数のティースを含み、
前記複数のティースは、前記周方向に並ぶ複数の第1ティースと、前記周方向において前記複数の第1ティース同士の間に配置された複数の第2ティースと、を含み、
前記ロータコアは、前記複数の第1ティースが一体的に形成された前記第1分割コア部材と、前記複数の第2ティースの各々を1つずつ有する複数の前記第2分割コア部材、または、前記複数の第2ティースが一体的に形成された前記第2分割コア部材とが、互いに組み合わされることにより形成されている、請求項1に記載の巻線界磁型回転電機。
【請求項5】
ロータコアに対して界磁巻線としてのロータコイルが配置されたロータを備える界磁型回転電機の製造方法であって、
前記ロータコイルを、軸方向に延びるとともに周方向に並ぶ複数のスロットを有する前記ロータコアに対して、前記複数のスロットの各々を前記軸方向に沿って通過するように波巻形状に配置することによって、前記ロータコイルと前記ロータコイルが配置された前記ロータコアとを含む前記ロータを製造するロータ製造工程と、
前記ロータ製造工程の後、前記ロータを、ステータに対して径方向に対向するように配置するロータ配置工程と、を備え、
前記ロータ製造工程は、
前記ロータコイルを、第1分割コア部材に対して前記波巻形状に配置するロータコイル波巻配置工程と、
前記ロータコイル波巻配置工程の後、前記ロータコイルが前記波巻形状に配置された前記第1分割コア部材に対して、第2分割コア部材を組み合わせる第2分割コア部材組合せ工程と、を含む、巻線界磁型回転電機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻線界磁型回転電機および巻線界磁型回転電機の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータコアに対して界磁巻線としてのロータコイルが配置されたロータを備える巻線界磁型回転電機が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、ロータコアに対して界磁巻線としてのロータコイルが配置されたロータを備える回転電機(巻線界磁型回転電機)が開示されている。この回転電機のロータでは、ロータコアに対してロータコイルが波巻形状に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の回転電機では、ロータコアに対してロータコイルが波巻形状に配置されている。この場合、ロータコアに対してロータコイルが集中巻形状に配置されている場合等と比較して、ロータコアにロータコイルを配置する(組み付ける)ためのロータコイルの余長が長くなりやすい。この場合、ロータコイルの余長分がコイルエンドに配置されるので、ロータコイルのコイルエンド部が大きくなりやすい。このため、ロータコアに対してロータコイルが波巻形状に配置される場合に、ロータコイルのコイルエンド部が大きくなるのを抑制することが可能な回転電機(巻線界磁型回転電機)が望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ロータコアに対してロータコイルが波巻形状に配置される場合に、ロータコイルのコイルエンドが大きくなるのを抑制することが可能な巻線界磁型回転電機および巻線界磁型回転電機の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における巻線界磁型回転電機は、ロータコアに対して界磁巻線としてのロータコイルが配置されたロータを備える界磁型回転電機であって、ステータと、ステータに対して径方向に対向するように配置されたロータと、を備え、ロータは、軸方向に延びるとともに周方向に並ぶ複数のスロットを有するロータコアと、ロータコアに対して複数のスロットの各々を軸方向に沿って通過するように波巻形状に配置されたロータコイルと、を含み、ロータコアは、第1分割コア部材と、第1分割コア部材に対して分割された第2分割コア部材とが、互いに組み合わされることにより形成されている。
【0008】
この発明の第1の局面における巻線界磁型回転電機では、上記のように、ロータコアは、第1分割コア部材と、第1分割コア部材に対して分割された第2分割コア部材とが、互いに組み合わされることにより形成されている。これにより、第1分割コア部材と第2分割コア部材とを分割することができるので、ロータコイルを第1分割コア部材に対して波巻形状に配置させた後に、ロータコイルが波巻形状に配置された第1分割コア部材に対して、第2分割コア部材を組み合わせることができる。これにより、ロータコイルを第1分割コア部材に対して波巻形状に配置させる際に、第1分割コア部材に対して第2分割コア部材が配置されていない分だけ、ロータコイルの余長を短くすることができる。その結果、ロータコアに対してロータコイルが波巻形状に配置される場合に、ロータコイルのコイルエンド部が大きくなるのを抑制することができる。
【0009】
上記第1の局面における巻線界磁型回転電機において、好ましくは、ロータコアは、複数のスロットの各々の周方向の両側に配置された複数のティースを含み、複数のスロットの各々において、ティースの先端部同士の周方向の間隔は、ティースのうちの先端部よりも根元部側の部分同士の周方向の間隔よりも小さく、ロータコアは、ロータコイルが波巻形状に配置された第1分割コア部材に対して、第2分割コア部材が組み付けられることにより形成されている。
【0010】
このように構成すれば、複数のスロットの各々において、ティースの先端部同士の周方向の間隔がティースのうちの先端部よりも根元部側の部分同士の周方向の間隔よりも小さいので、ロータコアに対してロータコイルを波巻形状に配置する(組付ける)ためのロータコイルの余長が長くなりやすい。一方、ロータコイルが波巻形状に配置された第1分割コア部材に対して第2分割コア部材を組付けることができるので、ロータコイルを第1分割コア部材に対して波巻形状に配置させる際に、第1分割コア部材に対して第2分割コア部材が配置されていない分だけ、ロータコイルの余長を短くすることができる。すなわち、ロータコイルの余長が長くなるのを効果的に抑制することができる。
【0011】
上記第1の局面における巻線界磁型回転電機において、好ましくは、第1分割コア部材は、複数のスロットの各々よりも径方向の内側に配置された第1係合部を含み、第2分割コア部材は、複数のスロットの各々よりも径方向の内側に配置され、第1係合部と係合する第2係合部を含み、ロータコアは、第1係合部と第2係合部とが互いに係合するように、第1分割コア部材と第2分割コア部材とが互いに組み合わされることにより形成されている。
【0012】
このように構成すれば、第1係合部および第2係合部が複数のスロットの各々よりも径方向の内側に配置されているので、ロータコイルが波巻形状に配置された第1分割コア部材に対して、第2分割コア部材をロータコイルに干渉させることなく、第2分割コア部材を組み合わせることができる。
【0013】
上記第1の局面における巻線界磁型回転電機において、好ましくは、ロータコアは、複数のスロットの各々の周方向の両側に配置された複数のティースを含み、複数のティースは、周方向に並ぶ複数の第1ティースと、周方向において複数の第1ティース同士の間に配置された複数の第2ティースと、を含み、ロータコアは、複数の第1ティースが一体的に形成された第1分割コア部材と、複数の第2ティースの各々を1つずつ有する複数の第2分割コア部材、または、複数の第2ティースが一体的に形成された第2分割コア部材とが、互いに組み合わされることにより形成されている。
【0014】
このように構成すれば、ロータコアが、複数の第1ティースが一体的に形成された第1分割コア部材と、複数の第2ティースの各々を1つずつ有する複数の第2分割コア部材とが、互いに組み合わされることにより形成されている場合には、ロータコイルが波巻形状に配置された第1分割コア部材に対して複数の第2ティースの各々を有する複数の第2分割コア部材の各々を1つずつ組み合わせればよいので、ロータコイルが波巻形状に配置された第1分割コア部材に対して第2分割コア部材を組み合わせる際の作業が難しくなるのを抑制することができる。また、ロータコアが、複数の第1ティースが一体的に形成された第1分割コア部材と、複数の第2ティースが一体的に形成された第2分割コア部材とが、互いに組み合わされることにより形成されている場合には、複数の第2ティースが第2分割コア部材として一体的に形成されているので、部品点数が多くなるのを抑制することができる。
【0015】
また、上記目的を達成するために、この発明の第2の局面における巻線界磁型回転電機の製造方法は、ロータコアに対して界磁巻線としてのロータコイルが配置されたロータを備える界磁型回転電機の製造方法であって、ロータコイルを、軸方向に延びるとともに周方向に並ぶ複数のスロットを有するロータコアに対して、複数のスロットの各々を軸方向に沿って通過するように波巻形状に配置することによって、ロータコイルとロータコイルが配置されたロータコアとを含むロータを製造するロータ製造工程と、ロータ製造工程の後、ロータを、ステータに対して径方向に対向するように配置するロータ配置工程と、を備え、ロータ製造工程は、ロータコイルを、第1分割コア部材に対して波巻形状に配置するロータコイル波巻配置工程と、ロータコイル波巻配置工程の後、ロータコイルが波巻形状に配置された第1分割コア部材に対して、第2分割コア部材を組み合わせる第2分割コア部材組合せ工程と、を含む。
【0016】
この発明の第2の局面における巻線界磁型回転電機の製造方法では、上記のように、ロータ製造工程は、ロータコイルを、第1分割コア部材に対して波巻形状に配置するロータコイル波巻配置工程と、ロータコイル波巻配置工程の後、ロータコイルが波巻形状に配置された第1分割コア部材に対して、第2分割コア部材を組み合わせる第2分割コア部材組合せ工程と、を含む。これにより、ロータコイルを第1分割コア部材に対して波巻形状に配置させた後に、ロータコイルが波巻形状に配置された第1分割コア部材に対して、第2分割コア部材を組み合わせることができる。これにより、上記第1の局面における巻線界磁型回転電機と同様に、ロータコイルを第1分割コア部材に対して波巻形状に配置させる際に、第1分割コア部材に対して第2分割コア部材が配置されていない分だけ、ロータコイルの余長を短くすることができる。その結果、上記第1の局面における巻線界磁型回転電機と同様に、ロータコアに対してロータコイルが波巻形状に配置される場合に、ロータコイルのコイルエンド部が大きくなるのを抑制することが可能な巻線界磁型回転電機の製造方法を提供することができる。
【0017】
なお、本出願では、上記第1の局面における巻線界磁型回転電機において、以下のような構成も考えられる。
【0018】
(付記項1)
上記複数の第1ティースが一体的に形成された第1分割コア部材と複数の第2ティースの各々を1つずつ有する複数の第2分割コア部材とが互いに組み合わされることによりロータコアが形成されている構成において、好ましくは、ロータコアは、複数の第1ティースを有する第1分割コア部材と、複数の第2ティースの各々を有する複数の第2分割コア部材とが、互いに組み合わされることにより形成されている。
【0019】
このように構成すれば、ロータコアが、複数の第1ティースが一体的に形成された第1分割コア部材と、複数の第2ティースの各々を1つずつ有する複数の第2分割コア部材とが、互いに組み合わされることにより形成されている構成を容易に実現することができる。
【0020】
(付記項2)
上記複数の第1ティースが一体的に形成された第1分割コア部材と複数の第2ティースが一体的に形成された第2分割コア部材とが互いに組み合わされることによりロータコアが形成されている構成において、好ましくは、ロータコアは、複数の第1ティースを有する第1分割コア部材と、複数の第2ティースを有する第2分割コア部材とが、互いに組み合わされることにより形成されている。
【0021】
このように構成すれば、複数の第1ティースが一体的に形成された第1分割コア部材と複数の第2ティースが一体的に形成された第2分割コア部材とが互いに組み合わされることによりロータコアが形成されている構成を容易に実現することができる。
【0022】
(付記項3)
上記第1の局面における巻線界磁型回転電機において、好ましくは、ロータコアは、複数のスロットの各々の周方向の両側に配置された複数のティースを含み、複数のティースは、周方向に並ぶ複数の第1ティースと、周方向において複数の第1ティース同士の間に配置された複数の第2ティースと、を含み、ロータコアは、複数の第1ティースの各々の軸方向の一方側の部分および複数の第2ティースの各々の軸方向の他方側の部分を有する第1分割コア部材と、複数の第1ティースの各々の軸方向の他方側の部分の各々または複数の第2ティースの各々の軸方向の一方側の部分の各々を1つずつ有する複数の第2分割コア部材とが、互いに組み合わされることにより形成されている。
【0023】
このように構成すれば、第1分割コア部材において、第1ティースの軸方向の一方側の部分と第2ティースの軸方向の他方側の部分とが、周方向に沿って交互に並ぶので、周方向に沿って交互に並ぶ第1ティースの軸方向の一方側の部分および第2ティースの軸方向の他方側の部分に対して、ロータコイルを波巻形状に容易に組み付けることができる。その結果、ロータコイルを第1分割コア部材に対して波巻形状に容易に配置させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1実施形態による巻線界磁型回転電機を示した平面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による巻線界磁型回転電機のロータを示した斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による巻線界磁型回転電機のロータコイルのスロットの近傍の拡大平面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態による巻線界磁型回転電機のロータコアを示した斜視図である。
【
図5】本発明の第1実施形態による巻線界磁型回転電機のロータコアのうちの第1分割コア部材を示した斜視図である。
【
図6】本発明の第1実施形態による巻線界磁型回転電機のロータコアのうちの第2分割コア部材を示した斜視図である。
【
図7】本発明の第1実施形態による巻線界磁型回転電機の製造フローを示した図である。
【
図8】本発明の第1実施形態による巻線界磁型回転電機の製造フローにおけるロータコイル波巻配置工程を説明するための図である。
【
図9】本発明の第2実施形態による巻線界磁型回転電機を示した平面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態による巻線界磁型回転電機のロータを示した斜視図である。
【
図11】本発明の第2実施形態による巻線界磁型回転電機のロータコアのうちの第1分割コア部材を示した斜視図である。
【
図12】本発明の第2実施形態による巻線界磁型回転電機のロータコアのうちの第2分割コア部材を示した斜視図である。
【
図13】本発明の第3実施形態による巻線界磁型回転電機を示した平面図である。
【
図14】本発明の第3実施形態による巻線界磁型回転電機のロータを示した斜視図である。
【
図15】本発明の第3実施形態による巻線界磁型回転電機のロータコアのうちの第1分割コア部材を示した斜視図である。
【
図16】本発明の第3実施形態による巻線界磁型回転電機のロータコアのうちの第2分割コア部材を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
[第1実施形態による巻線界磁型回転電機の構成]
図1~
図6を参照して、本発明の第1実施形態による巻線界磁型回転電機100の構成について説明する。
【0027】
以下の説明では、巻線界磁型回転電機100が備えるロータ102(
図1参照)の軸方向、径方向および周方向を、それぞれ、Z方向、R方向およびC方向とする。また、軸方向(Z方向)の一方側および他方側を、それぞれ、Z1側およびZ2側とする。また、径方向(R方向)の内側および外側を、それぞれ、R1側およびR2側とする。
【0028】
巻線界磁型回転電機100は、巻線界磁式の同期モータである。巻線界磁型回転電機100は、たとえば、駆動用モータとして車両に搭載される。
【0029】
図1に示すように、巻線界磁型回転電機100は、ステータ101と、ロータ102と、を備える。ロータ102は、ステータ101に対してR1側(径方向の内側)に対向するように配置されている。すなわち、巻線界磁型回転電機100は、インナーロータ型の回転電機である。
【0030】
(ロータの構成)
図2に示すように、ロータ102は、ロータコア10と、ロータコイル20と、を含む。
【0031】
(ロータコアの構成)
ロータコア10は、複数の電磁鋼板(たとえば、珪素鋼板)がZ方向に積層されることにより形成されている。
【0032】
ロータコア10は、Z方向に沿った中心軸線Aを中心軸とした円環状の環状部11を含む。Z方向に見て、環状部11の中央部には、シャフト挿入孔10aが形成されている。シャフト挿入孔10aには、巻線界磁型回転電機100の回転中心となるロータシャフトが挿入される。
【0033】
ロータコア10は、環状部11からR2側に突出する複数のティース12を含む。複数のティース12の各々は、Z方向に延びるように形成されている。複数のティース12は、C方向に等角度間隔で並ぶように配置されている。そして、C方向に隣接するティース12同士の間には、各々、スロット13が形成されている。すなわち、ロータコア10は、Z方向(軸方向)に延びるとともにC方向(周方向)に並ぶ複数のスロット13と、複数のスロット13の各々のC方向の両側に配置されている複数のティース12と、を有する。
【0034】
複数のティース12は、C方向(周方向)に並ぶ複数の第1ティースT1と、C方向において複数の第1ティースT1同士の間に配置された複数の第2ティースT2と、を含む。すなわち、第1ティースT1と第2ティースT2とがC方向に交互に並ぶように配置されている。
【0035】
図3に示すように、複数のスロット13の各々において、ティース12の先端部同士のC方向(周方向)の間隔D1は、ティース12のうちの先端部よりも根元部側(R1側)の部分同士のC方向の間隔D2よりも小さい。言い換えると、複数のスロット13の各々において、スロット13の先端部同士のC方向の幅は、スロット13のうちの先端部よりも根元部側の部分同士のC方向の幅よりも小さい。すなわち、複数のスロット13の各々は、セミオープン型のスロット形状を有する。なお、複数のスロット13の各々において、ティース12同士のC方向の間隔は、根元部からR2側に向かって徐々に大きくなっている。
【0036】
(ロータコイルの構成)
図2に示すように、ロータコイル20は、ロータコア10に対して配置されている。ロータコイル20は、銅、銅合金、アルミニウムおよびアルミニウム合金のうちのいずれかを主成分とする導線と、導線を覆う絶縁被膜とから構成されている。ロータコイル20は、3相交流の電力が供給されることにより、磁束を発生させるように構成されている。すなわち、ロータコイル20は、ロータコア10に対して界磁巻線として配置されている。
【0037】
ロータコイル20は、スロット収容部21と、コイルエンド部22と、を含む。スロット収容部21は、ロータコイル20のうちの複数のスロット13の各々に収容されている部分である。コイルエンド部22は、ロータコイル20のうちの、ロータコア10のZ1側の端面10bからZ1側に突出する部分、および、ロータコア10のZ2側の端面からZ2側に突出する部分である。
【0038】
ロータコイル20は、ロータコア10に対して複数のスロット13の各々をZ方向(軸方向)に沿って通過するように波巻形状に配置されている。具体的には、ロータコイル20は、スロット収容部21と、Z1側のコイルエンド部22と、スロット収容部21と、Z2側のコイルエンド部22と、をこの順に繰り返すように、ロータコア10に対して配置されている。すなわち、ロータコイル20は、ロータコア10に対してZ方向に蛇行しながらC方向に延びるミアンダ状に配置されている。
【0039】
図3に示すように、ロータコイル20は、丸型形状の断面を有する細線から構成されている。そして、ロータコイル20は、ロータコア10に対して複数のスロット13の各々をZ方向に沿って通過するように波巻形状に配置されながら、複数回に渡って巻回されている。
【0040】
丸型形状の断面を有する細線から構成されたロータコイル20の断面の直径Dは、複数のスロット13の各々におけるティース12の根元部同士のC方向(周方向)の間隔D3の4分の1以下である。言い換えると、丸型形状の断面を有する細線から構成されたロータコイル20の断面の直径Dは、複数のスロット13の各々の根元部のC方向の幅の4分の1以下である。なお、
図3では、ロータコイル20の断面の直径Dが、複数のスロット13の各々におけるティース12の根元部同士のC方向の間隔D3の約10分の1である例を示している。
【0041】
丸型形状の断面を有する細線から構成されたロータコイル20の断面の直径Dは、複数のスロット13の各々におけるティース12の先端部同士のC方向の間隔D1よりも小さい。言い換えると、丸型形状の断面を有する細線から構成されたロータコイル20の断面の直径Dは、複数のスロット13の各々の先端部のC方向の幅よりも小さい。なお、
図3では、ロータコイル20の断面の直径Dが、複数のスロット13の各々におけるティース12の先端部同士のC方向の間隔D1の3分の1以下である例を示している。
【0042】
(ロータコアの分割構造)
図4に示すように、ロータコア10は、第1分割コア部材31と、第1分割コア部材31に対して分割された第2分割コア部材32とが、互いに組み合わされることにより形成されている。具体的には、
図5に示すように、第1分割コア部材31は、環状部11(
図4参照)から第2係合部32c(後述する)を除いた部分に相当する環状部31aと、環状部31aと一体的に形成された複数(実施形態では4つ)の第1ティースT1を有する。
図6に示すように、第2分割コア部材32は、複数(実施形態では4つ)設けられている。複数の第2分割コア部材32の各々は、1つの第2ティースT2を有する。そして、ロータコア10は、
図4に示すように、1つの第1分割コア部材31と、複数の第2分割コア部材32とが、互いに組み合わされることにより形成されている。すなわち、ロータコア10は、複数の第1ティースT1が一体的に形成された1つの第1分割コア部材31と、複数の第2ティースT2の各々を1つずつ有する複数の第2分割コア部材32とが、互いに組み合わされることにより形成されている。
【0043】
ロータコア10は、ロータコイル20が波巻形状に配置された第1分割コア部材31に対して、第2分割コア部材32が組み付けられることにより形成されている。具体的には、ロータコア10は、ロータコイル20を第1分割コア部材31に対して波巻形状に配置させた後に、ロータコイル20が波巻形状に配置された第1分割コア部材31に対して、第2分割コア部材32を組み合わせることにより形成されている。
【0044】
図5に示すように、第1分割コア部材31は、複数のスロット13(
図4参照)の各々よりもR1側に配置された第1係合部31cを含む。
図6に示すように、第2分割コア部材32は、複数のスロット13の各々よりもR1側に配置され、第1係合部31c(
図5参照)と係合する第2係合部32cを含む。そして、
図4に示すように、ロータコア10は、第1係合部31cと第2係合部32cとが互いに係合するように、第1分割コア部材31と第2分割コア部材32とが互いに組み合わされることにより形成されている。
【0045】
[第1実施形態による巻線界磁型回転電機の効果]
第1実施形態による巻線界磁型回転電機100では、以下のような効果を得ることができる。
【0046】
第1実施形態による巻線界磁型回転電機100では、上記のように、ロータコア10は、第1分割コア部材31と、第1分割コア部材31に対して分割された第2分割コア部材32とが、互いに組み合わされることにより形成されている。これにより、第1分割コア部材31と第2分割コア部材32とを分割することができるので、ロータコイル20を第1分割コア部材31に対して波巻形状に配置させた後に、ロータコイル20が波巻形状に配置された第1分割コア部材31に対して、第2分割コア部材32を組み合わせることができる。これにより、ロータコイル20を第1分割コア部材31に対して波巻形状に配置させる際に、第1分割コア部材31に対して第2分割コア部材32が配置されていない分だけ、ロータコイル20の余長を短くすることができる。その結果、ロータコア10に対してロータコイル20が波巻形状に配置される場合に、ロータコイル20のコイルエンド部22が大きくなるのを抑制することができる。
【0047】
また、第1実施形態による巻線界磁型回転電機100では、上記のように、ロータコア10は、複数のスロット13の各々のC方向(周方向)の両側に配置された複数のティース12を含む。複数のスロット13の各々において、ティース12の先端部同士のC方向の間隔D1は、ティース12のうちの先端部よりも根元部側(R1側)の部分同士のC方向の間隔D2よりも小さい。そして、ロータコア10は、ロータコイル20が波巻形状に配置された第1分割コア部材31に対して、第2分割コア部材32が組み付けられることにより形成されている。これにより、複数のスロット13の各々において、ティース12の先端部同士のC方向の間隔D1がティース12のうちの先端部よりも根元部側の部分同士のC方向の間隔D2よりも小さいので、ロータコア10に対してロータコイル20を波巻形状に配置する(組み付ける)ためのロータコイル20の余長が長くなりやすい。一方、ロータコイル20が波巻形状に配置された第1分割コア部材31に対して第2分割コア部材32を組付けることができるので、ロータコイル20を第1分割コア部材31に対して波巻形状に配置させる際に、第1分割コア部材31に対して第2分割コア部材32が配置されていない分だけ、ロータコイル20の余長を短くすることができる。すなわち、ロータコイル20の余長が長くなるのを効果的に抑制することができる。
【0048】
また、第1実施形態による巻線界磁型回転電機100では、上記のように、第1分割コア部材31は、複数のスロット13の各々よりもR1側(径方向の内側)に配置された第1係合部31cを含む。また、第2分割コア部材32は、複数のスロット13の各々よりもR1側に配置され、第1係合部31cと係合する第2係合部32cを含む。そして、ロータコア10は、第1係合部31cと第2係合部32cとが互いに係合するように、第1分割コア部材31と第2分割コア部材32とが互いに組み合わされることにより形成されている。これにより、第1係合部31cおよび第2係合部32cが複数のスロット13の各々よりもR1側に配置されているので、ロータコイル20が波巻形状に配置された第1分割コア部材31に対して、第2分割コア部材32をロータコイル20に干渉させることなく、第2分割コア部材32を組み合わせることができる。
【0049】
また、第1実施形態による巻線界磁型回転電機100では、上記のように、ロータコア10は、複数のスロット13の各々のC方向(周方向)の両側に配置された複数のティース12を含む。複数のティース12は、C方向に並ぶ複数の第1ティースT1と、C方向において複数の第1ティースT1同士の間に配置された複数の第2ティースT2と、を含む。そして、ロータコア10は、複数の第1ティースT1が一体的に形成された第1分割コア部材31と、複数の第2ティースT2の各々を1つずつ有する複数の第2分割コア部材32とが、互いに組み合わされることにより形成されている。これにより、ロータコイル20が波巻形状に配置された第1分割コア部材31に対して複数の第2ティースT2の各々を有する複数の第2分割コア部材32の各々を1つずつ組み合わせればよいので、ロータコイル20が波巻形状に配置された第1分割コア部材31に対して第2分割コア部材32を組み合わせる際の作業が難しくなるのを抑制することができる。
【0050】
また、第1実施形態による巻線界磁型回転電機100では、上記のように、ロータコア10は、複数の第1ティースT1を有する第1分割コア部材31と、複数の第2ティースT2の各々を1つずつ有する第2分割コア部材32とが、互いに組み合わされることにより形成されている。これにより、複数の第1ティースT1が一体的に形成された第1分割コア部材31と複数の第2ティースT2の各々を有する第2分割コア部材32とが互いに組み合わされることによりロータコア10が形成されている構成を容易に実現することができる。
【0051】
[第1実施形態による巻線界磁型回転電機の製造方法]
図7および
図8を参照して、本発明の第1実施形態による巻線界磁型回転電機100の製造方法について説明する。
【0052】
(ロータ製造工程)
まず、
図7に示すように、ステップS10において、ロータ製造工程が行われる。ロータ製造(S10)は、ロータコイル20を、Z方向(軸方向)に延びるとともにC方向(周方向)に並ぶ複数のスロット13を有するロータコア10に対して複数のスロット13の各々をZ方向に沿って通過するように波巻形状に配置することによって、ロータコイル20とロータコイル20が配置されたロータコア10とを含むロータ102(
図2参照)を製造する工程である。
【0053】
ロータ製造工程(S10)では、第1分割コア部材形成工程(S11)と、第2分割コア部材形成工程(S12)と、ロータコイル波巻配置工程(S13)と、第2分割コア部材組合せ工程(S14)とが、この順に行われる。なお、第1分割コア部材形成工程(S11)と、第2分割コア部材形成工程(S12)とが、互いに逆の順序で行われてもよい。
【0054】
<第1分割コア部材形成工程>
第1分割コア部材形成工程(S11)は、複数の第1ティースT1を有する第1分割コア部材31(
図5参照)を形成する工程である。
【0055】
<第2分割コア部材形成工程>
第2分割コア部材形成工程(S12)は、1つの第2ティースT2を有する第2分割コア部材32(
図6参照)を複数形成する工程である。
【0056】
<ロータコイル波巻配置工程>
図8に示すように、ロータコイル波巻配置工程(S13)は、ロータコイル20を、第1分割コア部材31に対して波巻形状に配置する工程である。
【0057】
<第2分割コア部材組合せ工程>
図7に示すように、第2分割コア部材組合せ工程(S14)は、ロータコイル20が波巻形状に配置された第1分割コア部材31に対して、複数の第2分割コア部材32の各々を組み合わせる(
図2参照)工程である。
【0058】
(ロータ配置工程)
次に、ステップS20において、ロータ配置工程が行われる。ロータ配置工程(S20)は、ロータ102を、ステータ101に対してR1側(径方向の内側)に対向するように配置する(
図1参照)工程である。
【0059】
[第1実施形態による巻線界磁型回転電機の製造方法の効果]
第1実施形態による巻線界磁型回転電機100の製造方法では、以下のような効果を得ることができる。
【0060】
第1実施形態による巻線界磁型回転電機100の製造方法では、上記のように、ロータ製造工程(S10)は、ロータコイル20を、第1分割コア部材31に対して波巻形状に配置するロータコイル波巻配置工程(S13)と、ロータコイル波巻配置工程(S13)の後、ロータコイル20が波巻形状に配置された第1分割コア部材31に対して、第2分割コア部材32を組み合わせる第2分割コア部材組合せ工程(S14)と、を含む。これにより、上記第1実施形態による巻線界磁型回転電機100と同様に、ロータコイル20を第1分割コア部材31に対して波巻形状に配置させる際に、第1分割コア部材31に対して第2分割コア部材32が配置されていない分だけ、ロータコイル20の余長を短くすることができる。その結果、上記第1実施形態による巻線界磁型回転電機100と同様に、ロータコア10に対してロータコイル20が波巻形状に配置される場合に、ロータコイル20のコイルエンド部22が大きくなるのを抑制することが可能な巻線界磁型回転電機100の製造方法を提供することができる。
【0061】
[第2実施形態による巻線界磁型回転電機の構成]
図9~
図12を参照して、本発明の第2実施形態による巻線界磁型回転電機200の構成について説明する。第2実施形態による巻線界磁型回転電機200では、ロータコア10が複数の第1ティースT1が一体的に形成された第1分割コア部材31と複数の第2ティースT2の各々を1つずつ有する複数の第2分割コア部材32とが互いに組み合わされることにより形成されている第1実施形態による巻線界磁型回転電機100と異なり、ロータコア210が、複数の第1ティースT1が一体的に形成された第1分割コア部材231と複数の第2ティースT2が一体的に形成された第2分割コア部材232とが互いに組み合わされることにより形成されている。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の部分には、同一の符号を付している。
【0062】
図9に示すように、巻線界磁型回転電機200は、ロータ202を備える。ロータ202は、ロータコア210を含む。
【0063】
図10に示すように、ロータコア210は、第1分割コア部材231と、第1分割コア部材231に対して分割された第2分割コア部材232とが、互いに組み合わされることにより形成されている。具体的には、
図11に示すように、第1分割コア部材231は、環状部11(
図10参照)から第2係合部232c(後述する)を除いた部分のうちのZ1側の部分に相当する第1環状部231aと、第1環状部231aと一体的に形成された複数(実施形態では4つ)の第1ティースT1を有する。
図12に示すように、第2分割コア部材32は、環状部11から第2係合部232cを除いた部分のうちのZ2側の部分に相当する第2環状部232aと、第2環状部232aと一体的に形成された複数(実施形態では4つ)の第2ティースT2を有する。そして、
図10に示すように、ロータコア210は、1つの第1分割コア部材231と、複数の第2分割コア部材232とが、互いに組み合わされることにより形成されている。すなわち、ロータコア210は、複数の第1ティースT1が一体的に形成された1つの第1分割コア部材231と、複数の第2ティースT2が一体的に形成された1つの第2分割コア部材232とが、互いに組み合わされることにより形成されている。
【0064】
図11に示すように、第1分割コア部材231は、複数のスロット13(
図10参照)の各々よりもR1側に配置された第1係合部231cを含む。
図12に示すように、第2分割コア部材232は、複数のスロット13の各々よりもR1側に配置され、第1係合部231c(
図11参照)と係合する第2係合部232cを含む。そして、
図10に示すように、ロータコア210は、第1係合部231cと第2係合部232cとが互いに係合するように、第1分割コア部材231と第2分割コア部材232とが互いに組み合わされることにより形成されている。
【0065】
なお、第2実施形態の巻線界磁型回転電機200のその他の構成は、上記第1実施形態の巻線界磁型回転電機100と同様である。
【0066】
[第2実施形態による巻線界磁型回転電機の効果]
第2実施形態による巻線界磁型回転電機200では、以下のような効果を得ることができる。
【0067】
第2実施形態による巻線界磁型回転電機200では、上記のように、ロータコア210は、第1分割コア部材231と、第1分割コア部材231に対して分割された第2分割コア部材232とが、互いに組み合わされることにより形成されている。これにより、上記第1実施形態の巻線界磁型回転電機100と同様に、ロータコア210に対してロータコイル20が波巻形状に配置される場合に、ロータコイル20のコイルエンド部22が大きくなるのを抑制することができる。
【0068】
また、第2実施形態による巻線界磁型回転電機200では、上記のように、ロータコア210は、複数の第1ティースT1が一体的に形成された第1分割コア部材231と、複数の第2ティースT2が一体的に形成された第2分割コア部材232とが、互いに組み合わされることにより形成されている。これにより、複数の第2ティースT2が第2分割コア部材232として一体的に形成されているので、部品点数が多くなるのを抑制することができる。
【0069】
また、第2実施形態による巻線界磁型回転電機200では、ロータコア210は、複数の第1ティースT1を有する第1分割コア部材231と、複数の第2ティースT2を有する第2分割コア部材232とが、互いに組み合わされることにより形成されている。これにより、複数の第1ティースT1が一体的に形成された第1分割コア部材231と複数の第2ティースT2が一体的に形成された第2分割コア部材232とが互いに組み合わされることによりロータコア210が形成されている構成を容易に実現することができる。
【0070】
なお、第2実施形態による巻線界磁型回転電機200のその他の効果は、上記第1実施形態による巻線界磁型回転電機100と同様である。
【0071】
[第3実施形態による巻線界磁型回転電機の構成]
図13~
図16を参照して、本発明の第3実施形態による巻線界磁型回転電機300の構成について説明する。第3実施形態による巻線界磁型回転電機300では、ロータコア10が複数の第1ティースT1が一体的に形成された第1分割コア部材31と複数の第2ティースT2の各々を1つずつ有する複数の第2分割コア部材32とが互いに組み合わされることにより形成されている第1実施形態による巻線界磁型回転電機100と異なり、ロータコア310が、複数の第1ティースT1の各々のZ1側の部分T11および複数の第2ティースT2の各々のZ2側の部分T22を有する第1分割コア部材331と、複数の第1ティースT1の各々のZ2側の部分T12の各々または複数の第2ティースT2の各々のZ1側の部分T21の各々を1つずつ有する複数の第2分割コア部材332とが、互いに組み合わされることにより形成されている。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の部分には、同一の符号を付している。
【0072】
図13に示すように、巻線界磁型回転電機300は、ロータ302を備える。ロータ302は、ロータコア310を含む。
【0073】
図14に示すように、ロータコア310は、第1分割コア部材331と、第1分割コア部材331に対して分割された第2分割コア部材332とが、互いに組み合わされることにより形成されている。具体的には、
図15に示すように、第1分割コア部材331は、環状部11(
図14参照)から第2係合部332c(後述する)を除いた部分に相当する環状部331aと、複数の第1ティースT1(
図14参照)の各々のZ1側の部分T11と、複数の第2ティースT2(
図14参照)の各々のZ2側の部分T22と、を有する。環状部331aとZ1側の部分T11とZ2側の部分T22とは、一体的に形成されている。
図16に示すように、第2分割コア部材332は、複数(実施形態では8つ)設けられている。複数の第2分割コア部材332のうちの半分(実施形態では4つ)の各々は、複数の第1ティースT1(
図14参照)の各々のZ2側の部分T12を有する。複数の第2分割コア部材332のうちの残りの半分の各々は、複数の第2ティースT2(
図14参照)の各々のZ1側の部分T21を有する。そして、ロータコア310は、
図14に示すように、1つの第1分割コア部材331と、複数の第2分割コア部材332とが、互いに組み合わされることにより形成されている。すなわち、ロータコア310は、複数の第1ティースT1の各々のZ1側の部分T11および複数の第2ティースT2の各々のZ2側の部分T22を有する第1分割コア部材331と、複数の第1ティースT1の各々のZ2側の部分T12の各々または複数の第2ティースT2の各々のZ1側の部分T21の各々を1つずつ有する複数の第2分割コア部材332とが、互いに組み合わされることにより形成されている。
【0074】
図15に示すように、第1分割コア部材331は、複数のスロット13(
図14参照)の各々よりもR1側に配置された複数の第1係合部331cを含む。
図16に示すように、複数の第2分割コア部材332の各々は、複数のスロット13の各々よりもR1側に配置され、複数の第1係合部331c(
図15参照)の各々と係合する第2係合部332cを含む。そして、
図14に示すように、ロータコア310は、第1係合部331cと第2係合部332cとが互いに係合するように、第1分割コア部材331と第2分割コア部材332とが互いに組み合わされることにより形成されている。
【0075】
なお、第3実施形態の巻線界磁型回転電機300のその他の構成は、上記第1実施形態の巻線界磁型回転電機100と同様である。
【0076】
[第3実施形態による巻線界磁型回転電機の効果]
第3実施形態による巻線界磁型回転電機300では、以下のような効果を得ることができる。
【0077】
第3実施形態による巻線界磁型回転電機300では、上記のように、ロータコア310は、第1分割コア部材331と、第1分割コア部材331に対して分割された第2分割コア部材332とが、互いに組み合わされることにより形成されている。これにより、上記第1実施形態の巻線界磁型回転電機100と同様に、ロータコア310に対してロータコイル20が波巻形状に配置される場合に、ロータコイル20のコイルエンド部22が大きくなるのを抑制することができる。
【0078】
また、第3実施形態による巻線界磁型回転電機300では、複数の第1ティースT1の各々のZ1側の部分T11および複数の第2ティースT2の各々のZ2側の部分T22を有する第1分割コア部材331と、複数の第1ティースT1の各々のZ2側の部分T12の各々または複数の第2ティースT2の各々のZ1側の部分T21の各々を1つずつ有する複数の第2分割コア部材332とが、互いに組み合わされることにより形成されている。これにより、第1分割コア部材331において、第1ティースT1のZ1側(軸方向の一方側)の部分T11と第2ティースT2のZ2側(軸方向の他方側)の部分T22とが、C方向(周方向)に沿って交互に並ぶので、C方向に沿って交互に並ぶ第1ティースT1のZ1側の部分T11および第2ティースT2のZ2側の部分T22に対して、ロータコイル20を波巻形状に容易に組み付けることができる。その結果、ロータコイル20を第1分割コア部材331に対して波巻形状に容易に配置させることができる。
【0079】
なお、第3実施形態による巻線界磁型回転電機300のその他の効果は、上記第1実施形態による巻線界磁型回転電機100と同様である。
【0080】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0081】
たとえば、上記第1~第3実施形態では、第1分割コア部材31(231、331)が、複数のスロット13の各々よりもR1側(径方向の内側)に配置された第1係合部31c(231c、331c)を含み、第2分割コア部材32(232、332)が、複数のスロット13の各々よりもR1側に配置され、第1係合部31c(231c、331c)と係合する第2係合部32c(232c、332c)を含み、ロータコア10(210、310)が、第1係合部31c(231c、331c)と第2係合部32c(232c、332c)とが互いに係合するように、第1分割コア部材31(231、331)と第2分割コア部材32(232、332)とが互いに組み合わされることにより形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1分割コア部材が、複数のスロットの各々よりも径方向の外側に配置された第1係合部を含み、第2分割コア部材が、複数のスロットの各々よりも径方向の外側に配置され、第1係合部と係合する第2係合部を含み、ロータコアが、第1係合部と第2係合部とが互いに係合するように、第1分割コア部材と第2分割コア部材とが互いに組み合わされることにより形成されていてもよい。
【0082】
また、上記第1~第3実施形態では、複数のスロット13の各々において、ティース12の先端部同士のC方向(周方向)の間隔D1が、ティース12のうちの先端部よりもR1側(径方向の内側)の部分同士のC方向の間隔D2よりも小さい例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数のスロットの各々において、ティースの先端部同士の周方向の間隔が、ティースのうちの先端部よりも径方向の内側の部分同士の周方向の間隔以上であってもよい。
【0083】
また、上記第1~第3実施形態では、巻線界磁型回転電機100(200、300)が、インナーロータ型の回転電機である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、巻線界磁型回転電機が、アウターロータ型の回転電機であってもよい。
【0084】
また、上記第1~第3実施形態では、複数のスロット13の各々において、ティース12同士のC方向(周方向)の間隔が、根元部からR2側(径方向の外側)に向かって徐々に大きくなっている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数のスロットの各々において、ティース同士の周方向の間隔が、根元部から径方向の外側に向かって均一であってもよいし、根元部から径方向の外側に向かって徐々に小さくなっていてもよい。
【0085】
また、上記第1~第3実施形態では、ロータコイル20が、丸型形状の断面を有する細線から構成され、ロータコア10(210、310)に対して複数のスロット13の各々をZ方向(軸方向)に沿って通過するように波巻形状に配置されながら、複数回に渡って巻回されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロータコイルが、丸型形状の断面を有する太線から構成され、ロータコアに対して複数のスロットの各々を軸方向に沿って通過するように波巻形状に配置されながら、1回だけ巻回されていてもよい。
【0086】
また、上記第1~第3実施形態では、丸型形状の断面を有する細線から構成されたロータコイル20の断面の直径Dが、複数のスロット13の各々におけるティース12の先端部同士のC方向(周方向)の間隔D1よりも小さい例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、丸型形状の断面を有する細線から構成されたロータコイルの断面の直径が、複数のスロットの各々におけるティースの先端部同士の周方向の間隔以上であってもよい。
【0087】
また、上記第1~第3実施形態では、丸型形状の断面を有する細線から構成されたロータコイル20の断面の直径Dが、複数のスロット13の各々におけるティース12の根元部同士のC方向(周方向)の間隔D3の4分の1以下である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、丸型形状の断面を有する細線から構成されたロータコイルの断面の直径が、複数のスロットの各々におけるティースの根元部同士の周方向の間隔の4分の1よりも大きくてもよい。
【0088】
また、上記第1~第3実施形態では、ロータコイル20が、丸型形状の断面を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロータコイルが、矩形形状の断面を有していてもよい。
【符号の説明】
【0089】
10、210、310 ロータコア
12 ティース
13 スロット
20 ロータコイル
31、231、331 第1分割コア部材
31c、231c、331c 第1係合部
32、232、332 第2分割コア部材
32c、232c、332c 第2係合部
100、200、300 巻線界磁型回転電機
101 ステータ
102、202、302 ロータ
D1 (複数のスロットの各々におけるティースの先端部同士の)周方向の間隔
D2 (複数のスロットの各々におけるティースのうちの先端部よりも根元部側の部分同士の)周方向の間隔
T1 第1ティース
T2 第2ティース