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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119348
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】測定装置及び貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/28 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
G01B11/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026176
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】319006047
【氏名又は名称】シャープセミコンダクターイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古川 ふうた
(72)【発明者】
【氏名】藤本 聡郎
(72)【発明者】
【氏名】金森 淳
(72)【発明者】
【氏名】岡田 教和
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA59
2F065BB05
2F065DD02
2F065DD06
2F065FF11
2F065HH14
2F065MM16
2F065QQ25
2F065QQ29
2F065QQ42
2F065RR06
(57)【要約】
【課題】センサの配置に関する制約を小さくすることができ、処理しなければならないデータのサイズを小さくすることができ、空間に収納された物の量を正確に測定することができる測定装置を提供する。
【解決手段】測定装置は、測定の対象になる空間を経由して互いに異なる複数の方向に向かう光を発し、前記複数の方向に向かう光により測距を行って複数の測距結果をそれぞれ取得する少なくとも1つのセンサと、前記複数の測距結果の変化から前記空間に収納された物体の量を取得し、前記複数の測距結果に含まれるふたつ以上の測距結果から得たふたつ以上の値の平均値を用いて前記量を取得する処理部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定の対象になる空間を経由して互いに異なる複数の方向に向かう光を発し、前記複数の方向に向かう光により測距を行って複数の測距結果をそれぞれ取得する少なくとも1つのセンサと、
前記複数の測距結果の変化から前記空間に収納された物体の量を取得し、前記複数の測距結果に含まれるふたつ以上の測距結果から得たふたつ以上の値の平均値を用いて前記量を取得する処理部と、
を備える測定装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記複数の測距結果に含まれる少なくともひとつの測距結果が条件を満たす場合に、前記少なくともひとつの測距結果を用いて前記量を取得することを許可し、前記少なくともひとつの測距結果が前記条件を満たさない場合に、前記少なくともひとつの測距結果を用いて前記量を取得することを許可しない
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記複数の測距結果に含まれる測距結果は、反射光の光量の時間変化を示し、前記光量が1番目に大きい第1の極大光量となる時間から取得される第1の距離値と前記反射光が2番目に大きい第2の極大光量となる時間から取得される第2の距離値とを含み、
前記処理部は、前記測距結果を用いて前記量を取得する場合は、前記第1の距離値及び前記第2の距離値を用いて前記量を取得する
請求項1に記載の測定装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記測距結果を用いて前記量を取得する場合に、前記第1の極大光量に対する前記第2の極大光量の比が基準を満たすときは、前記第1の距離値及び前記第2の距離値を用いて前記量を取得し、前記比が前記基準を満たさないときは、前記第1の距離値を用い前記第2の距離値を用いずに前記量を取得する
請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれかに記載の測定装置と、
前記空間が形成された貯蔵室と、
を備える貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定装置及び貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、在庫管理システムを開示する。当該在庫管理システムにおいては、深度センサ及びカメラが、商品の鉛直方向上方に配置される。深度センサは、商品までの距離を測定する。カメラは、商品を上方から撮影して画像を取得する。在庫管理装置は、深度センサを用いて商品の在庫数をカウントする場合は、測定された距離に基づいて深度マップを作成し、深度マップからマップ内位置の深度を取得し、センサ高から深度を減じて頂部高を算出し、頂部高を商品の厚さで割る。これにより、在庫管理装置は、積載された商品の数をカウントする。在庫管理装置は、カウントした商品の数を商品の在庫数に加算する。在庫管理装置は、深度センサ及びカメラを用いて商品の在庫数をカウントする場合は、測定された距離に基づいて深度マップを作成し、画像を解析して商品の位置を特定し、深度マップから商品の位置の深度を取得し、センサ高から深度を減じて頂部高を算出し、頂部高を商品の厚さで割る。これにより、在庫管理装置は、積載された商品の数をカウントする。在庫管理装置は、カウントした商品の数を商品の在庫数に加算する(段落0012,0013及び0028-0034)。
【0003】
特許文献2は、食品管理システムを開示する。当該食品開示システムにおいては、Rカメラ及びVカメラが、冷蔵室内及び野菜容器内をそれぞれ撮像する。クラウドサーバは、Rカメラ及びVカメラから検出した画像データから食品データを切り取る。クラウドサーバは、例えば、キャベツの食品データから食品の在庫情報を判定する(段落0020,0021,0029,0031及び0035)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-88305号公報
【特許文献2】特許第6850330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された在庫管理システムにおいては、深度センサを商品の鉛直方向上方に配置しなければならない。このため、深度センサの配置に関する制約が強い。
【0006】
特許文献2に開示された食品管理システムにおいては、冷蔵室内及び野菜容器内をそれぞれ撮像するRカメラ及びVカメラから検出された画像データが必要である。このため、ユーザのプライバシーに対する配慮が必要になる。また、大きなサイズを有する画像データを処理しなければならない。
【0007】
本開示は、これらの問題に鑑みてなされた。本開示は、例えば、センサの配置に関する制約を小さくすることができ、処理しなければならないデータのサイズを小さくすることができ、空間に収納された物の量を正確に測定することができる測定装置及び貯蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様の測定装置は、測定の対象になる空間を経由して互いに異なる複数の方向に向かう光を発し、前記複数の方向に向かう光により測距を行って複数の測距結果をそれぞれ取得する少なくとも1つのセンサと、前記複数の測距結果の変化から前記空間に収納された物体の量を取得し、前記複数の測距結果に含まれるふたつ以上の測距結果から得たふたつ以上の値の平均値を用いて前記量を取得する処理部と、を備える。
【0009】
本開示の第2の態様の貯蔵庫は、本開示の第1の態様の測定装置と、前記空間が形成された貯蔵室と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の測定装置及び容器を模式的に示す図である。
図2】第1実施形態の測定装置、容器及び物体を模式的に示す図である。
図3】第1実施形態の測定装置により行われる処理の流れを示すフローチャートである。
図4】第1実施形態の測定装置に備えられる処理部により行われる処理の内容を示す図である。
図5】第1実施形態の測定装置に備えられる処理部により行われる処理の内容を示す図である。
図6】第2実施形態の測定装置に備えられるセンサ及び当該センサにより発せられる光を模式的に示す斜視図である。
図7】第2実施形態の測定装置に備えられる、各サブ空間のためのセンサ及び当該センサにより発せられる光を模式的に示す斜視図である。
図8】第2実施形態の測定装置に備えられるセンサが測距を行うことができる範囲を示す図である。
図9】第2実施形態の測定装置に備えられる、各領域の容量の取得に用いられるセンサを示す図である。
図10】第2実施形態の測定装置に備えられるセンサ、容器、第1の物体及び第2の物体を模式的に示す断面図である。
図11】第2実施形態の測定装置に備えられる処理部により算出される高さ、並びに当該処理部により取得される容量値及び容量レベルの関係を示す図である。
図12】第2実施形態の測定装置に備えられる処理部により行われる、第1の領域の容量を取得する処理の流れを示すフローチャートである。
図13】第2実施形態の照明装置に備えられるL35°センサ及びR10°センサ、並びにL35°センサ及びR10°センサによりそれぞれ発せられるL35°光及びR10°光を模式的に示す図である。
図14】第2実施形態の測定装置に備えられるL35°センサ及びR10°センサにより取得されるL35°測距結果及びR10°測距結果に含まれる距離からそれぞれ算出された高さz1及びz2と、第1の領域の容量の取得に用いられる値と、の関係を示す図である。
図15】第2実施形態の測定装置に備えられる処理部により行われる、第2の領域の容量を取得する処理の流れを示すフローチャートである。
図16】第2実施形態の照明装置に備えられるL10°センサ及びR10°センサ、並びにL10°センサ及びR10°センサによりそれぞれ発せられるL10°光及びR10°光を模式的に示す図である。
図17】第2実施形態の測定装置に備えられるL10°センサ及びR10°センサにより取得されるL10°測距結果及びR10°測距結果に含まれる距離からそれぞれ算出された高さz1及びz2と、第2の領域の容量の取得に用いられる値と、の関係を示す図である。
図18】第2実施形態の照明装置に備えられるL0°センサ及びR0°センサ、並びにL0°センサ及びR0°センサによりそれぞれ発せられるL0°光及びR0°光を模式的に示す図である。
図19】第2実施形態の測定装置に備えられるL0°センサ及びR0°センサにより取得されるL10°測距結果及びR10°測距結果にそれぞれ含まれる距離z1及びz2と、第2の領域の容量と、の関係を示す図である。
図20】第3実施形態の測定装置に備えられるセンサ、当該センサにより発せられる光、第1の物体及び第2の物体を模式的に示す斜視図である。
図21】第1の物体のエッジが第3実施形態の測定装置に備えられるセンサの正面に配置される場合に当該センサにより取得されるヒストグラムを示す図である。
図22】第1の物体のエッジが第3実施形態の測定装置に備えられるセンサを覆わない場合に当該センサにより取得されるヒストグラムを示す図である。
図23】第3実施形態の測定装置に備えられる処理部により行われる、容量を取得する処理の流れを示すフローチャートである。
図24】第3実施形態の測定装置に備えられるセンサにより取得される測距結果に含まれる第1の極大光量に対する、当該測距結果に含まれる第2の極大光量の比の、当該センサにより発せられる光の第1の物体への照射面積による変化を示すグラフである。
図25】第3実施形態の測定装置に備えられるセンサにより発せられる光の第1の物体への照射面積が33%、50%及び100%である状態を模式的に示す図である。
図26A】第1の実験における容器及び物体の配置を示す画像である。
図26B】第1の実験における容器及び物体の配置を示す画像である。
図26C】第1の実験により取得された各領域の容量値を示す図である。
図27A】第2の実験における容器及び物体の配置を示す画像である。
図27B】第2の実験における容器及び物体の配置を示す画像である。
図27C】第2の実験により取得された各領域の容量値を示す図である。
図28A】第3の実験における容器及び物体の配置を示す画像である。
図28B】第3の実験における容器及び物体の配置を示す画像である。
図28C】第3の実験により取得された各領域の容量値を示す図である。
図29】第4実施形態の貯蔵庫を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
1 第1実施形態
1.1 測定装置
図1は、第1実施形態の測定装置及び容器を模式的に示す図である。図2は、第1実施形態の測定装置、容器及び物体を模式的に示す図である。
【0013】
図1及び図2に図示される第1実施形態の測定装置1は、容器11に形成された空間11aに収納された物体21の量(以下では、「容量」という)を測定する。
【0014】
以下では、容器11の高さ方向をZ方向といい、容器11の高さ方向の下方を-Z方向といい、容器11の高さ方向の上方を+Z方向という。また、容器11の高さ方向と垂直をなす容器11の幅方向をY方向といい、容器11の幅方向の一方を-Y方向といい、容器11の幅方向の他方を+Y方向という。また、容器11の高さ方向及び幅方向と垂直をなす容器11の奥行方向をX方向といい、容器11の奥行方向の一方を-X方向といい、容器11の奥行方向の他方を+X方向という。容器11は、Z方向が鉛直方向になり、X方向及びY方向が水平方向となるように設置される。
【0015】
図1及び図2に図示されるように、容器11は、無蓋直方体箱状の形状を有する。このため、容器11は、底壁31及び側壁32を備える。容器11には、空間11a及び開口11bが形成される。底壁31は、-Z方向において空間11aを定義する。側壁32は、-X方向、+X方向、-Y方向及び+Y方向において空間11aを定義する。空間11aは、底壁31及び側壁32に囲まれ、開口11bを介して+Z方向に露出する。空間11aは、測定装置1による測定の対象になる。
【0016】
図1及び図2に図示されるように、側壁32は、第1の側壁41及び第2の側壁42を含む。
【0017】
第1の側壁41及び第2の側壁42は、それぞれ、-X方向及び+X方向において空間11aを定義する。第1の側壁41及び第2の側壁42は、X方向に互いに離れている。このため、第1の側壁41及び第2の側壁42は、空間11aを挟んで互いに対向する。
【0018】
図1及び図2に図示されるように、測定装置1は、第1のセンサ51、第2のセンサ52、第3のセンサ53及び処理部54を備える。測定装置1に備えられるセンサの数が増減されてもよい。
【0019】
第1のセンサ51、第2のセンサ52、第3のセンサ53の各センサは、光を発し、発した光により測距を行って測距結果を取得する。各センサは、測距を行う場合に、物体21が光を反射することにより生成された反射光を受け、光を発してから反射光を受けるまでの時間から測距結果を取得する。取得される測距結果は、各センサから物体21までの距離を含む。各センサは、飛行時間(TOF)センサ、光センサ等と呼ばれる。TOFセンサは、物体間の距離を正確に測定する用途で用いられる。
【0020】
第1のセンサ51、第2のセンサ52及び第3のセンサ53は、空間11aを経由して互いに異なる第1の方向D1、第2の方向D2及び第3の方向D3に向かう第1の光61、第2の光62及び第3の光63をそれぞれ発し、発した第1の光61、第2の光62及び第3の光63により測距をそれぞれ行って第1の測距結果71、第2の測距結果72及び第3の測距結果73をそれぞれ取得する。
【0021】
第2の方向D2は、+Y方向である。第1の方向D1は、+Y方向から-Z方向へ角度α傾斜した方向である。第3の方向D3は、+Y方向から+Z方向へ角度α傾斜した方向である。第1の方向D1、第2の方向D2及び第3の方向D3が、これらの方向と異なる方向であってもよい。
【0022】
第1のセンサ51、第2のセンサ52、第3のセンサ53は、第1の側壁41に取り付けられ、第2の側壁42に向かって第1の光61、第2の光62及び第3の光63をそれぞれ発する。このため、第1の光61、第2の光62及び第3の光63は、空間11aに収納された物体21に当たらなかった場合は、第2の側壁42に当たる。このため、第1の光61、第2の光62及び第3の光63が当該物体21に当たらなかった場合は、それぞれ、第1の測距結果71、第2の測距結果72及び第3の測距結果73に含まれる距離は、第1のセンサ51、第2のセンサ52、第3のセンサ53から第2の側壁42までの距離になる。第1の光61、第2の光62及び第3の光63が当該物体21に当たった場合は、それぞれ、第1の測距結果71、第2の測距結果72及び第3の測距結果73に含まれる距離は、第1のセンサ51、第2のセンサ52、第3のセンサ53から当該物体21までの距離になる。
【0023】
第1のセンサ51、第2のセンサ52、第3のセンサ53は、ひとつのモジュールに組み込まれ、同じ位置に配置される。測定装置1が、互いに異なる位置に配置されたセンサを備えてもよい。例えば、測定装置1が、第1のセンサ51、第2のセンサ52、第3のセンサ53に加えて、第2の側壁42に取り付けられ第1の側壁41に向かって光を発するセンサを備えてもよい。
【0024】
第1実施形態においては、第1の方向D1、第2の方向D2及び第3の方向D3からなる3つの方向にそれぞれ向かう第1の光61、第2の光62及び第3の光63により測距が行われる。しかし、測距に用いられる光が向かう方向の数は、空間11aに応じて設定される。このため、2つの方向又は4つ以上の方向に向かう光により測距が行われてもよい。また、第1実施形態においては、1つのセンサが、1つの方向に向かう光により測距を行う。しかし、1つのセンサが、2つ以上の方向の各方向に向かう光により測距を行ってもよい。この場合は、1つのセンサが、測距に用いる光が向かう方向を変更する。したがって、第1実施形態においては、少なくとも1つのセンサが、複数の方向に向かう光により測距を行って複数の測距結果をそれぞれ取得すればよい。
【0025】
第1実施形態においては、第1の方向D1、第2の方向D2及び第3の方向D3が+Y方向となす角度を示す第1のセンサ51、第2のセンサ52、第3のセンサ53の検出角度が、それぞれ、-α,0及び+αである。しかし、第1のセンサ51、第2のセンサ52、第3のセンサ53の検出角度は、空間11aに応じて設定される。このため、第1のセンサ51、第2のセンサ52、第3のセンサ53の検出角度が、それぞれ、-α,0及び+αと異なる検出角度であってもよい。
【0026】
第1の測距結果71、第2の測距結果72及び第3の測距結果73の変化は、容量81の変化を反映する。このため、基準時の測距により取得された第1の測距結果71、第2の測距結果72及び第3の測距結果73から測定時の測距により取得された第1の測距結果71、第2の測距結果72及び第3の測距結果73への変化から、容量81を推定することができる。このため、処理部54は、取得された第1の測距結果71、第2の測距結果72及び第3の測距結果73の変化から容量81を取得する。処理部54は、容量81を取得する場合に、第1の測距結果71、第2の測距結果72及び第3の測距結果73に含まれるふたつ以上の測距結果から得られるふたつ以上の値の平均値を用いる。処理部54が当該平均値を用いることにより、測定装置1は、容量81を正確に測定することができる。
【0027】
処理部54は、マイクロコントローラ及び周辺回路により構成される。マイクロコントローラは、プロセッサ及びメモリを備える。プロセッサは、メモリに記憶された処理プログラムを実行して、マイクロコントローラ及び周辺回路に、処理部54により行われる処理を行わせる。処理部54により行われる処理の全部又は一部が、専用の電子回路により行われてもよい。
【0028】
測定装置1においては、第1のセンサ51、第2のセンサ52及び第3のセンサ53が、容器11の高さ方向と交差する第1の方向D1、第2の方向D2及び第3の方向D3へ向かう第1の光61、第2の光62及び第3の光63で物体21を斜方照射することにより、容器11の高さ方向と平行をなす+Z方向又は-Z方向へ向かう光で物体21を照射することなく、物体21の高さ及び容量81を取得する。これにより、第1のセンサ51、第2のセンサ52及び第3のセンサ53までの配線の長さを短くすることができる。また、第1のセンサ51、第2のセンサ52、第3のセンサ53の配置に関する制約を弱くすることができる。これにより、容器11が引き出し型の容器である場合であっても、容器11の第1の側壁31に第1のセンサ51、第2のセンサ52、第3のセンサ53を取り付けて容量81を測定することができる。
【0029】
第1のセンサ51、第2のセンサ52、第3のセンサ53の各センサは、距離を対象とする2次元の測定を行うことができるにとどまるが、測定装置1は、第1のセンサ51、第2のセンサ52、第3のセンサ53を組み合わせることにより、空間11aを対象とする3次元の測定を行うことができる。
【0030】
測定装置1は、大きなサイズを有する画像データではなく、小さなサイズしか有しない第1の測距結果71、第2の測距結果72及び第3の測距結果73から容量81を取得する。このため、測定装置1においては、処理しなければならないデータのサイズを小さくすることができる。
【0031】
1.2 測定装置により行われる処理
図3は、第1実施形態の測定装置により行われる処理の流れを示すフローチャートである。図4及び図5は、第1実施形態の測定装置に備えられる処理部により行われる処理の内容を示す図である。
【0032】
測定装置1は、容量81を測定する場合は、図3に示されるステップS101からS105までを実行する。
【0033】
ステップS101においては、図1に図示されるように、第1のセンサ51、第2のセンサ52、第3のセンサ53が、空間11aに物体21が収納されていない状態において、基準時の測距を行う。
【0034】
空間11aに物体21が収納されていない場合は、第1の光61、第2の光62及び第3の光63は、第2の側壁42に当たる。このため、図1及び図4に図示されるように、基準時の測距により取得される第1の測距結果71、第2の測距結果72及び第3の測距結果73に含まれる距離は、それぞれ、第1のセンサ51、第2のセンサ52及び第3のセンサ53から第2の側壁42までの距離d1,d2及びd3になる。
【0035】
続くステップS102においては、図4に図示されるように、処理部54が、基準時の測距により取得された距離d1,d2及びd3から、それぞれ、第1の光61、第2の光62及び第3の光63が第2の側壁42に当たった位置の高さz1,z2及びz3を算出する。高さz1,z2及びz3は、それぞれ、式(1)のθに-α,0及びαを代入することにより、算出することができる。
【0036】
z=H+L1・tan(θ)・・・(1)
【0037】
式(1)においては、Hは、第1のセンサ51、第2のセンサ52及び第3のセンサ53が配置された位置の底壁31からの高さである。L1は、第1のセンサ51、第2のセンサ52及び第3のセンサ53から第2の側壁42までのX方向についての距離である。
【0038】
続くステップS103においては、図2に示されるように、第1のセンサ51、第2のセンサ52、第3のセンサ53が、空間11aに物体21が収納されている状態において、測定時の測距を行う。ここでは、物体21は、直方体状の形状を有するとする。また、物体21の上端は、第2の光62の光路より+Z方向側に位置し、第3の光63の光路より-Z方向側に位置するとする。
【0039】
空間11aに物体21が収納されている場合は、第1の光61及び第2の光62は、物体21に当たる。第3の光63は、物体21に当たらず、第2の側壁42に当たる。このため、図2及び図4に示されるように、測定時の測距により取得される第1の測距結果71及び第2の測距結果72に含まれる距離は、それぞれ、第1のセンサ51及び第2のセンサ52から物体21までの距離d1’及びd2’になる。また、測定時の測距により取得される第3の測距結果73に含まれる距離は、第3のセンサ53から第2の側壁42までの距離d3になる。距離d1’及びd2’は、それぞれ、距離d1及びd2より短い。
【0040】
続くステップS104においては、図4に図示されるように、処理部54が、測定時の測距により取得されたd1’及びd2’から、それぞれ、第1の光61及び第2の光62が物体21に当たった位置の高さz1’及びz2’を算出する。また、処理部54は、測定時の測距により取得されたd3から、第3の光63が第2の側壁42に当たった位置の高さz3を算出する。第1のセンサ51及び第2のセンサ52により取得された距離は距離d1及びd2から距離d1’及びd2’に変化しているため、当該距離から算出される高さは、高さz1及びz2から高さz1’及びz2’に変化している。ただし、第2の光62は、+X方向に向かう。このため、高さz2’は、高さz2と一致する。第3のセンサ53により取得された距離は距離d3から変化していないため、当該距離から算出される高さは、高さz3から変化していない。
【0041】
続くステップS105においては、図4に図示されるように、処理部54が、基準時の測距が行われた際に算出された高さz1,z2及びz3から、測定時の測距が行われた際に算出された高さz1’,z2’及びz3への変化から、容量81を算出する。算出される容量81は、容量値91及び容量レベル92を含む。容量値91は、0%以上100%以下の数値で表される。容量レベル92は、「EMPTY」、「MID」及び「FULL」の3つのレベルから選択された1つのレベルで表される。容量レベル92が、2つ又は4つ以上のレベルから選択された1つのレベルで表されてもよい。
【0042】
算出される高さの変化は、取得される距離の変化を反映する。したがって、処理部54は、取得された距離の変化を高さの変化に変換し、高さの変化から容量81を取得することにより、距離の変化から容量81を取得する。
【0043】
処理部54は、基準時の測距が行われた際に算出した高さz1,z2及びz3を基準として、容量81を取得する。このため、図1に図示されるように、処理部54は、基準の高さz1,z2及びz3を算出した場合は、取得する容量値91を基準の「0%」にし、取得する容量レベル92を基準の「0%」に対応する「EMPTY」にする。
【0044】
図5に示されるように、処理部54は、容量81を取得する際に、第2のセンサ52により取得された距離が距離d2から距離d2’に変化しており、第3のセンサ53により取得された距離が距離d3から変化していないことから、物体21の高さを挟むふたつの高さz2’及びH+L2・tanθを得る。θは、取得した距離が距離d3から変化しなかった第3のセンサ53により発せられる第3の光63が向かう第3の方向D3が、+Y方向から傾斜する角度αである。H+L2・tanθは、第2の光62が物体21に当たった位置の上方の位置であって、第3の光63の光路上の位置である。物体21の高さは、高さz2’より大きく、高さH+L2・tanθより小さい。このため、処理部54は、ふたつの高さz2’及びH+L2・tanθの平均高さ82を物体21の高さとして扱う。このようにふたつ以上の値の平均値を用いることにより、測定装置1は、容量81を正確に測定することができる。
【0045】
処理部54は、平均高さ82を用いて容量81を取得する。取得される容量値Xは、式(2)を満たす。
【0046】
z2’/z3≦X≦(H+L2・tanα)/z3・・・(2)
【0047】
2 第2実施形態
以下では、第2実施形態が第1実施形態と相違する点が説明される。説明されない点については、第1実施形態において採用される構成と同様の構成が第2実施形態においても採用される。
【0048】
2.1 空間の分割及びセンサ
図6は、第2実施形態の測定装置に備えられるセンサ及び当該センサにより発せられる光を模式的に示す斜視図である。図7は、第2実施形態の測定装置に備えられる、各サブ空間のためのセンサ及び当該センサにより発せられる光を模式的に示す斜視図である。
【0049】
図6に図示されるように、第2実施形態においては、空間11aは、X方向について、第1のサブ空間101、第2のサブ空間102及び第3のサブ空間103からなる3つのサブ空間に分割される。空間11aが、X方向について、2つ又は4つ以上のサブ空間に分割されてもよい。
【0050】
図6及び図7に図示されるように、測定装置1は、第1のサブ空間101、第2のサブ空間102及び第3のサブ空間103の各サブ空間100のためのL0°センサ111、L10°センサ112、L35°センサ113、R0°センサ114、R10°センサ115及びR35°センサ116を備える。
【0051】
L0°センサ111、L10°センサ112及びL35°センサ113は、サブ空間100を経由して互いに異なるL0°方向D11、L10°方向D12及びL35°方向D13に向かうL0°光121、L10°光122及びL35°光123をそれぞれ発し、発したL0°光121、L10°光122及びL35°光123により測距を行ってL0°測距結果、L10°測距結果及びL35°測距結果をそれぞれ取得する。
【0052】
L0°方向D11は、+Y方向である。L10°方向D12は、+Y方向から-Z方向へ10°傾斜した方向である。L35°方向D13は、+Y方向から-Z方向へ35°傾斜した方向である。L0°光121、L10°光122及びL35°光123が向かう方向が、それぞれ、L0°方向D11、L10°方向D12及びL35°方向D13と異なる方向であってもよい。
【0053】
L0°センサ111、L10°センサ112及びL35°センサ113は、第1の側壁41に取り付けられ、第2の側壁42に向かってL0°光121、L10°光122及びL35°光123をそれぞれ発する。このため、L0°光121、L10°光122及びL35°光123は、サブ空間100に存在する物体に当たらなかった場合は、第2の側壁42に当たる。このため、L0°光121、L10°光122及びL35°光123が当該物体に当たらなかった場合は、それぞれ、L0°測距結果、L10°測距結果及びL35°測距結果に含まれる距離は、L0°センサ111、L10°センサ112及びL35°センサ113から第2の側壁42までの距離になる。L0°光121、L10°光122及びL35°光123が当該物体に当たった場合は、それぞれ、L0°測距結果、L10°測距結果及びL35°測距結果に含まれる距離は、L0°センサ111、L10°センサ112及びL35°センサ113から当該物体までの距離になる。
【0054】
R0°センサ114、R10°センサ115及びR35°センサ116は、サブ空間100を経由して互いに異なるR0°方向D14、R10°方向D15及びR35°方向D16に向かうR0°光124、R10°光125及びR35°光126をそれぞれ発し、発したR0°光124、R10°光125及びR35°光126により測距を行ってR0°測距結果、R10°測距結果及びR35°測距結果をそれぞれ取得する。
【0055】
R0°方向D14は、-Y方向である。R10°方向D15は、-Y方向から-Z方向へ10°傾斜した方向である。R35°方向D16は、-Y方向から-Z方向へ35°傾斜した方向である。R0°光124、R10°光125及びR35°光126が向かう方向が、それぞれ、R0°方向D14、R10°方向D15及びR35°方向D16と異なる方向であってもよい。
【0056】
R0°センサ114、R10°センサ115及びR35°センサ116は、第2の側壁42に取り付けられ、第1の側壁41に向かってR0°光124、R10°光125及びR35°光126をそれぞれ発する。このため、R0°光124、R10°光125及びR35°光126は、サブ空間100に存在する物体に当たらなかった場合は、第1の側壁41に当たる。このため、R0°光124、R10°光125及びR35°光126が当該物体に当たらなかった場合は、それぞれ、R0°測距結果、R10°測距結果及びR35°測距結果に含まれる距離は、R0°センサ114、R10°センサ115及びR35°センサ116から第1の側壁41までの距離となる。R0°光124、R10°光125及びR35°光126が当該物体に当たった場合は、それぞれ、R0°測距結果、R10°測距結果及びR35°測距結果に含まれる距離は、R0°センサ114、R10°センサ115及びR35°センサ116から当該物体までの距離となる。
【0057】
L0°センサ111、L10°センサ112及びL35°センサ113が配置される位置は、ひとつの点について、R0°センサ114、R10°センサ115及びR35°センサ116が配置される位置と点対称である。
【0058】
第2実施形態においては、L0°方向D11、L10°方向D12、L35°方向D13、R0°方向D14、R10°方向D15及びR35°方向D16からなる6つの方向にそれぞれ向かうL0°光121、L10°光122、L35°光123、R0°光124、R10°光125及びR35°光126により測距が行われる。しかし、測距に用いられる光が向かう方向の数は、サブ空間100に応じて設定される。このため、2つ以上5つ以下の方向又は7つ以上の方向に向かう光により測距が行われてもよい。また、第2実施形態においては、1つのセンサが、1つの方向に向かう光により測距を行う。しかし、1つのセンサが、2つ以上の方向の各方向に向かう光により測距を行ってもよい。この場合は、1つのセンサが、測距に用いる光が向かう方向を変更する。したがって、第2実施形態においては、少なくとも1つのセンサが、複数の方向に向かう光により測距を行って複数の測距結果をそれぞれ取得すればよい。
【0059】
第2実施形態においては、L0°方向D11、L10°方向D12及びL35°方向D13が+Y方向となす角度を示すL0°センサ111、L10°センサ112及びL35°センサ113の検出角度が、それぞれ、0°,10°及び35°である。また、R0°方向D14、R10°方向D15及びR35°方向D16が-Y方向となす角度を示すR0°センサ114、R10°センサ115及びR35°センサ116の検出角度は、それぞれ、0°,10°及び35°である。しかし、センサの検出角度は、サブ空間100に応じて設定される。このため、L0°センサ111、L10°センサ112及びL35°センサ113が、それぞれ、0°,10°及び35°と異なる検出角度を有するセンサに置き換えられてもよい。R0°センサ114、R10°センサ115及びR35°センサ116が、それぞれ、0°,10°及び35°と異なる検出角度を有するセンサに置き換えられてもよい。
【0060】
2.2 測距を行うことができる範囲
図8は、第2実施形態の測定装置に備えられるセンサが測距を行うことができる範囲を示す図である。
【0061】
図8に示されるように、L0°センサ、L10°センサ、L35°センサ、R0°センサ、R10°センサ及びR35°センサがそれぞれ測距を行うことができる範囲131,132,133,134,135及び136は、開き角が約16°である場合は、YZ平面内において、サブ空間100の略全体を網羅する。これにより、サブ空間100の略全体を考慮して容量を取得することができる。
【0062】
2.3 容量の取得に用いられるセンサ
図9は、第2実施形態の測定装置に備えられる、各領域の容量の取得に用いられるセンサを示す図である。
【0063】
図9に示されるように、各サブ空間100は、Y方向について、第1の領域141、第2の領域142及び第3の領域143からなる3つの領域に分割される。第1の領域141は、第1の側壁41に沿う領域である。第3の領域143は、第2の側壁42に沿う領域である。第2の領域142は、第1の領域141と第3の領域143との間に存在する領域である。
【0064】
第1の領域141は、Z方向について、第1の下段領域151、第1の中段領域152及び第1の上段領域153からなる3つの領域に分割される。第1の下段領域151は、最も-Z方向寄りに存在する領域である。第1の上段領域153は、最も+Z方向寄りに存在する領域である。第1の中段領域152は、第1の下段領域151と第1の上段領域153との間に存在する領域である。
【0065】
第2の領域142は、Z方向について、第2の下段領域161、第2の中段領域162及び第2の上段領域163からなる3つの領域に分割される。第2の下段領域161は、最も-Z方向寄りに存在する領域である。第2の上段領域163は、最も+Z方向寄りに存在する領域である。第2の中段領域162は、第2の下段領域161と第2の上段領域163との間に存在する領域である。
【0066】
第3の領域143は、Z方向について、第3の下段領域171、第3の中段領域172及び第3の上段領域173からなる3つの領域に分割される。第3の下段領域171は、最も-Z方向寄りに存在する領域である。第3の上段領域173は、最も+Z方向寄りに存在する領域である。第3の中段領域172は、第3の下段領域171と第3の上段領域173との間に存在する領域である。
【0067】
各サブ空間100は、第1の下段領域151、第1の中段領域152、第1の上段領域153、第2の下段領域161、第2の中段領域162、第2の上段領域163、第3の下段領域171、第3の中段領域172及び第3の上段領域173からなる9つの領域にマトリクス状に分割される。
【0068】
各サブ空間100が、X方向について、2つ又は4つ以上の領域に分割されてもよい。第1の領域141、第2の領域142及び第3の領域143の各領域が、Z方向について、2つ又は4つ以上の領域に分割されてもよい。
【0069】
第1の下段領域151、第2の下段領域161及び第3の下段領域171の上端は、33mmの高さを有する。第1の中段領域152、第2の中段領域162及び第3の中段領域172の上端は、66mmの高さを有する。第1の上段領域153、第2の上段領域163及び第3の上段領域173の上端は、110mmの高さを有する。これらの上端の高さが変更されてもよい。
【0070】
図9に示されるように、第1の下段領域151の容量の取得には、L35°センサ113及びR10°センサ115が用いられる。第1の中段領域152及び第1の上段領域153の容量の取得には、L35°センサ113が用いられる。第2の下段領域161の容量の取得には、L10°センサ112及びR10°センサ115が用いられる。第2の中段領域162及び第2の上段領域163の容量の取得には、L10°センサ112、R10°センサ115、L0°センサ111及びR0°センサ114が用いられる。第3の下段領域171の容量の取得には、R35°センサ116及びL10°センサ112が用いられる。第3の中段領域172及び第3の上段領域173の容量81の取得には、R35°センサ116が用いられる。
【0071】
2.4 容量の取得
図10は、第2実施形態の測定装置に備えられるセンサ、容器、第1の物体及び第2の物体を模式的に示す断面図である。
【0072】
図10に示されるように、L35°センサ113は、発したL35°光123が第1の領域141に存在する第1の物体191に当たった場合は、L35°センサ113から第1の物体191までの距離d1を取得する。処理部54は、取得された距離d1からL35°光123が第1の物体191に当たった位置の高さh1を取得し、取得したh1から第1の領域141の容量を取得する。
【0073】
L10°センサ112は、発したL10°光122が第2の領域142に存在する第2の物体192に当たった場合は、L10°センサ112から第2の物体192までの距離d2を取得する。処理部54は、取得された距離d2からL10°光122が第2の物体192に当たった位置の高さh2を算出し、算出したh2から第2の領域142の容量を取得する。
【0074】
2.5 高さ、容量値及び容量レベルの関係
図11は、第2実施形態の測定装置に備えられる処理部により算出される高さ、並びに当該処理部により取得される容量値及び容量レベルの関係を示す図である。
【0075】
第1の領域141、第2の領域142及び第3の領域143の上端の高さが110mmである場合は、図11に示されるように、算出された高さが0~33mmであるときに、取得される容量値が0~30%になり、取得される容量レベルが「EMPTY」になる。また、算出された高さが33~66mmであるときに、取得される容量値が31~60%になり、取得される容量レベルが「MID」になる。また、算出された高さが66mm~110mmである場合に、取得される容量値が61~100%になり、取得される容量レベルが「FULL」になる。
【0076】
処理部54は、取得された距離とsinθとの積から、容量値を取得することができる。処理部54は、第1の領域141、第2の領域142及び第3の領域143の上端の高さが110mmである場合は、式(3)のdに取得された距離を代入することにより、容量値91を取得することができる。
【0077】
容量値={d・sinθ/110}×100・・・(3)
【0078】
式(3)においては、dは、取得された距離である。θは、距離dを取得したセンサにより発せられる光が向かう方向がY方向となす角度である。
【0079】
2.6 第1の領域及び第3の領域の容量を取得する処理
図12は、第2実施形態の測定装置に備えられる処理部により行われる、第1の領域の容量を取得する処理の流れを示すフローチャートである。
【0080】
処理部54は、第1の領域141の容量を取得する場合に、図12に示されるステップS111からS113までを実行する。
【0081】
処理部54は、第1の領域141の容量を取得する場合に、L35°センサ113のみを用いる場合もあるし、L35°センサ113及びR10°センサ115を用いる場合もある。このため、処理部54は、第1の領域141の容量を取得する際に、ステップS111からS113までを実行して、第1の領域141の容量を取得するのに用いるセンサを決定する。
【0082】
ステップS111においては、処理部54は、R10°測距結果が条件を満たすか否かを判定する。処理部54は、R10°測距結果が条件を満たすと判定した場合は、ステップS112を実行する。処理部54は、R10°測距結果が条件を満たさないと判定した場合は、ステップS113を実行する。条件は、R10°測距結果が、第1の領域141内の位置の測距結果であるという条件である。
【0083】
ステップS112においては、処理部54は、L35°測距結果及びR10°測距結果から第1の領域141の容量を取得する。
【0084】
ステップS113においては、処理部54は、L35°測距結果から第1の領域141の容量を取得する。
【0085】
ステップS111からS113までによれば、処理部54は、R10°測距結果が条件を満たす場合に、R10°測距結果を用いて第1の領域141の容量を取得することを許可し、当該測距結果が条件を満たさない場合に、R10°測距結果を用いて第1の領域141の容量を取得することを許可しない。
【0086】
図13は、第2実施形態の照明装置に備えられるL35°センサ及びR10°センサ、並びにL35°センサ及びR10°センサによりそれぞれ発せられるL35°光及びR10°光を模式的に示す図である。
【0087】
図13に示されるように、R10°光125は、第3の領域143、第2の領域142及び第1の領域141を順次に通過する。このため、R10°測距結果は、第3の領域143内、第2の領域142内又は第1の領域141内の位置の測距結果である。
【0088】
R10°光125は、第2の領域142から第1の領域141に侵入する際に、高さ47mmの位置を通過する。このため、R10°測距結果が第1の領域141内の位置の測距結果になるのは、R10°測距結果に含まれる距離から算出される高さz2が47mm以下である場合である。また、R10°測距結果が第2の領域142内又は第3の領域143内の位置の測距結果になるのは、高さz2が47mmより大きい場合である。
【0089】
図14は、第2実施形態の測定装置に備えられるL35°センサ及びR10°センサによりそれぞれ取得されるL35°測距結果及びR10°測距結果に含まれる距離からそれぞれ算出された高さz1及びz2と、第1の領域の容量の取得に用いられる値と、の関係を示す図である。
【0090】
R10°測距結果が条件を満たすのは、高さz2が47mm以下である場合である。このため、処理部54は、高さz2が47mm以下である場合は、図14に示されるように、高さz1及びz2の平均高さ(z1+z2)/2を用いて、第1の領域141の容量を取得する。このようにふたつ以上の値の平均値を用いることにより、測定装置1は、第1の領域141の容量を正確に測定することができる。
【0091】
R10°測距結果が条件を満たさないのは、高さz2が47mmより大きい場合である。このため、処理部54は、高さz2が47mmより大きい場合は、図14に示されるように、高さz1を用いて、第1の領域141の容量を取得する。
【0092】
47mmという閾値は、サブ空間100の形状、L35°センサ113及びR10°センサ115が配置される位置、L35°方向D13及びR10°方向D15等に応じて変更される。したがって、47mmという閾値は、一例にすぎず、他の閾値に置き換えられてもよい。
【0093】
処理部54は、第3の領域143の容量を測定する場合は、L35°センサ113及びR10°センサ115に代えてR35°センサ116及びL10°センサ112を用いて、第1の領域141の容量を取得する場合に行う処理と同様の処理を行う。
【0094】
2.7 第2の領域の容量を取得する処理
図15は、第2実施形態の測定装置に備えられる処理部により行われる、第2の領域の容量を取得する処理の流れを示すフローチャートである。
【0095】
処理部54は、第2の領域142の容量を取得する場合に、図15に示されるステップS121からS129までを実行する。
【0096】
処理部54は、第2の領域142の容量を取得する場合に、L10°センサ112及びR10°センサ115を用いる場合もあるし、L10°センサ112のみを用いる場合もあるし、R10°センサ115のみを用いる場合もあるし、L0°センサ111及びR0°センサ114を用いる場合もある。このため、処理部54は、第2の領域142の容量を取得する場合に、ステップS121からS129までを実行して、第2の領域142の容量を取得するのに用いるセンサを決定する。
【0097】
ステップS121においては、処理部54は、L10°測距結果及びR10°測距結果が第1の条件を満たすか否かを判定する。処理部54は、L10°測距結果及びR10°測距結果が第1の条件を満たすと判定した場合は、ステップS122を実行する。処理部54は、L10°測距結果及びR10°測距結果が第1の条件を満たさないと判定した場合は、ステップS123を実行する。第1の条件は、L10°測距結果及びR10°測距結果の少なくとも一方が、第2の領域142内の位置の測距結果であり、L10°測距結果が、第2の領域142内又は第3の領域143内の位置の測距結果であり、R10°測距結果が、第2の領域142内又は第1の領域141内の位置の測距結果という条件である。
【0098】
ステップS122においては、処理部54は、L10°測距結果及びR10°測距結果から第2の領域142の容量を取得する。これにより、L10°光122及びR10°光125の両方又は片方が第2の領域142に存在する物体に当たり、L10°光122が第1の領域141に存在する物体に遮られずに第2の領域142に届き、R10°光125が第3の領域143に存在する物体に遮られずに第2の領域142に届く場合は、L10°測距結果及びR10°測距結果から第2の領域142の容量を取得することができる。
【0099】
ステップS123においては、処理部54は、L10°測距結果及びR10°測距結果が第2の条件を満たすか否かを判定する。処理部54は、L10°測距結果及びR10°測距結果が第2の条件を満たすと判定した場合は、ステップS124を実行する。処理部54は、L10°測距結果及びR10°測距結果が第2の条件を満たさないと判定した場合は、ステップS125を実行する。第2の条件は、L10°測距結果が、第2の領域142内の位置の測距結果であり、R10°測距結果が第3の領域143内の位置の測距結果であるという条件である。
【0100】
ステップS124においては、処理部54は、L10°測距結果から第2の領域142の容量を取得する。これにより、L10°光122が第2の領域142に存在する物体21に当たり、R10°光125が第3の領域143に存在する物体21に遮られて第2の領域142に届かない場合は、L10°測距結果から第2の領域142の容量を取得することができる。これにより、第2の領域142の容量を取得することができる物体の配置のパターンを増やすことができる。
【0101】
ステップS125においては、処理部54は、L10°測距結果及びR10°測距結果が第3の条件を満たすか否かを判定する。処理部54は、L10°測距結果及びR10°測距結果が第3の条件を満たすと判定した場合は、ステップS126を実行する。処理部54は、L10°測距結果及びR10°測距結果が第3の条件を満たさないと判定した場合は、ステップS127を実行する。第3の条件は、R10°測距結果が、第2の領域142内の位置の測距結果であり、L10°測距結果が第1の領域141内の位置の測距結果であるという条件である。
【0102】
ステップS126においては、処理部54は、R10°測距結果から第2の領域142の容量を取得する。これにより、R10°光125が第2の領域142に存在する物体に当たり、L10°光122が第1の領域141に存在する物体に遮られて第2の領域142に届かない場合は、R10°測距結果から第2の領域142の容量を取得することができる。これにより、第2の領域142の容量を取得することができる物体の配置のパターンを増やすことができる。
【0103】
ステップS127においては、処理部54は、L10°測距結果及びR10°測距結果が第4の条件を満たすか否かを判定する。処理部54は、L10°測距結果及びR10°測距結果が第4の条件を満たすと判定した場合は、ステップS128を実行する。処理部54は、L10°測距結果及びR10°測距結果が第4の条件を満たさないと判定した場合は、ステップS129を実行する。第4の条件は、
(1)L10°測距結果が第3の領域143内の位置の測距結果であり、R10°測距結果が第1の領域141内の位置の測距結果であるか、
(2)L10°測距結果が第1の領域141内の位置の測距結果であり、R10°測距結果が第1の領域141内の位置の測距結果であるか、又は
(3)L10°測距結果が第3の領域143内の位置の測距結果であり、R10°測距結果が第3の領域143内の位置の測距結果である
という条件である。
【0104】
ステップS128においては、処理部54は、取得する第2の領域142の容量を、第2の領域142に物体が存在しない場合の容量にする。これにより、L10°光122が第2の領域142に存在する物体に遮られずに第3の領域143に届き、R10°光125が第2の領域142に存在する物体に遮られずに第1の領域141に届く場合は、取得する第2の領域142の容量を、第2の領域142に物体が存在しない場合の容量にすることができる。また、L10°光122が第1の領域141に存在する物体に遮られて第2の領域142に届かず、R10°光125が第2の領域142に存在する物体に遮られずに第1の領域141に届く場合も、取得する第2の領域142の容量を、第2の領域142に物体が存在しない場合の容量にすることができる。また、L10°光122が第2の領域142に存在する物体に遮られずに第3の領域143に届き、R10°光125が第3の領域143に存在する物体に遮られて第2の領域142に届かない場合も、取得する第2の領域142の容量を、第2の領域142に物体が存在しない場合の容量にすることができる。
【0105】
ステップS129においては、処理部54は、L0°測距結果及びR0°測距結果から第2の領域142の容量を取得する。これにより、L10°光122が第1の領域141に存在する物体に遮られて第2の領域142に届かず、R10°光125が第3の領域143に存在する物体に遮られて第2の領域142に届かない場合に、代替のL0°測距結果及びR0°測距結果から第2の領域142の容量を取得することができる。これにより、第2の領域142の容量を取得することができる物体の配置のパターンを増やすことができる。
【0106】
ステップS121からS129までによれば、処理部54は、L0°測距結果及びR10°測距結果が第1の条件を満たす場合に、L0°測距結果及びR10°測距結果の両方を用いて第2の領域142の容量を取得することを許可し、当該測距結果が第1の条件を満たさない場合に、L0°測距結果及びR10°測距結果の両方を用いて第2の領域142の容量を取得することを許可しない。
【0107】
図16は、第2実施形態の照明装置に備えられるL10°センサ及びR10°センサ、並びにL10°センサ及びR10°センサによりそれぞれ発せられるL10°光及びR10°光を模式的に示す図である。
【0108】
図16に示されるように、L10°光122は、第1の領域141、第2の領域142及び第3の領域143を順次に通過する。このため、L10°測距結果は、第1の領域141内、第2の領域142内又は第3の領域143内の位置の測距結果である。R10°光125は、第3の領域143、第2の領域142及び第1の領域141を順次に通過する。このため、R10°測距結果は、第3の領域143内、第2の領域142内又は第1の領域141内の位置の測距結果である。
【0109】
L10°光122は、第1の領域141から第2の領域142に侵入する際に、高さ78mmの位置を通過し、第2の領域142から第3の領域143に侵入する際に、高さ47mmの位置を通過する。このため、L10°測距結果が第1の領域141内の位置の測距結果になるのは、L10°測距結果に含まれる距離から算出される高さz1が78mmより大きい場合である。また、L10°測距結果が第2の領域142内の位置の測距結果になるのは、高さz1が47mm以上78mm以下である場合である。また、L10°測距結果が第3の領域143内の位置の測距結果になるのは、高さz1が47mmより小さい場合である。
【0110】
R10°光125は、第3の領域143から第2の領域142に侵入する際に、高さ78mmの位置を通過し、第2の領域142から第1の領域141に侵入する際に、高さ47mmの位置を通過する。このため、R10°測距結果が第3の領域143内の位置の測距結果になるのは、R10°測距結果に含まれる距離から算出される高さz2が78mmより大きい場合である。また、R10°測距結果が第2の領域142内の位置の測距結果になるのは、高さz2が47mm以上78mm以下である場合である。また、R10°測距結果が第1の領域141内の位置の測距結果になるのは、高さz2が47mmより小さい場合である。
【0111】
図17は、第2実施形態の測定装置に備えられるL10°センサ及びR10°センサにより取得されるL10°測距結果及びR10°測距結果に含まれる距離からそれぞれ算出された高さz1及びz2と、第2の領域の容量の取得に用いられる値と、の関係を示す図である。
【0112】
L10°測距結果及びR10°測距結果が第1の条件を満たすのは、高さz1及びz2の少なくとも一方が40mm以上78mm以下であり、高さz1及びz2が78mm以下である場合である。このため、処理部54は、高さz1及びz2の少なくとも一方が40mm以上78mm以下であり、高さz1及びz2が78mm以下である場合は、図17に示されるように、高さz1及びz2の平均高さ(z1+z2)/2を用いて、第2の領域142の容量を取得する。このようにふたつ以上の値の平均値を用いることにより、測定装置1は、第2の領域142の容量を正確に測定することができる。
【0113】
L10°測距結果及びR10°測距結果が第2の条件を満たすのは、高さz1が40mm以上78mm以下であり、高さz2が78mmより大きい場合である。このため、処理部54は、高さz1が40mm以上78mm以下であり、高さz2が78mmより大きい場合は、図17に示されるように、高さz1を用いて、第2の領域142の容量を取得する。
【0114】
L10°測距結果及びR10°測距結果が第3の条件を満たすのは、高さz1が78mmより大きく、高さz2が40mm以上78mm以下である場合である。このため、処理部54は、高さz1が78mmより大きく、高さz2が40mm以上78mm以下である場合は、図17に示されるように、高さz2を用いて、第2の領域142の容量を取得する。
【0115】
L10°測距結果及びR10°測距結果が第4の条件を満たすのは、
(1)高さz1及びz2が40mmより小さいか、
(2)高さz1が78mmより大きく、高さz2が40mmより小さいか、又は
(3)高さz1が40mmより小さく、高さz2が78mmより大きい
場合である。このため、処理部54は、
(1)高さz1及びz2が40mmより小さいか、
(2)高さz1が78mmより大きく、高さz2が40mmより小さいか、又は
(3)高さz1が40mmより小さく、高さz2が78mmより大きい
場合は、図17に示されるように、高さ0を用いて、第2の領域142の容量を取得する。
【0116】
L10°測距結果及びR10°測距結果が第1の条件、第2の条件、第3の条件及び第4の条件のいずれも満たさないのは、高さz1及びz2が78mmより大きい場合である。このため、処理部54は、高さz1及びz2が78mmより大きい場合は、図17に示されるように、L0°測距結果及びR0°測距結果を用いて、第2の領域142の容量を取得する。
【0117】
40mm及び78mmという閾値は、サブ空間100の形状、L10°センサ112及びR10°センサ115が配置される位置、L10°方向D12及びR10°方向D15等に応じて変更される。したがって、40mm及び78mmという閾値は、一例にすぎず、他の閾値に置き換えられてもよい。なお、前者の閾値が、L10°光122が第2の領域142から第3の領域143に侵入する際に通過する位置及びR10°光125が第2の領域142から第1の領域141に侵入する際に通過する位置の高さ47mmではなく40mmであるのは、第2の領域142の容量の測定の安定性を高めるためである。
【0118】
図18は、第2実施形態の照明装置に備えられるL0°センサ及びR0°センサ、並びにL0°センサ及びR0°センサによりそれぞれ発せられるL0°光及びR0°光を模式的に示す図である。
【0119】
図18に示されるように、L0°光121は、第1の領域141、第2の領域142及び第3の領域143を順次に通過する。このため、L0°測距結果は、第1の領域141内、第2の領域142内又は第3の領域143内の位置の測距結果である。R0°光124は、第3の領域143、第2の領域142及び第1の領域141を順次に通過する。このため、R0°測距結果は、第3の領域143内、第2の領域142内又は第1の領域141内の位置の測距結果である。
【0120】
第3の領域143、第2の領域142及び第1の領域141の各領域が、Y方向について、180mmの大きさを有する場合は、L0°測距結果が第2の領域142内の位置の測距結果になるのは、L0°測距結果に含まれる距離z1が180mm以上360mm以下である場合である。また、L0°測距結果が第1の領域141内の位置の測距結果になるのは、距離z1が180mmより小さい場合である。また、L0°測距結果が第3の領域143内の位置の測距結果になるのは、距離z1が360mmより大きい場合である。また、R0°測距結果が第2の領域142内の位置の測距結果になるのは、R0°測距結果に含まれる距離z2が180mm以上360mm以下である場合である。また、R0°測距結果が第3の領域143内の位置の測距結果になるのは、距離z2が180mmより小さい場合である。また、R0°測距結果が第1の領域141内の位置の測距結果になるのは、距離z2が360mmより大きい場合である。
【0121】
図19は、第2実施形態の測定装置に備えられるL0°センサ及びR0°センサにより取得されるL10°測距結果及びR10°測距結果にそれぞれ含まれる距離z1及びz2と、第2の領域の容量と、の関係を示す図である。
【0122】
L0°光121が進むL0°方向D11及びR0°光124が進むR0°方向D14は、Y方向と平行をなす。このため、距離z1から算出される高さ及び距離z2から算出される高さは、一定の110mmである。このため、処理部54は、距離z1及びz2を高さに換算することなく、距離z1及びz2から第2の領域142の容量を推定する。
【0123】
処理部54は、距離z1及びz2の両方が360mm以下である場合は、図19に示されるように、第2の領域142の容量値及び容量レベルがそれぞれ「100%」及び「FULL」であると推定する。また、処理部54は、距離z1及び距離z2の両方又は片方が360mmより大きい場合は、第2の領域142の容量値及び容量レベルがそれぞれ「50%」及び「MID」であると推定する。
【0124】
第2実施形態においては、L10°測距結果及びR10°測距結果に含まれる距離から算出された高さと閾値とが比較され、閾値により示される範囲内に含まれる高さが当該範囲に対応する領域の容量の取得に用いられる。このため、容量の空間分解能を高めることができる。したがって、第1実施形態と比較して、単に物体が存在するか否かだけでなく、どのようなものが(what)どこに(where)、どのぐらい(how much)存在するのかを包括的に示すデータを取得することができる。このため、容量としてより意味のあるデータを取得することができる。また、容器11の外部の位置の測距結果を用いて容量を取得することを抑制することができる。また、L10°センサ112又はR10°センサ115に付着した付着物により容量が過大になることを抑制することができる。これにより、容量を正確に測定することができる。
【0125】
3 第3実施形態
以下では、第3実施形態が第2実施形態と相違する点が説明される。説明されない点については、第2実施形態において採用される構成と同様の構成が第3実施形態においても採用される。
【0126】
3.1 主出力及び副出力
図20は、第3実施形態の測定装置に備えられるセンサ、当該センサにより発せられる光、第1の物体及び第2の物体を模式的に示す斜視図である。図21は、第1の物体のエッジが第3実施形態の測定装置に備えられるセンサの正面に配置される場合に当該センサにより取得されるヒストグラムを示す図である。図22は、第1の物体のエッジが第3実施形態の測定装置に備えられるセンサを覆わない場合に当該センサにより取得されるヒストグラムを示す図である。
【0127】
図21及び図22においては、時間が横軸に取られており、反射光の光量が縦軸に取られている。
【0128】
図20に示されるように、L0°センサ111、L10°センサ112、L35°センサ113、R0°センサ114、R10°センサ115及びR35°センサ116の各センサ110は、光120を発し、発した光120により測距を行って測距結果を取得する。センサ110は、測距を行う場合に、物体が光120を反射することにより生成された反射光を受け、光120を発してから反射光を受けるまでの時間から測距結果を取得する。各センサ110は、当該時間をデジタル信号に変換する時間デジタル変換器(TDC)を備える。このため、取得される測距結果は、図21及び図22に示されるヒストグラム181を含む。ヒストグラム181は、反射光の光量の時間変化を示す。ヒストグラム181は、複数の時間T1からT19までの各時間に受けられた反射光の光量を含む。各時間に受けられた反射光の光量は、各時間に相当する距離に配置された物体が光120を反射することにより生成された反射光の光量である。
【0129】
図20に示されるように、第1の物体191が反射紙であり、センサ110から第1の物体191までの距離値が200mmであり、センサ110から第2の物体192までの距離値が540mmである場合について考える。
【0130】
図20に示されるように、センサ110から第2の物体192までの距離値がセンサ110から第1の物体191までの距離値より長く、光120が第1の物体191及び第2の物体192により反射される場合は、図21及び図22に示されるように、ヒストグラム181は、反射光の光量が極大光量201となる時間T8、及び反射光の光量が極大光量202となる時間T13を含む。極大光量201は、第1の物体191が光120を反射することにより生じる。このため、時間T8は、センサ110から第1の物体191までの距離値に相当する時間である。極大光量202は、第2の物体192が光120を反射することにより生じる。このため、時間T13は、センサ110から第2の物体192までの距離値に相当する時間である。
【0131】
処理部54は、容量を取得する場合は、反射光の光量が1番目に大きい第1の極大光量211となる時間から算出される第1の距離値Range1及び反射光の光量が2番目に大きい第2の極大光量212となる時間から算出される第2の距離値Range2を用いて容量を取得する。
【0132】
第1の極大光量211は、反射光の光量が1番目に大きい光量すなわち最大の光量になるときの反射光の光量である。第2の極大光量212は、反射光の光量が2番目に大きい光量になるときの反射光の光量である。ただし、第2の距離値Range2が第1の距離値Ramge1から約22.5cm以上離れるようにするために、第1の極大光量211の前後3ビンの光量は、第2の極大光量212の候補から除外される。
【0133】
極大光量201及び極大光量202のうち、主出力となる第1の極大光量211及び副出力となる第2の極大光量212になる極大光量は、第1の物体191及び第2の物体192の配置により変化する。このため、距離値200mm及び距離値540mmのうち、第1の距離値Range1及び第2の距離値Range2になる距離値は、第1の物体191及び第2の物体192の配置により変化する。例えば、図20に実線で示されるように、第1の物体191のエッジがセンサ110の正面に配置される場合は、極大光量201が第1の極大光量211になり、極大光量202が第2の極大光量212になる。このため、距離値200mmが第1の距離値Range1になり、距離値540mmが第2の距離値Range2になる。図20に一点破線で示されるように、第1の物体191がセンサ110の正面から2cmずらされて第1の物体191のエッジがセンサ110を覆わない場合は、極大光量201が第2の極大光量212になり、極大光量202が第1の極大光量211になる。このため、距離値200mmが第2の距離値Range2になり、距離値540mmが第1の距離値Range1になる。
【0134】
3.2 容量を取得する処理
図23は、第3実施形態の測定装置に備えられる処理部により行われる、容量を取得する処理の流れを示すフローチャートである。
【0135】
処理部54は、容量を取得する場合に、図23に示されるステップS131からS133までを実行する。
【0136】
ステップS131においては、処理部54は、第1の極大光量211に対する第2の極大光量212の比が基準を満たすか否かを判定する。処理部54は、当該比が基準を満たす場合は、ステップS132を実行する。処理部54は、当該比が基準を満たさない場合は、ステップS133を実行する。基準は、当該比が設定された閾値以上であるという基準である。
【0137】
ステップS132においては、処理部54は、第1の距離値Range1及び第2の距離値Range2を用いて容量を取得する。処理部54、その際に、第1の距離値Range1及び第2の距離値Range2の平均を用いて容量を取得する。これにより、測定装置1は、生成する反射光の光量が相対的に小さい物体を容量に反映させて、容量を正確に測定することができる。
【0138】
ステップS133においては、処理部54は、第1の距離値Range1を用いて容量を取得する。ステップS133においては、処理部54は、第2の距離値Range2を用いない。
【0139】
ステップS131からS132までによれば、第1の物体191及び第2の物体192のいずれにより生成される反射光の光量も十分である場合は、第1の距離値Range1及び第2の距離値Range2を用いて容量が取得される。また、第1の物体191及び第2の物体192のいずれかより生成される反射光の光量が十分でない場合は、第1の距離値Range1のみを用いて容量が取得される。これにより、生成する反射光の光量が相対的に小さい物体が容量に与える影響が大きい場合は、第2の距離値Range2を用いて容量が取得されて、当該物体が容量に反映される。また、生成する反射光の光量が相対的に小さい物体が容量に与える影響が小さい場合は、第2の距離値Range2を用いずに容量が取得されて、当該物体が容量に反映されない。これにより、第1の極大光量211に対する第2の極大光量212の比にかかわらず第1の距離値Range1及び第2の距離値Range2を用いて容量が取得された場合及び当該比にかかわらず第1の距離値Range1のみを用いて容量が取得された場合と比較して、容量を正確に測定することができる。例えば、光120がY方向から-Z方向に傾斜した方向に向かう場合は、当該比にかかわらず第1の距離値Range1及び第2の距離値Range2を用いて容量が取得されたときは、第2の距離値Range2から算出される小さな高さが容量に反映されて、取得される容量が過剰に小さくなる過小評価が発生する。すなわち、物体が存在するにもかかわらず、取得される容量が実際の容量より小さくなり、最悪の場合は、取得される容量が0になる。しかし、当該比が基準を満たす場合のみに第1の距離値Range1及び第2の距離値Range2を用いて容量が取得されたときは、当該過小評価が発生することを抑制することができる。また、光120がY方向から-Z方向に傾斜した方向に向かう場合は、当該比にかかわらず第1の距離値Range1のみを用いて容量が取得されたときは、第1の距離値Range1から算出される大きな高さが容量に反映されて、取得される容量が過剰に大きくなる過大評価が発生する。すなわち、物体が存在しないにもかかわらず、取得される容量が実際の容量より大きくなる。しかし、当該比が基準を満たす場合に第1の距離値Range1及び第2の距離値Range2を用いて容量が取得されたときは、当該過大評価が発生することを抑制することができる。
【0140】
第1の極大光量211に対する第2の極大光量212の比と比較される閾値は、例えば、0.08に設定される。閾値が0.08に設定されることにより、様々な物体の配置のパターンに対して、取得される容量の正確性を高めることができる。
【0141】
図24は、第3実施形態の測定装置に備えられるセンサにより取得される測距結果に含まれる第1の極大光量に対する、当該測距結果に含まれる第2の極大光量の比の、当該センサにより発せられる光の第1の物体への照射面積による変化を示すグラフである。図25は、第3実施形態の測定装置に備えられるセンサにより発せられる光の第1の物体への照射面積が33%、50%及び100%である状態を模式的に示す図である。図25においては、照射面積は、当該光の全体が第1の物体に当たる場合に100%となる相対値で表現されている。
【0142】
図25においては、センサ110が第1の側壁41に取り付けられており、第2の物体192が第2の側壁42である。
【0143】
図24に示されるように、閾値が0.08に設定された場合は、第1の極大光量211に対する第2の極大光量212の比の、光120の第1の物体191への照射面積による変化が大きくなる場所に閾値が設定される。これにより、第1の極大光量211及び第2の極大光量212のばらつきにより取得される容量が不安定になることを抑制することができる。
【0144】
図24に示されるように、第1の極大光量211に対する第2の極大光量212の比が0.08となるのは、光120の第1の物体191への照射面積が33%となる場所である。
【0145】
図26A及び図26Bは、第1の実験における容器及び物体の配置を示す画像である。図26Cは、第1の実験により取得された各領域の容量値を示す図である。図27A及び図27Bは、第2の実験における容器及び物体の配置を示す画像である。図27Cは、第2の実験により取得された各領域の容量値を示す図である。図28A及び図28Bは、第3の実験における容器及び物体の配置を示す画像である。図28Cは、第3の実験により取得された各領域の容量値を示す図である。
【0146】
図26C図27C及び図28Cにおいては、第1の下段領域151、第1の中段領域152及び第1の上段領域153の容量値が、それぞれ、左から1番目の列の下から1番目、2番目及び3番目の欄に記載されている。また、第2の下段領域161、第2の中段領域162及び第2の上段領域163の容量値が、それぞれ、左から2番目の列の下から1番目、2番目及び3番目の欄に記載されている。また、第3の下段領域171、第3の中段領域172及び第3の上段領域173の容量値が、それぞれ、左から3番目の列の下から1番目、2番目及び3番目の欄に記載されている。
【0147】
第1の実験においては、図26A及び図26Bに示されるように、第2の中段領域162に存在する上端を有する箱221が配置される。第1の実験においては、第1の極大光量211に対する第2の極大光量212の比が0.08以上である場合にのみ第1の距離値Range1及び第2の距離値Range2が用いられることにより、図26Cに示されるように、第2の中段領域162の容量値が、箱221を正しく反映して、「74」になる。また、第1の下段領域151、第1の中段領域152、第1の上段領域153、第2の上段領域163、第3の下段領域171、第3の中段領域172及び第3の上段領域173の容量値が、物体が存在しないことを正しく反映して、「0」になる。
【0148】
第2の実験においては、図27A及び図27Bに示されるように、第2の中段領域162に存在する上端を有する箱221が配置される。また、第3の下段領域171に存在する上端を有するボール222が配置される。第2の実験においては、第1の極大光量211に対する第2の極大光量212の比が0.08以上である場合にのみ第1の距離値Range1及び第2の距離値Range2が用いられることにより、図27Cに示されるように、第2の中段領域162の容量値が、箱221を正しく反映して、「74」となる。また、第3の下段領域171の容量値が、ボール222を正しく反映して「23.8」になる。また、第1の下段領域151、第1の中段領域152、第1の上段領域153、第2の上段領域163、第3の中段領域172及び第3の上段領域173の容量値が、物体が存在しないことを正しく反映して、「0」となる。
【0149】
第3の実験においては、図28A及び図28Bに示されるように、第2の中段領域162に存在する上端を有する箱221が配置される。また、第2の下段領域161に存在する上端を有するボール222が配置される。第3の実験においては、第1の極大光量211に対する第2の極大光量212の比が0.08以上である場合にのみ第1の距離値Range1及び第2の距離値Range2が用いられることにより、図28Cに示されるように、第2の中段領域162の容量値が、箱221を正しく反映して、「74」となる。また、第2の下段領域161の容量値が、ボール222を正しく反映して「45」になる。また、第1の下段領域151、第1の中段領域152、第1の上段領域153、第2の上段領域163、第3の下段領域171、第3の中段領域172及び第3の上段領域173の容量値が、物体が存在しないことを正しく反映して、「0」となる。
【0150】
4 第4実施形態
図29は、第4実施形態の貯蔵庫を模式的に示す図である。
【0151】
図29に示される貯蔵庫301は、冷蔵冷凍庫である。貯蔵庫301が、冷蔵冷凍庫以外の貯蔵庫であってもよい。例えば、貯蔵庫301が、冷蔵庫、冷凍庫、保冷庫、保温庫、加湿庫、除湿庫、保管庫等であってもよい。
【0152】
貯蔵庫301は、測定装置311及び貯蔵室312を備える。
【0153】
測定装置311は、第1実施形態から第3実施形態までのいずれかの測定装置1である。
【0154】
貯蔵室312は、上述した容器11である。貯蔵室312は、冷蔵室、冷凍室、野菜室等である。
【0155】
測定装置311は、例えば、貯蔵室312に形成された空間の容量を、貯蔵室312から離れた場所から遠隔で確認するために用いられる。これにより、例えば、買い物先等の出先で空間の空き容量を確認することができる。また、貯蔵庫301の扉の開閉回数を減らすことができる。貯蔵庫301の扉の開閉回数を減らすことは、省エネルギーに有効である。
【0156】
貯蔵庫301内の在庫管理は、貯蔵庫301に対する物品の出し入れを記録端末に手作業で記録することにより行うこともできる。しかし、物品の出し入れを手作業で記録する操作は、煩雑である。また、貯蔵庫301内の在庫管理は、貯蔵庫301内の物品の重量を重量センサで検知することにより行うこともできる。しかし、物品の重量と物品の体積との関係は一定でないため、物品の重量を重量センサで検知することにより在庫管理が行われた場合は、貯蔵庫301内の在庫を正確に検知することは困難である。また、貯蔵庫301内の在庫管理は、貯蔵庫301内をカメラで撮影することにより行うこともできる。しかし、貯蔵庫301内をカメラで撮影することにより在庫管理が行われた場合は、プライバシーに関連する問題が発生する可能性がある。これに対して、貯蔵庫301内の在庫管理が測定装置1により行われた場合は、これらの問題を解消することができる。貯蔵庫301内の在庫管理が測定装置1により行われた場合は、センサをオン/オフするだけで貯蔵庫301内の状況をリアルタイムに検知することができる。また、センサにより容量を直接的に検知することができる。また、大きなサイズを有する画像データではなく、小さなサイズしか有しない距離データから容量を検知することができる。
【0157】
測定装置311が、貯蔵庫301以外の電子機器、建物等に組み込まれてもよい。
【0158】
本開示は、上記実施の形態に限定されるものではなく、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0159】
1 測定装置、11 容器、11a 空間、11b 開口、21 物体、31 底壁、32 側壁、41 第1の側壁、42 第2の側壁、51 第1のセンサ、52 第2のセンサ、53 第3のセンサ、54 処理部、61 第1の光、62 第2の光、63 第3の光、71 第1の測距結果、72 第2の測距結果、73 第3の測距結果、81 容量、82 平均高さ、91 容量値、92 容量レベル、100 サブ空間、101 第1のサブ空間、102 第2のサブ空間、103 第3のサブ空間、110 センサ、111 L0°センサ、112 L10°センサ、113 L35°センサ、114 R0°センサ、115 R10°センサ、116 R35°センサ、120 光、121 L0°光、122 L10°光、123 L35°光、124 R0°光、125 R10°光、126 R35°光、131,132,133,134,135,136 範囲、141 第1の領域、142 第2の領域、143 第3の領域、151 第1の下段領域、152 第1の中段領域、153 第1の上段領域、161 第2の下段領域、162 第2の中段領域、163 第2の上段領域、171 第3の下段領域、172 第3の中段領域、173 第3の上段領域、181 ヒストグラム、191 第1の物体、192 第2の物体、201 極大光量、202 極大光量、211 第1の極大光量、212 第2の極大光量、221 箱、222 ボール、301 貯蔵庫、311 測定装置、312 貯蔵室、D1 第1の方向、D2 第2の方向、D3 第3の方向、D11 L0°方向、D12 L10°方向、D13 L35°方向、D14 R0°方向、D15 R10°方向、D16 R35°方向。
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