(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119352
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240827BHJP
B08B 1/32 20240101ALI20240827BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H01L21/304 644Z
B08B1/04
B08B3/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026185
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】篠原 智之
(72)【発明者】
【氏名】船橋 和雅
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
5F157
【Fターム(参考)】
3B116AA03
3B116AB03
3B116AB33
3B116AB44
3B116BA02
3B116BA15
3B116BB22
3B116CD23
3B116CD42
3B116CD43
3B201AA03
3B201AB03
3B201AB33
3B201AB44
3B201BA02
3B201BA15
3B201BB22
3B201BB93
3B201CD23
3B201CD42
3B201CD43
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB90
5F157BA07
5F157BA13
5F157BA31
5F157CC03
5F157DC01
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】未使用のブラシにパーティクルが付着することを防止しながら、ブラシを自動的に交換できる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置1は、保持回転部3で保持された基板Wを洗浄するブラシ25と、ブラシ25を着脱可能に保持するブラシ保持部27と、ブラシ保持部27が先端部に設けられたアーム31と、ブラシ保持部27からブラシ25を回収するブラシ回収部79と、未使用のブラシ25Bを保管し、保管された未使用のブラシ25Bをブラシ保持部27に取り付けるブラシ取り付け部81と、アーム31を介してブラシ25を移動させるブラシ移動機構(昇降機構35および旋回駆動部37)と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシを用いて基板を洗浄する基板処理装置であって、
基板を水平姿勢で保持する基板保持部と、
前記基板保持部で保持された前記基板を洗浄するブラシと、
前記ブラシを着脱可能に保持するブラシ保持部と、
前記ブラシ保持部が先端部に設けられたアームと、
前記ブラシ保持部から前記ブラシを回収するブラシ回収部と、
未使用の前記ブラシを保管し、保管された未使用の前記ブラシを前記ブラシ保持部に取り付けるブラシ取り付け部と、
前記基板保持部で保持された前記基板上の処理位置と、前記ブラシ回収部と、前記ブラシ取り付け部との間で、前記アームを介して前記ブラシを移動させるブラシ移動機構と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記ブラシ取り付け部は、保管中の未使用の前記ブラシを収容するブラシ収容容器を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理装置において、
前記ブラシ収容容器に液体を供給する液体供給部を更に備え、
前記ブラシ収容容器は、貯留された前記液体に未使用の前記ブラシを浸漬させて、保管することを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の基板処理装置において、
前記ブラシ取り付け部は、前記ブラシ収容容器を水平移動させる水平移動部を更に備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記ブラシ回収部は、取り外された使用済みの前記ブラシを回収するブラシ回収容器を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記ブラシ回収部は、前記ブラシを取り外すための取り外し部材を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記ブラシ取り付け部は、前記ブラシ回収部に隣接して配置されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記ブラシ回収部と前記ブラシ取り付け部の間に設けられ、前記ブラシ回収部と前記ブラシ取り付け部とを隔てる隔離部を更に備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記ブラシ保持部は、
鉛直に延びる中心軸に沿って形成された円柱状の穴部と、
前記穴部の内側の側壁に設けられると共に、前記中心軸周りに配置された3個の開口部と、
前記3個の開口部から前記穴部にそれぞれ突出する3個の突出部と、
前記突出部の外側に設けられ、前記突出部を前記中心軸の方向に付勢する付勢部と、
を備え、
前記ブラシは、
前記基板を洗浄するための洗浄面を有するブラシ本体と、
前記洗浄面の反対側から前記ブラシ本体を支持するブラシ支持部と、
前記ブラシ支持部から前記洗浄面の反対側に突出する円柱部と、
前記円柱部の側壁でかつ前記円柱部の軸周りに設けられた凹みと長手凹みと、を備え、
前記長手凹みは、円周方向に長手に凹んでおり、
前記ブラシ保持部の前記穴部に前記円柱部を挿入した場合に、前記凹みは、前記3個の突出部のうちの1個の突出部を収容し、また、前記長手凹みは、残りの2個の突出部のうち少なくとも1つの突出部を収容することを特徴とする基板処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記ブラシは、
前記基板を洗浄するための洗浄面を有するブラシ本体と、
前記洗浄面の反対側から前記ブラシ本体を支持するブラシ支持部と、を備え、
前記ブラシ支持部は、
前記洗浄面との反対側に、予め設定された水平方向に延びるガイドと、
前記ガイドに設けられた開口部と、
前記開口部から外側に突出する突出部と、
前記ブラシ支持部の外周面に設けられるボタン部と、
前記ボタン部の押し込み量によって前記突出部の突出幅を調整する突出幅調整機構と、を有し、
前記ブラシ保持部は、
前記水平方向に移動可能に前記ガイドを保持するガイド保持部と、
前記ガイド保持部に設けられて前記突出部を収容する凹みと、を備え、
前記ボタン部を押し込んだ場合は、前記突出幅調整機構が前記突出部を前記開口部から内側に後退させることで、前記ブラシが前記ブラシ保持部に対して前記水平方向に移動することができる状態になり、
前記ボタン部を押し込まない場合は、前記突出幅調整機構が前記開口部から外側に前記突出部を突出させることで、前記突出部を前記凹みに収容させて、前記ブラシの前記水平方向の移動を規制することができる状態になることを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理装置に関する。基板は、例えば、半導体基板、FPD(Flat Panel Display)用の基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが挙げられる。FPDは、例えば、液晶表示装置、有機EL(electroluminescence)表示装置などが挙げられる。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置は、ブラシを用いて基板を洗浄する。ブラシは、定期的に交換が必要である。ブラシは、一般的に、操作者の手作業によって交換される。しかし、ブラシ交換により、基板処理装置の稼働率が低下して生産性が悪化するという課題がある。そのため、ブラシを自動的に交換できる装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、複数個のブラシを保持するブラシ保持枠を備えたスクラバ洗浄装置が開示されている。ブラシ保持枠は、複数個の保持溝が形成されている。スクラバ洗浄装置は、ブラシ保持枠の空きの保持溝でブラシヘッドからブラシを外す。外されたブラシは、その保持溝に保持される。その後、スクラバ洗浄装置は、ブラシ保持枠に保持される別のブラシをブラシヘッドの下方に移動させ、その別のブラシをブラシヘッドに取り付ける。
【0004】
特許文献2,3には、待機ポットに横に並んで配置された複数個のブラシのうちの所望のブラシをブラシチャックで択一的に保持することができるブラシ洗浄装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08-318226号公報
【特許文献2】特開平08-010719号公報
【特許文献3】特開平10-223584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の装置は次の問題がある。例えば特許文献1において、取り外された使用済みのブラシは、ブラシ保持枠に保持される。この場合、使用済みのブラシと未使用のブラシとが横に並んだ状態になる。また、ブラシ保持枠の保持溝は、取り外した使用済みのブラシを保持した後に、未使用のブラシを保持する可能性がある。そのため、未使用のブラシに使用済みのブラシのパーティクルが付着する可能性がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、未使用のブラシにパーティクルが付着することを防止しながら、ブラシを自動的に交換できる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。本発明に係る基板処理装置は、ブラシを用いて基板を洗浄する基板処理装置であって、基板を水平姿勢で保持する基板保持部と、前記基板保持部で保持された前記基板を洗浄するブラシと、前記ブラシを着脱可能に保持するブラシ保持部と、前記ブラシ保持部が先端部に設けられたアームと、前記ブラシ保持部から前記ブラシを回収するブラシ回収部と、未使用の前記ブラシを保管し、保管された未使用の前記ブラシを前記ブラシ保持部に取り付けるブラシ取り付け部と、前記基板保持部で保持された前記基板上の処理位置と、前記ブラシ回収部と、前記ブラシ取り付け部との間で、前記アームを介して前記ブラシを移動させるブラシ移動機構と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る基板処理装置によれば、ブラシ回収部とブラシ取り付け部とが分けられているので、使用済みのブラシと未使用のブラシとを同じ領域で取り扱わない。これにより、取り外された使用済みのブラシから未使用のブラシを離した状態で扱うことができる。したがって、未使用のブラシにパーティクルが付着することを防止しながら、ブラシを自動的に交換できる。
【0010】
また、上述の基板処理装置において、前記ブラシ取り付け部は、保管中の未使用の前記ブラシを収容するブラシ収容容器を備えることが好ましい。
【0011】
ブラシ取り付け部にブラシ収容容器を備えることで、ブラシ取り付け部とブラシ回収部を隔てることができる。そのため、使用済みのブラシ起因のパーティクルが、ブラシ取り付け部で扱う未使用のブラシに付着することを確実に防止することができる。
【0012】
また、上述の基板処理装置において、前記ブラシ収容容器に液体を供給する液体供給部を更に備え、前記ブラシ収容容器は、貯留された前記液体に未使用の前記ブラシを浸漬させて、保管することが好ましい。
【0013】
保管中の未使用のブラシが乾燥すると、例えば、未使用のブラシの細かな隙間にパーティクルが入る可能性がある。パーティクルがその隙間に入り込むと、パーティクルの除去には、長時間を要する。そのため、未使用のブラシをブラシ保持部に取り付けた後、製品となる基板のブラシ洗浄を行うまで、長時間を費やしてしまう可能性がある。そのため、基板処理装置の稼働率が低下して生産性が悪化してしまう。しかし、本発明によれば、液体供給部が保管中の未使用のブラシに液体を供給するので、保管中の未使用のブラシの乾燥を防止することができる。そのため、保管中の未使用のブラシの細かな隙間にパーティクルが入ることを防止することができる。
【0014】
また、上述の基板処理装置において、前記ブラシ取り付け部は、前記ブラシ収容容器を水平移動させる水平移動部を更に備えていることが好ましい。
【0015】
平面視における移動経路上に複数の未使用のブラシを搬送することができる。
【0016】
また、上述の基板処理装置において、前記ブラシ回収部は、取り外された使用済みの前記ブラシを回収するブラシ回収容器を備えることが好ましい。
【0017】
ブラシ回収部にブラシ回収容器を備えることで、ブラシ取り付け部とブラシ回収部を隔てることができる。そのため、使用済みのブラシ起因のパーティクルが、ブラシ取り付け部で扱う未使用のブラシに付着することを確実に防止することができる。
【0018】
また、上述の基板処理装置において、前記ブラシ回収部は、前記ブラシを取り外すための取り外し部材を備えていることが好ましい。
【0019】
取り外し部材を用いてブラシ保持部から使用済みのブラシを取り外し、そのブラシをブラシ回収容器に回収することができる。
【0020】
また、上述の基板処理装置において、前記ブラシ取り付け部は、前記ブラシ回収部に隣接して配置されることが好ましい。
【0021】
ブラシ回収部で使用済みのブラシを取り外した後に未使用のブラシを素早く取り付けることができる。また、ブラシ取り付け部がブラシ回収部に隣接した状態でも、取り外された使用済みのブラシから未使用のブラシを離すことができる。
【0022】
また、上述の基板処理装置において、前記ブラシ回収部と前記ブラシ取り付け部の間に設けられ、前記ブラシ回収部と前記ブラシ取り付け部とを隔てる隔離部を更に備えていることが好ましい。
【0023】
ブラシ回収部とブラシ回収容器の間に隔離部を備えることで、ブラシ取り付け部とブラシ回収部を隔てることができる。そのため、使用済みのブラシ起因のパーティクルが、ブラシ取り付け部で扱う未使用のブラシに付着することを防止することができる。
【0024】
また、上述の基板処理装置において、前記ブラシ保持部は、鉛直に延びる中心軸に沿って形成された円柱状の穴部と、前記穴部の内側の側壁に設けられると共に、前記中心軸周りに配置された3個の開口部と、前記3個の開口部から前記穴部にそれぞれ突出する3個の突出部と、前記突出部の外側に設けられ、前記突出部を前記中心軸の方向に付勢する付勢部と、を備え、前記ブラシは、前記基板を洗浄するための洗浄面を有するブラシ本体と、前記洗浄面の反対側から前記ブラシ本体を支持するブラシ支持部と、前記ブラシ支持部から前記洗浄面の反対側に突出する円柱部と、前記円柱部の側壁でかつ前記円柱部の軸周りに設けられた凹みと長手凹みと、を備え、前記長手凹みは、円周方向に長手に凹んでおり、前記ブラシ保持部の前記穴部に前記円柱部を挿入した場合に、前記凹みは、前記3個の突出部のうちの1個の突出部を収容し、また、前記長手凹みは、残りの2個の突出部のうち少なくとも1つの突出部を収容することが好ましい。
【0025】
長手凹みは、円周方向に長手に凹んでおり、3個の突出部のうちの2個の突出部を収容することができる。そのため、例えば、ブラシ保持部の穴部にブラシの円柱部を挿入した際に、3個の突出部のうちの1つは、長手凹みに収容される。そのため、ブラシ保持部に対するブラシの上下方向の移動を規制させることできる。
【0026】
また、上述の基板処理装置において、前記ブラシは、前記基板を洗浄するための洗浄面を有するブラシ本体と、前記洗浄面の反対側から前記ブラシ本体を支持するブラシ支持部と、を備え、前記ブラシ支持部は、前記洗浄面との反対側に、予め設定された水平方向に延びるガイドと、前記ガイドに設けられた開口部と、前記開口部から外側に突出する突出部と、前記ブラシ支持部の外周面に設けられるボタン部と、前記ボタン部の押し込み量によって前記突出部の突出幅を調整する突出幅調整機構と、を有し、前記ブラシ保持部は、前記水平方向に移動可能に前記ガイドを保持するガイド保持部と、前記ガイド保持部に設けられて前記突出部を収容する凹みと、を備え、前記ボタン部を押し込んだ場合は、前記突出幅調整機構が前記突出部を前記開口部から内側に後退させることで、前記ブラシが前記ブラシ保持部に対して前記水平方向に移動することができる状態になり、前記ボタン部を押し込まない場合は、前記突出幅調整機構が前記開口部から外側に前記突出部を突出させることで、前記突出部を前記凹みに収容させて、前記ブラシの前記水平方向の移動を規制することができる状態になることが好ましい。
【0027】
ブラシは、予め設定された水平方向に延びるガイドを備える。ブラシ保持部は、その水平方向に移動可能にガイドを保持するガイド保持部を備える。そのため、ブラシ保持部に対する上下方向および回転方向のブラシの移動を規制することができる。また、突出部を凹みに収容させることで、上述の水平方向の移動も規制することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る基板処理装置によれば、未使用のブラシにパーティクルが付着することを防止しながら、ブラシを自動的に交換できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】実施例1に係る基板処理装置の概略構成を示す側面図である。
【
図2】実施例1に係る基板処理装置の平面図である。
【
図3】(a)は、ブラシとブラシ保持部を示す縦断面図であり、(b)は、ブラシの斜視図である。
【
図4】(a)は、円柱部に設けられた凹みと長手凹みを示す横断面図であり、(b)は、円柱部の側壁の部分的な展開図であり、(c)は、凹みと長手凹みに3個の鋼球が収まった状態を示す横断面図である。
【
図5】長手凹みの効果を説明するための横断面図である。
【
図6】(a)は、取り外し部材を示す平面図であり、(b)は、取り外し部材を示す正面図である。
【
図7】ブラシ交換部の概略構成を示す縦断面図である。
【
図8】(a)は、実施例2に係るブラシ交換部の縦断面図であり、(b)は、ブラシ交換部の平面図である。
【
図9】(a)は、実施例3に係るブラシとブラシ保持部の側面図であり、(b)は、ブラシ保持部の斜視図である。
【
図10】(a)、(b)は、ブラシとブラシ保持部の横断面図である。
【
図11】実施例3に係るブラシ交換部の平面図である。
【
図12】実施例3に係るブラシ交換部の概略構成を示す縦断面図である。
【
図13】(a)~(c)は、実施例3に係るブラシ交換を説明するための縦断面図である。
【
図14】変形例に係る取り外し部材を示す側面図である。
【
図15】変形例に係るブラシとブラシ保持部を示す縦断面図である。
【
図16】変形例に係るブラシとブラシ保持部を示す縦断面図である。
【
図17】変形例に係るブラシ交換部を示す縦断面図である。
【
図18】変形例に係る基板処理装置を示す平面図である。
【実施例0030】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。
図1は、基板処理装置1の概略構成を示す側面図である。
図2は、基板処理装置1の平面図である。
【0031】
(1)基板処理装置の基本構成
図1、
図2を参照する。基板処理装置1は、ブラシ25を用いて基板Wを洗浄する。基板処理装置1は、保持回転部3、カップ5、処理液供給部7、ブラシ機構9および制御部101を備える。なお、保持回転部3は、本発明の基板保持部に相当する。
【0032】
保持回転部3は、基板Wを水平姿勢で保持して基板Wを鉛直軸AX1周りに回転させる。基板Wは、円板状に形成されている。保持回転部3は、スピンチャック11と回転駆動部13を備えている。回転駆動部13は、電動モータを備える。回転駆動部13は、基板Wを保持するスピンチャック11を鉛直軸AX1周りに回転させる。
【0033】
スピンチャック11は、
図2に示すように、スピンベース15および3本以上(例えば6本)の保持ピン17を備える。スピンベース15は、円板状に形成される。鉛直軸AX1は、スピンベース15(すなわち基板W)の中心を通過する。6本の保持ピン17は、スピンベース15の上面の周縁部に等間隔に立設される。また、6本の保持ピン17のうちの例えば一方側に配置された3本の保持ピン17Aは各々、自身を通過する鉛直軸周りに回転する。これにより、スピンチャック11は、6本の保持ピン17によって基板Wの周縁を挟み込むことで、基板Wを保持する。なお、スピンチャック11は、この説明のメカニカルチャックだけでなく、真空チャックまたは静電チャックであってもよい。
【0034】
カップ5は、保持回転部3で保持された水平姿勢の基板Wの外周を囲むように構成される。カップ5は、例えば基板Wの回転により飛散した処理液を受けるものである。カップ5は、昇降可能に構成される。
【0035】
処理液供給部7は、処理液ノズル19、処理液配管21、処理液供給源23および開閉弁V1を備える。処理液ノズル19は、保持回転部3で保持された基板Wに処理液を吐出する。処理液は、例えば脱イオン水(DIW)などの純水が用いられる。処理液配管21は、処理液ノズル19と処理液供給源23を接続する。処理液供給源23は、処理液配管21を通じて処理液ノズル19に処理液を供給する。開閉弁V1は、処理液配管21に設けられる。開閉弁V1は、処理液の供給とその供給の停止を行う。
【0036】
ブラシ機構9は、ブラシ25、ブラシ保持部27、シャフト29、アーム31および電動モータ33を備える。ブラシ25は、保持回転部3で保持された基板Wを洗浄するためのものである。ブラシ保持部27は、ブラシ25を着脱可能に保持する。なお、ブラシ25およびブラシ保持部27の詳細は後述する。
【0037】
ブラシ保持部27の上端部は、鉛直方向に延びるシャフト29の下端部に固定される。シャフト29の上部は、水平方向に延びるアーム31によって鉛直軸AX2周りに回転可能に保持される。シャフト29は、例えばベルトまたはギヤを介して、電動モータ33によって鉛直軸AX2周りに回転される。ブラシ25、ブラシ保持部27およびシャフト29は、アーム31の先端部(先端側)に設けられる。
【0038】
ブラシ機構9は、更に、昇降機構35と旋回駆動部37を備える。昇降機構35は、ブラシ25、ブラシ保持部27およびアーム31等を昇降させる。昇降機構35は、ガイドレール39と昇降駆動部41を備える。アーム31の基端部は、ガイドレール39によって昇降可能に滑り接触される。ガイドレール39は、アーム31を上下方向に案内する。昇降駆動部41は、例えば電動モータとねじ軸を備える。なお、昇降駆動部41はエアシリンダであってもよい。
【0039】
旋回駆動部37は、保持回転部3で保持された基板W、およびカップ5の外側に設けられる。旋回駆動部37は、ブラシ25、ブラシ保持部27、アーム31および昇降機構35等を鉛直軸AX3周りに旋回させる。旋回駆動部37は電動モータを備える。
図2に示すように、昇降機構35および旋回駆動部37は、保持回転部3で保持された基板W上の処理位置と、待機ポット43と、ブラシ交換部45(ブラシ回収部79およびブラシ取り付け部81)との間で、アーム31を介してブラシ25を移動させる。なお、昇降機構35および旋回駆動部37は、本発明のブラシ移動機構に相当する。
【0040】
(2)ブラシを着脱させるための構成
図3(a)は、ブラシ25とブラシ保持部27を示す縦断面図である。
図3(b)は、ブラシ25の斜視図である。ブラシ保持部27は、円筒部材51、穴部53、3個の開口部55、3個の鋼球57、ボール収容部59および付勢部61を備える。なお、鋼球57は、本発明の突出部に相当する。
【0041】
円筒部材51の上部51Aの外径は、円筒部材51の下部51Bの外径よりも小さい。穴部53は、鉛直に延びる中心軸(すなわち鉛直軸AX2)に沿って円柱状に形成される。穴部53の上端には、シャフト29の下端部が連結される。これにより、シャフト29に円筒部材51が固定される。
【0042】
円筒部材51には、3個のボール収容部59が形成される。3個のボール収容部59は鉛直軸周りに等間隔(120°)で配置される。ボール収容部59は、穴部53の内側の側壁53Aに開口部55を有しており、3個のボール収容部59に収容された3個の鋼球57は、開口部55から一部が突出するように構成される。
【0043】
上述の構成ではボール収容部59は、3個であったが、4個以上であってもよい。また、鋼球57は、例えばステンレス鋼など鉄で構成されるが、他の金属または樹脂であってもよい。鋼球57の個数は、3個であったが、4個以上であってもよい。
【0044】
3個のボール収容部59に収容された3個の鋼球57は、付勢部61によって支持される。付勢部61は、円筒部材51の上部51Aの外周を囲うように設けられる。付勢部61は、円筒状のケース部63と、押し込み部65と、円筒状のばね部材(弾性部材)67とを備える。ばね部材67は、上下方向のスリットを有して、ばね部材67の横断面がC状になっていてもよい。ケース部63の上端部の内壁は、円筒部材51の上部51Aの外壁に到達するように形成される。ケース部63の下端は、円筒部材51の下部51Bの上面に接触する。ケース部63は、ばね部材67が配置される空間SP1を形成する。
【0045】
押し込み部65は、当接部65Aと規制部65Bによって一体的に構成される。当接部65Aは、平面視で、円環形状の部材であって、下面から上面に向かって中空部の断面積が小さくなるように内周面にテーパを有している。また、当接部65Aは、上下方向Zにおいて、ばね部材67と円筒部材51の間に配置される。規制部65Bは、平面視で、当接部65Aより外径が小さく、当接部65Aと内径が同じ円環形状であって、当接部65Aの上面から延出されるように形成される。ばね部材67は、例えばステンレス鋼などの金属で形成される。ばね部材67は、水平方向において、ケース部63と規制部65Bの間に配置される。当接部65Aの内周面およびばね部材67は、3個の鋼球57をそれぞれ内周側(3個の開口部55側)に押し込む。
【0046】
ブラシ25は、ブラシ保持部27に対して着脱可能である。
図3(b)に示すように、ブラシ25は、ブラシ本体69、ブラシ支持部71および円柱部73を備える。ブラシ本体69は、例えばPVA(ポリビニルアルコール、polyvinyl alcohol)のスポンジブラシが用いられる。ブラシ本体69は円柱状に形成される。ブラシ本体69は、基板Wを洗浄するための洗浄面69Aを有する。ブラシ支持部71は、洗浄面69Aの反対側からブラシ本体69を支持する。ブラシ支持部71も円柱状に形成される。円柱部73は、ブラシ支持部71から洗浄面69Aの反対側に延びる。円柱部73は、ブラシ支持部71に固定される。円柱部73の外周面73Aには、凹み75と、凹み75と比較して円柱部73の円周方向に長い凹みである長手凹み77が形成される。
【0047】
図4(a)は、円柱部に設けられた凹み75と長手凹み77を示す横断面図である。
図4(b)は、円柱部73の側壁(外周面)73Aの部分的な展開図である。
図4(c)は、凹み75と長手凹み77に3個の鋼球57が収まった状態を示す横断面図である。
【0048】
凹み75の上下方向Zの長さおよび水平方向の幅は、開口部55から部分的に突出する鋼球57の略半球状の部分の長さ(上下方向Z)および幅(水平方向)と略同じになるように形成される。また、長手凹み77の上下方向Zの長さも同様に、開口部55から部分的に突出する鋼球57の略半球状の部分の長さ(上下方向Z)と略同じになるように形成される。
【0049】
図4(b)に示すように、長手凹み77は、円周方向に長手に凹んでいる。
図4(a)および
図4(b)に示すように、ブラシ保持部27の穴部53にブラシ25の円柱部73を挿入した場合、凹み75は、3個の鋼球57のうちの第1の鋼球57Aを収容する。また、長手凹み77は、その両端部で残りの2個の鋼球57B,57Cを収容する。なお、円柱部73が中空(円筒状)である場合、凹み75および長手凹み77は、貫通する孔部であってもよい。
【0050】
凹み75と長手凹み77に3個の鋼球57が収まることで、ブラシ保持部27に対してブラシ25の上下方向および円周方向の移動が規制される。円周方向の移動の規制は、第1の鋼球57Aが凹み75に収容されることだけでなく、2個の鋼球57B,57Cが長手凹み77に収容されることによっても行われる。
図4(a)において、鋼球57B,57Cが鉛直軸AX2周りに回転する場合、第2の鋼球57Bの時計回りの回転は、長手凹み77の第1端77Aで規制され、第3の鋼球57Cの反時計回りの回転は、第2端77Bで規制される。
【0051】
なお、ブラシ保持部27の穴部53にブラシ25の円柱部73を挿入する際に、各鋼球57は、円柱部73によって外周側に押されることで、開口部55から穴部53側に突出しない状態になる。具体的には、押し込み部65は、ばね部材67によって鉛直方向に移動可能な状態で支持されている。また、押し込み部65の当接部65Aは、平面視で下面から上面に向かって中空部の断面積が小さくなるようなテーパ形状を内周面に有する。そのため、鋼球57によって内周面が外側に向かって押された際には、押された力の向き(水平方向)が鉛直方向の上向きに変換される。そのため、押し込み部65が鉛直方向の上向きに移動することで、鋼球57が円筒部材51の側壁53Aより内側に収容される。その後、3個の開口部55と2個の凹み75,77とが対向するときに、押し込み部65とばね部材67の復元力により、3個の鋼球57が3個の開口部55から部分的に突出する。具体的には、押し込み部65による下向き(鉛直方向)の力が、テーパ形状の内周面により、内周面から内側に向かう力(水平方向)に変換される。これにより、テーパ形状の内周面により付勢された3個の鋼球57が各開口部55から部分的に突出することで、凹み75および長手凹み77に収容され、また、ブラシ25の移動が規制される。
【0052】
また、
図3(a)において、ブラシ保持部27からブラシ25を取り外すときは、ブラシ25を下方に引っ張る。所定の引っ張り力により、円柱部73が3個の鋼球57を外側に押し込む。これにより、3個の鋼球57は、開口部55から穴部53側に突出しない状態になる。そのため、ブラシ保持部27からブラシ25を取り外すことができる。
【0053】
ここで、
図5を参照しながら長手凹み77の効果について説明する。例えば、円柱部73に長手凹み77が設けられておらず、3個の鋼球57に対応する「3個の凹み75」が120°間隔で鉛直軸AX4周りに配置されていると仮定する。この場合、ブラシ25をブラシ保持部27に取り付ける際に、3個の鋼球57を3個の凹み75に収めることが難しい。ブラシ25の円柱部73をブラシ保持部27の穴部53に挿入した際に、3個の鋼球57が3個の凹み75に収まっていなければ、円柱部73が穴部53から抜けてしまう場合がある。
【0054】
これに対し、本実施例の円柱部73には、凹み75と長手凹み77が設けられる。
図5に示すように、ブラシ25の円柱部73をブラシ保持部27の穴部53に挿入した際に、少なくとも1個の鋼球57が長手凹み77に収容される。そのため、ブラシ25の上下方向の移動が規制される。そのため、円柱部73が穴部53から抜けてしまうことを防止できる。その後、例えば、ブラシ25の鉛直軸AX2周りの回転により、ブラシ保持部27に対してブラシ25が円周方向に滑ることで、3個の鋼球57が凹み75と長手凹み77に収まり、ブラシ25の回転が規制される。また、ブラシ25を確実に保持することができる。
【0055】
(3)ブラシ交換部の構成
図2を参照する。ブラシ交換部45は、使用済みのブラシ25A(ブラシ25)を未使用のブラシ25Bに交換するためのものである。未使用のブラシ25Bは、ブラシ25と同様に構成される。例えば、未使用のブラシ25Bのブラシ本体69は、ブラシ25のブラシ本体69のように、PVAのスポンジブラシである。待機ポット43は保持回転部3の周囲に配置されたカップ5の外側に配置される。
【0056】
ブラシ交換部45は、平面視で、保持回転部3で保持された基板W、およびカップ5を介して、待機ポット43の反対側に設けられる。また、ブラシ交換部45は、保持回転部3で保持された基板W、およびカップ5の外側の位置に配置される。ブラシ交換部45は、ブラシ回収部79とブラシ取り付け部81を備える。
【0057】
(3-1)ブラシ回収部
ブラシ回収部79では、ブラシ保持部27からブラシ25が取り外される。ブラシ回収部79は、取り外し部材83とブラシ回収容器85を備える。取り外し部材83は、ブラシ回収容器85の上方に設けられる。取り外し部材83は、平面視で、ブラシ機構9によるブラシ25の水平移動の経路RT上に配置される。
【0058】
図6(a)は、取り外し部材83を示す平面図である。
図6(b)は、
図6(a)の矢印AR1の方向から見た取り外し部材83を示す正面図である。取り外し部材83は、ブラシ25を取り外す際に、ブラシ25の上面に当接することで、ブラシ25の高さ方向の位置(動き)を規制するための部材である。
図6(a)に示すように、取り外し部材83は、1個の基礎部分83Aと、その基礎部分83Aから分かれた2個の引っ掛け部分83B,83Cとを有し、U字状または二叉フォーク状で構成される。
【0059】
ブラシ保持部27からブラシ25を取り外すとき、ブラシ機構9は、先ず、2個の引っ掛け部分83B,83Cの間にブラシ保持部27を通す。その後、ブラシ機構9は、ブラシ保持部27を上昇させる。これにより、
図6(b)に示すように、ブラシ25は、2個の引っ掛け部分83B,83Cによって上方への移動が妨げられ、また、ブラシ保持部27は、ブラシ25と分離されながら上昇される。したがって、ブラシ25は、ブラシ保持部27から取り外される。取り外されたブラシ25は、取り外し部材83(引っ掛け部分83B,83C)により保持されない。そのため、ブラシ25は、取り外し位置から落下してブラシ回収容器85に回収される。
【0060】
図7は、ブラシ交換部45の概略構成を示す縦断面図である。ブラシ回収容器85は、未使用のブラシ25Bの保管位置(高さ)P11よりも低い位置に、使用済みのブラシ25Aを回収する。すなわち、ブラシ回収容器85の内側の底面85Aは、保管位置P11よりも低い位置に設けられる。また、ブラシ回収容器85は、取り外し部材83の2個の引っ掛け部分83B,83Cの下方に設けられる。ブラシ回収容器85は、基板処理装置1の基台87に対して着脱可能である。そのため、使用済みのブラシ25Aを収容した状態でブラシ回収容器85を持ち運ぶことができる。
【0061】
(3-2)ブラシ取り付け部
図2を参照する。ブラシ取り付け部81は、未使用のブラシ25Bをブラシ保持部27に取り付ける。ブラシ取り付け部81は、ブラシ回収部79に隣接して配置される。ブラシ取り付け部81は、ブラシ回収部79と異なる位置に配置される。
【0062】
図7を参照する。ブラシ取り付け部81は、1個又は複数個(例えば3個)の未使用のブラシ25Bを保管する。ブラシ取り付け部81は、ブラシ収容容器91および液排出容器93を備える。また、液体供給部89は、ブラシ収容容器91に液体を供給する。
【0063】
液体供給部89は、液体ノズル95、液体配管97、液体供給源98および開閉弁V2を備える。液体ノズル95は、ブラシ収容容器91に、液体として、例えば脱イオン水(DIW)などの純水を供給する。液体ノズル95からの純水は、未使用のブラシ25Bに直接当ててもよいし、直接当てなくてもよい。液体供給源98は、液体配管97を通じて液体ノズル95に純水を供給する。開閉弁V2は、液体配管97に設けられる。開閉弁V2は、純水の供給およびその供給の停止を行う。
【0064】
ブラシ収容容器91は、液体供給部89の液体ノズル95から供給された純水を貯留する。ブラシ収容容器91は、貯留された純水に3個の未使用のブラシ25Bのブラシ本体69を浸漬させながら保管中の3個の未使用のブラシ25Bを収容する。ブラシ収容容器91は、例えば、底が浅いトレイ状に形成される。ブラシ収容容器91は、未使用のブラシ25Bを保管しているときに、液体ノズル95から純水が供給され続ける。これにより、未使用のブラシ25Bを浸す純水の清浄度を保つことができる。なお、ブラシ回収容器85の側壁のうち、ブラシ取り付け部81に対向する側壁W1と、ブラシ収容容器91のうちブラシ回収部79と対向する側壁W2が本発明における隔離部に相当する。当該構成によれば、ブラシ回収部79とブラシ取り付け部81を隔てることができる。そのため、使用済みのブラシ25A起因のパーティクルが、ブラシ取り付け部81で扱う未使用のブラシ25Bに付着することを確実に防止することができる。
【0065】
液排出容器93は、ブラシ収容容器91を収容する。すなわち、ブラシ収容容器91の側方の外周は、液排出容器93の内壁に囲まれる。液排出容器93の底部には、排出口93Aが設けられる。したがって、液排出容器93は、ブラシ収容容器91の上側開口部からオーバーフローした純水を受け入れながら、その純水を排出する。なお、液排出容器93のうちブラシ回収部79と対向する側壁W3が本発明の隔離部に相当する。すなわち、側壁W1,W2,W3の少なくとも1つが本発明の隔離部に相当する。
【0066】
図2に示すように、例えば3個の未使用のブラシ25Bは、平面視で、ブラシ保持部27の移動経路RT上に配置される。ブラシ収容容器91は、各未使用のブラシ25Bを予め設定された位置で保管できるように、例えば凹みなどの案内が設けられている。
【0067】
(4)基板処理装置の制御部
基板処理装置1は、制御部101と記憶部(図示しない)を備える。制御部101は、基板Wの処理およびブラシ交換を制御する。制御部101は、例えば中央演算処理装置(CPU)などの1つ以上のプロセッサを備える。記憶部は、例えば、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)、およびハードディスクの少なくとも1つを備えている。記憶部は、制御部101が基板処理装置1の各構成を制御するために必要なコンピュータプログラムを記憶する。
【0068】
(5)基板処理装置の動作
次に、基板処理装置1の動作について説明する。
図2に示すように、通常、ブラシ保持部27で保持されたブラシ25は、待機ポット43で待機される。まず、通常の基板Wの裏面のブラシ洗浄について説明する。
【0069】
(5-1)通常の基板Wの裏面のブラシ洗浄
図示しない搬送ロボットは保持回転部3のスピンチャック11上に基板Wを搬送する。搬送された基板Wの電子回路が形成されるデバイス面(表面)は、下向きであり、その基板Wの非デバイス面(裏面)は、上向きである。保持回転部3は、搬送された基板Wを保持し、その基板Wを鉛直軸AX1周りに回転させる。開閉弁V1が開かれると、処理液ノズル19から基板Wの裏面(すなわち上面)に処理液が吐出される。その後、ブラシ機構9は、ブラシ25を鉛直軸AX2周りに回転させながら、ブラシ25を鉛直軸AX3周りに揺動し、かつ処理液が吐出された基板Wの裏面にブラシ25を作用させることで、基板Wの裏面を洗浄する。
【0070】
基板Wの裏面の洗浄後、ブラシ機構9は、ブラシ25を待機ポット43に戻し、また、開閉弁V1を閉じることで、処理液の吐出を停止させる。処理液の吐出を停止した後、保持回転部3は、基板Wを高速回転させることで、基板Wを乾燥させる。その後、保持回転部3は、基板Wの回転を停止させ、また、基板Wの保持を解放する。その後、図示しない搬送ロボットは、ブラシ25で洗浄された基板Wをスピンチャック11から搬送する。
【0071】
(5-2)ブラシ交換
次に、ブラシ交換について説明する。ブラシ機構9は、待機ポット43からカップ5の外側の位置P1(
図7参照)にブラシ25を保持するブラシ保持部27を移動させる。その後、ブラシ機構9の昇降機構35は、位置P1から位置P2にブラシ保持部27を下降させる。その後、ブラシ機構9の旋回駆動部37は、位置P2から位置P3にブラシ保持部27を鉛直軸AX3周りに旋回させる。これにより、ブラシ保持部27は、ブラシ回収部79の取り外し部材83の2個の引っ掛け部分83B,83Cの間に移動される。
【0072】
その後、昇降機構35は、位置P3から位置P4にブラシ保持部27を上昇させる。この際、ブラシ25は、2個の引っ掛け部分83B,83Cによって上方への移動が制限される。そのため、ブラシ保持部27のみが位置P4に上昇される一方、ブラシ25がブラシ保持部27から取り外される。取り外されたブラシ25は、取り外し部材83による取り外し位置から落下して、使用済みのブラシ25Aとしてブラシ回収容器85に回収される。
【0073】
その後、旋回駆動部37は、位置P4から位置P5にブラシ保持部27を鉛直軸AX3周りに旋回される。位置P5は、ブラシ収容容器91において保管中の3個の未使用のブラシ25Bのうちの1個の未使用のブラシ25Bの上方の位置である。ブラシ保持部27が位置P5に移動された後、昇降機構35は、ブラシ保持部27を下降させる。これにより、ブラシ保持部27の穴部53に未使用のブラシ25Bの円柱部73が挿入される。また、円柱部73に設けられた凹み75と長手凹み77に3個の鋼球57が収まることで、ブラシ保持部27に対して未使用のブラシ25Bが上下方向および回転方向(鉛直軸AX2周りの回転方向)が固定される。
【0074】
その後、昇降機構35は、未使用のブラシ25Bを保持するブラシ保持部27を位置P6に上昇させる。その後、ブラシ機構9は、位置P6から例えば待機ポット43に未使用のブラシ25Bを移動させる。未使用のブラシ25Bは、洗浄度を高めるために初期汚染を取り除く処理が行われた後に、基板Wの裏面のブラシ洗浄を行う。
【0075】
本実施例によれば、ブラシ回収部79とブラシ取り付け部81とが分けられているので、使用済みのブラシ25Aと未使用のブラシ25Bとを同じ領域で取り扱わない。これにより、取り外された使用済みのブラシ25Aから未使用のブラシ25Bを離すことができる。したがって、未使用のブラシ25Bにパーティクルが付着することを防止しながら、ブラシ25を自動的に交換できる。
【0076】
また、ブラシ取り付け部81は、保管中の未使用のブラシ25Bを収容するブラシ収容容器91を備えている。
【0077】
ブラシ取り付け部81にブラシ収容容器91を備えることで、ブラシ取り付け部81とブラシ回収部79を隔てることができる。そのため、使用済みのブラシ25A起因のパーティクルが、ブラシ取り付け部81で扱う未使用のブラシ25Bに付着することを確実に防止することができる。
【0078】
また、ブラシ取り付け部81は、保管中の未使用のブラシ25Bに純水を供給する液体供給部89を備えている。
【0079】
保管中の未使用のブラシ25Bが乾燥すると、例えば未使用のブラシ25Bの細かな隙間にパーティクルが入る可能性がある。パーティクルがその隙間に入り込むと、パーティクルを取り出すのが大変である。そのため、未使用のブラシ25Bをブラシ保持部27に取り付けた後、製品となる基板Wのブラシ洗浄を行うまで、長時間を費やしてしまう可能性がある。そのため、基板処理装置1の稼働率が低下して生産性が悪化してしまう。しかし、本実施例によれば、液体供給部89が保管中の未使用のブラシ25Bに純水を供給するので、保管中の未使用のブラシ25Bの乾燥を防止することができる。そのため、保管中の未使用のブラシ25Bの細かな隙間にパーティクルが入ることを防止することができる。
【0080】
また、ブラシ回収部79は、取り外された使用済みのブラシ25Aを回収するブラシ回収容器85を備えている。
【0081】
ブラシ回収部79にブラシ回収容器85を備えることで、ブラシ取り付け部81とブラシ回収部79を隔てることができる。そのため、使用済みのブラシ25A起因のパーティクルが、ブラシ取り付け部81で扱う未使用のブラシ25Bに付着することを確実に防止することができる。
【0082】
また、ブラシ回収部79は、ブラシ25を取り外すための取り外し部材83を備えている。
【0083】
取り外し部材83を用いることで、ブラシ保持部27からブラシ25を取り外し、使用済みのブラシ25Aとしてブラシ回収容器85に回収することができる。
【0084】
また、ブラシ取り付け部81は、ブラシ回収部79に隣接して配置される。
【0085】
ブラシ回収部79で使用済みのブラシ25Aを取り外した後に素早く未使用のブラシ25Bを取り付けることができる。また、ブラシ取り付け部81がブラシ回収部79に隣接した状態でも、取り外された使用済みのブラシ25Aから未使用のブラシ25Bを離すことができる。
【0086】
また、ブラシ回収部79とブラシ取り付け部81の間に、前記ブラシ回収部79と前記ブラシ取り付け部81とを隔てるブラシ回収容器85の側壁W1、ブラシ収容容器91の側壁W2または液排出容器93の側壁W3を備えている。当該構成によれば、ブラシ回収部79とブラシ取り付け部81を隔てることができる。そのため、使用済みのブラシ25A起因のパーティクルが、ブラシ取り付け部81で扱う未使用のブラシ25Bに付着することを確実に防止することができる。
【0087】
また、長手凹み77は、円周方向に長手に凹んでおり、3個の鋼球57のうちの2個の鋼球57を収容することができる。そのため、例えば、ブラシ保持部27の穴部53にブラシ25の円柱部73を挿入した際に、3個の鋼球57のうちの1つは、長手凹み77に収容される。そのため、ブラシ保持部27に対するブラシ25の上下方向の移動を規制させることできる。そのため、ブラシ25がブラシ保持部27から外れてしまうことを防止することができる。
水平移動部111は、スライダ113、ガイドレール115、ねじ軸117および電動モータ119を備える。スライダ113は、例えば、ブラシ収容容器91の下面に固定される。ガイドレール115およびねじ軸117は各々、X方向に延びるように配置される。ガイドレール115は、スライダ113を貫通する。ねじ軸117は、スライダ113の内ねじ113Aと噛み合う。電動モータ119の出力軸119Aは、ねじ軸117の一端に連結される。電動モータ119がねじ軸117を正方向に回転させると、スライダ113およびブラシ収容容器91が+X方向に前進する。電動モータ119がねじ軸117を逆方向に回転させると、スライダ113およびブラシ収容容器91が-X方向に後退する。
本実施例によれば、ブラシ取り付け部81は、ブラシ収容容器91を水平移動させる水平移動部111を更に備えている。平面視における移動経路RT上に任意の未使用のブラシ25Bを搬送することができる。そのため、ブラシ収容容器91に多くの未使用のブラシ25Bを収容して保管することができる。
なお、本実施例において、水平移動部111は、液排出容器93を水平移動させずに、ブラシ収容容器91を水平移動させた。この点、水平移動部111は、ブラシ収容容器91および液排出容器93を一体的に水平移動させてもよい。