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特開2024-119354アルミナセメント組成物および不定形耐火物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119354
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】アルミナセメント組成物および不定形耐火物
(51)【国際特許分類】
   C04B 7/32 20060101AFI20240827BHJP
   C04B 28/06 20060101ALI20240827BHJP
   C04B 22/14 20060101ALI20240827BHJP
   C04B 14/30 20060101ALI20240827BHJP
   C04B 14/02 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
C04B7/32
C04B28/06
C04B22/14 B
C04B22/14
C04B22/14 A
C04B14/30
C04B14/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026190
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】平田 慧
(72)【発明者】
【氏名】小山 厚徳
(72)【発明者】
【氏名】中川原 章
(72)【発明者】
【氏名】小宮 武実
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112MB11
4G112MB13
4G112MB23
4G112PA02
4G112PA11
4G112PB10
4G112PB11
(57)【要約】
【課題】アルミナセメントの使用時のH2Sの発生を低減する技術を提供する。
【解決手段】アルミナセメントと、硫黄を含有する硫黄化合物と、を含むアルミナセメント組成物であって、硫黄化合物としてCaSを含むとともに、Al2(SO43・8H2O、CaSO4およびAl23からなる群から選択される1または2以上の成分を含み、アルミナセメント組成物中のCaS、Al2(SO43・8H2O、CaSO4およびAl23の含有量の合計に対するCaSの含有量の割合が、10質量%以上65質量%以下である、アルミナセメント組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミナセメントと、
硫黄を含有する硫黄化合物と、
を含むアルミナセメント組成物であって、
前記硫黄化合物としてCaSを含むとともに、Al2(SO43・8H2O、CaSO4およびAl23からなる群から選択される1または2以上の成分を含み、
当該アルミナセメント組成物中のCaS、Al2(SO43・8H2O、CaSO4およびAl23の含有量の合計に対するCaSの含有量の割合が、10質量%以上65質量%以下である、アルミナセメント組成物。
【請求項2】
前記成分としてCaSOを含み、
当該アルミナセメント組成物中のCaS、Al2(SO43・8H2O、CaSO4およびAl23の含有量の合計に対するCaSOの含有量の割合が、0質量%超90質量%以下である、請求項1に記載のアルミナセメント組成物。
【請求項3】
前記成分としてAl2(SO43・8H2Oを含み、
当該アルミナセメント組成物中のCaS、Al2(SO43・8H2O、CaSO4およびAl23の含有量の合計に対するAl2(SO43・8H2Oの含有量の割合が、0質量%超50質量%以下である、請求項1または2に記載のアルミナセメント組成物。
【請求項4】
当該アルミナセメント組成物全体に対する前記硫黄の含有率が、0.0001質量%以上0.030質量%以下である、請求項1または2に記載のアルミナセメント組成物。
【請求項5】
前記アルミナセメントが、鉱物組成としてCaO・Al23、CaO・2Al23、Al23および非晶質を含む、請求項1または2に記載のアルミナセメント組成物。
【請求項6】
請求項1または2に記載のアルミナセメント組成物と、
耐火骨材と、
を有する不定形耐火物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミナセメント組成物および不定形耐火物に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミナセメント組成物に関する技術として、特許文献1(特開2004-123430号公報)に記載のものがある。同文献には、アルミナセメントと特定量のメチルハイドロジェンポリシロキサンシリコーンオイルとを必須成分として含む、貯蔵安定性に優れたアルミナセメント系組成物について記載されている(請求項1)。また、同文献には、アルミナセメント系組成物中に促進剤として硫酸アルミニウムを配合したことが記載されている(段落0012、表1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-123430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アルミナセメント組成物について本発明者らが検討したところ、使用時のH2Sの発生を低減する点で改善の余地があることが明らかになった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、以下のアルミナセメント組成物および不定形耐火物が提供される。
[1] アルミナセメントと、
硫黄を含有する硫黄化合物と、
を含むアルミナセメント組成物であって、
前記硫黄化合物としてCaSを含むとともに、Al2(SO43・8H2O、CaSO4およびAl23からなる群から選択される1または2以上の成分を含み、
当該アルミナセメント組成物中のCaS、Al2(SO43・8H2O、CaSO4およびAl23の含有量の合計に対するCaSの含有量の割合が、10質量%以上65質量%以下である、アルミナセメント組成物。
[2] 前記成分としてCaSOを含み、
当該アルミナセメント組成物中のCaS、Al2(SO43・8H2O、CaSO4およびAl23の含有量の合計に対するCaSOの含有量の割合が、0質量%超90質量%以下である、[1]に記載のアルミナセメント組成物。
[3] 前記成分としてAl2(SO43・8H2Oを含み、
当該アルミナセメント組成物中のCaS、Al2(SO43・8H2O、CaSO4およびAl23の含有量の合計に対するAl2(SO43・8H2Oの含有量の割合が、0質量%超50質量%以下である、[1]または[2]に記載のアルミナセメント組成物。
[4] 当該アルミナセメント組成物全体に対する前記硫黄の含有率が、0.0001質量%以上0.030質量%以下である、[1]乃至[3]いずれか一つに記載のアルミナセメント組成物。
[5] 前記アルミナセメントが、鉱物組成としてCaO・Al23、CaO・2Al23、Al23および非晶質を含む、[1]乃至[4]いずれか一つに記載のアルミナセメント組成物。
[6] [1]乃至[5]いずれか一つに記載のアルミナセメント組成物と、耐火骨材と、を有する不定形耐火物。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、アルミナセメントの使用時のH2Sの発生を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本実施形態において、組成物は、各成分をいずれも単独でまたは2種以上を組み合わせて含むことができる。
本明細書において、数値範囲を示す「~」は、以上、以下を表し、両端の数値をいずれも含む。
【0008】
(アルミナセメント組成物)
本実施形態において、アルミナセメント組成物は、アルミナセメントと、硫黄を含有する硫黄化合物と、を含む。アルミナセメント組成物は、上記硫黄化合物としてCaSを含むとともに、Al2(SO43・8H2O、CaSO4およびAl23からなる群から選択される1または2以上の成分を含む。そして、アルミナセメント組成物中のCaS、Al2(SO43・8H2O、CaSO4およびAl23の含有量の合計に対するCaSの含有量の割合が、10質量%以上65質量%以下である。
【0009】
本実施形態においては、アルミナセメント組成物がアルミナセメントと硫黄化合物を含み、硫黄化合物の種類および量について上述の構成を有するため、使用時のH2Sの発生の低減効果に優れている。このため、本実施形態におけるアルミナセメント組成物は、その使用環境の選択の自由度や、作業時の条件の選択の自由度に優れている。
以下、アルミナセメント組成物中の成分について説明する。
【0010】
アルミナセメントは、具体的には、CaO源およびAl23源ならびに適宜他の原料(たとえばSiO2源)を所定の成分割合になるように配合し、溶融または焼成した後急冷してクリンカー得、これを粉砕して得られる。
CaO源として、たとえば石灰石および生石灰の少なくとも一方が挙げられる。また、Al23源として、たとえば精製アルミナ、ボーキサイトおよびアルミ残灰からなる群から選択される少なくとも一種が挙げられる。
【0011】
原料の加熱方法は好ましくは溶融法とする。このとき、たとえば原料を混合または混合粉砕し、電気炉、反射炉、縦型炉、平炉等の溶融炉を用いて1200~1900℃程度の温度で溶融することができる。
また、焼成法では、たとえばロータリーキルンまたはシャトルキルンにて1200~1900℃程度の温度で焼成することができる。
また、クリンカーの粉砕においては、通常の粉塊物の微粉砕用の粉砕機を用いることができる。粉砕機として、ローラーミル、ジェットミル、チューブミル、ボールミル、振動ミル等が挙げられる。
【0012】
アルミナセメントに含まれる化学物質として、たとえば、3CaO・Al23、12CaO・7Al23、11CaO・7Al23・CaF2、CaO・Al23、2CaO・Al23・SiO2、CaO・Al23・2SiO2、3CaO・3Al23・CaF2および3CaO・2Na2O・5Al23からなる群から選択される一または二以上の物質が挙げられる。
また、アルミナセメントは、たとえば、鉱物組成としてCaO・Al23(CA)、CaO・2Al23(CA2)、Al23および非晶質を含むものとすることができる。
【0013】
硫黄化合物は、CaSを含むとともに、Al2(SO43・8H2O、CaSO4およびAl23からなる群から選択される1または2以上の成分を含む。たとえば、アルミナセメント組成物は、硫黄化合物としてCaS、Al2(SO43・8H2OおよびCaSO4を含むものであってもよい。
【0014】
アルミナセメント組成物中のCaSの含有量の割合は、CaS、Al2(SO43・8H2O、CaSO4およびAl23の含有量の合計に対して、アルミナセメントの使用時のH2Sの発生を低減する観点から、10質量%以上であり、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。
同様の観点から、アルミナセメント組成物中のCaSの含有量の割合は、CaS、Al2(SO43・8H2O、CaSO4およびAl23の含有量の合計に対して、65質量%以下であり、より好ましくは62質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
【0015】
硫黄化合物がCaSOを含むとき、アルミナセメント組成物中のCaS、Al2(SO43・8H2O、CaSO4およびAl23の含有量の合計に対するCaSOの含有量の割合は、アルミナセメントの使用時のH2Sの発生を低減する観点から、たとえば0質量%超であり、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。
同様の観点から、アルミナセメント組成物中のCaS、Al2(SO43・8H2O、CaSO4およびAl23の含有量の合計に対するCaSOの含有量の割合は、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である、さらにより好ましくは30質量%以下、よりいっそう好ましくは20質量%以下である。
【0016】
硫黄化合物がAl2(SO43・8H2Oを含むとき、アルミナセメント組成物中のCaS、Al2(SO43・8H2O、CaSO4およびAl23の含有量の合計に対するAl2(SO43・8H2Oの含有量の割合は、アルミナセメントの使用時のH2Sの発生を低減する観点から、たとえば0質量%超であり、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上である。
同様の観点から、アルミナセメント組成物中のCaS、Al2(SO43・8H2O、CaSO4およびAl23の含有量の合計に対するAl2(SO43・8H2Oの含有量の割合は、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
【0017】
アルミナセメント組成物全体に対する硫黄の含有率は、アルミナセメントの使用時のH2Sの発生を低減する観点から、好ましくは0.030質量%以下であり、より好ましくは0.025質量%以下、さらに好ましくは0.020質量%以下、さらにより好ましくは0.015質量%以下である。
また、上記硫黄の含有率は、たとえば0.0001質量%以上であってよく、また、たとえば0.001質量%以上であってもよい。
【0018】
また、アルミナセメント組成物は、通常不定形耐火物に配合される成分等、上述の成分以外の成分を含んでもよい。たとえば、流動性をより好ましいものとする観点から、アルミナセメント組成物は、硬化促進剤、硬化遅延剤および流動化剤からなる群から選択される一種または二種以上の添加剤をさらに含んでもよい。
【0019】
このうち、硬化促進剤として、たとえば、Li2CO3、Ca(OH)2、NaOH、KOH等のリチウム塩;水酸化物からなる群から選択される少なくとも一種が挙げられ、硬化促進作用向上の観点から、リチウム塩が好ましい。
また、硬化遅延剤として、たとえば、硼酸等の無機酸;カルボン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等の有機酸;ならびにヘキサメタ燐酸、トリポリ燐酸およびピロ燐酸のアルカリ塩が挙げられる。
【0020】
本実施形態において、アルミナセメント組成物は、たとえばアルミナセメント、硫黄化合物および適宜他の原料を所定の割合となるよう混合して得ることができる。混合は、たとえば、V型ブレンダー、コーンブレンダー、ナウターミキサー、パン型ミキサー、オムニミキサー等の混合機を用いて均一混合することにより行ってもよいし、振動ミル、チューブミル、ボールミル、ローラーミル等の粉砕機で混合粉砕することにより行ってもよい。
アルミナセメント組成物の中心粒径は、たとえば3~12μm程度とすることができる。
【0021】
(不定形耐火物)
不定形耐火物は、上述した本実施形態におけるアルミナセメント組成物と、耐火骨材と、を有する。
【0022】
不定形耐火物中のアルミナセメント組成物の配合量は、耐火骨材の接着性を向上する観点から、不定形耐火物全体に対して好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上であり、また、たとえば30質量%以上であってもよい。
また、耐火性向上の観点から、不定形耐火物中のアルミナセメント組成物の配合量は、不定形耐火物全体に対してたとえば50質量%以下であってよく、また、たとえば20質量%以下または10質量%以下であることも好ましい。
【0023】
耐火骨材としては、通常、不定形耐火物に使用されている耐火骨材を用いることができる。耐火骨材として、たとえば、溶融マグネシア、焼結マグネシア、天然マグネシア、軽焼マグネシア等のマグネシア;
溶融マグネシアスピネル、焼結マグネシアスピネル等のマグネシアスピネル;
溶融アルミナ、焼結アルミナ、軽焼アルミナ、易焼結アルミナ等のアルミナ;
シリカフューム、コロイダルシリカ、軽焼アルミナ、易焼結アルミナ等の超微粉;ならびに、溶融シリカ、焼成ムライト、酸化クロム、ボーキサイト、アンダルサイト、シリマナイト、シャモット、ケイ石、ロー石、粘土、ジルコン、ジルコニア、ドロマイト、パーライト、バーミキュライト、煉瓦屑、陶器屑、窒化珪素、窒化ホウ素、炭化珪素および窒化珪素鉄からなる群から選択される一種または二種以上が挙げられる。
【0024】
不定形耐火物中の耐火骨材の配合量は、耐火性向上の観点から、不定形耐火物全体に対してたとえば50質量%以上であってよく、また、たとえば80質量%以上または90質量%以上とすることも好ましい。
また、耐火骨材の接着性を向上する観点から、不定形耐火物中の耐火骨材の配合量は、不定形耐火物全体に対して好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは97質量%以下であり、また、たとえば70質量%以下であってもよい。
【0025】
不定形耐火物は、たとえば、通常の不定形耐火物の製造方法に準じた方法で得ることができる。さらに具体的には、アルミナセメント組成物および耐火骨材を含む原料を所定の割合になるように配合し、V型ブレンダー、コーンブレンダー、ナウターミキサー、パン型ミキサー、オムニミキサー等の混合機を用いて均一混合してもよいし、所定の割合で混練り施工する際、混練り機に直接秤込んでもよい。
【0026】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例0027】
以下、本実施形態を実施例及び比較例を挙げて本実施形態を具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
(実施例1~5)
Al23源として市販ボーキサイト、CaO源として市販生石灰を用い、生成物中の鉱物組成が所定の割合になるように配合し、カーボンルツボ内で、約1800℃で溶融後、冷却してアルミナセメント組成物を作製した(実施例1)。
得られたアルミナセメント組成物の化学成分を、蛍光X線分析装置を用いてビード法で測定した。測定結果を表1に示す。また、得られたアルミナセメント組成物中の硫黄(S)量ならびにS含有化合物種類および含有割合を、X線吸収微細構造(X-ray Absorption Fine Structure:XAFS)装置により得られたXAFSスペクトル中のXANES(X-ray Absorption Near Edge Structure)領域を線形フィッティングすることにより測定した。測定結果を表2に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
(特性)
得られたアルミナセメント組成物をバッチ式ボールミルにて、平均粒径6μmに調整し、JIS R 2521に準じてモルタル試験を実施した。具体的な試験方法は以下の通りであり、結果を表3に示す。
(中心粒径、比表面積(Blaine値))
中心粒径(μm)については、マイクロトラック・ベル社製粒度分布測定機/MT3000IIにより測定し、Blaine値(cm2/g)についてはJIS R 2521の比表面積試験に準じておこなった。
(流動性:フロー)
20℃または30℃の恒温室内に混練物を所定時間(3分、30分または60分)保管した後、JIS R 2521フロー試験に準拠し、5回、10回または15回の落下運動を与え、フロー値(mm)を測定した。
(発熱時間)
20℃または30℃の恒温室内に混練物を放置した際の、注水から発熱温度が最大に到達するまでの時間を、温度記録計を用いて測定し、発熱時間とした。
(養生強度)
4×4×16cmの型枠に混練物を入れ、20℃恒温室内で24時間養生した後、圧縮強さを測定した。
(乾燥強度)
4×4×16cmの型枠に混練物を入れ、20℃恒温室内で24時間養生した後、さらに110℃にて24時間乾燥して、圧縮強さを測定した。
【0032】
【表3】
【0033】
(H2S量)
実施例1で得られたアルミナセメント組成物の使用時のH2S量を以下の方法で評価した。
実施例1で得られたアルミナセメント組成物を用いて表4に示す原料を20℃・85%RH環境にて混練し、実施例2の組成物を得た。混練直後のH2S量を検知管式気体測定器により測定した。測定結果を表4にあわせて示す。
また、実施例3~5では、表4に示すように、実施例1で得られたアルミナセメント組成物とともに、さらにCaSを添加する配合とし、実施例2に準じて組成物を得、H2S量を測定した。
【0034】
【表4】
【0035】
表4より、実施例1の組成物を用いて得られた実施例2~5の配合においては、いずれも、混練直後のH2S量が0ppm(検出源限界未満)であり、アルミナセメント組成物の使用時のH2Sの発生が効果的に抑制された。