(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119355
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】生産プロセス制御方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026193
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】301078191
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】師子鹿 司
(72)【発明者】
【氏名】照井 康
(72)【発明者】
【氏名】橋本 宏明
【テーマコード(参考)】
3C100
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA29
3C100AA56
3C100BB05
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB33
3C100EE11
(57)【要約】
【課題】生産プロセスの管理・制御をより効率化することで生産コストの低減・抑制などを実現できる技術を提供する。
【解決手段】生産プロセスは、1つ以上のプロセスを有して構成され、材料を投入し、目的生産物を得る生産プロセスである。目的生産物は、主成分である第1物質と、主機能を果たすための微量成分である第2物質とを含み、生産プロセス中で発生する不純物である第3物質を含み得る生産物である。本方法は、コンピュータシステムが、生産プロセス中に設定されたモニタポイントにおけるモニタ値として、プロセスの材料や生産物の投入量、生産量、制御量、またはセンサ値と、第1物質、第2物質、および第3物質の量とを取得するステップと、モニタ値に基づいて、各物質の量を閾値と比較し、満たした条件に応じた物質ごとの生産プロセス制御を決定するステップとを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産プロセスを制御するコンピュータシステムによって実行される生産プロセス制御方法であって、
前記生産プロセスは、1つ以上のプロセスを有して構成され、材料を投入し、中間生産物を生産し、目的生産物を得る生産プロセスであり、
前記目的生産物は、主成分である第1物質と、主機能を果たすための微量成分である第2物質とを含み、前記生産プロセス中で発生する不純物である第3物質を含み得る生産物であり、
前記コンピュータシステムが、前記生産プロセス中に設定されたモニタポイントにおけるモニタ値として、前記プロセスの前記材料や前記中間生産物の投入量、前記プロセスの前記中間生産物や前記目的生産物の生産量、前記プロセスの制御量、または、前記プロセスのセンサ値と、前記第1物質の量、前記第2物質の量、および前記第3物質の量と、を取得するステップと、
前記コンピュータシステムが、前記モニタ値に基づいて、前記第1物質、前記第2物質、前記第3物質の各物質の量を、物質ごとに、閾値と比較して、条件を満たすかを判定し、満たした条件に応じた前記物質ごとの生産プロセス制御を決定するステップと、
前記コンピュータシステムが、前記物質ごとの前記生産プロセス制御を前記生産プロセスで実行させるステップと、
を有する、生産プロセス制御方法。
【請求項2】
請求項1記載の生産プロセス制御方法において、
前記条件の判定のステップは、前記第1物質の量が下限値を下回る場合に、前記第1物質に関する生産プロセス制御を選択するステップであり、
前記第1物質に関する生産プロセス制御は、前記目的生産物での前記第1物質の量が基準を満たすように、前記生産プロセスにおける前記モニタポイントよりも前のプロセスに戻して再度生産実行する制御、または、前記モニタポイントよりも後から対処のためのプロセスに分岐して生産実行する制御、または、次回以降の生産での前記生産プロセスの前記プロセスの制御量を調整する制御である、
生産プロセス制御方法。
【請求項3】
請求項1記載の生産プロセス制御方法において、
前記条件の判定のステップは、前記第2物質の量が下限値を下回る場合に、前記第2物質に関する生産プロセス制御を選択するステップであり、
前記第2物質に関する生産プロセス制御は、前記目的生産物での前記第2物質の量が基準を満たすように、前記生産プロセスにおける前記モニタポイントよりも前のプロセスに戻して再度生産実行する制御、または、前記モニタポイントよりも後から対処のためのプロセスに分岐して生産実行する制御、または、次回以降の生産での前記生産プロセスの前記プロセスの制御量を調整する制御である、
生産プロセス制御方法。
【請求項4】
請求項1記載の生産プロセス制御方法において、
前記条件の判定のステップは、前記第3物質の量が上限値を超える場合に、前記第3物質に関する生産プロセス制御を選択するステップであり、
前記第3物質に関する生産プロセス制御は、前記目的生産物での前記第3物質の量が基準を満たすように、前記生産プロセスにおける前記モニタポイントよりも前のプロセスに戻して再度生産実行する制御、または、前記モニタポイントよりも後から対処のためのプロセスに分岐して生産実行する制御、または、次回以降の生産での前記生産プロセスの前記プロセスの制御量を調整する制御である、
生産プロセス制御方法。
【請求項5】
請求項1記載の生産プロセス制御方法において、
前記条件の判定のステップは、前記第1物質の量が上限値を超える場合に、前記第1物質に関する生産プロセス制御を選択するステップであり、
前記第1物質に関する生産プロセス制御は、前記生産プロセスでの前記第1物質に関するコストが低減されるように、前記生産プロセスにおける前記モニタポイントよりも前のプロセスに戻して再度生産実行する制御、または、前記モニタポイントよりも後から対処のためのプロセスに分岐して生産実行する制御、または、次回以降の生産での前記生産プロセスの前記プロセスの制御量を調整する制御である、
生産プロセス制御方法。
【請求項6】
請求項1記載の生産プロセス制御方法において、
前記条件の判定のステップは、前記第2物質の量が上限値を超える場合に、前記第2物質に関する生産プロセス制御を選択するステップであり、
前記第2物質に関する生産プロセス制御は、前記生産プロセスでの前記第2物質に関するコストが低減されるように、前記生産プロセスにおける前記モニタポイントよりも前のプロセスに戻して再度生産実行する制御、または、前記モニタポイントよりも後から対処のためのプロセスに分岐して生産実行する制御、または、次回以降の生産での前記生産プロセスの前記プロセスの制御量を調整する制御である、
生産プロセス制御方法。
【請求項7】
請求項1記載の生産プロセス制御方法において、
前記条件の判定のステップは、前記第3物質の量が下限値を下回る場合に、前記第3物質に関する生産プロセス制御を選択するステップであり、
前記第3物質に関する生産プロセス制御は、前記生産プロセスでの前記第3物質に関するコストが低減されるように、前記生産プロセスにおける前記モニタポイントよりも前のプロセスに戻して再度生産実行する制御、または、前記モニタポイントよりも後から対処のためのプロセスに分岐して生産実行する制御、または、次回以降の生産での前記生産プロセスの前記プロセスの制御量を調整する制御である、
生産プロセス制御方法。
【請求項8】
請求項2記載の生産プロセス制御方法において、
前記第1物質に関する生産プロセス制御は、前記モニタ値に応じた、前記第1物質の投入量の増加、または、前記第1物質の生成量の増加のための前記制御量の調整である、
生産プロセス制御方法。
【請求項9】
請求項3記載の生産プロセス制御方法において、
前記第2物質に関する生産プロセス制御は、前記モニタ値に応じた、前記第2物質の投入量の追加、または、前記第2物質の生成量の増加のための前記制御量の調整、または、前記第2物質の濃度の増加のための前記第1物質の量の調整の制御である、
生産プロセス制御方法。
【請求項10】
請求項4記載の生産プロセス制御方法において、
前記第3物質に関する生産プロセス制御は、前記モニタ値に応じた、前記第3物質の除去プロセスに関する、前記第3物質の量の減少のための前記制御量の調整、または薬剤投入量の調整である、
生産プロセス制御方法。
【請求項11】
請求項5記載の生産プロセス制御方法において、
前記第1物質に関する生産プロセス制御は、前記モニタ値に応じた、前記第1物質の投入量の減少、または、前記第1物質の生成量の減少のための前記制御量の調整である、
生産プロセス制御方法。
【請求項12】
請求項6記載の生産プロセス制御方法において、
前記第2物質に関する生産プロセス制御は、前記モニタ値に応じた、前記第2物質の投入量の減少、または、前記第2物質の生成量の減少のための前記制御量の調整、または、前記第2物質の濃度の減少のための前記第1物質の量の調整の制御である、
生産プロセス制御方法。
【請求項13】
請求項7記載の生産プロセス制御方法において、
前記第3物質に関する生産プロセス制御は、前記モニタ値に応じた、前記第3物質の除去プロセスに関する、コストの低減のための前記制御量の調整、または薬剤投入量の調整である、
生産プロセス制御方法。
【請求項14】
請求項1記載の生産プロセス制御方法において、
前記コンピュータシステムが、ユーザに対し、前記物質ごとに前記条件の前記閾値を表示して設定する画面を提供するステップ、
を有する、生産プロセス制御方法。
【請求項15】
生産プロセスを制御するコンピュータシステムを備える生産プロセス制御システムであって、
前記生産プロセスは、1つ以上のプロセスを有して構成され、材料を投入し、中間生産物を生産し、目的生産物を得る生産プロセスであり、
前記目的生産物は、主成分である第1物質と、主機能を果たすための微量成分である第2物質とを含み、前記生産プロセス中で発生する不純物である第3物質を含み得る生産物であり、
前記コンピュータシステムは、
前記生産プロセス中に設定されたモニタポイントにおけるモニタ値として、前記プロセスの前記材料や前記中間生産物の投入量、前記プロセスの前記中間生産物や前記目的生産物の生産量、前記プロセスの制御量、または、前記プロセスのセンサ値と、前記第1物質の量、前記第2物質の量、および前記第3物質の量と、を取得し、
前記モニタ値に基づいて、前記第1物質、前記第2物質、前記第3物質の各物質の量を、物質ごとに、閾値と比較して、条件を満たすかを判定し、満たした条件に応じた前記物質ごとの生産プロセス制御を決定し、
前記物質ごとの前記生産プロセス制御を前記生産プロセスで実行させる、
生産プロセス制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生産プロセスを管理・制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
生産プロセス(言い換えると、生産フロー、製造プロセス、製造フロー等)の自動化に関する技術が各種検討されている。一般に、工場等における生産プロセスは、生産管理システムを用いて生産が管理されている。生産管理システムは、生産プロセスを構成するそれぞれのプロセス(工程)について、材料などの投入量や、加工装置等の制御量(言い換えると制御パラメータ値)や、生産物の生産量などを、データ・情報として管理している。
【0003】
先行技術例として、特開2022-117910号公報(特許文献1)が挙げられる。特許文献1には、廃食用油を主原料とした界面活性剤の製造装置が記載されている。特許文献1には、主原料となる組成分が不安定な廃食用油に対しアルコール類とアンモニアガスを混合撹拌する際、それらの化学反応状況を検知し添加量、反応時間、反応温度を制御する機能を有する装置、が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、生産者が工場等で製品(言い換えると生産物)を生産して市場に提供する際には、製品に含まれる主成分と、製品の主機能を果たすための微量成分と、不純物との、それぞれの物質の管理を行うことで、安定した品質の維持が求められている。不純物は、製品の機能には寄与しない物質であり、無い方または少ない方が好ましい物質である。
【0006】
工場等における生産プロセスの例では、主成分、微量成分、および不純物の各物質について、最終製品(言い換えると目的生産物)での基準を満たすために、生産プロセスでの材料の投入量などを規定・管理し、最終製品で基準を満たすかどうか確認や検査が行われている。例えば、基準として、微量成分の量または濃度が一定値以上であることや、不純物の量または濃度が一定値以下であること等が求められる。
【0007】
この際に、生産物について、主機能を果たすための微量成分の量/濃度が基準値に対し不足する場合や、不純物の量/濃度が基準値に対し超過する場合には、基準を満たさないので、当該生産物の廃棄などが必要となる。生産プロセスでの生産物の廃棄は、生産コストを増大させる。最悪には、市場からの製品の回収などが必要となる場合もある。
【0008】
生産プロセスでの生産物の廃棄は、生産コストを増大させるので、生産コストを低減・抑制するためには、生産プロセスの自動化における管理・制御をより効率化すること等が求められている。
【0009】
本開示の目的は、上記生産プロセスの自動化の技術に関して、生産プロセスの管理・制御をより効率化することで生産コストの低減・抑制などを実現できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示のうち代表的な実施の形態は以下に示す構成を有する。実施の形態の生産プロセス制御方法は、生産プロセスを制御するコンピュータシステムによって実行される生産プロセス制御方法であって、前記生産プロセスは、1つ以上のプロセスを有して構成され、材料を投入し、中間生産物を生産し、目的生産物を得る生産プロセスであり、前記目的生産物は、主成分である第1物質と、主機能を果たすための微量成分である第2物質とを含み、前記生産プロセス中で発生する不純物である第3物質を含み得る生産物であり、前記コンピュータシステムが、前記生産プロセス中に設定されたモニタポイントにおけるモニタ値として、前記プロセスの前記材料や前記中間生産物の投入量、前記プロセスの前記中間生産物や前記目的生産物の生産量、前記プロセスの制御量、または、前記プロセスのセンサ値と、前記第1物質の量、前記第2物質の量、および前記第3物質の量と、を取得するステップと、前記コンピュータシステムが、前記モニタ値に基づいて、前記第1物質、前記第2物質、前記第3物質の各物質の量を、物質ごとに、閾値と比較して、条件を満たすかを判定し、満たした条件に応じた前記物質ごとの生産プロセス制御を決定するステップと、前記コンピュータシステムが、前記物質ごとの前記生産プロセス制御を前記生産プロセスで実行させるステップと、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本開示のうち代表的な実施の形態によれば、上記生産プロセスの自動化の技術に関して、生産プロセスの管理・制御をより効率化することで生産コストの低減・抑制などを実現できる。上記した以外の課題、構成および効果等については、発明を実施するための形態において示される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1の生産プロセス制御方法およびシステムの全体の構成を示す図。
【
図2】実施の形態1の生産プロセス制御システムにおける生産プロセス制御装置のコンピュータシステムとしての構成を示す図。
【
図3】実施の形態1の生産プロセス制御方法およびシステムの処理フローを示す図。
【
図4】実施の形態1における、生産プロセス中のプロセスの一例を示す図。
【
図5】実施の形態1における、モニタポイントおよびセンサの例として生産物が固体の場合の例を示す図。
【
図6】実施の形態1における、モニタポイントおよびセンサの例として生産物が流体の場合の例を示す図。
【
図7】実施の形態1における、判定条件の例を示す図。
【
図8】実施の形態1における、生産プロセス制御の例を示す図。
【
図9A】実施の形態1における、モニタ値の例を示す図。
【
図9B】実施の形態1における、モニタ値の別の例を示す図。
【
図11】実施の形態1での対象の生産プロセスの例および生産プロセス制御の例を示す図。
【
図12】実施の形態1での生産プロセス制御の例として前プロセスへ戻す制御の例を示す図。
【
図13】実施の形態1での生産プロセス制御の例として対処プロセスへ分岐する制御の例を示す図。
【
図14】実施の形態1での対象の他の生産プロセスの例を示す図。
【
図15】実施の形態1でのGUI画面の例を示す図。
【
図16】実施の形態1の変形例における、判定条件および生産プロセス制御の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本開示の実施の形態を詳細に説明する。図面において、同一部には原則として同一符号を付し、繰り返しの説明を省略する。図面において、構成要素の表現は、発明の理解を容易にするために、実際の位置、大きさ、形状、範囲等を表していない場合がある。
【0014】
説明上、プログラムによる処理について説明する場合に、プログラムや機能や処理部等を主体として説明する場合があるが、それらについてのハードウェアとしての主体は、プロセッサ、あるいはそのプロセッサ等で構成されるコントローラ、装置、計算機、システム等である。計算機は、プロセッサによって、適宜にメモリや通信インタフェース等の資源を用いながら、メモリ上に読み出されたプログラムに従った処理を実行する。これにより、所定の機能や処理部等が実現される。プロセッサは、例えばCPU/MPUやGPU等の半導体デバイス等で構成される。処理は、ソフトウェアプログラム処理に限らず、専用回路でも実装可能である。専用回路は、FPGA、ASIC、CPLD等が適用可能である。
【0015】
プログラムは、対象計算機に予めデータとしてインストールされていてもよいし、プログラムソースから対象計算機にデータとして配布されてもよい。プログラムソースは、通信網上のプログラム配布サーバでもよいし、非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体、例えばメモリカードやディスクでもよい。プログラムは、複数のモジュールから構成されてもよい。コンピュータシステムは、複数台の装置によって構成されてもよい。コンピュータシステムは、クライアント・サーバシステム、クラウドコンピューティングシステム、IoTシステム等で構成されてもよい。各種のデータや情報は、例えばテーブルやリスト等の構造で構成されるが、これに限定されない。識別情報、識別子、ID、名前、番号等の表現は互いに置換可能である。
【0016】
[課題等について]
課題等について補足説明する。生産プロセスでの生産物の廃棄などを発生させないためには、対策手段として以下が挙げられる。例えば、目的生産物での微量成分の量や濃度などが基準を満たすように微量成分の量や濃度などを増加させるためには、生産プロセス中の微量成分に関するプロセスでの微量成分などの投入量を増加させるようにプロセスを調整することが挙げられる。また、そのためには、微量成分に関するプロセスおよび装置での温度や圧力や反応時間などの制御量を上昇/下降等で調整することが挙げられる。また、例えば、目的生産物での不純物の量や濃度などが基準を満たすように不純物の量や濃度などを抑制させるためには、生産プロセス中の不純物の発生に関するプロセスでの材料や薬剤の投入量や制御量を調整することが挙げられる。
【0017】
一方で、主機能を果たすための微量成分や必要な薬剤などの価格高騰や、プロセスのための燃料/エネルギーの費用の増加などが、生産コストの増大につながる。生産コストの増大は、製品の競争力の低下につながる。生産プロセスでの各プロセスの材料投入量や制御量を調整しない場合や調整する場合のいずれでも、生産プロセスの内容によっては、生産プロセスのコストを増大させる。例えば、プロセスで投入/添加する微量成分などの量が多すぎる場合には、基準を満たすものの、材料費が高くなる。また、例えば、不純物を抑制するためにプロセスでの温度や圧力を高くし反応時間を長くした場合でも、基準を満たすものの、プロセスでの燃料/エネルギーの消費が大きくなり、プロセスのコストが増大する。
【0018】
上記のように、生産プロセスでの最終製品(目的生産物)の基準を満たすようにプロセスの調整などをしながら、かつ、生産コストの低減・抑制を図ることが好ましい。生産コストを低減・抑制するためには、生産プロセスの自動化における管理・制御をより効率化すること等が求められる。実施の形態の生産プロセス制御方法等は、上記のような課題を解決するための工夫を有する。
【0019】
[実施の形態の概要]
本実施の形態の生産プロセス制御方法およびシステムでは、課題解決手段として以下を有する。本方法およびシステムは、目的生産物の生産プロセス中で、主成分(例えば物質A)、主機能を果たすための微量成分(例えば物質B)、および不純物(例えば物質C)の各物質について、各プロセスに関する各物質の量などのパラメータ値を、センサや計測システム等を用いて、計測・検出・モニタリングを行う。本方法およびシステムは、各物質のモニタ値(言い換えると計測値など)と、生産プロセスの基準等の情報とに基づいて、生産プロセス制御のための条件判定を行い、判定結果に応じて、物質ごとに別々の生産プロセス制御を連動して実行するように、生産プロセスを制御・調整する。これにより、本方法およびシステムは、生産プロセス自動化における効率を向上し、生産物の廃棄を低減することで、生産コストを低減する。
【0020】
上記条件判定は、モニタ値における物質の量などを、閾値または閾値範囲と比較して、所定の条件や場合を満たすかどうかの判定が挙げられる。上記別々のプロセス制御とは、主成分(例えば物質A)の生産プロセス制御と、微量成分(例えば物質B)の生産プロセス制御と、不純物(例えば物質C)の生産プロセス制御とを有し、これらは関連している。生産プロセス制御は、各プロセスの材料や中間生産物等の投入量の調整や、各プロセスの装置の制御量(例えば温度、圧力、反応時間など)の調整・変更などが挙げられる。また、生産プロセス制御は、モニタポイントから前のプロセスへ戻してそのプロセスから再度生産実行することや、モニタポイントから後に標準的なプロセスではなく別の対処プロセスへ分岐させて生産実行することや、それらに伴う各プロセスの制御量の調整などが挙げられる。プロセスの投入量や制御量の調整は、今回の生産単位に関する調整としてもよいし、次回以降の生産単位に関する調整・変更、言い換えるとレシピの更新としてもよい。
【0021】
本実施の形態での生産プロセス制御は、生産物に関する、主成分(例えば物質A)、微量成分(例えば物質B)、および不純物(例えば物質C)という、関連する3種類の物質について、モニタリングによるモニタ値に基づいて、物質ごとの制御として生産プロセス制御を連動して行うものである。物質A,B,Cの制御は、別々の制御の単なる組み合わせではなく、連動して行われる特有の制御である。
【0022】
本実施の形態の生産プロセス制御方法およびシステムは、特徴として以下を含む。本方法およびシステムは、生産プロセスでの生産物に関する、主成分の物質と、主機能を果たすための微量成分の物質と、不純物の物質とのそれぞれの物質の量などを計測・検出・モニタする。本方法およびシステムは、モニタ値に基づいて、それぞれの物質の量が、条件の閾値範囲の外となった場合には、その場合に対応した生産プロセス制御を実行する。本方法およびシステムは、主成分の物質に関する条件を満たした場合には、主成分の物質に関する生産プロセス制御を行い、微量成分の物質に関する条件を満たした場合には、微量成分の物質に関する生産プロセス制御を行い、不純物の物質に関する条件を満たした場合には、不純物の物質に関する生産プロセス制御を行う。それぞれの生産プロセス制御は、モニタ値に応じて、物質ごとの生産プロセス制御として、連動して実行が制御される。物質ごとの生産プロセス制御は、プロセスの投入量や制御量の調整がある。物質ごとの生産プロセス制御は、物質ごとに基準を実現するための制御や、物質ごとにコスト低減を実現するための制御がある。
【0023】
本実施の形態の生産プロセス制御方法およびシステムによる生産プロセス制御の例は少なくとも以下を有する。
1. プロセスの生産量のモニタ値に応じた、プロセスの材料投入量や制御量の調整・変更の制御。
2. 主成分および微量成分の必要濃度/量に関するモニタ値に応じた、プロセスの材料投入量や制御量の調整・変更の制御。
3. 不純物の濃度/量に関するモニタ値に応じた、不純物除去に関するプロセスの材料投入量や制御量の調整・変更の制御。
【0024】
特に、本実施の形態の生産プロセス制御方法およびシステムは、主成分に対する微量成分の濃度/量のモニタ値が、条件の閾値範囲外となる場合、例えば下限値を下回る場合には、生産実行のプロセスを前プロセスへ戻して、少なくとも微量成分の添加/生成に関するプロセスを再度実行させて、目的生産物での微量成分の濃度/量が基準を満たすように制御することを含む。また、実施の形態の生産プロセス制御方法およびシステムは、微量成分の濃度/量のモニタ値が、条件の閾値範囲外となる場合、例えば上限値を超える場合には、少なくとも微量成分の添加/生成に関するプロセスの投入量や制御量を調整・変更させて、プロセスのコストを低減させるように制御することを含む。
【0025】
特に、本実施の形態の生産プロセス制御方法およびシステムは、不純物の濃度/量のモニタ値が、条件の閾値範囲外となる場合、例えば上限値を超える場合には、生産実行のプロセスを前プロセスへ戻して、少なくとも不純物除去に関するプロセスを再度実行させて、目的生産物での不純物の濃度/量が基準を満たすように制御することを含む。また、実施の形態の生産プロセス制御方法およびシステムは、不純物の濃度/量のモニタ値が、条件の閾値範囲外となる場合、例えば下限値を下回る場合には、少なくとも不純物除去に関するプロセスの投入量や制御量を調整・変更させて、プロセスのコストを低減させるように制御することを含む。
【0026】
<実施の形態1>
図1~
図15を用いて、本開示の実施の形態1の生産プロセス制御方法およびシステムについて説明する。実施の形態1の生産プロセス制御方法は、実施の形態1の生産プロセス制御システム(
図1等)において実行される方法であり、
図3のような処理フローを有する方法である。実施の形態1の生産プロセス制御システム(
図1での生産プロセス制御システム1)は、工場等の生産プロセス2および生産管理システム3に対して設けられるコンピュータシステム(言い換えると生産プロセス制御装置)10を有して構成されるシステムである。
【0027】
[システム構成]
図1は、実施の形態1の生産プロセス制御方法およびシステムの全体の構成を示す。
図1でのシステム全体は、生産プロセス制御システム1として示しており、顧客の工場等の生産プロセス2(言い換えると製造フロー)、および生産プロセス2を管理する生産管理システム3と、それらに対し設けられた、事業者によるコンピュータシステム10である生産プロセス制御装置10と、ユーザU1が使用するユーザ端末5と、を有する。これらの構成要素は、適宜に通信を通じて相互に接続される。実施の形態1の生産プロセス制御システム1は、特に生産プロセス制御装置10によって構成される。
【0028】
生産プロセス2は、複数のプロセス(工程)Pから構成されている。生産プロセス2の具体例については後述する。それぞれのプロセスPは、当該プロセスPでの加工等を行う装置F(言い換えると設備など)を有している。プロセスPでは、例えば、材料Mが投入され、装置Fが材料Mに基づいて加工等の処理を行って、中間生産物IPを生成する。また、別のプロセスPでは、中間生産物IPや中間での材料を投入し、装置Fによって加工等の処理を行って、目的生産物TPを生成する。
【0029】
なお、生産プロセス2は、プロセスPの一種として、検査工程を含んでもよい。検査工程では、生産物に関する検査が行われる。また、生産プロセス2は、基本的に自動化されているが、プロセスPには、作業者などの人が対応付けて設けられ、一部に作業者による作業が介在してもよい。
【0030】
プロセスP間、あるいはプロセスP内には、本実施の形態のためのモニタポイントMPが設けられる。モニタポイントMPは、生産プロセス制御装置10がプロセスPおよび生産物等の状態をモニタするためのポイントである。プロセスP間あるいはプロセスP内には、プロセスPおよび生産物等の状態を計測・検出・モニタするためのセンサ4や計測システム等が設けられる。
【0031】
顧客の生産管理システム3は、生産プロセス2を管理している。生産管理システム3は、例えば、生産プロセス2の構成や、標準的な各プロセスPの制御量、材料投入量や生産量などをデータ・情報として規定し管理している。生産管理システム3は、センサ4や計測システム等を用いて、プロセスPおよび生産物等の状態を計測・検出・モニタしているものであってもよい。また、生産管理システム3は、目的生産物(最終製品)TPに関する基準などの情報も管理している。基準は、例えば、微量成分が一定量/濃度以上であることや、不純物が一定量/濃度以下であること等を規定するものである。生産管理システム3が管理しているデータ・情報を、生産プロセス情報D3とする。
【0032】
生産プロセス2の各プロセスPでの制御量(言い換えると制御パラメータ値)は、制御データD1として管理される。生産プロセス制御装置10または生産管理システム3は、各プロセスPの装置Fの制御量を指示や設定する。生産プロセス制御装置10は、各プロセスPの装置Fの制御量を制御データD1としてモニタする。対象となる制御量の制御パラメータは、予め規定されている。
【0033】
また、生産プロセス制御装置10または生産管理システム3は、各プロセスPでのセンサ4によるセンサデータD2をモニタ値として取得する。各センサ4のパラメータは、予め規定されている。
図1では、生産管理システム3を介さずに、生産プロセス制御装置10が、生産プロセス2との間で制御データD1を授受し、生産プロセス2からセンサデータD2を取得する形態の場合を図示しているが、これに限定されず、生産管理システム3を介して同様のことを実現する形態でもよい。
【0034】
また、生産プロセス制御装置10は、生産管理システム3から、生産プロセス情報D3を適宜に参照・取得する。
【0035】
生産プロセス制御装置10は、通信網9を介して、ユーザ端末5と通信で接続される。ユーザ端末5は、ユーザU1が使用するコンピュータ端末である。ユーザU1は、生産プロセス制御装置10を使用する人である。なお、生産プロセス制御装置10とユーザ端末5とが一体の形態でもよい。
図1では、生産プロセス制御装置10をサーバ装置とし、ユーザ端末5をクライアント端末として、クライアント・サーバシステムが構成される場合を図示している。
【0036】
生産プロセス制御装置10は、ハードウェアおよびソフトウェアで構成される機能ブロックとしては、制御部101、モニタ部102、データ記憶部103、および出力部104等を有する。制御部101は、生産プロセス2の制御処理を行う部分である。モニタ部102は、生産プロセス2の各モニタポイントMPでの制御量やセンサ値をモニタリングする部分である。データ記憶部103は、モニタ値や制御用のデータなどを記憶する部分である。データ記憶部103は、生産プロセス制御装置10の外部の記憶資源を用いて実現されてもよい。出力部104は、ユーザU1に対して生産プロセス制御などのデータ・情報を出力・提供する部分である。出力部104は、例えばユーザ端末5に対し、グラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)を伴う画面を提供する。
【0037】
モニタ部102は、制御データ通信部121、センサデータ取得部122、および生産プロセス情報取得部123を含む。制御データ通信部121は、制御部101からの制御指示の制御データD1を生産プロセス2のプロセスPの装置Fに送信する通信や、生産プロセス2のプロセスPの装置Fからの制御量のモニタ値の制御データD1を受信する通信などを行う部分である。センサデータ取得部122は、生産プロセス2のプロセスPのモニタポイントMPのセンサ4からのセンサデータD2を受信する通信などを行う部分である。生産プロセス情報取得部123は、生産管理システム3から生産プロセス情報D3を参照・取得する通信などを行う部分である。
【0038】
モニタ部102は、モニタによる制御データD1やセンサデータD2等をデータ記憶部103に記憶する。制御部101は、データ記憶部103に記憶されたモニタ値を用いて、生産プロセス2のモニタポイントMPごとに判定を行い、判定結果に応じて必要な生産プロセス制御を決定する。制御部101は、生産プロセス制御を実行する場合、制御指示の制御データD1を作成して、モニタ部102の制御データ通信部121により、生産プロセス2の該当するプロセスPの装置Fに送信する。もしくは、制御部101は、制御指示の制御データD1を、生産管理システム3に送信し、生産管理システム3が生産プロセス2の該当するプロセスPの装置Fに制御指示を送信するものとしてもよい。これにより、生産プロセス2の該当するプロセスPでは、制御量などが調整・変更される。
【0039】
[コンピュータシステム]
図2は、
図1のコンピュータシステム10の構成例を示す。
図2のコンピュータシステム10は、主にコンピュータ1000によって構成されている。コンピュータ1000は、プロセッサ1001、メモリ1002、通信インタフェース装置1003、入出力インタフェース装置1004等を備え、これらがバス等のアーキテクチャを通じて相互に接続されている。入出力インタフェース1004には、入力装置1005や出力装置1006が外部接続されてもよい。入力装置1005の例はキーボード、マウス、マイク等である。出力装置1006の例はディスプレイやプリンタやスピーカ等である。
【0040】
メモリ1002には、制御プログラム1002A、設定情報1002B、モニタデータD10、画面データD15などのデータ・情報が格納される。制御プログラム1002Aは、プロセッサ1001に処理を実行させるコンピュータプログラムである。設定情報1002Bは、制御プログラム1002Aの設定情報や、ユーザ設定情報である。モニタデータD10は、
図1の制御データD1、センサデータD2、および生産プロセス情報D3等のモニタ値のデータ・情報である。なお、制御データD1については、制御部101から生産プロセス2に指示する制御量のデータと、生産プロセス2からの制御量のモニタ値のデータとを、1つにまとめて図示しているが、これらを分けて管理してもよい。画面データD15は、ユーザ端末5に提供するGUI画面(例えばWebページ)などのデータである。
【0041】
プロセッサ1001は、例えばCPU、ROM、RAM等を有して構成されている。プロセッサ1001は、メモリ1002上の制御プログラム1002Aに従った処理を実行する。これにより、生産プロセス制御装置10としての所定の機能や処理部が実行モジュールとして実現される。コンピュータシステム10の起動中、その実行モジュールが実現される。
【0042】
通信インタフェース装置1003は、
図1の生産プロセス2、生産管理システム3、ユーザ端末5等の外部装置との通信処理を行う部分である。
【0043】
ユーザU1は、
図1のユーザ端末5を操作してコンピュータシステム10にアクセスすることで生産プロセス制御システム1の機能を利用してもよいし、
図2の入力装置1005および出力装置1006を操作してコンピュータシステム10を利用してもよい。ユーザ端末5は、例えば一般的なPCを適用できる。
【0044】
コンピュータシステム10は、
図2の構成例に限らずに、1以上のプロセッサおよび1以上のメモリなどを有して構成されるシステムであればよい。
【0045】
クライアント・サーバシステムとしての利用の場合、例えば以下のような動作となる。ユーザU1は、ユーザ端末5を操作し、ユーザ端末5は、通信でコンピュータシステム10(特にサーバ機能)にアクセスする。コンピュータシステム10は、ユーザ端末5からのアクセスに対し、生産プロセス制御に関するGUI画面(後述)のためのWebページのデータをユーザ端末5に送信する。ユーザ端末5は、当該データを受信し、ディスプレイに生産プロセス制御に関するGUI画面を表示する。ユーザU1は、当該GUI画面を見て、生産プロセス制御に関する設定や状態などを確認できる。
【0046】
ユーザU1は、当該GUI画面で、生産プロセス制御に関する必要な設定や指示を入力する。ユーザ端末5は、その設定や指示の情報をコンピュータシステム10に送信する。コンピュータシステム10は、ユーザ端末5からの設定や指示を受信し、制御部101による制御処理(後述)を行う。制御部101は、生産プロセス2での生産実行に伴い、制御処理(後述)を行う。コンピュータシステム10は、制御処理の結果のデータ、例えばあるプロセス制御が実行されたことのデータを、ユーザ端末5に送信する。ユーザ端末5は、そのデータを受信し、GUI画面に制御処理の結果を表示する。ユーザU1は、GUI画面で制御処理の結果を確認できる。
【0047】
[処理フロー]
図3は、実施の形態1の生産プロセス制御方法およびシステムにおける、生産プロセス制御装置10によって行われる主な処理のフローを示す。
図3のフローは、ステップS1~S5を有する。
【0048】
ステップS1は、生産プロセス2に応じたシステム設定である。この設定は例えばユーザ端末5のGUI画面で可能である。生産プロセス制御装置10は、管理者などのユーザU1の操作に基づいて、生産管理システム3から対象の生産プロセス2の生産プロセス情報D3を参照/取得して生産プロセス2の基本的な構成や基準などを把握し、生産プロセス2にモニタポイントMPを設定する。各モニタポイントMPの設定は、センサ4等を用いてどのような制御パラメータやセンサパラメータを計測・モニタするかの設定を含む。また、生産プロセス制御装置10は、生産プロセス2の基準情報に基づいて、後述の条件判定のための閾値範囲などを含む条件を設定・確認する。システム設定後、制御が開始される。
【0049】
ステップS2は、生産プロセス制御装置10による生産プロセス2のモニタリングである。このモニタリングでは、生産プロセス制御装置10は、生産プロセス2における各モニタリングポイントMPから対象のプロセスPや物質に関する所定のパラメータ値を計測・検出・モニタする。モニタ値は、
図1での制御データD1やセンサデータD2である。対象物質は、プロセスごとの投入材料や生産物であり、主成分M1(例えば物質A)、微量成分M2(例えば物質B)、および不純物M3(例えば物質C)を含む(M1等は後述の
図10参照)。生産プロセス制御装置10は、対象物質の物理量として重量や体積などをモニタする。モニタリングの際には、生産プロセス制御装置10あるいはセンサ4は、モニタ値から計算によって所定のパラメータ値を得てもよい。計算は、例えば成分量の計算が挙げられる。
【0050】
ステップS3は、生産プロセス制御装置10による生産プロセス制御のための条件判定である。この条件判定は、物質ごとに、モニタ値と閾値範囲との比較を含む、生産プロセス制御に関する条件の判定、および、判定結果に応じた生産プロセス制御の選択・決定である。ステップS3の詳細については後述する(
図7等)。
【0051】
ステップS4は、ステップS3の結果に応じた分岐である。ステップS3で、ある条件での場合分けに該当し、その場合に応じた生産プロセス制御を実行する場合(S4-Y)には、ステップS5へ進み、該当せず、生産プロセス制御を実行しない場合(S4-N)には、ステップS5をスキップする。
【0052】
ステップS5は、生産プロセス制御装置10による生産プロセス制御の実行であり、言い換えると、生産プロセス2へのフィードバックである。生産プロセス制御は、物質ごとの別々の制御を含む。生産プロセス制御は、該当する場合に応じた各種のプロセス制御がある。実行するプロセス制御は、ステップS3の判定結果で該当する場合に対応したプロセス制御である。このプロセス制御は、モニタ値などに応じて制御詳細内容も調整される。各種のプロセス制御は、例えば、前プロセスに戻して再度実行する制御、または、専用のプロセスへ分岐する制御がある。また、プロセス制御は、今回の生産に関する生産プロセス2のプロセスPの材料投入量や制御量を変更・調整する制御や、次回以降の生産に関する生産プロセス2のプロセスPの材料投入量や制御量を変更する制御、言い換えると生産プロセス2の構成やレシピの更新、がある。ステップS5の詳細については後述する(
図8等)。
【0053】
ステップS5のあと、
図3のフローが終了となり、最初から同様に繰り返しである。
【0054】
[プロセス一例]
図4は、補足として、
図1の生産プロセス2中のプロセスPの一例を示す。
図4のプロセスPは、例えば、生産物が流体である場合の、混合/反応プロセスであるとする。このプロセスPは、装置Fとして、例えば、混合/反応タンク401や、混合/反応タンク401の制御器402などを有している。混合/反応タンク401には、矢印で示す配管などを通じて、四角ブロックで示す駆動装置や処理装置などが接続されている。装置Fに対し、入力側には、モニタポイントMPを介して、材料投入のためのタンク403,404を有している。例えば、タンク403は物質Aタンクであり、タンク404は物質Bタンクである。装置Fに対し、出力側には、モニタポイントMPを有し、次のプロセスPに接続されている。装置FやモニタポイントMPには、センサ4等が設けられている。例えば、混合/反応タンク401には、温度センサや圧力センサが設けられている。また、入力側や出力側のモニタポイントMPには、後述の体積センサ、重量計、成分モニタセンサなどが設けられている。
【0055】
モニタポイントMPでは、センサパラメータとして、例えば、投入材料や生産物に関する、重量s1、体積s2、濃度s3のうち少なくとも1つがモニタされ、モニタ値がセンサデータD2として得られる。また、例えば装置Fの混合/反応タンク401からは、制御パラメータとして、例えば、温度p1、圧力p2、反応時間p3などのうち少なくとも1つがモニタされ、モニタ値が制御データD1として得られる。また、例えば装置Fの混合/反応タンク401に対し、指示値としての制御データD1によって、その制御パラメータの制御量を指示して設定できる。
【0056】
[モニタポイント、センサ、モニタリング]
図5および
図6は、
図1のプロセスP間のモニタポイントMPにおけるセンサ4の設置例などを示す。
【0057】
図5は、生産プロセス2におけるあるプロセスAとあるプロセスBとの間のモニタポイントMPにおいて、生産物500(言い換えると対象物)が固体である場合に、重量計501、体積センサ502、および成分モニタセンサ503を用いて、生産物の体積、重量、濃度などを計測する場合の模式図を示している。生産物500は、例えば、主成分M1(例えば物質A)、微量成分M2(例えば物質B)、および不純物M3(例えば物質C)を含む固体の物質である。主成分M1、微量成分M2、および不純物M3は、後述の
図10等に示される物質である。
【0058】
生産プロセス2では、例えばコンベアなどの搬送機構上で、生産物500が搬送される。生産物500は、中間生産物IPや目的生産物TPなどの対象物を指す。例えばこのようなコンベア上の箇所に前述のモニタポイントMPが設けられる。このモニタポイントMPで、コンピュータシステム10は、センサ4や計測システム等を用いて、生産物500の所定のパラメータ値を計測・検出・モニタし、生産物500の変動を逐次モニタする。
【0059】
図5の例では、センサ4として、重量計501、体積センサ502、成分モニタセンサ503がある。重量計501は、生産物500の重量を計測しモニタ値を出力する。体積センサ502は、生産物500の体積を計測しモニタ値を出力する。体積センサ502は、例えば2次元または3次元のLiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)を適用できる。成分モニタセンサ503は、生産物500の各成分(物質A,B,C)のパラメータ値を検出する。成分モニタセンサ503は、例えば、成分の濃度を計測する。濃度の例は、主成分M1の物質Aに対する微量成分M2の物質Bの含有の濃度や、主成分M1の物質Aに対する不純物M3の物質Cの含有の濃度が挙げられる。
【0060】
実施の形態1では、重量情報だけでなく体積情報についてもモニタする。これにより、物質量の微小な変動についても確認可能である。
【0061】
図6は、同様に、生産プロセス2におけるあるプロセスAとあるプロセスBとの間のモニタポイントMPにおいて、生産物600が流体である場合に、センサ4として、配管の途中に設置された流量計601、および成分モニタセンサ603を用いて、体積(≒流量)、重量、濃度などを計測する場合の模式図を示している。生産物600は、例えば、主成分M1(例えば物質A)、微量成分M2(例えば物質B)、および不純物M3(例えば物質C)を含む流体の物質である。流量計601は、生産物600の流量(≒体積)や重量を計測しモニタ値を出力する。成分モニタセンサ603は、生産物600の成分(物質A,B,C)のパラメータ値を検出する。成分モニタセンサ603は、例えば、成分の濃度を計測する。
【0062】
上記のような計測・検出・モニタリングは、公知技術を適用可能であり、技術詳細については特に限定しない。
【0063】
なお、生産プロセス2の生産物に関する標準的な材料投入量や生産量、プロセスPの標準的な制御量などは、生産管理システム3(
図1)によって予め規定され管理されている。コンピュータシステム10は、生産プロセス2中の各プロセスPでの投入量や生産量などを各モニタポイントMPでモニタリングする。このようなモニタリングの方式に代えて、コンピュータシステム10は、生産管理システム3で管理・検出・記憶されている投入量や生産量などの情報を参照・取得するようにしてもよい。
【0064】
上記例は、プロセスP間のモニタポイントMPでセンサ4等を用いてモニタリングする場合であるが、これに限らず、プロセスP内でセンサ4等を用いてモニタするものとしてもよい。例えば、
図1で、プロセスP内の装置Fに備えるセンサ4等によってパラメータ値をモニタしてもよい。
【0065】
図5で固体の生産物500に関する必要成分(主成分M1および微量成分M2を指す)や不要成分(不純物M3を指す)の濃度のモニタの構成例は以下である。コンピュータシステム10は、モニタ部102により、生産プロセス2のモニタポイントMPから所定の時間でモニタリングしてモニタ値を得る。コンピュータシステム10は、モニタ値に基づいて、生産物500の必要成分である主成分M1(例えば物質A)および微量成分M2(例えば物質B)や、不要成分である不純物M3(例えば物質C)について、それぞれの物質量を把握する。コンピュータシステム10は、時系列上で所定の周期で得たモニタ値を時系列モニタデータとして得る。コンピュータシステム10は、時点ごとに各物質の重量および体積などを得る。
【0066】
コンピュータシステム10は、重量や体積のそれぞれの量について、統計値を算出する。コンピュータシステム10は、例えば、重量の計測値の時系列データから、統計値算出用の時間単位ごとに、統計値、例えば積算値や平均値などを算出し、同様に、体積の計測値の時系列データから、統計値を算出する。コンピュータシステム10は、同様に、濃度について、統計値を算出してもよい。コンピュータシステム10は、濃度から量を計算してもよい。コンピュータシステム10は、不純物M3についても、量や濃度を計測/算出する。コンピュータシステム10は、例えば、上記重量や体積や濃度の統計値の時系列データを用いて、生産プロセス制御に関する条件判定を行う。
【0067】
[条件判定]
図7は、
図3のステップS3の条件判定に関してまとめた表を示す。
図7の表は、列として、物質と、モニタ値と、条件判定と、生産プロセス制御とを有する。物質は、ここでは、物質A(=主成分M1)と、物質B(=微量成分M2)と、物質C(=不純物M3)とを有する。モニタ値は、物質Aのモニタ値として物質Aの量をamとし、物質Bのモニタ値として物質Bの量をbmとし、物質Cのモニタ値として物質Cの量をcmとしている。条件判定は、物質ごとの条件判定を有し、以下である。
【0068】
#1の行で示す、物質Aの条件判定は、物質Aの閾値範囲として、a1≦am≦a2を用いる。a1は下限値(第1閾値)であり、a2は上限値(第2閾値)である。物質Aの条件判定は、以下の複数の場合分けがある。物質Aの条件判定は、モニタ値amが閾値範囲内(a1≦am≦a2)である場合を、第1の場合(case 1)とし、判定結果はOKとなる。OKは、基準を満たしていることを示し、生産プロセス制御を実行しないことに対応する。また、物質Aの条件判定は、モニタ値amが下限値を下回る(am<a1)場合を、第2の場合(case 2)とし、判定結果はNGとなる。このNGは、基準を満たしていないこと、特に主成分M1の不足を示し、ある生産プロセス制御(A1とする)を実行することに対応する。また、物質Aの条件判定は、モニタ値amが上限値を超える(a2<am)場合を、第3の場合(case 3)とし、判定結果はNGとなる。このNGは、特に主成分M1の過剰を示し、ある生産プロセス制御(A2とする)を実行することに対応する。
【0069】
物質Bの条件判定は、物質Bの閾値範囲として、b1≦bm≦b2を用いる。b1は下限値(第1閾値)であり、b2は上限値(第2閾値)である。物質Bの条件判定は、以下の複数の場合分けがある。物質Bの条件判定は、モニタ値bmが閾値範囲内(b1≦bm≦b2)である場合を、第1の場合(case 1)とし、判定結果はOKとなる。OKは、基準を満たしていることを示し、生産プロセス制御を実行しないことに対応する。また、物質Bの条件判定は、モニタ値bmが下限値を下回る(bm<b1)場合を、第2の場合(case 2)とし、判定結果はNGとなる。このNGは、基準を満たしていないこと、特に微量成分M2の不足を示し、ある生産プロセス制御(B1とする)を実行することに対応する。また、物質Bの条件判定は、モニタ値bmが上限値を超える(b2<bm)場合を、第3の場合(case 3)とし、判定結果はNGとなる。このNGは、特に微量成分M2の過剰を示し、ある生産プロセス制御(B2とする)を実行することに対応する。
【0070】
物質Cの条件判定は、物質Cの閾値範囲として、c1≦cm≦c2を用いる。c1は下限値(第1閾値)であり、c2は上限値(第2閾値)である。物質Cの条件判定は、以下の複数の場合分けがある。物質Cの条件判定は、モニタ値cmが閾値範囲内(c1≦cm≦c2)である場合を、第1の場合(case 1)とし、判定結果はOKとなる。OKは、基準を満たしていることを示し、生産プロセス制御を実行しないことに対応する。また、物質Cの条件判定は、モニタ値cmが上限値を超える(c2<cm)場合を、第2の場合(case 2)とし、判定結果はNGとなる。このNGは、基準を満たしていないこと、特に不純物M3が多いことを示し、ある生産プロセス制御(C1とする)を実行することに対応する。また、物質Cの条件判定は、モニタ値cmが下限値を下回る(cm<c1)場合を、第3の場合(case 3)とし、判定結果はNGとなる。このNGは、特に不純物M1の過剰抑制を示し、ある生産プロセス制御(C2とする)を実行することに対応する。
【0071】
上記case 2に対応する生産プロセス制御A1,B1,C1は、基準を満たすための制御に相当しており、基準実現制御と記載する場合がある。上記case 3に対応する生産プロセス制御A2,B2,C2は、コストを低減するための制御に相当しており、コスト低減制御と記載する場合がある。
【0072】
[生産プロセス制御]
図8は、
図7の条件判定に対応した生産プロセス制御の各例をまとめた表を示す。
図8の表は、列として、生産プロセス制御(特にIDとして前述のA1~C2)と、制御内容とを有する。各生産プロセス制御の制御内容は以下である。
【0073】
物質A(=微量成分M1)に関する生産プロセス制御A1は、選択肢としていくつかの制御が可能であり、ここでは、それらを、生産プロセス制御A1-1,A1-2,A1-3として示す。生産プロセス制御A1の制御目標は、主成分M1の量を増加して目的生産物TPでの基準を満たすことである。
【0074】
生産プロセス制御A1-1は、今回の生産単位に関する対象の生産物について、生産プロセス2上で実行するプロセスをモニタポイントMPよりも前のプロセスPへ戻してそのプロセスPから再度生産を実行させる制御である。また、この生産プロセス制御A1-1の際には、戻した後の再度実行するプロセスPでの制御量について、モニタ値等に応じて、戻す前の最初の実行時の制御量に対して調整するものとしてもよい。
【0075】
生産プロセス制御A1-2は、生産プロセス制御A1-1に対する変形例であり、今回の生産単位に関する対象の生産物について、生産プロセス2上で実行するプロセスを、モニタポイントMPから後に続く標準的なプロセスPではなく、専用の対処のためのプロセスPへ分岐させて、その分岐先のプロセスPでの生産を実行させる制御である。また、この生産プロセス制御A1-2の際には、分岐後のプロセスPでの制御量について、モニタ値等に応じて、調整するものとしてもよい。生産プロセス制御A1-1と生産プロセス制御A1-2は、生産プロセス2の構成に応じて選択可能である。
【0076】
生産プロセス制御A1-3は、今回の生産単位に関する対象の生産物については、生産プロセス2の調整などを行わずに、次回以降の生産単位に関するプロセスPの投入量や制御量を調整・変更する制御である。言い換えると、この制御は、生産プロセス2のレシピの更新などに相当する。この制御では、モニタ値等に応じて、プロセスPの投入量や制御量が調整・変更される。
【0077】
これらの生産プロセス制御A1-1,A1-2,A1-3によって、目的生産物TPの主成分M1(例えば物質A)に関して基準を満たすことが実現される。
【0078】
生産プロセス制御A2は、選択肢としていくつかの制御が可能であり、ここでは、それらを、生産プロセス制御A2-1,A2-2,A2-3として示す。生産プロセス制御A2の制御目標は、主成分M1に関するコストを低減することである。
【0079】
生産プロセス制御A2-1は、今回の生産単位に関する対象の生産物について、生産プロセス2上で実行するプロセスをモニタポイントMPよりも前のプロセスPへ戻してそのプロセスPから再度生産を実行させる制御である。また、この生産プロセス制御A2-1の際には、戻した後の再度実行するプロセスPでの制御量について、モニタ値等に応じて、戻す前の最初の実行時の制御量に対して調整するものとする。この調整は、主成分M1の量が基準を満たしつつコストが低減されるようにするための調整である。
【0080】
生産プロセス制御A2-2は、生産プロセス制御A2-1に対する変形例であり、今回の生産単位に関する対象の生産物について、生産プロセス2上で実行するプロセスを、標準的なプロセスPではなく専用の対処のためのプロセスPへ分岐させてその分岐先のプロセスPでの生産を実行させる制御である。また、この生産プロセス制御A2-2の際には、分岐後のプロセスPでの制御量について、モニタ値等に応じて、調整するものとする。この調整は、主成分M1の量が基準を満たしつつコストが低減されるようにするための調整である。
【0081】
生産プロセス制御A2-3は、今回の生産単位に関する対象の生産物については、生産プロセス2の調整などを行わずに、次回以降の生産単位に関するプロセスPの投入量や制御量を調整・変更する制御である。この制御では、モニタ値等に応じて、プロセスPの投入量や制御量が調整・変更される。この変更は、主成分M1の量が基準を満たしつつコストが低減されるようにするための変更である。
【0082】
これらの生産プロセス制御A2-1,A2-2,A2-3によって、目的生産物TPの主成分M1(物質A)に関して基準を満たしつつ生産コストの低減が実現される。
【0083】
物質B(微量成分M2)に関する生産プロセス制御B1は、選択肢としていくつかの制御が可能であり、ここでは、それらを、生産プロセス制御B1-1,B1-2,B1-3として示す。生産プロセス制御B1の制御目標は、微量成分M2の量を増加して目的生産物TPでの基準を満たすことである。
【0084】
生産プロセス制御B1-1は、今回の生産単位に関する対象の生産物について、生産プロセス2上で実行するプロセスをモニタポイントMPよりも前のプロセスPへ戻してそのプロセスPから再度生産を実行させる制御である。また、この生産プロセス制御B1-1の際には、戻した後の再度実行するプロセスPでの制御量について、モニタ値等に応じて、戻す前の最初の実行時の制御量に対して調整するものとしてもよい。
【0085】
生産プロセス制御B1-2は、生産プロセス制御B1-1に対する変形例であり、今回の生産単位に関する対象の生産物について、生産プロセス2上で実行するプロセスを、モニタポイントMPから後に続く標準的なプロセスPではなく専用の対処のためのプロセスPへ分岐させて、その分岐先のプロセスPでの生産を実行させる制御である。また、この生産プロセス制御B1-2の際には、分岐後のプロセスPでの制御量について、モニタ値等に応じて、調整するものとしてもよい。
【0086】
生産プロセス制御B1-3は、今回の生産単位に関する対象の生産物については、生産プロセス2の調整などを行わずに、次回以降の生産単位に関するプロセスPの投入量や制御量を調整・変更する制御である。この制御では、モニタ値等に応じて、プロセスPの投入量や制御量が調整・変更される。
【0087】
これらの生産プロセス制御B1-1,B1-2,B1-3によって、目的生産物TPの微量成分M2(物質B)に関して基準を満たすことが実現される。
【0088】
生産プロセス制御B2は、選択肢としていくつかの制御が可能であり、ここでは、それらを、生産プロセス制御B2-1,B2-2,B2-3として示す。生産プロセス制御B2の制御目標は、微量成分M2に関するコストを低減することである。
【0089】
生産プロセス制御B2-1は、今回の生産単位に関する対象の生産物について、生産プロセス2上で実行するプロセスを前のプロセスPへ戻してそのプロセスPから再度生産を実行させる制御である。また、この生産プロセス制御B2-1の際には、戻した後の再度実行するプロセスPでの制御量について、モニタ値等に応じて、戻す前の最初の実行時の制御量に対して調整するものとする。この調整は、微量成分M2の量が基準を満たしつつコストが低減されるようにするための調整である。
【0090】
生産プロセス制御B2-2は、生産プロセス制御B2-1に対する変形例であり、今回の生産単位に関する対象の生産物について、生産プロセス2上で実行するプロセスを、標準的なプロセスPではなく専用の対処のためのプロセスPへ分岐させてその分岐先のプロセスPでの生産を実行させる制御である。また、この生産プロセス制御B2-2の際には、分岐後のプロセスPでの制御量について、モニタ値等に応じて、調整するものとする。この調整は、微量成分M2の量が基準を満たしつつコストが低減されるようにするための調整である。
【0091】
生産プロセス制御B2-3は、今回の生産単位に関する対象の生産物については、生産プロセス2の調整などを行わずに、次回以降の生産単位に関するプロセスPの投入量や制御量を調整・変更する制御である。この制御では、モニタ値等に応じて、プロセスPの投入量や制御量が調整・変更される。この変更は、微量成分M2の量が基準を満たしつつコストが低減されるようにするための変更である。
【0092】
これらの生産プロセス制御B2-1,B2-2,B2-3によって、目的生産物TPの微量成分M2(物質B)に関して基準を満たしつつ生産コストの低減が実現される。
【0093】
物質C(不純物M1)に関する生産プロセス制御C1は、選択肢としていくつかの制御が可能であり、ここでは、それらを、生産プロセス制御C1-1,C1-2,C1-3として示す。生産プロセス制御C1の制御目標は、不純物M3の量を低減して目的生産物TPでの基準を満たすことである。
【0094】
生産プロセス制御C1-1は、今回の生産単位に関する対象の生産物について、生産プロセス2上で実行するプロセスをモニタポイントMPよりも前のプロセスPへ戻してそのプロセスPから再度生産を実行させる制御である。また、この生産プロセス制御C1-1の際には、戻した後の再度実行するプロセスPでの制御量について、モニタ値等に応じて、戻す前の最初の実行時の制御量に対して調整するものとしてもよい。
【0095】
生産プロセス制御C1-2は、生産プロセス制御C1-1に対する変形例であり、今回の生産単位に関する対象の生産物について、生産プロセス2上で実行するプロセスを、モニタポイントMPから後に続く標準的なプロセスPではなく専用の対処のためのプロセスPへ分岐させて、その分岐先のプロセスPでの生産を実行させる制御である。また、この生産プロセス制御C1-2の際には、分岐後のプロセスPでの制御量について、モニタ値等に応じて、調整するものとしてもよい。
【0096】
生産プロセス制御C1-3は、今回の生産単位に関する対象の生産物については、生産プロセス2の調整などを行わずに、次回以降の生産単位に関するプロセスPの投入量や制御量を調整・変更する制御である。この制御では、モニタ値等に応じて、プロセスPの投入量や制御量が調整・変更される。
【0097】
これらの生産プロセス制御C1-1,C1-2,C1-3によって、目的生産物TPの不純物M3(物質C)に関して目的生産物TPでの基準を満たすことが実現される。
【0098】
生産プロセス制御C2は、選択肢としていくつかの制御が可能であり、ここでは、それらを、生産プロセス制御C2-1,C2-2,C2-3として示す。生産プロセス制御C2の制御目標は、不純物M3の量の過剰抑制を解消・緩和して、不純物M3に関するコストを低減することである。
【0099】
生産プロセス制御C2-1は、今回の生産単位に関する対象の生産物について、生産プロセス2上で実行するプロセスを前のプロセスPへ戻してそのプロセスPから再度生産を実行させる制御である。また、この生産プロセス制御C2-1の際には、戻した後の再度実行するプロセスPでの制御量について、モニタ値等に応じて、戻す前の最初の実行時の制御量に対して調整するものとする。この調整は、不純物M3の量が基準を満たしつつ過剰抑制が解消・緩和されるようにするための調整である。
【0100】
生産プロセス制御C2-2は、生産プロセス制御C2-1に対する変形例であり、今回の生産単位に関する対象の生産物について、生産プロセス2上で実行するプロセスを、標準的なプロセスPではなく専用の対処のためのプロセスPへ分岐させてその分岐先のプロセスPでの生産を実行させる制御である。また、この生産プロセス制御C2-2の際には、分岐後のプロセスPでの制御量について、モニタ値等に応じて、調整するものとする。この調整は、不純物M3の量が基準を満たしつつ過剰抑制が解消・緩和されるようにするための調整である。
【0101】
生産プロセス制御C2-3は、今回の生産単位に関する対象の生産物については、生産プロセス2の調整などを行わずに、次回以降の生産単位に関するプロセスPの投入量や制御量を調整・変更する制御である。この制御では、モニタ値等に応じて、プロセスPの投入量や制御量が調整・変更される。この変更は、不純物M3の量が基準を満たしつつ過剰抑制が解消・緩和されるようにするための変更である。
【0102】
これらの生産プロセス制御C2-1,C2-2,C2-3によって、目的生産物TPの不純物M3(物質C)に関して基準を満たしつつ生産コストの低減が実現される。
【0103】
主成分M1(例えば物質A)と微量成分M2(例えば物質B)と不純物M3(例えば物質C)は、生産物における濃度や、生産プロセス2でのプロセスPの状態などの観点で関連しており、相互に影響しあい、物質量などのパラメータ値が変動する。実施の形態1の生産プロセス制御方法およびシステムは、上記のような大別して3種類の物質A,B,Cについて、物質ごとの生産プロセス制御を連動して行う。これにより、目的生産物TPが基準を満たし、かつ、生産コストの低減が実現される。
【0104】
上述した各条件判定および生産プロセス制御がすべて実装される形態には限定されず、一部のみが実装される形態としてもよい。また、次回以降の生産でのプロセス制御量を変更する制御の場合には、生産管理システム3(
図1)の生産プロセス情報D3の内容における制御量を更新するようにしてもよい。
【0105】
次に、
図9A以降を用いて、実施の形態1の生産プロセス制御方法およびシステムによる制御の具体例などについて説明する。
【0106】
[生産プロセス制御の概要(1)]
実施の形態1の生産プロセス制御方法およびシステムにおける制御の概要は以下である。
【0107】
実施の形態1は、対象の生産プロセス2(
図1)の各プロセスPの材料などの投入量や生産量、および制御量などの基本的な構成が、生産管理システム3や計測システムなどによって予め規定され管理されている状態を前提とする。その前提で、実施の形態1の生産プロセス制御方法およびシステム(特に
図1のコンピュータシステム10)は、
図3のステップS2でも示したように、生産プロセス2の各プロセスPに関して設定されたモニタポイントMPで、センサ4や計測システム等を用いて、材料や生産物に関する主成分M1、微量成分M2、および不純物M3の各物質(後述の
図10等)の量や、プロセスPの制御量などのパラメータ値を、計測・検出・モニタリングする。
【0108】
物質の量などのモニタは、重量情報だけでなく、体積情報を得ることがより好ましい。重量と体積とを用いることで、物質量のモニタの精度を高くできる。また、量のモニタは、濃度のモニタとしてもよい。濃度からは各物質の量が換算で得られる。
【0109】
また、このモニタリングは、設定された所定の周期で行われる。生産プロセス制御方法およびシステムは、設定されている閾値範囲に対し、モニタ値の変動を所定の周期でモニタリングして、モニタ値を時系列データとして得る。このモニタリングの周期は、物質ごと、プロセスごと等に設定されてもよい。本実施の形態1の生産プロセス制御システムは、時間軸上のモニタ値の変動を記憶し、モニタ値の時系列データを得る。また、モニタ値は、時点ごとに得られるが、ノイズ等を減らすために、統計値を得ることが好ましい。
【0110】
また、予め、生産管理システム3では、
図1での投入材料Mおよび目的生産物TPに関して、主成分M1の量、主機能を果たすための微量成分M2の量、および不純物M3の量について、それぞれ、基準値、例えば閾値範囲(少なくとも1つの閾値)が設定されている。基準値は、生産プロセス2中のプロセスPごとに設定されていてもよい。コンピュータシステム10は、そのような基準値、閾値範囲を含む生産プロセス情報D3を参照する。
【0111】
実施の形態1では、主成分M1の量、主機能を果たすための微量成分M2の量、および不純物M3の量についての閾値範囲は、予め静的な設定値として設定されているものとする。閾値範囲は、少なくとも1つの閾値としてもよいし、上限値や下限値としてもよいし、基準値/中央値とそれに対する幅などとしてもよい。また、閾値範囲は、正常/異常のような二値の区分に限らずに、多段階的な範囲やレベルとして設定されていてもよい。
【0112】
また、変形例では、生産プロセス制御方法およびシステムは、モニタ値に基づいて、主成分M1の量、主機能を果たすための微量成分M2の量、および不純物M3の量についての閾値範囲を、動的に決定・設定してもよい。すなわち、生産プロセス制御の一種として、その閾値範囲の調整/更新を含めてもよい。
【0113】
本実施の形態1の生産プロセス制御方法およびシステムは、
図3のステップS3でも示したように、モニタ値に基づいた、主成分M1、微量成分M2、および不純物M3の量などを、制御用の閾値範囲と比較して、条件を判定し、場合分けを行う。本方法およびシステムは、判定結果の場合に応じて、物質ごとの生産プロセス制御を決定する(
図7や
図8)。
【0114】
生産プロセス制御システムは、モニタリングで取得したモニタ値を、設定されている閾値範囲と比較して、所定の条件での判定を行う。所定の条件は、例えば、主成分M1の量が閾値範囲内(例えば下限値以上)にあるべきという条件や、微量成分M2の量が閾値範囲内(例えば下限値以上)にあるべきという条件や、不純物M3の量が閾値範囲内(例えば上限値以下)にあるべきという条件、が挙げられる。
【0115】
本方法およびシステムによる生産プロセス制御においてどのような閾値を含む条件を適用するかについては、本システムでユーザ設定が可能である(後述)。
【0116】
本実施の形態1の生産プロセス制御方法およびシステムは、モニタ値の変動の時系列データにおいて、主成分M1や微量成分M2の量が、条件における閾値(例えば基準を満たすための下限値)を下回っている場合、主成分M1や微量成分M2が不足(言い換えると最低含有量に関する基準を満たさない)であるため、その不足に対処するための主成分M1や微量成分M2に関する生産プロセス制御を選択する。その生産プロセス制御は、
図7にも示したように、基準を実現するための制御として、生産プロセス制御A1や生産プロセス制御B1がある。その生産プロセス制御は、例えば、
図8のA1-1やB1-1に示すように、モニタポイントMPよりも前のプロセスPに戻して再度生産実行することで、主成分M1や微量成分M2の量を追加・増加させる制御が挙げられる。
【0117】
このような生産プロセス制御によって、目的生産物TPでの主成分M1や微量成分M2の量が基準(例えば規定の濃度の範囲内)を満たすことが実現される。同様のことを、
図8のA1-2やB1-2に示すようなプロセス分岐制御でも実現できる。また、他にも、
図8のA1-3やB1-3に示すような次回以降の生産に関するプロセスの変更(例えば対象物質の濃度を大きくするための材料投入量の変更や制御量の変更)を適用してもよい。
【0118】
一方で、上記モニタ値の変動の時系列データにおいて、主成分M1や微量成分M2の量が、条件における閾値(例えば上限値)を超えている場合、基準を満たしているものの、主成分M1や微量成分M2の量が過剰に多いため、材料費などの観点から、コストが高くなっている可能性がある。そこで、本方法およびシステムは、その過剰に対処するための生産プロセス制御を選択する。その生産プロセス制御は、
図7にも示したように、生産コストを低減するための制御として、生産プロセス制御A2や生産プロセス制御B2である。その生産プロセス制御は、例えば、
図8のA2-1やB2-1に示すように、モニタポイントMPよりも前のプロセスに戻して再度生産実行することで、主成分M1や微量成分M2の量/濃度を減少させる制御が挙げられる。この制御は、詳しくは、主成分M1や微量成分M2に対しての他方の物質(主成分M1に対する微量成分M2や、微量成分M2に対する主成分M1)を増加させる制御や、あるいは、主成分M1や微量成分M2以外の他物質を追加して濃度を調整する制御などが挙げられる。
【0119】
このような生産プロセス制御によって、目的生産物TPでの主成分M1や微量成分M2の量が基準(例えば規定の濃度の範囲内)を満たしつつ、生産プロセスのコストの低減が実現される。同様のことを、
図8のA2-2やB2-2に示すようなプロセス分岐制御でも実現できる。また、他にも、
図8のA2-3やB2-3に示すような次回以降の生産に関するプロセスの変更(例えば物質の濃度を小さくするための材料投入量の変更や制御量の変更)を適用してもよい。
【0120】
また、上記モニタ値の変動の時系列データにおいて、不純物M3の量が、条件の閾値(例えば上限値)を超えている場合、不純物M3に関する基準を満たしていない、すなわち不純物M3の量が多すぎるので、本方法およびシステムは、不純物M3に関する基準を満たすための生産プロセス制御を選択する。その生産プロセス制御は、
図7にも示したように、基準を満たすための生産プロセス制御として、生産プロセス制御C1である。その生産プロセス制御は、例えば、
図8のC1-1に示すように、モニタポイントMPよりも前のプロセスに戻して再度生産実行して、不純物M3の量/濃度を減少させるための制御が挙げられる。この制御は、例えば、不純物除去プロセスまで戻し、その不純物除去プロセスを再度実行させることが挙げられる。また、この制御は、その不純物除去プロセスでの制御量の調整として、添加する薬剤の量の調整や、装置Fでの温度や圧力や反応時間などの調整を行うことが挙げられる。
【0121】
このような生産プロセス制御によって、目的生産物TPでの不純物M3の量が基準(例えば規定の範囲内)を満たすことが実現される。同様のことを、
図8のC1-2に示すようなプロセス分岐制御でも実現できる。また、他にも、
図8のC1-3に示すような次回以降の生産に関するプロセスの変更(例えば不純物M3の濃度を小さくするための材料投入量の変更や制御量の変更)を適用してもよい。
【0122】
一方で、上記モニタ値の変動の時系列データにおいて、不純物M3の量が、条件の閾値(例えば下限値)を下回っている場合、不純物M3に関する基準を満たしつつも、不純物M3の量が過剰に抑制されており、プロセスPのコストが高くなっている可能性がある。そこで、本方法およびシステムは、不純物M3に関するプロセスPのコストを低減するための生産プロセス制御を選択する。そのプロセス制御は、
図7にも示したように、生産プロセス制御C2である。その生産プロセス制御は、例えば、
図8のC2-3に示すように、今回の生産単位の生産物については調整を行わずに、次回以降の生産に関する生産プロセス2の不純物M3の発生に関するプロセスPの投入量や制御量を変更することが挙げられる。この制御は、例えば、不純物除去プロセスでの制御量として、添加する薬剤の量や、装置Fでの温度や圧力や反応時間などの制御量を調整・変更することが挙げられる。例えば、プロセスPでの設定温度を低くし反応時間を短くすることで、不純物除去プロセスに要する燃料・エネルギーの費用を低減できる。
【0123】
このような生産プロセス制御によって、生産プロセス2のコストを低減できる。また、他にも、
図8のC1-1やC1-2に示すような生産プロセス制御を適用してもよい。
【0124】
[モニタ値および生産プロセス制御]
図9Aおよび
図9Bは、実施の形態1の生産プロセス制御方法およびシステムによるモニタ値の例や、生産プロセス制御の結果によるモニタ値の変動の例を示す。
【0125】
図9Aでは、モニタリングによる時系列モニタデータのモニタ値のグラフの例を示している。
図9Aのグラフは、横軸が時間であり、縦軸が、モニタ値として、上から順に、生産物(中間生産物IPや目的生産物TP)の生産量としての体積と、当該生産物中の主成分M1(例えば物質A)の量、微量成分M2(例えば物質B)の量、および不純物M3(例えば物質C)の量を示す。
【0126】
本例では、生産物は、主成分M1(物質A)が多くを占めるため、生産物の体積に対し、主成分M1(物質A)の量が大きく、微量成分M2(物質B)および不純物M3(物質C)の量は小さい。
【0127】
本例では、物質Aの量に関しては、生産物および主成分M1の生成に伴う期間TA(時点t1~t2)で、物質Aの閾値HAの範囲内に収まっている。閾値HAの範囲は、特に下限値a1から上限値a2までである。
【0128】
また、物質Bの量に関しては、微量成分M2の生成に伴う期間TB1(時点t3~t4)では、物質Bの量が、物質Bの閾値HBの範囲内ではなく、下限値b1を下回っている。閾値HBの範囲は、特に下限値b1から上限値b2までである。コンピュータシステム10は、条件判定に基づいて、微量成分M2(物質B)の量が下限値b1以上となるように、生産プロセス制御(例えば前プロセスに戻す制御やプロセス制御量調整など)を決定・実行する。この結果、時点t5から時点t6の期間TB2では、物質Bの量が下限値b1以上となっている。
【0129】
また、微量成分M2の生成に伴う別の期間TB3(時点t7~t8)では、物質Bの量が、物質Bの閾値HBの範囲から外に出ており、特に上限値b2を超えている。時点t9は、物質Bの量が上限値b2を超える時点である。時点t9で、コンピュータシステム10は、条件判定に基づいて、物質Bに関する生産コストを低減するように、生産プロセス制御(例えば前プロセスに戻す制御やプロセス制御量調整など)を決定・実行する。この結果、時点t10から時点t11の期間TB4では、物質Bの量が下限値b1以上で上限値b2以下となっている。
【0130】
また、物質Cの量に関しては、不純物M3の発生に伴う期間TC1(時点t12~t13)では、物質Cの量が、閾値HCの範囲内ではなく、上限値c2を超えている。時点t3は、物質Cの量が、物質Cの閾値HCの特に上限値c2を超える時点である。コンピュータシステム10は、条件判定に基づいて、物質Cの量が上限値c2以下になるように、物質Cに関する生産プロセス制御(例えば前プロセスへ戻す制御やプロセス制御量調整など)を決定・実行する。その結果、時点t15から時点t16の期間TC2では、物質Cの量が上限値c2以下になっている。
【0131】
また、別の期間TC3(時点t17~t18)では、物質Cの量が、閾値HCの範囲内ではなく、特に下限値c2を下回っている。コンピュータシステム10は、時点t17以後で、条件判定に基づいて、物質Cに関する生産コストを低減するように、生産プロセス制御(例えば前プロセスへ戻す制御やプロセス制御量の調整など)を決定・実行する。その結果、時点t19から時点t20の期間TC4では、物質Cの量が下限値c1以上、上限値c2以下になっている。
【0132】
図9Aの生産プロセス制御例では、今回の生産単位に関して実行した場合を示しているが、次回以降の実行としてもよい。また、
図9Aの例では、主成分M1(物質A)に関しては物質Aの閾値HAの範囲内となる条件を満たしているので生産プロセス制御を実行しない場合を示しているが、プロセスの状態に応じて、物質Aに関しても生産プロセス制御が同様に実行可能である。
【0133】
条件判定例および生産プロセス制御例としては以下である。生産物には必要濃度が決められている。例えば物質Aに対する物質Bの濃度が、基準を満たす必要がある。コンピュータシステム10は、モニタ値を条件の閾値範囲と比較して場合分け等を判定する(
図7)。コンピュータシステム10は、条件判定結果に基づいて、次に移行するプロセスやそのプロセスの制御量、適用する生産プロセス制御などを選択・決定する。
【0134】
コンピュータシステム10は、モニタ値に基づいた必要成分の濃度/量(例えば物質Bの濃度)が条件の閾値(例えば物質Bの下限値)以上である場合には、OKなので、標準的な次のプロセスに移行させる。コンピュータシステム10は、モニタ値に基づいた必要成分の濃度/量が条件の閾値(例えば物質Bの下限値)を下回る場合には、NG(例えば物質Bの濃度/量が不足)なので、微量成分M2の濃度/量を上げて基準を満たすための生産プロセス制御を選択する。例えば、物質Bの必要濃度を満たすために前プロセスに戻す制御などが選択される。
【0135】
図9Aの時点t5、期間TB2の例では、基準実現制御として、生産プロセス制御B1(
図7、
図8)が選択される。例えば、前プロセス(例えば混合・反応プロセス)へ戻す制御B1-1が選択され、制御量調整とともに物質Bの追加添加(追加投入)が行われる。
【0136】
また、コンピュータシステム10は、モニタ値に基づいた不純物M3(物質C)の濃度/量が条件の閾値(例えば物質Cの上限値)以下である場合には、OKなので、標準的な次のプロセスに移行させる。コンピュータシステム10は、モニタ値に基づいた不純物M3(物質C)の濃度/量が条件の閾値(例えば物質Cの上限値)を超える場合には、NGなので、不純物M3の量/濃度を下げて基準を満たすための生産プロセス制御を選択する。例えば、不純物M3の濃度/量を低減するために前プロセスに戻す制御などが選択される。
【0137】
図9Aの時点t14、期間TC2の例では、基準実現制御として、生産プロセス制御C1(
図7、
図8)が選択される。例えば、前プロセス(例えば精製プロセス)へ戻す制御C1-1が選択され、制御量調整とともに不純物除去が再度実行される。
【0138】
また、コンピュータシステム10は、必要成分の濃度/量が上限値を超える場合には、必要成分が過剰であり、コストが過大となっている可能性があるため、生産コストを低減する制御を選択する。その生産コストを低減する制御は、例えば、必要成分に関するプロセスのコストが小さくなるように、当該プロセスの制御量を調整することが挙げられる。
【0139】
図9Aの時点t10、期間TB4の例では、コスト低減制御として、生産プロセス制御B2(
図7、
図8)が選択される。例えば、前プロセス(例えば混合・反応プロセス)へ戻す制御B2-1が選択され、制御量調整とともに物質Bの添加量/濃度の低減・調整が行われる。
【0140】
なお、前プロセスへ戻す制御B2-1の実行によって、生産プロセス2の全体の生産コストが増えてしまう場合には、今回はそれを許容して実行するものとしてもよいし、実行せずに、次回以降のプロセス制御量の変更(制御B2-3)のみとしてもよい。次回以降とする場合には、
図9Bのグラフに示すように、今回の生産では期間TB4で物質Bの量は上限値b2を超えたままとなる。
【0141】
また、コンピュータシステム10は、不純物M3の濃度/量が下限値を下回る場合には、不純物M3の抑制が過剰であり、コストが過大となっている可能性があるため、生産コストを低減する制御を選択する。その生産コストを低減する制御は、例えば、不純物M3に関するプロセスのコストが小さくなるように、当該プロセスの制御量を調整することが挙げられる。
【0142】
図9Aの時点t17、期間TC4の例では、コスト低減制御として、生産プロセス制御C2(
図7、
図8)が選択される。例えば、前プロセス(例えば精製プロセス)へ戻す制御C2-1が選択され、制御量調整とともに物質Cの発生に関する調整が行われる。
【0143】
なお、前プロセスへ戻す制御C2-1の実行によって、生産プロセス2の全体の生産コストが増えてしまう場合には、今回はそれを許容して実行するものとしてもよいし、実行せずに、次回以降のプロセス制御量の変更(制御C2-3)のみとしてもよい。次回以降とする場合には、
図9Bのグラフに示すように、今回の生産では期間TC4で物質Cの量は下限値c1を下回ったままとなる。
【0144】
図9Aの例では、条件判定用の設定値である物質ごとの閾値範囲として、閾値HA,HB,HCを用いる場合を示したが、これに限らず、物質ごとの閾値は、少なくとも1つの値を用いればよい。
【0145】
[比較例の生産プロセス]
次に、生産プロセス2の具体例を用いながら制御例などを説明する。
図10は、比較例の生産プロセスおよび制御の構成例について示す説明図である。ここでは、比較例として、一般的な生産プロセスの一例について記載する。
図10の生産プロセスPP1は、材料IM(言い換えると投入原材料)として少なくとも主成分M1の物質Aと、微量成分M2の物質Bとを有し、主成分M1および微量成分M2を含んで構成される目的生産物TPを生産するためのフローである。生産プロセスPP1中では、不純物M3(物質C)が発生する可能性がある。目的生産物TPは、固体または流体である。
【0146】
図10のように、生産プロセスPP1の最少単位は、主成分M1(例えば物質A)と主機能を果たすための微量成分M2(例えば物質B)とを材料IM(投入原材料)として、目的生産物TP(最終生産物とも記載する)を生産するものである。このために、生産プロセスPP1は、複数のプロセスPとして、上流側から下流側へ順に、例えば、第1プロセスP1、第2プロセスP2、および第3プロセスP3を有する。
【0147】
第1プロセスP1は、少なくとも材料IM(例えば主成分M1と微量成分M2)を混合または反応させるプロセスである(例えば
図4)。第2プロセスP2は、第1プロセスP1後の混合・反応物である中間生産物IPを分離するプロセスである。分離は、サイズや成分に関する分離である。第3プロセスP3は、第2プロセスP2で分離された混合生成物である中間生産物IPを精製するプロセスである。精製とは、不純物M3(物質Cとも記載する)を除去する不純物除去プロセスを含む。
【0148】
主成分M1(物質A)と主機能を果たすための微量成分M2(物質B)は、第1プロセスP1に投入され、第1プロセスP1において、例えば温度、圧力、および反応時間などが制御されて混合/化学反応が行われる。この際に、第1プロセスP1では、温度変化、圧力変化、および、触媒などを用いた化学反応時間などについて、個別に制御パラメータ値が制御量として設定・制御されている(例えば
図4)。この第1プロセスP1の結果、混合・反応物である中間生産物IP(特にIP1とも記載する)が生成される。
【0149】
また、第1プロセスP1後の混合・反応生成物である中間生産物IP(特にIP1)は、第2プロセスP2において、サイズや成分などによって分離が行われる。この際に、第2プロセスP2では、温度、圧力、および、粒子サイズの違いによるろ過などを用いた工程によって分離されて、分離された混合・生成物である中間生産物IP(特にIP2とも記載する)が生成される。
【0150】
第2プロセスP2後の分離された混合・生成物である中間生産物IP(特にIP2)は、第3プロセスP3において、不純物M3(例えば物質C)の除去を含む精製が行われる。第3プロセスP3での不純物M3の除去には、例えば、温度、圧力、および反応時間などを変化させることで不純物M3を蒸発させる工程や、液抽出や固相抽出等の工程が用いられる。これにより、第3プロセスP3後には、不純物M3がある程度除去された生産物である目的生産物TPを得ることができる。
【0151】
上記の各プロセスP(P1~P3)では、生産管理システム3(
図1)によって、投入物に対し、温度、圧力、および時間などの個別の制御パラメータ値が基本的な制御量として規定され管理されている。
【0152】
なお、
図10の生産プロセスPP1では、投入される材料IMは、第1プロセスP1の前の物質Aと物質Bのみがある場合を図示しているが、これに限定されない。生産プロセスに応じて、他の物質(例えば非図示の薬剤など)が投入される場合もあるし、第2プロセスP2以降で物質A,Bが投入あるいは生成される場合もある。あるプロセスPで、ある物質とある物質とが反応して別の物質が生成される場合もある。
図10の生産プロセスPP1の例では、第1プロセスP1、第2プロセスP2、および第3プロセスP3のうちの少なくとも1つのプロセスPで、不純物M3(物質C)が生成または混入する場合がある。
【0153】
また、実施の形態1では、生産プロセスPP1を対象とする場合には、生産プロセスPP1の各プロセスPに関して、それぞれモニタポイントMPが設置されることとなる。
図10の例では、第1プロセスP1への投入の箇所にモニタポイントMP1が設置され、第1プロセスP1の出力から第2プロセスP2への投入の箇所にモニタポイントMP2が設置され、第2プロセスP2の出力から第3プロセスP3への投入の箇所にモニタポイントMP3が設置され、第3プロセスP3からの目的生産物TPの出力の箇所にモニタポイントMP4が設置される。
【0154】
なお、
図10では、プロセスP間にモニタポイントMPを設置する場合を示しているが、これに限定されず、各プロセスP内にモニタポイントMPが設置されるものとしてもよい。センサ4は、装置Fに内蔵されていてもよい。
【0155】
各モニタポイントMPからは、所定のパラメータ値での物質量や制御量やセンサ値のモニタ値が得られる。
図10では、モニタポイントMPからのモニタ値の概要を、物質量や制御量/センサ値として図示している。各物質の量としては、材料IMの量、中間生産物IPの量、主成分M1(物質A)の量、微量成分M2(物質B)の量、不純物M3(物質C)の量、目的生産物TPの量、などがある。プロセスPの制御量やセンサ値としては、プロセスPに応じた、温度、圧力、反応時間、粒子サイズ、抽出液などの制御量/センサ値が挙げられる。制御量は、装置F等によって制御されるパラメータ値である。センサ値は、センサ4等によって計測・検出されるパラメータ値である。
【0156】
実施の形態1の場合、例えばモニタポイントMP2では、第1プロセスP1での混合・反応物である中間生産物IP1などで生じる反応成分量(物質Aや物質Bの量)や未反応成分量(物質Aや物質Bの量)もモニタされ確認される。モニタポイントMP3では、第2プロセスP2での混合・反応物である中間生産物IP2の成分量、粒子サイズなどや、発生した不純物M3(物質C)の量についてもモニタされ確認される。モニタポイントMP4では、第3プロセスP2での精製物である目的生産物TPの成分量(物質Aや物質Bの量)、および不純物M3(物質C)の量などについてもモニタされ確認される。
【0157】
また、生産プロセスPP1の終了の直後には、あるいは、生産プロセスPP1中の最後のプロセスPでは、目的生産物TPに関する検査が行われる場合もある。検査では、例えば、目的生産物TPにおける、主成分M1(物質A)および微量成分M2(物質B)の量が、それぞれ所定の基準を満たすかどうか、例えば閾値範囲内にあるか等が確認される場合がある。また、検査では、目的生産物TPにおける不純物M3(物質C)の量が、所定の基準を満たすかどうか、例えば上限値以下であるか等が確認される場合がある。
図10の例では、モニタポイントMP4のモニタ値を用いて検査を行うことも可能である。
【0158】
上記生産プロセスPP1で扱う物質は、固体、液体または気体が挙げられ、いずれの場合でも成立する。また、
図10の例では、最小単位に関する説明であるため、大別して3種類の物質(物質A,B,C)が、一つずつ存在する場合を図示したが、勿論これに限定されず、それぞれの種類の物質が二つ以上の物質として存在する場合もある。例えば、主成分M1の物質Aに対し、微量成分M2である2つの物質があり、不純物M3として2つの物質が生成され得る等。
【0159】
[生産プロセスの例1]
図11は、上記比較例(
図10)の生産プロセスPP1に対し、実施の形態1での生産プロセス制御を適用した構成例を示す説明図である。
図11での生産プロセスPP1の構成は、
図10での生産プロセスPP1の構成と同様である。実施の形態1では、同じ生産プロセスPP1を制御対象として、
図1のコンピュータシステム10によって、生産プロセス制御が行われる。
図11では、その生産プロセス制御などに関する構成要素を追加して図示している。
図11では、コンピュータシステム10による大きな意味での制御を、生産プロセス制御PCとして図示している。その生産プロセス制御PCには、個別の生産プロセス制御が含まれており、例えば生産プロセス制御PC1,PC2,PC3として図示している。
【0160】
図11の生産プロセスPP1では、前述(
図10)のように、それぞれのプロセスP(P1~P3)に、それぞれのモニタポイントMP(MP1~MP4)が設置されている。実施の形態1では、各モニタポイントMPで、投入される材料IMの量、中間生産物IPの量、目的生産物TPの量、主成分M1(物質A)の量、主機能を満たすための微量成分M2(物質B)の量、および不純物M3(物質C)の量などや、前述の制御量やセンサ値がモニタリングされる。
図1のモニタ部102がそのモニタリングを行う。
【0161】
実施の形態1では、そのモニタリングによるモニタ値が、それぞれ、所定の条件を満たすか等の判定に応じて、実行する生産プロセス制御が決定され(
図7、
図8)、生産プロセスPP1に反映・フィードバックされる。生産プロセス制御PCは、モニタポイントMPに応じた生産プロセス制御として行われる。例えば、モニタ値の物質の量が、閾値範囲内の場合、上限値を超える場合、下限値を下回る場合、などの場合分けに応じて、当該場合に対応付けられる生産プロセス制御が選択される。個別の生産プロセス制御は、
図11の例では、材料IMに関する投入量の調整(今回または次回以降)と、プロセスPの制御量の調整(今回または次回以降)と、前プロセスPに戻して再度生産実行する制御(今回の制御量の調整を含む)とを示している。
【0162】
図11での生産プロセス制御PCの例としては以下が挙げられる。
図1の制御部101は、
図3のステップS3~S5、
図7、
図8に従って、生産プロセス制御PCを実行する。
図11での個別の生産プロセス制御は、大別すると、材料IMの投入量の調整、プロセスPの制御量の調整、前プロセスへ戻す制御があり、図面では、投入量調整CNT1、制御量調整CNT2、前プロセスへ戻す制御CNT3として示している。これらの各生産プロセス制御は、すべて実装することには限定されず、少なくとも一部が実装されればよい。
【0163】
生産プロセス制御PC1は、第1プロセスP1後のモニタポイントMP2のモニタ値に基づいて行われる。生産プロセス制御PC1は、第1プロセスP1への材料IM(主成分M1および微量成分M2)の投入量の調整CNT1と、第1プロセスP1の制御量の調整CNT2と、を有する。
【0164】
生産プロセス制御PC2は、第2プロセスP2後のモニタポイントMP3のモニタ値に基づいて行われる。生産プロセス制御PC2は、第1プロセスP1への材料IM(主成分M1および微量成分M2)の投入量の調整CNT1と、第1プロセスP1の制御量の調整CNT2と、第2プロセスPの制御量の調整CNT2と、を有する。
【0165】
生産プロセス制御PC3は、第3プロセスP3後のモニタポイントMP4のモニタ値に基づいて行われる。生産プロセス制御PC3は、第1プロセスP1への材料IM(主成分M1および微量成分M2)の投入量の調整CNT1と、第1プロセスP1の制御量の調整CNT2と、第2プロセスPの制御量の調整CNT2と、第3プロセスP3の制御量の調整CNT2と、を有する。また、生産プロセス制御PC3は、前プロセスへ戻す制御CNT3を有する。前プロセスへ戻す制御CNT3は、例えば、第1プロセスP1へ戻す制御、または、第2プロセスP2へ戻す制御、または、第3プロセスP3へ戻す制御がある。
【0166】
実施の形態1の生産プロセス制御システム1、特にコンピュータシステム10は、第1プロセスP1後のモニタポイントMP2において、モニタ値に基づいた生産プロセス制御PC1を行う。生産プロセス制御PC1では、混合・反応生成物である中間生産物IP1について、目的生産物TPの量、微量成分M2の量、および不純物M3の量が、それぞれ、条件の閾値範囲内とならない場合(少なくともいずれかの物質量が閾値範囲外となる場合)には、生産プロセス制御PC1として、材料投入量調整CNT1を行う。これにより、基準を満たす目的生産物TPとならないこと、言い換えると、目的生産物TPが基準を満たさないこと、が防止される。基準を満たさないとは、例えば、目的生産物TPにおける不純物M3(物質C)の量が上限値を超えること等である。
【0167】
さらには、上記生産プロセス制御PC1とともに、コンピュータシステム10は、モニタポイントMP2よりも後ろにある、第1プロセスP1以降の第2プロセスP2の制御量の調整として例えば分離条件の変更や、第3プロセスP3の不要物除去プロセスの制御量の調整などを実行してもよい。このような制御を例えば制御量調整CNT4として図示している。
【0168】
生産プロセス制御PC1により、より好適な目的生産物TPを生産でき、廃棄物の低減を実現できる。
【0169】
また、コンピュータシステム10は、第2プロセスP2後のモニタポイントMP3において、モニタ値に基づいた生産プロセス制御PC2を行う。生産プロセス制御PC2では、分離された成分内の目的生産物TP(中間生産物IP2)の量、微量成分M2(物質B)の量、および不純物M3(物質C)の量を確認する。コンピュータシステム10は、それぞれの物質量が、条件の閾値範囲内とならない場合(少なくともいずれかの物質量が閾値範囲外となる場合)には、生産プロセス制御PC2として、第1プロセスP1への材料投入量の調整CNT1、第1プロセスP1の混合/反応の制御量の調整CNT2、もしくは、第2プロセスP2の分離に関する制御量の調整CNT2、のうちの少なくとも1つを行う。
【0170】
さらには、上記生産プロセス制御PC2とともに、コンピュータシステム10は、モニタポイントMP3よりも後ろにある、第2プロセスP1以降の第3プロセスP2の制御量の調整として例えば不要物除去プロセスの制御量の調整CNT4を実行してもよい。
【0171】
生産プロセス制御PC2により、より好適な目的生産物TPを生産でき、廃棄物の低減を実現できる。
【0172】
また、コンピュータシステム10は、第3プロセスP3後のモニタポイントMP4において、モニタ値に基づいた生産プロセス制御PC3を行う。生産プロセス制御PC3では、精製された目的生産物TPの量、微量成分M2(物質B)の量、および不純物M3(物質C)の量を確認する。コンピュータシステム10は、それぞれの物質量が、条件の閾値範囲内とならない場合(少なくともいずれかの物質量が閾値範囲外となる場合)には、生産プロセス制御PC3として、第1プロセスP1への材料投入量の調整CNT1、第1プロセスP1の混合/反応の制御量の調整CNT2、第2プロセスP2の分離に関する制御量の調整CNT2、あるいは第3プロセスP3の精製に関する制御量の調整CNT2、のうちの少なくとも1つを行う。例えば、少なくとも、第3プロセスP3の精製に関する制御量の調整CNT2が行われる。条件判定結果に応じて、材料投入量調整CNT1、第1プロセスP1の制御量調整CNT2、第2プロセスP2の制御量調整CNT2が行われてもよい。
【0173】
また、各生産プロセス制御における各プロセスPの制御量調整CNT2は、次回以降の生産に関する制御量の変更、言い換えるとレシピ(
図1での生産プロセス情報D3)の更新としてもよいし、下記の前プロセスへ戻す制御CNT3の実行の場合には、今回の生産に関する戻された後のプロセスPの制御量の調整(言い換えると一時的な調整)としてもよい。
【0174】
生産プロセス制御PC3では、条件判定結果に応じて、前プロセスへ戻す制御CNT3が実行される。制御量調整とともに前プロセスに戻す制御CNT3を、一点鎖線矢印で図示している。コンピュータシステム10は、例えば、モニタポイントMP4のモニタ値を、条件の閾値範囲と比較し、目的生産物TPの量、微量成分M2の量、および不純物M3の量が、閾値範囲内にならない場合(例えば
図7)には、対象物の生産単位について実行するプロセスPを、第3プロセスP3よりも前のプロセスP(例えば第2プロセスP2)へ戻す制御CNT3を実行する。すなわち、例えば第2プロセスP2へ戻す制御CNT3の場合では、対象物(生産単位)について、第2プロセスP2の投入側へ戻された後に、再度(2回目)、第2プロセスP2で分離が行われ、中間生産物IP2が、第3プロセスP3に投入され、再度(2回目)、第3プロセスP3で不純物除去を含む精製が行われる。
【0175】
また、この制御CNT3の際には、モニタ値に応じて、戻された後の再度のプロセスP(P2,P3)での制御量が調整されてもよい。例えば、1回目の第2プロセスP2の分離の制御量に対し、2回目の第2プロセスP2の分離の制御量が、異なる値にされてもよい。
【0176】
再度(2回目)の第3プロセスP3後には、より好適な目的生産物TPが得られる。なお、前プロセスへ戻す制御CNT3を、必要に応じて、3回以上繰り返すことも、同様に可能である。
【0177】
生産プロセス制御PC3により、より好適な目的生産物TPを生産でき、廃棄物の低減を実現できる。
【0178】
上記の前プロセスへ戻す制御CNT3は、第3プロセスP3後のモニタポイントMP4に限らずに、各モニタポイントMPおよび各プロセスPで同様に行うことが可能である。例えば、第2プロセスP2後のモニタポイントMP3のモニタ値に基づいて第1プロセスP1に戻す制御なども可能である。生産プロセス2が、より多数のプロセスPを有して構成される場合にも、同様の生産プロセス制御が適用可能である。
図11では、可能な各種の生産プロセス制御の例を図示したが、これらに限定されず、適用対象の生産プロセス2等に応じて、これらの生産プロセス制御のうち少なくとも一部が実装および適用されればよい。
【0179】
[前プロセスに戻す制御]
図12は、前プロセスに戻す制御CNT3(
図8での制御B1-1など)についての補足説明図である。
図12では、同じ生産プロセスPP1上で、ある生産単位を生産する回での生産実行の場合に、第3プロセスP3後のモニタポイントMP4に基づいて前プロセスに戻す制御CNT3が発生した場合の模式図を示している。本例では、生産プロセス制御PC3として、第2プロセスP2へ戻す場合を示している。
【0180】
コンピュータシステム10は、モニタポイントMP4のモニタ値を、条件の閾値範囲と比較して判定した結果、生産プロセス制御PC3として前プロセスに戻す制御CNT3を実行する。条件判定は、例えば、前述のように(
図7)、不純物M3(物質C)の量が上限値を超える場合などがある。
【0181】
コンピュータシステム10は、モニタポイントMP4のモニタ値において、生産単位における不純物M3(物質C)の量が、条件の閾値範囲内ではない場合、例えば上限値を超える場合(
図7のcase 2、c2<cm)、NGとし、当該生産単位について、第2プロセスP2に戻す制御CNT3(
図8での生産プロセス制御C1-1)を適用すると判定する。
図11では、この前プロセスへの戻しを、モニタポイントMP4後の中間生産物IPから、2回目(丸付き数字で示す)の第2プロセスP2へのつながりとして図示している。わかりやすいように1回目と2回目とを分けて図示しているが、第2プロセスP2等で使用する装置F等は同じである。2回目の第2プロセスP2、および2回目の第3プロセスP3を経由後、目的生産物TPが得られる。
【0182】
コンピュータシステム10は、第2プロセスP2に戻した後に第2プロセスP2を再度実行する際の制御量、例えば分離のための温度や圧力などの制御量を調整してもよいし、第3プロセスP3を再度実行する際の制御量、例えば不純物除去のための温度や圧力などの制御量を調整してもよい。
【0183】
コンピュータシステム10(
図1の制御部101)は、この前プロセスへ戻す制御CNT3の実行の際には、この制御CNT3のための制御指示を、該当する第2プロセスP2の装置F等に送信する。生産プロセス2(PP1)中に中間生産物IPの搬送のための機構(例えばコンベヤ)などがある場合には、コンピュータシステム10は、そのような機構に対し、制御指示を送信してもよい。制御指示は、第2プロセスP2に戻して再度実行する旨の指示の他に、戻した後の第2プロセスP2等の制御量の調整の指示が挙げられる。第2プロセスP2の装置F等は、その制御指示に従って、当該生産単位についての再度のプロセスを実行する。
【0184】
[生産プロセスの例2(分岐)]
図13は、実施の形態1で対象として可能である他の生産プロセス2の構成例として、生産プロセスPP2を示す。この生産プロセスPP2は、前述の対処プロセスへの分岐の制御(
図8でのC1-2等)を行う場合の対象の例である。
【0185】
図13の生産プロセスPP2は、第1プロセスP1(混合/反応)、第2プロセス(分離)、および第3プロセスP3(精製)までは、前述の生産プロセスPP1と同様である。
図13の生産プロセスPP2は、一旦、第1プロセスP1(混合/反応)、第2プロセス(分離)および第3プロセスP3(精製)まででプロセスを完了させ、この中間生産物IP(特にIP3)を目的生産物TPとして終了する場合と、この中間生産物IP(特にIP3)からさらに別のプロセスで生産して目的生産物TPを得る場合とがある。生産プロセスPP2は、第3プロセスP3の後に、分岐先のプロセスPとして、第4プロセス(混合/反応)、第5プロセス(分離)、および第6プロセスP3(精製)が続く。
【0186】
このような生産プロセスPP2を対象とする場合、コンピュータシステム10は、例えば第3プロセスP3後のモニタポイントMP4のモニタ値に基づいた生産プロセス制御PC3として、対処プロセスへ分岐する制御が選択適用可能となる。
【0187】
コンピュータシステム10は、第3プロセスP3までで生産された中間生産物IP(IP3)に対し、条件判定結果に応じて、図示のように、対処プロセスへ分岐して生産する制御CNT5として、第4プロセスP4へ分岐(言い換えると移行)させる。
図13では、この分岐を、分岐1301として矢印で図示している。第4プロセスP4は、第1プロセスP1とは別のプロセスとして装置F等も設けられている。第5プロセスP5や第6プロセスP6も同様である。
【0188】
第4プロセスP4(混合/反応)では、例えば、新たに微量成分M2(物質B)の追加投入が行われる。
図13では、第4プロセスP4への微量成分M2(物質B)の追加投入を、追加投入1302として図示している。
【0189】
第4プロセスP4で追加投入される微量成分M2(物質B)は、第1プロセスP1に投入される微量成分M2(物質B)と同じ物質である。第4プロセスP4の際に追加投入する微量成分M2(物質B)の量については、追加投入1302に対応したモニタポイントMP5でモニタされる。また、モニタポイントMP5で投入される微量成分M2(物質B)の量は、モニタポイントMP4のモニタ値に基づいた生産プロセス制御PC3に応じて変更されてもよく、材料投入量調整CNT1として示している。
【0190】
また、第4プロセスP4での制御量についても、モニタポイントMP4のモニタ値に基づいた生産プロセス制御PC3に応じて調整されてもよく、制御量調整CNT2として示している。
【0191】
第4プロセスP4後のモニタポインタMP6でもモニタされてもよく、そのモニタ値に応じて生産プロセス制御が行われてもよい。第4プロセスP4に対しても、例えば
図11での生産プロセス制御PC1と同様の制御がされてもよい。
【0192】
その後の第5プロセスP5(分離)についても、同様に、各モニタ値に応じて、制御量が調整されてもよく、制御量調整CNT2として示している。例えば、複数の分離条件に基づいて、最適化のプロセス制御として、制御量調整や投入量調整などが行われてもよい。
【0193】
第5プロセスP5後のモニタポインタMP7でもモニタされてもよく、そのモニタ値に応じて生産プロセス制御が行われてもよい。第5プロセスP5に対しても、例えば
図11での生産プロセス制御PC2と同様の制御がされてもよい。
【0194】
その後の第6プロセスP6(精製)についても、同様に、各モニタ値に応じて、制御量が調整されてもよく、制御量調整CNT2として示している。例えば、不純物除去プロセスの制御量が調整されてもよい。
【0195】
第6プロセスP6後のモニタポインタMP8でもモニタされてもよく、そのモニタ値に応じて生産プロセス制御が行われてもよい。第6プロセスP6に対しても、例えば
図11での生産プロセス制御PC3と同様の制御がされてもよい。
【0196】
図13のような分岐を用いた生産プロセス制御によって、より好適な目的生産物TPを生産でき、廃棄物の低減を実現できる。
【0197】
上記生産プロセスPP2の例は、分岐先のプロセス(P4~P6)が分岐前の前段のプロセス(P1~P3)と同様である場合を示したが、これに限定されず、分岐先のプロセスが、分岐前の前段のプロセスとは異なるプロセスであってもよい。また、分岐先のプロセスやフローが複数通り用意されていてもよい。
【0198】
図12のような生産プロセスPP1での前プロセスへ戻し再度生産する制御CNT3と、
図13のような生産プロセスPP2での対処プロセスへ分岐し生産する制御CNT5とは、生産に関する類似の効果が実現可能である。
【0199】
図12のような生産プロセスPP1や、
図13のような生産プロセスPP2は、組み合わせの構成も可能である。すなわち、前プロセスへ戻す制御と分岐の制御とを組み合わせた生産プロセス制御も可能である。
【0200】
[生産プロセスの例3(分岐)]
図14は、実施の形態1で対象として可能である他の生産プロセス2の構成例として、生産プロセスPP3を示す。生産プロセスPP3は、組み合わせの構成例であり、分岐の制御CNT5に関する別の構成例である。生産プロセスPP3は、第1プロセスP1、第2プロセスP2、および第3プロセスP3までは前述の生産プロセスPP1,PP2と同様である。第3プロセスP3の後には例えば第4プロセスP4が続き、以降のプロセスは省略している。
【0201】
例えば第1プロセスP1のような混合・反応のプロセスにおいて、温度や圧力などの制御量の条件に応じて生成物が異なる場合がある。通常の条件では、第1プロセスP1から第2プロセスP2に移行する。条件に応じて生成物が異なる場合には、第1プロセスP1から第2プロセスP2に移行する際に、例えば主成分M1、微量成分M2および不純物M3の量に応じて、その後のプロセスを分岐して、通常時とは別のプロセスへ移行させてもよい。
【0202】
図14の生産プロセスPP3の例では、第1プロセスP1後の分岐点(丸印で示す)から、条件に応じて、第2プロセスP2(第2Aプロセスとも記載する)、第2Bプロセス、第2Cプロセスに分岐する。分岐点は、モニタポイントMP2と対応している。第2Bプロセスの後には第3Bプロセス、第4Bプロセスが続き、第2Cプロセスの後には第3Cプロセス、第4Cプロセスが続く。
【0203】
また、例えば、第2プロセスP2後の分岐点(モニタポイントMP3と対応する)から、条件に応じて、第3プロセスP3(第3Aプロセスとも記載する)、第3Dプロセス、第3Eプロセスに分岐する。同様に、第3プロセスP3後の分岐点(モニタポイントMP4と対応する)から、条件に応じて、第4プロセスP4(第4Aプロセスとも記載する)、第4Dプロセス、第4Eプロセスに分岐する。なお、このような生産プロセス2の分岐は、前提として生産管理システム3(
図1)が管理・制御している場合もある。
【0204】
このような分岐を含んだ生産プロセスPP3を対象とする場合、実施の形態1の生産プロセス制御方法およびシステムは、プロセスのモニタ値および条件判定に応じて、生産プロセスの分岐を制御する。それとともに、本方法およびシステムは、分岐に応じた目的生産物TP/中間生産物IPの生産量などに応じて、各プロセスの材料/生産物の投入量の調整や、各プロセスの制御量の調整を行う。
【0205】
例えば、コンピュータシステム10は、第1プロセスP1前のモニタポイントMP1および第1プロセスP1後のモニタポイントMP2のモニタ値に基づいて、第1プロセスP1での温度や圧力などの値や、主成分M1、微量成分M2および不純物M3の各物質の量から、分岐に関する条件を判定する。コンピュータシステム10は、判定結果に応じて、分岐の制御CNT5を行い、生産単位の生産を実行するプロセスを分岐させる、言い換えると、移行先のプロセスを決定する。例えば、移行先のプロセスが第2Cプロセスであるとする。第2Cプロセスは例えば第2Aプロセスとは別の分離プロセスである。それとともに、コンピュータシステム10は、生産単位の分岐の流れにおいて、各プロセスの投入量や制御量を調整してもよい。例えば、コンピュータシステム10は、前プロセスである第1プロセスP1の材料の投入量の調整CNT1や第1プロセスP1の制御量の調整CNT2を行い、また、移行先の第2Cプロセスや第3Cプロセス等の制御量の調整CNT2を行う。
【0206】
また、コンピュータシステム10は、分離を行う第2プロセスP2から、精製を行う第3プロセスP3に移行する際に、同様に分岐を制御してもよい。コンピュータシステム10は、第2プロセスP2後のモニタポイントMP3のモニタ値に基づいて、第2プロセスP2での分離のパラメータ値や、主成分M1、微量成分M2および不純物M3の各物質の量から、分岐に関する条件を判定する。コンピュータシステム10は、判定結果に応じて、第2プロセスP2後の分岐点からプロセスを分岐させる制御CNT5を行う。例えば、移行先のプロセスを第3Dプロセスとする。第3Dプロセスは例えば第3Aプロセスとは別の精製プロセスである。コンピュータシステム10は、移行先のプロセスの投入量や制御量を調整する。
【0207】
また、第3プロセスP3での精製のパラメータ値に応じて、複数の目的生産物TPを生産する場合もある。例えば、コンピュータシステム10は、第3プロセスP3後のモニタポイントMP4のモニタ値および条件判定に基づいて、第4Aプロセス、第4Dプロセス、および第4Eプロセスへの分岐の制御CNT5を行ってもよい。この場合では、移行先を複数のプロセスとする。それぞれの移行先のプロセスで、それぞれ対応する目的生産物TP/中間生産物IPの生産が行われる。コンピュータシステム10は、それぞれの移行先のプロセスでの投入量や制御量を調整する。
【0208】
[GUI画面例]
図15は、
図1のコンピュータシステム10がユーザU1に提供するGUI画面の例を示す。このGUI画面は、生産プロセスおよびモニタポイントの設定欄1501と、生産プロセス制御の条件の設定欄1502と、を有する。設定欄1501では、ユーザU1がIDなどで選択した生産プロセス2の構成情報(例えば図示のようにフローの形式)が表示され、その生産プロセス2にモニタポイントMPを設定・確認できる。設定欄1502では、ユーザU1がIDなどで選択した条件ごとに、ユーザU1が閾値範囲や適用する生産プロセス制御を設定・確認できる。例えば、
図7のような表と同様の情報が表示される。ユーザU1は、例えば生産プロセス制御を選択肢(例えば
図8)から選択して設定できる。
【0209】
GUI画面では、他にも、生産プロセス2の生産実行の状況や結果などを表示してもよい。GUI画面では、例えば、生産の日時、どのプロセスPを実行中かの状況、プロセスPの正常/異常などの状態、目的生産物TPの各物質が基準を満たすかどうか、生産プロセス制御の実行の有無や内容、モニタ値のグラフ、などを表示してもよい。これらにより、ユーザU1は、GUI画面で、生産プロセス制御の管理や把握が容易となる。
【0210】
[実施の形態1の効果等]
以上説明したように、実施の形態1の生産プロセス制御方法およびシステムによれば、生産プロセス2の自動化に関して、生産プロセス2の管理・制御をより効率化することで生産コストの低減・抑制などを実現できる。実施の形態1によれば、モニタに応じた生産プロセス制御を実行することで、より好適な目的生産物TPを得ることができ、生産物の廃棄などを低減でき、生産コストを低減できる。また、実施の形態1によれば、プロセスPの制御量をより好適な値に調整でき、精度などを高め、レシピを最適化することができる。
【0211】
<変形例>
実施の形態1の変形例として以下も可能である。
図1の生産プロセス制御装置10であるコンピュータシステム10は、生産管理システム3と一体で実装されたものでもよい。
【0212】
変形例として、1つのコンピュータシステム10が、対象として複数の生産プロセス2を制御する構成も可能である。
【0213】
図16を用いて、実施の形態1の変形例について説明する。この変形例は、実施の形態1に対し、基本的な構成は同様・共通であり、異なる構成点としては、
図3のステップS3の条件判定の内容が異なる。
【0214】
図16は、変形例での条件判定についてまとめた表を示す。コンピュータシステム10の制御部101(
図1)は、モニタリングによる物質A,B,Cのモニタ値、例えば物質量を、条件の閾値範囲と比較し、条件を満たすか判定する。変形例での条件は、物質A量の条件と物質B量の条件と物質C量の条件とを論理的に組み合わせた条件として構成されている。例えば、前述のOKとなるための条件は、各物質量がすべて対応する閾値範囲を満たすことである。当該条件は、例えば、case 1として図示しているように、論理積(AND)を用いて、(a1≦am≦a2)AND(b1≦bm≦b2)AND(c1≦cm≦c2)として表すことができる。
【0215】
また、生産プロセス制御の実行に対応するNGとなる条件は、各種の定義が考えられるが、例えば以下が挙げられる。抽象的には、当該条件は、[物質A量のサブ条件]AND[物質B量のサブ条件]AND[物質C量のサブ条件]を満たす場合に、NGとなり、そのNGの場合に対応した生産プロセス制御が選択される。
【0216】
case 2として図示している例では、[物質A量のサブ条件]は(a1≦am≦a2)であり、[物質B量のサブ条件]は(bm<b1)であり、[物質C量のサブ条件]は(c1≦cm≦c2)である。すなわち、当該条件は、微量成分M2のみが不足しているという条件である。この場合に、NGとし、対応する生産プロセス制御として、物質Bに関する基準を満たすための生産プロセス制御B1が選択される。
【0217】
case 3として図示している別の例では、[物質A量のサブ条件]は(a1≦am≦a2)であり、[物質B量のサブ条件]は(bm<b1)であり、[物質C量のサブ条件]は(cm>c2)である。すなわち、当該条件は、微量成分M2が不足し、かつ、不純物M3が超過しているという条件である。この場合に、NGとし、対応する生産プロセス制御として、物質Bおよび物質Cに関する基準を満たすために同時に行う生産プロセス制御が選択される。この生産プロセス制御は、例えば、物質Bおよび物質Cに関して基準を満たすための制御B1およびC1である。この制御は、例えば、前プロセスに戻して再度生産を実行する制御B1-1(物質Bの量に関するプロセス制御量の調整を含む)と、前プロセスに戻して再度生産を実行する制御C1-1(物質Cの量に関するプロセス制御量の調整を含む)との両方を1つに統合した制御である。
【0218】
case 4として図示している別の例では、[物質A量のサブ条件]は(a1≦am≦a2)であり、[物質B量のサブ条件]は(bm<b1)であり、[物質C量の条件]は(cm<c1)である。すなわち、当該条件は、微量成分M2が不足し、かつ、不純物M3の抑制が過剰となっているという条件である。この場合に、NGとし、対応する生産プロセス制御として、物質Bに関する基準を満たし、かつ、物質Cに関するコストを低減するために同時に行う生産プロセス制御が選択される。この制御は、例えば、物質Bに関して基準を満たすために前プロセスに戻して再度生産を実行する制御B1-1(物質Bの量に関するプロセス制御量の調整を含む)と、物質Cに関するコストを低減するためのプロセス制御量の調整C2-3との両方を1つに統合した制御である。
【0219】
case 5として図示している別の例では、[物質A量のサブ条件]は(a1≦am≦a2)であり、[物質B量のサブ条件]は(bm>b2)であり、[物質C量のサブ条件]は(cm>c2)である。すなわち、当該条件は、微量成分M2の量が過剰であり、かつ、不純物M3の量が超過しているという条件である。この場合に、NGとし、対応する生産プロセス制御として、物質Bに関するコストを低減し、かつ、物質Cに関する基準を満たすために同時に行う生産プロセス制御が選択される。この制御は、例えば、物質Cに関する基準を満たすために前プロセスに戻して再度生産を実行する制御C1-1(物質Cの量に関するプロセス制御量の調整を含む)と、物質Bに関するコストを低減するためのプロセス制御量の調整C1-3との両方を1つに統合した制御である。
【0220】
同様に、変形例でのコンピュータシステム10は、各物質の量に関する複合的な条件を定義し、条件を満たす場合に応じた生産プロセス制御を定義する。これにより、変形例によれば、より複雑で詳細な制御が可能であり、実施の形態1と同様に、生産プロセス2の管理・制御をより効率化することで生産コストの低減・抑制などを実現できる。
【0221】
以上、本開示の実施の形態について具体的に説明したが、前述の実施の形態に限定されず、要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。各実施の形態は、必須構成要素を除き、構成要素の追加・削除・置換などが可能である。特に限定しない場合、各構成要素は、単数でも複数でもよい。各実施の形態や変形例を組み合わせた形態も可能である。
【符号の説明】
【0222】
1…生産プロセス制御システム、2…生産プロセス、3…生産管理システム、4…センサ、5…ユーザ端末、9…通信網、10…生産プロセス制御装置(コンピュータシステム)、P…プロセス、F…装置、M…材料、MP…モニタポイント、IP…中間生産物、TP…目的生産物、D1…制御データ、D2…センサデータ、D3…生産プロセス情報、101…制御部、102…モニタ部、103…データ記憶部、104…出力部。