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特開2024-119359けらば包みの支持具およびその支持構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119359
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】けらば包みの支持具およびその支持構造体
(51)【国際特許分類】
   E04D 3/40 20060101AFI20240827BHJP
   E04D 13/158 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
E04D3/40 M
E04D13/158
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026206
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000200323
【氏名又は名称】JFE鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】押田 博之
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 英之
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108AZ06
2E108BN06
2E108CC02
2E108CC03
2E108CC04
2E108CC05
2E108CV00
2E108DF04
2E108DF11
2E108FF03
2E108FF04
2E108GG00
2E108GG01
2E108GG15
(57)【要約】
【課題】折板屋根材を端部用タイトフレームに確実に係止させた状態を維持しながら、けらば包みを高い固定強度のもとに安定して支持できる支持具および支持構造体を提案する。
【解決手段】けらば包みを支持する支持具を、二重屋根の下位に位置する折板屋根材と上位に位置する折板屋根材との相互間に配置され、脚部を下位に位置する折板屋根材を支持する端部用タイトフレームに連結させるベースと、ベースの頭部に設けられ、上位に位置する折板屋根材を該ベースの頭部との間で挟持するとともにけらば包みを支持する押さえ板と、該押さえ板に設けられ、けらば包みの天板の端縁において垂下保持された内板に締結手段を介して連結可能な係止板とを有するもので構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折板屋根材によって上下にそれぞれ葺きあげられた二重屋根の妻側端部を覆い隠すけらば包みを、該妻側端部に固定支持する支持具であって、
前記二重屋根の下位に位置する折板屋根材と上位に位置する折板屋根材との相互間に配置され、脚部を下位に位置する折板屋根材を支持する端部用タイトフレームに連結させるベースを備え、
前記ベースは、その頭部に設けられ、上位に位置する折板屋根材を該ベースの頭部との間で挟持するとともにけらば包みを支持する押さえ板と、該押さえ板に設けられ、けらば包みの天板の端縁において垂下保持された内板に締結手段を介して連結可能な係止板とを有することを特徴とするけらば包みの支持具。
【請求項2】
前記ベースは、その脚部に、前記端部用タイトフレームとの相互間に介在させて該端部用タイトフレームを通して出入りする熱を遮断する緩衝部材を有することを特徴とする請求項1に記載したけらば包みの支持具。
【請求項3】
前記押さえ板は、前記ベースの脚部に連結可能な連結壁と、該連結壁の一端から立ち上がる起立壁と、該起立壁の上端につながり、その上面で前記けらば包みの天板を支持する天壁と、該天壁の端縁に垂下保持され、該起立壁および該天壁と協働して前記上位に位置する折板屋根材の頭頂壁に設けられた上ハゼまたは下ハゼの収納空間を形成する垂下壁と、該垂下壁の下端につながり、該ベースの頭部に沿って接地される接地壁とを有することを特徴とする請求項1または2に記載したけらば包みの支持具。
【請求項4】
前記押さえ板は、前記接地壁につながり、前記上位に位置する折板屋根材の傾斜側壁の上部に形成されたくびれ部に適合させて該上位に位置する折板屋根材に対して前記ベースの頭部へ向かう引き上げ力を付与する屈曲凸部を有することを特徴とする請求項3に記載したけらば包みの支持具。
【請求項5】
前記押さえ板は、締結具を通す貫通孔を有することを特徴とする請求項1または2に記載したけらば包みの支持具。
【請求項6】
請求項1または2に記載された支持具を用いてけらば包みを二重屋根の妻側端部に支持するけらば包みの支持構造体であって、
けらば包みの内板を締結手段を介して前記係止板に連結し、該けらば包みの外板の下端を締結手段を介して外壁に連結してなる、ことを特徴とするけらば包みの支持構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折板屋根材を用いて上下にそれぞれ葺きあげられた二重屋根の「けらば」(以下、「けらば」を妻側端部という。)にけらば包みを固定支持する支持具およびその支持構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
折板屋根材を用いて葺きあげられた切妻タイプの二重屋根等では、雨仕舞いの観点から、妻側端部にけらば包みを設置するのが必要不可欠であって、その支持構造体としては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
【0003】
上記特許文献1に開示された支持構造体は、上葺屋根板の端部と下葺屋根板の端部とを固定する支持部材の一方の挟持部材の固定部を、止具の載設部を介して屋根受けフレームの天面部に第3締結部材によって固定し、他方の挟持部材の傾斜部に下葺屋根板の傾斜面上部外面を当接させ、かつ、折曲部を下葺屋板の段部の上に位置させる構造からなるものであって、これによれば、支持部材の組付状態を安定化させることができるとされていた。
【0004】
ところで、従来のけらば包みの支持構造体は、上葺屋根板の山部を、上凸状に折曲された掛止部に単に掛止させるものであって、屋根の葺きあげ作業に際して上葺屋根板に作業者の体重がかかる等、局所的に過大な荷重が付加された場合や屋根に過大な負圧が作用した際に、上葺屋根板の山部が係止部から離れる向きへと引っ張られ、該山部の形状変形等により上葺屋根板が所定の位置からずれてしまうことが懸念されている。
【0005】
また、かかる支持構造体は、屋根受けフレームが設けられていない領域で上葺屋根板の山部に中間金具を取り付け、この中間金具を介してけらば包みの内側部を固定するもので、支持部材とは別の部材を用意する必要があり、けらば包みの、中間金具への固定作業を、屋根受けフレームに設置される支持部材の取り付け作業とは別個に行わなければならことから、けらば包みの効率的な取り付を行うのが困難である。しかも、けらば包みの固定強度は上葺屋根板の山部の変形強度に依存しており、上葺屋根板の山部に所期しない形状変形が起きた場合に、けらば包みの固定が不安定になるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8-333848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、折板屋根材を確実に係止するとともに、けらば包みを高い取り付け強度のもとに安定的に支持できる支持具および支持構造体を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、折板屋根材によって上下にそれぞれ葺きあげられた二重屋根の妻側端部を覆い隠すけらば包みを、該妻側端部に固定支持する支持具であって、前記二重屋根の下位に位置する折板屋根材と上位に位置する折板屋根材との相互間に配置され、脚部を下位に位置する折板屋根材を支持する端部用タイトフレームに連結させるベースを備え、前記ベースは、その頭部に設けられ、上位に位置する折板屋根材を該ベースの頭部との間で挟持するとともにけらば包みを支持する押さえ板と、該押さえ板に設けられ、けらば包みの天板の端縁において垂下保持された内板に締結手段を介して連結可能な係止板とを有することを特徴とするけらば包みの支持具である。
【0009】
上記の構成からなるけらば包みの支持具において、前記ベースは、その脚部に、前記端部用タイトフレームとの相互間に介在させて該端部用タイトフレームを通して出入りする熱を遮断する緩衝部材を有すること、また、前記押さえ板は、前記ベースの脚部に連結可能な連結壁と、該連結壁の一端から立ち上がる起立壁と、該起立壁の上端につながり、その上面で前記けらば包みの天板を支持する天壁と、該天壁の端縁に垂下保持され、該起立壁および該天壁と協働して前記上位に位置する折板屋根材の頭頂壁に設けられた上ハゼまたは下ハゼの収納空間を形成する垂下壁と、該垂下壁の下端につながり、該ベースの頭部に沿って接地される接地壁とを有すること、さらに、前記押さえ板は、前記接地壁につながり、前記上位に位置する折板屋根材の傾斜側壁の上部に形成されたくびれ部に適合させて該上位に位置する折板屋根材に対して前記ベースの頭部へ向かう引き上げ力を付与する屈曲凸部を有すること、さらに、前記押さえ板は、締結具を通す貫通孔を有すること、が課題解決のための具体的手段として好ましい。
【0010】
また、本発明は、上記の構成からなる支持具を用いてけらば包みを二重屋根の妻側端部に支持するけらば包みの支持構造体であって、けらば包みの内板を締結手段を介して前記係止板に連結し、該けらば包みの外板の下端を締結手段を介して外壁に連結してなる、ことを特徴とするけらば包みの支持構造体である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、折板屋根材を、妻側端部において確実に係止した状態で、けらば包みを高い取り付け強度のもとに安定して支持することができる。
【0012】
また、本発明によれば、ベースの脚部と端部用タイトフレームとの相互間に配置した緩衝部材により端部用タイトフレームを通して出入りする熱を遮断することが可能であり、二重屋根の妻側端部の断熱効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明にしたがうけらば包みの支持構造体を模式的に示した図である。
図2】本発明にしたがうけらば包みの支持具を模式的に示した外観斜視図である。
図3図2に示した支持具を分解状態で示した図である。
図4】折板屋根材を示した図であり、(a)は、外観斜視図、(b)は、端面を示した図である。
図5】二重屋根の葺きあげ要領の説明図である。
図6図5に示した要領で葺きあげられた二重屋根の端面を示した図である。
図7】本発明にしたがう支持構造体の他の例を示した図である。
図8】折板屋根材を固定する吊子を利用したけらば包みの支持構造体の例を示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1は、断熱材が敷設された二重屋根の妻側端部に配置された端部用タイトフレームに本発明にしたがう支持具を取り付け、該支持具でけらば包みを支持した支持構造体をその断面について示した図である。また、図2は、本発明にしたがうけらば包みの支持具を模式的に示した外観斜視図であり、図3は、その支持具を分解状態で示した図である。
【0015】
本発明の支持具、支持構造体を説明するに先立ち、まず、二重屋根を葺きあげるのに使用される折板屋根材、けらば包み、折板屋根材を支持するタイトフレーム(端部用タイトフレームを含む)について説明する。
【0016】
図1~3における符号1は、折板屋根材である。折板屋根材1は、図4(a)、(b)に示すように、上方外開き姿勢に保持され、上部にくびれ部Kが形成された一対の傾斜側壁1a、1bと、該傾斜側壁1a、1bの下端部を相互につなぐ溝壁1cと、傾斜側壁1a、1bの上部に形成されたくびれ部Kを介してつながり、上ハゼ1d、下ハゼ1eが形成された頭頂壁1f、1gから構成されている。
【0017】
上記の構成からなる折板屋根材1は、図5に示すように、接合端部としての上ハゼ1d、下ハゼ1eを、隣接配置される他の折板屋根材1の下ハゼ1e、上ハゼ1dに適合させ、それらをハゼ締めして折板屋根材同士を相互につなぎ合わせながら下位に位置する折板屋根材1をタイトフレームTに支持し、その支持を完了したならば、上位に位置する折板屋根材1を支持金具Uを介して支持するものであって、この作業を、上下においてそれぞれ繰り返し行うとともに、下位に位置する折板屋根材1と上位に位置する折板屋根材1の相互間に適宜断熱材Zを敷設することにより、図6に示すように、一方の妻側端部からもう一方の妻側端部に向けて山部と谷部が交互に配列された波形形状をなす二重屋根(断熱二重屋根)を葺きあげるものである。
【0018】
下位に位置する折板屋根材1を保持するタイトフレームTは、一対の脚部T1と、該一対の脚部T1の上端に設けられた頭部T2とを有する吊子レスタイプのものを用いることが可能であり、頭部T2に形成された爪部T21を、折板屋根材1のくびれ部Kに適合させることにより折板屋根材1を抜け止め保持する。
【0019】
また、上位に位置する折板屋根材1を支持する支持金具Uは、下位に位置する折板屋根材1のくびれ部Kに適合して該支持具Uを固定保持する一対の脚部U1と、該一対の脚部U1の上端に設けられた頭部U2とを有する吊子レスタイプのものが用いられ、頭部U2に形成された爪部U21を、上位に位置する折板屋根材1のくびれ部Kに適合させることにより折板屋根材1を支持金具Uに抜け止め保持する。
【0020】
折板屋根材1は、厚さ0.6~1.0mm程度、より好ましくは、0.8mm程度の亜鉛めっき鋼板、アルミニウム亜鉛合金めっき板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、銅板またはそれらの塗装、被覆鋼板等が用いられ、単一の板材にロール成形等の成形加工を施すことにより形成される。長さや幅寸法、断面形状は、適宜変更可能であり、図示のものに限定されない。
【0021】
また、図1~3における符号2は、けらば包みである。けらば包み2は、二重屋根の妻側端部の外方に位置する外板2aと、該外板2aの上端部につながり、折板屋根材1に向けて伸延する天板2bと、該天板2bの端縁につながり、そこから垂下保持される内板2cと、該内板2cの下端部につながり、先端部分が折板屋根材1の外表面に当接可能な跳ね板2dと、該外板2aの下端部につながり、建築構造物の外壁(角波材等)Wの上部に連結される連結板2eとからなるものが適用される。なお、けらば包み2の跳ね板2dと折板屋根材1との間には止水用のシール部材(EPDM等)Sが配置され、外壁Wの上端部には、ケミカル面戸W1が配置される。
【0022】
けらば包み2は、厚さ0.6~1.0mm程度、より好ましくは、0.8mm程度の亜鉛めっき鋼板、アルミニウム亜鉛合金めっき板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、銅板またはそれらの塗装、被覆鋼板等を用いることができる。けらば包み2の長さや断面形状は、外壁との取合いに応じて適宜変更することができるものであって図示のものに限定されない。
【0023】
また、図1~3における符号3は、下位に位置する折板屋根材1を妻側端部において支持する端部用タイトフレームである。端部用タイトフレーム3は、二重屋根の軒から棟に沿い、1メートル以下の間隔で下地材に設置されるものであって、一対の脚部3a、3bと、該一対の脚部3a、3bの上端に一体的につながる頭部3cと、脚部3a、3bを下端において相互につなげる底壁片3dで構成されたものが適用される。
【0024】
一対の脚部3a、3bのうち、外方に位置する脚部3aは、垂直姿勢に保持されており、内方に位置する脚部3bは、下位に位置する折板屋根材1の傾斜側壁1bと同等の傾斜をもった傾き姿勢に保持されており、該脚部3bと頭部3cとの境界には、折板屋根材1の傾斜側壁1bの上部に形成されたくびれ部Kに適合するくびれ部3eが設けられている。
【0025】
下位に位置する折板屋根材1の傾斜側壁1bおよび頭頂壁1fは、そのくびれ部Kを含め、端部用タイトフレーム3の脚部3b、頭部3c、くびれ部3eに密着して設置される。
【0026】
また、図1~3における符号4は、本発明にしたがう支持具である。支持具4は、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム亜鉛合金めっき板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、銅板またはそれらの塗装、被覆鋼板等からなる、厚さが0.8~3.2mm程度の金属製の板材を所望の形状に曲げ加工することによって製作されるものである。支持具4は、ベース4aと、押さえ板4bと、係止板4cとで構成されるものが適用される。ベース4aは、下位に位置する折板屋根材1と上位に位置する折板屋根材1との相互間に配置されるものであり、押さえ板4bは、ベース4aの頭部に設けられ、上位に位置する折板屋根材1を該ベース4aの頭部との間で挟持するとともにその上面でけらば包み2の天板2bを支持するものである。また、係止板4cは、押さえ板4bの上面(けらば包み2の天板2bを支持する上面とは異なる位置の上面)に設けられ、けらば包み2の天板2bの端縁において垂下保持された内板2cにドリルビス等の締結手段5を介して連結するものである。
【0027】
支持具4において、ベース4aは、外方に位置し、垂直姿勢に保持された端部用タイトフレーム3の脚部3aに連結片6を介してつながる脚部4a1と、内方に位置し、下位に位置する折板屋根材1を貫通する締結手段を介して端部用タイトフレーム3の脚部3bにつながる脚部4a2と、該脚部4a1、4a2の上端に一体的につながる頭部4a3とで構成されたものを適用することができる。この場合、脚部4a2には、上位に位置する折板屋根材1の傾斜側壁1bと同等の傾斜が付与され、該脚部4a2と頭部4a3との境界には、上位に位置する折板屋根材1の傾斜側壁1bの上部に形成されたくびれ部Kに適合するくびれ部4a4が設けられる。なお、脚部4a1、4a2は、いずれもその下部末端に接地片4a11、4a21が設けられたもの用いることができる。
【0028】
また、支持具4において、押さえ板4bは、連結片7を介してベース4aの脚部4a1に連結される連結壁4b1と、該連結壁4b1の一端から立ち上がる起立壁4b2と、該起立壁4b2の上端につながり、その上面でけらば包み2の天板2bを支持する天壁4b3と、該天壁4b3の端縁に垂下保持され、起立壁4b2および天壁4b3と協働して上位に位置する折板屋根材1の頭頂壁1f、1gに設けられた上ハゼ1dまたは下ハゼ1e(図示の例では、上ハゼ1dで表示)を収納する収納空間Mを形成する垂下壁4b4と、該垂下壁4b4の下端につながり、ベース4aの頭部4a3に沿って接地される接地壁4b5とを有するもので構成されており、接地壁4b5には、該接地壁4b5につながり、折板屋根材1の1bの上部に形成されたくびれ部Kに適合する屈曲凸部4b6と、該屈曲凸部4b6につながり、折板屋根材1の傾斜側壁1bに当接する舌片4b7とが設けられている。接地壁4b5には、その部位においてカシメられたボルト4b8を設けておくことができ、該ボルト4b8を、係止板4cに形成された貫通孔に挿通させ、ナット4b9を締め込むことにより押さえ板4bと係止板4cとを連結することができるようになっている。舌片4b7については、必要に応じて貫通孔4b10を設けることが可能であり、その貫通孔4b10にドリルビス等の締結具4b11を通すことができる。
【0029】
支持具4における係止板4cとしては、押さえ板4bの垂下壁4b4に合わさる縦壁4c1と、該縦壁4c1の下端につながり、押さえ板4bの接地壁4b5に合わさる横壁4c2と、該横壁4c2の端部につながるリップ付きの起立壁4c3とから構成されたものを適用することができる。
【0030】
また、図1~3における符号8は、ベース4aの脚部4a1、4a2の接地片4a11、4a21に設けられた緩衝部材である。緩衝部材8は、端部用タイトフレーム3との相互間に介在させて端部用タイトフレーム3を通して出入りする熱を遮断するものであって、これにより二重屋根の妻側端部における断熱性能を高めることができるようになっている。緩衝部材8としては、合成樹脂やゴム部材が適用される。緩衝部材8には、脚部4a1、4a2の接地片4a11、4a21をそれぞれ差し込可能な差し込み溝を設けておくことができ、差し込み溝を利用して緩衝部材8を予め脚部4a1、4a2の接地片4a11、4a21に装着しておくことによりベース4aの、端部用タイトフレーム3への効率的な取り付けが可能となる。なお、脚部4a1と接地片4a11の境界、脚部4a2と接地片4a21との境界には、それぞれ緩衝部材8の差し込みによる装着を可能とするため、切欠きが設けられている。
【0031】
本発明にしたがう支持具4は、押さえ板4bの屈曲凸部4b6が折板屋根材1のくびれ部Kに適合した状態で、折板屋根材1を、ベース4aと押さえ板4bとの間で強固に挟持するものであり、その際、折板屋根材1には、屈曲凸部4b6により折板屋根材1をベース4aの頭部4a3へ向けて引き上げる力が作用するため、折板屋根材1に所期しない引き抜き力が付加されることがあったとしても該折板屋根材1はベース4aに安定して係止、保持されることとなり、折板屋根材1が簡単に位置ずれることはない。
【0032】
また、本発明にしたがう支持具4は、端部用タイトフレーム3を通して出入りする熱を緩衝部材8により遮断することができるため、二重屋根の妻側端部における断熱性を高めることが可能であり、けらば包み2は、内板2cを通して係止板4cに固定されるため止水性が高く、しかも、折板屋根材1とけらば包み2とは共締めされることがないため、長尺な折板屋根材1と短尺なけらば包み2との間で熱伸縮の違いがあってもそれによる悪影響、例えば、固定ビスの破断によるビス頭部の脱落や、蓄積された歪みの解放に伴う音鳴り現象等を効果的に回避できる利点がある。
【0033】
とくに、係止板4cにリップ付きの起立壁4c3を設けておくことにより、図7に示すように、溝型あるいはL型断面をなす通しアングル9を平ビスHを介して仮止めすることができ、端部用タイトフレーム3、支持具4の設置個数を増やすことなしに、けらば包み2を屋根の軒から棟に至るまでの複数個所で固定することが可能であり、強風仕様として、けらば包み2をより一層強固に支持することができる。
【0034】
なお、タイトフレームT、端部用タイトフレーム3のような吊子レスタイプのタイトフレームを適用する場合、積雪荷重等の影響で上位に位置する折板屋根材1が軒先に向けてずれることがないともいえない。このため、本発明にしたがう支持具4は、吊子レスタイプのタイトフレームを用いる際には、二重屋根の棟側に配置される少なくとも1つの支持具4を対象にして、押さえ板4bの舌片4b7に形成された貫通孔4b10にドリルビス等の締結具4b11を通して押さえ板4bを折板屋根材1とともにベース4aに固定することが可能であり、これによれば、けらば包み2や折板屋根材1の軒乃至棟方向における熱伸縮を阻害することなしにけらば包み2を支持具4にて支持することができる。
【0035】
図8は、ベース4aと、吊子10と、該吊子10において固定される天板金具11とを用いてけらば包み2を妻側端部において支持した支持構造体の例を示した図である。かかる構造体においても、ベース4aの脚部4a1、4a2の接地片4a11、4a21に緩衝部材8を設けておくことが可能であり、端部用タイトフレーム3を通して出入りする熱を遮断して断熱効率を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、折板屋根材を、妻側端部において確実に係止させた状態を維持しながらも、けらば包みを高い取り付け強度で安定して支持し得る支持具および支持構造を提供することができる。また、本発明によれば、二重屋根の妻側端部における断熱効率を高めることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 折板屋根材
1a、1b 傾斜側壁
1c 溝壁
1d 上ハゼ
1e 下ハゼ
1f、1g 頭頂壁
2 けらば包み
2a 外板
2b 天板
2c 内板
2d 跳ね板
2e 連結板
3 端部用タイトフレーム
3a、3b 脚部
3c 頭部
3d 底壁片
3e くびれ部
4 支持具
4a ベース
4a1、4a2 脚部
4a11 接地片
4a21 接地片
4a3 頭部
4a4 くびれ部
4b 押さえ板
4b1 連結壁
4b2 起立壁
4b3 天壁
4b4 垂下壁
4b5 接地壁
4b6 屈曲凸部
4b7 舌片
4b8 ボルト
4b9 ナット
4b10 貫通孔
4b11 締結具
4c 係止板
4c1 縦壁
4c2 横壁
4c3 起立壁
5 締結手段
6 連結片
7 連結片
8 緩衝部材
9 通しアングル
10 吊子
11 天板金具
K くびれ部
T タイトフレーム
T1 脚部
T2 頭部
T21 爪部
U 支持金具
U1 脚部
U2 頭部
U21 爪部
S シール部材
W 外壁
W1 ケミカル面戸
Z 断熱材
M 収納空間
H 平ビス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5