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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119377
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】モータユニット
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/10 20060101AFI20240827BHJP
   H02K 11/215 20160101ALI20240827BHJP
【FI】
H02K5/10 A
H02K11/215
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026237
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100182453
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 英明
(72)【発明者】
【氏名】小林 隼人
(72)【発明者】
【氏名】北山 直嗣
(72)【発明者】
【氏名】有竹 恭大
【テーマコード(参考)】
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
5H605AA02
5H605AA08
5H605BB05
5H605CC02
5H605CC04
5H605DD16
5H605EB10
5H605EB32
5H611AA01
5H611PP07
5H611QQ01
5H611QQ02
5H611QQ03
5H611RR02
5H611TT01
5H611UA04
(57)【要約】
【課題】モータ回転軸を支持しながら軸受ホルダを組み付け可能なモータユニットを提供する。
【解決手段】モータ部2と、モータ部2を制御する制御部3と、モータ部2のモータ回転軸7を回転可能に支持する軸受20,21と、モータ部2と制御部3との間に配置され軸受20を保持する軸受ホルダ22と、モータ部2、制御部3、軸受20,21及び軸受ホルダ22が収容されるハウジング4を備え、モータ部2に絶縁性の流体が流入するモータユニット1であって、軸受ホルダ22は、ハウジング4のモータ部2側の空間と制御部3側の空間とを連通するように設けられる貫通孔22eを有し、貫通孔22eに、モータ部2側の空間と制御部3側の空間との間を閉鎖する隔壁部材25が配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ部と、
前記モータ部を制御する制御部と、
前記モータ部のモータ回転軸を回転可能に支持する軸受と、
前記モータ部と前記制御部との間に配置され前記軸受を保持する軸受ホルダと、
前記モータ部、前記制御部、前記軸受及び前記軸受ホルダが収容されるハウジングを備え、
前記モータ部に絶縁性の流体が流入するモータユニットであって、
前記軸受ホルダは、前記ハウジングのモータ部側の空間と制御部側の空間とを連通するように設けられる貫通孔を有し、
前記貫通孔に、前記モータ部側の空間と前記制御部側の空間との間を閉鎖する隔壁部材が配置されることを特徴とするモータユニット。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記モータ回転軸の軸線上に配置される請求項1に記載のモータユニット。
【請求項3】
前記モータ回転軸の軸方向一端部に取り付けられ前記モータ回転軸と一緒に回転する検知対象部材と、
前記隔壁部材を介して前記検知対象部材と対向するように配置され前記検知対象部材の回転を検知する回転センサを備える請求項1に記載のモータユニット。
【請求項4】
前記検知対象部材は、センサマグネットであり、
前記回転センサは、前記センサマグネットの磁気を検知する磁気センサである請求項3に記載のモータユニット。
【請求項5】
前記隔壁部材と前記軸受ホルダとの線膨張係数の差が1.0×10-5/K以下である請求項1又は2に記載のモータユニット。
【請求項6】
前記隔壁部材と前記貫通孔との間にシール材が介在する請求項1又は2に記載のモータユニット。
【請求項7】
前記隔壁部材が金属板のプレス成形品である請求項3又は4に記載のモータユニット。
【請求項8】
前記金属板の厚さが0.3mm以上1.0mm以下である請求項7に記載のモータユニット。
【請求項9】
前記隔壁部材が非磁性体である請求項3又は4に記載のモータユニット。
【請求項10】
前記隔壁部材が脱磁されたプレス成形品である請求項3又は4に記載のモータユニット。
【請求項11】
前記隔壁部材の制御部側の端部が、前記貫通孔の制御部側の端部と同じ位置か、それよりもモータ部側に位置する請求項1又は2に記載のモータユニット。
【請求項12】
前記モータ回転軸は流体ポンプのポンプ部に連結される請求項1又は2に記載のモータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(国際公開第2020-166531号)においては、オイルポンプなどに用いるモータユニットとして、モータ部と、モータ部を制御する制御部とが、ハウジング内に一体的に収容されたものが提案されている。
【0003】
このようなモータユニットにおいて、モータ部がオイルに浸かった状態で使用される場合、モータ部から制御部への流体の侵入及び外部への流体の漏出を防止するため、モータ部の空間を他の空間と区画し、さらに、密閉する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020-166531
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
モータ部の空間を密閉する方法としては、モータ部を構成するステータ及びロータをハウジング本体内に収容した後、ハウジング本体の開口部をカバー部材によって閉鎖し、ハウジング本体とカバー部材との間を液状ガスケットあるいはOリングなどのシール材を用いて密閉する方法がある。
【0006】
しかしながら、カバー部材が、モータ回転軸の一端部を支持する軸受ホルダを兼ねる場合は、カバー部材の組み付けが困難となる。すなわち、カバー部材(軸受ホルダ)を取り付ける際、モータ回転軸の一端部が支持されていないので、モータ回転軸が傾かないように、作業者などがモータ回転軸を支持しながらカバー部材(軸受ホルダ)を組み付けなければならない。しかしながら、カバー部材(軸受ホルダ)を組み付けようとすると、モータ回転軸を支持する作業者の手又は治具などがカバー部材(軸受ホルダ)の組み付けの妨げとなる。このため、モータ回転軸を支持しながらカバー部材(軸受ホルダ)を組み付けることができず、カバー部材(軸受ホルダ)を組み付ける際にモータ回転軸が傾いて、カバー部材(軸受ホルダ)をうまく組み付けできない懸念がある。
【0007】
そこで、本発明は、モータ回転軸を支持しながら軸受ホルダを組み付け可能なモータユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、モータ部と、モータ部を制御する制御部と、モータ部のモータ回転軸を回転可能に支持する軸受と、モータ部と制御部との間に配置され軸受を保持する軸受ホルダと、モータ部、制御部、軸受及び軸受ホルダが収容されるハウジングを備え、モータ部に絶縁性の流体が流入するモータユニットであって、軸受ホルダは、ハウジングのモータ部側の空間と制御部側の空間とを連通するように設けられる貫通孔を有し、貫通孔に、モータ部側の空間と制御部側の空間との間を閉鎖する隔壁部材が配置されることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るモータユニットにおいては、軸受ホルダが、ハウジングのモータ部側の空間と制御部側の空間とを連通するように設けられる貫通孔を有しているため、この貫通孔を通してモータ回転軸を支持することができる。すなわち、この貫通孔を通してモータ回転軸を支持しながら軸受ホルダの組み付けを行うことができるので、軸受ホルダの組み付け作業を容易に行えるようになると共に、組み付け不良の発生も回避できるようになる。また、軸受ホルダの組み付けを終えた後は、貫通孔内に隔壁部材を配置することにより、モータ部側の空間と制御部側の空間との間を閉鎖することができるため、モータ部側から制御部側への流体の流入を防止できる。
【0010】
貫通孔は、モータ回転軸の軸線上に配置されることが好ましい。貫通孔がモータ回転軸の軸線上にあることにより、貫通孔を通してモータ回転軸を支持しやすくなる。
【0011】
また、本発明に係るモータユニットは、モータ回転軸の軸方向一端部に取り付けられモータ回転軸と一緒に回転する検知対象部材と、隔壁部材を介して検知対象部材と対向するように配置され検知対象部材の回転を検知する回転センサを備えるものであってもよい。
【0012】
また、検知対象部材は、センサマグネットであり、回転センサは、センサマグネットの磁気を検知する磁気センサであってもよい。
【0013】
隔壁部材と軸受ホルダとの線膨張係数の差は1.0×10-5/K以下であることが好ましい。これらの部材の線膨張係数の差を1.0×10-5/K以下とすることにより、温度変化に伴う貫通孔と隔壁部材との間の締め代の変化が小さくなるため、密閉性を良好に確保できるようになる。
【0014】
隔壁部材と貫通孔との間にシール材を介在させてもよい。この場合、温度変化により隔壁部材と貫通孔とのそれぞれの寸法が変化しても、その変化に追従してシール材が弾性変形することにより、貫通孔における密閉性を良好に確保できる。また、密閉性を確保するために、線膨張係数の差が1.0×10-5/K以下となるような材料を選択しなくてもよくなるので、材料選択の幅が広がる。
【0015】
上記回転センサを備える構成においては、隔壁部材を金属板のプレス成形品により構成することが好ましい。隔壁部材をプレス成形品とすることにより、隔壁部材の厚さを薄く形成できるので、検知対象部材と回転センサとの間の距離を適切な距離に保ち、回転センサの検知精度を良好に維持できるようになる。
【0016】
また、上記プレス成形される金属板の厚さは、回転センサの検知精度のほか、耐圧性、コスト及び入手容易性を考慮し、0.3mm以上1.0mm以下であることが好ましい。
【0017】
また、上記回転センサを備える構成においては、隔壁部材が非磁性体であることが好ましい。隔壁部材を非磁性体とすることにより、磁気の影響による回転センサの検知不良を回避できるようになる。
【0018】
また、隔壁部材の磁気の影響を回避するために、隔壁部材を脱磁されたプレス成形品により構成してもよい。それにより、製造時の磁化をキャンセルできる。
【0019】
また、隔壁部材の制御部側の端部は、貫通孔の制御部側の端部と同じ位置か、それよりもモータ部側に位置することが好ましい。このような位置に隔壁部材が配置されることにより、隔壁部材の制御部側の端部が貫通孔の制御部側の端部よりも制御部側に突出している場合に比べて、貫通孔の内面に対する隔壁部材の接触面積を大きく確保できるようになる。これにより、隔壁部材と貫通孔との間における摩擦力を大きく確保できるようになるので、隔壁部材が貫通孔内から脱落しにくくなる。
【0020】
また、本発明は、モータ回転軸が流体ポンプのポンプ部に連結されるモータユニットに適用可能である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、モータ回転軸を支持しながら軸受ホルダを組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係るモータユニットを搭載するオイルポンプの構成を示す断面図である。
図2】本実施形態に係るモータユニットの分解斜視図である。
図3】バスバーが配置される部分(図1における一点鎖線枠にて囲まれる部分)を拡大して示す断面図である。
図4】本実施形態に係るモータユニットの組み付け手順を示す断面図である。
図5】本実施形態に係るモータユニットの組み付け手順を示す断面図である。
図6】本実施形態に係るモータユニットの組み付け手順を示す断面図である。
図7】本実施形態に係るモータユニットの組み付け手順を示す断面図である。
図8】本実施形態に係るモータユニットの組み付け手順を示す断面図である。
図9】隔壁部材と貫通孔との間にシール材を介在させた例を示す図である。
図10】隔壁部材の厚さを示す図である。
図11】隔壁部材を貫通孔から制御部側へ突出しないように配置した例を示す図である。
図12】隔壁部材を貫通孔から制御部側へ突出するように配置した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係るモータユニットの実施形態を図面に基づいて詳述する。以下の実施形態においては、トロコイドポンプなどのオイルポンプに組み付けられたモータユニットを例示する。なお、本発明に係るモータユニットは、オイル以外の絶縁性の流体を送り出す流体ポンプにも適用可能である。
【0024】
図1は、本実施形態に係るモータユニットを搭載するオイルポンプの構成を示す断面図、図2は、本実施形態に係るモータユニットの分解斜視図である。
【0025】
図1に示されるように、本実施形態に係るモータユニット1は、オイルポンプ60のポンプ部61を駆動させるモータ部2と、モータ部2を制御する制御部3と、モータ部2及び制御部3が収容されるハウジング4などを備えている。以下の説明において、モータ部2のモータ回転軸7と平行な方向(図1における上下方向と平行な方向)を「軸方向」と呼び、モータ回転軸7に対して交差する方向(直交する方向も含む。)を「径方向」と呼ぶ。また、モータ回転軸7を中心とする円の円周方向を「周方向」と呼ぶことにする。
【0026】
モータ部2は、ハウジング4に固定されるステータ5と、ステータ5の径方向内側に隙間を介して配置されるロータ6と、ロータ6の径方向内側に配置されるモータ回転軸7を有している。ステータ5は、磁性体から成るステータコアと、絶縁材料を介してステータコアに巻回されるコイルなどにより構成される。ロータ6は、磁性体から成る環状のロータコアと、ロータコアの周方向等間隔に配置される複数のマグネット(永久磁石)などにより構成される。モータ回転軸7は、ロータ6(ロータコア)の径方向内側に挿入され、ロータ6と一体に回転するように固定される。
【0027】
制御部3は、コンデンサなどの複数の電子部品が実装される基板8を有している。基板8には、外部電源に接続されるコネクタ30が設けられている。コネクタ30を介して外部電源から基板8に電力が供給されると、基板8上の制御回路によって電流が制御され、その電流が後述のバスバー31を介してステータ5の各コイルに供給されることにより、ロータ6及びモータ回転軸7が一体に回転する。
【0028】
ハウジング4は、モータ部2及び制御部3が収容されるハウジング本体9と、ハウジング本体9の矩形状の開口部9a(図2参照)を覆うカバー部材10とによって構成される。ハウジング本体9は、モータ部2が収容される第1収容部11と、制御部3が収容される第2収容部12とを一体に有している。
【0029】
第1収容部11は、有底筒状に形成され、筒状(本実施形態では円筒状)の周壁部11aと、周壁部11aの軸方向一端部(図1における下端部)に設けられる底壁部11bを有している。底壁部11bにはモータ回転軸7の一端部を外部へ露出させるための孔部11cが設けられている。
【0030】
第2収容部12は、直方体状に形成され、矩形枠状の側壁部12aと、側壁部12aの軸方向一端部(図1における下端部)に設けられる底壁部12bとを有している。図1における第2収容部12の上部には、上記矩形状の開口部9aが設けられている。モータ部2及び制御部3の各構成部材は、この開口部9aを通してハウジング本体9内に収容される。
【0031】
また、開口部9aを形成する側壁部12aの縁には、シール材13が収容されるシール溝12cが設けられている。カバー部材10が開口部9aを覆うようにハウジング本体9に装着されると、シール材13がカバー部材10とハウジング本体9との各装着面間において挟まれることにより、ハウジング4内が密閉される。ハウジング本体9の開口部9aの近傍(縁部)には、カバー部材10をハウジング本体9に固定するためのねじが挿入される複数のねじ孔12f(図2参照)が設けられている。また、第2収容部12の側壁部12aとカバー部材10には、モータユニット1を車両などの対象物に取り付けるためのボルトが挿通される複数のボルト挿通孔12d,10aが設けられている。
【0032】
また、第2収容部12の側壁部12aには、基板8が取り付けられる複数の取付面12eが設けられている(図2参照)。これらの取付面12eには、ねじ孔17が設けられており、各取付面12eに対して基板8を載置し、ねじ孔17にねじをねじ込んで基板8を取付面12eに締結することにより、基板8がハウジング本体9に対して固定される(図1参照)。
【0033】
ハウジング本体9内には、モータ部2及び制御部3のほか、モータ回転軸7を支持する一対の軸受20,21と、一方の軸受20を保持する軸受ホルダ22も収容される。一対の軸受20,21は、ロータ6を軸方向に挟むようにロータ6の両側に位置し、モータ回転軸7を回転可能に支持する。一対の軸受20,21のうち、ロータ6よりも制御部3側(図1における上側)に配置される軸受20は、軸受ホルダ22によって保持される。一方、反対側(図1における下側)の軸受21は、第1収容部11の底壁部11bに設けられる円環状の軸受保持部11d内に圧入されて保持される。本実施形態においては、一対の軸受20,21として、複数のボールが外輪と内輪の間に配置される深溝玉軸受などの転がり軸受が用いられているが、他の軸受を用いてもよい。
【0034】
軸受ホルダ22は、一方の軸受20を保持すると共に、モータ部2が収容される空間(第1収容部11の内部空間)と制御部3が収容される空間(第2収容部12の内部空間)との間において、これらの空間を仕切るように配置される。このため、軸受ホルダ22は、一方の軸受20を保持する円筒部22aと、モータ部2が収容される空間と制御部3が収容される空間との間を仕切る板状部22bを有している。
【0035】
板状部22bは、第1収容部11と第2収容部12との間に設けられる円形の嵌合部9b(図2参照)に対して嵌合する円環部22cを有している。また、円環部22cの外周面には、シール材14が収容されるシール溝22dが設けられている。このため、円環部22cが嵌合部9bに嵌合すると、シール材14によって円環部22cと嵌合部9bとの間が密閉される。
【0036】
また、嵌合部9bの周囲(第2収容部12の底壁部12b)には、軸受ホルダ22をハウジング本体9に固定するためのねじが挿入されるねじ孔9cが設けられている(図2参照)。軸受ホルダ22は、円環部22cが嵌合部9bに対して嵌合された状態において、さらに、ねじがねじ孔9cに挿入されて板状部22bが締結されることにより、ハウジング本体9に固定される。
【0037】
軸受ホルダ22の円筒部22aは、板状部22bの中央に設けられ、板状部22bからモータ部2側と制御部3側の両方(図1における上下方向)へ突出している。円筒部22aのうち、モータ部2側に突出する部分の内周面には、軸受20が保持されている。また、円筒部22aは、その内周面により形成される貫通孔22eを有している。貫通孔22eは、モータ部2側の空間(第1収容部11の内部空間)と制御部3側の空間(第2収容部12の内部空間)とを連通するように設けられている。
【0038】
図1に示されるように、軸受ホルダ22がハウジング本体9に対して組み付けられた状態においては、モータ回転軸7の一端部(制御部3側の端部)が貫通孔22e内に挿入される。この貫通孔22e内に挿入されるモータ回転軸7の端部には、モータ回転軸7の回転検知用の検知対象部材であるセンサマグネット15が取り付けられている。一方、基板8には、センサマグネット15の回転を検知する回転センサとしての磁気センサ16が設けられている。
【0039】
また、本実施形態においては、センサマグネット15が、円筒状のマグネットホルダ24を介してモータ回転軸7の端部に取り付けられている。具体的に、マグネットホルダ24は、センサマグネット15を保持する大径円筒部24aと、大径円筒部24aよりも小さい内径に形成され、モータ回転軸7の端部外周面に固定される小径円筒部24bを有している。大径円筒部24a内にセンサマグネット15が嵌め込まれ、小径円筒部24bがモータ回転軸7の端部外周面に固定されることにより、センサマグネット15がマグネットホルダ24を介してモータ回転軸7に取り付けられる。
【0040】
磁気センサ16は、基板8の軸受ホルダ22と対向する面(図1における下面)に設けられ、後述の隔壁部材25を介してセンサマグネット15に対向するように配置される。磁気センサ16は、例えばMR素子あるいはホール素子などにより構成される。モータ回転軸7の回転に伴って、センサマグネット15がモータ回転軸7と一体に回転すると、このときのセンサマグネット15の磁気(磁束)の変化を磁気センサ16が検知することにより、モータ回転軸7の回転(回転位相)が検知される。なお、モータ回転軸7の回転を検知する回転検知手段としては、磁気センサの他、光学式エンコーダ、レゾルバなどを用いてもよい。また、回転検知手段を用いずに(センサレスで)モータ部2を駆動させてもよい。
【0041】
隔壁部材25は、軸受ホルダ22の貫通孔22e内に配置される。隔壁部材25は、軸受ホルダ22の円筒部22aの内周面に接触する円筒状の周壁部25aと、周壁部25aの軸方向一端部に一体に設けられる円板状の天面部25bを有する。隔壁部材25が貫通孔22e内に配置された状態においては、周壁部25aの外周面が貫通孔22e(円筒部22a)の内周面に接触又は密着することにより、モータ部2側の空間(第1収容部11)と制御部3側の空間(第2収容部12)との間が連通しないように閉鎖される。また、軸受ホルダ22に対して隔壁部材25はセンサマグネット15と同一基準面で組み付けられる。基準面は、磁気センサ16が取り付けられるセンサ取付位置が望ましい。すなわち、隔壁部材25は、センサマグネット15と磁気センサ16との間の間隔が大きくなり過ぎないように(磁気センサ16がセンサマグネット15の磁気を検知できるように)天面部25bをセンサマグネット15に接近させつつ、天面部25bがセンサマグネット15と磁気センサ16に対して接触しない位置に配置される。また、隔壁部材25とセンサマグネット15を同一基準面で組み付けることにより、センサマグネット15と磁気センサ16のギャップ管理が容易になり、安価な磁石が使える。
【0042】
図3は、動力線としてのバスバー31が配置される部分(図1における一点鎖線枠にて囲まれる部分)を拡大して示す断面図である。
【0043】
図3に示されるように、軸受ホルダ22には、バスバー31を通過させるための孔部22fが設けられている。バスバー31は、バスバー31を覆う樹脂部材32と一緒に孔部22f内に挿入される。また、樹脂部材32と孔部22fとの間にはシール材18が配置され、シール材18によって樹脂部材32と孔部22fとの間が密閉される。
【0044】
バスバー31と軸受ホルダ22の孔部22fとの間を密閉するシール材18としては、Oリング、液体ガスケット、あるいはグロメットなどを用いることができる。シール材18の材料は、部品の寸法公差に起因する隙間のばらつきを弾性変形により吸収可能なゴム材料が好ましい。ゴム材料は、流入する流体の種類によって適宜変更してもよい。本実施形態のように、流入する流体が絶縁性のオイルである場合は、ゴム材料として、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)又は水素化ニトリルゴム(HNBR)が好ましい。また、ゴム材料として、シリコーンゴムを用いてもよい。
【0045】
ここで、本実施形態に係るモータユニット1は、オイルポンプ60に組み付けられるため、モータ回転軸7とポンプ部61(図1参照)との連結部分を介して、オイルポンプ60内からモータユニット1内へオイルが流入する。これに対して、モータユニット1とオイルポンプ60との間にシール材(オイルシール)を設けた場合は、シール材によってモータユニット1内へのオイルの流入を防止できる。しかしながら、その場合、シール材を設置するスペースをモータユニット1とオイルポンプ60との間に確保しなければならないため、装置全体が軸方向に大型化する。また、シール材を介在させる分だけモータユニット1とオイルポンプ60との間の距離が長くなるため、ポンプ部61を駆動させた際のモータ回転軸7が受けるモーメント荷重が大きくなり、モータ回転軸7を安定して支持しにくくなる。また、シール材がモータ回転軸7に密着するように配置されると、モータ回転軸7とシール材との間で生じる摩擦抵抗によってモータ部2の出力が低下する懸念もある。
【0046】
そのため、本実施形態においては、モータユニット1とオイルポンプ60との間にシール材を設けないようにしている。これにより、シール材を設けることによる弊害を回避でき、装置の小型化、モータ回転軸の安定的な支持、及びモータ出力の向上を実現できるようになる。さらに、流入するオイルによってモータ部2を冷却する効果も得られるため、信頼性の向上も期待できる。
【0047】
しかしながら、シール材が無いと、制御部3にもオイルが流入する可能性がある。オイルは絶縁性の流体であるため、モータ部2へ流入しても特に弊害はないが、制御部3内にオイルが流入すると、オイルが基板8上の電子部品に付着して誤作動や故障の原因となる虞がある。そのため、制御部3へのオイルの流入を防止する対策が必要になる。
【0048】
そこで、本実施形態に係るモータユニット1においては、制御部3へのオイルの流入を防止するため、制御部3とモータ部2との間を、軸受ホルダ22によって仕切り、さらに、シール材などを用いて密閉している。詳しくは、軸受ホルダ22をハウジング本体9の嵌合部9bに嵌合させると共に、その嵌合部9bとの間をシール材14(図1参照)によって密閉し、さらに、隔壁部材25(図1参照)を軸受ホルダ22の貫通孔22e内に挿入して貫通孔22eを閉鎖する。また、バスバー31が挿通される軸受ホルダ22の孔部22fにおいては、バスバー31を覆う樹脂部材32と孔部22fとの間にシール材18(図3参照)を配置することにより密閉する。これにより、モータ部2側の空間(第1収容部11の内部空間)と制御部3側の空間(第2収容部12の内部空間)とが連通しないように密閉される。
【0049】
ところで、本実施形態の構成とは異なり、隔壁部材25を軸受ホルダ22と一体(分離不可)に構成することも可能である。しかしながら、隔壁部材25を軸受ホルダ22と一体に構成すると、次のような組み付け性の問題が生じる。
【0050】
軸受ホルダ22は、軸受20を介してモータ回転軸7の一端部を支持する支持部材でもあるため、軸受ホルダ22が組み付けられる前の状態においては、モータ回転軸7の一端部側(図1における上端部側)が支持されていない。このため、軸受ホルダ22を組み付ける際は、ハウジング本体9内に収容されるモータ回転軸7が傾かないように、作業者などがモータ回転軸7を支持しながら軸受ホルダ22を組み付けなければならない。しかしながら、隔壁部材25が軸受ホルダ22と一体に構成されている場合は、作業者が、軸受ホルダ22の縁部(円環部22c)とハウジング本体9の嵌合部9bとの間からモータ回転軸7を支持しなければならず、その場合、軸受ホルダ22をハウジング本体9に対して組み付けようとすると、モータ回転軸7を支持する作業者の手又は治具などが組み付け作業の妨げとなる。このため、モータ回転軸7を支持しながら軸受ホルダ22の組み付けを行うことができず、軸受ホルダ22を組み付ける際にモータ回転軸7が傾いて、軸受ホルダ22をうまく組み付けできないことが懸念される。このように、隔壁部材25を軸受ホルダ22と一体にした場合は、モータ回転軸7を支持しながら軸受ホルダ22をハウジング本体9に組み付けることができないといった問題がある。
【0051】
そこで、本実施形態に係るモータユニット1においては、モータ回転軸7を支持しながら軸受ホルダ22の組み付けをできるようにするため、上記のように、隔壁部材25を軸受ホルダ22と一体には構成せず、隔壁部材25を軸受ホルダ22とは別体(分離可能な部材)に構成している。以下、本実施形態に係るモータユニット1の組み付け手順及び組み付け方法について説明する。
【0052】
図4は、ハウジング本体9内にモータ部2を構成するステータ5が組み付けられた状態を示す概略断面図である。図4に示されるように、ハウジング本体9に対して、まずステータ5の組み付けを行う。そして次に、オイルポンプ60側(下側)の軸受21を、ハウジング本体9(第1収容部11)の軸受保持部11dに対して圧入して組み付ける。
【0053】
図5は、上記軸受21をハウジング本体9に組み付けた状態を示す概略断面図である。軸受21の組み付けを終えた後、続いて、図5に示されるように、モータ回転軸7の組み付けを行う。モータ回転軸7には、もう一方(上側)の軸受20とロータ6があらかじめ取り付けられており、これらが一体の回転軸ユニットとして組み付けられる。
【0054】
ここで、本実施形態においては、モータ回転軸7を支持する一対の軸受20,21のうち、特にオイルポンプ60側(図5における下側)の軸受21においては、モータ回転軸7の振れを高度に抑制するため、内輪と外輪の両方が圧入されている。すなわち、オイルポンプ60側の軸受21の外輪は、ハウジング本体9の軸受保持部11dの内周面に圧入され、同軸受21の内輪は、モータ回転軸7の外周面に対して圧入される。これに対して、もう一方(図5における上側)の軸受20は、内輪のみがモータ回転軸7に対して圧入されている。
【0055】
続いて、図6に示されるように、軸受ホルダ22の組み付けを行う。このとき、モータ回転軸7は、図6における上端部において支持されていないため、傾きやすい。特に、モータ回転軸7に取り付けられているロータ6には磁石が設けられているため、この磁石の影響(磁力)によりモータ回転軸7は傾きやすい状態にある。そのため、軸受ホルダ22を組み付ける際、作業者は軸受ホルダ22の貫通孔22eを通してモータ回転軸7の上端部を保持し、モータ回転軸7が傾かないように支持する。そして、モータ回転軸7を支持しながら、軸受ホルダ22の組み付けを行う。
【0056】
図7に示されるように、軸受ホルダ22がハウジング本体9に対して組み付けられると、軸受ホルダ22によって図の上側の軸受20が保持され、モータ回転軸7の上端部が傾かないように支持される。また、軸受ホルダ22が組み付けられると、上側の軸受20が軸受ホルダ22の貫通孔22e内に嵌め込まれて保持される。このとき、上側の軸受20は、貫通孔22eに対する圧入ではなく、貫通孔22eとの間の寸法のばらつきを吸収するための隙間が確保された嵌合(隙間ばめ)により組み付けられる。
【0057】
軸受ホルダ22の組み付けが行われると、続いて、図7に示されるように、センサマグネット15を保持するマグネットホルダ24の組み付けを行う。マグネットホルダ24は、軸受ホルダ22の貫通孔22eを通してモータ回転軸7の端部(図7における上端部)に取り付けられる。モータ回転軸7に対するマグネットホルダ24の取付方法は、圧入が好ましい。
【0058】
続いて、図8に示されるように、隔壁部材25の組み付けを行う。隔壁部材25は、軸受ホルダ22の貫通孔22e内に嵌め込まれることにより組み付けられる(図1参照)。これにより、貫通孔22eが隔壁部材25によって閉鎖される。また、貫通孔22eにおける密閉性を確保するため、隔壁部材25は貫通孔22eに対して圧入により組み付けられてもよい。その場合、圧入時の荷重が各軸受20,21にも作用するため、隔壁部材25は、各軸受20,21に作用する荷重が静定格荷重未満となるような力で圧入されることが好ましい。また、荷重が各軸受20,21に作用しないように第1収容部11を支持してもよい。
【0059】
上記のように、各部材の組み付けが行われた後は、基板8をハウジング本体9に組み付け、さらにバスバー31を基板に接続する。そして、カバー部材10をハウジング本体9に組み付ければ、モータユニット1の一連の組み付け作業が完了する。
【0060】
以上のように、本実施形態においては、軸受ホルダ22を組み付ける際、軸受ホルダ22に設けられる貫通孔22eを通してモータ回転軸7を支持できるので、モータ回転軸7を支持しながら軸受ホルダ22の組み付けを行うことが可能である。これにより、軸受ホルダ22の組み付け作業を容易に行えるようになると共に、組み付け不良の発生も回避できるようになる。
【0061】
このように、本実施形態においては、隔壁部材25を軸受ホルダ22とは別体に構成することにより、組み付け作業の困難性の問題を解決でき、組み付け作業性に優れるモータユニットを提供できるようになる。
【0062】
また、本実施形態のように、貫通孔22eがモータ回転軸7の軸線上にあることにより(図1参照)、貫通孔22eを通してモータ回転軸7を支持しやすくなる。なお、貫通孔22eを通してモータ回転軸7を支持できれば、貫通孔22eの位置はモータ回転軸7の軸線上以外の位置にあってもよい。
【0063】
隔壁部材25の材料としては、オーステナイト系のステンレス材、例えばSUS304などが好ましい。一方、軸受ホルダ22の材料は、コスト及び入手容易性の観点から、アルミニウム材、例えばADC12などのアルミニウム合金が好ましい。また、これらの材料として、銅系の材料あるいは樹脂材料を用いてもよい。
【0064】
このように、隔壁部材25の材料及び軸受ホルダ22の材料は、コスト及び入手容易性などの観点から適宜選択すればよいが、これらの材料の線膨張係数の差が大きいと、貫通孔22eと隔壁部材25との間の締め代が変化することにより密閉性が低下する虞がある。
【0065】
そのため、隔壁部材25と軸受ホルダ22との線膨張係数の差は1.0×10-5/K以下であることが好ましい。これらの部材の線膨張係数の差を1.0×10-5/K以下とすることにより、温度変化に伴う貫通孔22eと隔壁部材25との間の締め代の変化が小さくなるため、密閉性を良好に確保できるようになる。
【0066】
また、図9に示される例のように、隔壁部材25と貫通孔22eとの間の密閉性を確保するために、隔壁部材25と貫通孔22eとの間に弾性を有するシール材26を介在させてもよい。この場合、温度変化により隔壁部材25と貫通孔22eの各寸法が変化しても、その変化に追従してシール材26が弾性変形することにより、貫通孔22eにおける密閉性を良好に確保できる。また、この場合、隔壁部材25と軸受ホルダ22との線膨張係数の差が1.0×10-5/K以下となるような材料を選択しなくてもよくなるので、材料選択の幅が広がる。
【0067】
シール材26としては、Oリング、グロメットなどの固体のシール材のほか、液体のシール材を用いることができる。隔壁部材25の組み付け時に(固体の)シール材26が脱落する虞がある場合は、固体のシール材26を隔壁部材25と一体に構成するか、隔壁部材25を組み付け後に液体のシール材26を隔壁部材25と貫通孔22eとの間に塗布することが好ましい。また、シール材26としてゴム材を用いる場合は、第1収容部11内に流入する流体の種類によってゴムの材質を適宜選択すればよい。ゴムの位置は膨潤しづらくするため、オイルの付着が少ない天面部25b側に配置する方がよい。本実施形態の場合は、流体が絶縁性のオイルであるので、ゴム材としては、ACM(アクリルゴム)、NBR(アクリルニトリル-ブタジエンゴム)、HNBR(水酸化アクリルニトリル-ブタジエンゴム)が好ましいが、シリコーンゴムを用いてもよい。
【0068】
上述のように、隔壁部材25は、センサマグネット15と磁気センサ16との間に介在するように配置されるところ、センサマグネット15と磁気センサ16との間に介在する天面部25bの厚さT(図10参照)は、磁気センサ16の検知精度を良好に確保するため、薄い方が好ましい。反対に、天面部25bの厚さTが厚くなると、センサマグネット15と磁気センサ16との間の距離が長くなるため、磁気センサ16の検知精度が低下する虞がある。
【0069】
そのため、隔壁部材25は、金属板のプレス成形品により構成されることが好ましい。すなわち、隔壁部材25をプレス成形することにより、天面部25bの厚さTを薄く形成できるので、センサマグネット15と磁気センサ16との間の距離を適切な距離に保ち、磁気センサ16の検知精度を良好に維持できるようになる。具体的に、センサマグネット15の直径が9mmである場合、寸法のばらつきを考慮して、センサマグネット15と磁気センサ16との間の距離は1.7mm以下であれば、磁気センサ16の検知精度を良好に維持できる。この場合、隔壁部材25を構成する金属板の板厚は、磁気センサ16の検知精度のほか、耐圧性、コスト及び入手容易性を考慮し、0.3mm以上1.0mm以下であることが好ましい。
【0070】
このように、隔壁部材25を薄く形成するには、プレス成形を採用することが好ましいが、プレス成形される板材がステンレス板である場合、成形時の曲げ部に発生する応力集中によってステンレス板がマルテンサイト化し、磁気を帯びることがある。その場合、センサマグネット15と磁気センサ16との間に介在する隔壁部材25の磁気の影響により磁気センサ16が検知不良を起こす虞がある。
【0071】
従って、隔壁部材25をステンレスのプレス成形品により構成する場合は、プレス成形後に成形品(隔壁部材25)を脱磁処理することが好ましい。プレス成形品(隔壁部材25)が脱磁されることにより、隔壁部材25の磁気の影響による磁気センサ16の検知不良を回避できるようになる。このように、隔壁部材25を非磁性体により構成することにより、磁気センサ16の検知精度を良好に維持できるようになる。なお、隔壁部材25は、ステンレス以外の非磁性材料により構成されてもよい。
【0072】
隔壁部材25は、貫通孔22eから脱落しないように、圧入などにより貫通孔22e内に組み付けられることが好ましい。しかしながら、温度変化に伴って繰り返し行われる隔壁部材25及び貫通孔22eの熱膨張及び収縮の伸縮運動に加え、隔壁部材25に作用するモータ部2側から油圧によって、隔壁部材25が徐々に制御部3側へ移動することがある。なお、隔壁部材25に作用する最大油圧は、例えば1.0MPa程度になる。これにより、万が一、隔壁部材25が貫通孔22eから脱落すると、モータ部2側から制御部3側へオイルが流入することになる。
【0073】
そこで、このような隔壁部材25の脱落を防止するため、図11に示されるように、隔壁部材25は、貫通孔22eから制御部3側(図の上側)へ突出しないように配置されることが好ましい。言い換えれば、隔壁部材25の制御部3側の端部25cが、貫通孔22eの制御部3側の端部22gと同じ位置か、それよりもモータ部2側(図の下側)に位置されることが好ましい。
【0074】
このように、隔壁部材25が貫通孔22eから制御部3側(図の上側)へ突出しないように配置されることにより、図12に示されるような隔壁部材25の一部が貫通孔22eから制御部3側へ突出している場合に比べて、貫通孔22eに対する隔壁部材25の接触面積を多く確保できるようになる。これにより、隔壁部材25と貫通孔22eとの間における摩擦力を大きく確保できるようになるので、貫通孔22e内からの隔壁部材25の脱落が生じにくくなる。
【0075】
なお、隔壁部材25の制御部3側の端部25cを、貫通孔22eの制御部3側の端部22gよりもモータ部2側(図の下側)に配置する場合は、センサマグネット15と磁気センサ16との間の間隔が大きくなり過ぎないようにすることが好ましい。具体的に、これらの端部25c,22g同士の間の間隔G(図11参照)は、例えば0.5mm以下であることが好ましい。
【0076】
また、これらの端部25c,22gは、同じ位置(同一面上)であってもよい。その場合、隔壁部材25を貫通孔22eへ圧入する際に、隔壁部材25を押し込むための治具を円筒部22a(貫通孔22e)の上端部(制御部3側の端部)22gに突き当てることにより、隔壁部材25の圧入位置を決定できる。すなわち、この場合、円筒部22aの上端部22gを、治具の突き当て面として利用できるため、組付け性が向上する。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記各実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 モータユニット
2 モータ部
3 制御部
4 ハウジング
7 モータ回転軸
15 センサマグネット(検知対象部材)
16 磁気センサ(回転センサ)
20 軸受
21 軸受
22 軸受ホルダ
22e 貫通孔
25 隔壁部材
60 オイルポンプ
61 ポンプ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12