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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119385
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】消耗部品の消耗度監視装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 13/00 20190101AFI20240827BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20240827BHJP
   G01N 21/85 20060101ALN20240827BHJP
   G01M 13/04 20190101ALN20240827BHJP
【FI】
G01M13/00
G05B23/02 301Q
G05B23/02 301N
G01N21/85 A
G01M13/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026250
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】305021292
【氏名又は名称】第一実業ビスウィル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
(72)【発明者】
【氏名】金 峰男
(72)【発明者】
【氏名】伴 佳憲
(72)【発明者】
【氏名】吉井 健司
【テーマコード(参考)】
2G024
2G051
3C223
【Fターム(参考)】
2G024AD18
2G024AD28
2G024BA12
2G024CA09
2G024CA18
2G024CA21
2G024DA28
2G024EA11
2G024FA06
2G024FA14
2G024FA15
2G051AA02
2G051AA03
3C223AA30
3C223FF46
3C223GG01
3C223HH04
(57)【要約】
【課題】消耗部品の消耗度合いが、寿命に至るまでのどの段階にあるのかを認識することができる消耗度監視装置を提供する。
【解決手段】消耗度監視装置は、消耗部品の消耗状態に係るデータを収集するデータ収集部54と、データ収集部54によって収集されたデータを、消耗の進行状態に度に応じて設定される3以上の区分に分類にして、消耗部品の消耗度を評価する消耗度評価部56と、表示部58を有し、消耗度評価部56によって評価された消耗度を表示部58に表示する表示装置57,58とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗部品を備えた装置における該消耗部品の消耗状態を監視する装置であって、
前記消耗部品の消耗状態に係るデータを収集するデータ収集部と、
前記データ収集部によって収集された前記データを、消耗の進行状態に応じて設定される3以上の区分に分類にして、前記消耗部品の消耗度を評価する消耗度評価部と、
表示部を有し、前記消耗度評価部によって評価された消耗度を前記表示部に表示する表示装置と、を備えていることを特徴とする消耗度監視装置。
【請求項2】
前記データ収集部によって収集された前記データを記憶するデータ記憶部を更に備え、
前記表示装置は、前記データの値を示す第1軸と、これに直交する第2軸である時間軸とから構成されるグラフにより、前記データ記憶部に記憶されたデータを時系列に沿って前記表示部に表示するとともに、各データについて前記消耗度を前記表示部に表示するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の消耗度監視装置。
【請求項3】
前記データ収集部によって収集された前記データを記憶するデータ記憶部を更に備え、
前記表示装置は、前記データの値を示す第1軸と、これに直交する第2軸である時間軸とから構成されるグラフにより、前記データ記憶部に記憶されたデータを時系列に沿って前記表示部に表示するとともに、前記第1軸について、前記区分に区分けされた領域を、前記表示部に表示するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の消耗度監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消耗部品を備えた装置において、当該消耗部品の消耗状態を監視する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消耗部品を監視する装置として特開2011-146066号公報(下記特許文献1)に開示された監視装置が知られている。この監視装置は、消耗部品を有する監視対象装置から、通信網を介して、当該監視対象装置に係る消耗部品の状態を表す状態データを受信する状態データ受信部と、予知条件を記憶する条件記憶部と、前記状態データと前記条件記憶部の予知条件とを対比することにより、異常を予知する状態監視部とを備え、前記予知条件には、前記監視対象装置において異常が生じた時点以前における状態データの推移に基づいて生成された予知条件が含まれるように構成されている。
【0003】
この監視装置によれば、監視対象装置から逐次受信した消耗部品に係る状態データを、条件記憶部に記憶している予知条件と対比することによって、当該消耗部品の異常が予知され、予知条件として、異常が生じた時点以前における状態データの推移に基づいて生成されたものを用いることにより、異常の発生をより正確に予知することが可能となる、とのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-146066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般的に、消耗部品は、ある時点で突然寿命に至って使用不能になるのではなく、徐々にその性能が劣化して、最終的に使用不能となる寿命状態に至る。したがって、消耗部品が使用によってその性能が劣化し、その消耗度が寿命に至るまでのどの段階にあるのかを、オペレータが認識することができれば、寿命に至る前の適切な時期までに交換用の消耗部品を用意(準備)しておき、適宜適切な時期に寿命に近づいた消耗部品を新たなものに交換するといった、計画的な保全作業を行うことができ、有益である。
【0006】
ところが、上記従来の監視装置では、消耗部品に係る状態データを予知条件と対比することにより、即ち、状態データが予知条件を満たしたとき、当該消耗部品が異常状態にあると判定(予知)されるのみであり、消耗部品の消耗度合いが寿命に至るまでのどの段階にあるのかは示されないため、オペレータは、消耗部品の消耗度合いが寿命に至るまでのどの段階にあるのかを認識することができない。このため、オペレータは、交換用の消耗部品をかなり早い時期に用意しておく必要があり、また、異常と判断されたときに消耗部品の交換を行う必要があり、計画的な保全作業という意味では、十分に余裕を持った保全作業を行うことができない。
【0007】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、オペレータが、消耗部品の消耗度合いが寿命に至るまでのどの段階にあるのかを認識することができる消耗度監視装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、消耗部品を備えた装置における該消耗部品の消耗状態を監視する装置であって、
前記消耗部品の消耗状態に係るデータを収集するデータ収集部と、
前記データ収集部によって収集された前記データを、消耗の進行状態に応じて設定される3以上の区分に分類にして、前記消耗部品の消耗度を評価する消耗度評価部と、
表示部を有し、前記消耗度評価部によって評価された消耗度を前記表示部に表示する表示装置と、を備えた消耗度監視装置に係る。
【0009】
この態様(第1の態様)の消耗度監視装置によれば、まず、消耗部品の消耗状態に係るデータがデータ収集部により収集される。そして、データ収集部により収集されたデータは、消耗度評価部により、消耗の進行状態に応じて設定される3以上の区分に分類され、このように分類することによって当該消耗部品の消耗度が評価される。そして、消耗度評価部により評価された消耗度が、表示装置によりその表示部に表示される。
【0010】
斯くして、この消耗度監視装置によれば、消耗部品の消耗度が、消耗の進行状態に応じて設定された3以上の区分により評価され、評価された消耗度が表示装置によりその表示部に表示されるので、オペレータは、表示部に表示される消耗部品の消耗度を確認することで、当該消耗部品が寿命に至るまでのどの段階にあるのかを、従来に比べてより詳しく認識することができる。
【0011】
そして、このように消耗度が寿命に至るまでのどの段階にあるのかについてのより詳しい情報を認識することで、オペレータは、消耗部品が寿命に至る前の適切な時期までに交換用の消耗部品を用意(準備)して、適宜適切な時期に寿命に近づいた消耗部品を新たなものに交換するといった、計画的な保全作業を行うことができる。
【0012】
尚、消耗度は3以上の区分によって評価されるのが好ましく、区分の一例を例示すれば、例えば、安定状態、注意状態、寿命状態の3つの区分を例示することができるが、より細かな区分けとすることができる。因みに、安定状態は、当分の間、消耗部品を問題なく安定して使用できる状態を意味し、注意状態は、近い将来において、消耗部品が寿命に至る可能性がある状態を意味し、寿命状態は、消耗部品が何時使用不可になるか分からない状態を意味する。したがって、オペレータは、消耗度が注意状態となったとき、交換用の部品を用意し、消耗度が寿命状態に至ったとき、部品を交換するといった対応を採ることができる。
【0013】
また、上記第1の態様の消耗度監視装置において、
前記データ収集部によって収集された前記データを記憶するデータ記憶部を更に備え、
前記表示装置は、前記データの値を示す第1軸と、これに直交する第2軸である時間軸とから構成されるグラフにより、前記データ記憶部に記憶されたデータを時系列に沿って前記表示部に表示するとともに、各データについて前記区分で評価される消耗度を前記表示部に表示するように構成された態様を採ることができる。
【0014】
この態様(第2の態様)の消耗度監視装置によれば、データ収集部によって収集されたデータがデータ記憶部に記憶される。そして、表示装置により、前記データの値を示す第1軸と、これに直交する第2軸である時間軸とから構成されるグラフ形式で、データ記憶部に記憶されたデータが時系列に沿って表示部に表示されるとともに、各データについて前記区分で評価される消耗度が表示部に表示される。
【0015】
斯くして、オペレータは、消耗部品の消耗度を確認することで、当該消耗部品が寿命に至るまでのどの段階にあるのかを、従来に比べてより詳しく認識することができるとともに、表示部に表示される時系列に沿った前記データの値を確認することで、当該消耗部品の消耗の進行状態を確認することができる。これにより、オペレータは、消耗部品が寿命に至る前のより適切な時期に交換用の消耗部品を用意することができ、また、より適切な時期に消耗部品の交換を行うことができる。
【0016】
或いは、上記第1の態様の消耗度監視装置において、
前記データ収集部によって収集された前記データを記憶するデータ記憶部を更に備え、
前記表示装置は、前記データの値を示す第1軸と、これに直交する第2軸である時間軸とから構成されるグラフにより、前記データ記憶部に記憶されたデータを時系列に沿って前記表示部に表示するとともに、前記第1軸について、前記区分に区分けされた領域を、前記表示部に表示するように構成された態様を採ることができる。
【0017】
この態様(第3の態様)の消耗度監視装置によれば、データ収集部によって収集されたデータがデータ記憶部に記憶される。そして、表示装置により、前記データの値を示す第1軸と、これに直交する第2軸である時間軸とから構成されるグラフ形式で、データ記憶部に記憶されたデータが時系列に沿って表示部に表示されるとともに、第1軸について、前記区分に区分けされた領域が表示部に表示される。
【0018】
斯くして、オペレータは、表示部に表示されたグラフを確認することで、当該消耗部品が寿命に至るまでのどの段階にあるのかを、従来に比べてより詳しく認識することができ、且つ、当該消耗部品の消耗の進行状態を確認することができる。これにより、前記第2の態様と同様に、オペレータは、消耗部品が寿命に至る前のより適切な時期に交換用の消耗部品を用意することができ、また、より適切な時期に消耗部品の交換を行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明に係る消耗度監視装置によれば、消耗部品の消耗度が、消耗の進行状態に応じた3以上の区分により評価され、評価された消耗度が、表示装置によってその表示部に表示されるので、オペレータは、表示部に表示される消耗部品の消耗度を確認することで、当該消耗部品が寿命に至るまでのどの段階にあるのかを、従来に比べてより詳しく認識することができる。
【0020】
そして、このように消耗度が寿命に至るまでのどの段階にあるのかについてのより詳しい情報を認識することで、オペレータは、消耗部品が寿命に至る前の適切な時期までに交換用の消耗部品を用意(準備)して、適宜適切な時期に寿命に近づいた消耗部品を新たなものに交換するといった、計画的な保全作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る外観検査装置の全体構成を示した正面図である。
図2】本実施形態に係る処理装置の概略構成を示したブロック図である。
図3】本実施形態に係るディスプレイに表示される表示画面の一例を示した説明図である。
図4】本実施形態に係るディスプレイに表示される表示画面の一例を示した説明図である。
図5】本実施形態に係るディスプレイに表示される表示画面の一例を示した説明図である。
図6】本実施形態に係るディスプレイに表示される表示画面の一例を示した説明図である。
図7】本実施形態に係るディスプレイに表示される表示画面の一例を示した説明図である。
図8】他の実施形態に係るディスプレイに表示される表示画面の一例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本例の外観検査装置1は、消耗部品の消耗度監視装置を備えるものであり、消耗度監視装置は、以下に説明する消耗部品の消耗度を監視する。但し、消耗部品監視装置が適用される対象装置は、このような外観検査装置1に限られるものではなく、消耗部品を備える全ての装置に適用することができる。また、本例では、消耗部品として後述する物を例示するが、消耗部品としては、これに限られるものでは無く、当然のことながら、使用によりその性能が劣化する各種の部品が含まれる。
【0023】
図1に示すように、本例の外観検査装置1は、検査対象物Kを整列して供給する供給部3、供給された検査対象物Kを直線搬送する第1直線搬送部10及び第2直線搬送部15、第1直線搬送部10の搬送経路近傍に配設されたA面濃淡画像撮像部20及びA面スリット光画像撮像部25、第2直線搬送部15の搬送経路近傍に配設されたB面濃淡画像撮像部30及びB面スリット光画像撮像部35、選別部40、処理装置50及びディスプレイ58を備えている。
【0024】
尚、本例における検査対象物Kとしては、医薬品(錠剤,カプセル等),食品,機械部品や電子部品等を例示することができるが、何らこれらに限定されるものではない。
【0025】
以下、上記各部の詳細について説明する。
【0026】
前記供給部3は、多数の検査対象物Kが投入されるホッパ4、ホッパ4の下端部から排出される検査対象物Kに振動を付与して前進させる振動フィーダ5、振動フィーダ5の搬送終端から排出される検査対象物Kを滑落させるシュート6、水平回転し、シュート6から供給された検査対象物Kを一列に整列して排出する整列テーブル7、垂直面内で回転する円盤状の部材を有し、前記整列テーブル7から排出された検査対象物Kをこの円盤状の部材の外周面に吸着して搬送する回転搬送部8からなり、多数の検査対象物Kを一列に整列させて、順次前記第1直線搬送部10に受け渡す。
【0027】
前記第1直線搬送部10及び第2直線搬送部15は同じ構造を有するもので、第2直線搬送部15は第1直線搬送部10に対し上下反転した状態で配置され、第1直線搬送部10はその上部に搬送路を有し、第2直線搬送部15はその下部に搬送路を有する。
【0028】
詳しい構造についての図示は省略するが、第1直線搬送部10は、所定の間隔で対向するように配置された一対の側板と、この一対の側板の上面にそれぞれ形成されたガイド溝に案内され、当該ガイド溝に沿ってそれぞれ走行するエンドレスの一対のベルトとを備える。一対のベルトは、適宜間隔をあけて配設された少なくとも2つのプーリに掛け回されており、一方のプーリは駆動プーリ、他方のプーリは従動プーリとなっている。駆動プーリ及び従動プーリはそれぞれベアリングにより回転自在に保持されており、駆動プーリは駆動モータとしてのサーボモータによって所定の回転速度で回転するように駆動される。そして、このようにサーボモータにより駆動されて駆動プーリが回転することにより、前記一対のベルトが回動し、それぞれ前記ガイド溝に沿って走行する。尚、サーボモータにはその回転速度を検出するロータリエンコーダが設けられており、サーボモータの回転速度は、このロータリエンコーダによって検出される回転速度に基づいて、フィードバック制御される。
【0029】
また、一対の側板によって挟まれた空間は、その上部が開放されるように当該一対の側板及び他の部材(図示せず)によって閉塞され、適宜真空ポンプによって負圧に維持される。
【0030】
斯くして、前記空間内が負圧に維持されることで、各ガイド溝に沿って走行する一対のベルト間に負圧による吸引力が生じ、検査対象物Kがこの一対のベルト上に載置されると、前記吸引力によって一対のベルト上に吸引,吸着され、当該一対のベルトの走行に伴って同走行方向に搬送される。
【0031】
前記第2直線搬送部15も同様の構成を備えており、一対の側板と、エンドレスの一対のベルトと、この一対のベルトが掛け回される駆動プーリ及び従動プーリと、駆動プーリを駆動する駆動モータとしてのサーボモータとを備える。駆動プーリ及び従動プーリはそれぞれベアリングにより回転自在に保持されており、駆動プーリはサーボモータによって所定の回転速度で回転するように駆動され、駆動プーリが回転することにより、前記一対のベルトが回動し、それぞれ前記ガイド溝に沿って走行する。尚、サーボモータには回転速度を検出するロータリエンコーダが設けられており、サーボモータの回転速度は、このロータリエンコーダによって検出される回転速度に基づいて、フィードバック制御される。
【0032】
また、一対の側板によって挟まれた空間は、その上部が開放されるように当該一対の側板及び他の部材(図示せず)によって閉塞されて、適宜真空ポンプによって負圧に維持されており、一対の側板16,17によって挟まれた空間内が負圧に維持されることで、一対のベルト間に負圧による吸引力が生じ、検査対象物Kがこの一対のベルトに吸引,吸着され、その走行に伴って同走行方向に搬送される。
【0033】
前記第1直線搬送部10の搬送始端は前記回転搬送部8の搬送終端に接続され、第1直線搬送部10の搬送終端は第2直線搬送部15の搬送始端に接続されており、第1直線搬送部10は回転搬送部8から順次検査対象物Kを受け取り、その下面(B面)を吸着して搬送終端に搬送し、第2直線搬送部15に引き渡す。同様に、第2直線搬送部15は第1直線搬送部10から順次検査対象物Kを受け取り、その上面(A面)を吸着して搬送終端に搬送する。
【0034】
前記選別部40は、第2直線搬送部15の搬送終端に設けられるもので、図示しない選別回収機構と良品回収室及び不良品回収室とを備え、詳しくは後述する処理装置50の検査選別処理部20からの指令に従い前記選別回収機構を駆動し、第2直線搬送部15の搬送終端に搬送された検査対象物Kの内、良品を良品回収室に回収し、不良品を不良品回収室に回収する。
【0035】
前記A面濃淡画像撮像部20は、前記第1直線搬送部10の搬送路に適宜設定された撮像位置(第1撮像位置)の上方に設けられ、当該第1撮像位置を照明する光源としてのLEDランプと、同じく第1撮像位置の上方に設けられ、当該第1撮像位置に到達した検査対象物Kの表面(A面)の画像を撮像するカメラとからなる。カメラはラインセンサ又はエリアセンサからなり、第1直線搬送部10によって第1撮像位置に搬送された検査対象物Kの表面(A面)の濃淡画像を所定のシャッタ速度で撮像し、得られた少なくとも表面(A面)全域の画像を、シャッタ毎に撮像されたフレーム画像として前記検査選別処理部52に送信する。
【0036】
前記A面スリット光画像撮像部25は、前記A面濃淡画像撮像部20より搬送方向下流側に配設されており、前記第1撮像位置の下流側に設定された第2撮像位置の上方に設けられ、当該第2撮像位置に対して帯状且つスリット状のレーザ光(スリット光)を照射するスリット光照射器と、第2撮像位置にあり、帯状のスリット光が照射された検査対象物Kの画像を斜め前方又は後方から撮像するエリアセンサからなるカメラとを備える。帯状のスリット光は、その照射ラインが検査対象物Kの搬送方向に対して直交するように鉛直下方に向けて照射され、スリット光が照射された検査対象物KのA面の画像が斜め前方又は後方から所定のシャッタ速度でカメラによって撮像され、シャッタ毎に撮像された画像がフレーム画像として前記検査選別処理部52に送信される。
【0037】
尚、カメラによって斜め前方又は後方から撮像された画像は、検査対象物Kの表面に照射されたスリット光の照射ラインが搬送方向にシフトした画像となっており、このシフト量から、いわゆる光切断法に基づいて、検査対象物Kの高さ情報を取得することができる。
【0038】
前記B面濃淡画像撮像部30は前記A面濃淡画像撮像部20と同じ構成を備えており、前記第2直線搬送部15の搬送路に適宜設定された撮像位置(第3撮像位置)の下方に設けられ、当該第3撮像位置を照明する光源としてのLEDランプと、同じく第3撮像位置の下方に設けられ、当該第3撮像位置に到達した検査対象物Kの裏面(B面)の画像を撮像するカメラとからなる。カメラはラインセンサ又はエリアセンサからなり、第1直線搬送部15によって第3撮像位置に搬送された検査対象物Kの裏面(B面)の濃淡画像を所定のシャッタ速度で撮像し、得られた少なくとも裏面(B面)全域の画像を、シャッタ毎に撮像されたフレーム画像として前記検査選別処理部52に送信する。
【0039】
前記B面スリット光画像撮像部35は、前記A面スリット光画像撮像部25と同じ構成を備えている。このB面スリット光画像撮像部35は前記B面濃淡画像撮像部30より搬送方向下流側に配設されており、前記第3撮像位置の下流側に設定された第4撮像位置の下方に設けられ、当該第4撮像位置に対して帯状且つスリット状のレーザ光(スリット光)を照射するスリット光照射器と、第4撮像位置にあり、帯状のスリット光が照射された検査対象物Kの画像を斜め前方又は後方から撮像するエリアセンサからなるカメラとを備える。帯状のスリット光は、その照射ラインが検査対象物Kの搬送方向に対して直交するように鉛直上方に向けて照射され、スリット光が照射された検査対象物KのB面の画像が斜め前方又は後方から所定のシャッタ速度でカメラによって撮像され、シャッタ毎に撮像された画像がフレーム画像として前記検査選別処理部52に送信される。
【0040】
上述のA面スリット光画像撮像部25と同様に、カメラによって斜め前方又は後方から撮像された画像は、検査対象物Kの表面に照射されたスリット光の照射ラインが搬送方向にシフトした画像となっており、このシフト量から、いわゆる光切断法に基づいて、検査対象物Kの高さ情報を取得することができる。
【0041】
前記処理装置50は、図2に示すように、動作制御部51、検査選別処理部52、検査データ記憶部53、データ収集部54、状態データ記憶部55、消耗度評価部56及び表示制御部57などを備えて構成される。尚、図2に示した処理装置50の構成は、本実施形態に係る構成を示すものであり、処理装置50の構成をしては、これに限られるものでは無く、より好ましい態様とすべく、適宜他の構成を設けることができる。
【0042】
また、処理装置50は、CPU、RAM、ROMなどを含むコンピュータから構成され、動作制御部51、検査選別処理部52、データ収集部54、消耗度評価部56及び表示制御部57は、コンピュータプログラムによってその機能が実現され、後述する処理を実行する。また、検査データ記憶部53及び状態データ記憶部55はRAMなどの適宜記憶媒体から構成される。尚、本例では、データ収集部54、消耗度評価部56、表示制御部57及びディスプレイ58が上述した消耗度監視装置を構成する。また、表示制御部57及びディスプレイ58が表示装置を構成する。
【0043】
前記動作制御部51は、前記供給部3、第1直線搬送部10及び第2直線搬送部15の動作を制御する機能部である。具体的には、動作制御部51は、前記振動フィーダ5、前記整列テーブル7を回転させる駆動モータ、前記回転搬送部8に設けられる駆動モータ、前記第1直線搬送部10及び第2直線搬送部15にそれぞれ設けられるサーボモータ及び真空ポンプなどの動作を制御する。
【0044】
前記検査選別処理部52は、前記A面濃淡画像撮像部20及びB面濃淡画像撮像部30をそれぞれ構成するLEDランプ及びカメラの作動、並びに前記A面スリット光画像撮像部25及びB面スリット光画像撮像部35をそれぞれ構成するスリット光照射器及びカメラの作動を制御する。また、検査選別処理部52は、A面濃淡画像撮像部20、A面スリット光画像撮像部25、B面濃淡画像撮像部30及びB面スリット光画像撮像部35によって得られた検査対象物Kの画像に係るデータを検査データ記憶部53に格納するとともに、得られた画像データを処理して、その良否を判定する処理を実行し、判定結果に従い前記選別部40の選別回収機構を駆動して選別する処理を実行する。
【0045】
前記データ収集部54は、前記動作制御部51及び検査選別処理部52から、消耗部品についての消耗状態に係る状態データを収集し、収集した状態データを前記状態データ記憶部55に格納する処理を実行する。
【0046】
尚、本例では、消耗部品として、前記第1直線搬送部10の駆動プーリ及び従動プーリを回転自在に支持する各ベアリング(以下、第1及び第2ベアリング)、前記第2直線搬送部15の駆動プーリ及び従動プーリを回転自在に支持する各ベアリング(以下、第3及び第4ベアリング)、前記A面濃淡画像撮像部20のLEDランプ(以下、第1LEDランプ)、前記A面スリット光画像撮像部25のスリット光照射器(第1スリット光照射器)、前記B面濃淡画像撮像部30のLEDランプ(以下、第2LEDランプ)、前記B面スリット光画像撮像部35のスリット光照射器(第2スリット光照射器)が例示される。但し、消耗部品としては、これに限られるものでは無く、当然のことながら、使用によりその性能が劣化する各種の部品が含まれる。
【0047】
各消耗部品に係る前記状態データとしては、本実施形態では、それぞれ以下のデータが設定されている。
【0048】
1.第1-第4ベアリング
第1及び第2ベアリングついては、第1直線搬送部10の駆動プーリを駆動するサーボモータに付設されたロータリエンコーダの出力値が前記動作制御部51を介して、前記データ収集部54により収集され、その最大値と最小値との差分値(バラツキ)が状態データとして前記状態データ記憶部55に格納される。第1及び第2ベアリングの少なくとも一方が摩耗して回転状態が悪化すると、その悪化の状態に応じて回転速度にムラを生じ、これにより駆動プーリを駆動するサーボモータの回転速度にもムラを生じる。そして、サーボモータの回転速度にムラが生じることにより、ロータリエンコーダからの出力値にバラツキを生じることになる。斯くして、ロータリエンコーダの出力値のバラツキ、即ち、出力値の最大値と最小値との差分値に基づいて、第1及び第2ベアリングの劣化状態を把握することができる。
【0049】
第3及び第4ベアリングについても同様であり、第2直線搬送部15の駆動プーリを駆動するサーボモータに付設されたロータリエンコーダの出力値が前記動作制御部51を介して、前記データ収集部54により収集され、その最大値と最小値との差分値(バラツキ)が状態データとして前記状態データ記憶部55に格納される。
【0050】
2.第1及び第2LEDランプ
本実施形態に係るA面濃淡画像撮像部20及びB面濃淡画像撮像部30では、高精度な検査を実現すべく、第1及び第2LEDランプの光量が所定の光量に維持されるように、各光量が自動的に調整されるようになっている。
【0051】
第1及び第2LEDランプは、その使用によって劣化すると照射される光量が低下するため、設定された光量が照射されるように、当該第1及び第2LEDランプに供給される電流値が増大される。したがって、第1及び第2LEDランプに供給される電流値に基づいて、第1及び第2LEDランプの劣化状態を把握することができる。
【0052】
斯くして、第1及び第2LEDランプの作動を制御する前記検査選別処理部52を介して、第1及び第2LEDランプに供給される電流値(若しくは、この電流値に相当する情報、例えば、供給電流を調整するためのボリューム値)が状態データとして前記データ収集部54により収集され、前記状態データ記憶部55に格納される。尚、第1及び第2LEDランプの光量が適切か否かについては、検査選別処理部52によって実行される画像処理の際に判定することができ、或いは、適宜光量センサを用いることにより検出することができる。
【0053】
3.第1及び第2スリット光照射器
本実施形態に係るA面スリット光画像撮像部25及びB面スリット光画像撮像部35では、高精度な検査を実現すべく、第1及び第2スリット光照射器からのレーザ光出力が所定の値となるように維持されている。具体的には、第1及び第2スリット光照射器には、それぞれ出力監視センサが内蔵されており、第1及び第2スリット光照射器は、各出力監視センサからの出力値に基づいて、それぞれ供給電流がフィードバック制御され、これにより、各レーザ光出力が所定の値となるようにそれぞれ維持される。
【0054】
そして、第1及び第2スリット光照射器は、その使用によって劣化すると、照射されるレーザ光出力が低下するため、設定された出力が維持されるように、当該第1及び第2スリット光照射器に供給される電流値が増大されることになる。したがって、第1及び第2スリット光照射器に供給される電流値に基づいて、第1及び第2スリット光照射器の劣化状態を把握することができる。
【0055】
斯くして、第1及び第2スリット光照射器の作動を制御する前記検査選別処理部52を介して、第1及び第2スリット光照射器に供給される電流値(若しくは、この電流値に相当する情報)が状態データとして前記データ収集部54により収集され、前記状態データ記憶部55に格納される。
【0056】
前記消耗度評価部56は、前記データ収集部54によって収集され、前記状態データ記憶部55に格納された前記データに基づいて、該当する消耗部品の消耗度を、当該消耗度に応じて設定される安定状態、注意状態、寿命状態の3つの区分に分類にして評価し、評価した区分に係るデータを前記状態データ記憶部55に格納する処理を行う。この処理は、前記データ収集部54からの評価指示信号を受信して実行され、データ収集部54はデータの収集処理を実行する度に、消耗度評価部56に対して評価指示信号を送信する。
【0057】
尚、前記安定状態は、当分の間、当該消耗部品を問題なく安定して使用できる状態を意味し、注意状態は、近い将来において、当該消耗部品が寿命に至る可能性がある状態を意味し、寿命状態は、当該消耗部品が何時使用不可になるか分からない状態を意味する。また、本例では、前記状態データ記憶部55には、上記の状態データ及び評価区分データの他に、各消耗部品について、その使用開始日、使用時間及び使用期限(日又は累計時間)などの情報が適宜格納される。
【0058】
前記表示制御部57は、予め定められたフォーマットに従って前記ディスプレイ58に表示する処理を行うとともに、ディスプレイ58に表示された画面を通して、当該ディスプレイ58から入力される信号を前記動作制御部51、検査選別処理部52及びデータ収集部54に送信する。ディスプレイ58は所謂タッチパネルから構成され、表示画面に触れることで信号を入力することができる。
【0059】
表示制御部57は、例えば、図3に示すようなホーム画面をディスプレイ58に表示する。図3に示したホーム画面は、一例に過ぎないものであり、これに限定される趣旨のものでは無い。例えば、図3に示したホーム画面では、「検査開始」、「検査データ表示」、「イニシャルテスト」及び「消耗部品の消耗度表示」の各操作ボタンが表示されるとともに、消耗部品ついて、当該消耗部品の内一つでも前記注意状態以上の警告状態にある場合に、その旨を表示する表示ボックス60等が設定されている。表示制御部57は前記状態データ記憶部55に格納されたデータを随時参照して、消耗部品の内一つでも注意状態以上の警告状態にある場合には、前記表示ボックス60にその旨を表示する。
【0060】
例えば、ホーム画面において、「イニシャルテスト」のボタンが押されると、表示制御部57を介して前記動作制御部51及び検査選別処理部52にテスト開始信号が送信され、これにより、供給部3、第1直線搬送部10、第2直線搬送部15、A面濃淡画像撮像部20、A面スリット光画像撮像部25、B面濃淡画像撮像部30、B面スリット光画像撮像部35及び選別部40が駆動され、イニシャル、即ち、連続検査前のテスト検査として数個の検査対象物Kについて、その外観検査が実行される。そして、このテスト検査の実行中に、前記データ収集部54により、第1直線搬送部10及び第2直線搬送部15の各ロータリエンコーダの出力値、第1及び第2LEDランプに供給される電流値、並びに第1及び第2スリット光照射器に供給される電流値が状態データとして収集され、収集された状態データが、対応する消耗部品ごとに、収集日時と関連付けられて前記状態データ記憶部55に格納される。
【0061】
また、ホーム画面において、「検査開始」のボタンが押されると、表示制御部57を介して前記動作制御部51及び検査選別処理部52に検査開始信号が送信され、これにより、供給部3、第1直線搬送部10、第2直線搬送部15、A面濃淡画像撮像部20、A面スリット光画像撮像部25、B面濃淡画像撮像部30、B面スリット光画像撮像部35及び選別部40が駆動され、予定されたロットの検査対象物Kについて、その外観検査が連続的に実行される。即ち、検査選別処理部52により、A面濃淡画像撮像部20、A面スリット光画像撮像部25、B面濃淡画像撮像部30及びB面スリット光画像撮像部35から得られた検査対象物Kの画像に係るデータが検査データ記憶部53に格納されるとともに、得られた画像データが処理されて、その良否が判定され、判定結果に従って前記選別部40において良品と不良品とが選別される。
【0062】
また、「検査データ表示」のボタンが押されると、表示制御部57は、前記検査データ記憶部53に格納された検査データ(画像データ)を含む各種情報を所定のフォーマットで、前記ディスプレイ58に表示する。
【0063】
また、「消耗部品の消耗度表示」のボタンが押されると、表示制御部57は、前記状態データ記憶部55に格納された状態データ及び評価区分に係る情報(消耗度)を所定のフォーマットで、前記ディスプレイ58に表示する。また、前記状態データ記憶部55に格納されたデータを随時参照して、消耗部品の内一つでも注意状態以上の警告状態にある場合には、前記表示ボックス60にその旨を表示する。表示の態様としては、例えば、消耗度が安定状態である場合には記号「〇」で表示し、消耗度が注意状態である場合には記号「△」で表示し、消耗度が寿命状態である場合には記号「×」で表示する。図3に示した例では、表示ボックス60に、消耗度が寿命状態である消耗部品が存在することを示す記号「×」が表示されている。
【0064】
また、表示制御部57は、「消耗部品の消耗度表示」のボタンが押されると、例えば、図4に示すフォーマットで、前記状態データ記憶部55に格納された、各消耗部品に係る消耗度についての評価区分を、対応する記号「〇」、「△」及び「×」で表示する。また、表示制御部57は、この他に、状態データ記憶部55に格納された使用開始日、使用時間及び使用期限(日又は累計時間)といった情報を表示する。
【0065】
また、表示制御部57は、図4に示した表示画面において、各消耗部品の消耗度について表示された評価区分の記号が選択されると、当該消耗部品についての状態データを前記状態データ記憶部55から読み出して、当該消耗部品の状態データを所定のフォーマットで前記ディスプレイ58に表示する。その表示画面の一例を図5図7に示す。尚、図5図7は、具体的なデータに基づくものではなく、その概念的なものとして、状態データの値を示す第1軸と、これに直交する時間軸である第2軸とから構成されるグラフであって、状態データを時系列に沿ったグラフとして表示している。また、第1軸について、前記安定状態、注意状態及び寿命状態の3つの区分に区分けされ、各領域はそれぞれ異なる色で表示される。また、図5図7では、図示の都合上、一点鎖線で各領域を区分けするとともに、各領域について説明書きを加えている。
【0066】
図5は、第1直線搬送部10に設けられるロータリエンコーダの出力値のバラツキ、即ち、最大値と最小値の差分値を時系列で示したグラフの例示である。図5に示した例では、出力値のバラツキがある時点から急激に大きくなり、安定状態から注意状態を経て寿命状態に急速に至っている。このロータリエンコーダの出力値のバラツキは前記ベアリングの性能に対応するものであり、出力値のバラツキが大きくなるにしたがって、ベアリングの性能が悪化すると想定される。図5に示した例では、ベアリングの性能は急激に悪化する。尚、第2直線搬送部15に設けられるロータリエンコーダの出力値についても同様のグラフとして表示される。
【0067】
図6は、第1LEDランプに供給される電流値を時系列で示したグラフの例示である。図6に示した例では、電流値は線形的に徐々に大きくなり、安定状態から注意状態を経て寿命状態に至る。この電流値は第1LEDランプの性能に関わるものであり、時間が経過するとともに光量が低下するため、設定された光量が照射されるように、第1LEDランプに供給される電流値が増大する。尚、第2LEDランプに供給される電流値についても同様のグラフとして表示される。
【0068】
図7は、第1スリット光照射器に供給される電流値を時系列で示したグラフの例示である。図7に示した例では、電流値は線形的に徐々に大きくなり、安定状態から注意状態を経て寿命状態に至る。この電流値は第1スリット光照射器の性能に関わるものであり、時間が経過するとともにレーザ光の出力が低下するため、設定された出力が維持されるように、第1スリット光照射器に供給される電流値が増大する。尚、第2スリット光照射器に供給される電流値についても同様のグラフとして表示される。
【0069】
以上の構成を備えた本例の外観検査装置1によれば、オペレータが、連続検査を行う前のテスト検査を行うべく、ディスプレイ58に表示されたホーム画面の「イニシャルテスト」のボタンを押すと、表示制御部57を介して動作制御部51及び検査選別処理部52にテスト開始信号が送信され、これにより、数個の検査対象物Kについて、その外観検査が実行される。そして、このテスト検査の実行中に、データ収集部54により、第1直線搬送部10及び第2直線搬送部15の各ロータリエンコーダの出力値、第1及び第2LEDランプに供給される電流値、並びに第1及び第2スリット光照射器に供給される電流値が状態データとして収集され、収集された状態データが、対応する消耗部品ごとに、収集日時と関連付けられて前記状態データ記憶部55に格納される。
【0070】
また、データ収集部54はデータの収集処理を実行する度に、消耗度評価部56に対して評価指示信号を送信し、消耗度評価部56は評価指示信号を受信すると、データ収集部54によって新たに収集され、状態データ記憶部55に格納された新たなデータに基づいて、各消耗部品の消耗度を、その消耗の進行状態に応じて設定される安定状態、注意状態、寿命状態の3つの区分に分類にして評価し、評価した区分に対応した記号データを状態データ記憶部55に格納する。
【0071】
また、オペレータが、連続検査を行うべく、ディスプレイ58に表示されたホーム画面の「検査開始」のボタンを押すと、表示制御部57を介して動作制御部51及び検査選別処理部52に検査開始信号が送信され、予定されたロットの検査対象物Kについて、その外観検査が連続的に実行される。即ち、検査選別処理部52により、検査対象物Kの画像に係るデータが検査データ記憶部53に格納されるとともに、得られた画像データが処理されて、その良否が判定され、判定結果に従って前記選別部40において良品と不良品とが選別される。
【0072】
また、オペレータは、ディスプレイ58に表示されたホーム画面の「検査データ表示」のボタンを押すことにより、ディスプレイ58に、検査データ記憶部53に格納された検査データ(画像データ)を含む各種情報を所定のフォーマットで表示させることができ、この表示を確認することで、検査結果を過去分も含めて目視により認識することができる。尚、この表示は、検査中であるか否かに拘わらず、随時実行することができる。
【0073】
また、オペレータは、ディスプレイ58に表示されたホーム画面の「消耗部品の消耗度表示」のボタンを押すことにより、状態データ記憶部55に格納された状態データ及び評価区分に係る情報(消耗度)を所定のフォーマット(図4に示すようなフォーマット)でディスプレイ58に表示させることができる。尚、この表示も、検査中であるか否かに拘わらず、随時実行することができ、例えば、ホーム画面中に設けられた、消耗部品ついての警告表示を行うための表示ボックスに警告表示がなされている場合に、オペレータは、「消耗部品の消耗度表示」のボタンを押すことによって、各消耗部品に係る状態データ及び消耗度を表示させることができる。
【0074】
斯くして、オペレータは、ディスプレイ58に表示される各消耗部品の消耗度を確認することで、各消耗部品が寿命に至るまでのどの段階にあるのかを、従来に比べてより詳しく認識することができる。特に、使用限界となる予定日や、使用累計時間を表示するようにすれば、各消耗部品が寿命に至るまでのどの段階にあるのかをより明確に認識することができる。
【0075】
そして、このように消耗度が寿命に至るまでのどの段階にあるのかについてのより詳しい情報を認識することで、オペレータは、消耗部品が寿命に至る前の適切な時期までに交換用の消耗部品を用意(準備)して、適宜適切な時期に寿命に近づいた消耗部品を新たなものに交換するといった、計画的な保全作業を行うことができる。
【0076】
また、オペレータは、例えば、図4に示されるような表示画面において、各消耗部品の消耗度について表示された評価区分の記号を選択することで、状態データ記憶部55に格納された対応する消耗部品の状態データを所定のフォーマット(図5図7に示したフォーマット)でディスプレイ58に表示させることができる。
【0077】
斯くして、オペレータは、ディスプレイ58にディスプレイ58に表示される時系列に沿った状態データの値を確認することで、各消耗部品について、その消耗の進行状態を確認することができ、これにより、オペレータは、消耗部品が寿命に至る前のより適切な時期に交換用の消耗部品を用意することができ、また、より適切な時期に消耗部品の交換を行うことができる。
【0078】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明が採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の態様を採り得る。
【0079】
例えば、上例では、データ収集部54によって収集された状態データが、当該データ収集部54から状態データ記憶部55に直接送信して格納する態様としているが、このような態様に限られるものではなく、データ収集部54によって収集された状態データを、消耗度評価部56を介して状態データ記憶部55に格納する態様としてもよい。
【0080】
また、上例では、状態データを時系列に沿ってグラフで表示する図5図7において、その第1軸を、消耗度に対応する安定状態、注意状態及び寿命状態の3つの区分に区分けし、区分けした各領域をそれぞれ異なる色で表示するようにしたが、消耗度の表示としては、このような領域表示に限られるものではなく、図8に示すように、各状態データのプロットを選択することで、消耗度に係る情報、例えば、消耗度に対応する記号をポップアップ的に表示させるようにしてもよい。或いは、各状態データに対応させて、消耗度に係る情報を表示するようにしてもよい。
【0081】
また、上例では、各消耗部品の消耗度を、その消耗の進行状態に応じて設定される安定状態、注意状態、寿命状態の3つの区分に分類にして評価するようにしたが、設定される区分数は3区分に限られるものではなく、4区分以上のより細い区分数に区分けしてもよい。このようにすることで、各消耗部品の消耗度について、より細かな監視を行うことができる。
【符号の説明】
【0082】
1 外観検査装置
3 供給部
10 第1直線搬送部
15 第2直線搬送部
20 A面濃淡画像撮像部
25 A面スリット光画像撮像部
30 B面濃淡画像撮像部
35 B面スリット光画像撮像部
40 選別部
50 処理装置
51 動作制御部
52 検査選別処理部
53 検査データ記憶部
54 データ収集部
55 状態データ記憶部
56 消耗度評価部
57 表示制御部
58 ディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8