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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119391
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】信号保持装置および信号保持方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/52 20200101AFI20240827BHJP
【FI】
G01R31/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026257
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】寺社下 文也
(72)【発明者】
【氏名】江崎 泰良
【テーマコード(参考)】
2G014
【Fターム(参考)】
2G014AA16
2G014AB09
2G014AC19
(57)【要約】
【課題】接点入力機器が出力する状態情報を監視装置に取得させることができる信号保持装置および信号保持方法を提供すること。
【解決手段】信号保持装置は、漏電電流を検知する漏電絶縁監視機器の接点入力信号が入力される入力部と、入力部に入力された接点入力信号を保持期間の間記憶する記憶部と、記憶部が接点入力信号を保持している保持期間、信号を、接点入力を検知する接点入力機器へ出力する出力部とを備え、接点入力機器は、信号に基づいて監視装置に警報を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
漏電電流を検知する漏電絶縁監視機器の接点入力信号が入力される入力部と、
前記入力部に入力された前記接点入力信号を保持期間の間記憶する記憶部と、
前記記憶部が前記接点入力信号を記憶している前記保持期間、信号を、接点入力を検知する接点入力機器へ出力する出力部と
を備え、
前記接点入力機器は、前記信号に基づいて監視装置に警報を出力する、信号保持装置。
【請求項2】
前記保持期間は、前記監視装置が信号を監視する周期以上の期間である、請求項1に記載の信号保持装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記保持期間、連続信号を、前記接点入力機器へ出力する、請求項1に記載の信号保持装置。
【請求項4】
前記入力部には、前記漏電絶縁監視機器によって検出される瞬時的に許容を超える漏電電流に基づく接点入力信号が入力される、請求項1に記載の信号保持装置。
【請求項5】
前記漏電絶縁監視機器は、キュービクルに含まれる機器の漏電電流を検知する、請求項1に記載の信号保持装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記保持期間経過した後に前記接点入力信号を消去し、
前記出力部は、前記信号の出力を停止する、請求項1に記載の信号保持装置。
【請求項7】
漏電電流を検知する漏電絶縁監視機器の接点入力信号が入力されるステップと、
前記入力されるステップで入力された前記接点入力信号を保持期間の間記憶するステップと、
前記保持期間の間記憶するステップで前記接点入力信号を保持している前記保持期間、信号を、接点入力を検知する接点入力機器へ出力するステップと
を有し、
前記接点入力機器は、前記信号に基づいて監視装置に警報を出力する、信号保持装置が実行する信号保持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号保持装置および信号保持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キュービクル内に存在する接点入力を検知する接点入力機器の状態を、監視装置が通信によって取得するシステムでは、漏電電流を検知する漏電絶縁監視機器の接点入力に基づいて、接点入力機器が警報を監視装置へ通知する。
【0003】
漏電状態を検出する技術に関して、安全性の高い漏電継電器が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、零相変流器側に、漏電検出コイルの他、チェック用電流を流すことで漏電継電器との間の接続状態をチェックする接続状態チェック用コイルを設け、漏電検出出力と併せ、接続状態チェック出力を上記漏電継電器側に出力可能にする。また、漏電継電器を、上記チェック用電流を出力するとともに、上記零相変流器の出力により主回路の漏電状態または上記接続状態の異常判別を行い、少なくともいずれかが異常の場合は警報を行う接点信号を出力する構成とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-363036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、キュービクルに含まれる接点入力機器の状態を、監視装置が通信にて取得する場合に、接点入力機器が自機の状態情報を出力する周期と、監視装置が信号を監視する周期とが異なれば、接点入力機器が状態情報を出力しても、監視装置がその状態情報を取得できず、取りこぼしてしまう場合がある。監視装置が状態情報を取りこぼしてしまった場合に、正確な漏電発生時期について監視することができない。
本発明の目的は、接点入力機器が出力する状態情報を監視装置に取得させることができる信号保持装置および信号保持方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、漏電電流を検知する漏電絶縁監視機器の接点入力信号が入力される入力部と、前記入力部に入力された前記接点入力信号を保持期間の間記憶する記憶部と、前記記憶部が前記接点入力信号を保持している前記保持期間、信号を、接点入力を検知する接点入力機器へ出力する出力部とを備え、前記接点入力機器は、前記信号に基づいて監視装置に警報を出力する、信号保持装置である。
【0007】
(2)本発明の一態様は、上記(1)に記載の信号保持装置において、前記保持期間は、前記監視装置が信号を監視する周期以上の期間である。
【0008】
(3)本発明の一態様は、上記(1)に記載の信号保持装置において、前記出力部は、前記保持期間、連続信号を、前記接点入力機器へ出力する。
【0009】
(4)本発明の一態様は、上記(1)に記載の信号保持装置において、前記入力部には、前記漏電絶縁監視機器によって検出される瞬時的に許容を超える漏電電流に基づく接点入力信号が入力される。
【0010】
(5)本発明の一態様は、上記(1)に記載の信号保持装置において、前記漏電絶縁監視機器は、キュービクルに含まれる機器の漏電電流を検知する。
【0011】
(6)本発明の一態様は、上記(1)に記載の信号保持装置において、前記記憶部は、前記保持期間経過した後に前記接点入力信号を消去し、前記出力部は、前記信号の出力を停止する。
【0012】
(7)本発明の一態様は、漏電電流を検知する漏電絶縁監視機器の接点入力信号が入力されるステップと、前記入力されるステップで入力された前記接点入力信号を保持期間の間記憶するステップと、前記保持期間の間記憶するステップで前記接点入力信号を保持している前記保持期間、信号を、接点入力を検知する接点入力機器へ出力するステップとを有し、前記接点入力機器は、前記信号に基づいて監視装置に警報を出力する、信号保持装置が実行する信号保持方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、接点入力機器が出力する状態情報を監視装置に取得させることができる信号保持装置および信号保持方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る監視システム1の構成例を示す図である。
図2】本実施形態に係る監視システム1に含まれる漏電絶縁監視機器20の構成例を示す図である。
図3】本実施形態に係る監視システム1に含まれる信号保持装置30の構成例を示す図である。
図4】本実施形態に係る監視システム1に含まれる接点入力機器40の構成例を示す図である。
図5】本実施形態に係る監視システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
図6】実施形態の変形例に係る監視システム1aの構成例を示す図である。
図7】実施形態の変形例に係る監視システム1aに含まれる信号保持装置30aの構成例を示す図である。
図8】実施形態の変形例に係る監視システム1aの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本実施形態の信号保持装置および信号保持方法を、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
また、本願でいう「XXに基づいて」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づいて」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0016】
(実施形態)
(監視システム)
図1は、本実施形態に係る監視システム1の構成例を示す図である。監視システム1は、漏電絶縁監視機器20と、信号保持装置30と、接点入力機器40と、監視装置100とを含んで構成される。漏電絶縁監視機器20、信号保持装置30および接点入力機器40の一例は、高圧受電設備(キュービクル)10に含まれる。
接点入力機器40と監視装置100とは、ネットワークNWを介して通信する。ネットワークNWは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、プロバイダ装置、無線基地局などを含む。
【0017】
漏電絶縁監視機器20は、漏電電流を検知する。例えば、漏電絶縁監視機器20は、予め設定されている許容値を超える漏電電流を検知する。漏電絶縁監視機器20は、許容値を超える漏電電流を検知した場合に、信号保持装置30へ接点入力信号を出力する。例えば、漏電絶縁監視機器20は、瞬時的に許容値を超える漏電電流を検知した場合に、信号保持装置30に接点入力信号を瞬間的に出力する。
【0018】
漏電絶縁監視機器20の一例は、地絡過電圧継電器(OVGR: Over Voltage Ground Relays)、逆電力継電器(RPR: Reverse Power Relay)、不足電圧継電器(UVR: Under Voltage Relay)を含んで構成される。
地絡過電圧継電器は、高圧電路のケーブルや機器の絶縁劣化、電路と大地間が接触して起こる地絡事故を検出する保護装置である。逆電力継電器は、逆方向の電力を検出した際に動作する継電器である。不足電圧継電器は、電圧が設定値以下になったとき、動作する継電器である。以下、一例として、漏電絶縁監視機器20が地絡過電圧継電器である場合について説明を続ける。
【0019】
信号保持装置30には、漏電絶縁監視機器20が出力した接点入力信号が入力される。信号保持装置30は、入力された接点入力信号を保持期間の間記憶する。信号保持装置30は、接点入力信号を保持している保持期間、信号を、接点入力機器40へ出力し続ける。
【0020】
接点入力機器40には、信号保持装置30が出力した信号が入力される。接点入力機器40は、入力された信号に基づいて状態情報を作成する。例えば、接点入力機器40は、入力された信号に基づいて機器の状態情報を作成する。状態情報には警報が含まれる。接点入力機器40は、作成した状態情報を監視装置100へ送信する。
【0021】
監視装置100は、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。監視装置100には、接点入力機器40が送信した状態情報を受信する。監視装置100は、受信した状態情報を受け付ける。監視装置100は、受け付けた状態情報に基づいて、所定のアクション(動作)を行う。
以下、監視システム1に含まれる漏電絶縁監視機器20、信号保持装置30および接点入力機器40について詳細に説明する。
【0022】
(漏電絶縁監視機器20)
図2は、本実施形態に係る監視システム1に含まれる漏電絶縁監視機器20の構成例を示す図である。
漏電絶縁監視機器20は、検知部22と、出力部26とを備える。検知部22は、地絡過電圧を監視し、高圧系統側での地絡を検知する。検知部22は、高圧系統側での地絡を検知した場合に、出力部26に設定入力信号を出力する。
出力部26は、検知部22が出力した接点入力信号を、信号保持装置30に出力する。
【0023】
(信号保持装置30)
図3は、本実施形態に係る監視システム1に含まれる信号保持装置30の構成例を示す図である。信号保持装置30は、入力部32と、処理部33と、記憶部34と、出力部36とを備える。
【0024】
入力部32は、情報を入力する。入力部32には、漏電絶縁監視機器20が出力した接点入力信号が入力される。
処理部33は、入力部32から接点入力信号を取得し、取得した接点入力信号を、記憶部34に保持させる。処理部33は、接点入力信号を取得してから保持期間の間所定の信号を出力部36に出力する。ここで、保持期間は、処理部33に予め設定されている。
【0025】
ここで、保持期間の一例は、監視装置100が信号を監視する周期(サンプリング周期)以上の期間である。このように構成することによって、信号保持装置30は、監視装置100が信号を監視する周期以上の間所定の信号を接点入力機器40に出力し続けることができる。また、接点入力機器40は、信号保持装置30が出力した所定の信号に基づいて、監視装置100が信号を監視する周期以上の間状態情報を送信できる。このため、監視装置100は、信号を監視する周期の間に、接点入力機器40からの状態情報を受信できるため、接点入力機器40からの状態情報を受信できないことを防止できる。
【0026】
また、例えば、信号保持装置30は、監視装置100が信号を監視する周期以上の間連続信号を接点入力機器40に出力し続けるようにしてもよい。このように構成することによって、接点入力機器40は、信号保持装置30が出力した連続信号に基づいて、監視装置100が信号を監視する周期以上の間状態情報を連続して送信できる。監視装置100は、信号を監視する周期の間に、接点入力機器40から連続して送信された状態情報を受信できるため、接点入力機器40からの状態情報を受信できないことを防止できる。
【0027】
記憶部34は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などにより実現される。記憶部34は、処理部33が入力した接点入力信号を取得し、取得した接点入力信号を保持する。
出力部36は、処理部33が出力した信号を、接点入力機器40へ出力する。
【0028】
入力部32、処理部33および出力部36は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサが記憶部34に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。
また、これらの機能部のうち一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0029】
(接点入力機器40)
図4は、本実施形態に係る監視システム1に含まれる接点入力機器40の構成例を示す図である。接点入力機器40は、入力部42と、処理部43と、記憶部44と、通信部46とを備える。
【0030】
入力部42は、情報を入力する。入力部42には、信号保持装置30が出力した信号が入力される。
処理部43は、入力部42から信号を取得し、取得した信号に基づいて、警報などの接点入力機器40の状態を示す状態情報を作成する。処理部43は、作成した状態情報を通信部46に出力する。
【0031】
記憶部44は、HDDやフラッシュメモリ、RAM、ROMなどにより実現される。
通信部46は、通信モジュールによって実現される。通信部46は、ネットワークNWを介して、外部の通信装置と通信する。通信部46は、例えば、無線LAN、ブルートゥース(登録商標)又はLTE(登録商標)などの無線通信方式で通信してもよい。通信部46は、ネットワークNWを介して、外部の通信装置と有線通信するようにしてもよい。通信部46は、処理部43から状態情報を取得し、取得した状態情報を監視装置100に送信する。
【0032】
入力部42および処理部43は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサが記憶部44に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。
また、これらの機能部のうち一部又は全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0033】
(監視システム1の動作)
図5は、本実施形態に係る監視システム1の動作の一例を示すフローチャートである。図5を参照して、監視システム1の動作の一例として、漏電絶縁監視機器20が地絡を検出した場合について説明する。
【0034】
(ステップS1-1)
漏電絶縁監視機器20において、検知部22は、地絡過電圧を監視し、高圧系統側での地絡を検知したか否かを判定する。地絡を検知していない場合、ステップS1-1に戻る。
【0035】
(ステップS2-1)
漏電絶縁監視機器20において、検知部22は、高圧系統側での地絡を検知した場合に(ステップS1:YES)、出力部26に接点入力信号を出力する。出力部26は、検知部22が出力した接点入力信号を出力する。
【0036】
(ステップS3-1)
信号保持装置30において、入力部32に、漏電絶縁監視機器20が出力した接点入力信号が入力される。
【0037】
(ステップS4-1)
信号保持装置30において、処理部33は、入力部32から接点入力信号を取得し、取得した接点入力信号を、記憶部34に保持させる。
【0038】
(ステップS5-1)
信号保持装置30において、処理部33は、接点入力信号を取得してから保持期間の間所定の信号を出力部36に出力する。
【0039】
(ステップS6-1)
信号保持装置30において、出力部36は、処理部33が出力した信号を、接点入力機器40へ出力する。
【0040】
(ステップS7-1)
信号保持装置30において、処理部33は、接点入力信号を取得してから保持期間が経過したか否かを判定する。保持期間が経過していないと判定した場合(ステップS7-1:NO)、ステップS5-1に戻る。
【0041】
(ステップS8-1)
信号保持装置30において、処理部33は、接点入力信号を取得してから保持期間が経過したと判定した場合(ステップS7-1:YES)、記憶部34に保持されている接点入力信号を削除する。
【0042】
(ステップS9-1)
信号保持装置30において、処理部33は、所定の信号を出力部36に出力するのを停止する。
【0043】
(ステップS10-1)
接点入力機器40において、入力部42に、信号保持装置30が出力した信号が入力される。
【0044】
(ステップS11-1)
接点入力機器40において、処理部43は、入力部42から信号を取得し、取得した信号に基づいて、警報などの機器の状態を示す状態情報を作成する。
【0045】
(ステップS12-1)
接点入力機器40において、処理部43は、作成した状態情報を通信部46に出力する。通信部46は、処理部43から状態情報を取得し、取得した状態情報を監視装置100に送信する。
【0046】
(ステップS13-1)
監視装置100は、接点入力機器40が送信した状態情報を受信する。監視装置100は、受信した状態情報を受け付ける。例えば、監視装置100は、状態情報を受け付けた場合に、受け付けた時刻情報を取得してもよい。監視装置100は、状態情報と、受け付けた時刻情報とを関連付けて記憶してもよい。これまで、漏電を検出した場合に、出力される信号波形を監視することで漏電の異常レベルは判別可能であったが、漏電が発生した時刻までは検出されていなかった。このように構成することによって、漏電が発生した時刻情報を取得できる。
【0047】
(ステップS14-1)
監視装置100は、受け付けた状態情報に基づいて、所定のアクションを行う。
図5に示されるフローチャートにおいて、ステップS8-1とステップS9-1との処理は任意の順序であってもよい。
【0048】
前述した実施形態では、一例として漏電絶縁監視機器20が地絡過電圧継電器である場合について説明したがこの例に限られない。例えば、漏電絶縁監視機器20が逆電力継電器であってもよい。漏電絶縁監視機器20が逆電力継電器である場合には、検知部22は、系統側に流出した発電機の電力を受電端で検出する。
また、例えば、漏電絶縁監視機器20が不足電圧継電器であってもよい。漏電絶縁監視機器20が不足電圧継電器である場合には、検知部22は、電圧が設定値以下になったことを検出する。
【0049】
前述した実施形態では、一例として漏電絶縁監視機器20が地絡を検出した場合について説明したが、この例に限られない。例えば、漏電絶縁監視機器20が瞬時的に許容を超える漏電電流(以下「間欠漏電」という)を検出するようにしてもよいし、瞬時的ではない許容を超える漏電電流を検出するようにしてもよい。
前述した実施形態では、一例として、高圧受電設備10に、一台の漏電絶縁監視機器20が含まれる場合について説明したが、この例に限られない。例えば、高圧受電設備10に複数台の漏電絶縁監視機器20が含まれてもよい。
【0050】
前述した実施形態では、一例として、保持期間が、処理部33に予め設定されている場合について説明したが、この例に限られない。例えば、信号保持装置30は、監視装置100が信号を監視する周期を示す情報を取得し、取得した監視装置100が信号を監視する周期を示す情報に基づいて保持期間を導出するようにしてもよい。この場合、信号保持装置30は、監視装置100と通信を行うことによって、信号を監視する周期を示す情報を取得するようにしてもよい。
このように構成することによって、監視装置100において、信号を監視する周期が変更された場合でも、信号保持装置30は、監視装置100が信号を監視する周期を示す情報を取得し、取得した信号を監視する周期に基づいて保持期間を導出し、導出した保持期間を設定できるため、柔軟に対応できる。
【0051】
本実施形態に係る監視システム1によれば、信号保持装置30は、漏電電流を検知する漏電絶縁監視機器20の接点入力信号が入力される入力部32と、入力部32に入力された接点入力信号を保持期間の間記憶する記憶部34と、記憶部34が接点入力信号を保持している保持期間、信号を、接点入力を検知する接点入力機器40へ出力する出力部36とを備える。接点入力機器40は、信号に基づいて監視装置100に警報を出力する。
【0052】
このように構成することによって、信号保持装置30は、接点入力信号を保持している保持期間、信号を、接点入力機器40へ出力できるため、接点入力機器40は、信号保持装置30が出力した所定の信号に基づいて、状態情報を送信できる。このため、監視装置100は、接点入力機器40からの状態情報を受信できるため、接点入力機器40からの状態情報を受信できないことを低減できる。接点入力機器40からの状態情報を受信できないことを低減できることによって、漏電を検出する技術において、監視装置100によって、漏電発生などの異常が発生した時期を精度よく監視できる。
【0053】
信号保持装置30において、保持期間は、監視装置100が信号を監視する周期以上の期間である。
このように構成することによって、信号保持装置30は、監視装置100が信号を監視する周期以上の間所定の信号を接点入力機器40に出力し続けることができ、接点入力機器40は、信号保持装置30が出力した所定の信号に基づいて、監視装置100が信号を監視する周期以上の間状態情報を送信できる。このため、監視装置100は、信号を監視する周期の間に、接点入力機器40からの状態情報を受信できるため、接点入力機器40からの状態情報を受信できず、取りこぼしてしまうことを防止できる。
【0054】
信号保持装置30において、出力部36は、保持期間、連続信号を、接点入力機器40へ出力する。
このように構成することによって、信号保持装置30は、仮に、漏電絶縁監視機器20が間欠漏電を検出したことによって漏電絶縁監視機器20からの接点入力信号を取得した場合であっても保持期間、信号を、接点入力機器40へ出力し続けることができる。接点入力機器40においても、状態情報を送信し続けられるため、監視装置100は、状態情報をより確実に受信できる。
【0055】
信号保持装置30において、入力部32には、漏電絶縁監視機器20によって検出される瞬時的に許容を超える漏電電流に基づく接点入力信号が入力される。
このように構成することによって、信号保持装置30は、瞬時的に許容を超える漏電電流に基づく接点入力信号が入力された場合でも、漏電絶縁監視機器20からの接点入力信号を保持している保持期間、信号を、接点入力機器40へ出力できるため、接点入力機器40は、信号保持装置30が出力した所定の信号に基づいて、状態情報を送信できる。このため、監視装置100は、接点入力機器40からの状態情報を受信できるため、接点入力機器40からの状態情報を受信できず、取りこぼしてしまうことを低減できる。高圧受電設備の警報等の接点において、瞬間的な信号に対して漏電絶縁監視機器20などの検出器の性能に関係なく、精度のよい検出ができる。
【0056】
信号保持装置30において、漏電絶縁監視機器20は、キュービクルに含まれる機器の漏電電流を検知する。
このように構成することによって、信号保持装置30は、キュービクルの漏電電流を検知した漏電絶縁監視機器20からの接点入力信号を保持している保持期間、信号を、接点入力機器40へ出力できる。
【0057】
信号保持装置30において、記憶部34は、保持期間経過した後に接点入力信号を消去し、前記出力部は、信号の出力を停止する。
このように構成することによって、信号保持装置30から信号が出力され続けられることによって、接点入力機器40からも、状態情報が送信され続けられることを防止できる。仮に、監視装置100において、所定の回数状態情報を受信した場合に、所定のアクションが実行されるように設定されている場合でも、接点入力機器40から、状態情報が送信され続けられることが無くなるため、そのアクションが誤って実行されることを防止できる。
【0058】
(実施形態の変形例)
(監視システム)
図6は、実施形態の変形例に係る監視システム1aの構成例を示す図である。監視システム1aは、漏電絶縁監視機器20a-1~20a-n(nは、n>1の整数)と、信号保持装置30a-1~30a-nと、接点入力機器40a-1~40a-nと、監視装置100aとを含んで構成される。漏電絶縁監視機器20a-1、信号保持装置30a-1および接点入力機器40a-1は、高圧受電設備10a-1に含まれ、漏電絶縁監視機器20a-n、信号保持装置30a-nおよび接点入力機器40a-nは、高圧受電設備10a-nに含まれる。
【0059】
漏電絶縁監視機器20a-1~20a-nの各々は、漏電絶縁監視機器20を適用できる。漏電絶縁監視機器20a-1~20a-nのうち、任意の漏電絶縁監視機器を漏電絶縁監視機器20aと記載する。
接点入力機器40a-1~40a-nの各々は、接点入力機器40a-nを適用できる。接点入力機器40a-1~40a-nのうち、任意の接点入力機器を接点入力機器40aと記載する。
【0060】
信号保持装置30a-1~30a-nは、同様の構成である。信号保持装置30a-1~30a-nのうち、任意の信号保持装置を信号保持装置30aと記載する。
信号保持装置30aは、漏電絶縁監視機器20aの各々が出力した接点入力信号を受け付ける。信号保持装置30aは、受け付けた一又は複数の接点入力信号を保持期間の間記憶する。ここで、信号保持装置30aは、監視装置100aが信号を監視する周期を示す情報を取得し、取得した監視装置100aが信号を監視する周期を示す情報に基づいて保持期間を導出する。例えば、信号保持装置30aは、監視装置100aが信号を監視する周期以上の期間となるように保持期間を導出する。ここで、信号保持装置30aは、監視装置100aと通信を行うことによって、信号を監視する周期を示す情報を取得するようにしてもよい。
【0061】
監視装置100aは、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。監視装置100aは、通信を行う接点入力機器40aの数に基づいて、信号を監視する周期を設定する。例えば、監視装置100aは、通信を行う接点入力機器40aの数が多くなるほど複数の接点入力機器40aと通信を行う必要があるため信号を監視する周期を長く設定する。逆に、監視装置100aは、通信を行う接点入力機器40aの数が少なくなるほど複数の接点入力機器40aと通信を行う必要がなくなるため信号を監視する周期を短く設定する。
信号保持装置30aは、接点入力信号を記憶している保持期間、信号を、接点入力機器40aへ出力し続ける。
以下、監視システム1aに含まれる漏電絶縁監視機器20a、信号保持装置30aおよび接点入力機器40aについて、実施形態と異なる信号保持装置30aについて詳細に説明する。
【0062】
(信号保持装置30a)
図7は、実施形態の変形例に係る監視システム1aに含まれる信号保持装置30aの構成例を示す図である。信号保持装置30aは、入力部32aと、処理部33aと、記憶部34と、出力部36とを備える。
【0063】
入力部32aは、情報を入力する。入力部32aには、漏電絶縁監視機器20aが出力した接点入力信号が入力される。
処理部33aは、入力部32aから接点入力信号を取得し、取得した接点入力信号を、記憶部34に保持させる。処理部33aは、監視装置100aが信号を監視する周期を示す情報を取得し、取得した監視装置100aが信号を監視する周期を示す情報に基づいて、監視装置100aが信号を監視する周期以上の期間となるように保持期間を導出する。処理部33aは、導出した保持期間を設定する。処理部33aは、接点入力信号を取得してから保持期間の間所定の信号を出力部36に出力する。
【0064】
入力部32aおよび処理部33aは、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサが記憶部34に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。
また、これらの機能部のうち一部又は全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0065】
(監視システム1aの動作)
図8は、実施形態の変形例に係る監視システム1aの動作の一例を示すフローチャートである。図8を参照して、監視システム1aの動作の一例として、漏電絶縁監視機器20aが地絡を検出した場合について説明する。
【0066】
(ステップS1-2)
信号保持装置30aにおいて、入力部32aに監視装置100aが信号を監視する周期を示す情報が入力される。
【0067】
(ステップS2-2)
信号保持装置30aにおいて、処理部33aは、入力部32aから監視装置100aが信号を監視する周期を示す情報を取得し、取得した監視装置100aが信号を監視する周期を示す情報に基づいて、監視装置100aが信号を監視する周期以上の期間となるように保持期間を導出する。
【0068】
(ステップS3-2)
信号保持装置30aにおいて、処理部33aは、導出した保持期間を設定する。
【0069】
ステップS4-2~S17-2は、図5のステップS1-1~S14-1を適用できるため、説明を省略する。
図8に示すフローチャートにおいて、ステップS1-1~S3-2の処理は、ステップS5-2~S7-2のいずれかの後に実行されてもよい。
【0070】
前述した実施形態の変形例において、信号保持装置30aは、周期的に保持期間を導出し、導出した保持期間を設定してもよい。このように構成することによって、監視装置100aにおいて、接続する接点入力機器40aに増減があり、信号を監視する周期が変更された場合にも、その信号を監視する周期の変更に応じて、保持期間を変更できる。
【0071】
前述した実施形態の変形例において、監視装置100aは、信号を監視する周期を変更した場合に、信号保持装置30aに変更後の信号を監視する周期を通知するようにしてもよい。このように構成することによって、監視装置100aにおいて、接続する接点入力機器40aに増減があり、信号を監視する周期が変更された場合にも、信号保持装置30aは、通知された信号を監視する周期に基づいて、保持期間を変更できる。
【0072】
実施形態の変形例に係る監視システム1aによれば、信号保持装置30aは、監視装置100aが信号を監視する周期を示す情報を取得し、取得した監視装置100aが信号を監視する周期を示す情報に基づいて保持期間を導出する。信号保持装置30aは、漏電絶縁監視機器20aの各々が出力した接点入力信号を受け付け、受け付けた一又は複数の接点入力信号を保持期間の間記憶する。
このように構成することによって、監視装置100aにおいて、信号を監視する周期が変更された場合でも、信号保持装置30aは、監視装置100が信号を監視する周期を示す情報を取得し、取得した信号を監視する周期に基づいて保持期間を導出し、導出した保持期間を設定できるため、柔軟に対応できる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
【0074】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してコンピュータプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0075】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0076】
1、1a…監視システム、10、10a、10a-1~10a-n…高圧受電設備、20、20a、20a-1~20a-n…漏電絶縁監視機器、22…検知部、26…出力部、30、30a、30a-1~30a-n…信号保持装置、32、32a…入力部、33、33a…処理部、34…記憶部、36…出力部、40、40a、40a-1~40a-n…接点入力機器、42…入力部、43…処理部、44…記憶部、46…通信部、100、100a…監視装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8