IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大王製紙株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ペット用吸収性物品 図1
  • 特開-ペット用吸収性物品 図2
  • 特開-ペット用吸収性物品 図3
  • 特開-ペット用吸収性物品 図4
  • 特開-ペット用吸収性物品 図5
  • 特開-ペット用吸収性物品 図6
  • 特開-ペット用吸収性物品 図7
  • 特開-ペット用吸収性物品 図8
  • 特開-ペット用吸収性物品 図9
  • 特開-ペット用吸収性物品 図10
  • 特開-ペット用吸収性物品 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119406
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】ペット用吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/56 20060101AFI20240827BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
A61F13/56 210
A61F13/49 312Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026287
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】本城 良太
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA20
3B200BA12
3B200BA16
3B200BB11
3B200BB20
3B200CA03
3B200CA06
3B200DA02
3B200DE01
(57)【要約】
【課題】ペット用おむつにおいてパンツタイプとしてもテープタイプとしても使用する。
【解決手段】尻尾の付根から背中側を覆う背側領域Rと、尻尾の付根よりも下側における肛門及びその下側近傍を覆う臀部被覆領域Mと、臀部被覆領域Mよりも前側の腹部を覆う腹側領域Fと、幅方向D2における中間部分に配置された吸収体30とを有し、腹側領域Fは、幅方向D2の両端部にて背側領域Rに接合される腹巻領域FAを有し、腹巻領域FAの前後方向D1の全域に亘って幅方向D2に伸縮する伸縮部材13が設けられるとともに、腹巻領域FAの幅方向D2における両端部にフックテープ12a,12bが設けられ、背側領域Rにはターゲットテープ40が設けられ、フックテープ12a,12bとターゲットテープ40とは、互いに繰り返しの接合及び分離が可能に構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
尻尾の付根から背中側を覆う背側領域と、
前記背側領域に第1の方向に連接し、尻尾の付根よりも下側における肛門及びその下側近傍を覆う臀部被覆領域と、
前記第1の方向にて前記臀部被覆領域の前記背側領域とは反対側に連接し、前記臀部被覆領域よりも前側の腹部を覆う腹側領域と、
少なくとも前記臀部被覆領域及び前記腹側領域にて前記第1の方向に直交する第2の方向における中間部分に配置された吸収体と、を有し、
前記腹側領域は、前記第2の方向の両端部にて前記背側領域に接合される腹巻領域を有し、該腹巻領域の前記第1の方向の全域に亘って前記第2の方向に伸縮する伸縮部材が設けられるとともに、前記腹巻領域の長手方向における両端部に、前記背側領域に接合されるための接合部材が設けられ、
前記背側領域には、前記接合部材に接合される被接合部材が設けられ、
前記接合部材と前記被接合部材とは、互いに繰り返しの接合及び分離が可能に構成されており、
前記接合部材は、前記腹巻領域のうち当該接合部材が取り付けられていない領域に対しても繰り返しの接合及び分離が可能に構成されている、ペット用吸収性物品。
【請求項2】
前記腹巻領域は、前記第1の方向の長さが80mm以上である、請求項1に記載のペット用吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収体は、前記背側領域には配置されていない、請求項1に記載のペット用吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収体は、前記腹側領域側の端部が、前記ペット用吸収性物品の前記腹側領域側の端部から10mm~40mmの領域となるように配置されている、請求項3に記載のペット用吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収体の前記第1の方向における両側部に沿って延び、肌面に向かって立ち上がる一対の立体ギャザーを有し、
前記立体ギャザーの前記腹側領域側の立ち上がり端部は、前記吸収体の前記腹側領域側の端部よりも、前記ペット用吸収性物品の前記腹側領域側の端部側に0mm~5mmでかつ、前記ペット用吸収性物品の前記背側領域側の端部側に0mm~5mmの範囲内に位置している、請求項1に記載のペット用吸収性物品。
【請求項6】
前記立体ギャザーの前記背側領域側の立ち上がり端部は、前記ペット用吸収性物品の前記背側領域側の端部よりも、前記ペット用吸収性物品の前記腹側領域側の端部側に100mm~200mmの範囲内に位置している、請求項5に記載のペット用吸収性物品。
【請求項7】
前記腹巻領域は、前記吸収体に重なる第1の領域と、前記吸収体に重ならない第2の領域とを有し、
前記第2の領域は、前記伸縮部材によって前記第2の方向に伸縮し、前記第1の領域は、前記第2の方向に伸縮しない、請求項1に記載のペット用吸収性物品。
【請求項8】
前記伸縮部材は、当該伸縮部材が縮んだ状態における前記腹巻領域の前記第2の方向の長さに対して、1.5倍~3.5倍に伸張可能である、請求項1に記載のペット用吸収性物品。
【請求項9】
前記腹側領域は、前記伸縮部材及び前記接合部材が設けられた前記腹巻領域のみから構成されている、請求項1に記載のペット用吸収性物品。
【請求項10】
前記被接合部材は、前記背側領域の前記第2の方向における全域に亘って設けられている、請求項1に記載のペット用吸収性物品。
【請求項11】
前記接合部材が前記被接合部材に接合されてパンツタイプとなっている、請求項1に記載のペット用吸収性物品。
【請求項12】
前記接合部材が、前記被接合部材のうち前記ペット用吸収性物品を着用するペットの体形に応じた領域に接合されてパンツタイプとなっている、請求項10に記載のペット用吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット用吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
人用のおむつとしては、テープで固定するテープタイプと、パンツのように履かせることができるパンツタイプとが知られている。このうち、パンツタイプのものは、パンツのように履かせることができるため、テープタイプのものと比べて簡単に着用させることができるとともに、パンツのようなフィット感を得ることができる。そのため、一般には、生後しばらくはテープタイプのものを使用し、歩行ができるようになるとパンツタイプのものを使用する場合が多い。
【0003】
特許文献1には、股部と、胴回り部と、左端部係合部材と、右端部係合部材と、被係合領域とを有するパンツ型着用物品が開示されている。股部は、股下領域と、股下領域の前側の前見頃領域と、股下領域の後側の後見頃領域とを有する。胴回り部は、後見頃領域に中央領域が接合されている。左端部係合部材は、胴回り部の左端部に設けられており、右端部係合部材は、胴回り部の右端部に設けられている。被係合領域は、前見頃領域に設けられ、左端部係合部材及び右端部係合部材に係合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-14368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、犬や猫等といったペット用の使い捨ておむつが知られている。しかしながら、ペット用の使い捨ておむつとしては、上述したテープタイプのものは知られているものの、パンツタイプのものは知られていない。また、特許文献1に開示されたものはパンツタイプであるが、人用のものであるためペット用として使用することはできない。
【0006】
また、ペットにおいては、その種類や大きさによってテープタイプとパンツタイプとを適宜選択できるようにすることが好ましい。
【0007】
本発明は、パンツタイプとしてもテープタイプとしても使用可能なペット用吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の第1の形態は、
尻尾の付根から背中側を覆う背側領域と、
前記背側領域に第1の方向に連接し、尻尾の付根よりも下側における肛門及びその下側近傍を覆う臀部被覆領域と、
前記第1の方向にて前記臀部被覆領域の前記背側領域とは反対側に連接し、前記臀部被覆領域よりも前側の腹部を覆う腹側領域と、
少なくとも前記臀部被覆領域及び前記腹側領域にて前記第1の方向に直交する第2の方向における中間部分に配置された吸収体と、を有し、
前記腹側領域は、前記第2の方向の両端部にて前記背側領域に接合される腹巻領域を有し、該腹巻領域の前記第1の方向の全域に亘って前記第2の方向に伸縮する伸縮部材が設けられるとともに、前記腹巻領域の長手方向における両端部に、前記背側領域に接合されるための接合部材が設けられ、
前記背側領域には、前記接合部材に接合される被接合部材が設けられ、
前記接合部材と前記被接合部材とは、互いに繰り返しの接合及び分離が可能に構成されており、
前記接合部材は、前記腹巻領域のうち当該接合部材が取り付けられていない領域に対しても繰り返しの接合及び分離が可能に構成されているペット用吸収性物品である。
【0009】
上記第1の形態によれば、接合部材と被接合部材とが接合された状態では、腹側領域が有する腹巻領域の第2の方向における両端部が背側領域にそれぞれ接合され、ペットの胴を通すためのウエスト開口部及び後脚を通すための左右一対の脚開口部が形成される。また、腹巻領域の第1の方向の全域に亘って第2の方向に伸縮する伸縮部材が設けられている。これにより、フィット感を得られるパンツタイプとして使用できる。また、腹巻領域の第2の方向における両端部と背側領域とは、腹巻領域に設けられた接合部材と、背側領域に設けられた被接合部材とによって、互いに繰り返しの接合及び分離が可能に接合される。そのため、接合部材と被接合部材とが分離した状態で着用していき、その後にこれらを接合することでテープタイプとしても使用可能となる。また、接合部材が腹巻領域の接合部材が取り付けられていない領域に対しても繰り返しの接合及び分離が可能に構成されていることで、大型ペットに対しては接合部材を被接合部材に接合させ、小型ペットに対しては接合部材を腹巻領域に接合させて使用できる。
【0010】
本発明の第2の形態は、前記腹巻領域は、前記第1の方向の長さが80mm以上である。
【0011】
上記第2の形態によれば、腹巻領域と背側領域とが接合される幅が広がることにより、パンツタイプによるフィット感をさらに得ることができる。
【0012】
本発明の第3の形態は、前記吸収体は、前記背側領域には配置されていない。
【0013】
上記第3の形態によれば、背側領域においては効果が期待できない吸収体を配置しないことで、コストダウンを図ることができる。
【0014】
本発明の第4の形態は、前記吸収体は、前記腹側領域側の端部が、前記ペット用吸収性物品の前記腹側領域側の端部から10mm~40mmの領域となるように配置されている。
【0015】
上記第4の形態によれば、排尿口が腹側に位置する雄ペットについても、吸収体が排尿口を確実に覆うようになり、雄ペットにも対応可能となる。
【0016】
本発明の第5の形態は、
前記吸収体の前記第1の方向における両側部に沿って延び、肌面に向かって立ち上がる一対の立体ギャザーを有し、
前記立体ギャザーの前記腹側領域側の立ち上がり端部は、前記吸収体の前記腹側領域側の端部よりも、前記ペット用吸収性物品の前記腹側領域側の端部側に0mm~5mmでかつ、前記ペット用吸収性物品の前記背側領域側の端部側に0mm~5mmの範囲内に位置している。
【0017】
上記第5の形態によれば、雄ペットがペット用吸収性物品を着用した際、吸収体の腹側の端部から非肌面側に突出して変形した突出部が形成され、尿捕捉空間がより前方に形成されるとともに、吸収体が腹側の端部から尿の捕捉に有効に利用される。これにより、尿が外部に漏れることを抑制することができる。
【0018】
本発明の第6の形態は、前記立体ギャザーの前記背側領域側の立ち上がり端部は、前記ペット用吸収性物品の前記背側領域側の端部よりも、前記ペット用吸収性物品の前記腹側領域側の端部側に100mm~200mmの範囲内に位置している。
【0019】
上記第6の形態によれば、雌ペットがペット用吸収性物品を着用した際、雌ペットの腹側から排尿口の両側部まで、立体ギャザーが肌面側に立ち上がる。これにより、雌ペットがペット用吸収性物品を着用した場合においても、尿が外部に漏れることを抑制することができる。
【0020】
本発明の第7の形態は、
前記腹巻領域は、前記吸収体に重なる第1の領域と、前記吸収体に重ならない第2の領域とを有し、
前記第2の領域は、前記伸縮部材によって前記第2の方向に伸縮し、前記第1の領域は、前記第2の方向に伸縮しない。
【0021】
上記第7の形態によれば、雄ペットがペット用吸収性物品を着用した際、腹巻領域の第2領域は、第2の方向に伸縮するため、吸収体の第2の方向における両端部が内側に収縮し、雄ペットの腹部に密着する。一方、吸収体と重なる第1の領域は、吸収体上で第2の方向に伸縮しないため、第1の領域に位置する吸収体は、雄ペットの腹部に対して密着せずゆとりのある状態となる。これにより、吸収体が雄ペットの排尿口の前方及び周囲を離隔して囲む尿捕捉空間が形成される。よって、吸収体で尿を十分に捕捉することができ、尿が外部に漏れることを抑制することができる。また、排尿口と吸収体が離隔しているため、吸収体に吸収された尿が、排尿口に接触し付着することを抑制することができる。
【0022】
本発明の第8の形態は、前記伸縮部材は、当該伸縮部材が縮んだ状態における前記腹巻領域の前記第2の方向の長さに対して、1.5倍~3.5倍に伸張可能である。
【0023】
上記第8の形態によれば、パンツタイプによるフィット感をさらに得ることができる。
【0024】
本発明の第9の形態は、前記腹側領域は、前記伸縮部材及び前記接合部材が設けられた前記腹巻領域のみから構成されている。
【0025】
上記第9の形態によれば、パンツタイプを構成しながらも、腹側領域の第1の方向の長さを短くすることでペット用吸収物品を着用している嵩張り感を抑制してスリム感を向上させ、見栄えがよくなる。
【0026】
本発明の第10の形態は、前記被接合部材は、前記背側領域の前記第2の方向における全域に亘って設けられている。
【0027】
上記第10の形態によれば、背側領域の第2の方向の任意の位置に接合部材を接合させることが可能となり、ウエスト開口部をペットの胴回りに応じて容易に調整することができる。
【0028】
本発明の第11の形態は、前記接合部材が前記被接合部材に接合されてパンツタイプとなっている。
【0029】
上記第11の形態によれば、パンツタイプとして使用可能な状態として提供することができる。
【0030】
本発明の第12の形態は、前記接合部材が、前記被接合部材のうち前記ペット用吸収性物品を着用するペットの体形に応じた領域に接合されてパンツタイプとなっている。
【0031】
上記第12の形態によれば、ペット用吸収性物品を着用するペットの体形に応じたパンツタイプを選択することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、ペット用吸収性物品においてパンツタイプとしてもテープタイプとしても使用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明のペット吸収性物品に係る一実施形態を肌面側から見た図である。
図2図1に示したA-A断面図である。
図3図1に示したB-B断面図である。
図4図1に示したC-C断面図である。
図5図1に示したおむつの使用形態を示す図である。
図6図1に示したおむつをパンツタイプとして使用する一形態を説明するための図である。
図7図1に示したおむつをテープタイプとして使用する一形態を説明するための図である。
図8図1に示したおむつを雄ペットに使用した際の作用を説明するための図である。
図9図1に示したおむつの他の使用形態を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)に示した矢印E方向からみた図である。
図10】本発明のペット吸収性物品に係る他の実施形態を肌面側から見た図である。
図11】本発明のペット吸収性物品に係る他の実施形態を肌面側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において、特に説明がない限り、同一または対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、直交、左右等の方向には、実施形態の作用、効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、弓状に丸みを帯びてもよい。直交には、略直交が含まれてもよい。本明細書において、おむつ1の前後方向をD1、前後方向と直交する、おむつ1の幅方向をD2とする。なお、前後方向とは、ペットの前後方向に対応する。本明細書において、おむつ1の前後方向の前側を腹側または前方とし、前後方向の後ろ側を背側または後方とする。また、おむつ1のペットと対向する面を肌面、おむつ1の肌面と反対側の面を非肌面とする。
【0035】
(全体構成)
図1は、本発明のペット吸収性物品に係る一実施形態を肌面側から見た図であり、展開した状態における平面図である。図2は、図1に示したA-A断面図である。図3は、図1に示したB-B断面図である。図4は、図1に示したC-C断面図である。
【0036】
本実施形態は図1に示すように、背側領域Rと臀部被覆領域Mと腹側領域Fとがこの順で第1の方向となる前後方向D1に連接して構成されたおむつ1である。背側領域Rは、おむつ1を着用したペットの尻尾の付根から背中側を覆う部分である。臀部被覆領域Mは、おむつ1を着用したペットの尻尾の付根よりも下側における肛門及びその下側近傍を覆う部分である。腹側領域Fは、臀部被覆領域Mよりも、おむつ1を着用したペットの前側の腹部を覆う部分である。さらに、腹側領域Fは、前後方向D1において腹巻領域FAと脚周り領域FBとが並んでおり、腹巻領域FAがおむつ1の前後方向D1にておむつ1の腹側の端部14a側となっている。
【0037】
おむつ1は、外装体10と、内装体20とを有する。外装体10は、腹側領域Fのみに配置され、内装体20は、腹側領域Fの一部と、背側領域R及び臀部被覆領域Mとに配置される。外装体10の第2の方向となる幅方向D2の長さW1は、内装体20の幅方向D2の長さW2よりも長い。これにより、腹側領域Fの幅方向D2の長さは、背側領域R及び臀部被覆領域Mの幅方向D2の長さよりも長い。具体的には、外装体10は、前後方向D1の長さを165mm、第2の方向となる幅方向D2の長さを600mmとすることが考えられる。内装体20は、前後方向D1の長さを410mm、幅方向D2の長さを190mmとすることが考えられる。内装体20は、外装体10の幅方向D2の中央部分において外装体10の一部に重ね合わされて配置される。例えば内装体20の前後方向D1における腹側の135mmの領域が外装体10の肌面上に載置されるように外装体10に重ね合わせることが考えられる。これにより、おむつ1は、腹巻領域Fの一部にて外装体10と内装体20とが重ね合わされ、全体としてT字型を構成する。その際、サイズとして、前後方向D1の長さが440mm、幅方向D2の長さが600mmとすることが考えられる。なお、ここで言う「長さ」とは、おむつ1が展開され最も伸張した状態の長さを意味する。おむつ1の前後方向D1の長さとしては、300mm~600mmが好ましく、また、外装体10の幅方向D2の長さとしては、500mm~800mm、内装体20の幅方向D2の長さとしては、100mm~250mmが好ましい。これにより、ペットが着用した際、おむつ1を脚周り及び胴回りにフィットさせることができる。
【0038】
(外装体10)
外装体10は、内装体20のうち外装体10に重ね合わされた部分とともに腹側領域Fを構成する。外装体10は、腹側領域Fのうち腹巻領域FAにおいては、幅方向D2を長手方向とする帯状形状を形成している。外装体10は、腹側領域Fのうち脚周り領域FBにおいては、おむつ1をペットが着用した際に脚開口部LO(図5参照)の一部が形成されるように幅方向D2の両端部が曲線状にカットされている。これにより、外装体10は脚周り領域FBにおいては幅方向D2の長さが腹巻部FAから離れるにつれて徐々に短くなっていく形状となっている。
【0039】
外装体10は、2枚の外装シート11a,11bがホットメルト接着剤等の接着剤により貼り合わされて構成されている。2枚の外装シート11a,11bの接着剤による貼り合わせは一部のみであってもよい。2枚の外装シート11a,11bのうち、外側に配置された外装シート11aは、おむつ1の前後方向D1における腹側の端部にて内側に折り返されており、折り返し部11cを有している。折り返し部11cは、内装体20の一部を覆っている。
【0040】
2枚の外装シート11a,11bとしては、シート状のものであれば特に限定無く使用できるが、不織布を用いることが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等や、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維等を用いることが考えられる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。
【0041】
2枚の外装シート11a,11b間には、腹巻領域FAにおいて複数本の伸縮部材13が挟み込まれている。伸縮部材13は、細長状のものを用いることが考えられる。複数本の伸縮部材13は、幅方向D2に伸縮する向きで外装体10の幅方向D2の両端間に延び、前後方向D1にて互いに間隔を空けて並行した状態で2枚の外装シート11a,11b間に固定されている。
【0042】
複数の伸縮部材13は、おむつ1の腹側の端部14aから0mm~5mmの領域からおむつ1の背側に向かって並んでいる。また、複数の伸縮部材13は、前後方向D1における腹巻領域FAの背側の端部から0mm~5mmの領域まで並んでいることが考えられる。このように、複数の伸縮部材13は、前後方向D1における腹巻領域FAの両端部間に亘って設けられている場合に限らず、前後方向D1における腹巻領域FAの両端部から5mmの領域を除いて設けられてもよい。いずれの場合も、複数の伸縮部材13が、前後方向D1における腹巻領域FAの全域に亘って設けられていると定義する。またその場合に、複数の伸縮部材13は、前後方向D1における腹巻領域FAの全域に亘って所々に部分的に設けられていてもよい。伸縮部材13の外装シート11a,11bへの固定は、ホットメルト接着またはヒートシールや超音波接着等によって行うことが考えられる。伸縮部材13は、その全てが同じ太さと伸長率にする必要はなく、例えば、おむつ1の端部14a側と脚周り領域FB側とでその太さと伸長率が異なるようにしてもよい。ここで、外装体10には、上述したように内装体20の一部が重ね合わされている。その際、外装体10は、腹巻領域FAにおいて、内装体20が有する吸収体30に重なる第1の領域R1と、吸収体30に重ならない第2の領域R2とを有する。腹巻領域FAにおいては、2枚の外装シート11a,11b間に伸縮部材13が挟み込まれていることで幅方向D2に伸縮するが、第2の領域R2は幅方向D2に伸縮するものの、第1の領域R1は幅方向D2に伸縮しない。これは、例えば、伸縮部材13を第1の領域R1のみにてシャーリングカッターを用いて切断することによって構成してもよい。また、吸収体30が重なることのみによっても、外装体10は第1の領域R1において幅方向D2に伸縮しにくくなる。
【0043】
伸縮部材13としては、糸ゴム、伸縮性フィルムまたはこれらに不織布を張り合わせた部材等が挙げられる。伸縮部材13を構成する材料としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等を用いることができる。
【0044】
外装体10は、腹巻領域FAにおける幅方向D2の両端部にフックテープ12a,12bが取り付けられている。フックテープ12a,12bは、本願発明にて接合部材の一例となるものであって、帯状形状を有し、その長手方向がおむつ1の前後方向D1と一致する向きで外装体10に取り付けられている。すなわち、フックテープ12a,12bの長手方向の長さは、外装体10の腹巻領域FAにおける前後方向D1の長さ以下であれば適宜設定することができる。フックテープ12a,12bは、その表面が面ファスナーの雄材で構成されており、接着剤等によって外装体10の内装体20が重ね合わされる面に固定されている。
【0045】
(内装体20)
内装体20は、腹側領域Fの一部と臀部被覆領域Mと背側領域Rとを構成する。内装体20は、バックシート21と、防水シート22と、トップシート23と、吸収体30と、一対の平面ギャザー50a,50b及び立体ギャザー60a,60bと、ターゲットテープ40とを有する。
【0046】
バックシート21は、内装体20の外形と同一の外形を有しており、内装体20の最も非肌面側に配置されている。バックシート21としては、不織布が用いられる。不織布の構成繊維としては、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維(単成分繊維の他、芯鞘等の複合繊維も含む)の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等、特に限定なく選択することができ、これらを混合して用いることもできる。不織布としては、具体的には、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド(エアスルー)不織布、ニードルパンチ不織布、ポイントボンド不織布、積層不織布(同一又は類似の不織布層が積層されたSSS(スパンボンド+スパンボンド+スパンボンド)不織布等を用いることができる。バックシート21の繊維目付けは、10~50g/mであることが好ましく、15~30g/mであることがより好ましい。
【0047】
バックシート21の非肌面には、ターゲットテープ40が取り付けられている。ターゲットテープ40は、本願発明にて被接合部材の一例となるものである。ターゲットテープ40は、長方形の形状を有し、背側領域Rにおいておむつ1の端部14bに沿って取り付けられている。ターゲットテープ40の幅方向D2の長さは、例えば、バックシート21の幅方向D2の長さが190mmである場合に、180mmとすることが考えられる。このように、ターゲットテープ40はバックシート21の幅方向D2におけるほぼ全域に亘って取り付けられていることが好ましい。この場合も含めて、ターゲットテープ40がバックシート21の幅方向D2における全域に亘って取り付けられていると定義する。ターゲットテープ40は、その表面が面ファスナーの雌材で構成されており、接着剤等によってバックシート21の非肌面に固定されている。
【0048】
防水シート22は、排泄液を透過させない遮水性のシートであって、バックシート21の肌面側の面に積層され、接着剤等によって接着されている。防水シート22としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを好適に用いることができる。また、防水シート22としては、不織布を基材として防水性を高めたものを用いてもよい。防水シート22は、内装体20の外形と同一の外形を有しているが、少なくとも、前後方向D1及び幅方向D2において吸収体30よりも広範囲に亘り延在していることが好ましい。
【0049】
吸収体30は、おむつ1の幅方向D2における中間部分にて腹側領域F及び臀部被覆領域Mに含まれるように防水シート22上に設けられている。なお、吸収体30は、おむつ1の幅方向D2における中間部分から幅方向D2に若干ずれていてもよく、その場合も、おむつ1の幅方向D2における中間部分に設けられていると定義する。また、吸収体30の腹側領域F側の端部31からおむつ1の腹側の端部14aまでの距離d1が5mm~50mmの領域となるように吸収体30が配置されていることが好ましい。さらに、吸収体30は、距離d1が10mm~40mmの領域となるように吸収体30が配置されていることがさらに好ましい。これにより、おむつ1を雄ペットに着用させた場合に吸収体30が雄ペットの排尿口を覆うようになり、雄ペットにも対応可能となる。吸収体30は、形状維持等のために、クレープ紙又は不織布等からなる包装シートによって包まれていてもよい。吸収体30は、排泄液を吸収し、保持する部分であり、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維、針葉樹または広葉樹を用いた天然繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100~300g/m程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30~120g/m程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1~16dtexであることが好ましく、1~10dtexであることがより好ましく、1~5dtexであることがさらに好ましい。吸収体30には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、粒子以外に粉体も含む。高吸収性ポリマー粒子としては、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用できる。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、例えば、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系の材料等を用いることができる。また、吸収体30の平面視形状は、前後方向D1の中央部分が括れた形状であってもよい。換言すると、吸収体30は、幅方向D2の長さが、前後方向D1の中央に向かって徐々に短くなっていく構成でもよい。
【0050】
トップシート23は、尿等の排泄液を速やかに透過させる透液性のシートである。トップシート23は、おむつ1の前後方向D1においては、内装体20と同一の長さを有し、幅方向D2においては、吸収体30よりも側方に延び、吸収体30及び平面ギャザー50a,50bを覆うような長さとなっている。そして、トップシート23は、吸収体30及び平面ギャザー50a,50bを覆うようにして防水シート22上に積層され、防水シート22と接着されている。これにより、吸収体30は、防水シート22とトップシート23との間に挟み込まれた状態となっている。なお、例えば、後述する立体ギャザー60a,60bの立ち上がり端部が吸収体30の側縁よりも幅方向D2における中央側に位置する場合等、必要に応じて、トップシート23の幅方向D2の長さを吸収体30の幅方向D2の長さより短くする等、適宜の変形が可能である。
【0051】
トップシート23としては、有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスチックシート等が好適に用いられる。不織布の構成繊維としては、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維(単成分繊維の他、芯鞘等の複合繊維も含む)の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等、特に限定なく選択することができ、これらを混合して用いることもできる。不織布の柔軟性を高めるために、構成繊維を捲縮繊維とすることが好ましい。また、不織布の構成繊維は、親水性繊維(親水化剤により親水性となった親水性繊維を含む)であってもよく、疎水性繊維若しくは撥水性繊維(撥水剤により撥水性となった撥水性繊維を含む)であってもよい。
【0052】
また、不織布は一般に繊維の長さや、シート形成方法、繊維結合方法、積層構造により、短繊維不織布、長繊維不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド(エアスルー)不織布、ニードルパンチ不織布、ポイントボンド不織布、積層不織布(同一又は類似の不織布層が積層されたSSS(スパンボンド+スパンボンド+スパンボンド)不織布等の他、異なる不織布層が積層された、スパンボンド層間にメルトブローン層を挟んだSMS(スパンボンド+メルトブローン+スパンボンド)不織布、SMMS(スパンボンド+メルトブローン+メルトブローン+スパンボンド)不織布等)等に分類されるが、これらのどの不織布も用いることができる。積層不織布は、すべての層を含む一体の不織布として製造され、すべての層にわたる繊維結合加工がなされたものであることが好ましい。これにより、肌触りを向上させることができるため、ペットの肌に接触した場合、肌に刺激を与えることを防止することができる。なお、積層不織布は、別々に製造された複数の不織布をホットメルト接着剤等の接合手段により貼り合わせたものでもよい。
【0053】
立体ギャザー60a,60bは、トップシート23上を伝わって横方向に移動する排泄物を阻止し、横漏れを防止する機能を有する。立体ギャザー60a,60bは、吸収体30の前後方向D1における両側部に沿って延びており、トップシート23上に積層された2枚のギャザーシート61a,61bが折り返されて構成されている。2枚のギャザーシート61a,61bは、おむつ1の幅方向D2における中央部分に所定の間隔を隔てて配置されており、互いに対向する端辺側が折り返された折り返し部62a,62bとなっている。2枚のギャザーシート61a,61bのそれぞれは、前後方向D1の長さが内装体20の長さと同一であり、折り返し部62a,62bは、吸収体30に重なるように配置されている。2枚のギャザーシート61a,61bのそれぞれは、折り返し部62a,62bとは反対側の端辺、すなわち幅方向D2における外側の端辺が防水シート22及びバックシート21の端辺と重なるように配置されている。2枚のギャザーシート61a,61bのそれぞれは、幅方向D2における外側が、前後方向D1の全長に亘って接着剤63によってトップシート23及び防水シート22に固定されている。
【0054】
また、立体ギャザー60a,60bの前後方向D1における腹側端部は、折り返し部62a,62bが接着剤64によってトップシート23に固定されているとともに、接着剤66によって見開き不可能となっている。この折り返し部62a,62bがトップシート23に固定されている部分と固定されていない部分との境界部分が、立体ギャザー60a,60bの腹側領域F側の立ち上がり端部67a,67bとなる。立体ギャザー60a,60bの立ち上がり端部67a,67bは、吸収体30の腹側領域F側の端部31よりも、おむつ1の腹側の端部14a側に0mm~5mmでかつ、おむつ1の背側の端部14b側に0mm~5mmの範囲内に位置していることが好ましい。
【0055】
また、立体ギャザー60a,60bの前後方向D1における背側端部とターゲットテープ40に対向する領域は、折り返し部62a,62bが接着剤64によってトップシート23に固定されているとともに、接着剤66によって見開き不可能となっている。この折り返し部62a,62bがトップシート23に固定されている部分と固定されていない部分との境界部分が、立体ギャザー60a,60bの背側領域R側の立ち上がり端部68a,68bとなる。立ち上がり端部68a,68bは、おむつ1の背側の端部14bから腹側の端部14a側に100~200mmの範囲内に位置していることが好ましい。
【0056】
また、折り返し部62a,62bは、接着剤64によってトップシート23に固定されていない領域においては、前後方向D1に伸縮する伸縮部材65a,65bを内包している。
【0057】
このように構成された立体ギャザー60a,60bは、接着剤64によってトップシート23に固定されていない領域が、接着剤63により固定された部分の端部を立ち上がり端部67a,67b,68a,68bとして肌面に向かって立ち上がり可能となっている。これにより、立体ギャザー60a,60bが伸縮部材65a,65bの収縮力を利用して立ち上がることができる。立体ギャザー60a,60bが立ち上がることにより、立体ギャザー60a,60bをペットの身体表面に密着させることができる。なお、図2に示した例では、折り返し部62a,62bが伸縮部材65a,65bを2本ずつ内包しているが、その数は1本であってもよい。一方、図3に示すように、立体ギャザー60a,60bの前後方向D1の両端部は、上述したように接着剤64によりトップシート23に固定されているため肌面に向かって立ち上がらない。
【0058】
なお、接着剤63,64,66としては、ホットメルト接着剤が挙げられる。本実施形態では、固定手段として、接着剤63,64,66を用いているが、これに限らず、融着、圧着等、任意の固定手段を用いることができる。
【0059】
伸縮部材65a,65bとしては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等の素材を用いることができる。
【0060】
ギャザーシート61a,61bとしては、スパンボンド法、エアスルー法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法により得られた不織布を用いることができる。ギャザーシート61a,61bを構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができる。
【0061】
平面ギャザー50a,50bは、トップシート23と防水シート22との間に配置されてこれらに固定された伸縮部材51a,51bによって構成されている。伸縮部材51a,51bは、吸収体30に重ならない領域において立体ギャザー60a,60bの外側に立体ギャザー60a,60bに並行して配置されており、前後方向D1に伸縮する。平面ギャザー50a,50bは、腹側の端部が腹側領域Fにおいて立体ギャザー60a,60bの腹側の立ち上がり端部67a,67bよりも背側に位置し、背側の端部が背側領域Rにおいてターゲットテープ40に重なる領域に位置している。平面ギャザー50a,50bは、着用した際に、おむつ1を脚周りにて沿って保持してフィット性を向上させ、おむつ1がずれることを防止する。伸縮部材51a,51bとしては、立体ギャザー60a,60bの伸縮部材65a,65bと同様の素材を用いることができる。
【0062】
平面ギャザー50a,50bを立体ギャザー60a,60bに並行して配置することで、平面ギャザー50a,50bが、おむつ1の前後方向D1において、立体ギャザー60a,60bの弾性伸縮力を高め、尿捕捉空間を形成しやすくすることができる。また、おむつ1を脚周りにて沿って保持してフィット性をより向上させることができるため、背側領域Bに尿が漏れることを抑制することができる。
【0063】
おむつ1の背側領域Bには、ターゲットテープ40が設けられていない領域に、尻尾を通す尻尾口27が設けられている。尻尾口27は、おむつ1の厚み方向に貫通するスリットであってもよく、おむつ1の厚み方向に間欠的に貫通するミシン目線であってもよい。尻尾口27は、U字状に設けられていてもよい。この際、吸収体30が尻尾口27には設けられていないため、尻尾口27を容易に形成することができる。
【0064】
(おむつの使用形態)
図5は、図1に示したおむつ1の使用形態を示す図である。
【0065】
図1に示したおむつ1は、パンツタイプとして使用される。その場合、図5に示すように、おむつ1が臀部被覆領域Mにて肌面が内側となるように折り返され、腹側領域Fの幅方向D2における両端部の肌面が背側領域Rの非肌面に対向させられる。腹側領域Fの幅方向D2における両端部の肌面にはフックテープ12a,12bが取り付けられており、背側領域Rの非肌面にはターゲットテープ40が取り付けられている。そのため、これらフックテープ12a,12bとターゲットテープ40とが接合されることで、腹側領域Fと背側領域Rとが接合される。
【0066】
これにより、腹側領域Fの腹巻領域FAと背側領域Rとによってペットの胴を通すためのウエスト開口部WOが形成される。また、腹側領域Fの脚周り領域FBと臀部被覆領域Mとによってペットの後脚を通すための左右一対の脚開口部LOが形成される。この際、腹側領域Fの腹巻領域FAがペットの胴回りを締め付けることになるが、腹巻領域FAにおいては前後方向D1の全域に亘って幅方向D2に伸縮する伸縮部材13が設けられている。これにより、パンツのようなフィット感を得ることができるパンツタイプのおむつ1となる。また、フックテープ12a,12bが、ターゲットテープ40のうち、おむつ1を着用するペットの体形に応じた領域に接合されてパンツタイプとなっていれば、おむつ1を着用するペットの体形に応じたパンツタイプを選択することができる。なお、腹巻領域FAの前後方向D1の長さを80mm以上とすることで、腹巻領域FAと背側領域Rとが接合される幅が広がることとなり、パンツタイプによるフィット感をさらに得ることができる。
【0067】
また、伸縮部材13が、伸縮部材13が縮んだ状態における腹巻領域FAの幅方向D2の長さに対して、1.5倍~3.5倍に伸張可能なものとすれば、パンツタイプによるフィット感をさらに得ることができる。
【0068】
図6は、図1に示したおむつ1をパンツタイプとして使用する一形態を説明するための図である。
【0069】
図1に示したおむつ1は図5に示したパンツタイプの形態として使用することができる。
【0070】
その場合は、図6(a)に示すようにまず、腹側領域Fと背側領域Rとによって形成されたウエスト開口部WOにペットである雄犬2の脚2bを通す。さらに、腹側領域Fの脚周り領域FBと臀部被覆領域Mとによって形成された一対の脚開口部LOのそれぞれに雄犬2の脚2bを通す。
【0071】
その後、雄犬2にパンツを履かせるようにしてウエスト開口部WOに雄犬2の胴2aを通しながらおむつ1を雄犬2の腹側に移動させていく。そして、図6(b)に示すように、雄犬2の脚2bを脚開口部LOに通し終わると、腹側領域Fが雄犬2の胴2aに巻かれ、臀部被覆領域Mが雄犬2の臀部を覆い、背側領域Rが雄犬2の背中を覆った状態となる。また、雄犬2の尻尾2cが尻尾口27に通された状態となる。
【0072】
この状態においては、腹側領域Fの腹巻領域FAにおいて前後方向D1の全域に亘って幅方向D2に伸縮する伸縮部材13が設けられていることで、パンツのようなフィット感を得ることができるパンツタイプのおむつ1となる。
【0073】
このようにして、図1に示したおむつ1を図5に示したようなパンツタイプとしてペットに着用させることができる。
【0074】
図7は、図1に示したおむつ1をテープタイプとして使用する一形態を説明するための図である。
【0075】
図1に示したおむつ1はテープタイプの形態として使用することができる。
【0076】
その場合は、まず、図5に示した形態から、フックテープ12a,12bとターゲットテープ40とを分離させる。上述したように、フックテープ12a,12bは、その表面が面ファスナーの雄材で構成されており、ターゲットテープ40は、その表面が面ファスナーの雌材で構成されている。そのため、フックテープ12a,12bとターゲットテープ40とは、互いに繰り返しの接合及び分離が可能に構成されている。これにより、図5に示した形態から、フックテープ12a,12bとターゲットテープ40とを分離させることができる。
【0077】
フックテープ12a,12bとターゲットテープ40とを分離させ、おむつ1を図1に示した状態に展開する。そして、図7(a)に示すように、腹側領域Fの幅方向D2における中央部分を雄犬2の腹に当接させ、雄犬2の2本の脚2bによって臀部被覆領域Mを跨ぐようにおむつ1を配置する。この際、肌面が雄犬2に当接する向きとする。
【0078】
次に、図7(b)に示すように、背側領域Rを持ち上げ、臀部被覆領域Mにて肌面が内側となるように折り返す。そして、尻尾口27に雄犬2の尻尾2cを通し、背側領域Rを雄犬2の背中に当接させる。
【0079】
その後、図7(c)に示すように、腹側領域Fの幅方向D2の両端部を持ち上げ、腹側領域Fによって雄犬2の腹を包み込むようにして背側領域Rに当接させる。これにより、腹側領域Fと背側領域Rとによって形成されたウエスト開口部WOに雄犬2の胴2aが通され、腹側領域Fの脚周り領域FBと臀部被覆領域Mとによって形成された一対の脚開口部LOに雄犬2の脚2bが通された状態となる。
【0080】
そして、腹側領域Fの腹巻領域FAの幅方向D2における両端部にはフックテープ12a,12bが取り付けられており、バックシート21の背側領域Rにはターゲットテープ40が取り付けられている。そのため、フックテープ12a,12bとターゲットテープ40とを接合させることで、雄犬2におむつ1を着用させることができる。この際、ターゲットテープ40が、バックシート21の幅方向D2における全域に亘って取り付けられている。これにより、背側領域Rの幅方向D2の任意の位置にフックテープ12a,12bを接合させることができ、ウエスト開口部WOをペットの胴回りに応じて容易に調整することができる。
【0081】
このようにして、図1に示したおむつ1をテープで固定するテープタイプとしてもペットに着用させることができる。
【0082】
(雄ペットに使用した場合の作用)
図8は、図1に示したおむつ1を雄ペットに使用した際の作用を説明するための図である。
【0083】
上述したように、吸収体30は、腹側領域F側の端部31からおむつ1の腹側の端部14aまでの距離d1が5mm~50mmの領域となるように配置されていることが好ましい。さらに、吸収体30は、距離d1が10mm~40mmの領域となるように吸収体30が配置されていることがさらに好ましい。これにより、図8に示すように、排尿口2dが腹側に位置する雄犬2におむつ1を着用させた場合に、吸収体30が雄ペットの排尿口2dを覆うようになり、雄ペットにも対応可能となる。
【0084】
その際、外装体10は腹巻領域FAにおいて、吸収体30に重なる第1の領域R1が幅方向D2に伸縮しない。この構成により、第1の領域R1に位置する吸収体30は、雄犬2の腹部に対して密着せずゆとりのある状態となる。これにより、吸収体30が雄犬2の排尿口2dの前方及び周囲を離隔して囲む尿捕捉空間が形成される。よって、吸収体30で尿を十分に捕捉することができ、尿が外部に漏れることを抑制することができる。また、排尿口2dと吸収体30が離隔しているため、吸収体30に吸収された尿が、排尿口2dに接触し付着することを抑制することができる。また、立体ギャザー60a,60bの立ち上がり端部67a,67bは、吸収体30の腹側領域F側の端部31よりも、おむつ1の腹側の端部14a側に0mm~5mmでかつ、おむつ1の背側の端部14b側に0mm~5mmの範囲内に位置していることが好ましい。これによっても、雄犬2がおむつ1を着用した際、吸収体30の腹側の端部31から非肌面側に突出して変形した突出部が形成され、尿捕捉空間がより前方に形成されると共に、吸収体30が腹側の端部から尿の捕捉に有効に利用される。
【0085】
なお、伸縮部材13の張力は、2.0cN~10.0cNであることが好ましい。伸縮部材13の張力が、2.0cN~10.0cNであることにより、雄ペットがおむつ1を着用した際、非肌面側に突出した突出部の高さを十分な高さとすることができ、吸収体30を雄ペットの腹部から十分に離隔させることができる。これにより、おむつ1に十分な大きさの尿捕捉空間が形成され、尿が外部に漏れることをより抑制することができる。
【0086】
また、立ち上がり端部68a,68bは、おむつ1の背側の端部14bから腹側の端部14a側に100mm~200mmの範囲内に位置していることが好ましい。これにより、雌ペットがおむつ1を着用した際、雌ペットの腹側から排尿口の両側部まで、立体ギャザー60a,60bが肌面側に立ち上がるため、雌ペットがおむつ1を着用した場合においても、尿が外部に漏れることを抑制することができる。すなわち、おむつ1は、雄ペット及び雌ペットの何れが着用した場合においても、尿が外部に漏れることを抑制することができる。
【0087】
(小型ペットへのおむつの使用形態)
図9は、図1に示したおむつ1の他の使用形態を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)に示した矢印E方向からみた図である。
【0088】
図1に示したおむつ1は、図5に示した形態となってパンツタイプとして使用されるが、小型ペットにも使用できる。図1に示したおむつ1においては、腹側領域Fの幅方向D2における両端部の肌面に取り付けられたフックテープ12a,12bは、その表面が面ファスナーの雄材で構成されている。そのため、不織布等で構成された外装シート11a,11bに対しても、繰り返しの係合及び分離が可能となっている。すなわち、フックテープ12a,12bは、腹巻領域FAのうちフックテープ12a,12bが取り付けられていない領域に対しても繰り返しの接合及び分離が可能に構成されている。
【0089】
これを利用して、小型ペットに対しては、図9に示すように、背側領域Rを腹側領域Fで包み込むようにし、フックテープ12bを背側領域Rのターゲットテープ40に接合させ、さらに、フックテープ12aを、腹側領域Fのうちフックテープ12a,12bが取り付けられていない領域に接合させる。これにより、小型ペットに対してもパンツタイプのおむつ1として使用できる。
【0090】
また、テープタイプとして小型ペットに対して使用する場合は、図7(a)に示した状態から背側領域Rを腹側領域Fで包み込むようにし、まず、フックテープ12bを背側領域Rのターゲットテープ40に接合させ、さらに、フックテープ12aを、腹側領域Fのうちフックテープ12a,12bが取り付けられていない領域に接合させる。これにより、小型ペットに対してもテープのおむつ1として使用できる。
【0091】
(他の実施形態)
図10は、本発明のペット吸収性物品に係る他の実施形態を肌面側から見た図であり、展開した状態における平面図である。
【0092】
本実施形態は図10に示すように、図1に示したものに対して、吸収体130の形状が異なるおむつ101である。
【0093】
本実施形態における吸収体130は、おむつ101の幅方向D2における中間部分にて腹側領域F及び臀部被覆領域Mのみならず、背側領域Rにも含まれる形状を有している。なお、吸収体130は、尻尾口27を避けて設けられている。
【0094】
このように構成されたおむつ101においても、図1に示したものと同様の作用が生じ、パンツタイプとしてもテープタイプとしても使用することができる。ただし、図1に示したもののように、吸収体30が腹側領域F及び臀部被覆領域Mのみに配置されていれば、背側領域Rにおいては効果が期待できない吸収体30を配置しないことで、コストダウンを図ることができる。
【0095】
図11は、本発明のペット吸収性物品に係る他の実施形態を肌面側から見た図であり、展開した状態における平面図である。
【0096】
本実施形態は図11に示すように、図1に示したものに対して、外装体210の形状が異なるおむつ201である。
【0097】
本実施形態における外装体210は、幅方向D2を長手方向とする帯状形状のみから構成されている。これにより、本実施形態における腹側領域Fは、伸縮部材13及びフックテープ12a,12bが設けられた腹巻領域FAのみから構成されている。
【0098】
このように構成されたおむつ201においても、図1に示したものと同様の作用が生じ、パンツタイプとしてもテープタイプとしても使用することができる。また、本実施形態においては、腹側領域Fが、伸縮部材13及びフックテープ12a,12bが設けられた腹巻領域FAのみから構成されている。これにより、パンツタイプを構成しながらも、腹側領域Fの前後方向D1の長さを短くすることでおむつ201を着用している嵩張り感を抑制してスリム感を向上させ、見栄えがよくなる。
【符号の説明】
【0099】
1,101,201 おむつ
2 雄犬
2a 胴
2b 脚
2c 尻尾
2d 排尿口
10,210 外装体
11a,11b 外装シート
11c,62a,62b 折り返し部
12a,12b フックテープ
13,51a,51b,65a,65b 伸縮部材
14a,14b,31,67a,67b,68a,68b 端部
20 内装体
21 バックシート
22 防水シート
23 トップシート
27 尻尾口
30,130 吸収体
40 ターゲットテープ
50a,50b 平面ギャザー
60a,60b 立体ギャザー
61a,61b ギャザーシート
63,64,66 接着剤
F 腹側領域
FA 腹巻領域
FB 脚周り領域
LO 脚開口部
M 臀部被覆領域
R 背側領域
WO ウエスト開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11