(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119413
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】画像記録装置およびワイピング方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
B41J2/165 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026297
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】増田 健宏
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056JA01
2C056JB04
2C056JB07
2C056JB08
2C056JC10
2C056JC13
2C056JC23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ワイパがノズル面に当接するときの押圧力が一定になる画像記録装置を提供する。
【解決手段】ワイパユニット55は、ワイパ56と、ワイパホルダ98と、ワイパホルダ98をノズル面43へ向けて付勢する第1付勢部材101と、第1付勢部材101を支持する支持体91と、を有する。ワイパホルダ98は、ヘッド42およびワイパユニット55が相対的に移動するときに、第1ガイド面82に当接する当接片98Dを有する。当接片98Dは、第1ガイド面82に当接していない状態において、第1ガイド面82よりもノズル面側に位置する。ワイパ56は、ヘッド42およびワイパユニット55が相対的に移動するときに、ノズル面43に当接する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向および上記第1方向に交差する第2方向に拡がるノズル面を有するヘッドと、
上記ノズル面に沿って上記第1方向および上記第2方向に拡がる第1ガイド面を有するフレームと、
ワイパユニットと、
上記ヘッドおよび上記ワイパユニットを上記第1方向に沿って相対的に移動させる第1移動機構と、を備えており、
上記ワイパユニットは、
ワイパと、
上記ワイパを保持するワイパホルダと、
上記ワイパホルダを上記ノズル面へ向けて付勢する第1付勢部材と、
上記第1付勢部材を支持する支持体と、を有しており、
上記ワイパホルダは、上記ヘッドおよび上記ワイパユニットが相対的に移動するときに、上記第1ガイド面に当接する当接片を有しており、
上記当接片は、上記第1ガイド面に当接していない状態において、上記第1ガイド面よりも上記ノズル面側に位置しており、
上記ワイパは、上記ヘッドおよび上記ワイパユニットが相対的に移動するときに、上記ノズル面に当接する画像記録装置。
【請求項2】
上記当接片は、上記ヘッドが上記ワイパユニットに対して移動する移動方向において上記ワイパよりも上流に位置する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記第2方向に沿って並ぶ複数のノズルが上記ノズル面に開口しており、
上記ワイパは、上記第2方向に沿って拡がる平板状であり、
上記移動方向は、上記第1方向である請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記ワイパホルダを上記ノズル面に向けて付勢する第2付勢部材を更に備えており、
上記第1付勢部材および上記第2付勢部材は、上記ワイパホルダにおける上記第2方向の両端部に位置する請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記フレームは、上記第1ガイド面より上記移動方向の上流側に位置しており、上記ワイパユニットが上記ヘッドに対して移動するときに、上記当接片が当接する第2ガイド面を有しており、
上記第2ガイド面は、上記第1ガイド面に対して上記移動方向の上流側を向いて傾斜している請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記フレームは、上記ノズル面より上記移動方向の下流側に位置しており、上記ワイパユニットが上記ヘッドに対して移動するときに、上記ワイパが当接する第3ガイド面を有しており、
上記第3ガイド面は、上記ノズル面に対して上記移動方向の下流側を向いて傾斜している請求項5に記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記ワイパが上記ノズル面に当接したときに上記ワイパから上記ノズル面に作用する押圧力は、上記当接片が上記第1ガイド面に当接したときの上記第1付勢部材の付勢力よりも小さい請求項6に記載の画像記録装置。
【請求項8】
上記当接片が上記第1ガイド面に当接していない状態において、上記当接片が上記第1ガイド面よりも上記ノズル面側に位置する第1位置と、上記当接片が上記第1ガイド面よりも上記ノズル面側とは反対側に位置する第2位置と、に上記ワイパユニットを移動させる第2移動機構を更に備える請求項7に記載の画像記録装置。
【請求項9】
上記ワイパは、ゴムワイパおよびスポンジワイパを有する請求項8に記載の画像記録装置。
【請求項10】
ワイパと、上記ワイパを保持するワイパホルダと、上記ワイパホルダをノズル面へ向けて付勢する付勢部材と、上記付勢部材を支持する支持体と、を有するワイパユニットを、ヘッドに対して第1方向へ相対的に移動させることにより、ヘッドのノズル面を上記ワイパで払拭するワイピング方法であって、
上記ワイパホルダの当接片を上記ノズル面に沿ったガイド面に当接させる第1ステップと、
上記当接片を上記ガイド面に当接させつつ、上記ヘッドおよび上記ワイパユニットを上記第1方向に沿って相対的に移動させて、上記ワイパをノズル面に当接させる第2ステップと、を備えるワイピング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体をヘッドから吐出してシートに画像を記録する画像記録装置およびワイピング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体をヘッドから吐出してシートに画像を記録する画像記録装置として、例えば、特許文献1に記載されたインクジェット式記録装置が知られている。特許文献1のインクジェット式記録装置では、記録ヘッドがヘッド移動方向に移動すると、ワイピング部材が、ノズルプレート面の拭き始めの部分に達し、バネの付勢力に抗して下向きに押し下げられる。これにより、ワイピング部材は、ノズルプレート面に圧接しながらインクを払拭して、ノズルプレート面の拭き終わりの部分まで達する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記インクジェット記録装置では、バネによってワイピング部材がノズルプレート面へ付勢されている。例えば、シートの厚みなどに応じて、当該シートの表面と記録ヘッドのノズルプレート面との距離が変動すると、ワイピング部材とノズルプレート面との位置関係も変動する。これにより、ワイピング部材からノズルプレート面に必要以上に押圧力が作用したり、ワイピング部材のノズルプレート面に対する押圧力が小さくなりすぎたりする。ワイピング部材からノズルプレート面に必要以上に押圧力が作用すると、ノズルプレート面を損傷したり、ワイピング部材が弾性力によって元に戻るときに、インクが飛び散ったり、ノズルプレート面のインクのメニスカスが破壊されたりする問題が生じる。反対に、ワイピング部材のノズルプレート面に対する押圧力が小さくなりすぎると、ワイピング部材がノズルプレート面の異物を十分に除去できない問題が生じる。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ワイパがノズル面に当接するときの押圧力が一定になる画像記録装置およびワイピング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る画像記録装置は、第1方向および上記第1方向に交差する第2方向に拡がるノズル面を有するヘッドと、上記ノズル面に沿って上記第1方向および上記第2方向に拡がる第1ガイド面を有するフレームと、ワイパユニットと、上記ヘッドおよび上記ワイパユニットを上記第1方向に沿って相対的に移動させる第1移動機構と、を備える。上記ワイパユニットは、ワイパと、上記ワイパを保持するワイパホルダと、上記ワイパホルダを上記ノズル面へ向けて付勢する第1付勢部材と、上記第1付勢部材を支持する支持体と、を有する。上記ワイパホルダは、上記ヘッドおよび上記ワイパユニットが相対的に移動するときに、上記第1ガイド面に当接する当接片を有する。上記当接片は、上記第1ガイド面に当接していない状態において、上記第1ガイド面よりも上記ノズル面側に位置する。上記ワイパは、上記ヘッドおよび上記ワイパユニットが相対的に移動するときに、上記ノズル面に当接する。
【0007】
当接片は、ヘッドおよびワイパユニットが相対的に移動するときに、第1付勢部材の付勢力に抗して第1ガイド面に当接するので、当接片が第1ガイド面に当接した状態においてワイパのノズル面に対する位置が位置決めされる。このため、当接片が第1ガイド面に当接していない状態においてワイパのノズル面に対する位置がずれた状態に設定されても、ワイパがノズル面に当接するときの押圧力が一定になる。
【0008】
(2)上記当接片は、上記ヘッドが上記ワイパユニットに対して移動する移動方向において上記ワイパよりも上流に位置してもよい。
【0009】
ワイパがノズル面に当接するときよりも、先に当接片が第1ガイド面に当接するので、ワイパのノズル面に対する位置が位置決めされた後、ワイパがノズル面に当接する。このため、ワイパがノズル面に当接するときの押圧力がより確実に一定になる。
【0010】
(3)上記第2方向に沿って並ぶ複数のノズルが上記ノズル面に開口してもよい。上記ワイパは、上記第2方向に沿って拡がる平板状であってもよい。上記移動方向は、上記第1方向であってもよい。
【0011】
ワイパは、第2方向に沿って並ぶ複数のノズルが開口するノズル面を効率的に払拭できる。
【0012】
(4)上記画像記録装置は、上記ワイパホルダを上記ノズル面に向けて付勢する第2付勢部材を更に備えてもよい。上記第1付勢部材および上記第2付勢部材は、上記ワイパホルダにおける上記第2方向の両端部に位置してもよい。
【0013】
第1付勢部材および第2付勢部材の付勢力が第2方向にバランス良くワイパに伝わるので、ワイパは、ノズル面の異物をより確実に払拭できる。
【0014】
(5)上記フレームは、上記第1ガイド面より上記移動方向の上流側に位置しており、上記ワイパユニットが上記ヘッドに対して移動するときに、上記当接片が当接する第2ガイド面を有してもよい。上記第2ガイド面は、上記第1ガイド面に対して上記移動方向の上流側を向いて傾斜していてもよい。
【0015】
当接片は、ワイパユニットがヘッドに対して移動するときに、第2ガイド面によって第1ガイド面にスムーズに案内される。
【0016】
(6)上記フレームは、上記ノズル面より上記移動方向の下流側に位置しており、上記ワイパユニットが上記ヘッドに対して移動するときに、上記ワイパが当接する第3ガイド面を有してもよい。第3ガイド面は、上記ノズル面に対して上記移動方向の下流側を向いて傾斜していてもよい。
【0017】
ワイパは、ノズル面に当接した後、第3ガイド面に当接しながら、弾性力によって元に戻るので、ワイパの急激な復元が抑制される。このため、ワイパが弾性力によって戻るときに液体が飛散することが抑制される。
【0018】
(7)上記ワイパが上記ノズル面に当接したときに上記ワイパから上記ノズル面に作用する押圧力は、上記当接片が上記第1ガイド面に当接したときの上記第1付勢部材の付勢力よりも小さくてもよい。
【0019】
ワイパからノズル面に作用する押圧力に対する反力によって、当接片が第1ガイド面から離れてしまうことが防止される。
【0020】
(8)上記画像記録装置は、上記当接片が上記第1ガイド面に当接していない状態において、上記当接片が上記第1ガイド面よりも上記ノズル面側に位置する第1位置と、上記当接片が上記第1ガイド面よりも上記ノズル面側とは反対側に位置する第2位置と、に上記ワイパユニットを移動させる第2移動機構を更に備えてもよい。
【0021】
例えば、ヘッドから液体を吐出してシートに画像を記録するときに、ワイパユニットをヘッドから容易に退避させることができる。
【0022】
(9)上記ワイパは、ゴムワイパおよびスポンジワイパを有してもよい。
【0023】
ゴムワイパおよびスポンジワイパの2つのワイパによってノズル面が払拭されるので、ノズル面の異物がより確実に払拭される。
【0024】
(10)本発明に係るワイピング方法は、ワイパと、上記ワイパを保持するワイパホルダと、上記ワイパホルダをノズル面へ向けて付勢する付勢部材と、上記付勢部材を支持する支持体と、を有するワイパユニットを、ヘッドに対して第1方向へ相対的に移動させることにより、ヘッドのノズル面を上記ワイパで払拭する。上記ワイピング方法は、上記当接片を上記ノズル面に沿ったガイド面に当接させる第1ステップと、上記ワイパホルダの当接片を上記ガイド面に当接させつつ、上記ヘッドおよび上記ワイパユニットを上記第1方向に沿って相対的に移動させて、上記ワイパをノズル面に当接させる第2ステップと、を備える。
【0025】
第1ステップにおいて、当接片が第1ガイド面に当接することにより、ワイパとノズル面との位置決めがなされる。第2ステップにおいて、ワイパとノズル面とが位置決めされた状態で、ワイパがノズル面に当接しつつヘッドに対して相対的に移動するので、ワイパがノズル面に当接する押圧力が一定になる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ワイパがノズル面に当接するときの押圧力が一定になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るプリンタ10の内部構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、キャリッジ41の移動範囲を示す図である。
【
図3】
図3は、制御部100の構成、及び制御部100に接続される要素を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、ヘッド42を含む周辺を下方から視た図である。
【
図5】
図5は、キャリッジ41およびヘッド42を左右方向8から視た図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係るメンテナンス装置50の外観斜視図である。
【
図7】
図7(A)は、ワイパユニット55が上向き位置にいる状態を示す図であり、
図7(B)は、ワイパユニット55が下向き位置にいる状態を示す図である。
【
図8】
図8は、フラッシングボックス51及び貯留槽54の内部を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、ワイパホルダ98の前壁98Dおよび後壁98Eとガイドフレーム81の前ガイド面82および後ガイド面83との間の位置関係を示す図である。
【
図10】
図10は、制御部100の画像記録処理を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、ヘッド42がワイパユニット55に対して左向きへ移動するときのワイパユニット55の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態に係るプリンタ10(画像記録装置の一例)について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、プリンタ10が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、排出口13が設けられている面を前面として前後方向8が定義され、プリンタ10を前方から視て左右方向9が定義される。上下方向7、前後方向8、及び左右方向9は、互いに直交している。前後方向8は、第2方向の一例である。左右方向9は、第1方向の一例である。
【0029】
[プリンタ10の全体構成]
図1に示されるプリンタ10は、インクジェット記録方式でシートSに画像を記録する画像記録装置である。シートSは、ロール状に巻かれた長尺の用紙である。シートSをプリンタ10に装着するために、シートSの巻回中心には貫通孔が形成されている。シートSとしては、例えば、シール紙、ファンフォールド紙、裁断紙、布地などを挙げることができる。
【0030】
プリンタ10は、概ね直方体状の筐体11を備えている。筐体11は、卓上、床上、又はラック等に載置可能なサイズを有する。筐体11の前壁12には、左右方向9に延伸するスリット状の排出口13が位置する。排出口13からは、プリンタ10により画像が記録されたシートSが排出される。排出されたシートSは、例えば、プリンタ10に取り付けられた巻取装置(図示せず)により巻き取られる。
【0031】
図1に示されるように、プリンタ10は、筐体11内に、ホルダ21、テンショナ22、搬送ローラ対23、排出ローラ対24、プラテン25、4個のタンク26A~26D、キャリッジ41、及びヘッド42を備えている。ヘッド42は、キャリッジ41に搭載されている。
図2に示されるように、プリンタ10は、筐体11内に、2本のガイドレール37、38、及びメンテナンス装置50をさらに備えている。
図3に示されるように、プリンタ10は、筐体11内に、制御部100、ホルダ駆動用モータ111、搬送用モータ112、キャリッジ駆動用モータ113、ワイパ駆動用モータ114、及びポンプ駆動用モータ115をさらに備えている。プリンタ10は、上述した要素以外に、各種センサやキャップ等をさらに備えていてもよい。
【0032】
[タンク26A~26D]
タンク26A~26Dは、それぞれ、イエロ、マゼンタ、シアン、及びブラックのインクを貯留する。インクは、所謂ラテックスインクであり、顔料、樹脂微粒子、及び添加剤を含有している。インクは、顔料及び樹脂微粒子を均一に分散させるに適した粘度を有している。顔料は、インクの色となるものである。樹脂微粒子は、シートSに顔料を付着させるためのものであり、例えばヒータ(図示せず)の加熱によってガラス転移温度を超える合成樹脂である。
【0033】
なお、プリンタ10は、少なくとも1個のタンクを備えていればよい。また、タンクは、インク以外の液体を貯留してもよい。タンクに貯留される液体には、例えば、前処理液がある。前処理液は、カチオン系高分子、多価金属塩(例えば、マグネシウム塩)等を含有してもよい。前処理液は、インク中の成分を凝集または析出させることにより、インクの滲みや裏抜けを防止する機能を有する。前処理液は、インクの発色性や速乾性を向上させる機能を有する場合もある。
【0034】
[シートSの搬送機構]
筐体11の内部には、上下方向7及び前後方向8に拡がる一対のサイドフレーム(図示せず)が位置する。ホルダ21は、シートSを支持する回転軸31を有する。回転軸31は左右方向9に延び、回転軸31の両端はサイドフレームに支持されている。回転軸31には、ホルダ駆動用モータ111(
図3参照)の動力が伝達される。この動力により、ホルダ21は回転軸31の周方向に回転する。
図1において、ホルダ21の回転方向は反時計回りである。ホルダ21の回転により、ホルダ21に支持されたロール体も回転する。シートSは、搬送ローラ対23及び排出ローラ対24が回転することにより、ロール体の後端から上方に引き出されテンショナ22へと案内される。
【0035】
テンショナ22、搬送ローラ対23、及び排出ローラ対24は、それぞれ、サイドフレームの間で左右方向9に延びている。テンショナ22、搬送ローラ対23、及び排出ローラ対24は、それぞれ、左右方向9に平行な回転軸の周方向に回転可能に一対のサイドフレームに取り付けられている。テンショナ22には、バネなどの付勢部材によって後向きの付勢力が加えられている。テンショナ22は、ロール体から引き出されたシートSと当接して、シートSを前方へ向かって湾曲するように案内する。
【0036】
搬送ローラ対23は、駆動ローラ32とピンチローラ33とを有し、テンショナ22の前方に位置する。排出ローラ対24は、駆動ローラ34とピンチローラ35とを有し、搬送ローラ対23のさらに前方に位置する。駆動ローラ32、34の下端位置は、上下方向7においてテンショナ22の上端位置に概ね一致する。ピンチローラ33は、駆動ローラ32に下方から当接する。ピンチローラ35は、駆動ローラ34に下方から当接する。
【0037】
駆動ローラ32、34には、搬送用モータ112(
図3参照)の動力が伝達される。この動力により、駆動ローラ32、34は回転する。これにより、駆動ローラ32、34は、ピンチローラ33、35との間にシートSをニップしながら搬送向き6へ搬送する。本実施形態では、搬送向き6は前向きである。
【0038】
[プラテン25]
プラテン25は、前後方向8において搬送ローラ対23及び排出ローラ対24の間の位置で、サイドフレームに取り付けられている。プラテン25は、サイドフレームの間で左右方向9に延び、前後方向8及び左右方向9に拡がるシートSの支持面36を有する。支持面36は、プラテン25の上端面である。支持面36の上下位置は、テンショナ22の上端位置と概ね一致する。プラテン25は、シートSを支持面36に吸着する吸着プラテンでもよい。
【0039】
[キャリッジ41]
図2に示されるように、ガイドレール37、38は、互いに平行に左右方向9に延在する。ガイドレール37、38の上下方向7の位置は同じである。ガイドレール38は、前後方向8においてガイドレール37の後方に位置する。ガイドレール37、38の両端は、サイドフレームに固定されている。キャリッジ41は、ガイドレール37、38によって支持されている。キャリッジ41は、キャリッジ移動機構120によって左右方向9に移動する。具体的には、キャリッジ移動機構120は、キャリッジ駆動用モータ113、駆動プーリ121、従動プーリ122、およびタイミングベルト123を有する。
【0040】
キャリッジ駆動用モータ113は、ガイドレール37の右端部の下方に位置している。キャリッジ駆動用モータ113は、上下方向7に沿って延びるモータ軸を有する。駆動プーリ121は、ガイドレール37の右側端部の上方に位置している。駆動プーリ121は、上下方向7に沿って延びる第1回転軸を有する。駆動プーリ121の第1回転軸は、キャリッジ駆動用モータ113のモータ軸と接続している。従動プーリ122は、ガイドレール37の左側端部の上方に位置している。従動プーリ122は、上下方向7に沿って延びる第2回転軸を有する。第2回転軸は、ガイドレール37の上面に回転自在に支持されている。タイミングベルト123は、ガイドレール37の上方に位置する。タイミングベルト123は、左右方向9に沿って延びる無端ベルトである。タイミングベルト123は、駆動プーリ121と従動プーリ122とに掛け渡されている。タイミングベルト123の一部は、キャリッジ41に固定されている。これにより、キャリッジ駆動用モータ113の正逆回転により、キャリッジ41が左右方向9に沿って往復移動する。キャリッジ駆動用モータ113の駆動は、制御部100によって制御される。キャリッジ移動機構120は、第1移動機構の一例である。
【0041】
[ヘッド42]
図1に示されるように、ヘッド42は、キャリッジ41に搭載されている。ヘッド42は、ヘッド本体42Aおよびノズルプレート42Bを有する。ヘッド本体42Aは、キャリッジ41に支持された状態においてキャリッジ41の下面よりも下方に位置している。ヘッド本体42Aは、前後方向8および左右方向9に沿って拡がる平板状である。ノズルプレート42Bは、ヘッド本体42Aの下面に固定されている。ノズルプレート42Bは、ヘッド本体42Aよりも上下方向7に沿った長さが短い薄板状である。ヘッド本体42Aからノズルプレート42Bに亘って複数のノズル44が位置する。ノズルプレート42Bの下面に複数のノズル44が開口する。ノズルプレート42Bの下面は、ノズル面43と称される。ノズル面43は、前後方向8および左右方向9に沿って拡がる面である。
図4に示されるように、複数のノズル44は、前後方向8および左右方向9に沿って並んでいる。複数のノズル44は、インクを吐出する。タンク26A~26Dとヘッド42とは、インク流路(図示せず)を介して接続されている。タンク26A~26Dに貯留されたインクは、インク流路を経由してヘッド42へ供給される。キャリッジ41が左右方向9に移動している間に、ヘッド42へ供給されたインクがノズル44から吐出される。これにより、シートSに画像記録が行われる。
【0042】
[ガイドフレーム81]
図1、
図4に示されるように、キャリッジ41の下面にガイドフレーム81(フレームの一例)が固定されている。ガイドフレーム81は、四角枠状である。ガイドフレーム81は、前後方向8および左右方向9に拡がる略平板状である。ガイドフレーム81は、ヘッド本体42Aの外周面およびノズルプレート42Bの外周面の全周に亘って隣接している。これにより、ガイドフレーム81は、ヘッド本体42Aとノズルプレート42Bとが接触する箇所を外側から覆っている。その結果、搬送ローラ対23によって搬送向き6に搬送されるシートSがヘッド本体42Aとノズルプレート42Bとの間に侵入することによるノズルプレート42Bの剥がれを防止できる。ガイドフレーム81の下面は、前ガイド面82、後ガイド面83、左ガイド面84、および右ガイド面85を有する。
【0043】
前ガイド面82は、ヘッド42の前側に隣接している。前ガイド面82は、ヘッド42の左端から右端に亘って位置する。前ガイド面82は、ノズル面43よりも僅かに下方に位置する。なお、前ガイド面82は、ノズル面43と面一でもよい。前ガイド面82は、メンテナンス装置50における後述のワイパホルダの前壁98Dの上端が当接可能である。前ガイド面82は、第1ガイド面の一例である。後ガイド面83は、ヘッド42の後側に隣接している。後ガイド面83は、ヘッド42の左端から右端に亘って位置する。後ガイド面83は、ノズル面43よりも僅かに下方に位置する。なお、後ガイド面83は、ノズル面43と面一でもよい。後ガイド面83の高さ位置は、前ガイド面82と同じ高さ位置である。後ガイド面83は、メンテナンス装置50における後述のワイパホルダ98の後壁98Eの上端が当接可能である。後ガイド面83は、第1ガイド面の一例である。
【0044】
左ガイド面84は、ヘッド42の左側、前ガイド面82の左側、および後ガイド面83の左側に隣接している。左ガイド面84は、ヘッド42の左側において前ガイド面82の前端から後ガイド面83の後端に亘って位置する。
図5に示されるように、左ガイド面84は、前ガイド面82および後ガイド面83に対して左方を向いて傾斜している。左ガイド面84の左端は、前ガイド面82および後ガイド面83よりも上方に位置する。左ガイド面84の右端は、前ガイド面82および後ガイド面83と同じ高さ位置である。これにより、左ガイド面84は、前ガイド面82および後ガイド面83と滑らかに連続している。左ガイド面84は、後述のワイパホルダ98、ゴムワイパ56、およびスポンジワイパ57を案内する面である。左ガイド面84は、第2ガイド面の一例である。
【0045】
右ガイド面85は、ヘッド42の右側、前ガイド面82の右側、および後ガイド面83の右側に隣接している。左ガイド面84は、ヘッド42の右側において前ガイド面82の前端から後ガイド面83の後端に亘って位置する。右ガイド面85は、前ガイド面82および後ガイド面83に対して右方を向いて傾斜している(
図5参照)。右ガイド面85の右端は、前ガイド面82および後ガイド面83よりも上方に位置する。右ガイド面85の左端は、左ガイド面84および右ガイド面85と同じ高さ位置である。これにより、右ガイド面85は、前ガイド面82および後ガイド面83と滑らかに連続している。右ガイド面85は、後述のワイパホルダ98、ゴムワイパ56、およびスポンジワイパ57を案内する面である。右ガイド面85は、第3ガイド面の一例である。
【0046】
[制御部100]
図3に示されるように、制御部100は、CPU101、ROM102、RAM103、EEPROM104、及びASIC105を有する。ROM102は、制御部100の動作に必要な各種のデータ等を記憶している。RAM103は、CPU101の作業用メモリである。EEPROM104は、CPU101によって実行される制御プログラム等を記憶している。プリンタ10が画像記録を実行する前に、EEPROM104に記憶された制御プログラムはRAM103に複写される。CPU101は、RAM103に記憶された制御プログラムを実行する。これにより、制御部100は、後述する画像記録処理を実行する。
【0047】
制御部100は、ASIC105を介して、ホルダ駆動用モータ111、搬送用モータ112、キャリッジ駆動用モータ113、ワイパ駆動用モータ114、ポンプ駆動用モータ115、及びヘッド42に電気的に接続されている。ホルダ駆動用モータ111、搬送用モータ112、キャリッジ駆動用モータ113、ワイパ駆動用モータ114、及びポンプ駆動用モータ115は、制御部100からの制御に従い回転し、動力を発生させる。ヘッド42は、制御部100からの制御に従い、プラテン25上を搬送されるシートSに対してインクを吐出する。
【0048】
ホルダ21は、ホルダ駆動用モータ111からの動力によって回転する。駆動ローラ32、34は、搬送用モータ112からの動力によって回転する。シートSは、搬送用モータ112からの動力によって搬送向き6に搬送される。キャリッジ41は、キャリッジ駆動用モータ113からの動力によって、左右方向9に移動する。メンテナンス装置50に含まれるワイパユニット55は、ワイパ駆動用モータ114からの動力によって後述する動作を行う。メンテナンス装置50に含まれるポンプ129、126は、ポンプ駆動用モータ115からの動力によって後述する動作を行う。なお、ホルダ駆動用モータ111、搬送用モータ112、キャリッジ駆動用モータ113、ワイパ駆動用モータ114、及びポンプ駆動用モータ115の一部が、共通のモータで実現されていてもよい。また、ポンプ129を駆動するモータと、ポンプ126を駆動するモータとは、別でもよい。
【0049】
[キャリッジ41の移動範囲]
図2に示されるように、プラテン25は、左右方向9に長い形状を有し、上下方向7においてキャリッジ41の下方に位置する(
図1参照)。プラテン25の左端は、左右方向9において、ガイドレール37、38の左端付近に位置する。プラテン25の右端は、左右方向9において、ガイドレール37、38の中央より右に位置する。メンテナンス装置50は、左右方向9においてプラテン25の右に位置する。プリンタ10が画像記録を実行している間、キャリッジ41は、プラテン25の範囲内で左右方向9に移動する。プリンタ10が画像記録を実行していない間、キャリッジ41は、メンテナンス装置50よりも右の位置(以下、待機位置と称される)に位置する。
【0050】
[メンテナンス装置50]
図6に示されるように、メンテナンス装置50は、フラッシングボックス51、フラッシングフォーム52、板状部材53、貯留槽54、ワイパユニット55を備えている。
図7(A)に示されるように、メンテナンス装置50は、ポンプ129、126、廃液タンク124、及び洗浄液タンク128をさら備えている。
【0051】
図8に示されるように、貯留槽54は、フラッシングボックス51に隣接し、フラッシングボックス51の右に位置する。フラッシングボックス51と貯留槽54とは、一体に形成されている。
図8には、フラッシングフォーム52、板状部材53、ワイパユニット55を除いた状態で、フラッシングボックス51及び貯留槽54の内部が示されている。
【0052】
[フラッシングボックス51]
フラッシングボックス51は、上面を有しない箱状の形状を有する。すなわち、フラッシングボックス51は上方が開口した箱型である。
図6、
図7に示されるように、フラッシングボックス51は、内部にフラッシングフォーム52を収容する。フラッシングフォーム52は、多孔性材料で形成されている。フラッシングフォーム52は、例えば、スポンジである。
【0053】
板状部材53は、フラッシングボックス51の上部を覆う。板状部材53は、フラッシングボックス51に係止されている。板状部材53は、フラッシングフォーム52の上面の一部を露出させる開口58を有する。開口58は、板状部材53の中央部分に位置する。板状部材53は、開口58の位置を除いて、フラッシングボックス51の上部の全体を覆う。板状部材53は、フラッシングボックス51に収容されたフラッシングフォーム52に下向きの力を作用させる。
【0054】
制御部100は、フラッシング処理を行うときに、キャリッジ41をフラッシングボックス51の上方へ移動する。開口58の形状およびサイズは、キャリッジ41がフラッシングボックス51の上方へ移動したときに、ヘッド42のすべてのノズル44がフラッシングフォーム52と上下方向7に対向するように設定される。開口58の形状は、ヘッド42におけるノズル44の配置領域の形状と同じであることが好ましい。開口58のサイズは、ヘッド42におけるノズル44の配置領域のサイズと同じであるか、或いはそれより少し大きいことが好ましい。フラッシングボックス51に収容されたフラッシングフォーム52は、フラッシング処理によってヘッド42のノズル44から吐出されたインクを吸収する。
【0055】
図8に示されるように、フラッシングボックス51は、下壁61、前壁62、左壁63、後壁64、及び仕切り65を有する。仕切り65を上向きに延長して、左壁63に対向する仮想的な右壁を考えたとき、下壁61、前壁62、左壁63、後壁64、及び右壁は、フラッシングボックス51の内部空間を区画する。
【0056】
前壁62は、フラッシングボックス51の内部空間に向かって突出する2個のリブ66a、66bを有する。後壁64は、フラッシングボックス51の内部空間に向かって突出する2個のリブ66c、66dを有する。リブ66a~66dの底面は、下壁61の内側面(フラッシングボックス51の内部空間側の面)に固定されている。
【0057】
下壁61の内側面の中央部分には、フラッシングボックス51の内部空間に向かって突出する、環状のリブ71が位置する。リブ71の平面形状は、概ね長方形である。板状部材53がフラッシングボックス51の上部を覆わない状態で、フラッシングフォーム52がフラッシングボックス51に位置すると、フラッシングフォーム52の底面は、変形することなく、リブ71の上面に当接する。その後、板状部材53がフラッシングボックス51の上部を覆う状態になると、板状部材53からの下向きの力によって、フラッシングボックス51に収容されたフラッシングフォーム52の底面のうちリブ71の上面に当接する部分が変形する。そして、リブ71の一部がフラッシングフォーム52に食い込む。この状態で、リブ71は、フラッシングフォーム52の底面を支持する。このようにフラッシングボックス51の内部底面は、フラッシングフォーム52の底面の一部を変形させた状態で、フラッシングフォーム52の底面を支持するリブ71を有する。
【0058】
下壁61の内側面においてリブ71で囲まれた部分には、凹部72が位置する。凹部72は、中央に近いほどフラッシングボックス51の内部空間から下向きに離れる部分であり、4つの三角形の傾斜壁73によって形成される。凹部72の中央には、排出口74が位置する。このようにフラッシングボックス51の内部底面は、フラッシングボックス51の内部空間を拡げる向きに凹んだ凹部72を有する。
【0059】
[空間75とポンプ129]
図7及び
図8に示されるように、フラッシングフォーム52の底面、リブ71の内側の側面、及びフラッシングボックス51の下壁61の内側面のうちリブ71で囲まれた部分(4つの傾斜壁73を含む)によって、空間75が形成される。フラッシングフォーム52を1個の固体とみなしたとき、空間75は密閉空間である。
【0060】
[貯留槽54]
図8に示されるように、貯留槽54は、上部を有しない箱状の形状を有する。すなわち、貯留槽54は上方が開口した箱型である。
図7に示されるように、貯留槽54は、内部に洗浄液Lを貯留する。洗浄液Lは、ヘッド42のノズル面43に付着した不要物を除去するのに適した液体である。洗浄液Lは、例えば、グリセリンを含んでいる。貯留槽54の前壁90は支持部93を有する。貯留槽54の後壁92は支持部94を有する。支持部93および支持部94は、ワイパユニット55を回転可能に支持するためのものである。
【0061】
[ワイパユニット55]
図6、
図7、
図9に示されるように、ワイパユニット55は、支持体91、ワイパホルダ98、ゴムワイパ56、スポンジワイパ57、前コイルバネ101、および後コイルバネ102を有する。
【0062】
支持体91は、貯留槽54の上部に位置する。支持体91は、上方が開口した箱型である。支持体91は、上下方向7および左右方向9よりも前後方向8に長い。支持体91は、左壁91A、右壁91B、底壁91C、前壁91D、および後壁91Eを有する。左壁91Aは、上下方向7および前後方向8に沿って拡がる平板状である。右壁91Bは、左壁91Aの右方に間隔を開けて位置する。右壁91Bは、上下方向7および前後方向8に沿って拡がる平板状である。右壁91Bは、左壁91Aと左右方向9に対向している。底壁91Cは、左壁91Aの下端部と右壁91Bの下端部を繋ぐ。底壁91Cは、前後方向8および左右方向9に沿って拡がる平板状である。前壁91Dは、左壁91Aの前端と右壁91Bの前端と底壁91Cの前端とを繋ぐ。前壁91Dは、上下方向7および左右方向9に沿って拡がる平板状である。後壁91Eは、左壁91Aの後端と右壁91Bの後端と底壁91Cの後端とを繋ぐ。後壁91Eは、上下方向7および左右方向9に沿って拡がる平板状である。支持体91は、前後方向8に沿って延びる回転軸59を中心に回転可能に貯留槽54に支持されている。
【0063】
回転軸59の一端部は、前壁91Dの前面に固定されている。回転軸59の一端部は、貯留槽54の支持部93によって回転可能に支持されている。回転軸59の他端部は、後壁91Eの後面に固定されている。回転軸59の他端部は、貯留槽54の支持部94によって回転可能に支持されている。
【0064】
ワイパホルダ98は、支持体91の内部空間に位置する。ワイパホルダ98は、上方が開口した箱型である。ワイパホルダ98は、上下方向7および左右方向9よりも前後方向8に長い。ワイパホルダ98は、上下方向7に沿って移動可能に支持体91に支持されている。ワイパホルダ98は、左壁98A、右壁98B、底壁98C、前壁98D、後壁98E、および仕切壁98Fを有する。
【0065】
左壁98Aは、上下方向7および前後方向8に沿って拡がる平板状である。右壁98Bは、左壁98Aの右方に間隔を開けて位置する。右壁98Bは、上下方向7および前後方向8に沿って拡がる平板状である。底壁98Cは、左壁98Aの下端部と右壁98Bの下端部を繋ぐ。底壁98Cは、前後方向8および左右方向9に沿って拡がる平板状である。前壁98Dは、左壁98Aの前端と右壁98Bの前端と底壁98Cの前端とを繋ぐ。前壁98Dは、上下方向7および左右方向9に沿って拡がる平板状である。前壁98Dの上端は、貯留槽54の上端よりも上方に位置する。前壁98Dの左端は、ゴムワイパ56よりも左方に位置する。前壁98Dの右端は、スポンジワイパ57よりも右方に位置する。前壁98Dは、左右方向9においてガイドフレーム81の前ガイド面82と一致している。後壁98Eは、左壁98Aの後端と右壁98Bの後端と底壁98Cの後端とを繋ぐ。後壁98Eは、上下方向7および左右方向9に沿って拡がる平板状である。後壁98Eの上端は、貯留槽54の上端よりも上方に位置する。後壁98Eの左端は、ゴムワイパ56よりも左方に位置する。後壁98Eの右端は、スポンジワイパ57よりも右方に位置する。後壁98Eは、左右方向9においてガイドフレーム81の後ガイド面83と一致している。後壁98Eの上端は、前壁98Dの上端と同じ高さ位置である。前壁98Dおよび後壁98Eは、当接片の一例である。
【0066】
仕切壁98Fは、底壁98Cの上面から上向きに延びている。仕切壁98Fは、平板部103および傾斜部106を有する。平板部103は、底壁98Cの上面における左右方向9の中央よりも左方の位置から上向きに延びる。平板部103は、上下方向7および前後方向8に沿って拡がる平板状である。傾斜部106は、平板部103の上端から右壁98Bに向かって斜め上向きに延びる。傾斜部106の右端と右壁98Bの左面との間の左右方向9の間隔は、スポンジワイパ57の左右方向9の長さよりも僅かに短い。
【0067】
ゴムワイパ56は、平板部103の左面と左壁98Aの右面との間に位置している。ゴムワイパ56は、洗浄液Lを含浸せず、外力に応じて形状をある程度保ちながら変形する。ゴムワイパ56は、ゴム製の材料によって形成される。ゴムワイパ56は、上下方向7および前後方向8に拡がる平板状である。ゴムワイパ56の上半分は、上方に向かうにつれて厚みが小さくなるように形成されている。ゴムワイパ56の下半分は、上半分のように厚みが変化することなく、厚みが一定である。ゴムワイパ56の上半分の平均の厚さは、ゴムワイパ56の下半分の厚さよりも薄い。ゴムワイパ56の下半分の厚さは、左壁98Aの右面と平板部103の左面との間の左右方向9に沿った間隔よりも僅かに大きい。これにより、ゴムワイパ56は、平板部103の左面と左壁98Aの右面との間に圧入されている。ゴムワイパ56の上端は、貯留槽54の上端よりも上方に位置する。
【0068】
スポンジワイパ57は、傾斜部106の右端と右壁98Bの左面との間に圧入されている。スポンジワイパ57は、洗浄液Lを含浸し、外力に応じて高い自由度で変形する。スポンジワイパは、多孔性材料によって形成される。スポンジワイパ57は、上下方向7および左右方向9よりも前後方向8に長い直方体状である。スポンジワイパ57の上端は、貯留槽54の上端よりも上方に位置する。
【0069】
図9に示されるように、前コイルバネ101および後コイルバネ102は、支持体91の底壁91Cの上面とワイパホルダ98の底壁98Cの下面との間に位置する。なお、
図9では、図示簡略化のため、ゴムワイパ56を点線で示し、スポンジワイパ57を省略している。前コイルバネ101および後コイルバネ102は、上下方向7に沿って圧縮可能である。前コイルバネ101の下端は、支持体91の底壁91Cの上面における前端部に支持されている。前コイルバネ101の上端は、ワイパホルダ98の底壁98Cの下面における前端部を上向きに付勢している。後コイルバネ102の下端は、支持体91の底壁91Cの上面における後端部に支持されている。後コイルバネ102の上端は、ワイパホルダ98の底壁98Cの下面における前端部を上向きに付勢している。
【0070】
この状態において、ワイパホルダ98の前壁98Dの上端および後壁98Eの上端は、ガイドフレーム81の前ガイド面82および後ガイド面83よりも上方に位置する。これにより、キャリッジ41がワイパユニット55の上方に位置するとき、ワイパホルダ98の前壁98Dの上端が、前コイルバネ101および後コイルバネ102の付勢力に抗してガイドフレーム81の前ガイド面82に当接した状態になる。加えて、ワイパホルダ98の後壁98Eの上端が、前コイルバネ101および後コイルバネ102の付勢力に抗してガイドフレーム81の後ガイド面83に当接した状態になる。
【0071】
ワイパホルダ98の前壁98Dの上端が前ガイド面82に当接し、ワイパホルダ98の後壁98Eの上端が後ガイド面83に当接したときの前コイルバネ101および後コイルバネ102の付勢力は、ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57がノズル面43に当接したときにゴムワイパ56およびスポンジワイパ57からノズル面43に作用する押圧力よりも大きい。言い換えると、ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57がノズル面43に当接したときにゴムワイパ56およびスポンジワイパ57からノズル面43に作用する押圧力は、ワイパホルダ98の前壁98Dの上端が前ガイド面82に当接し、ワイパホルダ98の後壁98Eの上端が後ガイド面83に当接したときの前コイルバネ101および後コイルバネ102の付勢力よりも小さい。ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57の押圧力は、ゴムワイパ56の押圧力とスポンジワイパ57の押圧力を合計した力である。前コイルバネ101および後コイルバネ102の付勢力は、前コイルバネ101の付勢力と後コイルバネ102の付勢力とを合計した力である。
【0072】
ゴムワイパ56の押圧力は、以下の方法で取得できる。例えば、まず、仮に作製された仮想ヘッドの仮想面に圧力センサを設置しておく。次に、ゴムワイパ56と同じ仮想ワイパを仮想面に当接させた状態でヘッド42の移動速度と同じ移動速度で仮想ワイパを移動させる。そして、仮想ワイパを移動したときに圧力センサが、仮想ワイパの押圧力に相当する値を出力する。圧力センサから出力された値から、当該値に相当する押圧力を取得できる。このとき、仮想ワイパが仮想面に当接したときに曲げられる曲げ量は、ゴムワイパ56がノズル面43に当接したときに実際に曲げられる曲げ量と同じに設定される。スポンジワイパ57の押圧力も、上記と同じ方法によって取得できる。一方、前コイルバネ101および後コイルバネ102の付勢力は、ワイパホルダ98の前壁98Dの上端が前ガイド面82に当接し、ワイパホルダ98の後壁98Eの上端が後ガイド面83に当接したときの自然長からの縮み量とバネ定数とから算出される。
【0073】
図6に示されるように、ワイパユニット55は、ワイパ駆動機構131によって回転軸59を中心に回転可能である。
図3、
図6に示されるように、ワイパ駆動機構131は、ワイパ駆動用モータ114および歯車伝達機構132を有する。ワイパ駆動用モータ114は、貯留槽54の後壁92(
図8参照)の後方に位置する。ワイパ駆動用モータ114は、前後方向8に沿って延びる第3回転軸を有する。第3回転軸は、回転軸59の他端部と平行となるように位置している。なお、
図6では、図示簡略化のため、ワイパ駆動用モータ114は省略されている。歯車伝達機構132は、第1歯車および第2歯車132Aを有する。第1歯車は、ワイパ駆動用モータ114の第3回転軸に固定されている。第2歯車132Aは、回転軸59の他端部に固定されている。第2歯車132Aは、第1歯車と噛み合っている。これにより、ワイパ駆動用モータ114の動力が歯車伝達機構132を介して回転軸59に伝達される。その結果、回転軸59が半回転することにより、ワイパユニット55が回転軸59を中心に半回転する。これにより、ワイパユニット55は、
図7(A)に示される上向き位置(第1位置の一例)と、
図7(B)に示される下向き位置(第2位置の一例)と、の間で移動する。上向き位置は、ゴムワイパ56の先端部およびスポンジワイパ57の先端部が上を向く位置である。下向き位置は、ゴムワイパ56の先端部およびスポンジワイパ57の先端部が下を向く位置である。上向き位置のワイパホルダ98の前壁98Dおよび後壁98Eは、前ガイド面82および後ガイド面83よりも上方に位置する(
図9参照)。下向き位置のワイパホルダ98の前壁98Dおよび後壁98Eは、前ガイド面82および後ガイド面83よりも下方に位置する。ワイパ駆動機構131は、第2移動機構の一例である。
【0074】
なお、ワイパ駆動用モータ114の動力は、3つ以上の歯車を介して回転軸59に伝達されてもよい。また、ワイパ駆動用モータ114の第3回転軸は、回転軸59の他端部と連結されてもよい。この場合は、歯車伝達機構132が省略される。
【0075】
ワイパユニット55が上向き位置に位置するとき、ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57は、貯留槽54に貯留された洗浄液Lに浸けられておらず、且つ、ヘッド42のノズル面43に当接可能な位置に位置する。ワイパユニット55が下向き位置に位置するとき、少なくともゴムワイパ56の先端部およびスポンジワイパ57の先端部は、貯留槽54に貯留された洗浄液Lに浸けられており、且つ、ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57は、ノズル面43に当接できない位置に位置する。
【0076】
[洗浄液Lの供給部]
図7、
図8に示されるように、貯留槽54の下壁は、2つの傾斜壁95、96からなる。傾斜壁95は、前後方向8に延在し、フラッシングボックス51の右に位置する。傾斜壁96は、前後方向8に延在し、傾斜壁95のさらに右に位置する。傾斜壁95の右端と傾斜壁96の左端とは、同じ高さに位置し、両者は洗浄液Lが漏れないように密着接続されている。傾斜壁95の左端は、傾斜壁95の右端より少し高い位置に位置する。傾斜壁96の右端は、傾斜壁96の左端より高い位置に位置する。傾斜壁95、96の接続部分において後壁92に近い位置には、洗浄液Lの供給口97が位置する。
【0077】
供給口97は、チューブ125を介してポンプ126の一端に接続されている。ポンプ126の他端は、チューブ127を介して洗浄液タンク128に接続されている。洗浄液タンク128は、未使用の洗浄液を貯留している。ポンプ126は、ポンプ駆動用モータ115(
図3参照)によって駆動されると、洗浄液タンク128に貯留された未使用の洗浄液を貯留槽54に供給する。貯留槽54に貯留された洗浄液Lは、洗浄液タンク128からポンプ126を用いて供給されたものである。
【0078】
フラッシングボックス51と貯留槽54とは、仕切り65によって仕切られている。仕切り65は、前壁62、左壁63、及び後壁64より低い。貯留槽54に貯留される洗浄液Lの液面の最大高さは、仕切り65の上面と一致する。下向き位置におけるゴムワイパ56の先端部およびスポンジワイパ57の先端部は、洗浄液Lの液面の最大高さよりも下方に位置する。ポンプ126が動作し、洗浄液タンク128から貯留槽54に洗浄液が供給されると、貯留槽54に貯留された洗浄液Lの一部は、仕切り65を越えてフラッシングボックス51内に流入する。フラッシングボックス51内に流入した洗浄液は、リブ71の外側の空間を流れ、リブ71の外側を取り囲む。リブ71の外側に位置する洗浄液Lは、フラッシングフォーム52によって吸収され、フラッシングフォーム52内に拡散する。
【0079】
[画像記録処理]
図10が参照されて、制御部100による画像記録処理が説明される。制御部100がS11に到達した時点において、キャリッジ41は待機位置に位置し、ワイパユニット55は下向き位置に位置する。このとき、ワイパ56の一部、及びワイパ57の一部は、貯留槽54に貯留された洗浄液Lに浸けられている。
【0080】
制御部100は、操作部(図示せず)から画像記録指示を受け取る(S11)。具体的には、制御部100は、画像記録指示を受け取るまで、S11で待機する。制御部100は、S11で画像記録指示を受け取ると、ワイパ駆動用モータ114を制御することで、ワイパユニット55が上向き位置へ移動する(S12)。
【0081】
次に、制御部100は、ワイプ処理を実行する(S13)。S13において、制御部100が、キャリッジ駆動用モータ113を制御することで、キャリッジ41が、待機位置からワイパユニット55の上方へと、左向きに移動する。このとき、キャリッジ41は、
図9、
図11に示されるように、ガイドフレーム81の左ガイド面84がワイパホルダ98の前壁98Dの上端部および後壁98Eの上端部に左向きに接触しつつ、左向きへ移動する。その結果、ワイパホルダ98の前壁98Dの上端部は、前コイルバネ101および後コイルバネ102の付勢力に抗しつつ、左ガイド面84によって前ガイド面82へ案内される。同時に、ワイパホルダ98の後壁98Eの上端部は、前コイルバネ101および後コイルバネ102の付勢力に抗しつつ、左ガイド面84によって後ガイド面83へ案内される。これにより、ワイパホルダ98の前壁98Dの上端が前ガイド面82に当接し、ワイパホルダ98の後壁98Eの上端が後ガイド面83に当接した状態になる。その結果、ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57のノズル面43に対する位置が位置決めされる。この状態で、キャリッジ41は、さらに左向きへ移動すると、ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57がノズル面43に当接しつつ、ワイパユニット55の上方へ到達する。S13は、ワイピング方法における第1ステップおよび第2ステップの一例である。
【0082】
制御部100が、キャリッジ駆動用モータ113を制御することで、キャリッジ41は、ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57がヘッド42のノズル面43に接触しない位置まで左向きに移動する。このとき、ゴムワイパ56は、右ガイド面85に当接しつつ、弾性力によって元に戻るので、ゴムワイパ56の急激な復元が抑制される。この時点で、制御部100は、ワイプ処理を終了する。次に、制御部100がワイパ駆動用モータ114を制御することで、ワイパユニット55が下向き位置へ移動する(S14)。
【0083】
次に、制御部100は、フラッシング処理を実行する(S15)。具体的には、まず、制御部100は、キャリッジ駆動用モータ113を制御する。これにより、キャリッジ41がフラッシングボックス51の上方へ移動する。次いで、制御部100は、ヘッド42に対して、全てのノズル44から所定のインク量の複数のインク滴を複数個連続して吐出させる。これにより、ノズル面43に位置する、複数のノズル44の開口にメニスカスが適切に形成される。所定のインク量は、ノズル44から吐出するインク滴の大きさや数を変更することによって調節される。ノズル44から吐出されたインクは、フラッシングボックス51に収容されたフラッシングフォーム52に吸収される。フラッシングフォーム52に吸収されたインクは、フラッシングフォーム52内の洗浄液Lとともに下向きに移動し、フラッシングフォーム52の底面より下に形成された空間75に到達する。最後に、制御部100は、ポンプ駆動用モータ115(
図3参照)を駆動する。これにより、ポンプ129が動作して空間75が負圧になる。その結果、フラッシングフォーム52内のインクおよび洗浄液Lは、吸引されて下向きに速やかに移動して空間75に到達する。空間75に到達したインクは、排出口74を通して廃液タンク124に排出される。
【0084】
次に、制御部100が、キャリッジ駆動用モータ113を制御することで、キャリッジ41が、記録開始位置へと、左向きに移動する(S16)。記録開始位置は、キャリッジ41がプラテン25に対向する所定の位置である。次に、制御部100が、ホルダ駆動用モータ111及び搬送用モータ112を制御することで、シートSが記録開始位置まで搬送される(S17)。なお、制御部100は、S12からS15の全部又は一部と並行してS17を実行してもよい。
【0085】
次に、制御部100は、シートSに対して画像記録を実行する(S18)。S18において、制御部100が、キャリッジ駆動用モータ113を制御することで、キャリッジ41が左右方向9に(左向き又は右向きに)移動する。制御部100は、キャリッジ41が左右方向9に移動している間に、ヘッド42を制御することで、画像データに応じた量のインクをヘッド42のノズル44から吐出させる。
【0086】
次に、制御部100は、画像データが残っているかを判断する(S19)。制御部100は、S19において画像データが残っていると判断したことに応じて(S19:Yes)、S20へ進む。この場合、制御部100が、搬送用モータ112を制御することで、シートSが所定量だけ搬送される(S20)。その後、制御部100はS18へ進む。
【0087】
制御部100は、S19において画像データが残っていないと判断したことに応じて(S19:No)、S21へ進む。この場合、制御部100が、搬送用モータ112を制御することで、シートSが所定位置まで排出される(S21)。次に、制御部100がキャリッジ駆動用モータ113を制御することで、キャリッジ41が、待機位置へと、右向きに移動する(S22)。その後、制御部100は、次の画像記録を実行するためにS11へ進む。
【0088】
[実施形態の作用効果]
プリンタ10およびワイピング方法では、ヘッド42がワイパユニット55に対して左向きへ移動するときに、ワイパホルダ98の前壁98Dの上端が、前コイルバネ101および後コイルバネ102の付勢力に抗して前ガイド面82に当接し、ワイパホルダ98の後壁98Eの上端が、前コイルバネ101および後コイルバネ102の付勢力に抗して後ガイド面83に当接する。これにより、ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57のノズル面43に対する位置が位置決めされる。このため、ワイパホルダ98の前壁98Dの上端が前ガイド面82に当接しておらず、ワイパホルダ98の後壁98Eの上端が後ガイド面83に当接していない状態において、例えば、ノズル面43とプラテン25の上面との間の間隔が手動で設定されたことにより、ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57のノズル面43に対する位置がずれた状態になっても、ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57がノズル面43に当接するときの押圧力が一定になる。なお、ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57がノズル面43に当接するときの押圧力は、ワイパホルダ98の前壁98Dの上端が前ガイド面82に当接し、ワイパホルダ98の後壁98Eの上端が後ガイド面83に当接すれば、厳密に一定でなくてもよい。
【0089】
プリンタ10では、ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57がノズル面43に当接するときよりも、先に、ワイパホルダ98の前壁98Dの上端が前ガイド面82に当接し、かつ、ワイパホルダ98の後壁98Eの上端が後ガイド面83に当接する。このため、ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57のノズル面43に対する位置が位置決めされた後、ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57がノズル面43に当接する。したがって、ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57がノズル面43に当接するときの押圧力がより確実に一定になる。
【0090】
プリンタ10では、ゴムワイパ56は、前後方向8に沿って拡がる平板状であるので、前後方向8に沿って並ぶ複数のノズル44が開口するノズル面43を効率的に払拭できる。
【0091】
プリンタ10では、前コイルバネ101および後コイルバネ102は、ワイパホルダ98における前後方向8の両端部に位置する。このため、前コイルバネ101および後コイルバネ102の付勢力が前後方向8にバランス良くゴムワイパ56およびスポンジワイパ57に伝わるので、ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57は、ノズル面43の異物をより確実に払拭できる。
【0092】
プリンタ10では、ガイドフレーム81は、前ガイド面82および後ガイド面83に対して左方を向いて傾斜する左ガイド面84を有する。このため、ヘッド42がワイパユニット55に対して左向きへ移動するときに、ワイパホルダ98の前壁98Dが左ガイド面84によって前ガイド面82にスムーズに案内されるとともに、ワイパホルダ98の後壁98Eが左ガイド面84によって後ガイド面83にスムーズに案内される。
【0093】
プリンタ10では、ゴムワイパ56は、ノズル面43に当接した後、右ガイド面85に当接しながら、弾性力によって元に戻るので、ゴムワイパ56の急激な復元が抑制される。このため、ゴムワイパ56が弾性力によって元に戻るときにインクが飛散することが抑制される。
【0094】
プリンタ10では、ゴムワイパ56がノズル面43に当接したときにゴムワイパ56からノズル面43に作用する押圧力は、ワイパホルダ98の前壁98Dの上端が前ガイド面82に当接し、ワイパホルダ98の後壁98Eの上端が後ガイド面83に当接したときの前コイルバネ101および後コイルバネ102の付勢力よりも小さい。このため、ゴムワイパ56からノズル面43に作用する押圧力に対する反力によって、ワイパホルダ98の前壁98Dが前ガイド面82から離れることが防止されるとともに、ワイパホルダ98の後壁98Eが後ガイド面83から離れるとが防止される。
【0095】
プリンタ10では、ワイパホルダ98の前壁98Dが前ガイド面82に当接しておらず、ワイパホルダ98の後壁98Eが後ガイド面83に当接していない状態において、ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57が上を向く上向き位置と、ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57が下を向く下向き位置と、の間で移動する。このため、ヘッド42からインクを吐出してシートSに画像を記録するときに、ワイパユニットをヘッド42から容易に退避させることができる。
【0096】
プリンタ10では、ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57の2つのワイパによってノズル面43が払拭されるので、ノズル面43の異物がより確実に払拭される。
【0097】
[変形例]
プリンタ10では、ヘッド42がワイパユニット55に対して移動したが、ヘッド42とワイパユニット55とが相対的に移動すれば足りる。例えば、ワイパユニット55がヘッド42に対して移動してもよく、ヘッド42とワイパユニット55とが互いに反対方向に移動してもよい。また、ヘッド42とワイパユニット55とが相対的に移動する方向は、例えば、前後方向8でもよい。
【0098】
プリンタ10では、ガイドフレーム81は、キャリッジ41の下面に固定されたが、キャリッジ41と一体であってもよい。また、ガイドフレーム81は、ヘッド42の外周面に固定されてもよく、ヘッド42と一体であってもよい。
【0099】
プリンタ10では、ヘッド42およびワイパユニット55が相対的に移動するときに、前ガイド面82および後ガイド面83に当接する当接片は、ワイパホルダ98の前壁98Dおよび後壁98Eによって構成されたが、例えば、ワイパホルダ98の前壁98Dおよび後壁98Eに別途に設けた凸部によって構成されてもよい。この場合、凸部は、例えば、左右方向9においてゴムワイパ56よりも右方に位置してもよく、ゴムワイパ56よりも左方に位置してもよい。
【0100】
プリンタ10では、ゴムワイパ56は、前後方向8に拡がる平板状に形成されたが、ノズル面43を払拭できれば、前後方向8に拡がる平板状に限定されない。例えば、ゴムワイパ56は、棒状、ローラ状のものでもよい。また、ゴムワイパ56に代えて、布状のワイパが設置されてもよい。
【0101】
プリンタ10では、前コイルバネ101および後コイルバネ102の2つの付勢部材によってワイパホルダ98を上向きに付勢したが、1つの付勢部材によってワイパホルダ98を上向きに付勢してもよい。
【0102】
プリンタ10では、ガイドフレーム81は、左ガイド面84を有したが、左ガイド面84は省略されてもよい。
【0103】
プリンタ10では、ガイドフレーム81は、右ガイド面85を有したが、右ガイド面85は省略されてもよい。
【0104】
プリンタ10では、ゴムワイパ56がノズル面43に当接したときにゴムワイパ56からノズル面43に作用する押圧力は、ワイパホルダ98の前壁98Dの上端が前ガイド面82に当接し、ワイパホルダ98の後壁98Eの上端が後ガイド面83に当接したときの前コイルバネ101および後コイルバネ102の付勢力よりも小さかったが、前コイルバネ101および後コイルバネ102の付勢力よりも大きくてもよい。
【0105】
プリンタ10では、
図6(A)に示される上向き位置と、
図6(B)に示される下向き位置と、の間でワイパユニット55を移動させるワイパ駆動機構131が設けられたが、ワイパ駆動機構131は省略されてもよい。この場合、ワイパユニット55は、上向き位置と下向き位置との間で手動により移動してもよい。
【0106】
プリンタ10では、ワイパユニット55は、ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57を有したが、ゴムワイパ56とスポンジワイパ57のうちのいずれか一方が省略されてもよい。
【符号の説明】
【0107】
8・・・前後方向(第2方向)
9・・・左右方向(第1方向)
10・・・プリンタ(画像記録装置)
42・・・ヘッド
43・・・ノズル面
55・・・ワイパユニット
56・・・ゴムワイパ(ワイパ)
57・・・スポンジワイパ(ワイパ)
81・・・ガイドフレーム(フレーム)
82・・・前ガイド面(第1ガイド面)
83・・・後ガイド面(第1ガイド面)
84・・・左ガイド面(第2ガイド面)
85・・・右ガイド面(第3ガイド面)
91・・・支持体
98・・・ワイパホルダ
98D・・・前壁(当接片)
98E・・・後壁(当接片)
101・・・前コイルバネ(第1付勢部材)
102・・・後コイルバネ(第2付勢部材)
120・・・キャリッジ移動機構(第1移動機構)
131・・・ワイパ駆動機構(第2移動機構)