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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119419
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】高周波回路及び通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/16 20060101AFI20240827BHJP
   H04B 1/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H04B1/16 A
H04B1/00 257
H04B1/00 260
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026303
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】岩永 穣
【テーマコード(参考)】
5K061
【Fターム(参考)】
5K061AA10
5K061BB12
5K061CC02
5K061CC08
5K061CC46
5K061CD05
5K061JJ24
(57)【要約】
【課題】NFを改善することができる高周波回路を提供する。
【解決手段】高周波回路1は、第1地域及び第2地域で使用可能な第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有するフィルタ310と、第1地域で使用可能な第2バンドの受信帯域を含む通過帯域を有するフィルタ321と、第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有するフィルタ330と、第2地域で使用可能な第3バンドの受信帯域を含む通過帯域を有するフィルタ341と、アンテナ接続端子101に接続される端子511、アンテナ接続端子102に接続される端子512、フィルタ310及び321を含む複数のフィルタに接続される端子513、並びに、フィルタ330及び341を含む複数のフィルタに接続される端子514を含むスイッチ510と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1地域及び第2地域で使用可能な第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第1フィルタと、
前記第1地域で使用可能な第2バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第2フィルタと、
前記第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第3フィルタと、
前記第2地域で使用可能な第3バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第4フィルタと、
第1アンテナ接続端子に接続される第1端子、第2アンテナ接続端子に接続される第2端子、前記第1フィルタ及び前記第2フィルタを含む複数のフィルタに接続される第3端子、並びに、前記第3フィルタ及び前記第4フィルタを含む複数のフィルタに接続される第4端子を含むスイッチと、を備え、
前記第1地域において、前記第1端子又は前記第2端子を前記第3端子に接続して、前記第1バンド及び前記第2バンドの信号を同時に受信する第1モードと、
前記第2地域において、前記第1端子又は前記第2端子を前記第4端子に接続して、前記第1バンド及び前記第3バンドの信号を同時に受信する第2モードと、
前記第1地域及び前記第2地域において、前記第1端子及び前記第2端子を前記第3端子及び前記第4端子にそれぞれ接続して、前記第1バンドの2つの信号を同時に受信する第3モードと、を有する、
高周波回路。
【請求項2】
前記第3モードは、MIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)のための通信モードである、
請求項1に記載の高周波回路。
【請求項3】
前記第1バンドは、LTE(Long Term Evolution)のためのBand41又は5GNR(5th Generation New Radio)のためのn41であり、
前記第2バンドは、LTEのためのBand1、Band3若しくはBand40、又は、5GNRのためのn1、n3若しくはn40であり、
前記第3バンドは、LTEのためのBand34若しくはBand39、又は、5GNRのためのn34若しくはn39である、
請求項1又は2に記載の高周波回路。
【請求項4】
前記第1バンドは、さらに、第3地域で使用可能であり、
前記高周波回路は、さらに、
前記第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第5フィルタと、
前記第3地域で使用可能な第4バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第6フィルタと、を備え、
前記スイッチは、さらに、前記第5フィルタ及び前記第6フィルタを含む複数のフィルタに接続される第5端子を含み、
前記高周波回路は、さらに、
前記第3地域において、前記第1端子又は前記第2端子を前記第5端子に接続して、前記第1バンド及び前記第4バンドの信号を同時に受信する第4モードと、
前記第3地域において、前記第1端子及び前記第2端子を前記第4端子及び前記第5端子にそれぞれ接続して、前記第1バンドの2つの信号を同時に受信する第5モードと、を有する、
請求項1又は2に記載の高周波回路。
【請求項5】
前記第5モードは、MIMOのための通信モードである、
請求項4に記載の高周波回路。
【請求項6】
前記第5モードにおいて、
前記第4端子に接続される前記複数のフィルタの数が前記第3端子に接続される前記複数のフィルタの数よりも少ない場合に、前記第1端子及び前記第2端子を前記第4端子及び前記第5端子にそれぞれ接続して、前記第1バンドの2つの信号を同時に受信し、
前記第4端子に接続される前記複数のフィルタの数が前記第3端子に接続される前記複数のフィルタの数よりも少なくない場合に、前記第1端子及び前記第2端子を前記第3端子及び前記第5端子にそれぞれ接続して、前記第1バンドの2つの信号を同時に受信する、
請求項4に記載の高周波回路。
【請求項7】
前記第4バンドは、LTEのためのBand25、Band30若しくはBand66、又は、5GNRのためのn25、n30若しくはn66である、
請求項4に記載の高周波回路。
【請求項8】
前記第1フィルタ及び前記第5フィルタの各々は、前記第1バンドを含む通過帯域と前記第1地域及び前記第3地域で使用可能な第5バンドを含む通過帯域とに調整可能なフィルタであり、
前記高周波回路は、さらに、
前記第1地域において、前記第1端子又は前記第2端子を前記第3端子に接続して、前記第2バンド及び前記第5バンドの信号を同時に受信する第6モードと、
前記第3地域において、前記第1端子又は前記第2端子を前記第5端子に接続して、前記第4バンド及び前記第5バンドの信号を同時に受信する第7モードと、を有し、
前記第1モード及び前記第3モードにおいて、前記第1フィルタの通過帯域は、前記第1バンドを含む通過帯域に調整され、
前記第6モードにおいて、前記第1フィルタの通過帯域は、前記第5バンドを含む通過帯域に調整され、
前記第4モード及び前記第5モードにおいて、前記第5フィルタの通過帯域は、前記第1バンドを含む通過帯域に調整され、
前記第7モードにおいて、前記第5フィルタの通過帯域は、前記第5バンドを含む通過帯域に調整される、
請求項4に記載の高周波回路。
【請求項9】
前記第5バンドは、LTEのためのBand7又は5GNRのためのn7である、
請求項8に記載の高周波回路。
【請求項10】
前記第3フィルタは、前記第1バンドを含む通過帯域と前記第2地域で使用可能な第6バンドを含む通過帯域とに調整可能なフィルタであり、
前記第2モード、前記第3モード及び前記第5モードにおいて、前記第3フィルタの通過帯域は、前記第1バンドを含む通過帯域に調整される、
請求項4に記載の高周波回路。
【請求項11】
前記第6バンドは、LTEのためのBand53又は5GNRのためのn53である、
請求項10に記載の高周波回路。
【請求項12】
前記高周波回路は、さらに、
前記第1フィルタに接続される第1低雑音増幅器と、
前記第3フィルタに接続される第2低雑音増幅器と、
前記第1低雑音増幅器及び前記第2低雑音増幅器に接続され、前記高周波回路の外部から電源電圧を受ける電源電圧端子と、
前記第1低雑音増幅器及び前記第2低雑音増幅器の少なくとも一方と前記電源電圧端子との間に接続されるローパスフィルタと、を備える、
請求項1又は2に記載の高周波回路。
【請求項13】
前記第1フィルタ及び前記第3フィルタは、弾性波フィルタであり、同一の圧電体に実装されている、
請求項1又は2に記載の高周波回路。
【請求項14】
高周波信号を処理するよう構成された信号処理回路と、
前記信号処理回路とアンテナとの間で高周波信号を伝送するよう構成された、請求項1又は2に記載の高周波回路と、を備える、
通信装置。
【請求項15】
第1地域、第2地域及び第3地域で使用可能な第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第1フィルタと、
前記第1地域で使用可能な第2バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第2フィルタと、
前記第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第3フィルタと、
前記第2地域で使用可能な第3バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第4フィルタと、
前記第1地域及び前記第3地域で使用可能な第5バンドを含む通過帯域を有する第5フィルタと、
前記第3地域で使用可能な第4バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第6フィルタと、
第1アンテナ接続端子に接続される第1端子、第2アンテナ接続端子に接続される第2端子、前記第2フィルタに接続される第3端子、前記第3フィルタ及び前記第4フィルタに接続される第4端子、前記第6フィルタに接続される第5端子、並びに、前記第1フィルタ及び前記第5フィルタに選択的に接続される第6端子を含む第1スイッチと、
前記第1スイッチの前記第6端子に接続される第7端子、前記第1フィルタに接続される第8端子、及び、前記第5フィルタに接続される第9端子を含む第2スイッチと、を備え、
前記第1地域において、前記第1端子及び前記第2端子を前記第3端子及び前記第6端子にそれぞれ接続し、かつ、前記第7端子を前記第8端子に接続して、前記第1バンド及び前記第2バンドの信号を同時に受信する第1モードと、
前記第2地域において、前記第1端子又は前記第2端子を前記第4端子に接続して、前記第1バンド及び前記第3バンドの信号を同時に受信する第2モードと、
前記第3地域において、前記第1端子及び前記第2端子を前記第5端子及び前記第6端子にそれぞれ接続し、かつ、前記第7端子を前記第8端子に接続して、前記第1バンド及び前記第4バンドの信号を同時に受信する第3モードと、
前記第1地域、前記第2地域及び前記第3地域において、前記第1端子及び前記第2端子を前記第4端子及び前記第6端子にそれぞれ接続し、かつ、前記第7端子を前記第8端子に接続して、前記第1バンドの2つの信号を同時に受信する第4モードと、
前記第1地域において、前記第1端子及び前記第2端子を前記第3端子及び前記第6端子にそれぞれ接続し、かつ、前記第7端子を前記第9端子に接続して、前記第2バンド及び前記第5バンドの信号を同時に受信する第5モードと、
前記第3地域において、前記第1端子及び前記第2端子を前記第5端子及び前記第6端子にそれぞれ接続し、かつ、前記第7端子を前記第9端子に接続して、前記第4バンド及び前記第5バンドの信号を同時に受信する第6モードと、を有する、
高周波回路。
【請求項16】
前記第4モードは、MIMOのための通信モードである、
請求項15に記載の高周波回路。
【請求項17】
前記第1バンドは、LTEのためのBand41又は5GNRのためのn41であり、
前記第2バンドは、LTEのためのBand1、Band3若しくはBand40、又は、5GNRのためのn1、n3若しくはn40であり、
前記第3バンドは、LTEのためのBand34若しくはBand39、又は、5GNRのためのn34若しくはn39であり、
前記第4バンドは、LTEのためのBand25、Band30若しくはBand66、又は、5GNRのためのn25、n30若しくはn66であり、
前記第5バンドは、LTEのためのBand7又は5GNRのためのn7である、
請求項15又は16に記載の高周波回路。
【請求項18】
前記高周波回路は、さらに、
前記第1フィルタに接続される第1低雑音増幅器と、
前記第3フィルタに接続される第2低雑音増幅器と、
前記第1低雑音増幅器及び前記第2低雑音増幅器に接続され、前記高周波回路の外部から電源電圧を受ける電源電圧端子と、
前記第1低雑音増幅器及び前記第2低雑音増幅器の少なくとも一方と前記電源電圧端子との間に接続されるローパスフィルタと、を備える、
請求項15又は16に記載の高周波回路。
【請求項19】
前記第1フィルタ及び前記第3フィルタは、弾性波フィルタであり、同一の圧電体に実装されている、
請求項15又は16に記載の高周波回路。
【請求項20】
高周波信号を処理するよう構成された信号処理回路と、
前記信号処理回路とアンテナとの間で高周波信号を伝送するよう構成された、請求項15又は16に記載の高周波回路と、を備える、
通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波回路及び通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの移動体通信機器では、無線リンクのデータレートを向上させるために、複数の周波数バンド又はチャネルを同時に用いるキャリアアグリゲーション(CA:Carrier Aggregation)及びデュアルコネクティビティ(DC:Dual Connectivity)などへの対応が進んでいる。例えば、特許文献1には、EN-DC(E-UTRAN New Radio - Dual Connectivity)に対応する高周波回路が開示されている。さらに、複数のアンテナを用いるマルチパス伝送を実現するMIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)への対応も進んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-167446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、CA、DC及びMIMOなどへの対応によってNF(Noise Figure)が低下する場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、NFを改善することができる高周波回路及び通信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る高周波回路は、第1地域及び第2地域で使用可能な第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第1フィルタと、第1地域で使用可能な第2バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第2フィルタと、第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第3フィルタと、第2地域で使用可能な第3バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第4フィルタと、第1アンテナ接続端子に接続される第1端子、第2アンテナ接続端子に接続される第2端子、第1フィルタ及び第2フィルタを含む複数のフィルタに接続される第3端子、並びに、第3フィルタ及び第4フィルタを含む複数のフィルタに接続される第4端子を含むスイッチと、を備え、第1地域において、第1端子又は第2端子を第3端子に接続して、第1バンド及び第2バンドの信号を同時に受信する第1モードと、第2地域において、第1端子又は第2端子を第4端子に接続して、第1バンド及び第3バンドの信号を同時に受信する第2モードと、第1地域及び第2地域において、第1端子及び第2端子を第3端子及び第4端子にそれぞれ接続して、第1バンドの2つの信号を同時に受信する第3モードと、を有する。
【0007】
本発明の一態様に係る高周波回路は、第1地域、第2地域及び第3地域で使用可能な第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第1フィルタと、第1地域で使用可能な第2バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第2フィルタと、第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第3フィルタと、第2地域で使用可能な第3バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第4フィルタと、第1地域及び第3地域で使用可能な第5バンドを含む通過帯域を有する第5フィルタと、第3地域で使用可能な第4バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第6フィルタと、第1アンテナ接続端子に接続される第1端子、第2アンテナ接続端子に接続される第2端子、第2フィルタに接続される第3端子、第3フィルタ及び第4フィルタに接続される第4端子、第6フィルタに接続される第5端子、並びに、第1フィルタ及び第5フィルタに選択的に接続される第6端子を含む第1スイッチと、第1スイッチの第6端子に接続される第7端子、第1フィルタに接続される第8端子、及び、第5フィルタに接続される第9端子を含む第2スイッチと、を備え、第1地域において、第1端子及び第2端子を第3端子及び第6端子にそれぞれ接続し、かつ、第7端子を第8端子に接続して、第1バンド及び第2バンドの信号を同時に受信する第1モードと、第2地域において、第1端子又は第2端子を第4端子に接続して、第1バンド及び第3バンドの信号を同時に受信する第2モードと、第3地域において、第1端子及び第2端子を第5端子及び第6端子にそれぞれ接続し、かつ、第7端子を第8端子に接続して、第1バンド及び第4バンドの信号を同時に受信する第3モードと、第1地域、第2地域及び第3地域において、第1端子及び第2端子を第4端子及び第6端子にそれぞれ接続し、かつ、第7端子を第8端子に接続して、第1バンドの2つの信号を同時に受信する第4モードと、第1地域において、第1端子及び第2端子を第3端子及び第6端子にそれぞれ接続し、かつ、第7端子を第9端子に接続して、第2バンド及び第5バンドの信号を同時に受信する第5モードと、第3地域において、第1端子及び第2端子を第5端子及び第6端子にそれぞれ接続し、かつ、第7端子を第9端子に接続して、第4バンド及び第5バンドの信号を同時に受信する第6モードと、を有する。
【0008】
本発明の一態様に係る通信装置は、高周波信号を処理するよう構成された信号処理回路と、信号処理回路とアンテナとの間で高周波信号を伝送するよう構成された上記高周波回路と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係る高周波回路及び通信装置によれば、NFを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態1に係る通信装置の回路構成図である。
図2図2は、実施の形態1に係る高周波回路の第1モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。
図3図3は、実施の形態1に係る高周波回路の第2モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。
図4図4は、実施の形態1に係る高周波回路の第3モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。
図5図5は、実施の形態1に係る高周波回路の第4モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。
図6図6は、実施の形態1に係る高周波回路の第5モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。
図7図7は、実施の形態1に係る高周波回路の第6モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。
図8図8は、実施の形態1に係る高周波回路の第7モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。
図9図9は、実施の形態2に係る通信装置の回路構成図である。
図10図10は、実施の形態2に係る高周波回路の第1モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。
図11図11は、実施の形態2に係る高周波回路の第2モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。
図12図12は、実施の形態2に係る高周波回路の第3モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。
図13図13は、実施の形態2に係る高周波回路の第4モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。
図14図14は、実施の形態2に係る高周波回路の第5モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。
図15図15は、実施の形態2に係る高周波回路の第6モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。
【0012】
なお、各図は、本発明を示すために適宜強調、省略、又は比率の調整を行った模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではなく、実際の形状、位置関係、及び比率とは異なる場合がある。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡素化される場合がある。
【0013】
回路構成において、「接続される」とは、接続端子及び/又は配線導体で直接接続される場合だけでなく、他の回路素子を介して電気的に接続される場合も含む。「CがA及びBの間に接続される」とは、Cの一端がAに接続され、Cの他端がBに接続されることを意味し、A及びBを結ぶ経路に直列に接続されることを意味する。
【0014】
「フィルタの通過帯域」とは、フィルタによって伝送される周波数スペクトルの部分であり、出力電力が最大出力電力よりも3dB以上減衰しない周波数帯域と定義される。したがって、バンドパスフィルタの通過帯域の高域端及び低域端は、出力電力が最大出力電力よりも3dB減衰する2つのポイントの高い方の周波数及び低い方の周波数として特定される。
【0015】
「受信帯域」とは、通信装置において受信に用いられる周波数バンドを意味する。例えば、周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)では、送信帯域及び受信帯域として互いに異なる周波数バンドが用いられ、時分割複信(TDD:Time Division Duplex)では、送信帯域及び受信帯域として同一の周波数帯域が用いられる。特に、FDDでは、通信装置がセルラーネットワークのユーザ端末(UE::User Equipment)に実装される場合には、アップリンク帯域(uplink operation band)が送信帯域として用いられ、ダウンリンク帯域(downlink operation band)が受信帯域として用いられる。逆に、通信装置がセルラーネットワークの基地局(BS:Base Station)として実装される場合には、ダウンリンク帯域が送信帯域として用いられ、アップリンク帯域が受信帯域として用いられる。
【0016】
(実施の形態1)
以下に、実施の形態1について説明する。
【0017】
[1.1 通信装置5の回路構成]
まず、本実施の形態に係る通信装置5の回路構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態に係る通信装置5の回路構成図である。図1において、フィルタの横に記載されたBが付された番号は、LTE及び/又は5GNRの周波数バンドを特定する番号を表す。例えば、「B1」は、LTEのためのBand1及び5GNRのためのn1を表す。なお、図1に示される周波数バンドは、当業者の理解を容易にするための例示であり、各フィルタに対応する周波数バンドは、図1の記載に限定されない。
【0018】
なお、図1は、通信装置5及び高周波回路1の例示的な回路構成を示し、通信装置5及び高周波回路1は、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供される通信装置5及び高周波回路1の説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0019】
通信装置5は、セルラーネットワークのUEに実装され、典型的には、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ウェアラブル・デバイス等である。なお、通信装置5は、IoT(Internet of Things)センサ・デバイス、医療/ヘルスケア・デバイス、車、無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)(いわゆるドローン)、無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)であってもよい。また、通信装置5は、セルラー通信システムのBSに実装されてもよい。
【0020】
図1に示すように、通信装置5は、高周波回路1と、アンテナ2a及び2bと、RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)3と、BBIC(Baseband Integrated Circuit)4と、を備える。
【0021】
高周波回路1は、アンテナ2a及び2bとRFIC3との間で高周波信号を伝送することができる。高周波回路1の内部構成については後述する。
【0022】
アンテナ2a及び2bは、高周波回路1のアンテナ接続端子101及び102にそれぞれ接続される。アンテナ2a及び2bは、通信装置5の外部から高周波信号を受信して高周波回路1へ供給することができる。さらに、アンテナ2a及び2bは、高周波回路1から供給された高周波信号を通信装置5の外部に送信してもよい。なお、アンテナ2a及び/又は2bは、通信装置5に含まれなくてもよい。また、通信装置5は、アンテナ2a及び2bに加えて、さらに1以上のアンテナを備えてもよい。
【0023】
RFIC3は、高周波信号を処理する信号処理回路の一例である。具体的には、RFIC3は、高周波回路1の受信経路を介して入力された高周波受信信号を、ダウンコンバート等により信号処理し、当該信号処理して生成された受信信号をBBIC4へ出力することができる。さらに、RFIC3は、BBIC4から入力された送信信号をアップコンバート等により信号処理し、当該信号処理して生成された高周波送信信号を、高周波回路1に出力してもよい。また、RFIC3は、高周波回路1が有するスイッチ及び電力増幅器等を制御するための制御部を含んでもよい。なお、制御部の一部又は全部は、RFIC3の外部に設けられてもよく、例えば、BBIC4又は高周波回路1に含まれてもよい。
【0024】
BBIC4は、高周波回路1が伝送する高周波信号よりも低周波の周波数帯域を用いて信号処理するベースバンド信号処理回路である。BBIC4で処理される信号としては、例えば、画像表示のための画像信号、及び/又は、スピーカを介した通話のために音声信号が用いられる。なお、BBIC4は、通信装置5に含まれなくてもよい。
【0025】
[1.2 高周波回路1の回路構成]
次に、本実施の形態に係る高周波回路1の回路構成について図1を参照しながら説明する。高周波回路1は、アンテナ接続端子101及び102と、低雑音増幅器210、221~223、230、241、242、250及び261~263と、フィルタ310、321~323、330、341、342、350及び361~363と、ローパスフィルタ410と、スイッチ510と、高周波出力端子1210、1221~1223、1230、1241、1242、1250及び1261~1263と、電源電圧端子1310と、を備える。
【0026】
アンテナ接続端子101及び102は、それぞれ第1アンテナ接続端子及び第2アンテナ接続端子の一例であり、高周波回路1の外部接続端子である。アンテナ接続端子101及び102は、高周波回路1の外部でアンテナ2a及び2bにそれぞれ接続され、高周波回路1の内部でスイッチ510に接続される。これにより、高周波回路1は、アンテナ接続端子101及び102を介して、アンテナ2a及び2bから受信信号を受けることができる。
【0027】
低雑音増幅器210は、第1低雑音増幅器の一例であり、フィルタ310及び高周波出力端子1210の間に接続され、さらに、電源電圧端子1310に接続される。具体的には、低雑音増幅器210の入力端はフィルタ310に接続され、低雑音増幅器210の出力端は高周波出力端子1210及び電源電圧端子1310に接続される。低雑音増幅器210は、電源電圧端子1310を介して供給される電源電圧を用いて、フィルタ310を介して受けた第1バンド及び第5バンドの受信信号を増幅することができる。なお、低雑音増幅器210は、高周波回路1に含まれなくてもよい。例えば、低雑音増幅器210は、高周波回路1及びRFIC3の間に接続されてもよく、RFIC3に含まれてもよい。
【0028】
低雑音増幅器221は、フィルタ321及び高周波出力端子1221の間に接続され、さらに、電源電圧端子1310に接続される。具体的には、低雑音増幅器221の入力端はフィルタ321に接続され、低雑音増幅器221の出力端は高周波出力端子1221及び電源電圧端子1310に接続される。低雑音増幅器221は、電源電圧端子1310を介して供給される電源電圧を用いて、フィルタ321を介して受けた第2バンドの受信信号を増幅することができる。なお、低雑音増幅器221は、高周波回路1に含まれなくてもよい。例えば、低雑音増幅器221は、高周波回路1及びRFIC3の間に接続されてもよく、RFIC3に含まれてもよい。
【0029】
低雑音増幅器222は、フィルタ322及び高周波出力端子1222の間に接続され、さらに、電源電圧端子1310に接続される。具体的には、低雑音増幅器222の入力端はフィルタ322に接続され、低雑音増幅器222の出力端は高周波出力端子1222及び電源電圧端子1310に接続される。低雑音増幅器222は、電源電圧端子1310を介して供給される電源電圧を用いて、フィルタ322を介して受けた第2バンドの受信信号を増幅することができる。なお、低雑音増幅器222は、高周波回路1に含まれなくてもよい。例えば、低雑音増幅器222は、高周波回路1及びRFIC3の間に接続されてもよく、RFIC3に含まれてもよい。
【0030】
低雑音増幅器223は、フィルタ323及び高周波出力端子1223の間に接続され、さらに、電源電圧端子1310に接続される。具体的には、低雑音増幅器223の入力端はフィルタ323に接続され、低雑音増幅器223の出力端は高周波出力端子1223及び電源電圧端子1310に接続される。低雑音増幅器223は、電源電圧端子1310を介して供給される電源電圧を用いて、フィルタ323を介して受けた第2バンドの受信信号を増幅することができる。なお、低雑音増幅器223は、高周波回路1に含まれなくてもよい。例えば、低雑音増幅器223は、高周波回路1及びRFIC3の間に接続されてもよく、RFIC3に含まれてもよい。
【0031】
低雑音増幅器230は、第2低雑音増幅器の一例であり、フィルタ330及び高周波出力端子1230の間に接続され、さらに、電源電圧端子1310に接続される。具体的には、低雑音増幅器230の入力端はフィルタ330に接続され、低雑音増幅器230の出力端は高周波出力端子1230及び電源電圧端子1310に接続される。低雑音増幅器230は、電源電圧端子1310を介して供給される電源電圧を用いて、フィルタ330を介して受けた第1バンド及び第6バンドの受信信号を増幅することができる。なお、低雑音増幅器230は、高周波回路1に含まれなくてもよい。例えば、低雑音増幅器230は、高周波回路1及びRFIC3の間に接続されてもよく、RFIC3に含まれてもよい。
【0032】
低雑音増幅器241は、フィルタ341及び高周波出力端子1241の間に接続され、さらに、電源電圧端子1310に接続される。具体的には、低雑音増幅器241の入力端はフィルタ341に接続され、低雑音増幅器241の出力端は高周波出力端子1241及び電源電圧端子1310に接続される。低雑音増幅器241は、電源電圧端子1310を介して供給される電源電圧を用いて、フィルタ341を介して受けた第3バンドの受信信号を増幅することができる。なお、低雑音増幅器241は、高周波回路1に含まれなくてもよい。例えば、低雑音増幅器241は、高周波回路1及びRFIC3の間に接続されてもよく、RFIC3に含まれてもよい。
【0033】
低雑音増幅器242は、フィルタ342及び高周波出力端子1242の間に接続され、さらに、電源電圧端子1310に接続される。具体的には、低雑音増幅器242の入力端はフィルタ342に接続され、低雑音増幅器242の出力端は高周波出力端子1242及び電源電圧端子1310に接続される。低雑音増幅器242は、電源電圧端子1310を介して供給される電源電圧を用いて、フィルタ342を介して受けた第3バンドの受信信号を増幅することができる。なお、低雑音増幅器242は、高周波回路1に含まれなくてもよい。例えば、低雑音増幅器242は、高周波回路1及びRFIC3の間に接続されてもよく、RFIC3に含まれてもよい。
【0034】
低雑音増幅器250は、フィルタ350及び高周波出力端子1250の間に接続され、さらに、電源電圧端子1310に接続される。具体的には、低雑音増幅器250の入力端はフィルタ350に接続され、低雑音増幅器250の出力端は高周波出力端子1250及び電源電圧端子1310に接続される。低雑音増幅器250は、電源電圧端子1310を介して供給される電源電圧を用いて、フィルタ350を介して受けた第1バンド及び第5バンドの受信信号を増幅することができる。なお、低雑音増幅器250は、高周波回路1に含まれなくてもよい。例えば、低雑音増幅器250は、高周波回路1及びRFIC3の間に接続されてもよく、RFIC3に含まれてもよい。
【0035】
低雑音増幅器261は、フィルタ361及び高周波出力端子1261の間に接続され、さらに、電源電圧端子1310に接続される。具体的には、低雑音増幅器261の入力端はフィルタ361に接続され、低雑音増幅器261の出力端は高周波出力端子1261及び電源電圧端子1310に接続される。低雑音増幅器261は、電源電圧端子1310を介して供給される電源電圧を用いて、フィルタ361を介して受けた第4バンドの受信信号を増幅することができる。なお、低雑音増幅器261は、高周波回路1に含まれなくてもよい。例えば、低雑音増幅器261は、高周波回路1及びRFIC3の間に接続されてもよく、RFIC3に含まれてもよい。
【0036】
低雑音増幅器262は、フィルタ362及び高周波出力端子1262の間に接続され、さらに、電源電圧端子1310に接続される。具体的には、低雑音増幅器262の入力端はフィルタ362に接続され、低雑音増幅器262の出力端は高周波出力端子1262及び電源電圧端子1310に接続される。低雑音増幅器262は、電源電圧端子1310を介して供給される電源電圧を用いて、フィルタ362を介して受けた第4バンドの受信信号を増幅することができる。なお、低雑音増幅器262は、高周波回路1に含まれなくてもよい。例えば、低雑音増幅器262は、高周波回路1及びRFIC3の間に接続されてもよく、RFIC3に含まれてもよい。
【0037】
低雑音増幅器263は、フィルタ363及び高周波出力端子1263の間に接続され、さらに、電源電圧端子1310に接続される。具体的には、低雑音増幅器263の入力端はフィルタ363に接続され、低雑音増幅器263の出力端は高周波出力端子1263及び電源電圧端子1310に接続される。低雑音増幅器263は、電源電圧端子1310を介して供給される電源電圧を用いて、フィルタ363を介して受けた第4バンドの受信信号を増幅することができる。なお、低雑音増幅器263は、高周波回路1に含まれなくてもよい。例えば、低雑音増幅器263は、高周波回路1及びRFIC3の間に接続されてもよく、RFIC3に含まれてもよい。
【0038】
このような低雑音増幅器210、221~223、230、241、242、250及び261~263は、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)で構成することができ、半導体材料を用いて製造することができる。半導体材料としては、例えばシリコン単結晶、窒化ガリウム(GaN)又は炭化シリコン(SiC)を用いることができる。なお、低雑音増幅器210、221~223、230、241、242、250及び261~263の増幅トランジスタはFETに限定されない。例えば、低雑音増幅器210、221~223、230、241、242、250及び261~263の一部又は全部は、バイポーラトランジスタで構成されてもよい。
【0039】
フィルタ310は、第1フィルタの一例であり、第1地域、第2地域及び第3地域で使用可能な第1バンドの受信帯域を含む通過帯域と第5バンドの受信帯域を含む通過帯域とに調整可能な帯域通過フィルタである。フィルタ310は、スイッチ510と低雑音増幅器210との間に接続される。具体的には、フィルタ310の一端はスイッチ510の端子513に接続され、フィルタ310の他端は低雑音増幅器210の入力端に接続される。なお、フィルタ310は、第5バンドの受信帯域を含む通過帯域に調整されなくてもよい。つまり、フィルタ310は、調整可能なフィルタでなくてもよく、第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する帯域通過フィルタであってもよい。
【0040】
フィルタ321~323の各々は、第2フィルタの一例であり、第1地域で使用可能な第2バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する帯域通過フィルタである。フィルタ321は、スイッチ510と低雑音増幅器221との間に接続される。具体的には、フィルタ321の一端はスイッチ510の端子513に接続され、フィルタ321の他端は低雑音増幅器221の入力端に接続される。フィルタ322は、スイッチ510と低雑音増幅器222との間に接続される。具体的には、フィルタ322の一端はスイッチ510の端子513に接続され、フィルタ322の他端は低雑音増幅器222の入力端に接続される。フィルタ323は、スイッチ510と低雑音増幅器223との間に接続される。具体的には、フィルタ323の一端はスイッチ510の端子513に接続され、フィルタ323の他端は低雑音増幅器223の入力端に接続される。なお、フィルタ321~323のうちの1つ又は2つは、高周波回路1に含まれなくてもよい。つまり、フィルタ321~323のうちの少なくとも1つが高周波回路1に含まれればよい。
【0041】
フィルタ330は、第3フィルタの一例であり、第1地域、第2地域及び第3地域で使用可能な第1バンドの受信帯域を含む通過帯域と第6バンドの受信帯域を含む通過帯域とに調整可能な帯域通過フィルタである。フィルタ330は、スイッチ510と低雑音増幅器230との間に接続される。具体的には、フィルタ330の一端はスイッチ510の端子514に接続され、フィルタ330の他端は低雑音増幅器230の入力端に接続される。なお、フィルタ330は、第6バンドの受信帯域を含む通過帯域に調整されなくてもよい。つまり、フィルタ330は、調整可能なフィルタでなくてもよく、第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する帯域通過フィルタであってもよい。
【0042】
フィルタ341及び342の各々は、第4フィルタの一例であり、第2地域で使用可能な第3バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する帯域通過フィルタである。フィルタ341は、スイッチ510と低雑音増幅器241との間に接続される。具体的には、フィルタ341の一端はスイッチ510の端子514に接続され、フィルタ341の他端は低雑音増幅器241の入力端に接続される。フィルタ342は、スイッチ510と低雑音増幅器242との間に接続される。具体的には、フィルタ342の一端はスイッチ510の端子514に接続され、フィルタ342の他端は低雑音増幅器242の入力端に接続される。なお、フィルタ341及び342のうちの一方は高周波回路1に含まれなくてもよい。つまり、フィルタ341及び342のうちの少なくとも1つが高周波回路1に含まれればよい。
【0043】
フィルタ350は、第5フィルタの一例であり、第1地域、第2地域及び第3地域で使用可能な第1バンドの受信帯域を含む通過帯域と第5バンドの受信帯域を含む通過帯域とに調整可能な帯域通過フィルタである。フィルタ350は、スイッチ510と低雑音増幅器250との間に接続される。具体的には、フィルタ350の一端はスイッチ510の端子515に接続され、フィルタ350の他端は低雑音増幅器250の入力端に接続される。なお、フィルタ350は、第5バンドの受信帯域を含む通過帯域に調整されなくてもよい。つまり、フィルタ350は、調整可能なフィルタでなくてもよく、第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する帯域通過フィルタであってもよい。また、フィルタ350は、高周波回路1に含まれなくてもよい。
【0044】
フィルタ361~363の各々は、第6フィルタの一例であり、第3地域で使用可能な第4バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する帯域通過フィルタである。フィルタ361は、スイッチ510と低雑音増幅器261との間に接続される。具体的には、フィルタ361の一端はスイッチ510の端子515に接続され、フィルタ361の他端は低雑音増幅器261の入力端に接続される。フィルタ362は、スイッチ510と低雑音増幅器262との間に接続される。具体的には、フィルタ362の一端はスイッチ510の端子515に接続され、フィルタ362の他端は低雑音増幅器262の入力端に接続される。フィルタ363は、スイッチ510と低雑音増幅器263との間に接続される。具体的には、フィルタ363の一端はスイッチ510の端子515に接続され、フィルタ363の他端は低雑音増幅器263の入力端に接続される。なお、フィルタ361~363の一部又は全部は高周波回路1に含まれなくてもよい。
【0045】
以上のように、第1地域で使用可能なバンドのためのフィルタ310及び321~323は、スイッチ510の端子513に束ねて接続される。第2地域で使用可能なバンドのためのフィルタ330、341及び342は、スイッチ510の端子514に束ねて接続される。第3地域で使用可能なバンドのためのフィルタ350及び361~363は、スイッチ510の端子515に束ねて接続される。
【0046】
このようなフィルタ310、321~323、330、341、342、350及び361~363としては、表面弾性波(SAW:Surface Acoustic Wave)フィルタ、バルク弾性波(BAW:Bulk Acoustic Wave)フィルタ、LC共振フィルタ若しくは誘電体共振フィルタ、又は、これらの任意の組み合わせが用いられてもよく、さらには、これらには限定されない。なお、フィルタ310、330及び350が弾性波フィルタである場合には、フィルタ310、330及び350の任意の組み合わせは、同一の圧電体に実装することができる。圧電体としては、例えばタンタル酸リチウム(LiTaO)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、窒化アルミニウム(AlN)、又は、酸化亜鉛(ZnO)の単結晶又はセラミックスを用いることができる。
【0047】
ローパスフィルタ410は、低雑音増幅器230と電源電圧端子1310との間に接続される。ローパスフィルタ410は、第1バンドの信号を減衰することができ、低雑音増幅器210及び/又は250と低雑音増幅器230との間を結ぶ電源電圧の供給経路を介した第1バンドの信号の漏洩を抑制することができる。ローパスフィルタ410としては、LCフィルタを用いることができるが、これに限定されない。
【0048】
スイッチ510は、アンテナ接続端子101及び102とフィルタ310、321~323、330、341、342、350及び361~363との間に接続される。具体的には、スイッチ510は、端子511~515を含む。端子511は、第1端子の一例であり、アンテナ接続端子101に接続される。端子512は、第2端子の一例であり、アンテナ接続端子102に接続される。端子513は、第3端子の一例であり、フィルタ310及び321~323に接続される。端子514は、第4端子の一例であり、フィルタ330、341及び342に接続される。端子515は、第5端子の一例であり、フィルタ350及び361~363に接続される。
【0049】
このような接続構成において、スイッチ510は、例えばRFIC3からの制御信号に基づいて、端子511及び512を端子513~515に接続することができる。つまり、スイッチ510は、端子511及び512の一方のみを端子513~515のいずれかに接続するか、端子511及び512を端子513~515の任意の2つにそれぞれ接続するかを切り替えることができる。スイッチ510は、例えばマルチ接続型のスイッチ回路で構成される。
【0050】
高周波出力端子1210、1221~1223、1230、1241、1242、1250及び1261~1263は、高周波回路1の外部接続端子である。高周波出力端子1210、1221~1223、1230、1241、1242、1250及び1261~1263は、高周波回路1の外部でRFIC3に接続され、高周波回路1の内部で低雑音増幅器210、221~223、230、241、242、250及び261~263にそれぞれ接続される。これにより、高周波回路1は、高周波出力端子1210、1221~1223、1230、1241、1242、1250及び1261~1263を介して、RFIC3に受信信号を供給することができる。
【0051】
電源電圧端子1310は、高周波回路1の外部接続端子である。電源電圧端子1310は、高周波回路1の外部で直流電源(図示せず)に接続され、高周波回路1の内部で低雑音増幅器210、221~223、230、241、242、250及び261~263に接続される。これにより、高周波回路1は、低雑音増幅器210、221~223、230、241、242、250及び261~263で受信信号の増幅に用いる電源電圧を電源電圧端子1310を介して受けることができる。
【0052】
[1.3 周波数バンド]
ここで、本実施の形態に係る通信装置5で使用可能な周波数バンドについて説明する。
【0053】
第1バンド~第6バンドは、無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)を用いて構築される通信システムのための周波数バンドであり、標準化団体など(例えば3GPP(登録商標)(3rd Generation Partnership Project)及びIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)等)によって予め定義される。通信システムの例としては、5GNR(5th Generation New Radio)システム、LTE(Long Term Evolution)システム及びWLAN(Wireless Local Area Network)システム等を挙げることができる。
【0054】
第1地域、第2地域及び第3地域は、互いに異なる地理的エリア(geographical area)である。バンドが地域で使用可能とは、当該バンドの使用が当該地域で許可されており、禁止されていないことを意味する。
【0055】
第1バンドは、第1地域、第2地域及び第3地域で使用可能な周波数バンドである。第1バンドとして、LTEのためのBand41又は5GNRのためのn41を用いることができるが、第1バンドはこれに限定されない。
【0056】
第2バンドは、第1地域で使用可能な周波数バンドである。本実施の形態において、第1バンド及び第2バンドの組み合わせは、同時受信可能なバンドコンビネーションである。第1地域が欧州である場合には、第2バンドとして、LTEのためのBand1、Band3若しくはBand40、又は、5GNRのためのn1、n3若しくはn40を用いることができる。なお、第1地域は欧州に限定されず、第2バンドはこれらのバンドに限定されない。
【0057】
第3バンドは、第2地域で使用可能な周波数バンドである。本実施の形態において、第1バンド及び第3バンドの組み合わせは、同時受信可能なバンドコンビネーションである。第2地域が中国である場合には、第3バンドとして、LTEのためのBand34若しくはBand39、又は、5GNRのためのn34若しくはn39を用いることができる。なお、第2地域は中国に限定されず、第3バンドはこれらのバンドに限定されない。
【0058】
第4バンドは、第3地域で使用可能な周波数バンドである。本実施の形態において、第1バンド及び第4バンドの組み合わせは、同時受信可能なバンドコンビネーションである。第3地域が米国である場合には、第4バンドとして、LTEのためのBand25、Band30若しくはBand66、又は、5GNRのためのn25、n30若しくはn66を用いることができる。なお、第3地域は米国に限定されず、第4バンドはこれらのバンドに限定されない。
【0059】
第5バンドは、第1地域及び第3地域で使用可能な周波数バンドである。本実施の形態において、第2バンド及び第5バンドの組み合わせ、並びに、第4バンド及び第5バンドの組み合わせは、同時受信可能なバンドコンビネーションである。第1地域が欧州であり、第3地域が米国である場合には、第5バンドとして、LTEのためのBand7又は5GNRのためのn7を用いることができる。なお、第1地域及び第3地域は欧州及び米国に限定されず、第5バンドはこれらのバンドに限定されない。
【0060】
第6バンドは、第2地域で使用可能な周波数バンドである。第2地域が中国である場合には、第6バンドとして、LTEのためのBand53又は5GNRのためのn53を用いることができる。なお、第2地域は中国に限定されず、第6バンドはこれらのバンドに限定されない。
【0061】
なお、同時受信可能なバンドコンビネーションは、標準化団体などによってあらかじめ定義される。同時受信可能なバンドコンビネーションは、例えば、CA、EN-DC、NR-DC(New Radio - Dual Connectivity)、又は、NE-DC(New Radio E-UTRAN - Dual Connectivity)のためのバンドコンビネーションとして定義される。
【0062】
以上のバンドと当該バンドが使用される地域との関係は、以下の表1のようにまとめられる。表1において、チェックが付されているセルは、対応する行のバンドが対応する列の地域で使用可能であることを意味する。なお、チェックが付されていないセルは、対応する行のバンドが対応する列の地域で使用不可能であることを意味するわけではない。例えば、第2バンドは、第2地域及び/又は第3地域で使用可能であってもよい。
【0063】
【表1】
【0064】
[1.4 通信モード]
次に、本実施の形態に係る高周波回路1が有する通信モードであって2つの高周波信号を同時に受信するための通信モードについて説明する。
【0065】
[1.4.1 第1モード]
まず、第1モードについて図2を参照しながら説明する。図2は、本実施の形態に係る高周波回路1の第1モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。図2において、破線矢印は、受信信号の流れを表す。
【0066】
第1モードは、第1地域において第1バンド(B41)及び第2バンド(B1)の信号を同時に受信するための通信モードである。図2に示すように、スイッチ510は、端子511を端子513に接続する。これにより、フィルタ310及び321~323がアンテナ接続端子101に接続される。このとき、フィルタ310は、第1バンドを含む通過帯域に調整される。
【0067】
その結果、第1バンドの受信信号は、アンテナ2aから、アンテナ接続端子101、スイッチ510、フィルタ310、低雑音増幅器210及び高周波出力端子1210を経由して、RFIC3に伝送される。第2バンドの受信信号は、アンテナ2aから、アンテナ接続端子101、スイッチ510、フィルタ321、低雑音増幅器221及び高周波出力端子1221を経由して、RFIC3に伝送される。
【0068】
なお、図2において、LTEのためのBand1又は5GNRのn1の信号の代わりに、LTEのためのBand3若しくはBand40、又は、5GNRのn3若しくはn40の信号が受信されてもよい。また、端子511の代わりに端子512が端子513に接続されてもよい。この場合、第1バンド及び第2バンドの受信信号は、アンテナ2bからアンテナ接続端子102を介して、上記と同様にRFIC3に伝送される。
【0069】
[1.4.2 第2モード]
次に、第2モードについて図3を参照しながら説明する。図3は、本実施の形態に係る高周波回路1の第2モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。図3において、破線矢印は、受信信号の流れを表す。
【0070】
第2モードは、第2地域において第1バンド(B41)及び第3バンド(B34)の信号を同時に受信するための通信モードである。図3に示すように、スイッチ510は、端子512を端子514に接続する。これにより、フィルタ330、341及び342がアンテナ接続端子102に接続される。このとき、フィルタ330は、第1バンドを含む通過帯域に調整される。
【0071】
その結果、第1バンドの受信信号は、アンテナ2bから、アンテナ接続端子102、スイッチ510、フィルタ330、低雑音増幅器230及び高周波出力端子1230を経由して、RFIC3に伝送される。第3バンドの受信信号は、アンテナ2bから、アンテナ接続端子102、スイッチ510、フィルタ341、低雑音増幅器241及び高周波出力端子1241を経由して、RFIC3に伝送される。
【0072】
なお、図3において、LTEのためのBand34又は5GNRのn34の信号の代わりに、LTEのためのBand39又は5GNRのn39の信号が受信されてもよい。また、端子512の代わりに端子511が端子514に接続されてもよい。この場合、第1バンド及び第3バンドの受信信号は、アンテナ2aからアンテナ接続端子101を介して、上記と同様にRFIC3に伝送される。
【0073】
[1.4.3 第3モード]
次に、第3モードについて図4を参照しながら説明する。図4は、本実施の形態に係る高周波回路1の第3モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。図4において、破線矢印は、受信信号の流れを表す。
【0074】
第3モードは、第1地域及び第2地域において第1バンド(B41)の2つの信号を同時に受信するための通信モードであり、例えばMIMOのための通信モードである。図4に示すように、スイッチ510は、端子511を端子513に接続し、かつ、端子512を端子514に接続する。これにより、フィルタ310及び321~323がアンテナ接続端子101に接続され、フィルタ330、341及び342がアンテナ接続端子102に接続される。このとき、フィルタ310及び330は、第1バンドを含む通過帯域に調整される。
【0075】
その結果、第1バンドの2つの受信信号の一方は、アンテナ2aから、アンテナ接続端子101、スイッチ510、フィルタ310、低雑音増幅器210及び高周波出力端子1210を経由して、RFIC3に伝送される。第1バンドの2つの受信信号の他方は、アンテナ2bから、アンテナ接続端子102、スイッチ510、フィルタ330、低雑音増幅器230及び高周波出力端子1230を経由して、RFIC3に伝送される。
【0076】
このとき、ローパスフィルタ410によって、電源電圧の供給経路を介して低雑音増幅器210及び230の間で第1バンドの受信信号が漏洩することが抑制される。つまり、低雑音増幅器210で増幅される受信信号と低雑音増幅器230で増幅される受信信号との間の干渉が抑制される。
【0077】
なお、図4において、端子511の代わりに端子512が端子513に接続され、端子512の代わりに端子511が端子514に接続されてもよい。この場合でも、第1バンドの2つの受信信号は、アンテナ2a及び2bからフィルタ330及び310をそれぞれ介してRFIC3に伝送される。
【0078】
なお、第1地域において、フィルタ330の代わりにフィルタ350を用いて、第1バンドの2つの信号を同時に受信することもできる。ただし、本実施の形態では、端子514に接続されるフィルタの数が端子515に接続されるフィルタの数よりも少ないので、第1地域における第1バンドの2つの信号の同時受信には、フィルタ350よりもフィルタ330が優先的に利用される。
【0079】
また、第2地域において、フィルタ310の代わりにフィルタ350を用いて、第1バンドの2つの信号を同時に受信することもできる。これについては、図6を用いて後述する。
【0080】
[1.4.4 第4モード]
次に、第4モードについて図5を参照しながら説明する。図5は、本実施の形態に係る高周波回路1の第4モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。図5において、破線矢印は、受信信号の流れを表す。
【0081】
第4モードは、第3地域において第1バンド(B41)及び第4バンド(B25)の信号を同時に受信するための通信モードである。図5に示すように、スイッチ510は、端子512を端子515に接続する。これにより、フィルタ350及び361~363がアンテナ接続端子102に接続される。このとき、フィルタ350は、第1バンドを含む通過帯域に調整される。
【0082】
その結果、第1バンドの受信信号は、アンテナ2bから、アンテナ接続端子102、スイッチ510、フィルタ350、低雑音増幅器250及び高周波出力端子1250を経由して、RFIC3に伝送される。第4バンドの受信信号は、アンテナ2bから、アンテナ接続端子102、スイッチ510、フィルタ361、低雑音増幅器261及び高周波出力端子1261を経由して、RFIC3に伝送される。
【0083】
なお、図5において、LTEのためのBand25又は5GNRのn25の信号の代わりに、LTEのためのBand30若しくはBand66、又は、5GNRのn30若しくはn66の信号が受信されてもよい。また、端子512の代わりに端子511が端子515に接続されてもよい。この場合、第1バンド及び第4バンドの受信信号は、アンテナ2aからアンテナ接続端子101を介して上記と同様にRFIC3に伝送される。
【0084】
[1.4.5 第5モード]
次に、第5モードについて図6を参照しながら説明する。図6は、本実施の形態に係る高周波回路1の第5モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。図6において、破線矢印は、受信信号の流れを表す。
【0085】
第5モードは、第3地域において第1バンド(B41)の2つの信号を同時に受信するための通信モードであり、例えばMIMOのための通信モードである。図6に示すように、スイッチ510は、端子511を端子514に接続し、かつ、端子512を端子515に接続する。これにより、フィルタ330、341及び342がアンテナ接続端子101に接続され、フィルタ350及び361~363がアンテナ接続端子102に接続される。このとき、フィルタ330及び350は、第1バンドを含む通過帯域に調整される。
【0086】
その結果、第1バンドの2つの受信信号の一方は、アンテナ2aから、アンテナ接続端子101、スイッチ510、フィルタ330、低雑音増幅器230及び高周波出力端子1230を経由して、RFIC3に伝送される。第1バンドの2つの受信信号の他方は、アンテナ2bから、アンテナ接続端子102、スイッチ510、フィルタ350、低雑音増幅器250及び高周波出力端子1250を経由して、RFIC3に伝送される。
【0087】
このとき、ローパスフィルタ410によって、電源電圧の供給経路を介して低雑音増幅器230及び250の間で第1バンドの受信信号が漏洩することが抑制される。つまり、低雑音増幅器230で増幅される受信信号と低雑音増幅器250で増幅される受信信号との間の干渉が抑制される。
【0088】
なお、図6において、端子511の代わりに端子512が端子514に接続され、端子512の代わりに端子511が端子515に接続されてもよい。この場合でも、第1バンドの2つの受信信号は、アンテナ2a及び2bからフィルタ350及び330をそれぞれ介してRFIC3に伝送される。
【0089】
なお、第3地域において、フィルタ330の代わりにフィルタ310を用いて、第1バンドの2つの信号を同時に受信することもできる。ただし、本実施の形態では、端子514に接続されるフィルタの数が端子513に接続されるフィルタの数よりも少ないので、第3地域における第1バンドの2つの信号の同時受信には、フィルタ310よりもフィルタ330が優先的に利用される。
【0090】
また、第5モードは、第2地域で用いられてもよい。端子513に接続されるフィルタの数が端子515に接続されるフィルタの数と等しいので、第2地域では、第2モード及び第5モードのどちらが用いられてもよい。
【0091】
[1.4.6 第6モード]
まず、第6モードについて図7を参照しながら説明する。図7は、本実施の形態に係る高周波回路1の第6モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。図7において、破線矢印は、受信信号の流れを表す。
【0092】
第6モードは、第1地域において第2バンド(B1)及び第5バンド(B7)の信号を同時に受信するための通信モードである。図7に示すように、スイッチ510は、端子511を端子513に接続する。これにより、フィルタ310及び321~323がアンテナ接続端子101に接続される。このとき、フィルタ310は、第5バンドを含む通過帯域に調整される。
【0093】
その結果、第2バンドの受信信号は、アンテナ2aから、アンテナ接続端子101、スイッチ510、フィルタ321、低雑音増幅器221及び高周波出力端子1221を経由して、RFIC3に伝送される。第5バンドの受信信号は、アンテナ2aから、アンテナ接続端子101、スイッチ510、フィルタ310、低雑音増幅器210及び高周波出力端子1210を経由して、RFIC3に伝送される。
【0094】
なお、図7において、LTEのためのBand1又は5GNRのn1の信号の代わりに、LTEのためのBand3若しくはBand40、又は、5GNRのn3若しくはn40の信号が受信されてもよい。また、端子511の代わりに端子512が端子513に接続されてもよい。この場合、第2バンド及び第5バンドの受信信号は、アンテナ2bからアンテナ接続端子102を介して上記と同様にRFIC3に伝送される。
【0095】
[1.4.7 第7モード]
次に、第7モードについて図8を参照しながら説明する。図8は、本実施の形態に係る高周波回路1の第7モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。図8において、破線矢印は、受信信号の流れを表す。
【0096】
第7モードは、第3地域において第4バンド(B25)及び第5バンド(B7)の信号を同時に受信するための通信モードである。図8に示すように、スイッチ510は、端子512を端子515に接続する。これにより、フィルタ350及び361~363がアンテナ接続端子102に接続される。このとき、フィルタ350は、第5バンドを含む通過帯域に調整される。
【0097】
その結果、第4バンドの受信信号は、アンテナ2bから、アンテナ接続端子102、スイッチ510、フィルタ361、低雑音増幅器261及び高周波出力端子1261を経由して、RFIC3に伝送される。第5バンドの受信信号は、アンテナ2bから、アンテナ接続端子102、スイッチ510、フィルタ350、低雑音増幅器250及び高周波出力端子1250を経由して、RFIC3に伝送される。
【0098】
なお、図8において、LTEのためのBand25又は5GNRのn25の信号の代わりに、LTEのためのBand30若しくはBand66、又は、5GNRのn30若しくはn66の信号が受信されてもよい。また、端子512の代わりに端子511が端子515に接続されてもよい。この場合、第4バンド及び第5バンドの受信信号は、アンテナ2aからアンテナ接続端子101を介して上記と同様にRFIC3に伝送される。
【0099】
[1.4.8 通信モードのまとめ]
以上の第1モード~第7モードと当該モードで使用されるフィルタ及びバンドとの関係は、以下の表2のようにまとめられる。表2において、バンドが記載されたセルは、対応する行のモードで対応する列のフィルタを用いて当該バンドの信号が受信されることを意味する。
【0100】
【表2】
【0101】
なお、第1モード~第7モードは、2つの信号を同時に受信するための通信モードを例示したものであり、高周波回路1で利用可能な通信モードは、第1モード~第7モードに限定されない。例えば、高周波回路1は、3つ以上の信号を同時に受信するための通信モードを有してもよい。具体的には、高周波回路1は、例えば、第1バンド(B41)の信号と第2バンド(B1)の信号と第2バンド(B3)とを同時に受信する通信モードを有してもよい。このような通信モードは、第1モードと同じ接続状態で実現され得る。また、高周波回路1は、1つのフィルタを用いて1つのバンドの1つの信号を受信するための通信モードをバンドごとに有してもよい。
【0102】
[1.5 効果など]
以上のように、本実施の形態に係る高周波回路1は、第1地域及び第2地域で使用可能な第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有するフィルタ310と、第1地域で使用可能な第2バンドの受信帯域を含む通過帯域を有するフィルタ321と、第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有するフィルタ330と、第2地域で使用可能な第3バンドの受信帯域を含む通過帯域を有するフィルタ341と、アンテナ接続端子101に接続される端子511、アンテナ接続端子102に接続される端子512、フィルタ310及び321を含む複数のフィルタに接続される端子513、並びに、フィルタ330及び341を含む複数のフィルタに接続される端子514を含むスイッチ510と、を備え、第1地域において、端子511又は512を端子513に接続して、第1バンド及び第2バンドの信号を同時に受信する第1モードと、第2地域において、端子511又は512を端子514に接続して、第1バンド及び第3バンドの信号を同時に受信する第2モードと、第1地域及び第2地域において、端子511及び512を端子513及び514にそれぞれ接続して、第1バンドの2つの信号を同時に受信する第3モードと、を有する。
【0103】
これによれば、第1地域及び第2地域で使用可能な第1バンドのための2つのフィルタ310及び330が、スイッチ510の2つの端子513及び514にそれぞれ接続される。このとき、2つの端子513及び514には、第1地域で使用可能な第2バンドのためのフィルタ321及び第2地域で使用可能な第3バンドのためのフィルタ341がそれぞれ接続される。したがって、フィルタ310及び330がスイッチ510の端子に単独で接続される場合よりも、スイッチ510の端子数を削減することができる。その結果、スイッチ510の寄生容量を削減することができ、第1モード~第3モードにおけるNFを改善することができる。特に、第1モード及び第2モードでは、2つのバンドの信号をスイッチ510の1つの端子に接続された複数のフィルタで同時に受信することができ、NFの改善に効果的である。また、新たにフィルタを追加することなく、同一バンドの2つの信号を2つのアンテナ接続端子101及び102を介して同時に受信する第3モードに対応することができる。
【0104】
また例えば、本実施の形態に係る高周波回路1において、第3モードは、MIMOのための通信モードであってもよい。
【0105】
これによれば、高周波回路1は、MIMOのための2信号の同時受信に対応することができ、他の高周波回路と合わせれば、MIMOのための4信号又は6信号の同時受信などにも対応することができる。
【0106】
また例えば、本実施の形態に係る高周波回路1において、第1バンドは、LTEのためのBand41又は5GNRのためのn41であってもよく、第2バンドは、LTEのためのBand1、Band3若しくはBand40、又は、5GNRのためのn1、n3若しくはn40であってもよく、第3バンドは、LTEのためのBand34若しくはBand39、又は、5GNRのためのn34若しくはn39であってもよい。
【0107】
これによれば、LTE及び/又は5GNRのためのバンドの信号の受信に対応することができる。
【0108】
また例えば、本実施の形態に係る高周波回路1において、第1バンドは、さらに、第3地域で使用可能であってもよく、高周波回路1は、さらに、第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有するフィルタ350と、第3地域で使用可能な第4バンドの受信帯域を含む通過帯域を有するフィルタ361と、を備えてもよく、スイッチ510は、さらに、フィルタ350及び361を含む複数のフィルタに接続される端子515を含んでもよく、高周波回路1は、さらに、第3地域において、端子511又は512を端子515に接続して、第1バンド及び第4バンドの信号を同時に受信する第4モードと、第3地域において、端子511及び512を端子514及び515にそれぞれ接続して、第1バンドの2つの信号を同時に受信する第5モードと、を有してもよい。
【0109】
これによれば、第1地域~第3地域で使用可能な第1バンドのための3つのフィルタ310、330及び350が、スイッチ510の3つの端子513~515にそれぞれ接続される。このとき、フィルタ310は、3つの端子513~515には、第1地域で使用可能な第2バンドのためのフィルタ321と同じ端子513に接続される。フィルタ330は、第2地域で使用可能な第3バンドのためのフィルタ341と同じ端子514に接続される。フィルタ350は、第3地域で使用可能な第4バンドのためのフィルタ361と同じ端子515に接続される。したがって、フィルタ310、330及び350の各々がスイッチ510の端子に単独で接続される場合よりも、スイッチ510の端子数を削減することができる。その結果、スイッチ510の寄生容量を削減することができ、第1モード~第5モードにおけるNFを改善することができる。特に、第1モード、第2モード及び第4モードでは、2つのバンドの信号をスイッチ510の1つの端子に接続された複数のフィルタで同時に受信することができ、NFの改善に効果的である。また、新たにフィルタを追加することなく、同一バンドの2つの信号を2つのアンテナ接続端子101及び102を介して同時に受信する第3モード及び第5モードに対応することができる。
【0110】
また例えば、本実施の形態に係る高周波回路1において、第5モードは、MIMOのための通信モードであってもよい。
【0111】
これによれば、高周波回路1は、MIMOのための2信号の同時受信に対応することができ、他の高周波回路と合わせれば、MIMOのための4信号又は6信号の同時受信などにも対応することができる。
【0112】
また例えば、本実施の形態に係る高周波回路1では、第5モードにおいて、端子514に接続される複数のフィルタの数が端子513に接続される複数のフィルタの数よりも少ない場合に、端子511及び512を端子514及び515にそれぞれ接続して、第1バンドの2つの信号を同時に受信してもよく、端子514に接続される複数のフィルタの数が端子513に接続される複数のフィルタの数よりも少なくない場合に、端子511及び512を端子513及び515にそれぞれ接続して、第1バンドの2つの信号を同時に受信してもよい。
【0113】
これによれば、第3地域のMIMOにおいて、第1地域のための複数のフィルタが接続される端子513及び第2地域のための複数のフィルタが接続される端子514のうち、接続されている複数のフィルタの数が少ない方の端子を端子511に接続することができる。つまり、同時に接続されるフィルタがより少ないフィルタをMIMOの受信に用いることができ、MIMO時のNFを改善することができる。
【0114】
また例えば、本実施の形態に係る高周波回路1において、第4バンドは、LTEのためのBand25、Band30若しくはBand66、又は、5GNRのためのn25、n30若しくはn66であってもよい。
【0115】
これによれば、LTEのためのBand25、Band30若しくはBand66、又は、5GNRのためのn25、n30若しくはn66の信号の受信に対応することができる。
【0116】
また例えば、本実施の形態に係る高周波回路1において、フィルタ310及び350の各々は、第1バンドを含む通過帯域と第1地域及び第3地域で使用可能な第5バンドを含む通過帯域とに調整可能なフィルタであってもよく、高周波回路1は、さらに、第1地域において、端子511又は512を端子513に接続して、第2バンド及び第5バンドの信号を同時に受信する第6モードと、第3地域において、端子511又は512を端子515に接続して、第4バンド及び第5バンドの信号を同時に受信する第7モードと、を有してもよく、第1モード及び第3モードにおいて、フィルタ310の通過帯域は、第1バンドを含む通過帯域に調整されてもよく、第6モードにおいて、フィルタ310の通過帯域は、第5バンドを含む通過帯域に調整されてもよく、第4モード及び第5モードにおいて、フィルタ350の通過帯域は、第1バンドを含む通過帯域に調整されてもよく、第7モードにおいて、フィルタ350の通過帯域は、第5バンドを含む通過帯域に調整されてもよい。
【0117】
これによれば、第2バンドと同時受信可能な第1バンド及び第5バンドのためのフィルタを通過帯域を調整可能な1つのフィルタ310で実現することができ、第4バンドと同時受信可能な第1バンド及び第5バンドのためのフィルタを通過帯域を調整可能な1つのフィルタ350で実現することができる。したがって、フィルタの数を削減することができ、スイッチ510の端子数を削減することができる。その結果、スイッチ510の寄生容量を削減することができ、第1モード~第7モードにおけるNFを改善することができる。
【0118】
また例えば、本実施の形態に係る高周波回路1において、第5バンドは、LTEのためのBand7又は5GNRのためのn7であってもよい。
【0119】
これによれば、LTEのためのBand7又は5GNRのためのn7の信号の受信に対応することができる。
【0120】
また例えば、本実施の形態に係る高周波回路1において、フィルタ330は、第1バンドを含む通過帯域と第2地域で使用可能な第6バンドを含む通過帯域とに調整可能なフィルタであってもよく、第2モード、第3モード及び第5モードにおいて、フィルタ330の通過帯域は、第1バンドを含む通過帯域に調整されてもよい。
【0121】
これによれば、第1バンド及び第6バンドのためのフィルタを通過帯域を調整可能な1つのフィルタ330で実現することができる。したがって、フィルタの数を削減することができ、スイッチ510の端子数を削減することができる。その結果、スイッチ510の寄生容量を削減することができ、第1モード~第7モードにおけるNFを改善することができる。
【0122】
また例えば、本実施の形態に係る高周波回路1において、第6バンドは、LTEのためのBand53又は5GNRのためのn53であってもよい。
【0123】
これによれば、LTEのためのBand53又は5GNRのためのn53の信号の受信に対応することができる。
【0124】
また例えば、本実施の形態に係る高周波回路1は、さらに、フィルタ310に接続される低雑音増幅器210と、フィルタ330に接続される低雑音増幅器230と、低雑音増幅器210及び230に接続され、高周波回路1の外部から電源電圧を受ける電源電圧端子1310と、低雑音増幅器210及び230の少なくとも一方と電源電圧端子1310との間に接続されるローパスフィルタ410と、を備えてもよい。
【0125】
これによれば、低雑音増幅器210及び230の間の電源電圧の供給経路にローパスフィルタ410が接続されるので、第1バンドにおける低雑音増幅器210及び230の間のアイソレーションを向上させることができる。したがって、電源電圧の供給経路を介して低雑音増幅器210及び230の間で第1バンドの受信信号が漏洩することが抑制される。その結果、低雑音増幅器210で増幅される受信信号と低雑音増幅器230で増幅される受信信号との間の干渉が抑制され、NFを改善することができる。
【0126】
また例えば、本実施の形態に係る高周波回路1において、フィルタ310及び330は、弾性波フィルタであってもよく、同一の圧電体に実装されてもよい。
【0127】
これによれば、2つのフィルタ310及び330が別々の圧電体に実装される場合よりもフィルタ310及び330を小型化することができ、通信装置5の小型化に貢献することができる。
【0128】
本実施の形態に係る通信装置5は、高周波信号を処理するよう構成されたRFIC3と、RFIC3とアンテナ2a及び2bとの間で高周波信号を伝送するよう構成された上記高周波回路1と、を備える。
【0129】
これによれば、上記高周波回路1と同様の効果を通信装置5で実現することができる。
【0130】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態では、第1バンドを含む通過帯域と第5バンドを含む通過帯域とに調整可能な2つのフィルタが、第1バンドを含む通過帯域を有するフィルタと第5バンドを含む通過帯域を有するフィルタとに置き換えられ、置き換えられた2つのフィルタがスイッチを介して選択可能である点が上記実施の形態1と主として異なる。以下に、本実施の形態について、実施の形態1と異なる点を中心に図面を参照しながら説明する。
【0131】
[2.1 高周波回路1Aの回路構成]
本実施の形態に係る通信装置5Aは、高周波回路1の代わりに高周波回路1Aを備える点を除いて、実施の形態1に係る通信装置5と同様である。したがって、高周波回路1Aの回路構成について図9を参照しながら説明する。
【0132】
図9は、本実施の形態に係る通信装置5Aの回路構成図である。図9において、フィルタの横に記載されたBが付された番号は図1と同様である。
【0133】
なお、図9は、通信装置5A及び高周波回路1Aの例示的な回路構成を示し、通信装置5A及び高周波回路1Aは、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供される通信装置5A及び高周波回路1Aの説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0134】
高周波回路1Aは、アンテナ2a及び2bとRFIC3との間で高周波信号を伝送することができる。高周波回路1Aは、アンテナ接続端子101及び102と、低雑音増幅器210、221~223、230、241、242、250及び261~263と、フィルタ310A、321~323、330A、341、342、350A及び361~363と、ローパスフィルタ410と、スイッチ510A及び520Aと、高周波出力端子1210、1221~1223、1230、1241、1242、1250及び1261~1263と、電源電圧端子1310と、を備える。
【0135】
フィルタ310Aは、第1フィルタの一例であり、第1地域、第2地域及び第3地域で使用可能な第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する帯域通過フィルタである。フィルタ310Aは、スイッチ520Aと低雑音増幅器210との間に接続される。具体的には、フィルタ310Aの一端はスイッチ520Aの端子528に接続され、フィルタ310Aの他端は低雑音増幅器210の入力端に接続される。
【0136】
フィルタ330Aは、第3フィルタの一例であり、第1地域、第2地域及び第3地域で使用可能な第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する帯域通過フィルタである。フィルタ330Aは、スイッチ510Aと低雑音増幅器230との間に接続される。具体的には、フィルタ330Aの一端はスイッチ510Aの端子514に接続され、フィルタ330Aの他端は低雑音増幅器230の入力端に接続される。
【0137】
フィルタ350Aは、第5フィルタの一例であり、第1地域及び第3地域で使用可能な第5バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する帯域通過フィルタである。フィルタ350Aは、スイッチ520Aと低雑音増幅器250との間に接続される。具体的には、フィルタ350Aの一端はスイッチ520Aの端子529に接続され、フィルタ350Aの他端は低雑音増幅器250の入力端に接続される。
【0138】
このようなフィルタ310A、330A及び350Aとしては、SAWフィルタ、BAWフィルタ、LC共振フィルタ若しくは誘電体共振フィルタ、又は、これらの任意の組み合わせが用いられてもよく、さらには、これらには限定されない。なお、フィルタ310A及び330Aが弾性波フィルタである場合には、フィルタ310A及び330Aは、同一の圧電体に実装することができる。圧電体としては、例えばLiTaO、LiNbO、AlN、又は、ZnOの単結晶又はセラミックスを用いることができる。
【0139】
スイッチ510Aは、アンテナ接続端子101及び102とフィルタ310A、321~323、330A、341、342、350A及び361~363との間に接続される。具体的には、スイッチ510Aは、端子511~516を含む。端子511は、第1端子の一例であり、アンテナ接続端子101に接続される。端子512は、第2端子の一例であり、アンテナ接続端子102に接続される。端子513は、第3端子の一例であり、フィルタ321~323に接続される。端子514は、第4端子の一例であり、フィルタ330A、341及び342に接続される。端子515は、第5端子の一例であり、フィルタ361~363に接続される。端子516は、第6端子の一例であり、スイッチ520Aを介してフィルタ310A及び350Aに選択的に接続される。
【0140】
このような接続構成において、スイッチ510Aは、例えばRFIC3からの制御信号に基づいて、端子511及び512を端子513~516に接続することができる。つまり、スイッチ510Aは、端子511及び512の一方のみを端子513~516のいずれかに接続するか、端子511及び512を端子513~516の任意の2つにそれぞれ接続するかを切り替えることができる。スイッチ510Aは、例えばマルチ接続型のスイッチ回路で構成される。
【0141】
スイッチ520Aは、スイッチ510Aとフィルタ310A及び350Aとの間に接続される。具体的には、スイッチ520Aは、端子527~529を含む。端子527は、第7端子の一例であり、スイッチ510Aの端子516に接続される。端子528は、第8端子の一例であり、フィルタ310Aに接続される。端子529は、第9端子の一例であり、フィルタ350Aに接続される。
【0142】
このような接続構成において、スイッチ520Aは、例えばRFIC3からの制御信号に基づいて、端子527を端子528及び529に排他的に接続することができる。つまり、スイッチ520Aは、端子527を端子528に接続するか、端子527を端子529に接続するかを切り替えることができる。スイッチ520Aは、例えばSPDT(Single-Pole Double-Throw)型のスイッチ回路で構成される。
【0143】
[2.2 通信モード]
次に、本実施の形態に係る高周波回路1Aが有する通信モードであって2つの高周波信号を同時に受信するための通信モードについて説明する。
【0144】
[2.2.1 第1モード]
まず、第1モードについて図10を参照しながら説明する。図10は、本実施の形態に係る高周波回路1Aの第1モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。図10において、破線矢印は、受信信号の流れを表す。
【0145】
第1モードは、第1地域において第1バンド(B41)及び第2バンド(B1)の信号を同時に受信するための通信モードである。図10に示すように、スイッチ510Aは、端子511を端子513に接続し、かつ、端子512を端子516に接続する。さらに、スイッチ520Aは、端子527を端子528に接続する。これにより、フィルタ321~323がアンテナ接続端子101に接続され、フィルタ310Aがアンテナ接続端子102に接続される。
【0146】
その結果、第1バンドの受信信号は、アンテナ2bから、アンテナ接続端子102、スイッチ510A、スイッチ520A、フィルタ310A、低雑音増幅器210及び高周波出力端子1210を経由して、RFIC3に伝送される。第2バンドの受信信号は、アンテナ2bから、アンテナ接続端子101、スイッチ510A、フィルタ321、低雑音増幅器221及び高周波出力端子1221を経由して、RFIC3に伝送される。
【0147】
なお、図10において、LTEのためのBand1又は5GNRのn1の信号の代わりに、LTEのためのBand3若しくはBand40、又は、5GNRのn3若しくはn40の信号が受信されてもよい。また、端子511の代わりに端子512が端子513に接続され、端子512の代わりに端子511が端子516に接続されてもよい。
【0148】
[2.2.2 第2モード]
次に、第2モードについて図11を参照しながら説明する。図11は、本実施の形態に係る高周波回路1Aの第2モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。図11において、破線矢印は、受信信号の流れを表す。
【0149】
第2モードは、第2地域において第1バンド(B41)及び第3バンド(B34)の信号を同時に受信するための通信モードである。図11に示すように、スイッチ510Aは、端子511を端子514に接続する。これにより、フィルタ330A、341及び342がアンテナ接続端子101に接続される。
【0150】
その結果、第1バンドの受信信号は、アンテナ2aから、アンテナ接続端子101、スイッチ510A、フィルタ330A、低雑音増幅器230及び高周波出力端子1230を経由して、RFIC3に伝送される。第3バンドの受信信号は、アンテナ2aから、アンテナ接続端子101、スイッチ510A、フィルタ341、低雑音増幅器241及び高周波出力端子1241を経由して、RFIC3に伝送される。
【0151】
なお、図11において、LTEのためのBand34又は5GNRのn34の信号の代わりに、LTEのためのBand39又は5GNRのn39の信号が受信されてもよい。また、端子511の代わりに端子512が端子514に接続されてもよい。
【0152】
[2.2.3 第3モード]
次に、第3モードについて図12を参照しながら説明する。図12は、本実施の形態に係る高周波回路1Aの第3モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。図12において、破線矢印は、受信信号の流れを表す。
【0153】
第3モードは、第3地域において第1バンド(B41)及び第4バンド(B25)の信号を同時に受信するための通信モードである。図12に示すように、スイッチ510Aは、端子511を端子515に接続し、かつ、端子512を端子516に接続する。さらに、スイッチ520Aは、端子527を端子528に接続する。これにより、フィルタ361~363がアンテナ接続端子101に接続され、フィルタ310Aがアンテナ接続端子102に接続される。
【0154】
その結果、第1バンドの受信信号は、アンテナ2bから、アンテナ接続端子102、スイッチ510A、スイッチ520A、フィルタ310A、低雑音増幅器210及び高周波出力端子1210を経由して、RFIC3に伝送される。第4バンドの受信信号は、アンテナ2aから、アンテナ接続端子101、スイッチ510A、フィルタ361、低雑音増幅器261及び高周波出力端子1261を経由して、RFIC3に伝送される。
【0155】
なお、図12において、LTEのためのBand25又は5GNRのn25の信号の代わりに、LTEのためのBand30若しくはBand66、又は、5GNRのn30若しくはn66の信号が受信されてもよい。また、端子511の代わりに端子512が端子515に接続され、端子512の代わりに端子511が端子516に接続されてもよい。
【0156】
[2.2.4 第4モード]
次に、第4モードについて図13を参照しながら説明する。図13は、本実施の形態に係る高周波回路1Aの第4モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。図13において、破線矢印は、受信信号の流れを表す。
【0157】
第4モードは、第1地域、第2地域及び第3地域において第1バンド(B41)の2つの信号を同時に受信するための通信モードであり、例えばMIMOのための通信モードである。図13に示すように、スイッチ510Aは、端子511を端子514に接続し、かつ、端子512を端子516に接続する。さらに、スイッチ520Aは、端子527を端子528に接続する。これにより、フィルタ330A、341及び342がアンテナ接続端子101に接続され、フィルタ310Aがアンテナ接続端子102に接続される。
【0158】
その結果、第1バンドの2つの受信信号の一方は、アンテナ2aから、アンテナ接続端子101、スイッチ510A、フィルタ330A、低雑音増幅器230及び高周波出力端子1230を経由して、RFIC3に伝送される。第1バンドの2つの受信信号の他方は、アンテナ2bから、アンテナ接続端子102、スイッチ510A、スイッチ520A、フィルタ310A、低雑音増幅器210及び高周波出力端子1210を経由して、RFIC3に伝送される。
【0159】
このとき、ローパスフィルタ410によって、電源電圧の供給経路を介して低雑音増幅器210及び230の間で第1バンドの受信信号が漏洩することが抑制される。つまり、低雑音増幅器210で増幅される受信信号と低雑音増幅器230で増幅される受信信号との間の干渉が抑制される。
【0160】
なお、図13において、端子511の代わりに端子512が端子514に接続され、端子512の代わりに端子511が端子516に接続されてもよい。
【0161】
[2.2.5 第5モード]
まず、第5モードについて図14を参照しながら説明する。図14は、本実施の形態に係る高周波回路1Aの第5モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。図14において、破線矢印は、受信信号の流れを表す。
【0162】
第5モードは、第1地域において第2バンド(B1)及び第5バンド(B7)の信号を同時に受信するための通信モードである。図14に示すように、スイッチ510Aは、端子511を端子513に接続し、かつ、端子512を端子516に接続する。さらに、スイッチ520Aは、端子527を端子529に接続する。これにより、フィルタ321~323がアンテナ接続端子101に接続され、フィルタ350Aがアンテナ接続端子102に接続される。
【0163】
その結果、第2バンドの受信信号は、アンテナ2aから、アンテナ接続端子101、スイッチ510A、フィルタ321、低雑音増幅器221及び高周波出力端子1221を経由して、RFIC3に伝送される。第5バンドの受信信号は、アンテナ2bから、アンテナ接続端子102、スイッチ510A、スイッチ520A、フィルタ350A、低雑音増幅器250及び高周波出力端子1250を経由して、RFIC3に伝送される。
【0164】
なお、図14において、LTEのためのBand1又は5GNRのn1の信号の代わりに、LTEのためのBand3若しくはBand40、又は、5GNRのn3若しくはn40の信号が受信されてもよい。また、端子511の代わりに端子512が端子513に接続され、端子512の代わりに端子511が端子516に接続されてもよい。
【0165】
[2.2.6 第6モード]
次に、第6モードについて図15を参照しながら説明する。図15は、本実施の形態に係る高周波回路1Aの第6モードにおける接続状態及び高周波信号の流れを示す図である。図15において、破線矢印は、受信信号の流れを表す。
【0166】
第6モードは、第3地域において第4バンド(B25)及び第5バンド(B7)の信号を同時に受信するための通信モードである。図15に示すように、スイッチ510Aは、端子511を端子515に接続し、かつ、端子512を端子516に接続する。さらに、スイッチ520Aは、端子527を端子529に接続する。これにより、フィルタ361~363がアンテナ接続端子101に接続され、フィルタ350Aがアンテナ接続端子102に接続される。
【0167】
その結果、第4バンドの受信信号は、アンテナ2aから、アンテナ接続端子101、スイッチ510A、フィルタ361、低雑音増幅器261及び高周波出力端子1261を経由して、RFIC3に伝送される。第5バンドの受信信号は、アンテナ2bから、アンテナ接続端子102、スイッチ510A、スイッチ520A、フィルタ350A、低雑音増幅器250及び高周波出力端子1250を経由して、RFIC3に伝送される。
【0168】
なお、図15において、LTEのためのBand25又は5GNRのn25の信号の代わりに、LTEのためのBand30若しくはBand66、又は、5GNRのn30若しくはn66の信号が受信されてもよい。また、端子511の代わりに端子512が端子515に接続され、端子512の代わりに端子511が端子516に接続されてもよい。
【0169】
[2.2.7 通信モードのまとめ]
以上の第1モード~第6モードと当該モードで使用されるフィルタ及びバンドとの関係は、以下の表3のようにまとめられる。
【0170】
【表3】
【0171】
なお、第1モード~第6モードは、2つの信号を同時に受信するための通信モードを例示したものであり、高周波回路1Aで利用可能な通信モードは、第1モード~第6モードに限定されない。例えば、高周波回路1Aは、3つ以上の信号を同時に受信するための通信モードを有してもよい。具体的には、高周波回路1Aは、例えば、第1バンド(B41)の信号と第2バンド(B1)の信号と第2バンド(B3)とを同時に受信する通信モードを有してもよい。このような通信モードは、第1モードと同じ接続状態で実現され得る。また、高周波回路1Aは、1つのフィルタを用いて1つのバンドの1つの信号を受信するための通信モードをバンドごとに有してもよい。
【0172】
[2.3 効果など]
以上のように、本実施の形態に係る高周波回路1Aは、第1地域、第2地域及び第3地域で使用可能な第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有するフィルタ310Aと、第1地域で使用可能な第2バンドの受信帯域を含む通過帯域を有するフィルタ321と、第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有するフィルタ330Aと、第2地域で使用可能な第3バンドの受信帯域を含む通過帯域を有するフィルタ341と、第1地域及び第3地域で使用可能な第5バンドを含む通過帯域を有するフィルタ350Aと、第3地域で使用可能な第4バンドの受信帯域を含む通過帯域を有するフィルタ361と、アンテナ接続端子101に接続される端子511、アンテナ接続端子102に接続される端子512、フィルタ321に接続される端子513、フィルタ330A及びフィルタ341に接続される端子514、フィルタ361に接続される端子515、並びに、フィルタ310A及びフィルタ350Aに選択的に接続される端子516を含むスイッチ510Aと、スイッチ510Aの端子516に接続される端子527、フィルタ310Aに接続される端子528、及び、フィルタ350Aに接続される端子529を含むスイッチ520Aと、を備え、第1地域において、端子511及び512を端子513及び516にそれぞれ接続し、かつ、端子527を端子528に接続して、第1バンド及び第2バンドの信号を同時に受信する第1モードと、第2地域において、端子511又は512を端子514に接続して、第1バンド及び第3バンドの信号を同時に受信する第2モードと、第3地域において、端子511及び512を端子515及び516にそれぞれ接続し、かつ、端子527を端子528に接続して、第1バンド及び第4バンドの信号を同時に受信する第3モードと、第1地域、第2地域及び第3地域において、端子511及び512を端子514及び516にそれぞれ接続し、かつ、端子527を端子528に接続して、第1バンドの2つの信号を同時に受信する第4モードと、第1地域において、端子511及び512を端子513及び516にそれぞれ接続し、かつ、端子527を端子529に接続して、第2バンド及び第5バンドの信号を同時に受信する第5モードと、第3地域において、端子511及び512を端子515及び516にそれぞれ接続し、かつ、端子527を端子529に接続して、第4バンド及び第5バンドの信号を同時に受信する第6モードと、を有する。
【0173】
これによれば、第1地域~第3地域で使用可能な第1バンドのためのフィルタ330Aが、第2地域で使用可能な第3バンドのためのフィルタ341が接続されるスイッチ510Aの端子514に接続される。したがって、フィルタ330Aがスイッチ510Aの端子に単独で接続される場合よりも、スイッチ510Aの端子数を削減することができる。その結果、スイッチ510Aの寄生容量を削減することができ、第1モード~第6モードにおけるNFを改善することができる。特に、第2モードでは、第1バンド及び第3バンドの信号をスイッチ510Aの1つの端子514に接続されたフィルタ330A及び341を用いて同時に受信することができ、NFの改善に効果的である。また、第1バンド及び第5バンドのためのフィルタを2つのフィルタ310A及び350Aに分けることができ、調整可能なフィルタが用いられる場合よりもフィルタ310A及び350Aの特性(例えば通過損失など)を改善することができる。
【0174】
また例えば、本実施の形態に係る高周波回路1Aにおいて、第4モードは、MIMOのための通信モードであってもよい。
【0175】
これによれば、高周波回路1Aは、MIMOのための2信号の同時受信に対応することができ、他の高周波回路と合わせれば、MIMOのための4信号又は6信号の同時受信などにも対応することができる。
【0176】
また例えば、本実施の形態に係る高周波回路1Aにおいて、第1バンドは、LTEのためのBand41又は5GNRのためのn41であってもよく、第2バンドは、LTEのためのBand1、Band3若しくはBand40、又は、5GNRのためのn1、n3若しくはn40であってもよく、第3バンドは、LTEのためのBand34若しくはBand39、又は、5GNRのためのn34若しくはn39であってもよく、第4バンドは、LTEのためのBand25、Band30若しくはBand66、又は、5GNRのためのn25、n30若しくはn66であってもよく、第5バンドは、LTEのためのBand7又は5GNRのためのn7であってもよい。
【0177】
これによれば、LTE及び/又は5GNRのためのバンドの信号の受信に対応することができる。
【0178】
また例えば、本実施の形態に係る高周波回路1Aは、さらに、フィルタ310Aに接続される低雑音増幅器210と、フィルタ330Aに接続される低雑音増幅器230と、低雑音増幅器210及び230に接続され、高周波回路1Aの外部から電源電圧を受ける電源電圧端子1310と、低雑音増幅器210及び230の少なくとも一方と電源電圧端子1310との間に接続されるローパスフィルタ410と、を備えてもよい。
【0179】
これによれば、低雑音増幅器210及び230の間の電源電圧の供給経路にローパスフィルタ410が接続されるので、第1バンドにおける低雑音増幅器210及び230の間のアイソレーションを向上させることができる。したがって、電源電圧の供給経路を介して低雑音増幅器210及び230の間で第1バンドの受信信号が漏洩することが抑制される。その結果、低雑音増幅器210で増幅される受信信号と低雑音増幅器230で増幅される受信信号との間の干渉が抑制され、NFを改善することができる。
【0180】
また例えば、本実施の形態に係る高周波回路1Aにおいて、フィルタ310A及び330Aは、弾性波フィルタであってもよく、同一の圧電体に実装されてもよい。
【0181】
これによれば、2つのフィルタ310A及び330Aが別々の圧電体に実装される場合よりもフィルタ310A及び330Aを小型化することができ、通信装置5Aの小型化に貢献することができる。
【0182】
本実施の形態に係る通信装置5Aは、高周波信号を処理するよう構成されたRFIC3と、RFIC3とアンテナ2a及び2bとの間で高周波信号を伝送するよう構成された上記高周波回路1Aと、を備える。
【0183】
これによれば、上記高周波回路1Aと同様の効果を通信装置5Aで実現することができる。
【0184】
(他の実施の形態)
以上、本発明の一態様に係る高周波回路及び通信装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明に係る高周波回路及び通信装置は、上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、上記実施の形態に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、上記高周波回路を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
【0185】
例えば、上記各実施の形態に係る高周波回路及び通信装置の回路構成において、図面に開示された各回路素子及び信号経路を接続する経路の間に、別の回路素子及び配線などが挿入されてもよい。例えば、低雑音増幅器とフィルタとの間にインピーダンス整合回路が挿入されてもよい。また例えば、フィルタとスイッチとの間にインピーダンス整合回路が挿入されてもよい。このとき、インピーダンス整合回路は、例えばインダクタ及び/又はキャパシタで構成することができるが、特に限定されない。また例えば、複数の低雑音増幅器と複数の高周波出力端子との間にスイッチが挿入されてもよい。このとき、複数の高周波出力端子の数は削減されてもよい。
【0186】
なお、上記各実施の形態では、第1地域、第2地域及び第3地域がそれぞれ欧州、中国及び米国である場合について説明したが、第1地域、第2地域及び第3地域は、これらに限定されない。例えば、第1地域、第2地域及び第3地域は、互いに入れ替えられてもよい。また例えば、第1地域、第2地域及び第3地域の一部又は全部は、他の地域に置き換えられてもよい。
【0187】
また、上記各実施の形態では、高周波回路は、送信経路を備えていなかったが、送信経路を備えてもよい。
【0188】
<1>
第1地域及び第2地域で使用可能な第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第1フィルタと、
前記第1地域で使用可能な第2バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第2フィルタと、
前記第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第3フィルタと、
前記第2地域で使用可能な第3バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第4フィルタと、
第1アンテナ接続端子に接続される第1端子、第2アンテナ接続端子に接続される第2端子、前記第1フィルタ及び前記第2フィルタを含む複数のフィルタに接続される第3端子、並びに、前記第3フィルタ及び前記第4フィルタを含む複数のフィルタに接続される第4端子を含むスイッチと、を備え、
前記第1地域において、前記第1端子又は前記第2端子を前記第3端子に接続して、前記第1バンド及び前記第2バンドの信号を同時に受信する第1モードと、
前記第2地域において、前記第1端子又は前記第2端子を前記第4端子に接続して、前記第1バンド及び前記第3バンドの信号を同時に受信する第2モードと、
前記第1地域及び前記第2地域において、前記第1端子及び前記第2端子を前記第3端子及び前記第4端子にそれぞれ接続して、前記第1バンドの2つの信号を同時に受信する第3モードと、を有する、
高周波回路。
【0189】
<2>
前記第3モードは、MIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)のための通信モードである、
<1>に記載の高周波回路。
【0190】
<3>
前記第1バンドは、LTE(Long Term Evolution)のためのBand41又は5GNR(5th Generation New Radio)のためのn41であり、
前記第2バンドは、LTEのためのBand1、Band3若しくはBand40、又は、5GNRのためのn1、n3若しくはn40であり、
前記第3バンドは、LTEのためのBand34若しくはBand39、又は、5GNRのためのn34若しくはn39である、
<1>又は<2>に記載の高周波回路。
【0191】
<4>
前記第1バンドは、さらに、第3地域で使用可能であり、
前記高周波回路は、さらに、
前記第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第5フィルタと、
前記第3地域で使用可能な第4バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第6フィルタと、を備え、
前記スイッチは、さらに、前記第5フィルタ及び前記第6フィルタを含む複数のフィルタに接続される第5端子を含み、
前記高周波回路は、さらに、
前記第3地域において、前記第1端子又は前記第2端子を前記第5端子に接続して、前記第1バンド及び前記第4バンドの信号を同時に受信する第4モードと、
前記第3地域において、前記第1端子及び前記第2端子を前記第4端子及び前記第5端子にそれぞれ接続して、前記第1バンドの2つの信号を同時に受信する第5モードと、を有する、
<1>~<3>のいずれか1つに記載の高周波回路。
【0192】
<5>
前記第5モードは、MIMOのための通信モードである、
<4>に記載の高周波回路。
【0193】
<6>
前記第5モードにおいて、
前記第4端子に接続される前記複数のフィルタの数が前記第3端子に接続される前記複数のフィルタの数よりも少ない場合に、前記第1端子及び前記第2端子を前記第4端子及び前記第5端子にそれぞれ接続して、前記第1バンドの2つの信号を同時に受信し、
前記第4端子に接続される前記複数のフィルタの数が前記第3端子に接続される前記複数のフィルタの数よりも少なくない場合に、前記第1端子及び前記第2端子を前記第3端子及び前記第5端子にそれぞれ接続して、前記第1バンドの2つの信号を同時に受信する、
<4>又は<5>に記載の高周波回路。
【0194】
<7>
前記第4バンドは、LTEのためのBand25、Band30若しくはBand66、又は、5GNRのためのn25、n30若しくはn66である、
<4>~<6>のいずれか1つに記載の高周波回路。
【0195】
<8>
前記第1フィルタ及び前記第5フィルタの各々は、前記第1バンドを含む通過帯域と前記第1地域及び前記第3地域で使用可能な第5バンドを含む通過帯域とに調整可能なフィルタであり、
前記高周波回路は、さらに、
前記第1地域において、前記第1端子又は前記第2端子を前記第3端子に接続して、前記第2バンド及び前記第5バンドの信号を同時に受信する第6モードと、
前記第3地域において、前記第1端子又は前記第2端子を前記第5端子に接続して、前記第4バンド及び前記第5バンドの信号を同時に受信する第7モードと、を有し、
前記第1モード及び前記第3モードにおいて、前記第1フィルタの通過帯域は、前記第1バンドを含む通過帯域に調整され、
前記第6モードにおいて、前記第1フィルタの通過帯域は、前記第5バンドを含む通過帯域に調整され、
前記第4モード及び前記第5モードにおいて、前記第5フィルタの通過帯域は、前記第1バンドを含む通過帯域に調整され、
前記第7モードにおいて、前記第5フィルタの通過帯域は、前記第5バンドを含む通過帯域に調整される、
<4>~<7>のいずれか1つに記載の高周波回路。
【0196】
<9>
前記第5バンドは、LTEのためのBand7又は5GNRのためのn7である、
<8>に記載の高周波回路。
【0197】
<10>
前記第3フィルタは、前記第1バンドを含む通過帯域と前記第2地域で使用可能な第6バンドを含む通過帯域とに調整可能なフィルタであり、
前記第2モード、前記第3モード及び前記第5モードにおいて、前記第3フィルタの通過帯域は、前記第1バンドを含む通過帯域に調整される、
<4>~<9>のいずれか1つに記載の高周波回路。
【0198】
<11>
前記第6バンドは、LTEのためのBand53又は5GNRのためのn53である、
<10>に記載の高周波回路。
【0199】
<12>
前記高周波回路は、さらに、
前記第1フィルタに接続される第1低雑音増幅器と、
前記第3フィルタに接続される第2低雑音増幅器と、
前記第1低雑音増幅器及び前記第2低雑音増幅器に接続され、前記高周波回路の外部から電源電圧を受ける電源電圧端子と、
前記第1低雑音増幅器及び前記第2低雑音増幅器の少なくとも一方と前記電源電圧端子との間に接続されるローパスフィルタと、を備える、
<1>~<11>のいずれか1つに記載の高周波回路。
【0200】
<13>
前記第1フィルタ及び前記第3フィルタは、弾性波フィルタであり、同一の圧電体に実装されている、
<1>~<12>のいずれか1つに記載の高周波回路。
【0201】
<14>
高周波信号を処理するよう構成された信号処理回路と、
前記信号処理回路とアンテナとの間で高周波信号を伝送するよう構成された、<1>~<13>のいずれか1つに記載の高周波回路と、を備える、
通信装置。
【0202】
<15>
第1地域、第2地域及び第3地域で使用可能な第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第1フィルタと、
前記第1地域で使用可能な第2バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第2フィルタと、
前記第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第3フィルタと、
前記第2地域で使用可能な第3バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第4フィルタと、
前記第1地域及び前記第3地域で使用可能な第5バンドを含む通過帯域を有する第5フィルタと、
前記第3地域で使用可能な第4バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する第6フィルタと、
第1アンテナ接続端子に接続される第1端子、第2アンテナ接続端子に接続される第2端子、前記第2フィルタに接続される第3端子、前記第3フィルタ及び前記第4フィルタに接続される第4端子、前記第6フィルタに接続される第5端子、並びに、前記第1フィルタ及び前記第5フィルタに選択的に接続される第6端子を含む第1スイッチと、
前記第1スイッチの前記第6端子に接続される第7端子、前記第1フィルタに接続される第8端子、及び、前記第5フィルタに接続される第9端子を含む第2スイッチと、を備え、
前記第1地域において、前記第1端子及び前記第2端子を前記第3端子及び前記第6端子にそれぞれ接続し、かつ、前記第7端子を前記第8端子に接続して、前記第1バンド及び前記第2バンドの信号を同時に受信する第1モードと、
前記第2地域において、前記第1端子又は前記第2端子を前記第4端子に接続して、前記第1バンド及び前記第3バンドの信号を同時に受信する第2モードと、
前記第3地域において、前記第1端子及び前記第2端子を前記第5端子及び前記第6端子にそれぞれ接続し、かつ、前記第7端子を前記第8端子に接続して、前記第1バンド及び前記第4バンドの信号を同時に受信する第3モードと、
前記第1地域、前記第2地域及び前記第3地域において、前記第1端子及び前記第2端子を前記第4端子及び前記第6端子にそれぞれ接続し、かつ、前記第7端子を前記第8端子に接続して、前記第1バンドの2つの信号を同時に受信する第4モードと、
前記第1地域において、前記第1端子及び前記第2端子を前記第3端子及び前記第6端子にそれぞれ接続し、かつ、前記第7端子を前記第9端子に接続して、前記第2バンド及び前記第5バンドの信号を同時に受信する第5モードと、
前記第3地域において、前記第1端子及び前記第2端子を前記第5端子及び前記第6端子にそれぞれ接続し、かつ、前記第7端子を前記第9端子に接続して、前記第4バンド及び前記第5バンドの信号を同時に受信する第6モードと、を有する、
高周波回路。
【0203】
<16>
前記第4モードは、MIMOのための通信モードである、
<15>に記載の高周波回路。
【0204】
<17>
前記第1バンドは、LTEのためのBand41又は5GNRのためのn41であり、
前記第2バンドは、LTEのためのBand1、Band3若しくはBand40、又は、5GNRのためのn1、n3若しくはn40であり、
前記第3バンドは、LTEのためのBand34若しくはBand39、又は、5GNRのためのn34若しくはn39であり、
前記第4バンドは、LTEのためのBand25、Band30若しくはBand66、又は、5GNRのためのn25、n30若しくはn66であり、
前記第5バンドは、LTEのためのBand7又は5GNRのためのn7である、
<15>又は<16>に記載の高周波回路。
【0205】
<18>
前記高周波回路は、さらに、
前記第1フィルタに接続される第1低雑音増幅器と、
前記第3フィルタに接続される第2低雑音増幅器と、
前記第1低雑音増幅器及び前記第2低雑音増幅器に接続され、前記高周波回路の外部から電源電圧を受ける電源電圧端子と、
前記第1低雑音増幅器及び前記第2低雑音増幅器の少なくとも一方と前記電源電圧端子との間に接続されるローパスフィルタと、を備える、
<15>~<17>のいずれか1つに記載の高周波回路。
【0206】
<19>
前記第1フィルタ及び前記第3フィルタは、弾性波フィルタであり、同一の圧電体に実装されている、
<15>~<18>のいずれか1つに記載の高周波回路。
【0207】
<20>
高周波信号を処理するよう構成された信号処理回路と、
前記信号処理回路とアンテナとの間で高周波信号を伝送するよう構成された、<15>~<19>のいずれか1つに記載の高周波回路と、を備える、
通信装置。
【産業上の利用可能性】
【0208】
本発明は、フロントエンド部に配置される高周波回路として、携帯電話などの通信機器に広く利用できる。
【符号の説明】
【0209】
1、1A 高周波回路
2a、2b アンテナ
3 RFIC
4 BBIC
5、5A 通信装置
101、102 アンテナ接続端子
210、221、222、223、230、241、242、250、261、262、263 低雑音増幅器
310、310A、321、322、323、330、330A、341、342、350、350A、361、362、363 フィルタ
410 ローパスフィルタ
510、510A、520A スイッチ
511、512、513、514、515、516、527、528、529 端子
1210、1221、1222、1223、1230、1241、1242、1250、1261、1262、1263 高周波出力端子
1310 電源電圧端子
図1
図2
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