IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社マルトミレンタの特許一覧

<>
  • 特開-移動支援装置 図1
  • 特開-移動支援装置 図2
  • 特開-移動支援装置 図3
  • 特開-移動支援装置 図4
  • 特開-移動支援装置 図5
  • 特開-移動支援装置 図6
  • 特開-移動支援装置 図7
  • 特開-移動支援装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119423
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】移動支援装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/14 20060101AFI20240827BHJP
   A61G 5/10 20060101ALI20240827BHJP
   A61G 5/12 20060101ALI20240827BHJP
   A61G 5/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
A61G5/14
A61G5/10 704
A61G5/12 701
A61G5/10 703
A61G5/00 701
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026309
(22)【出願日】2023-02-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年7月24日に出願人ホームページ<https://marutomi-careheart.com/information/%e3%82%89%e3%81%8f%e3%81%a1%e3%82%93%e7%a7%bb%e5%8b%95%e6%a9%9f%e4%bb%ae%ef%bc%89%e6%83%85%e5%a0%b1/>にて発表
(71)【出願人】
【識別番号】517076282
【氏名又は名称】株式会社マルトミレンタ
(74)【代理人】
【識別番号】100218969
【弁理士】
【氏名又は名称】室伏 千恵子
(72)【発明者】
【氏名】冨田 博文
(57)【要約】
【課題】補助者の負担を軽減できる移動支援装置を提供する。
【解決手段】移動支援装置1は、第1柱11と、第2柱21と、第1着座部12と、第2着座部22とを備える。第1柱11は、軸方向がZ軸方向である。第2柱21は、軸方向がZ軸方向である。第1柱11及び第2柱21は、X軸方向に互いに離隔して設けられる。第1着座部12は、一端において第1柱11に接続され、第1柱11の軸周りに回転可能である。第2着座部22は、一端において第2柱21に接続され、第2柱21の軸周りに回転可能である。したがって回転を利用して少ない力で補助者の腿の下部に着座部を滑り込ませることができる。これにより補助者の負担を軽減できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1柱と、第2柱と、第1着座部と、第2着座部とを備え、
前記第1柱は、軸方向がZ軸方向であり、
前記第2柱は、軸方向がZ軸方向であり、
前記第1柱及び前記第2柱は、X軸方向に互いに離隔して設けられ、
前記第1着座部は、一端において前記第1柱に接続され、前記第1柱の軸周りに回転可能であり、
前記第2着座部は、一端において前記第2柱に接続され、前記第2柱の軸周りに回転可能である
移動支援装置。
【請求項2】
被補助者又は補助者の入力を受け付ける入力装置と、
前記第1柱及び前記第2柱のZ軸方向の長さを前記入力に応じた長さに伸縮させる駆動装置と
をさらに備える、請求項1に記載の移動支援装置。
【請求項3】
第1支持部と、第2支持部とをさらに備え、
前記第1着座部は、Y軸負方向側において前記第1柱の軸周りに回転可能であり、
前記第2着座部は、Y軸負方向側において前記第2柱の軸周りに回転可能であり、
前記第1支持部は、前記第1柱のZ軸負方向側の端部に接続され、前記第1柱を基準としてY軸負方向側に突出する部材であり、
前記第2支持部は、前記第2柱のZ軸負方向側の端部に接続され、前記第1柱を基準としてY軸負方向側に突出する部材である
請求項1に記載の移動支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動支援装置に関し、特に着座状態の被補助者を移動させるための移動支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
着座状態から立ち上がり、別の場所に移動することは、要介護者にとって大きな負担である。そこで着座状態の被補助者を、体を浮かせることなく乗り移らせて、別の場所に移動させるための移動支援装置が提案されている。例えば特許文献1には、移動補助具の座が複数に分割され、分割された座がそれぞれ独立に、被補助者の正面中央部から膝の向きに対して斜めの角度で、腿あるいは腿の付け根の下に向けて水平に滑り込むように伸縮する移動補助具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-160986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし特許文献1に記載の方法では、座を伸ばす間、座の端面が被補助者の腿と絶えず接触しながら腿を押し上げていくため、座を滑り込ませるために大きな力を要する場合がある。したがって補助者の負担を軽減することが求められている。
【0005】
本開示の目的は、上述した課題に鑑み、補助者の負担を軽減できる移動支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様にかかる移動支援装置は、第1柱と、第2柱と、第1着座部と、第2着座部とを備える。前記第1柱は、軸方向がZ軸方向である。前記第2柱は、軸方向がZ軸方向である。前記第1柱及び前記第2柱は、X軸方向に互いに離隔して設けられる。前記第1着座部は、一端において前記第1柱に接続され、前記第1柱の軸周りに回転可能である。前記第2着座部は、一端において前記第2柱に接続され、前記第2柱の軸周りに回転可能である。したがって回転を利用して少ない力で補助者の腿の下部に着座部を滑り込ませることができる。これにより補助者の負担を軽減できる。
【0007】
前記移動支援装置は、被補助者又は補助者の入力を受け付ける入力装置と、前記第1柱及び前記第2柱のZ軸方向の長さを前記入力に応じた長さに伸縮させる駆動装置とをさらに備えてよい。電動化により着座部を容易に上下可能とすることで、被補助者は体型を問わず移動支援装置を使用できる。
【0008】
前記移動支援装置は、第1支持部と、第2支持部とをさらに備えてよい。前記第1着座部は、Y軸負方向側において前記第1柱の軸周りに回転可能であってよい。前記第2着座部は、Y軸負方向側において前記第2柱の軸周りに回転可能であってよい。前記第1支持部は、前記第1柱のZ軸負方向側の端部に接続され、前記第1柱を基準としてY軸負方向側に突出する部材であってよい。前記第2支持部は、前記第2柱のZ軸負方向側の端部に接続され、前記第1柱を基準としてY軸負方向側に突出する部材であってよい。ベッド等の下側の空間に支持部を滑り込ませることで、移動支援装置の着座部をベッドの脇に座る被補助者の体に近づけることができる。したがって補助者が被補助者を着座部に着座させやすくなる。
【発明の効果】
【0009】
本開示により、補助者の負担を軽減できる移動支援装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】着座部の閉状態における移動支援装置の斜視図の一例である。
図2】着座部の閉状態における移動支援装置の上面図の一例である。
図3】着座部の閉状態における移動支援装置の正面図の一例である。
図4】着座部の閉状態における移動支援装置の側面図の一例である。
図5】着座部の開状態における移動支援装置の斜視図の一例である。
図6】着座部の開状態における移動支援装置の上面図の一例である。
図7】高さ調節時の移動支援装置の斜視図の一例である。
図8】取手収納時の移動支援装置の斜視図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0012】
図1は、着座部の閉状態における移動支援装置1の斜視図の一例である。図2図3及び図4は、着座部の閉状態における移動支援装置1の上面図、正面図及び側面図の一例である。移動支援装置1は、ベッド等に着座している状態の被補助者を着座状態のまま乗り移らせて、別の場所に移動させるための装置である。
【0013】
以下の図面においてX軸、Y軸及びZ軸は、互いに垂直な軸である。X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、それぞれ左右方向、前後方向及び上下方向とも称される。特にX軸正方向は右方向とも称され、X軸負方向は左方向とも称される。またY軸正方向は、被補助者の正面方向であり、被補助者が移動支援装置1に着座して移動する場合の進行方向である。Y軸正方向は、前方向とも称される。Y軸負方向は後方向とも称される。またZ軸正方向は地面から離れる方向、つまり上方であり、Z軸負方向は、地面に近づく方向、つまり下方である。
【0014】
移動支援装置1は、主に複数の柱と、複数に分割された着座部と、複数の支持部と、複数のキャスタを備える。複数の柱の各々は、上下方向に伸縮可能である。複数の柱の各々は、複数の着座部の各々に対応し、各着座部にかかる被補助者の体重を他の着座部と分担して支える。着座部は開閉可能となっている。複数の支持部の各々は、複数の柱の各々に対応する。各支持部は、前後方向に延びる長尺体である。各支持部は、対応する柱の下側、つまり足元側において、対応する柱を支持する。各支持部には、複数のキャスタが接続される。
【0015】
図1に示すように移動支援装置1は略左右対称の構造を有してよい。例えば複数の柱は、左右方向に互いに離隔して設けられる第1柱11及び第2柱21を含む。また複数の着座部は、左右方向に互いに離隔して設けられる第1着座部12及び第2着座部22を含む。また複数の支持部は、左右方向に互いに離隔して設けられる第1支持部13及び第2支持部23を含む。
【0016】
(第1柱11及び第2柱21)
以下では、第1柱11及び第2柱21のいずれか一方を区別なく指すとき、又は両方を指すとき、単に柱と称することがある。
【0017】
第1柱11は、軸方向が高さ方向である棒状又は管状部材である。第1柱11は、左右方向において移動支援装置1の中央を基準として右側に設けられる。第1柱11は、第1着座部12を、第1中間接続部110において支持する。
【0018】
第1中間接続部110は、第1柱11における第1着座部12との接続領域であり、高さ方向において第1柱11の上端と下端との間の任意の位置に設けられる。
【0019】
第1柱11は、伸縮可能な構造を有する。一例として第1柱11は棒状部材と筒状部材とを含んでよい。筒状部材は、棒状部材と同一軸上に設けられ、断面において棒状部材よりも大きな寸法の空洞を有する。つまり第1柱11は筒状部材内に棒状部材が収容可能な入れ子構造となっている。棒状部材は高さ方向において摺動可能かつ任意の位置で静止可能な構造を有する。
【0020】
第2柱21は、軸方向が高さ方向である棒状又は管状部材である。第2柱21は、左右方向において移動支援装置1の中央を基準として左側に設けられる。第2柱21は、第2着座部22を、第2中間接続部210において支持する。
【0021】
第2中間接続部210は、第2柱21における第2着座部22との接続領域であり、高さ方向において第2柱21の上端と下端との間の任意の位置に設けられる。
【0022】
第2柱21も、第1柱11と同様に伸縮可能な構造を有する。一例として第2柱21は棒状部材と筒状部材とを含んでよい。筒状部材は、棒状部材と同一軸上に設けられ、断面において棒状部材よりも大きな寸法の空洞を有する。つまり第2柱21は筒状部材内に棒状部材が収容可能な入れ子構造となっている。棒状部材は高さ方向において摺動可能かつ任意の位置で静止可能な構造を有する。
【0023】
(第1着座部12及び第2着座部22)
以下では、第1着座部12及び第2着座部22のいずれか一方を区別なく指すとき、又は両方を指すとき、単に着座部と称することがある。
【0024】
第1着座部12は、被補助者の右側の体重を支える板状部材である。第1着座部12は、一端が第1柱11の第1中間接続部110に接続される。
【0025】
第2着座部22は、被補助者の左側の体重を支える板状部材である。第2着座部22は、一端が第2柱21の第2中間接続部210に接続される。
【0026】
図2に示すように、第1着座部12及び第2着座部22は、移動支援装置1の左右方向における中央を通るXY平面を基準として左右対称な形状を有する。
【0027】
そして第1着座部12及び第2着座部22の間には空間が存在する。具体的には、第1着座部12は、上面視において、左側の辺が右に向かって凹んだ形状を有する。また第2着座部22は、上面視において、右側の辺が左に向かって凹んだ形状を有する。この凹みによって空間が形成されている。
【0028】
上記空間によって、被補助者が着座部の上に乗った場合に、着座した状態のまま被補助者の臀部を下方に露出できる。この空間の下方には容器60が設けられており、被補助者は移動支援装置1に着座したまま容易に排泄できる。なお容器60は必須ではない。また容器60は必要に応じて取り外し可能であってよい。
【0029】
なお図2では、第1着座部12及び第2着座部22は、閉状態において互いに接触しないように構成されているが、接触してもよい。
【0030】
(第1支持部13及び第2支持部23)
以下では、第1支持部13及び第2支持部23のいずれか一方を区別なく指すとき、又は両方を指すとき、単に支持部と称することがある。
【0031】
第1支持部13は、前後方向に延びる棒状又は管状部材である。第1支持部13は、第1柱11の下側の端部である第1下側接続部112に接続される。そして第1支持部13は、第1柱11を基準として後方に突出するように構成される。これにより、ベッドの下側の空間に第1支持部13を滑り込ませることで、移動支援装置1の第1着座部12をベッドの脇に座る被補助者の体に近づけることができる。したがって補助者が被補助者を着座部に着座させやすくなる。
【0032】
第1支持部13の前後方向の端部には、地面と接触する一対のキャスタである第1後方キャスタ14及び第1前方キャスタ15が、取付部材を介して接続される。
【0033】
第2支持部23は、前後方向に延びる棒状又は管状部材である。第2支持部23は、第2柱21の下側の端部である第2下側接続部212に接続される。そして第2支持部23は、第2柱21を基準として後方に突出するように構成される。これにより、ベッドの下側の空間に第1支持部13を滑り込ませることで、移動支援装置1の第2着座部22をベッドの脇に座る被補助者の体に近づけることができる。したがって補助者が被補助者を着座部に着座させやすくなる。
【0034】
第2支持部23の前後方向の端部には、地面と接触する一対のキャスタである第2後方キャスタ24及び第2前方キャスタ25が接続される。
【0035】
つまり被補助者の体重は、2つの着座部、2つの柱及び2つの支持部を介して、4点で支えられることになる。したがって2点や3点で支持する場合と比べて移動支援装置1の強度が増し、また着座及び移動時の安定性が増す。これにより被補助者の体型を問わず、被補助者は移動支援装置1を使用できる。
【0036】
なお着座部は柱よりも後方側に位置するため、移動支援装置1の重心は柱よりも後方側に位置する。したがって前後の安定性を高めるため、第1後方キャスタ14と第1下側接続部112との間の距離は、第1前方キャスタ15と第1下側接続部112との間の距離よりも大きい。また第2後方キャスタ24と第2下側接続部212との間の距離は、第2前方キャスタ25と第2下側接続部212との間の距離よりも大きい。
【0037】
このように移動支援装置1では、被補助者の体重を複数の着座部、複数の柱及び複数の支持部で支えるため、着座及び移動時の安定性が増す。これにより被補助者の体型を問わず、被補助者は移動支援装置1を使用できる。
【0038】
さらに移動支援装置1は、上記構成に加えて、第1取手16及び第2取手26と、第1肘掛17及び第2肘掛27と、第1背板18及び第2背板28と、筐体30と、横部材40とを備えてよい。
【0039】
(第1取手16及び第2取手26)
以下では、第1取手16及び第2取手26のいずれか一方を区別なく指すとき、又は両方を指すとき、単に取手と称することがある。
【0040】
第1取手16は、一端が第1柱11の上端に接続される取手である。第2取手26は、一端が第2柱21の上端に接続される取手である。例えば第1取手16及び第2取手26は、湾曲形状を有し、他端が第1柱11及び第2柱21よりも前方に突出している。より具体的には、その軸がある点を境に、上下方向から前後方向に変化する。補助者は、第1取手16及び第2取手26を把持して、移動支援装置1を押したり引いたりすることが容易となる。
【0041】
(第1肘掛17及び第2肘掛27)
以下では、第1肘掛17及び第2肘掛27のいずれか一方を区別なく指すとき、又は両方を指すとき、単に肘掛と称することがある。
【0042】
第1肘掛17は、被補助者の右腕を支持する部材である。第1肘掛17は、第1柱11の上側の端部である第1上側接続部111に接続される。そして第1肘掛17は、第1上側接続部111を基準として後方に突出するように設けられる。第2肘掛27は、被補助者の左腕を支持する部材である。第2肘掛27は、第2柱21の上側の端部である第2上側接続部211に接続される。そして第2肘掛27は、第2上側接続部211を基準として後方に突出するように設けられる。
【0043】
(第1背板18及び第2背板28)
以下では、第1背板18及び第2背板28のいずれか一方を区別なく指すとき、又は両方を指すとき、単に背板と称することがある。
【0044】
第1背板18は、被補助者の背中の右側を支持する部材である。第1背板18は、右端において第1肘掛17の後方端と接続される。また第1背板18は、下端において第1着座部12を支持するフレームを介して第1着座部12に接続される。第2背板28は、被補助者の背中の左側を支持する部材である。第2背板28は、左端において第2肘掛27の後方端部と接続される。また第2背板28は、下端において第2着座部22を支持するフレームを介して第2着座部22に接続される。
【0045】
(筐体30)
筐体30は、第1柱11及び第2柱21の下側に設けられる、長手方向が左右方向である箱状部材である。具体的には筐体30は、第1柱11の下方端部及び第2柱21の下方端部の間を左右方向に懸架する。筐体30は、被補助者の足掛けとして機能する。なお筐体30の設置位置は変更可能であってよい。
【0046】
(横部材40)
横部材40は、第1柱11及び第2柱21において第1着座部12及び第2着座部22よりも上側の位置に接続される、長手方向が左右方向である棒状又は管状部材である。具体的には横部材40は、第1柱11の上方端部及び第2柱21の上方端部の間を左右方向に懸架する。横部材40は、手すりとして、また被補助者の身体が前側にすり抜けて転落しないようにストッパーとしての機能を有する。これにより移動時の着座の安定性が向上する。
【0047】
ここで本実施形態では、横部材40はU字状又はコの字状に湾曲している。横部材40は、下向きに突出した2つの先端が第1柱11及び第2柱21に設けられた係合部(不図示)に係合する。なお横部材40の上記2つの先端は上記係合部に着脱可能に係合してよい。横部材40の取り外しを可能とすることで、被補助者は移動支援装置1の後方からだけでなく、前方からも乗り降りすることが可能となる。
【0048】
ここで本実施形態において、分割された複数の着座部の各々は、各々に対応する柱の軸周りに回転可能に構成される。図5は、着座部の開状態における移動支援装置1の斜視図の一例である。図6は、着座部の開状態における移動支援装置1の上面図の一例である。
【0049】
第1着座部12は第1柱11の軸周りにXY平面上を回転可能であり、第2着座部22は第2柱21の軸周りにXY平面上を回転可能である。着座部が開く場合、第1着座部12の回転方向は被補助者から見て反時計回りであり、第2着座部22の回転方向は被補助者から見て時計回りである。着座部が閉じる場合は、その逆である。
【0050】
例えば補助者は、着座部の高さがベッドに座る被補助者の腿の高さとなるように、第1柱11及び第2柱21の長さを調節する。そして補助者は、図5に示すように第1着座部12及び第2着座部22をXY平面上で回転させて、乗り口を開く。そして補助者は、移動支援装置1をベッドに近づけた状態で第1着座部12及び第2着座部22を移動支援装置1の左右方向中央に向かって回転させ、被補助者の腿の下に第1着座部12及び第2着座部22を滑り込ませる。
【0051】
ここで第1着座部12は、少なくとも第1柱11よりも後方側において回転可能である。また第2着座部22は、少なくとも第2柱21よりも後方側において回転可能である。
【0052】
図6には、第1着座部12の回転角θと、第2着座部22の回転角θとが示される。回転角θがとりえる範囲は、0°より大きく90°以下である。この場合、乗り口の大きさを確保しつつ、前方に第1着座部12が突出することを防ぐことができる。しかしこれに代えて回転角θがとりえる範囲は、0°より大きく45°以下、0°より大きく120°以下、又は0°より大きく180°以下であってよい。また回転角θがとりえる範囲も同様に0°より大きく90°以下である。この場合、乗り口の大きさを確保しつつ、前方に第2着座部22が突出することを防ぐことができる。しかしこれに代えて回転角θがとりえる範囲は、0°より大きく45°以下、0°より大きく120°以下、又は0°より大きく180°以下であってよい。
【0053】
また第1着座部12と第2着座部22とは独立に回転可能であってよい。つまり開閉中の回転角θと回転角θとは異なっていてよい。また回転角θがとりえる範囲と回転角θがとりえる範囲も異なっていてよい。
【0054】
このように移動支援装置1は、分割された着座部の各々は、各々に対応する柱の軸周りに回転可能に構成される。したがって補助者は、分割された着座部をXY平面上で回転させて、ベッド等に座った被補助者の腿の下に滑り込ませることができる。本方式はトルクを利用するため、正面中央部手前から奥に向かって着座部を伸ばす方式と比べて少ない力で腿の下部に着座部を滑り込ませることができる。また着座部の側壁と腿との接触が少ないため、着座部を滑り込ませる力が、着座部を伸ばす方式と比べてさらに少なくて済む。これにより補助者が、ベッドに座ったままの被補助者を移動支援装置1に簡単に着座させることができ、補助者の負担を軽減できる。また着座部の側壁と腿との接触が少ないため、被補助者の負担も軽減できる。
【0055】
なお第1肘掛17及び第1背板18は、第1着座部12の回転に連動して回転してよい。また第2肘掛27及び第2背板28も、第2着座部22の回転に連動して回転してよい。つまり背板及び肘掛も、着座部と同様に開閉可能である。
【0056】
なお第1背板18及び第2背板28の後方側にはバックルが取り付けられており、閉状態においてバックルをロックすることで、被補助者が乗車しているときに背板が開かないようになっていてよい。バックルは、手動で留めるソケット方式であってもよいし、第1背板18及び第2背板28が近づくと自動でロックされる方式であってもよい。
【0057】
また本実施形態において、着座部の高さは調節可能であってよい。高さ調節は液圧ポンプ及びペダルを用いて手動で、又はモータ等の駆動装置を用いて電動で実現されてよい。
【0058】
図7は、高さ調節時の移動支援装置1の斜視図の一例である。本実施形態では、一例として高さ調節は電動で実現される。この場合、移動支援装置1はさらに入力装置50を備え、筐体30には駆動装置及びバッテリーが内蔵されてよい。
【0059】
入力装置50は、操作者の入力を受け付ける操作端末である。操作者とは、被補助者又は補助者である。例えば入力装置50は着座部の高さLを下げるための第1入力領域と、着座部の高さを上げるための第2入力領域と含む。
【0060】
駆動装置は、第1柱11及び第2柱21の上下方向の長さを入力に応じた長さに伸縮させるモータである。
【0061】
例えば駆動装置は、操作者が第1入力領域を1回押下したことに応じて、第1柱11及び第2柱21の長さを所定量縮める。これにより第1中間接続部110及び第2中間接続部210の高さが所定量低くなるため、第1着座部12及び第2着座部22の高さが所定量低くなる。
【0062】
また例えば操作者が第2入力領域を1回押下したことに応じて、第1柱11及び第2柱21の長さを所定量伸ばす。これにより第1中間接続部110及び第2中間接続部210の高さが所定量高くなるため、第1着座部12及び第2着座部22の高さが所定量高くなる。
【0063】
一例として被補助者がベッドに座っている場合、補助者は第1着座部12及び第2着座部22の高さがベッドの天板の高さと同程度になるまで、入力装置50を用いて高さ調節をしてよい。また被補助者が移動支援装置1に乗り込んだ後、補助者は被補助者が移動するのに楽な態勢となるように入力装置50を用いて高さ調節をしてよい。
【0064】
このように高さ調節を電動で実現することで、補助者の負担を軽減できる。また被補助者の体型を問わず移動支援装置1を使用することが可能となる。
【0065】
なお本実施形態において駆動装置の駆動対象は、第1柱11及び第2柱21の両方であってよいが、いずれか一方であってもよい。後者の場合、駆動対象ではない柱は、駆動対象となる柱と連動して伸縮してよい。
【0066】
また本実施形態において、取手は一部又は全部が収納可能であってよい。図8は、取手収納時の移動支援装置1の斜視図の一例である。
【0067】
本実施形態では第1取手16は、一端においてクリップによって第1柱11の上端に固定されている。そしてクリップが押されると、第1取手16の、固定されている端部と反対側の端部が、クリップを中心としてYZ平面上で回転できるようになっている。また第2取手26は、一端においてクリップによって第2柱21の上端に固定されている。そしてクリップが押されると、第2取手26の、固定されている端部と反対側の端部が、クリップを中心としてYZ平面上で回転できるようになっている。したがって補助者は第1取手16及び第2取手26を回転させて、取手を収納できる。これにより移動支援装置1を車に積み込む際や移動支援装置1を収納する際に取手が出っ張らないようにできる。
【0068】
以上、実施形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上記によって限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0069】
例えば各種棒状部材の断面形状は、円、楕円、矩形、又はその他の多角形であってよい。また各種管状部材の断面形状は、中空の円、楕円、矩形、又はその他の多角形であってよい。
【0070】
また閉状態において第1着座部12及び第2着座部22の間には、被補助者の臀部が下方に露出し得る空間が存在するとしたが、このような空間はなくてもよい。
【0071】
また移動支援装置1は、4つのキャスタを有するとしたが、3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。例えば移動支援装置1は、第1前方キャスタ15及び第2前方キャスタ25に代えて、左右方向中央の前方側に1つのキャスタを備えていてもよい。またキャスタは着脱可能であってよい。特に第1後方キャスタ14及び第2後方キャスタ24は、ベッドの隙間の高さに合わせて、形状又は大きさが異なるキャスタに交換可能であってよい。
【0072】
また第1支持部13は、第1柱11を基準として後方に突出するとしたが、後方に加えて前方に突出してもよい。
【0073】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
第1柱と、第2柱と、第1着座部と、第2着座部とを備え、
前記第1柱は、軸方向がZ軸方向であり、
前記第2柱は、軸方向がZ軸方向であり、
前記第1柱及び前記第2柱は、X軸方向に互いに離隔して設けられ、
前記第1着座部は、一端において前記第1柱に接続され、前記第1柱の軸周りに回転可能であり、
前記第2着座部は、一端において前記第2柱に接続され、前記第2柱の軸周りに回転可能である
移動支援装置。
(付記2)
被補助者又は補助者の入力を受け付ける入力装置と、
前記第1柱及び前記第2柱のZ軸方向の長さを前記入力に応じた長さに伸縮させる駆動装置と
をさらに備える、付記1に記載の移動支援装置。
(付記3)
第1支持部と、第2支持部とをさらに備え、
前記第1着座部は、Y軸負方向側において前記第1柱の軸周りに回転可能であり、
前記第2着座部は、Y軸負方向側において前記第2柱の軸周りに回転可能であり、
前記第1支持部は、前記第1柱のZ軸負方向側の端部に接続され、前記第1柱を基準としてY軸負方向側に突出する部材であり、
前記第2支持部は、前記第2柱のZ軸負方向側の端部に接続され、前記第1柱を基準としてY軸負方向側に突出する部材である
付記1又は2に記載の移動支援装置。
【符号の説明】
【0074】
1 移動支援装置
11 第1柱
12 第1着座部
13 第1支持部
14 第1後方キャスタ
15 第1前方キャスタ
16 第1取手
17 第1肘掛
18 第1背板
21 第2柱
22 第2着座部
23 第2支持部
24 第2後方キャスタ
25 第2前方キャスタ
26 第2取手
27 第2肘掛
28 第2背板
30 筐体
40 横部材
50 入力装置
60 容器
110 第1中間接続部
111 第1上側接続部
112 第1下側接続部
210 第2中間接続部
211 第2上側接続部
212 第2下側接続部
L 高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8