(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119424
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】プリズムブロック、カメラモジュール及びプリズムブロックの製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/04 20060101AFI20240827BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20240827BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20240827BHJP
G02B 7/18 20210101ALI20240827BHJP
【FI】
G02B5/04 G
H04N23/55
G03B30/00
G02B7/18 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026310
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】321009166
【氏名又は名称】シャープセンシングテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真野 紗衣
(72)【発明者】
【氏名】石末 義人
【テーマコード(参考)】
2H042
2H043
5C122
【Fターム(参考)】
2H042CA01
2H042CA15
2H042CA17
2H043BA01
5C122EA55
5C122FB03
5C122FB15
5C122GE05
5C122GE07
5C122GE11
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】プリズムの位置の精度を高くすることができるプリズムブロック、カメラモジュール及びプリズムブロックの製造方法を提供する。
【解決手段】プリズムブロックは、開口面が形成され、前記開口面と垂直をなす搭載面を有するホルダと、第1の方向に進む第1の光が入射し、前記第1の方向と垂直をなす第2の方向に進む第2の光を出射させ、前記搭載面に当接して前記ホルダにより位置決め保持されるプリズムと、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口面が形成され、前記開口面と垂直をなす搭載面を有するホルダと、
第1の方向に進む第1の光が入射し、前記第1の方向と垂直をなす第2の方向に進む第2の光を出射させ、前記搭載面に当接して前記ホルダにより位置決め保持されるプリズムと、
を備えるプリズムブロック。
【請求項2】
前記ホルダは、前記搭載面を有する板状部を備え、
前記板状部に、円形状の平面形状を有する丸孔が形成されている
請求項1に記載のプリズムブロック。
【請求項3】
前記プリズムは、前記第1の光が入射する第1の平面と、前記第1の平面と垂直をなし前記第2の光を出射させる第2の平面と、前記第1の平面及び前記第2の平面に対して傾斜し前記第1の光を全反射して前記第2の光を生成する斜面と、を有し、
前記ホルダは、間隙を挟んで前記斜面に対向する対向面を有し、
前記対向面は、凹凸形状を有する
請求項1に記載のプリズムブロック。
【請求項4】
前記プリズムは、前記第1の光が入射する第1の平面と、前記第1の平面と垂直をなし前記第2の光を出射させる第2の平面と、前記第1の平面及び前記第2の平面に対して傾斜し前記第1の光を全反射して前記第2の光を生成する斜面と、前記第1の平面、前記第2の平面及び前記斜面以外の残余面と、を有し、
前記ホルダに、前記ホルダの外部から前記残余面に向かって伸びる孔が形成されている
請求項1に記載のプリズムブロック。
【請求項5】
前記プリズムは、前記第1の光が入射する第1の平面と、前記第1の平面と垂直をなし前記第2の光を出射させる第2の平面と、前記第1の平面及び前記第2の平面に対して傾斜し前記第1の光を全反射して前記第2の光を生成する斜面と、を有し、
前記第2の平面は、前記搭載面に面接触する
請求項1に記載のプリズムブロック。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれかに記載のプリズムブロックと、
前記第2の光に像を結ばせる光学系と、
前記像を撮像する撮像素子と、
を備えるカメラモジュール。
【請求項7】
開口面が形成され前記開口面と垂直をなす搭載面を有するホルダに、第1の方向に進む第1の光が入射し前記第1の方向と垂直をなす第2の方向に進む第2の光を出射させるプリズムを前記開口面を経由して挿入し、前記搭載面に前記プリズムを当接させることと、
前記搭載面に前記プリズムを当接させた状態で前記ホルダに前記プリズムを位置決め保持させることと、
を備えるプリズムブロックの製造方法。
【請求項8】
前記ホルダは、前記搭載面を有する板状部を備え、
前記板状部に、円形状の平面形状を有する丸孔が形成され、
前記丸孔を経由して前記プリズムに光を当て、前記プリズムに前記光を反射させて前記プリズムに前記丸孔の像を形成させることと、
前記像が形成される位置が目標位置になるまで、前記搭載面に前記プリズムを当接させた状態で前記プリズムを前記開口面と垂直をなす方向に移動させることと、
を備える請求項7に記載のプリズムブロックの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プリズムブロック、カメラモジュール及びプリズムブロックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ビームスプリッタ装置を開示する。当該ビームスプリッタ装置においては、プリズム固定台に、取付け面が形成される。取付け面は、傾斜角度θ1に形成されている。また、第1プリズムの底面及び第2のプリズムの底面が面接触することにより、光束反射面が形成される。第1のプリズムの底面には、当付け面が形成される。当付け面は、光束反射面の両側に形成される。第1プリズムの底面に形成された当付け面は、プリズム固定台に形成された取付け面に接触する。これにより、ビームスプリッタの反射光軸に対する入射光軸を直角に位置決めすることができる(段落0009,0011,0012,0014及び0018)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたビームスプリッタ装置においては、第1のプリズム及び第2のプリズムの位置の精度は、プリズム固定台に傾斜角度θ1に形成された取付け面の成型精度に依存する。しかし、傾斜角度θ1に形成された取付け面の成型精度は、水平面の成型精度より低くなることが多い。このため、当該ビームスプリッタ装置においては、第1のプリズム及び第2のプリズムの位置の精度が低くなることが多い。
【0005】
本開示の一態様は、この問題に鑑みてなされた。本開示の一態様は、例えば、プリズムの位置の精度を高くすることができるプリズムブロック、カメラモジュール及びプリズムブロックの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様のプリズムブロックは、開口面が形成され、前記開口面と垂直をなす搭載面を有するホルダと、第1の方向に進む第1の光が入射し、前記第1の方向と垂直をなす第2の方向に進む第2の光を出射させ、前記搭載面に当接して前記ホルダにより位置決め保持されるプリズムと、を備える。
【0007】
本開示の第2の態様のカメラモジュールは、本開示の第1の態様のプリズムブロックと、前記第2の光に像を結ばせる光学系と、前記像を撮像する撮像素子と、を備える。
【0008】
本開示の第3の態様のプリズムブロックの製造方法は、開口面が形成され前記開口面と垂直をなす搭載面を有するホルダに、第1の方向に進む第1の光が入射し前記第1の方向と垂直をなす第2の方向に進む第2の光を出射させるプリズムを前記開口面を経由して挿入し、前記搭載面に前記プリズムを当接させることと、前記搭載面に前記プリズムを当接させた状態で前記ホルダに前記プリズムを位置決め保持させることと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態のカメラモジュールを模式的に図示する断面図である。
【
図2】第1実施形態のカメラモジュールに備えられるプリズムブロックを模式的に図示する分解斜視図である。
【
図3】第1実施形態のカメラモジュールに備えられるプリズムブロックを、
図2に描かれた切断線A-Aの位置において切断した状態を模式的に図示する断面図である。
【
図4】第1実施形態のカメラモジュールに備えられるプリズムブロック及び当該プリズムブロックを調整するための調整機構を模式的に図示する図である。
【
図5】第1実施形態のカメラモジュールに備えられるプリズムブロックを調整するための調整機構に備えられる撮像面を模式的に図示する平面図である。
【
図6】第1実施形態のカメラモジュールに備えられるプリズムブロックの製造の手順を示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態のカメラモジュールに備えられるホルダを模式的に図示する断面図である。
【
図8】第3実施形態のカメラモジュールを模式的に図示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
図面には、必要に応じて、X方向、Y方向及びZ方向とそれぞれ平行をなす3次元直交座標系のX軸、Y軸及びZ軸が描かれている。X方向、Y方向及びZ方向から選択された任意のふたつの方向は、互いに垂直をなす。
【0012】
1 第1実施形態
1.1 カメラモジュール
図1は、第1実施形態のカメラモジュールを模式的に図示する断面図である。
【0013】
図1に図示される第1実施形態のカメラモジュール1は、物体Xの像を撮像し、、撮像した像に応じた画像信号を出力する。カメラモジュール1は、屈曲光学系を備える屈曲光学系カメラモジュールである。
【0014】
図1に図示されるように、カメラモジュール1は、プリズム11、ホルダ12、光学系13及び撮像部14を備える。
【0015】
プリズム11には、第1の光軸21に沿う第1の方向D1に進む第1の光が入射する。プリズム11は、入射した第1の光を反射して第2の光軸22に沿う第2の方向D2に進む第2の光を生成する。プリズム11は、生成した第2の光を出射させる。
【0016】
プリズム11は、光軸を90°屈曲させる。このため、第2の光軸22は、第1の光軸21と垂直をなす。このため、第2の方向D2は、第1の方向D1と垂直をなす。プリズム11は、屈曲光学系を構成する。
【0017】
プリズム11は、45°直角プリズムである。このため、プリズム11は、第1の平面11a、第2の平面11b及び斜面11cを有する。
【0018】
プリズム11の第2の平面11bは、プリズム11の第1の平面11aと垂直をなす。プリズム11の斜面11cは、プリズム11の第1の平面11a及び第2の平面11bに対して45°傾斜する。プリズム11は、三角柱状の形状を有する。第1の平面11a、第2の平面11b及び斜面11cは、三角柱状の形状の側面である。
【0019】
プリズム11の第1の平面11aには、第1の光が入射する。第1の平面11aに入射した第1の光は、プリズム11の内部を進み、プリズム11の斜面11cに到達する。斜面11cは、全反射加工されている。このため、斜面11cは、到達した第1の光を全反射して第2の光を生成する。生成された第2の光は、プリズム11の内部を進み、プリズム11の第2の平面11bに到達する。第2の平面11bは、到達した第2の光を出射させる。
【0020】
ホルダ12は、プリズム11を保持する。
【0021】
光学系13は、プリズム11より後段に配置される。光学系13は、第2の光を集光して第2の光に像を結ばせる。光学系13は、結像面14a上に像を形成する。
【0022】
撮像部14は、光学系13より後段に配置される。撮像部14は、結ばれた像を撮像して画像信号を出力する。撮像部14は、集光された光を電気信号に光電変換することにより、結ばれた像を撮像する。撮像部14は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS;Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ、電荷結合素子(CCD;Charge Coupled Device)イメージセンサ等である。
【0023】
1.2 光学系
図1に図示されるように、光学系13は、第1のレンズ群G1、第2のレンズ群G2及びアクチュエータブロック31を備える。
【0024】
第1のレンズ群G1は、プリズム11より後段に配置される。第1のレンズ群G1は、プリズム11の第2の平面11bと対向する。
【0025】
第1のレンズ群G1は、プリズム11の第2の平面11bから出射した第2の光を受け、受けた第2の光を透過させる。第1のレンズ群G1は、2枚以上のレンズを備える。第1のレンズ群G1は、全体として正のパワーを有する。
【0026】
第2のレンズ群G2は、第1のレンズ群G1より後段に配置される。第2のレンズ群G2は、第1のレンズ群G1を透過した第2の光を受け、受けた第2の光を透過させる。第2のレンズ群G2は、少なくとも1枚のレンズを備える。第2のレンズ群G2は、全体として負のパワーを有する。
【0027】
アクチュエータブロック31は、第2の光軸22と平行をなす方向に第2のレンズ群G2を移動させる。これにより、光学系13は、フォーカシングを行うことができる。アクチュエータブロック31は、図示されないアクチュエータを備え、アクチュエータを内包する。アクチュエータは、第2の光軸22と平行をなす方向に第2のレンズ群G2を移動させる。
【0028】
上述した構成を有する光学系13が、上述した構成と異なる構成を有する光学系に置き換えられてもよい。例えば、アクチュエータブロック31が、第1のレンズ群G1及び第2のレンズ群G2からなる全群を内包し、第2の光軸22と平行をなす方向に全群を移動させることにより、フォーカシングを行ってもよい。
【0029】
1.3 プリズムブロック
図2は、第1実施形態のカメラモジュールに備えられるプリズムブロックを模式的に図示する分解斜視図である。
図3は、第1実施形態のカメラモジュールに備えられるプリズムブロックを、
図2に描かれた切断線A-Aの位置において切断した状態を模式的に図示する断面図である。
【0030】
図2及び
図3に図示されるプリズムブロック41は、カメラモジュール1に組み込まれる。プリズムブロック41が、カメラモジュール1以外の光学機器に組み込まれてもよい。
【0031】
図2及び
図3に図示されるように、プリズムブロック41は、上述したホルダ12及びプリズム11を備える。
【0032】
ホルダ12には、内部空間12a及び開口面12bが形成される。
【0033】
ホルダ12の内部空間12aは、プリズム11を収容する。ホルダ12は、プリズム11が内部空間12aに収容された状態でプリズム11を保持する。
【0034】
ホルダ12の内部空間12aは、ホルダ12の開口面12bを介してホルダ12の外部に露出する。内部空間12aは、プリズム11の立体形状より大きな立体形状を有する。開口面12bは、プリズム11の第1の平面11aの平面形状より大きな平面形状を有する。このため、開口面12bは、プリズム11の挿入口として用いることができる。プリズム11は、第1の平面11aが開口面12bと平行をなす状態を維持したまま、開口面12bを経由して内部空間12aに挿入することができる。
【0035】
ホルダ12の開口面12bは、ホルダ12のエッジを含む輪郭線を有し、-Y方向に向かって開く。開口面12bは、ホルダ12の外面12cと同一平面を構成する。ホルダ12の内部空間12aは、開口面12bから-Y方向と反対の方向である+Y方向に延びる。このため、プリズム11が開口面12bを経由して内部空間12aに挿入される場合は、プリズム11が+Y方向に向かって動かされ開口面12bを通過させられる。
【0036】
ホルダ12は、搭載面12dを有する。搭載面12dは、+Z方向を向く。搭載面12dは、ホルダ12の内部空間12aに面する。搭載面12dは、ホルダ12の開口面12bと垂直をなす。
【0037】
ホルダ12に保持されたプリズム11の第2の平面11bは、ホルダ12の搭載面12dに面接触する。これにより第2の平面11b及び搭載面12dは、互いに当接する当て面になる。これにより、プリズム11は、搭載面12dに当接する。これにより、プリズム11が搭載面12dと垂直をなすZ方向について位置決めされる。これにより、プリズム11は、ホルダ12により位置決め保持される。
【0038】
ホルダ12は、斜面12eを有する。斜面12eは、-Y方向から-Z方向へ45°傾斜した方向を向く。斜面12eは、ホルダ12の内部空間12aに面する。ホルダ12の斜面12eは、プリズム11の斜面11cと対向する対向面になる。
【0039】
プリズムブロック41においては、プリズム11の+Y方向への挿入量によりプリズム11のY方向の位置が調整される。このため、ホルダ12の斜面12eは、プリズム11の斜面11cに接触しない。すなわち、ホルダ12の斜面12eは、間隙を挟んでプリズム11の斜面11cと対向する。間隙は、例えば、100μm以下の幅を有する。
【0040】
水平面から傾斜したホルダ12の斜面12e及びプリズム11の斜面11cが位置決めのための当て面になった場合は、プリズム11の位置の精度は、ホルダ12の斜面12eの成型精度に依存し、特に、ホルダ12の斜面12eが水平面となす角度の成型精度に依存する。しかし、水平面から傾斜したホルダ12の斜面12eの成型精度を高くすることは、困難である。このため、ホルダ12の斜面12e及びプリズム11の斜面11cが位置決めのための当て面になった場合は、プリズム11の位置の精度を高くすることが困難である。
【0041】
これに対して、水平面であるホルダ12の搭載面12d及びプリズム11の第2の平面11bが位置決めのための当て面になった場合は、プリズム11の位置の精度は、ホルダ12の搭載面12dの成型精度に依存する。そして、水平面であるホルダ12の搭載面12dの成型精度を高くすることは、容易である。このため、ホルダ12の搭載面12d及びプリズム11の第2の平面11bが位置決めのための当て面になった場合は、プリズム11のZ方向の位置の精度を高くすることが容易である。
【0042】
ただし、ホルダ12の搭載面12d及びプリズム11の第2の平面11bが位置決めのための当て面になった場合は、ホルダ12及びプリズム11の大きさにばらつきがあるために、プリズム11をY方向について位置決めすることが困難である。このため、プリズム11の+Y方向への挿入量のばらつきにより、プリズム11の斜面11cのY方向の位置のばらつきが発生する。プリズム11の斜面11cのY方向の位置のばらつきは、第1の光軸21及び第2の光軸22の位置のばらつきの原因になる。このため、ホルダ12は、プリズム11の+Y方向への挿入量を調整することを可能にする構造を有する。以下では、当該構造について説明する。
【0043】
図2及び
図3に図示されるように、ホルダ12は、板状部51を備える。
【0044】
板状部51は、ホルダ12の搭載面12dを有する。板状部51には、丸孔51aが形成されている。丸孔51aは、円形状の平面形状を有する。
【0045】
プリズム11は、残余面11dを有する。
【0046】
プリズム11の残余面11dは、プリズム11の第1の平面11a、第2の平面11b及び斜面11c以外の面である。プリズム11は、三角柱状の形状を有する。残余面11dは、三角柱状の形状の底面である。
【0047】
ホルダ12には、孔12fが形成される。孔12fは、ホルダ12の外面12gからホルダ12の内部空間12aに至る。孔12fは、外面12gからプリズム11の残余面11dに向かって伸びる。
【0048】
丸孔51a及び孔12fの使用方法については、後述する。
【0049】
1.4 調整機構
図4は、第1実施形態のカメラモジュールに備えられるプリズムブロック及び当該プリズムブロックを調整するための調整機構を模式的に図示する図である。
【0050】
図4に図示される調整機構61は、プリズム11をY方向について位置決めするために用いられる。
【0051】
図4に図示されるように、調整機構61は、光源71及び撮像面72を備える。
【0052】
光源71は、光81を発し、発した光81でプリズムブロック41を照射する。光源71は、板状部51の丸孔51aを経由してプリズム11に光81を当てる。プリズム11に当てられた光81は、プリズム11の第2の平面11bに入射する。光源71は、光81が第2の平面11bに垂直に入射するように設置される。第2の平面11bに入射した光81は、プリズム11の内部を進み、プリズム11の斜面11cに到達する。斜面11cに到達した光81は、斜面11cにより反射される。斜面11cにより反射された光81は、プリズム11の内部を進み、プリズム11の第1の平面11aに到達する。第1の平面11aに到達した光81は、第1の平面11aから出射する。第1の平面11aから出射した光81は、丸孔51aの像を形成する。このため、光源71は、プリズム11に光81を反射させてプリズム11に丸孔51aの像を形成させる。プリズム11は、撮像面72に丸孔51aの像を形成する。
【0053】
図5は、第1実施形態のカメラモジュールに備えられるプリズムブロックを調整するための調整機構に備えらえる撮像面を模式的に図示する平面図である。
【0054】
図5に図示されるように、撮像面72には、板状部51の丸孔51aが投影される。このため、撮像面72には、丸孔51aの像91が形成される。丸孔51aは、円形状の平面形状を有するため、丸孔51aの像91も、円形状の平面形状を有する。
【0055】
プリズム11がホルダ12に押し込まれてプリズム11がホルダ12の内部空間12aにおいて+Y方向に移動した場合は、丸孔51aの像91が形成される位置は、+Z方向に移動する。このため、丸孔51aの像91が形成される+Z方向の位置からプリズム11のY方向の位置を知ることができる。このため、丸孔51aの像91が形成される+Z方向の位置が目標位置になるまでプリズム11をY方向に移動させることにより、プリズム11のY方向の位置を望ましい位置にすることができる。
【0056】
図6は、第1実施形態のカメラモジュールに備えられるプリズムブロックの製造の手順を示すフローチャートである。
【0057】
プリズムブロック41が製造される際には、
図6に示されるステップS1からS4までが実行される。
【0058】
ステップS1においては、ホルダ12の開口面12bを経由してホルダ12にプリズム11を挿入し、ホルダ12の搭載面12dにプリズム11の第2の平面11bを当接させる。
【0059】
続くステップS2においては、調整機構61を用いて、板状部51の丸孔51aを経由してプリズム11に光81を当て、プリズム11に光81を反射させてプリズム11に丸孔51aの像91を形成させる。
【0060】
続くステップS3においては、板状部51の丸孔51aの像91が形成される位置が目標位置になるまで、ホルダ12の搭載面12dにプリズム11の第2の平面11bを当接させた状態でプリズム11をホルダ12の開口面12bと垂直をなすY方向に移動させる。これにより、プリズム11の斜面11cのY方向の位置が、望ましい位置になる。
【0061】
続くステップS4においては、ホルダ12の孔12fに棒状物を挿入し、挿入した棒状物によりプリズム11の残余面11dを押さえつける。これにより、プリズム11が、Y方向について位置決めされる。これにより、ホルダ12の搭載面12dにプリズム11の第2の平面11bを当接させた状態でホルダ12にプリズム11を位置決め保持させることができる。
【0062】
プリズム11の押し込み量が変化した場合は、プリズム11を経由する光線が通過する位置も変化する。プリズム11の押し込み量が大きくなってプリズム11の端部が有効径内に入った場合は、光線蹴られが発生する場合がある。しかし、上述した調整機構を用いてプリズム11のY方向の位置が調整された場合は、光線蹴られが発生することを抑制することができる。また、有効径以上の大きさを有するプリズム11を使用する必要がなくなる。
【0063】
1.5 丸孔のその他の役割
板状部51の丸孔51aは、プリズム11に起因して発生する不要な散乱光を抑制する役割、及びプリズム11と光学系13との間に配置される開口絞りの役割も有する。
【0064】
プリズム11が成型される際に、プリズム11の端部のエッジ部に面取り加工が施される場合がある。当該エッジ部に余計な光が入った場合は、不要な反射光が発生することがある。また、当該エッジ部に入った光は、フレア、ゴースト等の原因になる。しかし、プリズムブロック41においては、光軸有効径より大きな径を有する丸孔51aを形成することにより、撮像に必要な光線を遮ることなく、プリズム11の端部に余計な光が入ることを抑制することができる。
【0065】
2 第2実施形態
以下では、第2実施形態が第1実施形態と相違する点が説明される。説明されない点については、第1実施形態において採用される構成と同様の構成が第2実施形態においても採用される。
【0066】
図7は、第2実施形態のカメラモジュールに備えられるホルダを模式的に図示する断面図である。
【0067】
第2実施形態においては、
図7に図示されるように、ホルダ12の斜面12eが、凹凸形状を有する。
【0068】
上述したように、ホルダ12の斜面12eは、間隙を挟んでプリズム11の斜面11cと対向する。このため、ホルダ12の斜面12eとプリズム11の斜面11cとの間には、空気層が存在する。
【0069】
上述したように、プリズム11の斜面11cは、全反射加工されている。しかし、斜面11cが全反射加工されていても、斜面11cが第1の光を完全に全反射することができない場合がある。このため、ホルダ12の斜面12eとプリズム11の斜面11cとの間に存在する空気層は、散乱光を発生させる場合がある。発生した散乱光は、フレア、ゴースト等の原因になる。ホルダ12の斜面12eの凹凸形状は、当該散乱光が発生することを抑制する。
【0070】
ホルダ12の斜面12eの凹凸形状は、例えば、0.1mm~0.01mm程度の高さを有する。
【0071】
ホルダ12が3次元プリンタにより熱溶解積層方式で作製された場合は、積層方向によっては、作製されたホルダ12の斜面12eに、積層のピッチを反映したピッチを有する凹凸が残る場合がある。一般的には、3次元プリンタにより熱溶解積層方式で作製された造形物の表面に残った凹凸は、当該表面を研磨することにより除去される。しかし、第2実施形態においては、斜面12eに残った凹凸が散乱光が発生することを抑制するための凹凸形状として利用される。これにより、ホルダ12を作製するのに要する時間を短くすることができる。
【0072】
3 第3実施形態
以下では、第3実施形態が第1実施形態と相違する点が説明される。説明されない点については、第1実施形態において採用される構成と同様の構成が第3実施形態においても採用される。
【0073】
図8は、第1実施形態のカメラモジュールを模式的に図示する断面図である。
【0074】
第1実施形態においては、
図1に図示されるように、光学系13がプリズム11より後段に配置される。また、撮像部14が、光学系13より後段に配置される。このため、プリズム11が、第1の方向D1に進む第1の光を反射して第2の方向D2に進む第2の光を生成する。また、光学系13が、生成された第2の光を透過させる。また、撮像部14が、透過した第2の光を受光する。
【0075】
これに対して、第3実施形態においては、
図8に図示されるように、プリズム11が、光学系13より後段に配置される。また、撮像部14が、プリズム11より後段に配置される。このため、光学系13が、第1の方向D1に進む第1の光を透過させる。また、プリズム11が、透過した第1の光を反射して第2の方向D2に進む第2の光を生成する。また、撮像部14が、生成された第2の光を受光する。
【0076】
本開示は、上記実施の形態に限定されるものではなく、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 カメラモジュール、11 プリズム、11a 第1の平面、11b 第2の平面、11c 斜面、11d 残余面、12 ホルダ、12a 内部空間、12b 開口面、12c 外面、12d 搭載面、12e 斜面、12f 孔、12g 外面、13 光学系、14 撮像部、14a 結像面、21 第1の光軸、22 第2の光軸、31 アクチュエータブロック、41 プリズムブロック、51 板状部、51a 丸孔、61 調整機構、71 光源、72 撮像面、81 光、91 像、D1 第1の方向、D2 第2の方向、G1 第1のレンズ群、G2 第2のレンズ群。