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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119425
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び、方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
G01C21/26 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026312
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷▲崎▼ 大介
(72)【発明者】
【氏名】荒井 千裕
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129CC13
2F129CC27
2F129CC28
2F129DD40
2F129EE69
2F129EE81
2F129EE90
2F129EE91
2F129EE93
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF18
2F129FF20
2F129FF60
2F129FF65
2F129GG17
2F129HH02
2F129HH12
2F129HH20
2F129HH21
(57)【要約】
【課題】移動端末のユーザに対してより最適なタイミングで情報を提供する。
【解決手段】サーバは、第1のPOI(Point Of Interest)の位置情報と移動端末の移
動に関する情報とに基づく、第1のPOIに関する情報の移動端末のユーザへの提供が有効な第1の地理的範囲を取得し、移動端末に、第1のPOIに関する情報と第1の地理的範囲を送信する。移動端末は、第1のPOIに関する情報と第1の地理的範囲とを受信し、移動端末が第1の地理的範囲内に位置する場合に、第1のPOIに関する情報を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のPOI(Point Of Interest)の位置情報と移動端末の移動に関する情報とに基
づく、前記第1のPOIに関する情報の前記移動端末のユーザへの提供が有効な第1の地理的範囲を取得することと、
前記移動端末が前記第1の地理的範囲内に位置する場合に、前記第1のPOIに関する情報を前記移動端末のユーザに提供することと、
を実行する制御部、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記移動端末の移動に関する情報は、速度、進行方向、経路、及び、移動中の道路の種類のうちの少なくとも一つを含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、サーバであり、
前記制御部は、
前記第1のPOIに関する情報と前記第1の地理的範囲とを前記移動端末へ送信することで、前記移動端末に、前記移動端末が前記第1の地理的範囲内に位置する場合に、前記第1のPOIに関する情報を前記移動端末のユーザに提供させる、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記情報処理装置は、前記移動端末であり、
前記制御部は、
前記第1のPOIに関する情報と前記第1の地理的範囲を他の装置から受信することで取得し、
前記第1のPOIに関する情報を記憶部に格納し、
前記移動端末が所定の移動状態でなく、且つ、前記移動端末が前記第1の地理的範囲内に位置する場合に、前記第1のPOIに関する情報を提供し、
前記移動端末が前記所定の移動状態である場合には、前記第1のPOIに関する情報の提供を保留し、
前記第1のPOIに関する情報を提供しないまま、前記移動端末が前記第1の地理的範囲を通り過ぎた場合に、前記第1のPOIに関する情報を前記記憶部から削除する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
サーバが、
第1のPOI(Point Of Interest)の位置情報と移動端末の移動に関する情報とに
基づく、前記第1のPOIに関する情報の前記移動端末のユーザへの提供が有効な第1の地理的範囲を取得することと、
前記第1のPOIに関する情報と前記第1の地理的範囲を前記移動端末へ送信することと、
前記移動端末が、
前記第1の地理的範囲内に位置する場合に、前記第1のPOIに関する情報を出力することと、
を実行する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報配信に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ユーザにコンテンツを提供する際に、どの程度の情報提供をユーザが許容するかを表す情報許容度を判定し、情報許容度に応じてコンテンツの出力形態を決定するコンテンツ提供システムが開示されている(例えば、特許文献1)。例えば、車両運転中の場合には、右左折中は直進中に比べて運転負荷が大きくなるため、情報許容度がより小さくなり、コンテンツの有無のみが表示され、詳細な情報は提供されない等の出力形態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-052981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開示の態様の一つは、移動端末のユーザに対してより最適なタイミングで情報提供可能な情報処理装置、及び、方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様の一つは、
第1のPOI(Point Of Interest)の位置情報と移動端末の移動に関する情報とに基づ
く、前記第1のPOIに関する情報の前記移動端末のユーザへの提供が有効な第1の地理的範囲を取得することと、
前記移動端末が前記第1の地理的範囲内に位置する場合に、前記第1のPOIに関する情報を前記移動端末のユーザに提供することと、
を実行する制御部、
を備える情報処理装置である。
【0006】
本開示の他の態様の一つは、
サーバが、
第1のPOIの位置情報と移動端末の移動に関する情報とに基づいて、前記第1のPOIに関する情報の前記移動端末のユーザへの提供が有効な第1の地理的範囲を取得することと、
前記第1のPOIに関する情報と前記第1の地理的範囲を前記移動端末へ送信することと、
前記移動端末が、
前記第1の地理的範囲内に位置する場合に、前記第1のPOIに関する情報を出力することと、
を実行する方法である
【発明の効果】
【0007】
本開示の態様の一つによれば、移動端末のユーザに対してより最適なタイミングで情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る情報配信システムの構成の一例を示す図である。
図2】サーバと車両とのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】サーバ及び車両の機能構成の一例を示す図である。
図4】車両に保持される提供待ちリストの一例である。
図5】サーバの情報配信処理のフローチャートの一例である。
図6】車両の情報提供処理のフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
POIは、地図上の特定のポイントのことである。より具体的には、POIには、例えば、施設、観光名所、店舗、及び、地点がある。例えば、POIに関する情報を車両等の移動端末に配信するサービスにおいて、当該車両が対象のPOIを通り過ぎてから提供されても、当該POIに関する情報が無意味な情報になってしまうことがある。
【0010】
本開示の態様の一つでは、上記の問題を鑑み、POIに関する情報の提供が有効である地理的範囲内に移動端末が位置する場合に、当該POI情報が提供されるようにする。具体的には、本開示の態様の一つは、制御部を備える情報処理装置である。当該制御部は、第1のPOIの位置情報と移動端末の移動に関する情報とに基づく、第1のPOIに関する情報の移動端末のユーザへの提供が有効な第1の地理的範囲を取得する。また、当該制御部は、移動端末が第1の地理的範囲内に位置する場合に、第1のPOIに関する情報を移動端末のユーザに提供する。
【0011】
情報処理装置は、例えば、サーバ、又は、移動端末である。移動端末には、例えば、車載装置、スマートフォン、タブレット端末、及び、PC(Personal Computer)等がある
。車載装置には、例えば、データ通信装置(DCM)、カーナビゲーションシステム、及び、府ドライブレコーダ等がある。制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。POIには、例えば、店舗、施設、観光名所、及び、目的地
に設定されている地点等がある。POIに関する情報は、例えば、POIが店舗である場合には、店舗の場所、営業時間、紹介情報、及び、クーポン等が含まれる。POIが目的地に設定されている地点である場合には、例えば、POIに関する情報は、例えば、当該地点を含む地域の天候であってもよい。POIに関する情報は、POIの種類に応じて、又は、POIに関する情報の発信者によって、任意に設定されてもよい。
【0012】
移動端末の移動に関する情報は、例えば、当該移動端末が実行中の移動又はこれから実行を予定している移動に関する情報である。移動端末の移動に関する情報には、例えば、速度、進行方向、経路、及び、当該移動端末が移動する道路の種類のうちの少なくともいずれかが含まれる。第1のPOIに関する情報の移動端末のユーザへの提供が有効な第1の地理的範囲は、第1のPOIから見て、移動端末の出発地側、又は、移動端末の進行方向の先に位置する場合において移動端末側に配置される。また、第1の地理的範囲のサイズは、例えば、移動端末が第1のPOIへ到達するまでの距離又は時間、第1のPOIから所定の距離の範囲、及び、第1のPOIを含むエリア、で設定されてもよい。
【0013】
本開示の態様の一つによれば、当該移動端末が第1の地理的範囲内に位置するタイミングで、当該ユーザに第1のPOIに関する情報が提供される。これによって、移動端末のユーザに対してより最適なタイミングで情報を提供することができる。
【0014】
本開示の態様の一つにおいて、当該情報処理装置はサーバであってもよい。この場合には、当該サーバに備えられる当該制御部は、第1のPOIに関する情報と第1の地理的範囲とを移動端末へ送信することで、移動端末に、移動端末が第1の地理的範囲内に位置する場合に、第1のPOIに関する情報を移動端末のユーザに提供させるようにしてもよい。すなわち、サーバが情報処理装置である場合には、第1のPOIに関する情報と第1の地理的範囲とを移動端末へ送信することで、結果的に、当該移動端末が第1の地理的範囲
内に位置する場合に、第1のPOIに関する情報を当該移動端末のユーザに提供することとなる。これによって、例えば、第1の地理的範囲を決定する処理を移動端末自身が実行する場合に比べて、移動端末の処理負荷を軽減することができる。また、サーバは移動端末ごとに第1の物理的範囲を取得するので、同じ第1のPOIに関する情報でも移動端末の移動ごとに第1の物理的範囲が異なり、個々の移動端末に応じたサービスを提供することができる。
【0015】
または、本開示の態様の一つにおいて、情報処理装置は移動端末であってもよい。この場合には、当該移動端末に備えられる当該制御部は、第1のPOIに関する情報と第1の地理的範囲を他の装置から受信することで取得してもよい。当該制御部は、第1のPOIに関する情報を記憶部に格納してもよい。当該制御部は、当該移動端末が所定の移動状態でなく、且つ、移動端末が第1の地理的範囲内に位置する場合に、第1のPOIに関する情報を提供してもよい。一方、当該制御部は、当該移動端末が所定の移動状態である場合には、第1のPOIに関する情報の提供を保留してもよい。この場合に、当該制御部は、第1のPOIに関する情報を提供しないまま、当該移動端末が第1の地理的範囲を通り過ぎた場合に、第1のPOIに関する情報を記憶部から削除してもよい。
【0016】
POIに関する情報の提供が保留される移動端末の所定の移動状態とは、情報の提供が移動端末のユーザの安全な移動の妨げになる可能性がある状態である。より具体的には、例えば、移動端末が車載装置である場合には、移動端末の所定の移動状態は、当該車載装置を搭載している車両が交差点内に進入する、当該車両が交差点内で右折待ちをしている、及び、当該車両が右折又は左折している等の状態である。また、移動端末の所定の移動状態には、当該車両の運転手が一時停止確認中である状態、及び、当該車両が停車中であっても運転手が安全確認に集中している状態等の車両の運転手の状態を含めてもよい。例えば、移動端末がスマートフォンである場合には、移動端末の所定の移動状態は、移動端末のユーザが自転車で移動している状態、及び、移動端末のユーザが横断歩道を歩行中である状態等である。
【0017】
移動端末が第1の地理的範囲を通り過ぎてから第1のPOIに関する情報を提供しても、移動端末のユーザにとって第1のPOIに関する情報が意味のないものになる可能性が高い。本開示の態様の一つでは、第1のPOIに関する情報が提供されないまま第1の地理的範囲を通り過ぎた場合には、第1のPOIに関する情報を記憶部から削除することによって、ユーザにとって有益でない情報によって記憶部のリソースが占有されることを抑制することができる。
【0018】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0019】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る情報配信システム100の構成の一例を示す図である。第1実施形態に係る情報配信システム100は、車両へPOIに関する情報を配信するシステムである。
【0020】
情報配信システム100は、サーバ1と車両2とを含む。情報配信システム100には複数の車両2が含まれるが、図1では、便宜上、1台の車両2のみが示されている。サーバ1及び車両2は、それぞれ、ネットワークN1に接続しており、ネットワークN1を通じて通信可能である。ネットワークN1は、例えば、インターネット等の公衆回線網である。
【0021】
車両2は、ネットワークN1に接続して他の装置と通信可能なコネクテッドカーである
。車両2は、所定の周期で、車両走行情報をサーバ1へ送信する。車両走行情報は、車両2の走行中に取得される各種センサの情報が含まれる。より具体的には、車両走行情報には、車両2の識別情報、タイムスタンプ、位置情報、走行速度、及び、車載カメラの撮像画像等が含まれている。ただし、車両走行情報に含まれる情報はこれらに限定されない。車両走行情報の送信周期は、例えば、1秒から1分の間で、車両2のユーザ又は情報配信システム100の管理者によって任意に設定される。なお、車両走行情報は、所定のイベントの発生時にも送信されてもよい。車両走行情報の送信の契機となるイベントには、例えば、車両2のイグニッションオン及びオフ、及び、衝突が検知された場合等である。
【0022】
また、車両2は、カーナビゲーション機能によって経路案内が実行されている場合には、車両2が走行中の経路情報もサーバ1へ送信する。経路情報には、例えば、目的地、及び、車両2の位置から目的地までの経路が含まれている。以下、車両走行情報と経路情報とをまとめて、移動情報と称する。
【0023】
第1実施形態では、サーバ1は、車両2の車両走行情報及び経路情報等に基づいて、車両2の進行方向、目的地周辺、及び、走行経路の周辺にあるPOIに関する情報を配信する。POIに関する情報は、例えば、店舗、施設、及び、観光名所等の広告、サービスエリア(SA)及びパーキングエリア(PA)の情報、及び、目的地周辺の天候等がある。以下、POIに関する情報を、単に、POI情報、と称する。
【0024】
(1)サーバ1は、POI情報の対象のPOIの位置と車両2の移動情報に基づいて、当該POI情報の車両2のユーザへの提供が有効である地理的範囲を決定する。以下、POI情報の車両2のユーザへの提供が有効である地理的範囲を、単に、有効範囲、と称する。車両2が対象のPOIを通り過ぎてしまうと、対象のPOIに関する情報は車両2のユーザにとって有益でなくなる可能性がある。例えば、対象のPOIを通り過ぎた後に対象のPOIに関する情報が提供されても、車両2のユーザがわざわざ引き返して対象のPOIへ訪れる可能性は低いと考えられるからである。したがって、POI情報の有効範囲は、車両2の進行方向の先に対象のPOIが位置する場合において、対象のPOIから見て車両2側に配置される。
【0025】
また、第1実施形態では、有効範囲の他に、サーバ1は、POI情報の車両2のユーザへの提供が有効である有効期間、及び、天候等をPOIの種類に応じて設定する。例えば、POIが飲食店である場合には、有効期間として当該飲食店の営業時間が設定される。営業時間外に当該飲食店に関する情報を車両2のユーザに提供しても当該ユーザは当該飲食店を利用できないためである。例えば、POIが景観の良い名所である場合には、有効な天候として、晴れ及び曇りが設定される。天候が悪いと当該景観を見ることができない可能性が高いためである。以下、POI情報に設定される有効範囲及び有効期間等の条件を、POI情報の提供条件、と称する。
【0026】
(2)サーバ1は、設定した有効範囲等とともにPOI情報を車両2へ配信する。(3)車両2は、サーバ1からPOI情報を受信すると、当該POI情報とともに受信された有効範囲等の条件が満たされた場合に、例えば、ディスプレイに表示したり、スピーカから音声を出力したりして、当該POI情報をユーザに提供する。
【0027】
第1実施形態によれば、POI情報には有効範囲等が設定され、当該有効範囲等の条件が満たされた場合に、車両2のユーザにPOI情報が提供される。これによって、提供されるPOI情報が意味のないものにならないようすることができ、より最適なタイミングで提供することができる。
【0028】
図2は、サーバ1と車両2とのハードウェア構成の一例を示す図である。サーバ1は、
ハードウェア構成として、CPU 101、メモリ102、補助記憶装置103、及び、通信部104を備える。補助記憶装置103は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、
及び、SSD(Solid State Drive)等である。補助記憶装置103に保持されるプログ
ラムには、例えば、OS(Operation System)、及び、その他複数のプログラム等がある。メモリ102は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)のような半導体メモリを含む。メモリ102および補助記憶装置103は、それぞれ、コンピュータで読み取り可能な記録媒体の一例である。
【0029】
CPU 101は、補助記憶装置103に保持されたOS、及び、その他様々なプログラムをメモリ102にロードして実行することによって、様々な処理を実行する。CPU
101は、1つに限られず、複数備えられてもよい。第1実施形態において、CPU 101は「制御部」の一例である。
【0030】
通信部104は、例えば、LAN(Local Area Network)カード、及び、光モジュール等のネットワークケーブルを接続し、信号処理の回路を備えるモジュールである。通信部104は、有線ネットワークへ接続可能な回路に限定されず、WiFi等の無線通信ネットワークの無線信号を処理可能な無線信号処理回路であってもよい。第1実施形態において、サーバ1は、「情報処理装置」の一例である。
【0031】
次に、図2では、車両2の構成のうち、情報配信システム100の処理に関する構成要素が抽出して示されている。車両2の構成は図2に示されるものに限定されない。車両2は、車載装置210、スピーカ220、タッチパネルディスプレイ230、及び、位置情報取得部240を備える。これらの構成要素は、例えば、CAN(Controller Area Network)ネットワーク、及び、車載イーサネット等の車載ネットワークで接続されている。
【0032】
位置情報取得部240は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機であ
る。位置情報取得部240は、所定の周期で車両2の位置情報を取得する。位置情報取得部240が位置情報を取得する周期は、例えば、0.1秒~1秒の間で設定される。
【0033】
第1実施形態では、車載装置210は、所定の周期で、位置情報及びその他センサの検知値を取得し、車両走行情報を生成して、サーバ1へ送信する。車載装置210は、例えば、データ通信装置(DCM)、通信機能を備えるドライブレコーダ、又は、カーナビゲーションシステム等である。図2では、車載装置210は、データ通信装置であることを想定して説明する。車載装置210は、ハードウェア構成として、CPU 211、メモリ212、補助記憶装置213、通信部214及び、インタフェース215を備える。CPU 211、メモリ212、及び、補助記憶装置213は、それぞれ、CPU 101、メモリ102、及び、補助記憶装置103と同様である。
【0034】
通信部214は、例えば、5G、6G、及び、4G等の移動体通信方式、Wi-Fi、又は、DSRC(Dedicated Short Range Communications)等の無線通信方式に基づいて外部の装置と通信を行う。インタフェース215は、車載ネットワークに接続するためのインタフェースである。以下、実際には、車載装置210が実行主体である処理については、便宜上、車両2を主体として説明する。なお、サーバ1及び車両2のハードウェア構成は、図2に示される構成に限定されない。第1実施形態において、車両2又は車載装置210は、「移動端末」の一例である。
【0035】
図3は、サーバ1及び車両2の機能構成の一例を示す図である。サーバ1は、機能構成として、制御部11、移動情報DB 12、及び、配信情報DB 13を備える。これらの機能構成要素の機能は、それぞれ、サーバ1のCPU 101が所定のプログラムを実行することによって達成される。
【0036】
制御部11は、車両2から移動情報を受信すると、当該移動情報を移動情報DB 12に格納する。また、制御部11は、POI情報を、例えば、情報配信システム100の管理者による入力、外部の装置からの受信及び所定の周期での外部の装置へのアクセスの実行、及び、所定の周期でのインターネット上の検索等により取得し、配信情報DB 13に格納する。
【0037】
制御部11は、例えば、車両2から配信情報の取得リクエストを受信する。配信情報の取得リクエストは、車両2のユーザに提供する、車両2の周辺、経路の周辺、及び、目的地の周辺のPOIのPOI情報の配信のリクエストである。配信情報の取得リクエストは、例えば、車両2が移動中に、所定の周期で、車両2からサーバ1へ送信される。配信情報の取得リクエストとともに、例えば、車両2のユーザの識別情報、及び、車両2において経路案内が実施されている場合には経路情報等が受信される。また、車両2において、ユーザからPOI情報の配信を希望するPOIのジャンルが指定されている場合には、配信希望のPOIの種類の情報も車両2から配信情報の取得リクエストとともに受信されてもよい。ただし、配信情報の取得リクエストとともに受信される情報はこれらに限定されない。
【0038】
車両2から配信情報の取得リクエストを受信すると、制御部11は、車両2へ配信するPOI情報を配信情報DB 13から選択し、選択したPOI情報ごとに提供条件の設定を行う。リクエスト元の車両2へ配信するPOI情報は、例えば、車両2の移動情報、目的地のジャンル、ユーザ指定のPOIのジャンル、及び、車両2のユーザの行動傾向等に基づいて選択される。
【0039】
車両2へ配信されるPOI情報は、例えば、車両2の位置から目的地の周辺までの範囲にあるPOIの内、車両2の経路に含まれる道路沿い及び周辺のPOI、車両2が高速道路を走行している場合にはSAPA及びインターチェンジ付近のPOI、目的地と同じジャンルのPOI、ユーザ指定のジャンルと同じジャンルのPOI、及び、車両2のユーザが訪れる頻度の高い店舗と同じ系列の店舗、車両2のユーザの生活圏外の観光名所等のPOI情報が選択される。車両2のユーザが訪れる頻度の高い店舗、及び、車両2のユーザの生活圏は、車両2のユーザの行動傾向に基づいて取得される。車両2のユーザの行動傾向は、例えば、車両2の移動情報の履歴等の統計を取って取得してもよいし、ユーザの属性と移動情報の履歴との関係を学習済みの機械学習モデルを用いて取得してもよい。
【0040】
なお、車両2へ配信されるPOI情報は、機械学習モデルを用いて選択されてもよい。当該機械学習モデルは、例えば、車両2のユーザについて、又は、複数のユーザについて、ユーザの属性情報及び移動情報の履歴と、当該移動情報が示す移動の際に訪れたPOIとの関係を学習済みである。制御部11は、当該機械学習モデルに、車両2のユーザの属性情報と現在実行中の移動についての移動情報とを入力し、当該機械学習モデルの出力に基づいて、車両2へ配信するPOI情報を決定してもよい。機械学習モデルの入力となるユーザの属性情報は、例えば、性別、年代、居住地域、及び、家族構成等を含む。機械学習モデルの入力となる移動情報は、例えば、車両2の位置情報、経路、及び、目的地等を含む。なお、機械学習モデルは、例えば、ニューラルネットワーク、深層学習モデル、畳込ニューラルネットワーク、再帰型ニューラルネットワーク等のいずれであってもよい。車両2へ配信するPOI情報の選択に用いられる機械学習モデルは、特定のアルゴリズムに従ったモデルに限定されない。
【0041】
なお、制御部11は、車両2と目的地までの距離が所定値よりも短い場合には、POI情報を配信しないことを決定してもよい。車両2が目的地に近い場合には、車両2のユーザが他のPOIに立ち寄る可能性が低く、POI情報を配信する効果が薄いためである。
また、車両2との距離が所定よりも短いPOIについては、例えば、経路沿いにあるPOIだとしても、車両2のユーザが立ち寄る準備が間に合わず通り過ぎてしまう可能性が高いので、配信するPOI情報に選択しないようにしてもよい。
【0042】
制御部11は、車両2へ配信するPOI情報を選択すると、選択したPOI情報ごとに、例えば、車両2の移動情報とPOI情報とに基づいて、提供条件を設定する。提供条件は、例えば、POIのジャンルによって、有効範囲、有効期間、及び、その他の条件のうち、設定される項目が予め決まっている。
【0043】
POI情報の有効範囲は、いずれのPOIのジャンルについても設定される。制御部11は、POI情報の有効範囲を、例えば、車両2の進行方向、速度、高速道路を走行しているか一般道路を走行しているか、に応じて設定する。POI情報の有効範囲は、車両2の進行方向の先に対象POIが存在するように設定される。例えば、車両2の進行方向が東から西へ向かう方向である場合には、POI情報の有効範囲は、対象のPOIから見て東側に設定される。反対に、例えば、車両2の進行方向が西から東へ向かう方向である場合には、POI情報の有効範囲は、対象のPOIから見て西側に設定される。また、POI情報の有効範囲は、車両2の速度が速いほど大きくなるように設定される。また、POI情報の有効範囲は、車両2が一般道を走行している場合よりも車両2が高速道路を走行している場合の方が大きくなるように設定される。
【0044】
すなわち、有効範囲は、そのサイズが速度、及び、高速道路を走行しているか一般道路を走行しているかに応じて決定され、配置が車両2の進行方向に応じて決定される。有効範囲は、決定されたサイズ及び配置に従って、例えば、緯度及び経度で示される。また、有効範囲は、例えば、POIに到着するX1分前からX2分前の範囲、のように時間で予め定義されており、車両2の速度等に応じて時間を距離に変換して設定されてもよい。なお、車両2の速度は、車両2からの車両走行情報から取得可能である。車両2の進行方向及び走行中の道路の種類は、例えば、車両走行情報に含まれる位置情報から取得可能であるし、又は、経路情報からも取得可能である。
【0045】
POI情報の有効期間は、POIのジャンルが、営業時間又は開園時間等がある店舗及び施設等、及び、景観が時間帯によって変わる景観の良い地点等である場合に設定される。この場合のPOI情報の有効期間は、当該POIの営業時間、開園時間、又は、景観の良い時間帯等に設定される。また、POI情報の内容がタイムセールの案内等の時間に関係のあるものである場合には、POI情報の有効期間は、当該タイムセールの期間に設定される。
【0046】
提案条件のその他の項目として、天候がある。例えば、景観の良い地点、屋外にあり悪天候の場合には利用できない施設等の場合には、POI情報に有効な天候の提案条件が設定される。天候の提案条件は、例えば、晴れ、及び、曇り等である。なお、提案条件の項目は、有効範囲、有効期間、及び、天候に限定されず、POIの種類に応じて適宜追加可能である。
【0047】
制御部11は、選択したPOI情報と、各POI情報の提案条件とを、配信情報の取得リクエストの送信元の車両2へ送信する。なお、制御部11は、予め車両2ごとに、配信するPOI情報を選択しておき、車両2から配信情報の取得リクエストを受信した場合に、予め選択しておいたPOI情報ごとに提案情報を設定してもよい。
【0048】
移動情報DB 12及び配信情報DB 13は、サーバ1の補助記憶装置103内に作成される。移動情報DB 12には、車両2から受信された移動情報が格納されている。配信情報DB 13には、例えば、制御部11がインターネットで検索して収集したPO
I情報、及び、車両2への配信を依頼された、外部の装置から受信したPOI情報等が含まれている。
【0049】
次に、車両2は、機能構成として、情報送信部21、情報取得部22、情報提供部23、及び、配信情報DB 24を備える。これらの機能構成要素の機能は、それぞれ、車載装置210のCPU 211が所定のプログラムを実行することによって達成される。
【0050】
情報送信部21は、所定の周期で、車両2に搭載されているセンサから検知値を収集し、車両走行情報を生成してサーバ1へ送信する。車両走行情報の送信周期は、例えば、0.1秒から10秒の間で設定される。
【0051】
情報取得部22は、所定の周期で、サーバ1へ配信情報の取得リクエストを送信する。配信情報の取得リクエストの送信周期は、例えば、1分から10分の間で設定される。配信情報の取得リクエストとともに、例えば、車両2のユーザの識別情報、車両2において経路案内が実施されている場合には経路情報等、及び、予め設定されている場合にはユーザ指定のPOIのジャンルも送信される。
【0052】
情報取得部22は、サーバ1から、配信情報の取得リクエストに対する応答として、1又は複数の、POI情報と提案条件とを受信する。情報取得部22は、受信したPOI情報と提案条件とを配信情報DB 24に格納する。
【0053】
情報提供部23は、サーバ1から受信したPOI情報のユーザへの提供に係る処理を制御する。情報提供部23は、第1実施形態では、車両2の走行状態と、POI情報の提供条件と、に基づいて、POI情報のユーザへの提供の可否を判定する。
【0054】
情報提供部23は、車両2の走行状態が、POI情報の提供が行われても安全な走行が維持できる状態である場合に、当該POI情報の提供について実行可能と判定する。ユーザが車両2を運転中には、周囲に注意を払う必要がある。なかでも、交差点への進入、交差点内で右折又は左折中、交差点内で右折また左折の待ち中、及び、一時停止確認中にはより一層周囲に注意を払うことが求められる。そのような場合に、POI情報が提供されてしまうと、運転中のユーザの注意をPOI情報にそらしてしまう可能性があり、安全な走行に支障をきたす可能性がある。または、運転中のユーザがPOI情報に注意を払わない場合には、当該POI情報を提供する効果が薄くなってしまう。
【0055】
したがって、情報提供部23は、車両2の走行状態が、POI情報の提供によって安全な走行が維持できない可能性がある所定の走行状態である場合には、POI情報の提供について実行しないことを判定する。車両2の、POI情報の提供によって安全な走行が維持できない可能性がある所定の走行状態は、例えば、交差点への進入、交差点内で右折又は左折中、交差点内で右折また左折の待ち中、及び、ユーザが一時停止確認中の状態である。反対に、車両2の、POI情報の提供が行われても安全な走行が維持できる状態は、上記所定の走行状態以外の状態である。車両2の走行状態は、車両2の各種センサの検知値や位置情報等から検出可能である。車両2の、POI情報の提供によって安全な走行が維持できない可能性がある所定の走行状態は、「移動端末」の「所定の移動状態」の一例である。
【0056】
情報提供部23は、POI情報の提供条件が満たされている場合に、当該POI情報の提供について実行可能と判定する。POI情報の提供条件が満たされていない場合には、当該POI情報の提供を実行しないことを判定する。また、情報提供部23は、POI情報の提供を実行した場合、及び、POI情報を提供しないまま、提供条件の有効範囲を通り過ぎた又は有効期間が過ぎた場合には、配信情報DB 24から当該POI情報を削除
する。情報提供部23の処理の詳細については、後述される。
【0057】
配信情報DB 24は、車載装置210の補助記憶装置213内に作成される。配信情報DB 24には、提供待ちリスト24A及びPOI情報24Bが格納されている。提供待ちリスト24Aは、ユーザへの提供が保留状態のPOI情報のリストである。POI情報24Bは、サーバ1から情報取得部22によって取得されたPOI情報である。なお、サーバ1及び車両2の機能構成は一例であり、図3に示される機能構成に限定されない。
【0058】
図4は、車両2に保持される提供待ちリスト24Aの一例である。提供待ちリスト24Aの1レコードは、POI情報24Bに保持される1つのPOI情報に対応する。提供待ちリスト24Aのレコードには、情報ID、有効範囲、有効期間、及び、天候等のフィールドが含まれる。情報IDのフィールドには、POI情報の識別情報が格納される。提供待ちリスト24Aで用いられるPOI情報の識別情報は、サーバ1によって付与されたものであってもよいし、情報取得部22がサーバ1から当該POI情報を取得した場合に車載装置210内で識別するために付与したものであってもよい。
【0059】
有効範囲、有効期間、及び、天候のフィールドには、それぞれ、サーバ1からPOI情報とともに受信された当該POI情報の提供条件に含まれる、有効範囲、有効期間、及び、天候が格納される。POI情報の提供条件には、有効範囲が必須で含まれている。一方、POI情報の提供条件において、有効範囲以外の項目はオプションなので、POI情報の提供条件に含まれていない項目については、提供待ちリスト24Aにおいても値が格納されない。
【0060】
情報取得部22は、サーバ1からPOI情報と提供条件とを受信すると、POI情報をPOI情報24Bに格納し、提供条件の内容を含むレコードを提供待ちリスト24Aに追加する。また、情報提供部23は、POI情報をPOI情報24Bから削除する場合には、対応するレコードを提供待ちリスト24Aから削除する。なお、提供待ちリスト24Aのデータ構造は、図4に示される例に限定されない。
【0061】
図5は、サーバ1の情報配信処理のフローチャートの一例である。図5に示される処理は、例えば、所定の周期で繰り返し実行される。図5に示される処理の実行主体は、CPU 101であるが、便宜上、機能構成要素を主体として説明する。
【0062】
OP101では、制御部11は、車両2から、配信情報の取得リクエストを受信したか否かを判定する。車両2から配信情報の取得リクエストを受信した場合には(OP101:YES)、処理がOP102へ進む。車両2から配信情報の取得リクエストを受信していない場合には(OP101:NO)、図5に示される処理が終了する。
【0063】
OP102では、制御部11は、配信情報DB 13から、車両2へ送信するPOI情報を選択する。POI情報の選択方法は上述の通りである。OP103では、制御部11は、OP102において選択した各POI情報について提供条件を設定する。提供条件の設定方法は上述の通りである。OP104では、制御部11は、POI情報と提案情報とを車両2へ送信する。その後、図5に示される処理が終了する。なお、サーバ1の情報配信処理は図5に示される処理に限定されない。図5では、POI情報の配信処理とPOI情報の提供条件の設定の処理とが一連の流れで行われているが、当該2つの処理は独立して実行されてもよい。
【0064】
図6は、車両2の情報提供処理のフローチャートの一例である。図6に示される処理は、例えば、1秒から10秒の間の所定の周期で繰り返し実行される。図6に示される処理は、提供待ちリスト24Aの各レコードについて、実行される。図6に示される処理の実
行主体は、車載装置210のCPU 211であるが、便宜上、機能構成要素を主体として説明する。
【0065】
OP201では、情報提供部23は、車両2の走行状態が、安全にPOI情報を提供可能な状態か否かを判定する。安全にPOI情報を提供可能な状態であることは、例えば、車両2の走行状態が、POI情報の提供によって安全な走行が維持できない可能性がある所定の状態に該当しないことである。車両2の走行状態が、安全にPOI情報を提供可能な状態である場合には(OP201:YES)、処理がOP202へ進む。車両2の走行状態が、安全にPOI情報を提供可能な状態でない場合には(OP201:NO)、処理がOP207へ進む。
【0066】
OP202からOP206の処理は、車両2の走行状態が、安全にPOI情報を提供可能な状態である場合の処理である。OP202では、情報提供部23は、車両2の位置が対象のPOI情報の有効範囲内であるか否かを判定する。車両2が対象のPOI情報の有効範囲内である場合には(OP202:YES)、処理がOP203へ進む。車両2の位置が対象のPOI情報の有効範囲外である場合には(OP202:NO)、処理がOP206ヘ進み、情報提供部23は、対象のPOI情報の提供を実行しないことを判定する。対象のPOI情報は、提供待ちリスト24Aに維持される。
【0067】
OP203では、情報提供部23は、現在、対象のPOI情報の有効期間内であるか否かを判定する。現在、対象のPOI情報の有効期間内である場合には(OP203:YES)、処理がOP204へ進む。現在、対象のPOI情報の有効期間前である場合には(OP203:NO)、処理がOP206へ進み、情報提供部23は、対象のPOI情報の提供を実行しないことを判定する。なお、POI情報の提供条件に有効期間が設定されていない場合には、OP203は肯定判定となる。
【0068】
OP204では、情報提供部23は、対象のPOI情報のその他の項目の提供条件が満たされるか否かを判定する。例えば、その他の項目として天候が設定されている場合には、情報提供部23は、車両2の現在位置のエリアの天候を、例えば、インターネット及び外部サーバ等から取得して、天候の提案条件が満たされるか否かを判定する。対象のPOI情報のその他の項目の提供条件が満たされる場合には(OP204:YES)、処理がOP205へ進む。対象のPOI情報のその他の項目の提供条件が満たされていない場合には(OP204:NO)、処理がOP206へ進み、情報提供部23は、対象のPOI情報の提供を実行しないことを判定する。なお、POI情報の提供条件に有効範囲及び有効期間以外のその他の項目が設定されていない場合には、OP204は肯定判定となる。
【0069】
OP205では、情報提供部23は、対象のPOI情報を、例えば、タッチパネルディスプレイ230とスピーカ220とから出力して、ユーザに提供する。また、情報提供部23は、対象のPOI情報をPOI情報24Bから削除し、対象のPOI情報に対応するレコードを提供待ちリスト24Aから削除する。その後、図6に示される処理が終了する。
【0070】
OP207からOP209の処理は、車両2の走行状態が、安全にPOI情報を提供可能な状態でない場合の処理である。OP207では、情報提供部23は、車両2が対象のPOI情報の有効範囲を通過したか否かを判定する。車両2が対象のPOI情報の有効範囲を通過した場合には(OP207:YES)、処理がOP209へ進む。車両2が対象のPOI情報の有効範囲を通過していない場合には(OP207:NO)、処理がOP206ヘ進み、情報提供部23は、対象のPOI情報の提供を実行しないことを判定する。対象のPOI情報は、提供待ちリスト24Aに維持される。
【0071】
OP208では、情報提供部23は、対象のPOI情報の有効期間が経過したか否かを判定する。対象のPOI情報の有効期間が経過した場合には(OP208:YES)、処理がOP209へ進む。対象のPOI情報の有効期間が経過していない場合には(OP208:NO)、処理がOP206へ進み、情報提供部23は、対象のPOI情報の提供を実行しないことを判定し、対象のPOI情報は提供待ちリスト24Aに維持される。なお、POI情報の提供条件に有効期間が設定されていない場合には、OP208は否定判定となる。
【0072】
OP209では、情報提供部23は、対象のPOI情報の提供を実行しないことを判定し、対象のPOI情報をPOI情報24Bから削除し、対象のPOI情報に対応するレコードを提供待ちリスト24Aから削除する。その後、図6に示される処理が終了する。なお、図6に示される情報提供処理は一例であって、情報提供処理は図6に示される処理に限定されない。例えば、OP201の判定のように車両2の状態を考慮せずに、提案条件が満たされているか否かに基づいて、POI情報の提供の実行可否が判定されてもよい。
【0073】
図6に示される情報提供処理によれば、POI情報は、車両2が安全に情報提供可能な状態であり(OP201:YES)、且つ、提供条件が満たされている場合(OP202~OP204:YES)に、提供される。したがって、第1実施形態では、POI情報を、車両2のユーザが安全で、且つ、POI情報の提供が意味をなさないものにならないような、より良いタイミングで提供することができる。
【0074】
また、図6に示される情報提供処理によれば、POI情報がサーバ1から受信された直後に、例えば、車両2が安全に情報提供可能な状態でなく(OP201:NO)、且つ、有効範囲も有効期間も過ぎていない場合には(OP208:NO)、当該POI情報の提供は保留される(OP206)。その後、車両2が安全な状態となり(OP201:YES)、提供条件が満たされた場合に(OP202~OP204:YES)、当該POI情報が提供される(OP205)。したがって、第1実施形態によれば、一旦、車両2の状況により情報提供が保留されたPOI情報でも、その後、車両2の走行状態が適切な状態になった場合に提供される可能性があるので、POI情報の提供の機会をより多く確保することができる。
【0075】
また、図6に示される情報提供処理によれば、POI情報が提供されないまま、有効範囲又は有効期間が過ぎてしまった場合(OP207:YES、OP208:YES)には、当該POI情報は配信情報DB 24から削除される。有効範囲又は有効期間が過ぎてしまったPOI情報は、その後提供されることはない。有効範囲又は有効期間が過ぎてしまったPOI情報を配信情報DB 24から削除することによって、車載装置210の補助記憶装置213のリソースを、今後提供されることのないPOI情報で使用されることを抑制することができ、節約することができる。
【0076】
<その他の変形例>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
【0077】
第1実施形態では、POI情報の提供条件の設定をサーバ1が実行し、当該POI情報の提供の判定を車両2が実行する。これに限定されず、例えば、車両2がPOI情報の提供条件の設定と提供の判定とを実行してもよい。車両2が地図情報等を保持することによって、実現可能である。この場合には、車両2又は車載装置210は、「移動端末」に加えて「情報処理装置」の一例でもある。また、CPU 211は、「制御部」の一例である。
【0078】
または、例えば、サーバ1がPOI情報の提供条件の設定と提供の判定とを実行してもよい。サーバ1は、車両2から所定の周期で車両走行情報を受信しているので、車両2が安全に情報を提供可能な状態であるかを判定することができる。また、この場合には、サーバ1は、POI情報の提供の実施を判定した場合に対象のPOI情報を車両2へ送信してもよいし、予めPOI情報を車両2へ送信しておき提供の実施を判定したタイミングで車両2へ対象のPOI情報の提供の指示を送信してもよい。
【0079】
第1実施形態では、POI情報の提供条件をPOI情報に基づいてサーバ1が設定するが、これに限定されず、POI情報の提供条件は、POI情報の提供元によって指定されていてもよい。POI情報の提供元には、例えば、店舗及び施設の管理者、企業、及び、官公庁等がある。POI情報の提供元にPOI情報の提供条件を指定可能にすることで、POI情報の提供元が希望するタイミングでPOI情報を提供することができる。
【0080】
第1実施形態では、移動端末として車載装置210、移動として車両2による移動を例に説明された。ただし、情報配信システム100は、移動端末として、例えば、スマートフォン、タブレット端末、及び、ウェアラブル端末を含み、歩行や自転車等による移動に対してもPOI情報の配信を実施可能である。この場合には、歩行や自転車等の移動手段に応じて、安全に情報提供可能な状態又はそうでない状態を定義を変更することで実施可能である。
【0081】
本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0082】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0083】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0084】
1・・サーバ
2・・車両
11・・制御部
12・・移動情報DB
13・・配信情報DB
21・・情報送信部
22・・情報取得部
23・・情報提供部
24・・配信情報DB
24A・・提供待ちリスト
24B・・POI情報
100・・情報配信システム
101、211・・CPU
102、212・・メモリ
103、213・・補助記憶装置
104、214・・通信部
210・・車載装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6