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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119427
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】モータ装置及び電動ポンプ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/04 20060101AFI20240827BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H02K5/04
H02K7/14 B
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026317
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000106944
【氏名又は名称】シナノケンシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100135622
【弁理士】
【氏名又は名称】菊地 挙人
(72)【発明者】
【氏名】佐久 悠希
【テーマコード(参考)】
5H605
5H607
【Fターム(参考)】
5H605AA07
5H605AA08
5H605BB07
5H605BB14
5H605BB17
5H605CC01
5H605CC02
5H605CC03
5H605DD05
5H605EA06
5H605FF03
5H605FF06
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB14
5H607BB25
5H607CC05
5H607FF06
(57)【要約】
【課題】軸方向で小型化されたモータ装置及び電動ポンプを提供することを課題とする。
【解決手段】モータと、支持部材と、前記モータを包囲するケース及びカバーと、を備え、前記モータは、ロータ、及び前記ロータよりも径方向外側に配置された円環状のステータ、を含み、前記支持部材は、前記ステータの外周面が圧入された円筒部、及び前記円筒部から径方向外側に延びたフランジ部、を含み、前記フランジ部は、前記ケース及びカバーにより挟持されており、前記モータの軸方向での前記フランジ部の厚みは、前記軸方向での前記ステータの厚みよりも薄い、モータ装置。
【選択図】図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
支持部材と、
前記モータを包囲するケース及びカバーと、を備え、
前記モータは、ロータ、及び前記ロータよりも径方向外側に配置された円環状のステータ、を含み、
前記支持部材は、前記ステータの外周面が圧入された円筒部、及び前記円筒部から径方向外側に延びたフランジ部、を含み、
前記フランジ部は、前記ケース及びカバーにより挟持されており、
前記モータの軸方向での前記フランジ部の厚みは、前記軸方向での前記ステータの厚みよりも薄い、モータ装置。
【請求項2】
前記モータは、前記ステータに巻回されたコイルを含み、
前記フランジ部の少なくとも一部は、前記軸方向に垂直な方向で前記コイルに重なる、請求項1のモータ装置。
【請求項3】
前記軸方向での前記支持部材の大きさは、前記軸方向での前記コイルの大きさよりも小さい、請求項2のモータ装置。
【請求項4】
前記円筒部は、前記ステータの外周面の一部が圧入された圧入部、及び前記ステータの外周面から離間した離間部、を含み、
前記離間部は、前記ステータの外周面に前記軸方向に垂直な方向で対向している、請求項3のモータ装置。
【請求項5】
前記円筒部は、無底円筒形状である、請求項4のモータ装置。
【請求項6】
前記ケースは、樹脂製であり、
前記支持部材は、金属製である、請求項1乃至5の何れかのモータ装置。
【請求項7】
請求項1のモータ装置と、
前記ロータにより回転し前記ケース及びカバーにより包囲される羽根部材と、を備えた電動ポンプ。
【請求項8】
前記ケースは、第1及び第2部材を含み、
前記第1部材は、流体を導入する導入管部、及び流体を排出する排出管部を含み、
前記第2部材は、前記ロータと前記ステータとを仕切る仕切部材を保持し、
前記フランジ部は、前記第2部材と前記カバーとにより挟持される、請求項7の電動ポンプ。
【請求項9】
前記フランジ部は、前記羽根部材側に位置し、
前記円筒部は、前記フランジ部よりも前記羽根部材とは反対側に位置している、請求項7の電動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ装置及び電動ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
モータを備えたモータ装置がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-010503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のモータ装置では、2つのケースがモータの軸方向からステータを直接挟持している。このため、この装置は軸方向で大型化している。
【0005】
そこで本発明は、軸方向で小型化されたモータ装置及び電動ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、モータと、支持部材と、前記モータを包囲するケース及びカバーと、を備え、前記モータは、ロータ、及び前記ロータよりも径方向外側に配置された円環状のステータ、を含み、前記支持部材は、前記ステータの外周面が圧入された円筒部、及び前記円筒部から径方向外側に延びたフランジ部、を含み、前記フランジ部は、前記ケース及びカバーにより挟持されており、前記モータの軸方向での前記フランジ部の厚みは、前記軸方向での前記ステータの厚みよりも薄い、モータ装置によって達成できる。
【0007】
また、上記目的は、上記のモータ装置と、前記ロータにより回転し前記ケース及びカバーにより包囲される羽根部材と、を備えた電動ポンプ。
【発明の効果】
【0008】
軸方向で小型化されたモータ装置及び電動ポンプを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電動ポンプの外観斜視図である。
図2】電動ポンプの分解斜視図である。
図3】電動ポンプの分解斜視図である。
図4】電動ポンプの断面図である。
図5】支持部材の外観斜視図である。
図6図4の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[電動ポンプの概略構成]
図1は、電動ポンプ1の外観斜視図である。図2及び図3は、電動ポンプ1の分解斜視図である。電動ポンプ1は、第1ケース10、カバー20、第2ケース30、支持部材40、及びロータ50を含む。第1ケース10、カバー20、第2ケース30、及び支持部材40は、複数のネジSにより、後述するモータMの軸方向Aで重なった状態で固定される。モータM、第1ケース10、カバー20、第2ケース30、及び支持部材40は、モータ装置の一例である。
【0011】
第1ケース10及び第2ケース30は、樹脂製である。カバー20及び支持部材40は、金属製である。カバー20は、例えばアルミニウム合金製である。支持部材40は、例えばステンレス鋼製である。第1ケース10と第2ケース30とは、軸方向Aで重なる。第2ケース30とカバー20との間で、支持部材40が挟持される。第1ケース10及び第2ケース30は、それぞれ第1部材及び第2部材の一例である。
【0012】
カバー20には、位置決めボス28及び29が形成されている。支持部材40には、位置決め孔48及び49が形成されている。第2ケース30には、位置決め凹部38が形成されている。位置決めボス28が位置決め孔48及び位置決め凹部38に嵌合することにより、カバー20に対する第2ケース30及び支持部材40の位置が規定される。位置決めボス29が位置決め孔49に嵌合することにより、カバー20に対する支持部材40の位置が規定される。
【0013】
第1ケース10には、導入管部11及び排出管部12が形成されている。導入管部11は、流体を電動ポンプ1内部に吸引する。排出管部12は、流体を電動ポンプ1から排出する。尚、本実施例では流体は液体であるが、気体であってもよい。ケーブルC1の先端に取り付けられたコネクタC2は、カバー20の開口27に挿入される。これにより、コネクタC2はプリント基板Pに電気的に接続され、後述するモータMに電力が供給される。
【0014】
図4は、電動ポンプ1の断面図である。モータMは、第1ケース10、第2ケース30、及びカバー20により包囲される。モータMは、ロータ50、ステータ64、コイル66、及び軸部材82を含む。ロータ50は、保持部52、磁石62、滑り軸受70を含む。磁石62は、保持部52の径方向外側の位置で保持されている。保持部52は、樹脂製である。磁石62は、円筒状である。磁石62は、周方向に異なる極性に着磁されている。滑り軸受70は、保持部52の径方向内側に保持されている。保持部52の一端には、羽根部材54が形成されている。ステータ64は、磁石62の径方向外側に配置されている。ステータ64には、複数のコイル66が巻回されている。詳しくは後述するが、ステータ64は、支持部材40に圧入された状態で支持されている。
【0015】
第2ケース30は、円環状である。第2ケース30の内側には、仕切部材34が取り付けられている。仕切部材34は、金属製である。仕切部材34は、ロータ50とステータ64との間を仕切っている。導入管部11から導入された流体は、仕切部材34と第1ケース10とによって画定された空間内に導入される。第2ケース30の内側面と仕切部材34と第1ケース10との間には、ゴム製のOリングRが配置される。
【0016】
軸部材82は、滑り軸受70に挿入されている。軸部材82の一端には、ワッシャW1が嵌合している。ワッシャW1は、第1ケース10と滑り軸受70とにより挟持される。軸部材82の他端は、ワッシャW2を介して支持板84に固定されている。このようにして軸部材82は回転不能に固定されている。尚、軸部材82の一端と第1ケース10との間には、ゴム製のダンパDが配置されている。支持板84は、仕切部材34の底部に配置されている。
【0017】
複数のコイル66が通電されることにより、ステータ64と磁石62との間で磁力が発生する。これにより、ロータ50が回転する。このようにして羽根部材54が回転する。
【0018】
[支持部材40の詳細構成]
図5は、支持部材40の外観斜視図である。図6は、図4の部分拡大図である。支持部材40は、金属製の薄板を曲げ加工により形成されている。支持部材40は、円筒部42及びフランジ部46を含む。フランジ部46は、羽根部材54側に位置する。円筒部42は、羽根部材54とは反対側に位置する。
【0019】
円筒部42は、無底円筒形状である。円筒部42は、圧入部421及び離間部422を含む。圧入部421は、ステータ64の外周面の一部が圧入されている。離間部422は、圧入部421に連続している。離間部422は、ステータ64の外周面から離間している。離間部422は、圧入部421よりの内径が大きい。離間部422は、軸方向Aに垂直な方向Bでステータ64に対向している。圧入部421の軸方向Aでの長さL1は、ステータ64の軸方向Aでの長さL2の4分の1以上であることが好ましい。フランジ部46は、離間部422から径方向外側に延びている。
【0020】
フランジ部46は、カバー20及び第2ケース30により挟持されている。ここで、フランジ部46の軸方向Aの厚みHは、ステータ64の軸方向Aの長さL2よりも薄い。このため、例えばカバー20及び第2ケース30によりステータ64が直接挟持されている場合と比較して、電動ポンプ1は軸方向Aに小型化されている。また、先述のように第1ケース10及び第2ケース30は樹脂製、カバー20は金属製(例えばアルミニウム合金製)である。支持部材40を介さずに直接これらにステータ64を圧入や一体成型など用いて結合することも可能である。しかしながら、材料ごとに強度や温度耐性などが異なるため、信頼性や寿命面等で問題が発生するおそれがある。例えば樹脂や非鉄金属(アルミニウム合金製など)への圧入は、これらの部材の強度が低いため、空転や割れ、摩耗等の観点から、鋼に圧入する場合と比べて使用温度範囲が狭くなるおそれがある。また、圧入の場合は、加工精度が要求されるためコストが増える問題もある。支持部材40を介してステータ64を第2ケース30およびカバー20に締結することにより、これらの問題も解決することができる。
【0021】
支持部材40のフランジ部46は、軸方向Aに垂直な方向Bで、コイル66及びステータ64に重なっている。即ち、第2ケース30とカバー20とにより挟持されるフランジ部46と、ステータ64が圧入された圧入部421とは、近接している。このため、支持部材40はステータ64を安定した状態で支持することができる。
【0022】
支持部材40の軸方向Aでの大きさは、コイル66の軸方向Aでの大きさよりも小さい。また、円筒部42は無底円筒形状である。このように支持部材40が小型化されている。このため、支持部材40の剛性が確保され、支持部材40の製造コストも抑制されている。
【0023】
上述したように円筒部42の圧入部421は、ステータ64の外周面の一部が圧入されている。このため、圧入部421がステータ64の外周面の全面が圧入される場合と比較して、圧入時の摺動抵抗を抑制できる。また、離間部422はステータ64から離間している。このため、ステータ64を離間部422側から圧入部421に圧入する際の作業性が向上している。
【0024】
上記実施例では、モータ装置を備えた電動ポンプ1を一例として説明した。モータ装置は、電動ポンプ1以外の装置、例えば電動ファンにも適用できる。
【0025】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 電動ポンプ
10 第1ケース(ケース、第1部材)
20 カバー
30 第2ケース(ケース、第2部材)
40 支持部材
42 円筒部
421 圧入部
422 離間部
46 フランジ部
50 ロータ
54 羽根部材
64 ステータ
66 コイル
M モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6