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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119428
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】電動ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/28 20060101AFI20240827BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
F04D29/28 D
H02K7/14 B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026318
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000106944
【氏名又は名称】シナノケンシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100135622
【弁理士】
【氏名又は名称】菊地 挙人
(72)【発明者】
【氏名】中野 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】須藤 紀寛
(72)【発明者】
【氏名】武田 晃洋
(72)【発明者】
【氏名】佐久 悠希
【テーマコード(参考)】
3H130
5H607
【Fターム(参考)】
3H130AA02
3H130AA12
3H130AB22
3H130AB46
3H130AC01
3H130BA74C
3H130BA74G
3H130BA97C
3H130BA97G
3H130DD01X
3H130EA06C
3H130EA06G
3H130EA07C
3H130EA07G
3H130ED02C
3H130ED02G
5H607AA12
5H607BB01
5H607CC01
5H607DD02
5H607FF06
(57)【要約】
【課題】ロータの軸方向の一方側への荷重を抑制しつつ軸方向に小型化され、製造コストも抑制された電動ポンプを提供することを課題とする。
【解決手段】ケースと、ロータ及びステータを有し、前記ケースに包囲されたモータと、を備え、前記ケースは、流体を導入する導入管部、及び流体を排出する排出管部、を含み、前記ロータは、前記ケースと前記ステータとにより包囲され前記導入管部及び排出管部に連通した空間内に配置され、前記ロータは、第1羽根部材、第2羽根部材、及び中継部を含み、前記中継部の外径は、前記第1及び第2羽根部材の少なくとも一方の外径よりも小さく、前記中継部は、前記第1羽根部材と前記第2羽根部材との間に位置する、電動ポンプ。
【選択図】図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
ロータ及びステータを有し、前記ケースに包囲されたモータと、を備え、
前記ケースは、流体を導入する導入管部、及び流体を排出する排出管部、を含み、
前記ロータは、前記ケースと前記ステータとにより包囲され前記導入管部及び排出管部に連通した空間内に配置され、
前記ロータは、第1羽根部材、第2羽根部材、及び中継部を含み、
前記中継部の外径は、前記第1及び第2羽根部材の少なくとも一方の外径よりも小さく、
前記中継部は、前記第1羽根部材と前記第2羽根部材との間に位置する、電動ポンプ。
【請求項2】
前記第2羽部材は、径方向に直線状に延びた複数の溝を含む、請求項1の電動ポンプ。
【請求項3】
前記溝の径方向に垂直な幅は、一定である、請求項2の電動ポンプ。
【請求項4】
前記ロータは、磁石を含み、
前記第2羽根部材の外径は、前記磁石の外径よりも小さい、請求項2又は3の電動ポンプ。
【請求項5】
前記第1羽根部材は、前記ケースに包囲され、
前記第2羽根部材は、前記ステータに包囲される、請求項1乃至3の電動ポンプ。
【請求項6】
前記ロータと前記ステータとを仕切る仕切部材を備え、
前記ロータは、前記ケースと前記仕切部材とにより包囲され前記導入管部及び排出管部に連通した空間内に配置され、
前記第2羽根部材は、前記仕切部材に包囲されている、請求項1乃至3の何れかの電動ポンプ。
【請求項7】
前記ロータは、磁石を含み、
前記第1羽根部材は、前記磁石に対して一方側に位置し、
前記第2羽根部材は、前記磁石に対して他方側に位置する、請求項1乃至3の何れかの電動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータの軸方向の一方側への荷重が過大となることを抑制するために、表面と裏面の双方に羽根が設けられた羽根部材を備えた電動ポンプがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-153331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような羽根部材には表側と裏側とから荷重が作用して、羽根部材に反りが発生するおそれがある。このような反りを抑制するためには、羽根部材を厚く形成することが考えられる。しかしながら羽根部材の厚みが厚いと、電動ポンプが軸方向に大型化するおそれがある。また、羽根部材の表側と裏側の両面に羽根を樹脂で設けると、成形不良が発生するおそれがある。また、そのための金型も複雑である。これにより、製造コストが増大するおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、ロータの軸方向の一方側への荷重を抑制しつつ軸方向に小型化され、製造コストも抑制された電動ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、ケースと、ロータ及びステータを有し、前記ケースに包囲されたモータと、を備え、前記ケースは、流体を導入する導入管部、及び流体を排出する排出管部、を含み、前記ロータは、前記ケースと前記ステータとにより包囲され前記導入管部及び排出管部に連通した空間内に配置され、前記ロータは、第1羽根部材、第2羽根部材、及び中継部を含み、前記中継部の外径は、前記第1及び第2羽根部材の少なくとも一方の外径よりも小さく、前記中継部は、前記第1羽根部材と前記第2羽根部材との間に位置する、電動ポンプによって達成できる。
【発明の効果】
【0007】
ロータの軸方向の一方側への荷重を抑制しつつ軸方向に小型化され、製造コストも抑制された電動ポンプを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、電動ポンプの外観斜視図である。
図2図2は、電動ポンプの分解斜視図である。
図3図3は、電動ポンプの分解斜視図である。
図4図4は、電動ポンプの断面図である。
図5図5は、保持部の外観図である。
図6図6は、保持部の外観図である。
図7図7A及び図7Bは、羽根部材の変形例の説明図である。
図8図8A及び図8Bは、羽根部材の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[電動ポンプの概略構成]
図1は、電動ポンプ1の外観斜視図である。図2及び図3は、電動ポンプ1の分解斜視図である。電動ポンプ1は、第1ケース10、カバー20、第2ケース30、支持部材40、及びロータ50を含む。第1ケース10、カバー20、第2ケース30、及び支持部材40は、複数のネジSにより、後述するモータMの軸方向Aで重なった状態で固定される。
【0010】
第1ケース10及び第2ケース30は、樹脂製である。カバー20及び支持部材40は、金属製である。カバー20は、例えばアルミニウム合金製である。支持部材40は、例えばステンレス鋼製である。第1ケース10と第2ケース30とは、軸方向Aで重なる。第2ケース30とカバー20との間で、支持部材40が挟持される。第1ケース10及び第2ケース30は、それぞれ第1部材及び第2部材の一例である。
【0011】
カバー20には、位置決めボス28及び29が形成されている。支持部材40には、位置決め孔48及び49が形成されている。第2ケース30には、位置決め凹部38が形成されている。位置決めボス28が位置決め孔48及び位置決め凹部38に嵌合することにより、カバー20に対する第2ケース30及び支持部材40の位置が規定される。位置決めボス29が位置決め孔49に嵌合することにより、カバー20に対する支持部材40の位置が規定される。
【0012】
第1ケース10には、導入管部11及び排出管部12が形成されている。導入管部11は、流体を電動ポンプ1内部に吸引する。排出管部12は、流体を電動ポンプ1から排出する。尚、本実施例では流体は液体であるが、気体であってもよい。ケーブルC1の先端に取り付けられたコネクタC2は、カバー20の開口27に挿入される。これにより、コネクタC2はプリント基板Pに電気的に接続され、後述するモータMに電力が供給される。
【0013】
図4は、電動ポンプ1の断面図である。モータMは、第1ケース10、第2ケース30、及びカバー20により包囲される。モータMは、ロータ50、ステータ64、コイル66、及び軸部材82を含む。ロータ50は、保持部52、磁石62、滑り軸受70を含む。磁石62は、保持部52の径方向外側の位置で保持されている。保持部52は、樹脂製である。磁石62は、円筒状である。磁石62は、周方向に異なる極性に着磁されている。滑り軸受70は、保持部52の径方向内側に保持されている。保持部52の一端には、羽根部材54が形成されている。保持部52の他端には、詳しくは後述する羽根部材57が形成されている。ステータ64は、磁石62の径方向外側に配置されている。ステータ64には、複数のコイル66が巻回されている。ステータ64は、支持部材40に圧入された状態で支持されている。
【0014】
第2ケース30は、円環状である。第2ケース30の内側には、仕切部材34が取り付けられている。仕切部材34は、金属製である。仕切部材34は、ロータ50とステータ64との間を仕切っている。導入管部11から導入された流体は、仕切部材34と第1ケース10とによって画定された空間内に導入される。第2ケース30の内側面と仕切部材34と第1ケース10との間には、ゴム製のOリングRが配置される。
【0015】
軸部材82は、滑り軸受70に挿入されている。軸部材82の一端には、ワッシャW1が嵌合している。ワッシャW1は、第1ケース10と滑り軸受70とにより挟持される。軸部材82の他端は、ワッシャW2を介して支持板84に固定されている。このようにして軸部材82は回転不能に固定されている。尚、軸部材82の一端と第1ケース10との間には、ゴム製のダンパDが配置されている。支持板84は、仕切部材34の底部に配置されている。
【0016】
複数のコイル66が通電されることにより、ステータ64と磁石62との間で磁力が発生する。これにより、ロータ50が回転する。このようにして羽根部材54が回転する。
【0017】
ロータ50は、第1ケース10と仕切部材34とにより包囲され導入管部11及び排出管部12に連通した空間内に配置されている。これにより、ロータ50が回転することにより、導入管部11からこの空間内に導入された流体が排出管部12から排出される。
【0018】
[保持部52の詳細構成]
図5及び図6は、保持部52の外観図である。尚、図5及び図6では、磁石62を省略してある。保持部52は、羽根部材54に加え、円筒部53、縮径部55、フランジ部56、及び羽根部材57を含む。羽根部材54は、第1羽根部材の一例である。羽根部材57は、第2羽根部材の一例である。羽根部材54と羽根部材57との間に、円筒部53、縮径部55、及びフランジ部56が位置している。円筒部53及び縮径部55のそれぞれの外径は、羽根部材54及び57のそれぞれの外径よりも小さい。フランジ部56の外径は、羽根部材54よりも小さい。従って、円筒部53、縮径部55、及びフランジ部56は、中継部の一例である。円筒部53は、磁石62よりも径方向内側に位置する。円筒部53は、円筒状である。円筒部53は、磁石62と嵌合する。縮径部55は、羽根部材54とフランジ部56との間に位置する。縮径部55の外径は、羽根部材54、フランジ部56、円筒部53、磁石62、及び羽根部材57の各外径よりも小さい。フランジ部56の外径は、縮径部55及び円筒部53の各外径よりも大きく、羽根部材54の外径よりも小さい。フランジ部56の外径は、磁石62の外径とほぼ同じである。
【0019】
フランジ部56及び羽根部材57は、磁石62を軸方向Aから挟持する。また、羽根部材54は磁石62に対して一方側に位置し、羽根部材57は磁石62に対して他方側に位置する。即ち、羽根部材54及び57は、軸方向Aで互いに離れている。羽根部材54は、図4に示したように、第1ケース10に包囲されている。羽根部材57は、図4に示したように、ステータ64及び仕切部材34に包囲される。尚、図6に示すように、羽根部材54の表面側には、凹凸状の羽根が形成されているが、裏面側には羽根は形成されていない。このため、羽根部材54の形状が複雑化しておらず、保持部52の製造が容易である。従って、製造コストが抑制されている。
【0020】
羽根部材57は、フランジ部571、及び羽根部572を含む。フランジ部571及び羽根部572は、共に円環状である。フランジ部571の外径は、羽根部572の外径よりも大きい。羽根部572は、フランジ部571上に形成されている。羽根部572には、本実施例では4つの溝573が形成されている。4つの溝573は、等角度間隔で設けられている。即ち、4つの溝573は、90度間隔で設けられている。溝573は、径方向に直線状に延びている。溝573は、羽根部572の径方向の途中の位置から羽根部572の外周縁まで延びている。溝573が延びた方向に垂直な溝573の幅は、径方向で一定である。溝573の深さは、径方向で一定である。尚、羽根部572には、磁石62を着磁する際の位置決め用の凹部574が2つ形成されている。
【0021】
このように保持部52には、羽根部材54及び57が一体に形成されている。このため、ロータ50の軸方向Aの一方側への荷重が過大となることが抑制されている。また、羽根部材54と羽根部材57とのそれぞれの厚みを薄くすることができる。従って、電動ポンプ1は、軸方向Aに小型化されている。
【0022】
また、羽根部材57の径方向の大きさは、羽根部材54の径方向の大きさに依存しない。従って、羽根部材57の設計の自由度が向上している。本実施例では、羽根部材57の外径は、磁石62の外径よりも小さい。このため、羽根部材57が流体から受ける力が過大となることを抑制できる。
【0023】
また、羽根部材57は、本実施例のように仕切部材34に包囲されるよう配置されていることに限定されない。羽根部材57は、第1ケース10と仕切部材34とにより包囲された空間内で流体の圧力が高くなる箇所であれば、どこに配置されていても良い。
【0024】
[羽根部材の変形例]
図7A図8Bは、羽根部材の変形例の説明図である。尚、上述した実施例と同一の構成については、同一の符号を付することにより説明を省略する。図7Aに示すように、保持部52aの羽根部材57aの羽根部572aには、8つの溝573aが設けられている。8つの溝573aは、等角度間隔で設けられている。即ち、8つの溝573aは、45度間隔で設けられている。溝573aの深さは、径方向外側に行くにしたがって深くなる。
【0025】
図7Bに示すように、保持部52bの羽根部材57bの羽根部572bには、8つの溝573bが設けられている。溝573bは、羽根部572bの内周縁から羽根部572bの外周縁まで延びている。溝573bの幅は、上述した溝573及び溝573bの各幅よりも広い。溝573bの深さは、上述した溝573の深さよりも浅い。
【0026】
図8Aに示すように、保持部52cの羽根部材57cの羽根部572cには、8つの溝573cが設けられている。溝573cの深さは、上述した溝573の深さよりも浅い。
【0027】
図8Bに示すように、保持部52dの羽根部材57dの羽根部572dには、8つの溝573dが設けられている。溝573dは、羽根部572dの内周縁から羽根部572dの外周縁まで延びている。溝573dの深さは、径方向外側に行くにしたがって深くなる。
【0028】
気体を導入、排出する電動ポンプにも、上記実施例の内容を適用できる。即ち、電動ポンプは、気体を導入、排出する所謂電動ブロワも含まれる。
【0029】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 電動ポンプ
10 第1ケース
11 導入管部
12 排出管部
34 仕切部材
50 ロータ
52 保持部
53 円筒部(中継部)
54 羽根部材(第1羽根部材)
55 縮径部(中継部)
57 羽根部材(第2羽根部材)
571 フランジ部
572 羽根部
573 溝
62 磁石
64 ステータ
M モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8