(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119431
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、および移動体
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
G01C21/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026322
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大月 龍
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 紘史
(72)【発明者】
【氏名】福山 真幸
(72)【発明者】
【氏名】西村 洋文
(72)【発明者】
【氏名】岡部 吉正
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB20
2F129BB22
2F129BB26
2F129CC12
2F129CC31
2F129CC33
2F129DD19
2F129DD21
2F129DD39
2F129EE02
2F129EE29
2F129EE52
2F129EE78
2F129FF02
2F129FF15
2F129FF32
2F129FF62
2F129FF71
2F129GG17
2F129HH02
2F129HH04
2F129HH12
2F129HH18
2F129HH19
2F129HH20
2F129HH21
(57)【要約】
【課題】教師経路に沿った自動走行を支援する。
【解決手段】情報処理装置は、特定部と、誘導画面生成部と、出力制御部と、を備える。特定部は、実空間における所定位置から目標位置までの教師経路における自動走行開始可能地点APを特定する。誘導画面生成部は、自動走行開始可能地点APへ移動体を誘導するための誘導画面40を生成する。出力制御部は、自動走行開始前に誘導画面40を出力する。
【選択図】
図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実空間における所定位置から目標位置までの教師経路における自動走行開始可能地点を特定する特定部と、
前記自動走行開始可能地点へ移動体を誘導するための誘導画面を生成する誘導画面生成部と、
自動走行開始前に、前記誘導画面を出力する出力制御部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記特定部は、
前記教師経路における自己位置推定可能な地点を前記自動走行開始可能地点として特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特定部は、
自動走行を開始するにあたり十分な精度の自己位置推定を行うに足る特徴点が抽出された前記教師経路上の地点を、前記自動走行開始可能地点として特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記特定部は、
自己位置推定に用いる特徴点が第1閾値以上抽出された前記教師経路上の地点を、前記自動走行開始可能地点として特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記特定部は、
前記特徴点が第1閾値以上抽出され、且つ、前記教師経路における所定距離以上直線状の経路上の地点を、前記自動走行開始可能地点として特定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記特定部は、
前記教師経路における前記自動走行開始可能地点から該教師経路の前記目標位置までの区間に、前記特徴点が前記第1閾値未満の第2閾値以下の区間が含まれないように、前記自動走行開始可能地点を特定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記誘導画面生成部は、
教師走行時に撮影された前記自動走行開始可能地点を含む周辺画像における前記自動走行開始可能地点に、該自動走行開始可能地点への走行方向を表すイメージ画像を重畳した重畳画像を、前記誘導画面として生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記誘導画面生成部は、
教師走行時に撮影された前記自動走行開始可能地点を含む周辺画像における前記自動走行開始可能地点に、該自動走行開始可能地点への走行方向および該自動走行開始可能地点に移動体が位置した時の移動体の推奨姿勢を表すイメージ画像を重畳した重畳画像を、前記誘導画面として生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記誘導画面生成部は、
教師走行時に撮影された前記自動走行開始可能地点を含む周辺画像における前記自動走行開始可能地点に、該自動走行開始可能地点に向かって前記教師経路に沿って収束する形状のイメージ画像を重畳した重畳画像を、前記誘導画面として生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記誘導画面生成部は、
前記特徴点が第1閾値以上抽出された前記教師経路上の地点である前記自動走行開始可能地点と、該自動走行開始可能地点の周辺の前記特徴点が前記第1閾値以上抽出された、前記教師経路から外れた1または複数の地点と、を含む領域上に、前記自動走行開始可能地点への走行方向を表すイメージ画像を重畳した重畳画像を、前記誘導画面として生成する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記出力制御部は、
移動体が走行し前記誘導画面によって表される前記自動走行開始可能地点に接近し、前記特徴点によって自己位置推定が出来たときに、前記誘導画面上に該移動体の現在位置を示すアイコン画像を重畳表示する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記出力制御部は、
移動体が前記自動走行開始可能地点に到達したときに、前記教師経路、または現在の位置姿勢に応じて移動体を前記教師経路に合流させるための推奨経路を表す経路画像を前記誘導画面上に重畳表示する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
実空間における所定位置から目標位置までの教師経路における自動走行開始可能地点を特定するステップと、
前記自動走行開始可能地点へ移動体を誘導するための誘導画面を生成するステップと、
自動走行開始前に、前記誘導画面を出力するステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項14】
実空間における所定位置から目標位置までの教師経路における自動走行開始可能地点を特定するステップと、
前記自動走行開始可能地点へ移動体を誘導するための誘導画面を生成するステップと、
自動走行開始前に、前記誘導画面を出力するステップと、
をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、および移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体の走行経路を教師経路として記憶し、教師経路に基づいて移動体を自動走行させる技術が開示されている。また、移動体の周辺画像から抽出した特徴点と地図データに含まれる特徴点とを照合することで移動体の自己位置を推定し、教師経路に沿って移動体を自動走行させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-136584号公報
【特許文献2】特開2021-124301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術では、移動体の周囲の環境の特徴が十分ではない箇所で自動走行が開始されると、自己位置を推定することが出来ず、教師経路に沿った自動走行が困難となる場合があった。
【0005】
本開示が解決しようとする課題は、教師経路に沿った自動走行を支援することできる、情報処理装置、情報処理方法、および移動体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の情報処理装置は、特定部と、誘導画面生成部と、出力制御部と、を備える。特定部は、実空間における所定位置から目標位置までの教師経路における自動走行開始可能地点を特定する。誘導画面生成部は、前記自動走行開始可能地点へ移動体を誘導するための誘導画面を生成する。出力制御部は、自動走行開始前に、前記誘導画面を出力する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る情報処理装置、情報処理方法、および移動体によれば、教師経路に沿った自立走行を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態の移動体の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、撮影装置の設置位置の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、情報処理装置の一例のハードウェア構成図である。
【
図4】
図4は、移動体の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、自動走行開始可能地点の特定の一例の説明図である。
【
図7A】
図7Aは、教師経路と移動体の位置関係の一例の模式図である。
【
図8A】
図8Aは、教師経路と移動体の位置関係の一例の模式図である。
【
図9】
図9は、教師走行モード時に実行する情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、教師走行処理の後に実行する情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、本開示に係る情報処理装置、情報処理方法、および移動体の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本実施の形態の移動体10の一例を示す図である。
【0011】
移動体10は、情報処理装置20と、出力部10Aと、入力部10Bと、内界センサ10Cと、撮影装置10Dと、駆動制御部10Fと、駆動部10Gと、を備える。
【0012】
情報処理装置20は、例えば、専用または汎用コンピュータである。本実施の形態では、情報処理装置20が、移動体10に搭載された形態を一例として説明する。
【0013】
移動体10は、移動可能な物である。本実施の形態では、移動体10は、ユーザが乗車可能な物である。移動体10は、例えば、車両である。車両は、二輪自動車、三輪自動車、または、四輪自動車などである。また、移動体10は、例えば、人による運転操作を介して進行する移動体、または、人による運転操作を介さずに自動的に走行(自動走行)可能な移動体である。本実施の形態では、移動体10が、自動走行可能な車両である場合を一例として説明する。
【0014】
出力部10Aは、情報を出力する。本実施の形態では、出力部10Aは、情報処理装置20で生成された情報を出力する。出力される情報の詳細は後述する。
【0015】
出力部10Aは、情報を表示する表示機能を備える。なお、出力部10Aは、情報を外部装置などへ送信する通信機能、音を出力する音出力機能、光を点灯または点滅させる機能、などを更に備えていてもよい。例えば、出力部10Aは、表示部10Kと、通信部10H、スピーカ10I、および照明部10Jの少なくとも1つと、を含む。本実施の形態では、出力部10Aは、通信部10H、スピーカ10I、照明部10J、表示部10Kを含む場合を、一例として説明する。
【0016】
通信部10Hは、情報を他の装置へ送信する。例えば、通信部10Hは、公知の通信回線を介して情報を他の装置へ送信する。スピーカ10Iは、音を出力する。照明部10Jは、光を点灯または点滅させるライトである。表示部10Kは、情報を表示する。表示部10Kは、例えば、公知の有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)、または投影装置などである。
【0017】
出力部10Aの設置位置は、移動体10に乗車したユーザが出力部10Aから出力される情報を確認可能な位置であればよい。例えば、表示部10Kは、移動体10に乗車したユーザが表示面を視認可能となるように、表示面の向きが予め調整されている。
【0018】
入力部10Bは、ユーザからの指示または情報の入力を受け付ける。入力部10Bは、例えば、ユーザの操作入力により入力を受付ける指示入力デバイス、および、音声の入力を受付けるマイク、の少なくとも一方である。指示入力デバイスは、例えば、ボタン、マウスまたはトラックボール等のポインティングデバイス、または、キーボードなどである。指示入力デバイスは、表示部10Kと一体的に設けられたタッチパネルにおける入力機能であってもよい。
【0019】
内界センサ10Cは、移動体10自体の情報を観測するセンサである。内界センサ10Cは、移動体10の位置、移動体10の速度、または移動体10の加速度などを検出する。
【0020】
内界センサ10Cは、例えば、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)、速度センサ、またはGPS(Global Positioning System)等である。
【0021】
撮影装置10Dは、移動体10の周辺を観測するセンサである。撮影装置10Dは、移動体10に搭載されていてもよいし、該移動体10の外部に搭載されていてもよい。移動体10の外部とは、例えば、他の移動体または外部装置などを示す。
【0022】
移動体10の周辺とは、移動体10から予め定めた範囲内の領域である。この範囲は、撮影装置10Dの観測可能な範囲である。この範囲は、予め設定すればよい。
【0023】
撮影装置10Dは、移動体10の周辺を観測し、周辺情報を取得する。周辺情報は、移動体10の周辺の画像、および、移動体10の周辺の物体と移動体10との距離および方向を示す情報、の少なくとも一方を含む。
【0024】
撮影装置10Dは、撮影によって撮影画像データ(以下、撮影画像と称する。)を得る。この撮影装置は、デジタルカメラ、ステレオカメラ、などである。撮影画像は、画素ごとに画素値を規定したデジタル画像データである。
【0025】
本実施の形態では、撮影装置10Dが取得する周辺情報は、移動体10の周辺の撮影画像である場合を一例として説明する。以下、移動体10の周辺の撮影画像を、周辺画像と称して説明する。
【0026】
撮影装置10Dは、移動体10の周囲を撮影可能となるように、設置位置および画角が予め調整されている。本実施の形態では、移動体10は、撮影方向の異なる複数の撮影装置10Dを備える。
【0027】
図2は、撮影装置10Dの設置位置の一例を示す模式図である。例えば、移動体10は、4つの撮影装置10Dを備える。なお、移動体10に設けられる撮影装置10Dの数は4つに限定されない。例えば、撮影装置10Dは、水平面における、移動体10を中心とした略全領域(例えば、360°)の方向の撮影画像を取得可能となるように、設置位置および数が調整されていてよい。
【0028】
図1に戻り説明を続ける。駆動部10Gは、移動体10に搭載された駆動デバイスである。駆動部10Gは、例えば、エンジン、モータ、車輪、などである。
【0029】
駆動制御部10Fは、駆動部10Gを制御する。駆動制御部10Fの制御によって駆動部10Gが駆動する。例えば、駆動制御部10Fは、移動体10を自動的に運転するために、内界センサ10Cまたは撮影装置10Dから得られる情報、または情報処理装置20から受付けた情報などに基づいて、駆動部10Gを制御する。駆動部10Gの制御によって、移動体10のアクセル量、ブレーキ量、操舵角などが制御される。例えば、駆動制御部10Fは、情報処理装置20から受付けた情報によって示されるスペースに移動体10を進入させて、停車または走行するように、移動体10の制御を行う。
【0030】
次に、情報処理装置20のハードウェア構成を説明する。
【0031】
図3は、情報処理装置20のハードウェア構成図の一例である。
【0032】
情報処理装置20は、CPU(Central Processing Unit)11A、ROM(Read Only Memory)11B、RAM(Random Access Memory)11C、およびI/F11D等がバス11Eにより相互に接続されており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0033】
CPU11Aは、本実施の形態の情報処理装置20を制御する演算装置である。ROM11Bは、CPU11Aによる処理を実現するプログラム等を記憶する。RAM11Cは、CPU11Aによる処理に必要なデータを記憶する。I/F11Dは、データを送受信するためのインターフェースである。
【0034】
本実施の形態の情報処理装置20で実行される情報処理を実行するためのプログラムは、ROM11B等に予め組み込んで提供される。なお、本実施の形態の情報処理装置20で実行されるプログラムは、情報処理装置20にインストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ)に記憶されて提供するように構成してもよい。
【0035】
次に、移動体10の機能的構成を説明する。
【0036】
図4は、移動体10の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【0037】
移動体10は、情報処理装置20と、出力部10Aと、入力部10Bと、内界センサ10Cと、撮影装置10Dと、駆動制御部10Fと、駆動部10Gと、を備える。
【0038】
情報処理装置20、出力部10A、入力部10B、内界センサ10C、撮影装置10D、および駆動制御部10Fは、バス10L等を介してデータまたは信号を授受可能に接続されている。駆動制御部10Fは、駆動部10Gとデータまたは信号を授受可能に接続されている。
【0039】
情報処理装置20は、記憶部32と、処理部30と、を有する。処理部30および記憶部32は、バス10L等を介してデータまたは信号を授受可能に接続されている。また、出力部10A、入力部10B、内界センサ10C、撮影装置10D、および駆動制御部10Fと、処理部30とは、バス10L等を介してデータまたは信号を授受可能に接続されている。
【0040】
なお、記憶部32、出力部10A(通信部10H、スピーカ10I、照明部10J、表示部10K)、入力部10B、内界センサ10C、撮影装置10D、および駆動制御部10Fの少なくとも1つは、有線または無線で処理部30に接続すればよい。また、記憶部32、出力部10A(通信部10H、スピーカ10I、照明部10J、表示部10K)、入力部10B、内界センサ10C、撮影装置10D、および駆動制御部10Fの少なくとも1つと、処理部30とを、ネットワークを介して接続してもよい。
【0041】
記憶部32は、データを記憶する。記憶部32は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。なお、記憶部32は、情報処理装置20の外部に設けられた記憶装置であってもよい。また、記憶部32は、プログラムまたは情報を、LAN(Local Area Network)またはインターネットなどを介してダウンロードして記憶または一時記憶したものであってもよい。また、記憶部32を、複数の記憶媒体から構成してもよい。
【0042】
本実施形態では、記憶部32は、地図データ32Aおよび誘導画面DB(データベース)32B等を記憶する。地図データ32Aおよび誘導画面DB32Bの詳細は後述する。
【0043】
処理部30は、情報処理装置20において情報処理を実行する。処理部30は、教師走行処理部30Aと、自動走行前処理部30Bと、自動走行処理部30Cと、を備える。教師走行処理部30Aは、取得部30Dと、抽出部30Eと、更新部30Fと、特定部30Gと、誘導画面生成部30Hと、を有する。自動走行前処理部30Bは、出力制御部30Iを有する。
【0044】
教師走行処理部30A、自動走行前処理部30B、自動走行処理部30C、取得部30D、抽出部30E、更新部30F、特定部30G、誘導画面生成部30H、および出力制御部30Iは、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば上記各部は、CPUなどのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部は、専用のIC(Integrated Circuit)などのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、複数のプロセッサの各々は、複数の各部のうち1つを実現してもよいし、複数の各部のうち2以上を実現してもよい。
【0045】
プロセッサは、記憶部32に保存されたプログラムを読み出し実行することで、上記複数の各部を実現する。なお、記憶部32にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成してもよい。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで、上記複数の各部を実現する。
【0046】
教師走行処理部30Aは、教師走行モードにおける処理を実行する。
【0047】
本実施形態の移動体10は、複数の走行モードを備える。複数の走行モードには、教師走行モードと、自動走行モードと、が含まれる。教師走行モードとは、移動体10の走行によって移動体10の周辺の地図データ32Aの作成および教師経路の生成を実行するモードである。自動走行モードとは、教師経路に沿って移動体10を自動走行させるモードである。
【0048】
教師走行処理部30Aは、ユーザによる入力部10B等の操作指示等によって教師走行開始を指示するための教師走行開始指示信号が入力されると、教師走行モードにおける処理を実行する。
【0049】
教師走行処理部30Aは、取得部30Dと、抽出部30Eと、更新部30Fと、特定部30Gと、誘導画面生成部30Hと、を有する。
【0050】
取得部30Dは、撮影装置10Dから周辺情報を取得する。上述したように、本実施の形態では、撮影装置10Dは、周辺情報として、移動体10の周辺の撮影画像である周辺画像を得る。このため、取得部30Dは、撮影装置10Dから移動体10の周辺画像を取得する。
【0051】
撮影装置10Dは、時系列に沿って所定のタイミングごとに周辺画像を得る。そして、撮影装置10Dは、周辺画像を取得するごとに、取得した周辺画像を処理部30へ出力する。このため、教師走行処理部30Aの取得部30Dは、撮影装置10Dから順次、周辺画像を取得する。
【0052】
抽出部30Eは、取得部30Dが撮影装置10Dから取得した周辺画像を解析することで、移動体10の走行した経路周辺の特徴点を抽出する。
【0053】
特徴点とは、実空間上における特徴となるポイントである。詳細には、特徴点とは、実空間において目印となり得る物体(例えば、建物、標識、または看板等)の画像情報から特徴的な画像パターンの得られる部分である。具体的には、例えば、特徴点は、物体のエッジ、端部、角部、色差が閾値以上の部分、などであるが、これらに限定されない。
【0054】
抽出部30Eは、周辺画像をエッジ検出などの公知の解析方法により解析することで、周辺画像に含まれる各位置の特徴量を抽出することで、特徴点を抽出する。
【0055】
特徴点の特徴量とは、特徴点の特徴を表すデータである。特徴点の特徴量としては、画像情報の輝度や濃度の他、SIFT(Scale Invariant Feature Transform)特徴量、またはSURF(Speeded Up Robust Features)特徴量等が用いられる。
【0056】
更新部30Fは、抽出部30Eによる抽出結果に基づいて地図データ32Aを更新する。詳細には、更新部30Fは、抽出部30Eによって抽出された特徴点の各々ごとに、特徴点の特徴量と、特徴点の実空間における3次元位置である位置情報と、を対応付けて地図データ32Aに登録する。
【0057】
地図データ32Aとは、実空間に存在する物体の特徴点の3次元の位置情報の登録されたデータである。
【0058】
更新部30Fは、内界センサ10Cから取得した移動体10の位置情報などを用いて、実空間における特徴点の位置情報を導出すればよい。位置情報には、実空間における3次元位置を用いればよい。
【0059】
地図データ32Aに登録される特徴点の実空間における三次元位置の位置情報は、例えば、緯度、経度および高さを基準として、三次元の直交座標系(X、Y、Z)で表される。なお、特徴点の実空間における三次元位置は、例えば、複数の位置で撮影されたカメラ画像から三角測量の原理による測定や、LIDAR(Light Detection and Ranging)やステレオカメラを用いた測定によって求めてよい。
【0060】
また、更新部30Fは、特徴点の各々に、各特徴点を一意に識別可能な識別番号を付与し、地図データ32Aに登録してよい。
【0061】
更新部30Fによる地図データ32Aの作成方法には、公知の方法を用いればよく、その作成方法は限定されない。例えば、更新部30Fは、抽出部30Eが抽出した特徴点の位置を示す位置情報を作成することで、特徴点の位置情報を有する地図データ32Aを作成する。
【0062】
また、更新部30Fは、教師走行モード時における移動体10の走行経路を、教師経路として地図データ32Aに登録する。例えば、更新部30Fは、教師走行モード時の走行によって移動する移動体10の位置情報を移動体位置として地図データ32Aへ順次登録する。
【0063】
具体的には、例えば、更新部30Fは、ユーザによる入力部10Bの操作指示などによって移動体10の走行モードが教師走行モードに切り替えられ、ユーザによる運転操作によって移動体10が走行を開始した地点である実空間における所定位置から、該教師走行が終了したときの移動体10の到達地点である目標位置までの走行中、移動体10の位置情報を移動体位置として地図データ32Aへ順次登録する。この登録処理により、更新部30Fは、移動体10が教師走行による走行を開始した地点である実空間における所定位置から、教師走行を終了したときの移動体10の目標位置までの走行経路を、教師経路として地図データ32Aへ登録する。なお、更新部30Fは、教師経路を地図データ32Aとは別に記憶部32に記憶してもよい。
【0064】
次に、特定部30Gについて説明する。特定部30Gは、自動走行開始可能地点を特定する。
【0065】
図5は、特定部30Gによる自動走行開始可能地点APの特定の一例の説明図である。
【0066】
自動走行開始可能地点APとは、移動体10が自動走行開始可能な地点である。詳細には、自動走行開始可能地点APとは、実空間における所定位置P1から目標位置P2までの教師経路Tにおける、移動体10が自動走行開始可能な地点である。
【0067】
自動走行開始可能な地点とは、自動走行を開始可能な地点である。詳細には、自動走行開始可能な地点は、移動体10の位置推定に用いる特徴点FPの数が第1閾値以上の地点である。また、自動走行開始可能な地点は、移動体10が自動走行を開始するにあたり十分な精度の自己位置推定を行うに足る特徴点FPが抽出された教師経路T上の地点であってもよい。特徴点FPは、地図データ32Aに登録されている特徴点であり、教師走行時に地図データ32Aに登録される。
【0068】
ここで、自動走行の際には、移動体10の処理部30は、撮影装置10Dにより撮影された周辺画像から特徴点を抽出し、抽出した特徴点が地図データ32Aに含まれる何れの特徴点FPと一致する特徴点であるかを照合する。処理部30は、地図データ32Aに一致する特徴点FPの数が所定数である第1閾値以上であれば、移動体10の自己位置を推定可能となる。
【0069】
特定部30Gは、教師経路Tにおける自己位置推定可能な地点を自動走行開始可能地点APとして特定する。詳細には、例えば、特定部30Gは、地図データ32Aを用いて、特徴点FPが第1閾値以上抽出された教師経路T上の地点を、自動走行開始可能地点APとして特定する。
【0070】
例えば、特定部30Gは、教師経路Tから予め定めた距離範囲内に存在する特徴点FPの数が第1閾値以上の地点を、自動走行開始可能地点APとして特定する。この場合、第1閾値には、移動体10が自己位置を推定可能な一致する特徴点FPの数の下限値以上の値を予め定めればよい。
【0071】
この距離範囲は、撮影装置10Dの観測可能な範囲以下の範囲であればよく、予め設定すればよい。この距離範囲は、例えば、撮影装置10Dの観測可能な最大範囲以下であって、且つ、正確な自己位置推定に要する最大範囲以下であればよい。
【0072】
地図データ32Aが
図5に示す特徴点FPの分布を表す場合を想定する。また、特徴点FPの数が第1閾値以上である教師経路T上の地点が、地点P3であった場合を想定する。この場合、特定部30Gは、教師経路T上における地点P3を、自動走行開始可能地点APとして特定する。
【0073】
また、特定部30Gは、特徴点FPが第1閾値以上抽出され、且つ、教師経路Tにおける所定距離以上直線状の経路上の地点を、自動走行開始可能地点APとして特定してもよい。直線状の経路の所定距離は、予め定めればよい。例えば、直線状の経路の所定距離は、該地点に位置された移動体10が教師経路Tに沿った姿勢で走行を開始可能となる距離であればよい。具体的には、例えば、直線状の経路の所定距離は、移動体10の全長のM倍以上の長さであればよい。Mは、1以上の長さであればよい。
【0074】
また、特定部30Gは、教師経路Tにおける自動走行開始可能地点APから教師経路Tの目標位置P2までの区間に特徴点FPが第2閾値以下の区間が含まれないように、自動走行開始可能地点APを特定してもよい。
【0075】
第2閾値には、自己位置推定に必要な特徴点FPの数の下限値である第1閾値未満の値を予め定めればよい。詳細には、第2閾値には、自己位置推定に必要な特徴点FPの数が少なく、且つ、移動体10の処理部30がデッドレコニング(DR)技術を用いても移動体10の位置を推定困難となる上限値を予め定めればよい。
【0076】
また、特定部30Gは、移動体10が自動走行を開始するにあたり十分な精度の自己位置推定を行うに足る特徴点FPが抽出された教師経路T上の地点を、自動走行開始可能地点APとして特定してもよい。
【0077】
そして、特定部30Gは、特定した自動走行開始可能地点APを、該自動走行開始可能地点APの実空間における位置情報に対応付けて地図データ32Aへ登録する。
【0078】
【0079】
誘導画面生成部30Hは、自動走行開始可能地点APへ移動体10を誘導するための誘導画面を生成する。
【0080】
【0081】
図6Aは、誘導画面40Aの一例の模式図である。誘導画面40Aは、誘導画面40の一例である。
【0082】
誘導画面生成部30Hは、教師走行時に撮影された自動走行開始可能地点APを含む周辺画像42における、特定部30Gで特定された自動走行開始可能地点APに、該自動走行開始可能地点APへの走行方向を表すイメージ画像44を重畳した重畳画像を、誘導画面40Aとして生成する。
【0083】
イメージ画像44は、自動走行開始可能地点APへの走行方向を表す画像であればよい。例えば、イメージ画像44は、自動走行開始可能地点APへの走行方向を表す矢印を含む画像であってよい。
図6Aには、イメージ画像44が、自動走行開始可能地点APへの走行方向を表す矢印画像44Aを含む形態を一例として示す。
【0084】
また、イメージ画像44は、自動走行開始可能地点APへの走行方向および該自動走行開始可能地点APに移動体10が位置したときの移動体10の推奨姿勢を表す画像であってよい。
【0085】
移動体10の推奨姿勢とは、自動走行開始可能地点APに位置したときに、移動体10が自動走行開始可能地点APから教師経路Tに沿って走行可能な姿勢である。移動体10の推奨姿勢は、移動体10の走行方向と、走行方向および高さ方向(鉛直方向)に対して直交する車幅方向と、の各々に対する移動体10の車体の傾き等によって表される。
【0086】
誘導画面生成部30Hは、自動走行開始可能地点APに位置したときに移動体10が推奨姿勢となるように、該推奨姿勢を表す姿勢画像44Bを含むイメージ画像44を周辺画像42へ重畳することで、誘導画面40Aを生成すればよい。
【0087】
図6Aには、イメージ画像44が、自動走行開始可能地点APへの走行方向を表す矢印画像44Aと、自動走行開始可能地点APに移動体10が位置したときの移動体10の姿勢を表す姿勢画像44Bと、を含む形態を一例として示す。
図6Aには、教師経路Tに沿って走行可能な姿勢で移動体10が自動走行開始可能地点APに位置したときの移動体10を2次元形状に模式化した矩形状のアイコン画像を、姿勢画像44Bとした例を示す。
【0088】
なお、姿勢画像44Bは、二次元平面に沿った矩形状のアイコン画像に限定されない。
図6Bは、誘導画面40Bの一例の模式図である。誘導画面40Bは、誘導画面40の一例である。
図6Bに示すように、例えば、姿勢画像44Cは、教師経路Tに沿って走行可能な姿勢で移動体10が自動走行開始可能地点APに位置したときの移動体10を、3次元形状に模式化して示したアイコン画像であってよい。
【0089】
また、誘導画面生成部30Hは、周辺画像42における自動走行開始可能地点APに、該自動走行開始可能地点APに向かって教師経路Tに沿って収束する形状のイメージ画像44を重畳した重畳画像を、誘導画面40として生成してよい。
【0090】
具体的には、例えば、
図6Aおよび
図6Bに示すように、誘導画面生成部30Hは、自動走行開始可能地点APに移動体10が位置したときの移動体10の姿勢を表す姿勢画像44Bおよび姿勢画像44Cを、自動走行開始可能地点APに向かって教師経路Tに沿って幅が狭まっていく矩形状のアイコン画像とすることで、自動走行開始可能地点APに向かって収束する形状としてもよい。また、誘導画面生成部30Hは、矢印画像44Aについても、自動走行開始可能地点APに向かって教師経路Tに沿って幅が狭まっていく形状としてよい。自動走行開始可能地点APに向かって教師経路Tに沿って収束する形状のイメージ画像44とすることで、移動体10を運転するユーザは該イメージ画像44に沿って移動体10の姿勢を合わせることで、容易に推奨姿勢に一致する姿勢となるように移動体10を調整することが可能となる。
【0091】
周辺画像42上に重畳するイメージ画像44のサイズは限定されない。例えば、誘導画面生成部30Hは、教師経路T上の自動走行開始可能地点APと、該自動走行開始可能地点APの周辺の特徴点FPが第1閾値以上抽出された、教師経路Tから外れた1または複数の地点と、を含む領域上に、イメージ画像44を重畳した重畳画像を、誘導画面40として生成してよい。
【0092】
【0093】
誘導画面生成部30Hは、生成した誘導画面40を、該誘導画面40の生成に用いた自動走行開始可能地点APの実空間における位置情報に対応付けて誘導画面DB32Bに登録する。誘導画面DB32Bは、実空間の位置情報と、誘導画面40と、を対応付けたデータベースである。なお、誘導画面DB32Bのデータ形式は、データベースに限定されない。なお、誘導画面生成部30Hは、生成した誘導画面40を、該誘導画面40の生成に用いた自動走行開始可能地点APの実空間における位置情報に対応付けて地図データ32Aに登録してもよい。
【0094】
次に、自動走行前処理部30Bについて説明する。自動走行前処理部30Bは、移動体10の走行モードが教師走行モードおよび自動走行モード以外の走行モードであるときに、処理を実行する。詳細には、自動走行前処理部30B、教師走行モードによって地図データ32Aおよび誘導画面40が生成された後であって、自動走行モードに切り替えられる前に、処理を実行する。
【0095】
自動走行前処理部30Bは、出力制御部30Iを有する。
【0096】
出力制御部30Iは、自動走行開始前に、誘導画面40を出力する。出力制御部30Iは、誘導画面40を表示部10Kに出力する。
【0097】
例えば、出力制御部30Iは、走行する移動体10の位置が地図データ32Aに登録されている自動走行開始可能地点APから所定距離内の位置となったときに、誘導画面40を表示部10Kへ出力する。出力制御部30Iは、内界センサ10Cから取得した移動体10の位置が、地図データ32Aに登録されている自動走行開始可能地点APの位置情報によって表される位置から所定距離内の位置となったときに、該自動走行開始可能地点APの誘導画面40を表示部10Kへ出力する。この所定距離は、予め設定すればよい。また、この所定距離は、ユーザによる入力部10Bの操作指示などによって、適宜変更可能としてもよい。
【0098】
また、出力制御部30Iは、ユーザによる入力部10Bの操作指示などによって、自動走行開始準備を表す指示信号が入力されたときに、誘導画面40を表示部10Kへ出力してもよい。
【0099】
これらの処理を実行することで、出力制御部30Iは、自動走行開始前に、誘導画面40を表示部10Kへ出力する。このため、出力制御部30Iは、自動走行開始可能地点APに向かって移動体10を走行するように促す情報を、移動体10のユーザに対して提供することができる。表示部10Kに出力された誘導画面40を確認することで、移動体10を運転するユーザは、自動走行開始可能地点APに向かって移動体10を走行させることが可能となる。
【0100】
また、出力制御部30Iは、移動体10が走行し誘導画面40によって表される自動走行開始可能地点APに接近し、特徴点FPによって移動体10の自己位置推定が出来たときに、誘導画面40上に移動体10の現在位置を示すアイコン画像を重畳表示する。
【0101】
図7Aおよび
図7Bは、出力制御部30Iによる誘導画面41の出力の一例の説明図である。
【0102】
図7Aは、教師経路Tと移動体10の位置関係の一例の模式図である。例えば、移動体10が自動走行開始可能地点APから所定距離より遠く離れた地点P10に位置されているときには、出力制御部30Iは、該自動走行開始可能地点APの誘導画面40を表示部10Kへ出力する。例えば、出力制御部30Iは、
図6Aまたは
図6Bに示す誘導画面40(42A、42B)を表示部10Kへ出力する。そして、移動体10が走行方向Xに移動し、自動走行開始可能地点APから所定距離内の地点P11に到達した場面を想定する。そして、移動体10の処理部30が特徴点FPによって自己位置推定が出来た場面を想定する。すると、出力制御部30Iは、誘導画面41を表示部10Kへ出力する。
【0103】
図7Bは、出力制御部30Iが表示部10Kに表示した誘導画面41Aの一例を表す模式図である。誘導画面41Aは、誘導画面41の一例である。誘導画面41は、誘導画面生成部30Hで生成された誘導画面40を用いて出力制御部30Iが表示部10Kに表示した誘導画面である。
【0104】
出力制御部30Iは、移動体10が走行し誘導画面40によって表される自動走行開始可能地点APに接近し、地図データ32Aに登録されている特徴点FPを用いた自己位置推定が出来たときに、誘導画面40上に該移動体10の現在位置を示すアイコン画像46を重畳表示した誘導画面41Aを、表示部10Kへ出力する。移動体10の現在位置を表すアイコン画像46は、非透明または半透明で重畳表示すればよい。
【0105】
このため、出力制御部30Iは、自動走行開始可能地点APに接近し且つ自己位置推定可能な状態となったときに、自動走行開始可能地点APに接近し且つ自己位置推定可能な状態となったことを表す情報を、ユーザに対して提供することができる。表示部10Kに出力された誘導画面41Aを確認することで、移動体10を運転するユーザは、自動走行開始可能地点APに接近し移動体10が自己位置推定可能な状態となったことを容易に確認することができる。
【0106】
そして、出力制御部30Iは、更に、移動体10が自動走行開始可能地点APに到達したときに、教師経路T、または現在の移動体10の位置姿勢に応じて移動体10を教師経路Tに合流させるための推奨経路を表す経路画像を、誘導画面40上に重畳表示する。すなわち、出力制御部30Iは、教師経路Tまたは推奨経路を表す経路画像を誘導画面40に更に重畳した誘導画面41を、表示部10Kへ表示する。
【0107】
図8Aおよび
図8Bは、出力制御部30Iによる誘導画面41Bの出力の一例の説明図である。誘導画面41Bは、誘導画面41の一例である。
【0108】
図8Aは、教師経路Tと移動体10の位置関係の一例の模式図である。例えば、移動体10が自動走行開始可能地点APに到達した場面を想定する。移動体10が自動走行開始可能地点APに到達すると、出力制御部30Iは、
図8Bに示すように、誘導画面40上に教師経路Tを更に重畳した誘導画面41Bを表示部10Kに表示する。また、出力制御部30Iは、
図8Bに示すように、自動走行開始可能地点APに到達したことを表すメッセージ48を更に重畳表示してよい。
【0109】
このため、出力制御部30Iは、移動体10が自動走行開始可能地点APに到達したときに、自動走行開始可能地点APに到達し、教師経路Tに沿った自動走行を開始可能な状態となったことを表す情報を、ユーザに対して提供することができる。表示部10Kに出力された誘導画面41Bを確認することで、移動体10を運転するユーザは、自動走行開始可能地点APに到達し移動体10が教師経路Tに沿った自動走行を開始可能な状態となったことを容易に確認することができる。
【0110】
なお、自動走行開始可能地点APに到達したときの移動体10の姿勢が、自動走行開始可能地点APから教師経路Tに沿って走行することが困難な姿勢となっている場合がある。そこで、出力制御部30Iは、自動走行開始可能地点APに到達したときの移動体10の位置姿勢を内界センサ10Cから取得する。そして、出力制御部30Iは、取得した位置姿勢を用いて、該位置姿勢の移動体10を走行によって教師経路Tに合流させるための推奨経路を生成する。推奨経路の生成には、公知の方法を用いればよい。そして、出力制御部30Iは、教師経路Tに替えて、または教師経路Tと共に、推奨経路を更に重畳した誘導画面41Bを表示部10Kへ出力してもよい。
【0111】
【0112】
自動走行処理部30Cは、地図データ32Aを用いて自己位置推定を行い、自動走行を行う。詳細には、自動走行処理部30Cは、撮影装置10Dにより撮影された周辺画像から特徴点を抽出し、抽出した特徴点が地図データ32Aに含まれる何れの特徴点FPと一致する特徴点であるかを照合する。自動走行処理部30Cは、地図データ32Aに一致する特徴点FPの数が第1閾値以上であれば、移動体10の自己位置を推定可能となる。自動走行処理部30Cは、自己位置を推定しつつ、自己位置を教師経路Tと一致させるように駆動制御部10Fを制御する。この制御により、自動走行処理部30Cは、移動体10が教師経路Tに沿って自動走行するように、駆動制御部10Fを制御する。
【0113】
次に、情報処理装置20が実行する情報処理の流れの一例を説明する。
【0114】
図9は、情報処理装置20が教師走行モード時に実行する情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。情報処理装置20の教師走行処理部30Aは、教師走行モードに切り替えられると
図9に示す教師走行処理を実行する。
【0115】
取得部30Dは、撮影装置10Dから移動体10の周辺画像を取得する(ステップS100)。
【0116】
抽出部30Eは、ステップS100で取得した周辺画像を解析することで、移動体10の走行した経路周辺の特徴点FPを抽出する(ステップS102)。
【0117】
更新部30Fは、ステップS102で抽出された特徴点FPに基づいて地図データ32Aを更新する(ステップS104)。更新部30Fは、ステップS102で抽出された特徴点FPの各々ごとに、特徴点FPの特徴量と、特徴点FPの実空間における3次元位置である位置情報と、を対応付けて地図データ32Aに登録する。また、更新部30Fは、教師走行モード時における移動体10の走行経路を、教師経路として地図データ32Aに登録する。例えば、更新部30Fは、教師走行モード時の走行によって移動する移動体10の位置情報を移動体位置として地図データ32Aへ順次登録する。この教師走行モード時の移動体位置の推移によって表される経路が教師経路Tとして地図データ32Aへ登録されることとなる。
【0118】
また、更新部30Fは、ステップS102で抽出された特徴点FPの数が第1閾値以上である場合、ステップS100で取得した周辺画像と、該周辺画像の取得時の移動体10の位置情報とを対応付けて記憶部32へ記憶する(ステップS106)。特徴点FPの数が第1閾値以上の周辺画像を記憶部32へ記憶することで、記憶部32の記憶容量を節約することができる。なお、処理部30は、ステップS100で取得した全ての周辺画像を、該周辺画像の取得時の移動体10の位置情報に対応付けて記憶部32へ記憶してもよい。
【0119】
次に、処理部30は、教師走行が終了したか否かを判断する(ステップS108)。例えば、処理部30は、ユーザによる入力部10Bの操作指示等によって教師走行の終了指示を表す信号が入力されたときに、教師走行が終了したと判断する。
【0120】
ステップS108で否定判断すると(ステップS108:No)、上記ステップS100へ戻る。ステップS108で肯定判断すると(ステップS108:Yes)、ステップS110へ進む。
【0121】
ステップS110では、ステップS100~ステップS112の処理によって更新された地図データ32Aを用いて、特定部30Gが、教師経路Tにおける自動走行開始可能地点APを特定する(ステップS110)。
【0122】
そして、特定部30Gは、特定した自動走行開始可能地点APを、該自動走行開始可能地点APの実空間における位置情報に対応付けて地図データ32Aへ登録する(ステップS112)。
【0123】
誘導画面生成部30Hは、ステップS110で特定された自動走行開始可能地点APへ移動体10を誘導するための誘導画面40を生成する(ステップS114)。
【0124】
誘導画面生成部30Hは、生成した誘導画面40を、該誘導画面40の生成に用いた自動走行開始可能地点APの実空間における位置情報に対応付けて誘導画面DB32Bに登録する(ステップS116)。また、誘導画面生成部30Hは、生成した誘導画面40を、該誘導画面40の生成に用いた自動走行開始可能地点APの実空間における位置情報に対応付けて地図データ32Aに登録してもよい。そして、本ルーチンを終了する。
【0125】
図10は、情報処理装置20が教師走行処理の後に実行する情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0126】
出力制御部30Iは、誘導画面40を表示するか否かを判断する(ステップS200)。出力制御部30Iは、走行する移動体10の位置が地図データ32Aに登録されている自動走行開始可能地点APから所定距離内の位置となったか否かを判別することで、ステップS200の判断を行う。出力制御部30Iは、ステップS200で肯定判断(ステップS200:Yes)するまで、否定判断(ステップS200:No)を繰り返す。ステップS200で肯定判断すると(ステップS200:Yes)、ステップS202へ進む。
【0127】
ステップS202では、出力制御部30Iは、誘導画面40を表示部10Kへ出力する(ステップS202)。なお、地図データ32Aに複数の自動走行開始可能地点APが登録されている場合がある。この場合、出力制御部30Iは、移動体10の現在位置に最も近い位置情報に対応付けられた自動走行開始可能地点APを含む誘導画面40を、表示部10Kへ出力すればよい。
【0128】
次に、出力制御部30Iは、移動体10がステップS202で表示した誘導画面40に含まれる自動走行開始可能地点APに接近し自己位置推定が可能となったか否かを判断する(ステップS204)。ステップS204で否定判断すると(ステップS204:No)、ステップS202へ戻る。ステップS204で肯定判断すると(ステップS204:Yes)、ステップS206へ進む。
【0129】
ステップS206では、出力制御部30Iは、ステップS202で表示した誘導画面40上に移動体10の現在位置を示すアイコン画像46を重畳表示した誘導画面41Aを表示部10Kへ出力する(ステップS206)。
【0130】
次に、出力制御部30Iは、移動体10がステップS202で表示した誘導画面40に含まれる自動走行開始可能地点APに到達したか否かを判断する(ステップS208)。ステップS208で否定判断すると(ステップS208:No)、上記ステップS206へ戻る。ステップS208で肯定判断すると(ステップS208:Yes)、ステップS210へ進む。
【0131】
ステップS210では、出力制御部30Iは、ステップS202で表示した誘導画面40またはステップS206で表示した誘導画面41上に、教師経路Tを更に重畳した誘導画面41を、表示部10Kに出力する(ステップS210)。また、出力制御部30Iは、自動走行開始可能地点APに到達したことを表すメッセージ48を更に重畳表示してよいまた、出力制御部30Iは、教師経路Tに合流させるための推奨経路を生成し、更に重畳表示してよい。
【0132】
次に、自動走行前処理部30Bは、自動走行が開始されたか否かを判断する(ステップS212)。例えば、自動走行前処理部30Bは、ユーザによる入力部10B等の操作指示等によって自動走行実行を指示するための自動走行実行指示信号が入力されたか否かを判別することで、ステップS212の判断を行う。ステップS212で否定判断すると(ステップS212:No)、ステップS210へ進む。ステップS212で肯定判断すると(ステップS212:Yes)、ステップS214へ進む。
【0133】
ステップS214では、自動走行処理部30Cが自動走行処理を実行する(ステップS214)。自動走行処理部30Cは、地図データ32Aを用いて自己位置推定を行い、教師経路Tに沿った自動走行を行う。そして、本ルーチンを終了する。
【0134】
以上説明したように、本実施形態の情報処理装置20は、特定部30Gと、誘導画面生成部30Hと、出力制御部30Iと、を備える。特定部30Gは、実空間における所定位置P1から目標位置P2までの教師経路Tにおける自動走行開始可能地点APを特定する。誘導画面生成部30Hは、自動走行開始可能地点APへ移動体10を誘導するための誘導画面40を生成する。出力制御部30Iは、自動走行開始前に誘導画面40(誘導画面41)を出力する。
【0135】
ここで、従来技術では、移動体の周囲の環境の特徴が十分ではない箇所で自動走行が開始されると、自己位置を推定することが出来ず、教師経路Tに沿った自動走行が困難となる場合があった。詳細には、ドライバが自動運転開始位置として任意の位置で自動走行実行指示を入力すると、該位置における自己位置推定に用いる特徴点FPが少ない場合、教師経路Tに沿った自動走行を開始することが困難となる場合があった。
【0136】
一方、本実施形態の情報処理装置20は、自動走行開始前に、教師経路Tにおける自動走行開始可能地点APへ移動体10を誘導するための誘導画面40を出力する。
【0137】
このため、本実施形態の情報処理装置20は、自動走行を開始可能な地点である自動走行開始可能地点APに向かって移動体10を走行するように促す情報を、自動走行開始前の移動体10のユーザに対して提供することができる。表示部10Kに出力された誘導画面40を確認することで、移動体10を運転するユーザは、自動走行開始可能地点APに向かって移動体10を走行させることが可能となる。そして、自動走行開始可能地点APに到達した時点で移動体10が自動走行を開始することで、移動体10は自己位置推定の可能な位置から自動走行を開始することができるため、移動体10は教師経路Tに沿った自動走行を行うことができる。
【0138】
従って、本実施形態の情報処理装置20は、教師経路Tに沿った自動走行を支援することができる。
【0139】
また、本実施形態の情報処理装置20の特定部30Gは、自己位置推定に用いる特徴点FPが第1閾値以上抽出された教師経路T上の地点を、自動走行開始可能地点APとして特定してよい。このため、出力制御部30Iが該自動走行開始可能地点APへの誘導画面40を表示部10Kへ出力することで、自己位置推定の可能な地点、すなわち自動走行を開始可能な地点へ効果的に誘導することができる。
【0140】
また、本実施形態の情報処理装置20の特定部30Gは、特徴点FPが第1閾値以上抽出され、且つ、教師経路Tにおける所定距離以上直線状の経路上の地点を、自動走行開始可能地点APとして特定してよい。
【0141】
自動走行開始可能地点APが曲線状の経路上の地点である場合、該地点から自動走行を開始すると教師経路Tに沿った自動走行が困難となる場合がある。一方、本実施形態の処理部30では、特定部30Gが、特徴点FPが第1閾値以上抽出され、且つ、教師経路Tにおける所定距離以上直線状の経路上の地点を、自動走行開始可能地点APとして特定する。このため、本実施形態の情報処理装置20は、教師経路Tに沿った自動走行が容易となるように支援することができる。
【0142】
また、本実施形態の情報処理装置20の特定部30Gは、教師経路Tにおける特徴点FPが第2閾値以下の区間を含まない教師経路T上の地点を、自動走行開始可能地点APとして特定してよい。
【0143】
移動体10が教師経路Tに沿って自動走行する場合、特徴点FPの少ない箇所では自己位置推定が困難となる場合がある。この場合、デットレコニング技術により、特徴点FPおよび移動体10の車輪のパルス測定結果などから移動量および移動方向を推定し、移動体10の自己位置推定を行う場合がある。しかし、デットレコニング技術は、距離が長くなるほど精度が低くなる傾向にある。このため、教師経路Tにおける特徴点FPが第2閾値以下の区間では、特徴点FPおよびデットレコニング技術を用いた自己位置推定が困難となり、教師経路Tに沿った走行が困難となる場合がある。そこで、本実施形態の情報処理装置20の特定部30Gは、教師経路Tにおける特徴点FPが第2閾値以下の区間を含まない教師経路T上の地点を、自動走行開始可能地点APとして特定する。
【0144】
このため、本実施形態の情報処理装置20は、出力制御部30Iが該自動走行開始可能地点APへの誘導画面40を表示部10Kへ出力することで、自己位置推定の可能な地点、すなわち自動走行を開始可能な地点へ効果的に誘導することができる。
【0145】
ここで、自己位置推定の可能な地点である自動走行開始可能地点APに移動体10が到達することで、移動体10が自己位置推定を可能な状態になった場合であっても、教師経路Tに対する移動体10の姿勢が大きく異なる場合がある。教師経路Tに対する移動体10の姿勢が大きく異なる場合、自動走行開始可能地点APから教師経路Tに合流するように自動走行する過程では教師経路Tから外れた位置を自動走行するため、自動走行中、継続して自己位置を精度良く推定することが困難となる場合がある。
【0146】
一方、本実施形態の情報処理装置20の誘導画面生成部30Hは、自動走行開始可能地点APを含む周辺画像42における自動走行開始可能地点APに、該自動走行開始可能地点APへの走行方向および該自動走行開始可能地点APに移動体10が位置した時の移動体10の推奨姿勢を表すイメージ画像44を重畳した重畳画像を、誘導画面40として生成する。
【0147】
このため、ユーザは、誘導画面40を視認することで、移動体10が自動走行開始可能地点APに位置したときにイメージ画像44によって表される推奨姿勢に一致する姿勢となるように調整しながら、自動走行開始可能地点APへ向かって走行すること可能となる。よって、本実施形態の情報処理装置20は、上記効果に加えて、自動走行中に教師経路Tに対する自己位置を継続して精度よく推定可能となるように、支援することが可能となる。
【0148】
また、誘導画面生成部30Hは、自動走行開始可能地点APに向かって教師経路Tに沿って収束する形状のイメージ画像44を重畳した重畳画像を、誘導画面40として生成する。具体的には、上述したように、誘導画面生成部30Hは、自動走行開始可能地点APに向かって教師経路Tに沿って幅が狭まっていく矩形状のアイコン画像を含むイメージ画像44を重畳した重畳画像を、誘導画面40として生成する。このため、ユーザは、誘導画面40に含まれる該イメージ画像44に沿って移動体10の位置姿勢を調整しながら自動走行開始可能地点APへ向かって移動体10を走行させることができる。よって、本実施形態の情報処理装置20は、自動走行開始可能地点APに到達したときの移動体10の姿勢が、該自動走行開始可能地点APから教師経路Tに沿って自動走行可能な姿勢となるように支援することができる。
【0149】
なお、本実施の形態では、情報処理装置20を、移動体10に搭載した形態を一例として説明した。しかし、情報処理装置20を、移動体10の外部に搭載した構成としてもよい。この場合、情報処理装置20は、移動体10に搭載された内界センサ10Cなどの電子機器の各々と、ネットワークを介して通信可能な構成とすればよい。
【0150】
なお、上述した実施の形態における、上記情報処理を実行するためのプログラムは、上記各機能部を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしては、例えば、CPU(プロセッサ回路)がROMまたはHDDから情報処理プログラムを読み出して実行することにより、上述した各機能部がRAM(主記憶)上にロードされ、上述した各機能部がRAM(主記憶)上に生成されるようになっている。なお、上述した各機能部の一部または全部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などの専用のハードウェアを用いて実現することも可能である。
【0151】
なお、上記には、実施の形態を説明したが、上記実施の形態は、例として提示したものであり、本開示の範囲を限定することは意図していない。上記新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施の形態は、本開示の範囲または要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0152】
10 移動体
20 情報処理装置
10K 表示部
10D 撮影装置
30G 特定部
30H 誘導画面生成部
30I 出力制御部