(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119432
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】コラーゲン産生促進剤及び皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20240827BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20240827BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20240827BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240827BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20240827BHJP
A61K 31/455 20060101ALI20240827BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240827BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240827BHJP
A61K 31/19 20060101ALI20240827BHJP
A61K 36/73 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/36
A61K8/9789
A61Q19/00
A61Q19/08
A61K31/455
A61P17/00
A61P43/00 107
A61K31/19
A61K36/73
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026324
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000176110
【氏名又は名称】三省製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 健太
【テーマコード(参考)】
4C083
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB032
4C083AC062
4C083AC072
4C083AC092
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC662
4C083AC851
4C083AC852
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4C086AA01
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4C086BC19
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4C086ZA89
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4C088AB51
4C088AC05
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(57)【要約】
【課題】コラーゲン産生促進剤を提供する。
【解決手段】ナイアシンアミド及びウルソール酸を20~50質量%含有するローズマリー抽出物を有効成分とするコラーゲン産生促進剤を提供するものである。ナイアシンアミドに加えウルソール酸を高濃度で含有するローズマリー抽出物を併用することにより、コラーゲン産生促進機能を顕著に高めることができる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナイアシンアミドと、ウルソール酸を20~50質量%含有するローズマリー抽出物とを有効成分とするコラーゲン産生促進剤。
【請求項2】
前記ナイアシンアミドと前記ウルソール酸を20~50質量%含有するローズマリー抽出物との配合比が、ナイアシンアミド1質量部に対しローズマリー抽出物が0.00001~1質量部である請求項1に記載のコラーゲン産生促進剤。
【請求項3】
前記コラーゲン産生促進剤中のナイアシンアミドの濃度が、0.001~1質量%である請求項1又は2に記載のコラーゲン産生促進剤。
【請求項4】
前記コラーゲン産生促進剤中のウルソール酸を20~50質量%含有するローズマリー抽出物の濃度が、0.000001~0.001質量%である請求項1又は2に記載のコラーゲン産生促進剤。
【請求項5】
コラーゲン産生促進剤として請求項1又は2に記載のナイアシンアミド及びウルソール酸を20~50質量%含有するローズマリー抽出物を配合してなる皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナイアシンアミドとウルソール酸を含有するローズマリー抽出物とを有効成分とするコラーゲン産生促進剤に関するものである。また、本発明は、かかるナイアシンアミド及びローズマリー抽出物を有効成分とするコラーゲン産生促進剤を配合する皮膚外用剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、生理的な老化や紫外線の長期的な暴露によって、真皮中の細胞外マトリックスが減少することで、シワやたるみが形成されることが知られている。
代表的な真皮細胞外マトリックスの成分は、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸である。なかでも主要な成分であるコラーゲンは、成熟し増殖して架橋形成が進行すると線維束が太くなり、皮膚に適度なハリを与えるとされている。
しかし、コラーゲン産生能は、紫外線および活性酸素への暴露やサイトカインなどの作用により低下し、マトリックスメタロプロテアーゼの増加によりコラーゲンが減少する。つまり、コラーゲンの生成と分解のバランスが崩れ、ハリが保てなくなり、シワやたるみが形成されると考えられる。
【0003】
皮膚のシワやたるみの改善には、コラーゲン産生を促進することが有効であり、コラーゲン産生促進剤として、例えば、キク科ヒヒラギギクの抽出物や竹幹表皮抽出物が有効成分として作用することが開示されている(特許文献1、2)。また、ナイアシンアミド(ニコチン酸アミド)と大豆タンパク分解物、マルビジングルコシド、環状アミノ酸等との組成物がコラーゲン産生を促進することが開示されている(特許文献3~5)。
【0004】
しかし、昨今の抗老化(アンチエイジング)に対する人々の関心は高く、特にコラーゲン産生を促進するより有効な物質の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-249366号公報
【特許文献2】特開2020-147527号公報
【特許文献3】特開2021-107376号公報
【特許文献4】特開2022-124930号公報
【特許文献5】特開2022-124931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、このような課題を解決するために、コラーゲン産生促進剤として有効性が知られているナイアシンアミドに注目し、この有効性を更に高めることを鋭意検討したところ、ナイアシンアミドに特定のローズマリー抽出物を組み合わせることにより、コラーゲン産生が顕著に促進することを見出した。
【0007】
即ち、本発明は、ナイアシンアミド及びウルソール酸を高濃度に含有するローズマリー抽出物を有効成分とするコラーゲン産生促進剤を提供するものである。また、本発明は、かかるナイアシンアミド及びローズマリー抽出物を有効成分とするコラーゲン産生促進剤を配合する皮膚外用剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> ナイアシンアミドと、ウルソール酸を20~50質量%含有するローズマリー抽出物とを有効成分とするコラーゲン産生促進剤。
<2> ナイアシンアミドとウルソール酸を20~50質量%含有するローズマリー抽出物との配合比が、ナイアシンアミド1質量部に対しローズマリー抽出物が0.00001~1質量部である前記<1>に記載のコラーゲン産生促進剤。
<3> コラーゲン産生促進剤中のナイアシンアミドの濃度が、0.001~1質量%である前記<1>又は<2>に記載のコラーゲン産生促進剤。
<4> コラーゲン産生促進剤中のウルソール酸を20~50質量%含有するローズマリー抽出物の濃度が、0.000001~0.001質量%である前記<1>から前記<3>のいずれかに記載のコラーゲン産生促進剤。
<5> コラーゲン産生促進剤として前記<1>又は<2>に記載のナイアシンアミド及びウルソール酸を20~50質量%含有するローズマリー抽出物を配合してなる皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、ナイアシンアミドとウルソール酸を20~50質量%含有するローズマリー抽出物とを有効成分として併用することにより、ナイアシンアミド単独の場合に比較してコラーゲン産生促進が大幅に向上するため、コラーゲン産生促進剤として有用である。また、かかるコラーゲン産生促進剤を配合することにより、皮膚外用剤、特に老化防止用皮膚外用剤として有効に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において、「~」はその前後の数値を含む範囲を意味する。
【0012】
本発明のコラーゲン産生促進剤は、ナイアシンアミドと、ウルソール酸を20~50質量%含有するローズマリー抽出物とを有効成分とするものである。以下、各成分について詳述する。
【0013】
本発明の必須構成要件の一つであるナイアシンアミドは、米ぬか、肝臓などの中に見いだされるビタミンB群の一員であり、ビタミンB3やニコチン酸アミドとも呼ばれている。また、補酵素Iおよび補酵素IIの構成成分として知られており、また、肌荒れ、シワ改善や美白の有効成分として、化粧品にも使用されている。
【0014】
本発明のナイアシンアミドは、生物由来、合成由来のいずれでも良く、生物由来のナイアシンアミドとしては、ナイアシンアミドを含む植物等の粉末、抽出物等が使用でき、これらはそのまま、または精製して使用することができる。
【0015】
本発明の必須構成要件の一つであるウルソール酸を含有するローズマリー抽出物とは、前処理を行ったローズマリー(Rosmarinus officinalis L.)を特定の条件下、溶媒で抽出することによって得られる抽出物であり、その抽出物は抗酸化機能を有するため酸化防止剤として広く利用されている。ここでローズマリーとは、独特の芳香を持つシソ科の常緑低木であり、地中海沿岸に自生し、ヨーロッパ中部をはじめ世界各地で一般に栽培されているものである。なお、ローズマリーを溶媒で抽出した場合、溶媒の種類や抽出条件により種々のローズマリー抽出物が得られることが知られている。
次に、本発明のウルソール酸を20~50質量%含有するローズマリー抽出物(以下、単に「ローズマリー抽出物」ということがある。)の製造方法を具体的に述べる。
【0016】
本発明では通常、ローズマリーの葉を原料とする。当該使用する原料の処理工程としては、先ずはローズマリー100gに対して精製水2kgを加え、121~125℃で約60分加熱後、30℃以下に冷却する。
さらにローズマリーを回収し、液は廃棄する。回収したローズマリーを精製水で洗浄、水切り後に熱風(約80℃)で15時間以上乾燥させる。十分に乾燥させたローズマリーをパワーミルで粉砕し、後の抽出処理工程用の原料として冷暗所(-20℃)で保管する。
【0017】
前項の条件で前処理したローズマリーに低級アルコールをローズマリー:低級アルコール(質量比)で1:10~1000の割合で添加し、1~45℃の温度条件で、2時間~7日間攪拌して抽出する。その抽出液をろ過または遠心分離等の精製工程を経て得たろ液に、その液量の半分から倍量の精製水を添加攪拌し、しばらく静置後に析出した成分を遠心分離して沈渣を回収する。当該残渣を80℃で乾燥させると本発明のウルソール酸を20~50質量%と高濃度で含有するローズマリー抽出物を得ることができる。
【0018】
出発原料のローズマリーは、熱水で溶出される成分を予め除去したものを使用し、使用部位としては葉が好適に使用される。
【0019】
抽出工程において使用される溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノール等の低級アルコールがいずれも使用可能であるが、その中でもエタノールが本発明の目的とする有効性との関係上もっとも好ましい。エタノールの場合には少量の水との混液でも使用に供することができるが、95%以上のエタノールが好適である。
【0020】
抽出温度と時間は、有効成分の抽出効率を考えて、少なくとも40℃に維持しつつ、2時間以上攪拌抽出するのが好適である。抽出の際のpH調整は特には要しない。
【0021】
低級アルコールで抽出した液は、後の処理工程で不要な成分を除去し、ウルソール酸を高濃度で分取しやすくできるよう一旦少なくとも30℃以下に冷却し、当該溶液に質量比で少なくとも半分量の精製水を添加する。
【0022】
析出した沈殿物について遠心分離と洗浄を繰り返し、沈渣を回収することで本発明のウルソール酸を高濃度で含有するローズマリー抽出物を得る。
本発明のローズマリー抽出物中のウルソール酸の含有量は、20~50質量%であり、より好ましくは35~45質量%である。20質量%未満では、ウルソール酸のコラーゲン産生促進の発現効果が乏しくなり、一方50質量%を超えるウルソール酸の抽出は、抽出コストが嵩み効率的ではない。
【0023】
本発明のナイアシンアミド及びウルソール酸を20~50質量%含有するローズマリー抽出物により、線維芽細胞のコラーゲン産生が促進される。
コラーゲンは、細胞内でプロコラーゲンが生成され、3本が螺旋を形成した後、アミノ酸残基が水酸化を受けて細胞外に分泌される。細胞外で、プロコラーゲンのN末端とC末端のプロペプチドが切断され、各鎖が重合することでコラーゲン線維を形成する。
ナイアシンアミドとウルソール酸を含有するローズマリー抽出物とを線維芽細胞に加えると、細胞内でのプロコラーゲンの遺伝子発現やタンパク質合成をはじめ、様々な段階において作用することで、相乗的にコラーゲン産生が高まると考えられる。
【0024】
本発明では、ナイアシンアミドにウルソール酸を高濃度で含有するローズマリー抽出物を併用することによりコラーゲン産生促進作用を顕著に向上させることができるが、ナイアシンアミドに対する当該ローズマリー抽出物の使用量は極少量でも相乗効果が得られることが特徴の一つである。
【0025】
本発明に係るコラーゲン産生促進剤におけるナイアシンアミドの含有量は、コラーゲン産生促進作用を有する範囲であれば特に限定されず、他の配合成分の種類及び含有量、コラーゲン産生促進剤の製剤形態等に応じて適宜設定される。本発明による効果をより顕著に奏する観点から、コラーゲン産生促進剤中のナイアシンアミドの濃度は、0.001~1質量%であることが好ましく、0.01~0.5質量%であることがより好ましく、0.05~0.5質量%であることが更に好ましい。
また、製剤の場合は、製剤中のナイアシンアミドの濃度は、1~10質量%であれば良く、3~8質量%であることが好ましい。
【0026】
本発明に係るコラーゲン産生促進剤におけるウルソール酸を20~50質量%含有するローズマリー抽出物の含有量は、コラーゲン産生促進作用を有する範囲であれば特に限定されず、他の配合成分の種類及び含有量、コラーゲン産生促進剤の製剤形態等に応じて適宜設定される。本発明による効果をより顕著に奏する観点から、コラーゲン産生促進剤中のローズマリー抽出物の濃度は、0.000001~0.001質量%であることが好ましく、0.000005~0.0005質量%であることがより好ましく、0.00001~0.0001質量%であることが更に好ましい。
また、製剤の場合は、製剤中のローズマリー抽出物の濃度は、0.1~1質量%であれば良く、0.2~0.8質量%であることが好ましい。
【0027】
本発明に係るコラーゲン産生促進剤におけるナイアシンアミドとウルソール酸を20~50質量%含有するローズマリー抽出物との配合比は、 特に限定されないが、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、ナイアシンアミド1質量部に対しローズマリー抽出物が0.00001~1質量部、より好ましくは0.0001~0.1質量部である。
なお、製剤の場合でも、製剤中のローズマリー抽出物の濃度は、ナイアシンアミド1質量部に対し0.00001~1質量部であれば良いが、促進剤の場合に比べその濃度比を高くすることが好ましい。
【0028】
本発明のコラーゲン産生促進剤は、コラーゲン線維の成熟、架橋形成を促し、線維束を太くする。これにより、肌のしわやたるみ、ハリ弾力の減少、くすみ等の皮膚のコラーゲンの低下に起因する状態を予防及び/又は改善する効果が期待される。
【0029】
本発明のコラーゲン産生促進剤は、ナイアシンアミドおよびウルソール酸を高濃度で含有するローズマリー抽出物を有効成分とするものであり、適用する皮膚外用剤、特に老化防止用皮膚外用剤の有効成分として使用できる。
【0030】
また、本発明の皮膚外用剤には、必要に応じて公知の保湿剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤、香料、着色剤等種々の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で併用することができる。
【実施例0031】
次に実施例により本発明を説明するが、これらの開示は本発明の好適な態様を示すものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0032】
1.ローズマリー抽出物の製造
(1)本発明のウルソール酸を含有するローズマリー抽出物の製造
乾燥したローズマリーの葉100gに水2kgを加え、121℃~125℃で60分間加熱した。ろ過してローズマリーを回収し、80℃で15時間以上乾燥させ、あらかじめ精製水で抽出される成分を除いたローズマリー64gを得た。この前処理したローズマリー64gに95%エタノール640gを加え、40℃で3時間抽出した。これをろ過したろ液に1質量%の活性炭を加え脱色し、活性炭をろ過して除き、ろ液に水をろ液/水(2:1)の容量比割合で加えて撹拌し、析出した成分を遠心分離して分け、沈渣を80℃で乾燥させ、約4gのローズマリー抽出物を得た。本ローズマリー抽出物におけるウルソール酸含有量は、42質量%であった。本ローズマリー抽出物をRM抽出物(A)という。
【0033】
(2)他のローズマリー抽出物の製造
乾燥したローズマリーの葉30gに95%エタノール300gを加え、40℃で3時間加熱した。ろ過してローズマリーを除去し、ろ液100gを40℃で減圧濃縮して乾燥させ約2.5gのローズマリー抽出物を得た。本ローズマリー抽出物におけるウルソール酸含量は、13.9質量%であった。本ローズマリー抽出物をRM抽出物(B)という。
【0034】
(3)ナイアシンアミド
富士フイルム和光純薬株式会社製試薬を使用した。
【0035】
2.コラーゲン産生促進作用の確認試験
<試験方法>
正常ヒト線維芽細胞(PromoCell社製C-12302)を24ウェルプレートに0.5×105cells播種し、10%FBS含有MEM培地、5%CO2・37℃の条件で1日間培養した。細胞の生育に問題がないことを顕微鏡観察により確認した後、PBS(-)溶液にて洗浄後、試料を含むFBS不含MEM培地に交換し、さらに3日間培養した。
培養上清を回収し、酵素結合免疫測定法(Procollagen TypeI C-peptid e EIA Kit;タカラバイオ株式会社製)を用いてタイプIコラーゲン量を測定し、濃度を算出した。培養上清を除いたプレートについては、生細胞数測定試薬(Cell Count Reage nt SF;ナカライテスク株式会社製)を用いたWST-8アッセイにより生細胞数の測定を行い、試料を含有しないもの(参考例1)を対照として、細胞生存率を算出した。コラーゲン濃度および細胞生存率から、生細胞当たりのコラーゲン産生量を算出した。
【0036】
<実施例1~4および比較例1~6>
試料としてナイアシンアミドとローズマリー抽出物を使用し、単独使用および併用時の両者の濃度の違いによるコラーゲン産生量を、上記コラーゲン産生促進作用の確認試験により求めた。試料濃度条件および結果を併せて表1に示した。
【0037】
【0038】
表1が示すように、ナイアシンアミド及びウルソール酸を含有するローズマリー抽出物にはコラーゲン産生促進作用の濃度依存性があり、ナイアシンアミドとウルソール酸を20~50質量%含有するローズマリー抽出物との併用(実施例1~4)により、顕著なコラーゲン産生促進効果が認められた。なお、ローズマリー抽出物であっても、ウルソールを20質量%以下、即ち低濃度しか含有しない抽出物(比較例5、6)はナイアシンアミドと併用しても効果が認められないことが分かる。
【0039】
3.ナイアシンアミドおよびローズマリー抽出物(A)配合製剤を用いたヒトでの抗シワ試験
<試験方法>
目尻にシワのある30~60歳の健康なヒト6名を対象に、下記表2の処方によるナイアシンアミドおよびローズマリー抽出物(A)配合製剤を目尻に塗布してもらい、8週間使用後に評価項目の測定を行った。評価は、目視および写真によるシワグレード判定およびレプリカの二次元画像解析を行った。
使用前と比べて、6名中5名でシワグレードの改善が認められ、レプリカ評価においてはシワの深さが43%(被験者平均)改善された。
【0040】
<ナイアシンアミドおよびローズマリー抽出物(A)配合製剤の処方例>
【0041】
本発明により、皮膚外用剤の有効成分である新たなコラーゲン産生促進剤が提供される。本発明のコラーゲン産生促進剤は、ナイアシンアミドに加えウルソール酸を20~50質量%含有するローズマリー抽出物を併用するものであり、ナイアシンアミドのコラーゲン産生促進機能を顕著に高める効果が期待できる。