(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119444
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】電動オイルポンプの駆動システムおよびその制御方法
(51)【国際特許分類】
F04B 49/08 20060101AFI20240827BHJP
F16H 59/44 20060101ALI20240827BHJP
F16H 59/72 20060101ALI20240827BHJP
F16H 61/00 20060101ALN20240827BHJP
【FI】
F04B49/08 311
F16H59/44
F16H59/72
F16H61/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026347
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 隆志
【テーマコード(参考)】
3H145
3J552
【Fターム(参考)】
3H145AA02
3H145AA12
3H145AA24
3H145AA32
3H145AA42
3H145BA20
3H145BA38
3H145CA09
3H145CA21
3H145DA05
3H145DA46
3H145EA13
3H145EA20
3H145EA36
3H145EA42
3H145GA15
3H145GA23
3J552NA01
3J552PA55
3J552PA70
3J552QA30C
3J552QB07
3J552VA52W
3J552VC01W
(57)【要約】
【課題】油圧負荷の変動時において油圧が目標値に到達した際のオーバーシュートを抑制できる電動オイルポンプの駆動システムを提供する。
【解決手段】駆動システム100は、オイルポンプ3を駆動する電動機4と、電動機4を駆動する駆動回路5と、油圧検出部10と、駆動回路5を制御する制御装置6とを備える。制御装置6は、油圧回路2の油圧の過去値P
0を記憶するように構成される。制御装置6は、油圧の過去値P
0と現在値P
1から油圧差ΔPを演算するように構成される。制御装置6は、油圧差ΔPに基づいて、電動機4の駆動電力を制御する第1駆動制御を実行するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動オイルポンプの駆動システムであって、
オイルポンプを駆動する電動機と、
前記電動機を駆動する駆動回路と、
前記オイルポンプからオイルが供給される油圧回路の油圧を検出する油圧検出部と、
前記駆動回路を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記油圧検出部が検出した前記油圧回路の油圧過去値を記憶するように構成され、
前記制御装置は、前記油圧過去値と前記油圧検出部が検出した油圧現在値から油圧差を演算するように構成され、
前記制御装置は、前記油圧差に基づいて、前記電動機の駆動電力を制御する第1駆動制御を実行するように構成される、電動オイルポンプの駆動システム。
【請求項2】
前記電動機の回転速度を検出する回転速度検出部をさらに備え、
前記制御装置は、前記回転速度検出部が検出した前記電動機の回転速度過去値をさらに記憶するように構成され、
前記制御装置は、前記回転速度過去値と前記回転速度検出部が検出した回転速度現在値から回転速度差をさらに演算するように構成され、
前記制御装置は、前記回転速度差に基づいて、前記電動機の駆動電力を制御する第2駆動制御をさらに実行するように構成される、請求項1に記載の電動オイルポンプの駆動システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記油圧差および前記回転速度差に基づいて、前記第1駆動制御と前記第2駆動制御のうちいずれを実行するかを選択する選択処理を実行するように構成される、請求項2に記載の電動オイルポンプの駆動システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記選択処理において、前記第1駆動制御を行なう第1領域と前記第2駆動制御を行なう第2領域とが示された判定マップを使用し、
前記判定マップは、第1軸が前記回転速度差を示し、第2軸が前記油圧差を示し、
前記第1領域に属する第1動作点は、前記第2領域に属する第2動作点よりも、前記回転速度差と前記油圧差の少なくとも一方または両方が小さい、請求項3に記載の電動オイルポンプの駆動システム。
【請求項5】
オイルポンプを駆動する電動機と、前記電動機を駆動する駆動回路と、前記オイルポンプからオイルが供給される油圧回路の油圧を検出する油圧検出部と、制御装置とを含む電動オイルポンプの駆動システムの制御方法であって、
前記制御装置が、前記油圧検出部が検出した前記油圧回路の油圧過去値を記憶するステップと、
前記制御装置が、前記油圧過去値と前記油圧検出部が検出した油圧現在値から油圧差を演算するステップと、
前記制御装置が、前記油圧差に基づいて、前記電動機の駆動電力を制御する第1駆動制御を実行するステップとを備える、電動オイルポンプの駆動システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動オイルポンプの駆動システムおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電動オイルポンプの回転速度を制御する技術を開示する文献として、たとえば、特開2021-124158号公報(特許文献1)が知られている。この技術では、電動モータの目標回転速度および実回転速度の偏差に基づき電流指令値を算出するフィードバック制御と、目標回転トルクを電流指令値に変換するフィードフォワード制御の両方を行なう。これにより、電動オイルポンプを備える変速機での電動モータの負荷減少に起因する振動発生を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特開2021-124158号公報に記載された技術では、フィードバック制御とフィードフォワード制御とで電動機の駆動を制御している。しかしながら、フィードフォワード制御は応答性を高くするが、オープンループ制御であるため、油圧負荷変動発生後に目標油圧に到達した時にオーバーシュートが発生しやすい。このため安易に導入すると、油圧の脈動により車両にて異音、振動が発生するため、改善の余地がある。
【0005】
本開示は、電動オイルポンプの油圧負荷の変動時において油圧が目標値に到達した際のオーバーシュートを抑制できる電動オイルポンプの駆動システムおよびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、電動オイルポンプの駆動システムに関する。駆動システムは、オイルポンプを駆動する電動機と、電動機を駆動する駆動回路と、オイルポンプからオイルが供給される油圧回路の油圧を検出する油圧検出部と、駆動回路を制御する制御装置とを備える。制御装置は、油圧検出部が検出した油圧回路の油圧過去値を記憶するように構成される。制御装置は、油圧過去値と油圧現在値から油圧差を演算するように構成される。制御装置は、油圧差に基づいて、電動機の駆動電力を制御する第1駆動制御を実行するように構成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の電動オイルポンプの駆動システムおよびその制御方法によれば、油圧のオーバーシュートを抑制して、油圧の脈動による異音、振動の発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】電動機の駆動電力を第1駆動制御、第2駆動制御のいずれで実行するかを反転する判定マップの一例を示す図である。
【
図3】油圧のオーバーシュートの一例を説明するための波形図である。
【
図4】本実施の形態の電動機4の駆動電力を説明するためのフローチャートである。
【
図7】制御マップAの制御を適用した場合の油圧の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0010】
図1は、電動オイルポンプの構成例を示す図である。
図1に示す電動オイルポンプの駆動システム100は、オイルポンプ3を駆動する電動機4と、電動機4を駆動する駆動回路5と、オイルポンプ3からオイルが供給される油圧回路2の油圧を検出する油圧検出部10と、駆動回路5を制御する制御装置6とを備える。オイルポンプ3は、車両に搭載され、変速機1の油圧回路2に油圧を供給する。制御装置6には、車両のバッテリから電源電圧が供給される。
【0011】
電動機4は、ブラシレスモータ、同期電動機、交流電動機、直流電動機のいずれであってもよい。
【0012】
電流検出部7は、電動機4の電流を検出し、制御装置6にデータを提供する。電圧検出部8は、電動機4の電圧を検出し、制御装置6にデータを提供する。回転速度検出部9は、電動機4の回転速度を検出し、制御装置6にデータを提供する。油圧検出部10は、油圧回路2の油圧を検出し、制御装置6にデータを提供する。
【0013】
制御装置6は、油圧検出部10から得られた油圧回路の油圧力から油圧Pを算出する。制御装置6は、油圧の前回値をP0へ保存、今回値をP1に保存し、油圧差ΔP=P1-P0を演算する。制御装置6は、油圧差ΔPに基づいて、電動機4の駆動電力を制御する第1駆動制御を実行するように構成される。
【0014】
また、制御装置6は、回転速度検出部9から得られた電動機4の回転速度Nを算出する。制御装置6は、回転速度の前回値をN0へ保存、今回値をN1に保存し、回転速度差ΔN=N1-N0を演算する。制御装置6は、回転速度の過去値N0と現在値N1から回転速度差ΔNをさらに演算するように構成される。制御装置6は、回転速度差ΔNに基づいて、電動機4の駆動電力を制御する第2駆動制御をさらに実行するように構成される。
【0015】
制御装置6は、油圧差ΔPおよび回転速度差ΔNに基づいて、第1駆動制御と第2駆動制御のうちいずれを実行するかを選択する選択処理を実行するように構成される。
【0016】
従来の車両では、元油圧の油圧変動が発生した場合、変速機、トルク配分装置の制御装置が回転速度等の指示を出し油圧変動を収束させる制御をしているが、本実施の形態の駆動システム100は、変速機、トルク配分装置の制御装置からの回転速度等の指示がなくても、電動オイルポンプシステムが自動的に油圧変動を収束させる。したがって、変速機またはトルク配分装置の制御装置に依存せずに電動オイルポンプシステムが直接油圧を制御するため、油圧変動に対する応答性が向上する。
【0017】
図2は、電動機の駆動電力を第1駆動制御、第2駆動制御のいずれで実行するかを反転する判定マップの一例を示す図である。
図2の判定マップは、判定ラインL1を境界とする、油圧通常領域と油圧上限領域とを含む。制御装置6は、選択処理において、第1駆動制御(油圧上限領域)を行なう第1領域と第2駆動制御を行なう第2領域(油圧通常領域)とが示された
図2のような判定マップを使用する。
【0018】
図3は、油圧のオーバーシュートの一例を説明するための波形図である。電動オイルポンプで油圧を制御している油圧回路にて油圧負荷変動時の油圧回路の油圧が
図3のd点のように上限付近になった場合、油圧差が減少することおよび回転速度が低下することを
図2の制御マップで判定する。そして、電動オイルポンプの電動機4を駆動するPWM-Duty比を第1制御によって制御することによって、油圧を制限して油圧のオーバーシュートを抑制する。
【0019】
図4は、本実施の形態の電動機4の駆動電力を説明するためのフローチャートである。まずステップS1において、制御装置6は、前回の処理で事前に記憶しておいた回転速度Nを前回値N
0に設定する。続いて、制御装置6は、ステップS2において、電動ポンプの回転速度検出部9が検出した回転速度Nを取得し、ステップS3においてステップS1で取得した回転速度Nを今回値N
1に設定する。そして、制御装置6は、ステップS4において回転速度差ΔN=N
1-N
0を演算する。
【0020】
さらに、ステップS5において、制御装置6は、前回の処理で事前に記憶しておいた油圧Pを前回値P0に設定する。続いて、制御装置6は、ステップS6において、電動ポンプの油圧検出部10が検出した油圧Pを取得し、ステップS7においてステップS6で取得した油圧Pを今回値P1に設定する。そして、制御装置6は、ステップS8において油圧差ΔP=P1-P0を演算する。
【0021】
以上のように演算された回転速度差ΔNおよび油圧差ΔPに基づいて、ステップS9において制御装置6は、油圧が上限付近であるか否かを判定する処理を行なう。この判定処理には、
図2で説明したような判定マップが使用される。
【0022】
図5は、判定マップに動作点を記入した図である。回転速度差ΔNと油圧差ΔPから判定マップ中に示される動作点を考える。判定マップ中に予め定められた判定ラインL1の下側に動作点の位置がある場合(動作点a)は、油圧が目標油圧付近に到達していると制御装置6は判定する。一方、判定ラインL1の上側の油圧通常領域に動作点の位置がある場合(動作点b,c)は油圧が通常状態であると制御装置6は判定する。
【0023】
なお、本実施の形態の油圧抑制制御では、油圧負荷が増加し、これに追従して油圧が上昇しているときのオーバーシュートが制御の対象であり、油圧が下降しているときは制御対象外である。このため、油圧差ΔPまたは回転速度差ΔNが負となる場合は、油圧通常領域に属するように
図5のマップを作成するか、またはS8とS9の間にΔP<0またはΔN<0の場合にステップS12に分岐する処理を入れると良い。
【0024】
油圧が上昇中で油圧が上限付近になると、回転速度差ΔNが回転速度差の前回値よりも小さくなり、油圧差Δも同様に油圧差の前回値よりも小さくなる。したがって、a点のように、回転速度差ΔNが小さくなり、油圧差ΔPも小さい場合は、油圧が上限付近であると判定できる。
【0025】
図5のb点は回転速度差ΔNが回転速度差の前回値よりも大きく、油圧差ΔPは油圧差の前回値よりも大きいため、油圧が上昇中で油圧上限付近ではないと判定できる。また、
図5のc点は回転速度差ΔNが回転速度差の前回値よりも小さくなったが、油圧差ΔPは油圧差の前回値よりも大きいため、油圧が上昇中で油圧が上限付近ではないと判定できる。
【0026】
図4に戻って、ステップS10で油圧が油圧上限付近と判定された場合(S10でYES)ステップS11において、制御マップAによる駆動Duty比演算処理(第1制御)が実行される。
【0027】
図6は、制御マップAの一例を示す図である。制御マップAは、横軸が油圧差ΔPであり縦軸が電動機のPWM制御におけるDuty比(%)である。制御マップAにより、油圧差ΔPに基づいてDuty比(%)が決定される。
図6に示した一例では、油圧差ΔPがΔPL以下の場合はDuty比(%)がDL(%)に制御され、油圧差ΔPがΔPH以上の場合はDuty比(%)がDH(%)に制御され、油圧差ΔPがΔPL~ΔPHの場合には、油圧差ΔPが増加するにしたがってDuty比(%)も増加するように制御される。
【0028】
制御装置6は、油圧が上限付近であると判定したとき、予め定められた
図6に示す制御マップAを用いて、電動ポンプをPWM駆動するDuty比(=PWMパルス幅/PWM周期)を演算して電動機を駆動する。これにより、油圧のオーバーシュートが抑制される。
【0029】
図7は、制御マップAの制御を適用した場合の油圧の変化を示す図である。油圧が上限付近であるときに第1制御が実行されると、
図7の実線L3に示されるように、第2制御を行なった場合を示す破線L2(
図3参照)よりも、油圧の上昇が抑制される。油圧が上限に達して油圧差が低くなるとDuty比は制御マップA(
図6)で制御されるので、
図7の実線L3のように曲線の傾きは小さく緩やかに下降する。これにより、オーバーシュートを抑制できるため、油圧脈動を抑制し異音、振動の発生を抑制できる。
【0030】
一方、
図4のステップS10において、油圧が油圧上限付近と判定されなかった場合(S10でNO)ステップS12において、制御マップBによる駆動Duty比演算処理(第2制御)が実行される。
【0031】
図8は、制御マップBの一例を示す図である。制御マップBは、横軸が回転速度Nであり縦軸が電動機のPWM制御におけるDuty比(%)である。制御マップBでは、回転速度Nが増加するにしたがってDuty比(%)も増加させるように電動機4が制御される。制御マップBにより、回転速度Nに基づいてDuty比(%)が決定される。これにより、通常実行される第2制御では、負荷に応じた消費電力で電動オイルポンプを制御される。
【0032】
以上説明した判定マップおよび制御マップは、車両試験または台上試験によって得られた結果に基づいてチューニングし設定してもよいし、モデルベースデザインのシミュレーションで得られた結果にてチューニングし設定してもよい。
【0033】
以上説明したように、
図4のフローチャートに示した制御によれば、通常は負荷に応じた消費電力で電動オイルポンプを制御する(第2制御)。そして、油圧負荷が変動し油圧制御で目標油圧に追従しているときに圧力上限付近であるが予め定められた圧力上限判定マップで判定された場合は、電動機の駆動電圧のPWM制御のDuty比を予め定められたように制限して電動オイルポンプを制御する(第1制御)。これにより、油圧増加時のオーバーシュートを抑制することができる。
【0034】
本実施の形態によれば、従来のフィードバック制御に加え、油圧が上限付近の油圧となったことを短時間で判定し、予め定められた制御マップで電動オイルポンプを駆動する。電動オイルポンプで駆動している油圧回路の油圧が上限付近に達する前に、電動機4またはポンプの回転速度差と油圧回路の油圧差とを入力とする予め定められた制御マップで油圧上限付近であることを判定する。油圧上限付近であると判定された場合は、予め定められたPWM-Duty比の制御マップで電動機4を駆動する。これにより油圧のオーバーシュートを抑制して、油圧の脈動による異音、振動の発生を抑制できる。
【0035】
なお、本実施の形態の電動オイルポンプの駆動システムは、車両が電気自動車、ハイブリッド自動車以外でも、たとえばアイドリングストップ機能を備えた内燃機関により駆動される車両にも適用することができる。
【0036】
[付記]
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0037】
(第1項)本開示は、電動オイルポンプの駆動システムに関する。
図1に示す駆動システム100は、オイルポンプ3を駆動する電動機4と、電動機4を駆動する駆動回路5と、オイルポンプ3からオイルが供給される油圧回路2の油圧を検出する油圧検出部10と、駆動回路5を制御する制御装置6とを備える。制御装置6は、油圧検出部10が検出した油圧回路2の油圧の過去値P
0と現在値P
1とを記憶するように構成される。制御装置6は、油圧の過去値P
0と現在値P
1から油圧差ΔPを演算するように構成される。制御装置6は、油圧差ΔPに基づいて、電動機4の駆動電力を制御する第1駆動制御を実行するように構成される。
【0038】
(第2項)第1項に記載の電動オイルポンプの駆動システムは、電動機4の回転速度を検出する回転速度検出部9をさらに備える。制御装置6は、
図4に示すように、回転速度検出部9が検出した電動機4の回転速度の過去値N
0をさらに記憶するように構成される。制御装置6は、回転速度の過去値N
0と現在値N
1から回転速度差ΔNをさらに演算するように構成される。制御装置6は、回転速度差ΔNに基づいて、電動機4の駆動電力を制御する第2駆動制御をさらに実行するように構成される。
【0039】
(第3項)第2項に記載の電動オイルポンプの駆動システムにおいて、
図2、
図4、
図5に示すように、制御装置6は、油圧差ΔPおよび回転速度差ΔNに基づいて、第1駆動制御と第2駆動制御のうちいずれを実行するかを選択する選択処理を実行するように構成される。
【0040】
(第4項)第3項に記載の電動オイルポンプの駆動システムにおいて、制御装置6は、選択処理において、第1駆動制御を行なう第1領域と第2駆動制御を行なう第2領域とが示された判定マップを使用する。
図5に示すように、判定マップは、第1軸が回転速度差ΔNを示し、第2軸が油圧差ΔPを示し、第1領域に属する第1動作点(点a)は、第2領域に属する第2動作点(点b、または点c)よりも、回転速度差ΔNと油圧差ΔPの少なくとも一方または両方が小さい。
【0041】
(第5項)本開示は、他の局面では、オイルポンプ3を駆動する電動機4と、電動機4を駆動する駆動回路5と、オイルポンプ3からオイルが供給される油圧回路2の油圧を検出する油圧検出部10と、制御装置6とを含む電動オイルポンプの駆動システムの制御方法であって、制御装置6が、油圧検出部10が検出した油圧回路2の油圧の過去値P0を記憶するステップと、制御装置6が、油圧の過去値P0と現在値P1から油圧差ΔPを演算するステップと、制御装置6が、油圧差ΔPに基づいて、電動機4の駆動電力を制御する第1駆動制御を実行するステップとを備える。
【0042】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0043】
1 変速機、2 油圧回路、3 オイルポンプ、4 電動機、5 駆動回路、6 制御装置、7 電流検出部、8 電圧検出部、9 回転速度検出部、10 油圧検出部、100 駆動システム、A,B 制御マップ。