(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119456
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】ナビゲーション装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20240827BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20240827BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G01C21/36
G09B29/10 A
G09B29/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026366
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】新内 悟
(72)【発明者】
【氏名】岡庭 勘一
(72)【発明者】
【氏名】加納 尚幸
(72)【発明者】
【氏名】田替藤 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】奥田 知之
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
【Fターム(参考)】
2C032HC31
2C032HD07
2C032HD16
2C032HD17
2C032HD21
2F129AA03
2F129BB02
2F129CC15
2F129CC16
2F129DD29
2F129DD40
2F129EE02
2F129EE43
2F129EE45
2F129EE52
2F129EE69
2F129EE73
2F129EE90
2F129EE91
2F129HH12
(57)【要約】
【課題】デモ走行時及び実際の走行時において、円滑な経路案内を行うことができるナビゲーション装置及び方法を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置100は、地図情報において目的地までの経路を探索し、前記経路上の1つ以上の特徴地点を抽出する特徴地点抽出部171と、仮想移動体を前記経路に沿ってデモ走行させる場合に、当該仮想移動体が各特徴地点に接近した場合に、各特徴地点に関連付けられたデモ音を再生するデモ音再生部1721と、移動体が前記経路を移動する実走行の場合に、移動体の現在位置情報を取得し、前記現在位置情報と前記目的地に基づいて、目的地までの経路案内を行う経路案内部173と、前記移動体の現在位置が前記特徴地点に接近した場合、前記特徴地点に関連付けられた、前記デモ音と実質的に同一である、実走行時音を再生する実走行時音再生部1731と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報において目的地までの経路を探索し、前記経路上の1つ以上の特徴地点を抽出する特徴地点抽出部と、
仮想移動体を前記経路に沿ってデモ走行させる場合に、当該仮想移動体が各特徴地点に接近した場合に、各特徴地点に関連付けられたデモ音を再生するデモ音再生部と、
移動体が前記経路を移動する実走行の場合に、移動体の現在位置情報を取得し、前記現在位置情報と前記目的地に基づいて、目的地までの経路案内を行う経路案内部と、
前記移動体の現在位置が前記特徴地点に接近した場合、前記特徴地点に関連付けられた、前記デモ音と実質的に同一である、実走行時音を再生する実走行時音再生部と、を備える、ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記デモ音と前記実走行時音は、前記特徴地点の属性に応じて関連付けられ、かつ、互いに異なる再生時間を有する、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記デモ音再生部は、前記仮想移動体を前記経路に沿ってデモ走行させる場合に、前記仮想移動体が前記経路上の第2特徴地点のひとつ手前の第1特徴地点を通過した時に、前記第2特徴地点に関連付けられたデモ音を再生し始め、
前記実走行時音再生部は、前記移動体の実走行の際に、前記移動体の現在位置から前記第2特徴地点までの予測到達時間又は予測距離を算出し、算出された前記予測到達時間又は予測距離が閾値未満の場合に、実走行時音を再生するように構成されている、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記デモ音再生部は、前記デモ走行時において、
前記特徴地点が前記経路における右左折地点ではない場合には、前記特徴地点が前記経路上の右側または左側のいずれに存在するかに基づいて音像定位を決定してデモ音を出力し、
前記特徴地点が前記経路における右左折地点である場合には、前記特徴地点が前記経路における右折地点か、それとも左折地点かに基づいて音像定位を決定して、デモ音を出力するように構成されている、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
コンピュータが、
地図情報において目的地までの経路を探索し、前記経路上の1つ以上の特徴地点を抽出し、
仮想移動体を前記経路に沿ってデモ走行させる場合に、当該仮想移動体が各特徴地点に接近した場合に、各特徴地点に関連付けられたデモ音を再生し、
移動体が前記経路を移動する実走行の場合に、移動体の現在位置情報を取得し、前記現在位置情報と前記目的地に基づいて、目的地までの経路案内を行い、
前記移動体の現在位置が前記特徴地点に接近した場合、前記特徴地点に関連付けられた、前記デモ音と実質的に同一である、実走行時音を再生する、ナビゲーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ナビゲーション装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デモ走行時に、経路上にある施設や交通法規上重要な地物のイメージ画像やテキスト情報などを表示することで、ユーザが事前にルートの特徴を理解し、見どころを把握しておくことができる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、デモ走行を行っているナビゲーション装置の画面を注視しつづける必要があり、走行距離が長くなるほど、長時間のデモ走行を注視しつづけるのは面倒である。また、デモ走行時のイメージ画像上の対象と、運転者が実際に経路から目視する対象と、が異なって見える場合もあり、実際に走行を行う際に運転者が当該対象に気付かず、運転者が事前にルートの特徴を理解していても、実際に走行する際には役に立たない場合がある。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、デモ走行時及び実際の走行時において、円滑な経路案内を行うことができるナビゲーション装置及び方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態では、地図情報において目的地までの経路を探索し、前記経路上の1つ以上の特徴地点を抽出する特徴地点抽出部と、仮想移動体を前記経路に沿ってデモ走行させる場合に、当該仮想移動体が各特徴地点に接近した場合に、各特徴地点に関連付けられたデモ音を再生するデモ音再生部と、移動体が前記経路を移動する実走行の場合に、移動体の現在位置情報を取得し、前記現在位置情報と前記目的地に基づいて、目的地までの経路案内を行う経路案内部と、前記移動体の現在位置が前記特徴地点に接近した場合、前記特徴地点に関連付けられた、前記デモ音と実質的に同一である、実走行時音を再生する実走行時音再生部と、を備える、ナビゲーション装置を提供する。
【0007】
また、一実施の形態では、コンピュータが、地図情報において目的地までの経路を探索し、前記経路上の1つ以上の特徴地点を抽出し、仮想移動体を前記経路に沿ってデモ走行させる場合に、当該仮想移動体が各特徴地点に接近した場合に、各特徴地点に関連付けられたデモ音を再生し、移動体が前記経路を移動する実走行の場合に、移動体の現在位置情報を取得し、前記現在位置情報と前記目的地に基づいて、目的地までの経路案内を行い、
前記移動体の現在位置が前記特徴地点に接近した場合、前記特徴地点に関連付けられた、前記デモ音と実質的に同一である、実走行時音を再生する、ナビゲーション方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
一実施の形態によれば、デモ走行時及び実際の走行時において、円滑な経路案内を行うことができるナビゲーション装置及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】いくつかの実施の形態に係るナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】いくつかの実施の形態に係る経路案内の例を説明する図である。
【
図3】いくつかの実施の形態に係る特徴地点と関連付けられた音情報の例を説明する図である。
【
図4】いくつかの実施の形態に係るデモ走行時のナビゲーション方法を示すフローチャートである。
【
図5】他の実施の形態に係るデモ走行時のナビゲーション方法を示すフローチャートである。
【
図6】いくらかの実施の形態に係る実走行時のナビゲーション方法を示すフローチャートである
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略される。
【0011】
(実施の形態の概要)
本実施形態によるナビゲーション装置100は、四輪車や二輪車などの移動体が実際に道路を走行する前などに、目的地までの経路を予習(すなわち、シミュレーション)する場合に用いることができる。こうした走行は、デモ走行とも呼ばれる。また、ナビゲーション装置100は、例えば、デモ走行後に、移動体が実際に目的地まで道路を走行する場合の経路案内にも使用され得る。
【0012】
本開示では、デモ走行時に運転者がルートの特徴を理解していても、実際に走行する際には役に立たない場合があるという問題に対して、同一の対象(特徴地点とも呼ばれる)であることを運転者に想起させるために実質的に同一の音(すなわち、聴覚)を利用する。こうすることで、デモ走行時に対象をより印象付けて記憶させることができ、また、実際の走行時において、運転者は、特徴地点(例えば、曲がり角や交差点)を間違えずに、運転することができるようになる。
【0013】
特徴地点は、曲がり角、交差点、踏切、橋、店舗、建物、施設、駐車場など、運転者が記憶すべき場所を含み得る。特徴地点は、特に、運転者がハンドルやブレーキ、アクセル等の移動体の操作部を操作する必要がある場所(例えば、曲がり角、交差点、下り坂、上り坂など)であってもよい。特徴地点は、実走行時に運転者が気を付けて運転する必要がある、事故多発地点や凍結しやすい地点であってもよい。各特徴地点には、特定の音楽を関連付けることができる。例えば、コンビニエンスストア、レストランやショッピングモールなどの店舗の場合、その企業のコマーシャルソングやジングル、サウンドロゴなどを用いることができる。
【0014】
なお、音楽は、リズム、旋律、和声を基本要素とするものであり、拍子、節、音色、和声などに基づき種々の形式に曲を組み立て、奏することをいう。また、和声とは、ある和音や調から次の和音や調への移行するやり方や相互関係をいう。本開示では、デモ走行時には、こうした音楽の特徴を利用して、対象や特徴地点を印象的に記憶させ、また、実走行時には、同一の対象や特徴地点に関連付けて、実質的に同一な音楽を再生することで、デモ時と同一の対象や特徴地点を想起させることができる。
【0015】
デモ走行時の経路案内は、実走行時の経路案内にかかる時間よりも短縮されたダイジェスト版であり得る。したがって、デモ走行時の経路案内において特徴地点に関連付けたデモ音情報と、実走行時の経路案内において当該特徴地点に関連付けた実走行時の音情報も、基本的には、再生する時間の長さが異なり得る。ここで、「実質的に同一な音楽」とは、デモ音と実走行時音が完全に同一である場合、デモ音が実走行時音の一部に含まれて異なる再生時間を有する場合、実走行時音がデモ音の一部に含まれて異なる再生時間を有する場合、デモ音と実走行時音とが同一の曲又は音楽の一部であるが異なる再生時間を有する場合、ジングルなどの短い音楽が繰り返し再生されることで異なる再生時間を有する場合、デモ音と実走行時音とが同一の曲であるが、演奏者、曲調、楽器の種類や歌唱者が異なる場合などをいう。すなわち、「実質的に同一な音楽」は、デモ走行時の対象や特徴地点と、実走行時の対象や特徴地点とが同一であることを運転者に想起させる程度の同一性を有すればよい。
【0016】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して実施の形態1について説明する。
図1は、本実施の形態に係るナビゲーション装置の構成例を示す。
図1に示すように、ナビゲーション装置100は、位置情報取得部120、記憶部150、制御部170、表示部180、スピーカ190を備えている。また、ナビゲーション装置100を搭載する車両等には、ナビゲーション装置100の他に、GNSS受信機121が搭載されている。例えば、ナビゲーション装置100は、GNSS受信機121とともに、ナビゲーションシステム1を構成する。
【0017】
なお、
図1の各構成は、一例であり、本実施の形態に係る動作が可能であれば、その他の構成であってもよい。ナビゲーション装置100の内部または外部に示した各構成は、それぞれ一つのブロックまたは装置としてもよいし、必要に応じてそれぞれ複数のブロックまたは装置としてもよい。ナビゲーション装置100の外部に示した構成の一部を、ナビゲーション装置100の内部に備えてもよいし、ナビゲーション装置100の内部に示した構成の一部を、ナビゲーション装置100の外部に備えてもよい。
【0018】
まず、ナビゲーション装置100の外部に示した構成について説明する。
GNSS受信機121は、移動体の現在位置を検出する位置検出部である。GNSS受信機121は、GNSS(Global Navigation Satellite System)の衛星からの電波を受信し、受信した電波に基づいて現在の移動体の位置(例えば、経度および緯度)を検出する。GNSS受信機121は、スマートフォンなどの汎用的なGNSS受信機でもよく、例えば、運転者が所持する端末に搭載されたGNSS受信機等を利用してもよい。
【0019】
次に、ナビゲーション装置100の内部に示した各部について説明する。
位置情報取得部120は、GNSS受信機121から、移動体の現在位置情報を取得する。
【0020】
記憶部150は、ナビゲーション装置100の動作に必要なプログラムやデータを記憶する。例えば、記憶部150は、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリやハードディスク装置等である。この例では、記憶部150は、地図情報データベース151と音情報データベース155を含み得る。
【0021】
地図情報データベース151は、ナビゲーション用の地図情報を記憶する。地図情報は、表示及び経路探索のための地図及び道路の情報に加えて、特徴地点151a、b、c・・・を含み得る。地図情報データベース151は、特徴地点情報記憶部でもある。特徴地点情報は、曲がり角、交差点、踏切、橋、店舗、建物、施設、駐車場など、運転者が記憶すべき場所を含み得る。また、特徴地点は、特に、運転者がハンドルやブレーキ、アクセル等の移動体の操作部を操作する必要がある場所(例えば、曲がり角、交差点、下り坂、上り坂など)であってもよい。特徴地点は、運転者の操作により、任意選択的に追加してもよい。
【0022】
音情報データベース155は、前述した特徴地点に関連付けて音情報を記憶する。音情報は、デモ走行時には、運転者が特徴地点を記憶するのを、実走行時には、当該特徴地点の記憶をよみがえらせるのを助けることができる。デモ走行時の経路案内は、実走行時の経路案内にかかる時間よりも短縮されたダイジェスト版である。そのため、デモ走行時の経路案内において特徴地点に関連付けたデモ音情報と、実走行時の経路案内において当該特徴地点に関連付けた実走行時の音情報も、基本的には、時間長さにおいて異なる。本例では、音情報データベース155は、デモ音155a、b、c・・・と、実走行時音156a、b、c・・・と、を含み得る。特徴地点151aは、デモ音155aと実走行時音156aに関連付けられている。特徴地点151bは、デモ音155bと実走行時音156bに関連付けられている。他の特徴地点も、同様に、デモ音と実走行時音に関連付けられている。音情報は、特徴地点に関連付けて、運転者の操作により、任意選択的に追加してもよい。音情報は、事前に、デモ走行時、又はデモ走行後において、特徴地点の属性(例えば、急カーブ、下り坂、店舗など)に関連付けて、運転者の操作により、任意選択的に追加してもよい。音情報と特徴地点との関連付けは、特徴地点の属性や内容に応じて、自動的に行なってもよい。特徴地点と音情報の詳細は、後述する。
【0023】
制御部170は、ナビゲーション装置100の各部の動作を制御する制御部である。例えば、記憶部150に記憶されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで実行することで、制御部170の機能が実現される。この例では、制御部170は、特徴地点抽出部171、デモ経路案内部172、経路案内部173を含む。デモ経路案内部172はデモ音再生部1721及び音像定位部1722を更に含む。経路案内部173は、実走行時音再生部1731及び音像定位部1732を更に含む。
【0024】
特徴地点抽出部171、及びデモ経路案内部172は、デモ経路案内に必要な機能を提供する。特徴地点抽出部171、及び経路案内部173は、実走行時の経路案内に必要な機能を提供する。
【0025】
特徴地点抽出部171は、運転者の入力に応じて、出発点(又は現在位置)及び目的地を設定すると、目的地までの経路を探索し、1つ以上の経路上の特徴地点を抽出する。デモ経路案内部172は、地図情報データベース151を参照し、目的地までの経路と特徴地点を案内する。デモ走行では、仮想移動体を経路に沿って移動させるシミュレーション走行を行い、目的地までの経路を実際に走行する以前に、運転者に経路の特徴を表示して経路の特徴を理解させる。仮想移動体は、例えば、表示された地図上では矢印(
図2の5)や車両を模したアイコン等で示される。デモ経路案内部172は、デモ音再生部1721と、音像定位部1722と、を含む。仮想移動体が、実際の地点Aに対応する特徴地点151aに接近した場合、デモ音再生部1721は、特徴地点151aに関連付けられたデモ音155aを、スピーカ190を介して再生する。音像定位部1722は、仮想移動体に対する特徴地点の位置に応じて、デモ音の音像定位を決定する。これにより、特徴地点151aをデモ音155aに関連付けて運転者に印象付け、運転者にルートの特徴をより鮮明に理解した形で記憶させることができる。デモ走行は、仮想移動体が目的地に達するまで継続し、仮想移動体が各特徴地点に接近するたびに、各特徴地点に関連付けられたデモ音を再生する。
【0026】
経路案内部173は、運転者が目的地までの経路を実際に走行する際に、基本的には、デモ経路案内部172で案内した経路に沿って、位置情報取得部120が取得する移動体の現在の位置情報に応じて経路を案内する。経路案内部173は、実走行時音再生部1731と、音像定位部1732と、を更に含んでもよい。実走行時音再生部1731は、目的地までの経路を走行中に移動体の現在位置が特徴地点151a付近に達した場合、特徴地点151aに関連付けられた、デモ音155aと実質的に同一の実走行時音156aを、スピーカ190を介して再生する。実走行は、移動体が目的地に達するまで継続し、移動体が各特徴地点に接近するたびに、各特徴地点に関連付けられた実走行時音を再生する。音像定位部1732は、移動体の位置に対する特徴地点の位置に応じて、実走行時音156aの音像定位を決定する。運転者は、経路案内部173によるナビゲーションにしたがって運転することで、特徴地点を正しく認識でき、円滑に運転することができる。
【0027】
表示部180は、カーナビゲーションの地図情報やGUIを表示する表示装置である。例えば、表示部180は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。表示部180は、特徴地点抽出部171が設定した特徴地点、目的地や経路案内部172が探索及び案内する経路を表示する。
【0028】
図2は、経路案内の例を説明する図である。こうした経路案内は、ナビゲーション装置100の表示部180に表示される。デモ走行時の仮想移動体又は実走行時の移動体の現在位置及び向きは、三角矢印で示される。また、現在位置から目的地6までの経路が表示され、経路上の特徴地点A~Gも表示される。移動体が各特徴地点に接近した場合に、各特徴地点に関連付けられた音を再生する。なお、経路案内のインターフェースは様々な変形が可能であり、例えば、広域画面、3D画面及び詳細画面を表示してもよい。
【0029】
図3は、特徴地点と関連付けられた音情報の例を説明する図である。
図3には、特徴地点の属性と、特徴地点に関連付けられた音情報と、音像定位が示されている。例えば、特徴地点Aの属性は、コンビニエンスストアであるので、音情報は、コンビニエンスストアに関連付けられた、コンビニエンスストア企業のコマーシャルソングである。また、特徴地点Aのコンビニエンスストアは、経路の移動体の位置から右側に位置するので、音像定位は、右側に定められている。こうした音情報を用いることで、デモ走行時には、運転者は、表示部180の画面を注視しなくても、経路上の右側にあるコンビニエンスストアを通過することを記憶することができる。また、実走行時には、運転者は、移動体がコンビニエンスストアに接近したときに、コンビニエンスストアのコマーシャルソングが流れてくることで、移動体のすぐ近くにコンビニエンスストアがあることに思い出すことができる。
【0030】
また、特徴地点B~D、F、Gは、運転者が移動体の操作部に対して操作を必要とする場所である。この場合、特徴地点の属性に応じて、同一の音を再生してもよい。特徴地点Bと特徴地点Gは同じ交差点右折であるので、音像定位を右前方とする、右折すべき交差点に関連付けられたジングルAを再生する。また、特徴地点Dは、下り坂であるので、運転者にブレーキ操作が必要であることを想起させるため、音像定位を前方とし、下り坂に関連付けられたジングルCを再生する。また、下り坂の傾斜がきつくなるほど、ジングルCの再生音量を大きくしてもよい。特徴地点Fについては、左カーブが大きくなるほど、ジングルDの再生音量を大きくしてもよい。これにより、運転者は、必要な操作を音として認識することができる。なお、これらの音像定位は、例示であり、様々な変形が可能である。例えば、音像定位は、仮想移動体または移動体の位置から見た、特徴地点の相対的な位置にしてもよい。
【0031】
図4は、デモ走行時のナビゲーション方法を示すフローチャートである。
特徴地点抽出部171は、運転者の入力に応じて、出発点(又は現在位置)及び目的地を設定すると、目的地までの経路を探索し、1つ以上の経路上の特徴地点を抽出する(ステップS100)。デモ経路案内部172は、例えば、実際に移動体が運転者により運転される前に、運転者の入力を受け付けて、仮想移動体(
図2では矢印5)を経路に沿ってデモ走行させる(ステップS101)。デモ走行は、表示部180に表示される。デモ音再生部1721は、仮想移動体が特徴地点(例えば、
図2ではA~G)に接近すると(ステップS102)、各特徴地点に関連付けられたデモ音を再生する(ステップS103)。例えば、仮想移動体が、特徴地点より所定距離以内に進行した場合に、当該特徴地点に関連付けられたデモ音を再生してもよい。
図5に示す他の実施形態では、仮想移動体が経路上の第2特徴地点(例えば、B)のひとつ手前の第1特徴地点(例えば、A)を通過した時に(ステップS202でYes)、第2特徴地点(例えば、B)に関連付けられたデモ音(例えば、ジングルA)を再生し始めてもよい(ステップS203)。すなわち、第2特徴地点(例えば、B)に関連付けられたデモ音(例えば、ジングルA)の再生は、仮想移動体が経路上の第1特徴地点(例えば、A)を通過してから第2特徴地点(例えば、B)を通過するまで、継続する。これにより、デモ走行時に、第1特徴地点(例えば、A)のあとに第2特徴地点(例えば、B)があり、第2特徴地点では、所定の運転操作(例えば、交差点右折)が必要であることを運転者に視覚及び聴覚を通じて印象的に記憶させることができる。また、いくつかの実施形態では、音像定位部1722は、仮想移動体に対する特徴地点の位置(例えば、移動体の右側)に応じて、音像定位を決定し、デモ音(例えば、特徴地点Bに関連付けられたジングルA)を再生してもよい。他の実施形態では、特徴地点が前記経路における右左折地点ではない場合には、特徴地点が経路上の右側または左側のいずれに存在するかに基づいて音像定位を決定してデモ音を出力し、抽出した特徴地点が経路における右左折地点である場合には、特徴地点が前記経路における右折地点か、それとも左折地点かに基づいて音像定位を決定して、デモ音を出力することができる。こうしたデモ音の出力は、仮想移動体が目的地に達するまで継続する(ステップS104、S204)。なお、デモ走行では、時間短縮のため、仮想移動体は、通常の制限速度を超えて、走行され得る。
【0032】
図6は、実走行時のナビゲーション方法を示すフローチャートである。
経路案内部173は、運転者の入力に応じて、デモ走行で使用した経路にしたがった実走行の経路案内を開始する(ステップS300)。次いで、経路案内部173は、GNSS受信機121及び位置情報取得部120を介して、移動体の現在位置(例えば、
図2の移動体の現在位置)を取得する。また、経路案内部173は、移動体の移動速度に基づいて、現在位置から次の特徴地点までの予測到達時間を算出する(ステップS301)。実走行時音再生部1731は、次の特徴地点(例えば、
図2のA)までの予測到達時間が閾値未満となった場合(ステップS302でYes)、当該特徴地点(例えば、
図2のA)に関連付けられた音を再生し始める(ステップS303)。すなわち、当該特徴地点(例えば、
図2のA)に関連付けられた音の再生は、次の特徴地点(例えば、
図2のA)までの予測到達時間が閾値未満となった後、移動体が当該特徴地点(例えば、
図2のA)を通過するまで、継続する。こうした実走行時音の再生は、目的地に達するまで継続する(ステップS304)。
【0033】
なお、実走行における音の再生開始のタイミングは、移動体の現在位置から特徴地点までの予測距離が閾値未満(例えば、特徴地点まで100m)になった場合としてもよい。
【0034】
なお、デモ走行時と異なり、実走行においては、長時間の音楽再生による冗長を回避するため、移動体が経路上の第2特徴地点(例えば、B)のひとつ手前の第1特徴地点(例えば、A)を通過した時に、第2特徴地点(例えば、B)に関連付けられたデモ音の再生を開始しない。すなわち、実走行では、第2特徴地点(例えば、B)に関連付けられたデモ音(例えば、ジングルA)の再生は、仮想移動体が経路上の第1特徴地点(例えば、A)を通過してから第2特徴地点(例えば、B)を通過するまで継続するのは、冗長である。そのため、本実施形態では、上記したように、予測到達時間を算出し、予測到達時間に基づいて、実走行時音の再生開始タイミングを定めている。
【0035】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0036】
上述の実施形態における各構成は、ハードウェア又はソフトウェア、もしくはその両方によって構成され、1つのハードウェア又はソフトウェアから構成してもよいし、複数のハードウェア又はソフトウェアから構成してもよい。各装置の機能(処理)を、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等を有するコンピュータにより実現してもよい。例えば、記憶装置に実施形態における方法を行うためのプログラムを格納し、各機能を、記憶装置に格納されたプログラムをCPUで実行することにより実現してもよい。
【0037】
これらのプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【符号の説明】
【0038】
1 ナビゲーションシステム
100 ナビゲーション装置
120 位置情報取得部
121 GNSS受信機
150 記憶部
151 地図情報データベース
155 音情報データベース
160 入力部
170 制御部
171 特徴地点抽出部
172 デモ経路案内部
1721 デモ音再生部
1722 音像定位部
173 経路案内部
1731 実走行時音再生部
1732 音像定位部
180 表示部
190 スピーカ