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特開2024-119468放射線検出器、トリガ信号生成器および放射線分析システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119468
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】放射線検出器、トリガ信号生成器および放射線分析システム
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/17 20060101AFI20240827BHJP
   G01T 7/00 20060101ALI20240827BHJP
   H04N 23/30 20230101ALI20240827BHJP
   H04N 25/30 20230101ALI20240827BHJP
   G01N 23/205 20180101ALI20240827BHJP
   G01N 23/04 20180101ALI20240827BHJP
【FI】
G01T1/17 A
G01T7/00 A
H04N23/30
H04N25/30
G01N23/205
G01N23/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026382
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000250339
【氏名又は名称】株式会社リガク
(74)【代理人】
【識別番号】110004107
【氏名又は名称】弁理士法人Kighs
(74)【代理人】
【識別番号】100125391
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 保孝
(72)【発明者】
【氏名】中江 保一
(72)【発明者】
【氏名】作村 拓人
【テーマコード(参考)】
2G001
2G188
5C024
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001BA18
2G001CA01
2G001DA09
2G001HA13
2G001JA11
2G001PA11
2G188AA03
2G188AA27
2G188BB02
2G188BB04
2G188BB05
2G188BB06
2G188BB09
2G188CC28
2G188CC32
2G188DD04
2G188DD05
2G188EE01
2G188EE12
2G188EE25
2G188EE29
5C024CY16
5C024GY31
5C024JX41
(57)【要約】
【課題】露光や読み出しの信号によらないトリガアウト信号を生成することで、放射線検出に対し高い精度かつ高い効率で外部の回路を同期させることができる放射線検出器、トリガ信号生成器および放射線分析システムを提供する。
【解決手段】露光により放射線の粒子が検出されたときにパルスを発生させるセンサ110と、パルスをフレームごとに計数可能に設けられたカウンタ140と、カウンタ140でなされた計数値を読み出す読み出し回路150と、露光および読み出しを信号により制御する制御回路160と、HighまたはLowの区間が設定される1枚または一連の所定枚数のフレームを1単位のフレームと表したとき、前記設定されたHighおよびLowの区間を特定するトリガアウト信号を生成するトリガ信号生成回路170と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の回路との同期のためのトリガアウト信号を生成する放射線検出器であって、
露光により放射線の粒子が検出されたときにパルスを発生させるセンサと、
前記パルスをフレームごとに計数可能に設けられたカウンタと、
前記カウンタでなされた計数値を読み出す読み出し回路と、
前記露光および前記読み出しを信号により制御する制御回路と、
HighまたはLowの区間が設定される1枚または一連の所定枚数のフレームを1単位のフレームと表したとき、前記設定されたHighおよびLowの区間を特定するトリガアウト信号を生成するトリガ信号生成回路と、を備えることを特徴とする放射線検出器。
【請求項2】
前記HighおよびLowの区間の始点または終点は、前記1単位のフレームの露光時間の立ち上がりおよび立ち下がりの一方、または前記1単位のフレームの読み出し時間の立ち上がりおよび立ち下がりの一方で設定されることを特徴とする請求項1記載の放射線検出器。
【請求項3】
前記HighおよびLowの区間は、それぞれ前記1単位のフレームの読み出し時間を含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載の放射線検出器。
【請求項4】
前記HighおよびLowの区間は、前記1単位のフレームの露光時間の立ち上がりでいずれかに設定され、同一測定で一定であることを特徴とする請求項3記載の放射線検出器。
【請求項5】
1枚のフレームの露光時間が、1000μsec以下であることを特徴とする請求項3記載の放射線検出器。
【請求項6】
前記カウンタは、複数設けられ、
前記制御回路は、前記トリガアウト信号を発生させるタイミングで、複数の前記カウンタのうち前記パルスを計数するカウンタと前記計数値が読み出されるカウンタとを切り換え、連続露光を行なうことを特徴とする請求項1または請求項2記載の放射線検出器。
【請求項7】
前記1単位のフレームは、1枚のフレームであり、
前記トリガ信号生成回路は、各フレームの露光時間の立ち上がりごとにHighおよびLowの区間が規定されるトリガアウト信号を生成することを特徴とする請求項6記載の放射線検出器。
【請求項8】
前記HighおよびLowの区間は、前記1単位のフレームの読み出し時間を含まず、前記1単位のフレームの露光時間の立ち上がりおよび立ち下がりで設定され、測定ごとに一定であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の放射線検出器。
【請求項9】
前記露光および前記読み出しのタイミングの設定を所定のモードの間で切り換えるモード切換え回路をさらに備え、
前記制御回路は、前記所定のモードに応じて前記露光および前記読み出しを信号により制御し、
前記トリガ信号生成回路は、前記所定のモードに応じてHighおよびLowの区間が規定されるトリガアウト信号を生成することを特徴とする請求項1または請求項2記載の放射線検出器。
【請求項10】
露光により放射線の粒子が検出されたときに発生したパルスをフレームごとに計数する放射線検出器に対し、外部の回路が同期するためのトリガアウト信号を生成するトリガ信号生成器であって、
放射線検出器に接続され、HighまたはLowの区間が設定される1枚または一連の所定枚数のフレームを1単位のフレームと表したとき、前記設定されたHighおよびLowの区間を特定するトリガアウト信号を生成することを特徴とするトリガ信号生成器。
【請求項11】
フレームごとに放射線強度分布を取得する放射線分析システムであって、
請求項1または請求項2記載の放射線検出器と、
前記放射線検出器により生成されるトリガアウト信号に同期して動作する同期回路と、を備えることを特徴とする放射線分析システム。
【請求項12】
フレームごとに放射線強度分布を取得する放射線分析システムであって、
請求項10記載のトリガ信号生成器と、
前記トリガ信号生成器に接続される放射線検出器と、
前記トリガ信号生成器により生成されるトリガアウト信号に同期して動作する同期回路と、を備えることを特徴とする放射線分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部の回路との同期のためのトリガアウト信号を生成する放射線検出器、トリガ信号生成器およびそれらを備える放射線分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部装置の制御信号を用い、放射線検出器の露光との同期をとる技術が知られている(非特許文献1参照)。例えば、非特許文献1記載のシステムでは、連続スキャン時に、計算された軌道に基づいて、規則的な間隔の各位置を試料が通過するときにトリガーパルスを生成し、最大9kHzでタイコグラフィックデータセットを記録している。このように外部装置の制御信号を同期信号として用いる場合もあれば、放射線検出器の露光時間の開始および終了を特定する信号を同期信号として用いる場合もある。
【0003】
しかし、近年、様々な方法で露光を行う放射線検出器が開発されている。例えば、連続露光(ゼロデッド)やバーストのような特殊なモードでの撮像が知られている(特許文献1、非特許文献2参照)。特許文献1記載の放射線検出器は、複数のカウンタのうちパルスを計数するカウンタを切り換え、連続露光を行っている。非特許文献2記載の放射線検出器は、14bitのカウンタを2つもつピクセルを用いて2bitのフレーム14枚を高速に連続に測定し、まとめて28bitで読み出している。
【0004】
また、イタラティブモード等での高速露光による撮像も知られている(特許文献2参照)。特許文献2記載の放射線検出器は、放射線の粒子が検出されたときにセンサで発生させたパルスを2つのカウンタがそれぞれの閾値で計数したカウント値を切換え回路を用いて読み出している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“High-speed X-ray ptychographic tomography”, Darren Batey, Christoph Rau & Silvia Cipiccia, Scientific Reports, 12 May 2022
【非特許文献2】“Sub-microsecond-resolved multi-speckle X-ray photon correlation spectroscopy with a pixel array detector”, Qingteng Zhang, Eric M. Dufresne, Suresh Narayanan, Piotr Maj, Anna Koziol, Robert Szczygiel, Pawel Grybos, Mark Sutton and Alec R. Sandy, Journal of Synchrotron Radiation (2018). 25, 1408-1416
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6182758号公報
【特許文献2】特許第7088555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば連続露光またはバーストのような特殊なモードでの撮像を行う場合には、一連のフレームの測定中に露光時間はHighを維持したままであり、露光時間の開始および終了を特定する信号を外部装置との同期信号として使えない。また、高速露光による撮像では、露光時間が短すぎて露光時間の開始および終了を特定する信号を同期信号として検知できない。このように露光時間の開始および終了を特定する信号をそのまま同期信号として使うと、外部装置との同期がとり難い場合がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、露光や読み出しの信号によらないトリガアウト信号を生成することで、放射線検出に対し高い精度かつ高い効率で外部の回路を同期させることができる放射線検出器、トリガ信号生成器および放射線分析システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記の目的を達成するため、本発明の放射線検出器は、外部の回路との同期のためのトリガアウト信号を生成する放射線検出器であって、露光により放射線の粒子が検出されたときにパルスを発生させるセンサと、前記パルスをフレームごとに計数可能に設けられたカウンタと、前記カウンタでなされた計数値を読み出す読み出し回路と、前記露光および前記読み出しを信号により制御する制御回路と、HighまたはLowの区間が設定される1枚または一連の所定枚数のフレームを1単位のフレームと表したとき、前記設定されたHighおよびLowの区間を特定するトリガアウト信号を生成するトリガ信号生成回路と、を備えることを特徴としている。
【0010】
(2)また、(1)記載の放射線検出器において、前記HighおよびLowの区間の始点または終点は、前記1単位のフレームの露光時間の立ち上がりおよび立ち下がりの一方、または前記1単位のフレームの読み出し時間の立ち上がりおよび立ち下がりの一方で設定されることを特徴としている。
【0011】
(3)また、(1)または(2)記載の放射線検出器において、前記HighおよびLowの区間は、それぞれ前記1単位のフレームの読み出し時間を含むことを特徴としている。
【0012】
(4)また、(3)記載の放射線検出器において、前記HighおよびLowの区間は、前記1単位のフレームの露光時間の立ち上がりでいずれかに設定され、同一測定で一定であることを特徴としている。
【0013】
(5)また、(3)記載の放射線検出器において、1枚のフレームの露光時間が、1000μsec以下であることを特徴としている。
【0014】
(6)また、(1)から(5)のいずれかに記載の放射線検出器において、前記カウンタは、複数設けられ、前記制御回路は、前記トリガアウト信号を発生させるタイミングで、複数の前記カウンタのうち前記パルスを計数するカウンタと前記計数値が読み出されるカウンタとを切り換え、連続露光を行なうことを特徴としている。
【0015】
(7)また、(6)記載の放射線検出器において、前記1単位のフレームは、1枚のフレームであり、前記トリガ信号生成回路は、各フレームの露光時間の立ち上がりごとにHighおよびLowの区間が規定されるトリガアウト信号を生成することを特徴としている。
【0016】
(8)また、(1)から(7)のいずれかに記載の放射線検出器において、前記HighおよびLowの区間は、前記1単位のフレームの読み出し時間を含まず、前記1単位のフレームの露光時間の立ち上がりおよび立ち下がりで設定され、測定ごとに一定であることを特徴としている。
【0017】
(9)また、(1)から(8)のいずれかに記載の放射線検出器において、前記露光および前記読み出しのタイミングの設定を所定のモードの間で切り換えるモード切換え回路をさらに備え、前記制御回路は、前記所定のモードに応じて前記露光および前記読み出しを信号により制御し、前記トリガ信号生成回路は、前記所定のモードに応じてHighおよびLowの区間が規定されるトリガアウト信号を生成することを特徴としている。
【0018】
(10)また、本発明のトリガ信号生成器において、露光により放射線の粒子が検出されたときに発生したパルスをフレームごとに計数する放射線検出器に対し、外部の回路が同期するためのトリガアウト信号を生成するトリガ信号生成器であって、放射線検出器に接続され、HighまたはLowの区間が設定される1枚または一連の所定枚数のフレームを1単位のフレームと表したとき、前記設定されたHighおよびLowの区間を特定するトリガアウト信号を生成することを特徴としている。
【0019】
(11)また、本発明の放射線分析システムにおいて、フレームごとに放射線強度分布を取得する放射線分析システムであって、(1)から(9)のいずれかに記載の放射線検出器と、前記放射線検出器により生成されるトリガアウト信号に同期して動作する同期回路と、を備えることを特徴としている。
【0020】
(12)また、本発明の放射線分析システムにおいて、フレームごとに放射線強度分布を取得する放射線分析システムであって、(10)記載のトリガ信号生成器と、前記トリガ信号生成器に接続される放射線検出器と、前記トリガ信号生成器により生成されるトリガアウト信号に同期して動作する同期回路と、を備えることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】主に第1実施形態の放射線検出器の構成を示す概略図である。
図2】主に第1実施形態の放射線検出器の動作を示すフローチャートである。
図3】連続露光の動作をもとにトリガアウト信号を生成する場合のタイミングチャートである。
図4】(a)、(b)それぞれ従来および本発明のタイコグラフィの測定方法を示す概略図である。
図5】(a)、(b)それぞれ外部同期回路のサンプリング周期に対しトリガアウト信号の周期が長い場合と短い場合の波形再現を示す概略図である。
図6】連続露光をしない場合のトリガアウト信号を示すタイミングチャートである。
図7】第2実施形態の放射線検出器の構成を示す概略図である。
図8】イタラティブモードの動作を示すタイミングチャートである。
図9】バーストモードの動作を示すタイミングチャートである。
図10】第3実施形態の放射線分析システムの構成を示す平面図である。
図11】第4実施形態の放射線分析システムの構成を示す側面図である。
図12】第5実施形態の放射線分析システムの構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0023】
[第1実施形態]
(放射線検出器の構成)
図1は、主に放射線検出器100の構成を示す概略図である。放射線検出器100は、外部同期回路210との同期のためのトリガアウト信号を生成しつつ、放射線を検出する検出器である。放射線検出器100は、2次元のデータバッファ機能を持つ半導体検出器であることが好ましい。検出対象となる放射線は、X線である場合に機能を発揮しやすいが、これに限定されずα線、β線、γ線、中性子線等であってもよい。なお、放射線検出器100は、1次元検出器であってもよい。
【0024】
外部同期回路210は、放射線検出器100が生成するトリガアウト信号に対し、所定のサンプリングレートで同期をとる回路である。外部同期回路210には、例えばタイコグラフィ用の放射線照射系や試料支持機構などを接続し、放射線の照射位置を補正することができる。外部同期回路210は、トリガイン信号を発信し、放射線検出器100による測定を開始させることができる。例えば、シャッター動作の信号がトリガイン信号である。放射線検出器100および外部同期回路210は、放射線分析システム200を構成する。
【0025】
図1に示すように、放射線検出器100は、センサ110、検出回路120、切換え回路130、第1、第2のカウンタ140a、140b、読み出し回路150、制御回路160、トリガ信号生成回路170およびモード切換え回路180を備えている。
【0026】
センサ110は、露光により放射線の粒子が検出されたときにパルスを発生させる。センサ110は、受光面に入射するX線束の強度を、面情報として検出できる。なお、図1では便宜上一つのセンサ110に対する構成を示しているが、放射線検出器100は、基本的に複数のセンサとそれに対する構成を備えている。
【0027】
検出回路120は、露光時間がHighの場合に、パルスが基準値より高いか否かを判定し、高い場合には電圧信号として複数のカウンタ140a、140bのうち計数中のカウンタへ送出する。切換え回路130は、制御回路160のカウンタ切換え信号を受けたときには電圧信号を計数するカウンタを切り換える。2つのカウンタ140a、140bは、それぞれ同等の機能を有し、パルスを計数することができる。パルスは、フレームごとに計数できる。フレームとは、1枚の画像を撮る動作を行っている時間である。フレームは、通常露光および連続露光に対しては1枚の画像の露光時間で特定されるが、後述の2Sモードでは露光時間と読み出し時間とを合わせた時間で特定される。読み出し回路150は、直前に計数を終えたカウンタから計数値を読み出す。読み出し回路150内のメモリは、読み出された計数値を記憶する。
【0028】
制御回路160は、トリガイン信号を受けたときに測定を開始する。制御回路160は、露光および読み出しの制御をする際にトリガ信号生成回路170に信号を送出する。また、複数のカウンタの中でパルスを計数するカウンタを切り換える際に、トリガ信号生成回路170にトリガアウト信号を生成させる。読み出し回路150は、トリガアウト信号を生成するタイミング間において、直前に計数を終えたカウンタ140aから読み出しを行ない、連続露光が可能になる。
【0029】
このように制御回路160は、トリガ信号生成回路170にトリガアウト信号を発生させるタイミングで、複数のカウンタのうちパルスを計数するカウンタと計数値が読み出されるカウンタとを切り換え、連続露光を行なう。これにより、連続露光のDuty比を維持しつつ放射線検出に対し外部同期回路210を同期させることができる。
【0030】
トリガ信号生成回路170は、HighまたはLowの区間が設定される1枚または一連の所定枚数のフレームを1単位のフレームと表したとき、設定されたHighおよびLowの区間を特定するトリガアウト信号を生成する。すなわち、1単位のフレームのHighおよびLowの区間の立ち上がりおよび立ち下がりに対応する信号をトリガアウト信号として用いることができる。このように、露光や読み出しの信号によらないトリガアウト信号を生成することで、放射線検出に対し高い精度かつ高い効率で外部同期回路210を同期させることができる。このとき、露光時間を規定しているのはフレームの立ち上がりおよび立ち下がりのトリガアウト信号である。
【0031】
HighおよびLowの区間の始点または終点は、1単位のフレームの露光時間の立ち上がりおよび立ち下がりの一方、または1単位のフレームの読み出し時間の立ち上がりおよび立ち下がりの一方で設定できる。これにより、用途や測定条件に応じてHighおよびLowの区間を設定し、状況に適したトリガアウト信号を生成できる。
【0032】
特に連続露光モードでは、1単位のフレームは、1枚のフレームであり、トリガ信号生成回路170は、各フレームの露光時間の立ち上がりごとにHighおよびLowの区間が規定されるトリガアウト信号を生成することが好ましい。これにより、連続露光において効率の高いDuty比で、放射線検出を外部の回路に同期させることができる。
【0033】
モード切換え回路180は、露光および読み出しのタイミングの設定を所定のモードの間で切り換えることができる。切り換えは、調整者またはユーザの指示に応じて例えばPCからの制御で行なわれることが好ましい。例えば、外部同期回路210のサンプリングレートに合わせた波形のトリガアウト信号を生成するように設定を変更できる。所定のモードには、例えば通常モード、連続露光モード、イタラティブモードおよびバーストモードが含まれる。
【0034】
制御回路160は、所定のモードに応じて露光および読み出しを信号により制御し、トリガ信号生成回路170は、所定のモードに応じたHighおよびLowの区間を特定するトリガアウト信号を生成する。これにより、用途や測定条件に応じて切り換えられた所定のモードに対してトリガアウト信号を生成できる。
【0035】
(放射線検出器の動作)
上記のように構成された放射線検出器100の動作を説明する。図2は、放射線検出器100の動作を示すフローチャートである。なお、図2に示す連続露光モードの動作は、一例であり、動作はこれに限定されない。
【0036】
まず、試料に対して放射線を照射する(ステップS1)。検出面に入った放射線の粒子がセンサ110により検出されるとパルスが発生する。最初に、一方のカウンタで放射線の計測を開始する(ステップS2)とともにトリガ信号生成回路170は、High区間を特定するトリガアウト信号を生成する。パルスは、一方のカウンタで計数される。そして、露光時間の開始および終了を特定する信号に応じて制御回路160が動作することにより複数のカウンタ140a、140bのうちパルスを計数するカウンタを切り換える(ステップS3)。
【0037】
カウンタの切り換えと同時に、読み出し回路150は、計数を終了したカウンタから計数データの読み出しを開始し、それとともにトリガ信号生成回路170は、Low区間のトリガアウト信号を生成する(ステップS4)。計数しているカウンタは計数を維持し、カウンタの切換えのタイミングより先に計数を終了したカウンタからの計数データの読み出しが完了する(ステップS5)。
【0038】
その後、測定が終了したか否かを判定し(ステップS6)、測定が終了していない場合には、ステップS3に戻り、露光時間のHigh区間を待ってカウンタを切り換えるとともにトリガ信号生成回路170は、HighまたはLow区間を特定するトリガアウト信号を生成する。このように、測定が終わるまでステップS3~ステップS6までを繰り返す。一方、ステップ6で測定が終了したと判断された場合には、計数を終了し、測定を終える。
【0039】
(連続露光のタイミングチャート)
次に、タイミングチャートを用いて、トリガアウト信号を説明する。図3は、連続露光の動作を示すタイミングチャートである。図3に示す「Command」は、測定開始の指示の時点を示している。「Exposure」は、露光時間のHighおよびLow区間を示している。「ReadoutTime」は、読み出し動作のONおよびOFFで特定される読み出し時間を示している。放射線検出器100は、最初、ダミーの読み出し動作を行ない、2つのカウンタを交互に切り換え、デッドタイムなく連続露光して放射線を検出している。「e」は、露光時間を、「Rt」は、読み出し時間を示している。
【0040】
「EN OUT(exposure)」は、露光時間のHighおよびLow区間を示している。このチャートに示されるENOUT信号は、露光時間の開始および終了を特定する信号であり、トリガアウト信号である。連続露光モードでは、ダミーの読み出し動作後、High区間が隙間なく連続し、測定終了前の読み出しの開始がHigh区間の立ち下がりのエッジとなっている。これを外部同期回路210と同期をとるためのトリガアウト信号として用いると、1フレームの露光が終了しても信号に変化がないため、1フレームの露光に応じた動作ができない。
【0041】
「EN OUT(Iteration)」は、1回の測定において露光の繰り返しを行うイタラティブモード時間のHighおよびLow区間を示している。「ENOUT(Start to Stop)」は、測定開始から終了までの測定時間のHighおよびLow区間を示している。
【0042】
「EN OUT(even/odd)」は、フレームごとの交互のHighおよびLow区間を示している。High区間は、奇数枚目のフレームの露光開始から終了までであり、Low区間は、偶数枚目のフレームの露光開始から終了までである。露光のeven/oddでH/L論理を切り替えることにより、フレームの位置検出を行う信号の生成が可能となる。
【0043】
トリガ信号生成回路170は、このようなフレームの開始および終了を特定するENOUT信号を外部同期回路210との同期のためのトリガアウト信号として生成することで、高い効率で確実な同期を行うことができる。外部同期回路210は、トリガアウト信号の立ち上がりおよび立ち下りの両エッジの検出を行う。なお、タイミングチャートにおける各名称や記号の意味は、特段言及しない限り以下の説明でも同じである。
【0044】
(タイコグラフィへの応用)
図4(a)、(b)は、それぞれ従来および本発明のタイコグラフィの測定方法を示す概略図である。図4(a)、(b)において、X線源10およびゾーンプレート20からなるX線照射系と試料S0の構成は共通である。ただし、放射線検出器900は、トリガアウト信号生成回路を有していないが、放射線検出器100は、トリガ信号生成回路を有している。なお、ゾーンプレート20により試料S0上の照射位置を操作でき、タイコグラフィの測定が可能になっている。
【0045】
図4(a)に示す例では、露光時間の開始および終了を特定する信号をそのままトリガアウト信号として用いようとすると、連続露光ができず敢えて露光区間の後にデッドタイムを設ける必要がある。トリガアウト信号の立ち上がりのエッジで位置検出を行うとすると、1回目のサンプリング後には7回目のサンプリングまで位置検出がなされず高いサンプリングレートを活かせない。
【0046】
図4(b)に示す例では、1枚のフレームの露光ごとにHighおよびLow区間が交互に設けられたトリガアウト信号を生成するため、そのまま連続露光が可能となる。トリガアウト信号の立ち上がりと立ち下がりのエッジで位置検出でき、1回目のサンプリング後には4回目および7回目のサンプリングで位置検出でき効率的にタイコグラフィの測定ができる。なお、放射線検出器100は、タイコグラフィのみならずトモグラフィのような放射光アプリケーションの位置精度の補正にも同様に用いることができる。また、温度等の物理量と露光との間の時間的な整合をとる用途にも好適である。
【0047】
(高速露光)
通常モードではカウンタの切り換えによる連続露光を行わず、例えば外部機器からの信号により、計数を終了し、読み出しを開始する。カウンタを切り換えない通常モードで高速露光を行う場合には、短い露光時間の露光時間の開始および終了を特定する信号をそのままトリガアウト信号として用いると、外部同期回路210がトリガアウト信号のHigh区間を検知できない。図5(a)、(b)は、それぞれ外部同期回路のサンプリング周期に対しトリガアウト信号の周期が長い場合と短い場合の波形再現を示す概略図である。
【0048】
図5(a)の例では、サンプリング周期に対しトリガアウト信号の周期が長いため、トリガアウト信号の波形がそのまま再現されている。図5(b)の例では、サンプリング周期に対しトリガアウト信号の周期が短いため、元波形とは異なる波形が再現されている。
【0049】
このように外部同期回路210が正確にトリガアウト信号を認識するためには、トリガアウト信号の周期がある程度長い方が好ましい。そのため、HighおよびLowの区間に、それぞれ1単位のフレームの読み出し時間を含めることが好ましい。これにより、高速露光であるために外部の回路が露光時間の開始および終了を特定する信号を検知できない場合でも露光時間に対して読み出し時間が十分に長ければ、検知可能なトリガアウト信号を生成できる。
【0050】
トリガアウト信号の周期の長さの観点では、HighおよびLowの区間をそれぞれ2枚以上のフレームの露光時間に設定してもよい。HighおよびLowの区間は、1単位のフレームの露光時間の立ち上がりでいずれかに設定され、同一測定で一定であることも好ましい。一定長さのHighとLowが交互に繰り返されるトリガアウト信号は検知しやすい。
【0051】
例えば同期CLKが20kHz程度である場合、トリガアウト信号の隙間時間は100μsec以上を設定する必要がある。露光時間の開始および終了を特定する信号をそのままトリガアウト信号として用いる場合、露光時間100μsecと隙間時間100μsecを合わせた200μsecが1フレームの測定時間となり、5kfps以上の測定では露光時間が大きく減少してしまう。露光時間の開始および終了を特定する信号とは別に100μsec以上のHighまたはLowの論理が維持されたトリガアウト信号を生成し、外部同期回路210をエッジ検出とすることにより、単純に5kHzの測定から10kHzの測定までフレームレートを向上することが可能となる。
【0052】
フレーム枚数をまとめた信号を与えることで、2つのアプリケーションを同時に測定できる可能性もある。例えば10枚分のフレーム測定時間でHighおよびLow区間を設定したトリガアウト信号でタイコグラフィの測定を行い、その他のアプリケーションでは違う測定を行うこともできる。
【0053】
(大型放射光施設への応用)
放射線検出器100は、電子を加速・貯蔵するための加速器群と発生した放射光を利用するための実験施設および各種付属施設を備えるSpring-8のような大型放射光施設で利用するのに適している。その場合には、大型放射光施設の放射光検出装置の一部として放射線検出器100が組み込まれる。
【0054】
例えば、Spring-8では、電子銃から発生した電子ビームを、線型加速器により1GeVまで加速した後、シンクロトロンに導入して8GeVまで加速する。この電子ビームを蓄積リングに導入し、8GeVのエネルギーを維持させながら、偏向電磁石や挿入光源により放射光を発生させる。発生した放射光は、ビームラインを通して、蓄積リング棟内外に設けられた実験ステーションに導かれる。なお、電子ビームは、基本的にリングの中に連続的に存在するのではなく、バンチと呼ばれる塊となって存在している。放射線検出器100では、露光の最小間隔時間を短縮できることから、放射光施設のバンチ構造と検出器の動作の同期を取ることにより、バンチ構造を確認することが可能となる。
【0055】
特に、このような大型放射光施設で行われる測定のように、1枚のフレームの露光時間が、1000μsec以下である場合には、放射線検出器100は有効である。このような場合でも、露光時間の開始および終了を特定する信号ではなく外部同期回路210はトリガアウト信号と同期できる。
【0056】
(高速露光のタイミングチャート)
図6は、連続露光をしない場合のトリガアウト信号を示すタイミングチャートである。この場合には、ダミーの読み出し動作後、露光区間と読み出し区間が交互に続く。高速露光の場合には、読み出し時間Rtに比べて露光時間eが小さくなる。なお、図6では、便宜上、露光時間eを長く示しているが、実際には極めて短い時間である。例えば、XSPAのようなフレームレートが高い放射線検出器では、露光時間のHigh区間が限りなく短くなり、常に信号が見えず、他の回路と同期が不可能となる。
【0057】
図6に示す例では、「EN OUT(even/odd)」は、フレームごとの交互のHighおよびLow区間を示している。High区間は、奇数枚目のフレームの露光開始からその読み出しの終了までであり、Low区間は、偶数枚目のフレームの露光開始からその読み出し終了までである。これらのeven/oddの各区間には読み出し時間まで含めているため、高速露光でも各区間が検知できないほど短くならない。すなわちDutyが50%となるため、上記のような問題もなくなり、他の回路と同期が比較的容易となる。
【0058】
「EN OUT(even/oddnum)」は、2枚の連続するフレームの露光時間ごとに設定されたHighおよびLow区間を特定するトリガアウト信号である。HighおよびLow区間は、2枚ではなく3枚以上の複数のフレームに基づいて設定されてもよい。このように複数枚のフレームの露光時間を含む時間を特定するENOUT信号を用いることで、長いHighおよびLow区間を特定するトリガアウト信号を利用できる。例えば、外部同期回路210のサンプリング周期を向上させられない場合にも、測定のフレームレートを犠牲にせずにトリガアウト信号の周波数だけを下げることができる。その結果、高速露光でも外部同期回路210がトリガアウト信号を確実に検知可能にすることができる。
【0059】
なお、上記の放射線分析システム200にPC等のプロセッサやメモリを備える処理装置が接続され、ユーザの要求に応じて、露光時間の開始および終了を特定する信号やトリガアウト信号のサインチャートなどの検証画面を表示させてもよい。これにより、設定通りにトリガアウト信号が生成されているか否かを検証できる。なお、処理装置はクラウド上に設けられていてもよい。
【0060】
[第2実施形態]
(放射線検出器の構成)
図7は、放射線検出器100aの構成を示す概略図である。放射線検出器100aは、放射線検出器100と同様の構成を有しているが、複数の検出回路120a、120b、複数のカウンタ140a、140bおよび切り換え回路145を備えている構成で異なっている。2つの基準値(Single Threshold)を用いることから、このような構成を2Sとも呼ぶ。
【0061】
検出回路120a、120bは、パルスがそれぞれの基準値より高いか否かを判定し、高い場合には電圧信号としてカウンタ140a、140bへ送出する。図7に示す例では、検出回路120aの基準値の方が検出回路120bの基準値より低く設定されている。
【0062】
カウンタ140a、140bは、パルスを計数することができる。読み出し回路150は、カウンタ140a、140bでなされた計数値をカウンタ140a、140bから読み出し記憶する。切換え回路145は、制御回路160により制御され、読み出しの対象となるカウンタ140a、140を切り換える。
【0063】
(イタラティブモード)
放射線検出器100aは、イタラティブモードに設定されている場合がある。イタラティブモードは、トリガイン信号により露光を開始し、指定枚数を測定し、所定の回数繰り返すモードである。
【0064】
図8は、イタラティブモードの動作を示すタイミングチャートである。コマンドを一度送り、その後トリガアウト信号のみで動作させる場合に好適である。2枚ごとにHighおよびLow区間を特定するトリガアウト信号を出力することにより、イタラティブモードの露光に外部同期回路210を同期できる。High区間およびLow区間は、2枚ではなく3枚以上の複数のフレームに基づいて設定されてもよい。なお、上記のようにコマンドを受けて開始される測定では、内部で生成されるコマンドが、検出器の動作を開始させるトリガ信号として機能する。
【0065】
(バーストモード)
放射線検出器100aは、バーストモードに設定されている場合もある。バーストモードとは、1ピクセルあたりの複数のカウンタを用いて、高速で連続に露光して複数のフレームを取得し、まとめて読み出すモードである。例えば、1ピクセルに14bitのカウンタが2つ設けられている場合、1ピクセルあたり2bitで14枚のフレームを高速に連続に測定し、まとめて1ピクセルあたり28bitで読み出すことができる。露光時間は通常よりも高速であるが、読み出しの時間が通常以上にかかる。
【0066】
図9は、バーストモードの動作を示すタイミングチャートである。複数枚のフレームの露光時間であるHigh区間および読み出し時間であるLow区間を特定するENOUT信号を用いると、外部同期回路210は1枚ごとの露光に同期できない。1枚のフレームの露光時間の立ち上がりおよび立ち下がりでHighおよびLow区間を設定することで、1枚ごとの露光に同期した測定が可能になる。
【0067】
この場合、HighおよびLow区間は、フレームの読み出し時間を含まず、測定ごとに一定である。これにより、例えば14枚のフレームを高速に連続に測定し、まとめて読み出すバーストモードの際に、高い効率で外部の回路と同期することが可能である。
【0068】
[第3の実施形態]
(単結晶構造解析装置への応用)
図10は、放射線分析システム300の構成を示す平面図である。放射線分析システム300は、回折X線像を撮影するための単結晶構造解析装置であり、X線源310、試料台320、アーム330、制御部340および放射線検出器100を備えている。X線源310は、X線を試料S0に照射している。
【0069】
試料台320およびアーム330は、連動しており、制御部340の制御により一定の速度で試料S0回りを回転させることができる。放射線検出器100は、アーム330の端部に設けられており、アーム330とともに試料S0回りの移動が制御されている。このような装置では、放射線検出器100のトリガアウト信号に同期させて試料台320およびアーム330を移動できる。このように、放射線検出器100は、実験室用のX線回折装置の角度補正に好適である。
【0070】
また、例えばアーム330を駆動する制御信号により露光開始し、放射線検出器100から出力されるトリガアウト信号を制御信号と比較しながら使用することにより、ゴニオメータの角度補正も可能である。
【0071】
[第4の実施形態]
(製造ラインへの応用)
図11は、放射線分析システムの構成を示す側面図である。放射線分析システム400は、X線による検査が可能な製造ラインであり、X線源410、ローラ420、ベルト425、制御部440および放射線検出器100を備えている。X線源410は、シャッタレスであり、連続してX線を試料S0(製品)に照射している。
【0072】
ローラ420の回転によりベルト425が動き、図中矢印の方向に試料S0が移動する。制御部440の制御によりベルト425は一定の速度で移動する。放射線検出器100は、ベルト425および試料S0を挟んでX線源410の反対側に設けられており、ベルト425とともに試料S0の移動が制御されている。
【0073】
放射線分析システム400は、上記のような放射線検出器100を有することで、例えば、放射線検出器100のトリガアウト信号に同期させて試料S0を移動させるとともに移動速度に応じた制御信号を受けて試料S0の画像を撮影できる。その場合、高い効率で撮像できるため、製品の移動速度を上げ、工程の処理効率を上げることができる。
【0074】
[第5実施形態]
(トリガ信号生成器)
図12は、主に放射線検出器900の構成を示す概略図である。放射線検出器900は、露光により放射線の粒子が検出されたときに発生したパルスをフレームごとに計数する。放射線検出器900は、放射線検出器100と同様に構成されているが、トリガ信号生成回路170は備えていない。これに代えて、トリガ信号生成器500が、放射線検出器900の外部に設けられ、放射線検出器900に接続されている。トリガ信号生成器500は、外部同期回路210との同期のためのトリガアウト信号を生成する。放射線検出器900、トリガ信号生成器および外部同期回路210は、放射線分析システム600を構成する。
【0075】
外部同期回路210は、トリガイン信号を発信し、放射線検出器900内の制御回路160は、トリガイン信号を受けたときに測定を開始する。放射線検出器900は、露光により放射線の粒子が検出されたときに発生したパルスをフレームごとに計数する。トリガ信号生成器500は、外部同期回路210が同期するためのトリガアウト信号を生成する。
【0076】
トリガ信号生成器500は、1枚または一連の所定枚数のフレームを1単位のフレームと表したとき、1単位のフレームに対して設定されたHighおよびLowの区間を特定するトリガアウト信号を生成する。これにより、露光や読み出しの信号によらないトリガアウト信号を生成することで、外部の回路に対し、高い精度かつ高い効率で同期できる。
【符号の説明】
【0077】
10 X線源
20 ゾーンプレート
100、100a 放射線検出器(本発明)
110 センサ
120、120a、120b 検出回路
130、145 切換え回路
140 カウンタ
140a、140b 第1、第2のカウンタ
150 読み出し回路
160 制御回路
170 トリガ信号生成回路
180 モード切換え回路
200 放射線分析システム
210 外部同期回路
300 放射線分析システム
310 X線源
320 試料台
330 アーム
340 制御部
400 放射線分析システム
410 X線源
420 ローラ
425 ベルト
440 制御部
500 トリガ信号生成器
600 放射線分析システム
900 放射線検出器(従来)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12