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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119479
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】コイル装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/29 20060101AFI20240827BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20240827BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H01F27/29 P
H01F27/29 Q
H01F17/04 Z
H01F27/28 152
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026404
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】有光 一統
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 輝一
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼ 将志
(72)【発明者】
【氏名】北島 伸夫
(72)【発明者】
【氏名】三浦 冬樹
(72)【発明者】
【氏名】成澤 武彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雅典
【テーマコード(参考)】
5E043
5E070
【Fターム(参考)】
5E043AB02
5E070AB01
5E070BB03
5E070DA13
(57)【要約】
【課題】引出部と巻回部の外周面との間で、ショート不良の発生を防止することが可能なコイル装置を提供すること。
【解決手段】コイル装置1は、巻回部2と、巻回部2から引き出された引出部3aと、引出部3aが接続された継線部42aを有する端子4aと、巻回部2と引出部3aと継線部42aとが埋設された素体8と、を有する。巻回部2の巻軸は、素体8の実装対向面に対して垂直である。引出部3aは、内側に向けて突出するように屈曲する屈曲部33aを有し、屈曲部33aの内角は鈍角である。
【選択図】図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回部と、
前記巻回部から引き出された引出部と、
前記引出部が接続された継線部を有する端子と、
前記巻回部と前記引出部と前記継線部とが埋設された素体と、を有し、
前記巻回部の巻軸は、前記素体の実装対向面に対して垂直であり、
前記引出部は、内側に向けて突出するように屈曲する屈曲部を有し、
前記屈曲部の内角は鈍角であるコイル装置。
【請求項2】
前記屈曲部は、前記巻回部の外周面に隣接している請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記引出部は、前記屈曲部よりも一方側に位置する基端部と、前記屈曲部よりも他方側に位置する先端部とを有し、
前記基端部は、前記先端部よりも、前記巻回部の外周面の近傍に配置されている請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記巻回部の巻軸は、前記素体の中心に対して、前記引出部が配置される側とは反対側に位置ずれしている請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項5】
前記引出部は、第1引出部と、前記第1引出部とは前記巻回部の巻軸に沿って位置ずれした第2引出部とを有し、
前記屈曲部は、前記第1引出部に設けられた第1屈曲部と、前記第2引出部に設けられた第2屈曲部とを有する請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項6】
前記先端部は、前記第1引出部に設けられた第1先端部と、前記第2引出部に設けられた第2先端部とを有し、
前記第1先端部と前記第2先端部との間隔は、前記巻回部の最大径よりも小さい請求項3に記載のコイル装置。
【請求項7】
前記引出部には、複数の前記屈曲部が設けられている請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項8】
前記巻回部は、螺旋状に巻回された平角線ワイヤによって形成されている請求項1または2に記載のコイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、例えばインダクタとして用いられるコイル装置として、巻回部と、巻回部から引き出された引出部と、巻回部および引出部が埋設された素体とを有するコイル装置が示されている。引出部と巻回部の外周面との間には、隙間が形成されており、その隙間の内部には、素体の一部が充填されている。
【0003】
この種のコイル装置では、素体を構成する磁性材料の内部に、巻回部および引出部を埋設した状態で、圧縮成形を行う場合がある。この場合、圧縮成形時の成形圧によって、引出部は巻回部の外周面に向けて押圧される。これにより、引出部が巻回部の外周面に向けて位置ずれすると、引出部と巻回部の外周面との間の隙間に入り込んだ磁性材料の密度が上昇し、磁性材料を介して、引出部と巻回部の外周面との間でショート不良が発生するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2017/115604号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、引出部と巻回部の外周面との間で、ショート不良の発生を防止することが可能なコイル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示のコイル装置は、
巻回部と、
前記巻回部から引き出された引出部と、
前記引出部が接続された継線部を有する端子と、
前記巻回部と前記引出部と前記継線部とが埋設された素体と、を有し、
前記巻回部の巻軸は、前記素体の実装対向面に対して垂直であり、
前記引出部は、内側に向けて突出するように屈曲する屈曲部を有し、
前記屈曲部の内角は鈍角である。
【0007】
本開示のコイル装置では、引出部が、内側に向けて突出するように屈曲する屈曲部を有する。そのため、屈曲部の屈曲度合に応じて、引出部の一部が巻回部の外周面の近傍に配置され、引出部と巻回部の外周面との間に隙間が形成されにくくなる。それゆえ、コイル装置の製造時において、素体を構成する磁性材料が、引出部と巻回部の外周面との間に入り込みにくくなる。これにより、磁性材料を介して、引出部と巻回部の外周面との間でショート不良が発生することを防止することができる。また、引出部の一部が巻回部の外周面の近傍に配置されることにより、巻回部のターン数を増大させ、コイル装置の磁気特性を向上させることができる。また、屈曲部の内角は鈍角であるため、屈曲部において引出部が過度に屈曲することがなく、引出部の屈曲に起因するコイル装置の電気的特性の変動を防止することができる。
【0008】
前記屈曲部は、前記巻回部の外周面に隣接していてもよい。
【0009】
前記引出部は、前記屈曲部よりも一方側に位置する基端部と、前記屈曲部よりも他方側に位置する先端部とを有し、前記基端部は、前記先端部よりも、前記巻回部の外周面の近傍に配置されていてもよい。
【0010】
前記巻回部の巻軸は、前記素体の中心に対して、前記引出部が配置される側とは反対側に位置ずれしていてもよい。
【0011】
前記引出部は、第1引出部と、前記第1引出部とは前記巻回部の巻軸に沿って位置ずれした第2引出部とを有し、前記屈曲部は、前記第1引出部に設けられた第1屈曲部と、前記第2引出部に設けられた第2屈曲部とを有していてもよい。
【0012】
前記先端部は、前記第1引出部に設けられた第1先端部と、前記第2引出部に設けられた第2先端部とを有し、前記第1先端部と前記第2先端部との間隔は、前記巻回部の最大径よりも小さくてもよい。
【0013】
前記引出部には、複数の前記屈曲部が設けられていてもよい。
【0014】
前記巻回部は、螺旋状に巻回された平角線ワイヤによって形成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は第1実施形態のコイル装置の斜視図である。
図2図2図1に示すコイル装置の内部構成を示す斜視図である。
図3図3図1に示すコアを構成する第1コアの斜視図である。
図4図4図1に示すコアを構成する第2コアの斜視図である。
図5A図5A図2に示す巻回部の斜視図である。
図5B図5B図5Aに示す巻回部の平面図である。
図5C図5C図5Aに示す巻回部の平面図である。
図6図6図2に示す端子の斜視図である。
図7A図7A図6に示す端子に引出部を接続したときの斜視図である。
図7B図7B図7Aに示す端子および巻回部をY軸方向から見たときの側面図である。
図8A図8A図1に示すコイル装置の製造方法を示す図である。
図8B図8B図8Aの続きの工程を示す図である。
図8C図8C図8Bの続きの工程を示す図である。
図8D図8D図8Cの続きの工程を示す図である。
図8E図8E図8Dの続きの工程を示す図である。
図8F図8F図8Eの続きの工程を示す図である。
図9図9は第2実施形態のコイル装置の巻回部の平面図である。
図10図10は第3実施形態のコイル装置の巻回部の平面図である。
図11図11図10に示す引出部の変形例の平面図である。
図12A図12A図5Aに示す巻回部の変形例の斜視図である。
図12B図12B図12Aに示す巻回部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施形態について説明する。なお、図示する内容は、本開示の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。また、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0017】
(第1実施形態)
図1に示す第1実施形態のコイル装置1は、例えば表面実装型のインダクタであり、各種の電子機器の実装基板に搭載される。図2に示すように、コイル装置1は、巻回部(コイル)2と、引出部3aおよび3bと、端子4aおよび4bと、コア(素体)8とを有する。
【0018】
コア8の内部には、巻回部2と、引出部3aおよび3bと、端子4aおよび4bの各々の一部(後述する継線部42aおよび42b)と、が埋設されている。コア8は、第1面8aと、第1面8aと対向する第2面8bと、第3面8cと、第3面8cと対向する第4面8dと、第5面8eと、第5面8eと対向する第6面8fとを有する。第1面8aは、コイル装置1が搭載される実装基板と対向する面(実装対向面)である。
【0019】
図1および図2等において、X軸は、第3面8cと第4面8dとが対向する方向に平行な軸である。Y軸は、第5面8eと第6面8fとが対向する方向に平行な軸である。Z軸は、X軸およびY軸に垂直な軸である。また、Z軸は、巻回部2の巻軸に平行な軸である。図2は、図1のコイル装置1をX軸およびZ軸の各々に関して反転させた状態で示している。以下では、X軸、Y軸およびZ軸の各々について、コイル装置1の中心に向かう方向を内側と呼び、コイル装置1の中心から離れる方向を外側と呼ぶ。例えば、コア8のX軸に沿った長さは2~20mmであり、Y軸に沿った長さは2~20mmであり、Z軸に沿った長さは例えば1~10mmである。
【0020】
コア8は、磁性粉末とバインダ樹脂とを含む混合物からなり、図3に示す第1コア5と図4に示す第2コア6とを組み合わせることにより形成される。例えば、コア8は、あらかじめ成形された第1コア5と第2コア6とを金型の内部で圧縮成形し、これらを一体化することにより形成される。
【0021】
コア8(第1コア5および/または第2コア6)は、特に限定されないが、フェライト粒子または金属磁性体粒子が分散された合成樹脂で構成されている。フェライト粒子としては、特に限定されないが、Ni-Zn系フェライト、Mn-Zn系フェライト等が例示される。金属磁性体粒子としては、特に限定されないが、Fe-Ni合金粉、Fe-Si合金粉、Fe-Si-Cr合金粉、Fe-Co合金粉、Fe-Si-Al合金粉、アモルファス鉄等が例示される。合成樹脂としては、特に限定されないが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン樹脂等が例示される。
【0022】
図3に示すように、第1コア5は、ベース部50と、ベース部50から突出する中芯部51とを有する。中芯部51は、巻回部2(図2)の内側に配置される。第1コア5は、図2に示すコア8の第2面8b側の一部を構成している。ベース部50は直方体形状(板状)を有する。ベース部50のX軸方向の各側面には、凹部52が形成されている。中芯部51は、ベース部50の中心に対して、Y軸負方向側(図2の第6面8f側)に位置ずれしている。そのため、中芯部51に巻回部2を配置すると、巻回部2の巻軸は、ベース部50の中心に対して、Y軸に沿って、第6面8f側に位置ずれする。
【0023】
図4に示すように、第2コア6は、有底筒形状を有する。第2コア6は、図3に示す第1コア5に組み合わされ、第1コア5と一体化する。第2コア6は、第1コア5と同様の材料で構成されてもよく、あるいは異なる材料で構成されてもよい。図4に示すように、第2コア6は、本体部60と、収容孔61と、収容溝62aおよび62bと、連結溝63aおよび63bと、凹部64と、凹部65(図8C)と、底部66とを有する。第2コア6は、図2に示すコア8の第1面8a側の一部を構成する。
【0024】
本体部60は、筒形状を有する。本体部60の外縁の形状は、平面視において四角形である。本体部60のX軸に沿った長さはベース部50(図3)のX軸に沿った長さに等しく、本体部60のY軸に沿った長さはベース部50のY軸に沿った長さに等しい。本体部60(収容孔61の開口縁)は、ベース部50(図3)に接続され、ベース部50と一体化する。
【0025】
収容孔61は、底部66に向かって、Z軸に沿って延在している。収容孔61の形状は、平面視において円形である。収容孔61の軸方向の一方側は開口している一方で、収容孔61の軸方向の他方側は底部66で閉塞されている。収容孔61には、第1コア5の中芯部51(図3)が巻回部2(図2)とともに収容される。
【0026】
底部66は、Z軸に沿って、収容孔61の開口面とは反対側に位置する。底部66は、コア8の第1面8a(図2)を形成している。凹部64は、本体部60のX軸方向の各側面に形成されており、各側面のZ軸方向の一端から他端にかけて延在している。図4および図6に示すように、一方の凹部64には端子4aの中間部43aが配置され、他方の凹部64には端子4bの中間部43bが配置される。図3および図4に示すように、凹部64のX軸に沿った深さは、凹部52のX軸に沿った深さと等しくなっている。また、凹部64のY軸に沿った長さは、凹部52のY軸に沿った長さと等しくなっている。第1コア5に第2コア6を組み合わせたとき、凹部64は、Z軸方向に沿って、凹部52に接続される。これにより、図1に示すように、コア8のX軸方向の各側面には、側方凹部80が、Z軸方向の一端から他端にかけて延在するように形成される。
【0027】
図8Cに示すように、凹部65は、底部66に形成されている。底部66には、2つの凹部65が形成されている。一方の凹部65は、本体部60のX軸方向の一方の側面に形成された凹部64に接続されており、他方の凹部65は、本体部60のX軸方向の他方の側面に形成された凹部64に接続されている。
【0028】
図4に示すように、収容溝62aおよび62bは、それぞれY軸方向の一方側の各角部に形成されている。収容溝62aおよび62bは、収容孔61の開口部の径方向の外側に位置し、底部66に向かって、Z軸に沿って延在している。収容溝62aの内部には、継線部42a(図2)が収容される。より詳細には、収容溝62aには、引出部3aが溶融部(溶融玉)9を介して接続された継線部42aが収容される。
【0029】
また、収容溝62bの内部には、継線部42b(図2)が収容される。より詳細には、収容溝62bには、引出部3bが溶融部9を介して接続された継線部42bが収容される。なお、溶融部9は、引出部3a(3b)および端子4a(4b)に対してレーザ照射を行うことにより形成される。
【0030】
図4に示すように、連結溝63aおよび63bは、底部66に向かって、Z軸に沿って延在している。連結溝63aは収容孔61と収容溝62aとを連結しており、連結溝63bは収容孔61と収容溝62bとを連結している。連結溝63aの内部には引出部3a(図2)の一部が収容され、連結溝63bには引出部3bの一部が収容される。
【0031】
図2および図5Aに示すように、巻回部2は、空芯コイルからなり、コア8の内部に埋設されている。巻回部2は、螺旋状に巻回されたワイヤ10によって形成されている。巻回部2の巻軸は、素体の第1面8aに対して垂直である。ワイヤ10は、平角線ワイヤであり、フラットワイズ巻きされている。ただし、ワイヤ10は、エッジワイズ巻きされていてもよい。ワイヤ10を平角線ワイヤで構成することにより、巻回部2に流れる電流量を確保し、所望の磁気特性を有するコイル装置1を実現することができる。また、巻回部2の変形が生じにくく、品質の高いコイル装置1を得ることができる。
【0032】
巻回部2は、ワイヤ10を例えばα巻きすることにより形成され、Z軸に沿って2層で構成されている。ただし、巻回部2のZ軸に沿った層数は、3層以上でもよい。また、ワイヤ10の巻回方法は、α巻きに限定されず、通常巻きでもよい。巻回部2、引出部3aおよび引出部3bの詳細な形状については後述する。
【0033】
図5Bに示すように、巻回部2の巻軸C2は、コア8の中心C1に対して、Y軸に沿って位置ずれしている。より詳細には、巻回部2の巻軸C2は、コア8の中心C1に対して、引出部3aおよび3bが配置される側(あるいは、引出部3aおよび3bの引出方向:Y軸正方向側)とは反対側(Y軸負方向側)に位置ずれしている。
【0034】
ワイヤ10の芯材は、銅、銅合金、銀、ニッケル等の金属、あるいはその他の導体材料で構成されている。ワイヤ10は、芯材が絶縁性の被膜11で被覆された絶縁被覆ワイヤである。被膜11を構成する樹脂は、特に限定されないが、ポリアミドイミド樹脂、ウレタン樹脂等である。ワイヤ10は、自己融着線でもよく、ワイヤ10の被膜11の外側には、融着層が形成されていてもよい。融着層を構成する樹脂は、特に限定されないが、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等である。なお、引出部3aおよび3bの各々の先端において、被膜11は除去されている。端子4aおよび4bとの電気的接続を図るためである。
【0035】
図2に示すように、引出部3aは、巻回部2の2層目において、巻回部2の外周面2eから、第5面8e側に引き出されている。引出部3bは、巻回部2の1層目において、巻回部2の外周面2eから、第5面8e側に引き出されている。引出部3aと引出部3bとは、巻回部2の巻軸に沿って位置ずれしている。
【0036】
図6に示すように、端子4aは、継線部42aを有する。端子4aは、例えば、ベース部41aと、中間部43aと、接続部44aとをさらに有していてもよい。端子4bは、継線部42bを有する。端子4bは、例えば、ベース部41bと、中間部43bと、接続部44bとをさらに有していてもよい。端子4aおよび4bは、例えば金属等の導電性を有する板材で形成されている。
【0037】
図2および図6に示すように、中間部43aは、Z軸に沿って延在しており、コア8の第4面8dに形成された側方凹部80(図1)に配置されている。中間部43aのZ軸方向の一端は、第1面8aと第4面8dとの交差部に位置する。中間部43aのZ軸方向の他端は、第2面8bと第4面8dとの交差部よりもZ軸に沿って離間した位置に位置する。
【0038】
中間部43bは、Z軸に沿って延在しており、コア8の第3面8cに形成された側方凹部80(図1)に配置されている。中間部43bのZ軸方向の一端は、第1面8aと第3面8cとの交差部に位置する。中間部43bのZ軸方向の他端は、第2面8bと第3面8cとの交差部よりもZ軸に沿って離間した位置に位置する。
【0039】
中間部43aおよび43bには、例えばハンダや導電性接着剤などのフィレットが形成されてもよい。この場合、実装基板に対するコイル装置1の実装強度を高めることができる。
【0040】
接続部44aは、中間部43aのZ軸方向の一端に接続されており、中間部43aに対して直交する方向に延在している。接続部44bは、中間部43bのZ軸方向の一端に接続されており、中間部43bに対して直交する方向に延在している。接続部44aおよび44bは、第1面8aに配置されており、X軸に沿って互いに近づく方向(X軸方向の内側に)延在している。接続部44aおよび44bは、ハンダや導電性接着剤などによって実装基板に接続される。
【0041】
ベース部41aおよび41bは、コア8の第2面8bに対して平行に配置されている。ベース部41aは、中間部43aのZ軸方向の他端に接続されており、中間部43aに対して直交する方向(接続部44aの延在方向と同一方向)に延在している。接続部44bは、中間部43bのZ軸方向の他端に接続されており、中間部43bに対して直交する方向(接続部44bの延在方向と同一方向)に延在している。ベース部41aおよび41bは、それぞれ二又形状を有するが、ベース部41aおよび41bの形状は、図6に示す形状に限定されない。
【0042】
図2および図6に示すように、ベース部41aは、第1分岐部410aと第2分岐部411aとを有し、ベース部41bは、第1分岐部410bと第2分岐部411bとを有する。第1分岐部410aと、第2分岐部411aとは、凹部45aを介して、Y軸方向に離間している。第1分岐部410aは、湾曲形状を有し、X軸方向の内側に向かって延在しているとともに、Y軸方向の外側(第5面8e側)に向かって延在している。第2分岐部411aは、湾曲形状を有し、X軸方向の内側に向かって延在しているとともに、Y軸方向の外側(第6面8f側)に向かって延在している。すなわち、第1分岐部410aと第2分岐部411aとは、Y軸方向に関して、互いに離間する方向に延在している。
【0043】
第1分岐部410bと、第2分岐部411bとは、凹部45bを介して、Y軸方向に離間している。第1分岐部410bは、湾曲形状を有し、X軸方向の内側に向かって延在しているとともに、Y軸方向の外側(第5面8e側)に向かって延在している。第2分岐部411bは、湾曲形状を有し、X軸方向の内側に向かって延在しているとともに、Y軸方向の外側(第6面8f側)に向かって延在している。すなわち、第1分岐部410bと第2分岐部411bとは、Y軸方向に関して、互いに離間する方向に延在している。
【0044】
図7Aに示すように、第1分岐部410bには、引出部3bが載置されている。そのため、コイル装置1の製造時(図8Cに示す第1コア5および第2コア6の圧縮成形時)において、加圧力に起因する引出部3b(さらには巻回部2全体)の位置ずれを防止することができる。引出部3aは、第1分岐部410aに載置されておらず、第1分岐部410aからZ軸に沿って離間した位置に配置されている。
【0045】
図2および図6に示すように、第1分岐部410aの内縁部には第1湾曲部412aが部分的に形成されており、第2分岐部411aの内縁部には第2湾曲部413aが部分的に形成されている。また、第1分岐部410bの内縁部には第1湾曲部412bが部分的に形成されており、第2分岐部411bの内縁部には第2湾曲部413bが部分的に形成されている。
【0046】
第1湾曲部412aの曲率半径と、第2湾曲部413aの曲率半径と、第1湾曲部412bの曲率半径と、第2湾曲部413bの曲率半径とは、互いに等しくなっているが、互いに異なっていてもよい。また、これらの曲率半径は、巻回部2の外周面2eあるいは内周面2fの曲率半径と等しくなっていてもよい。
【0047】
継線部42aおよび42bは、コア8の内部に埋設されている。継線部42aは、Z軸に沿って延在しており、第1分岐部410aのY軸方向の端部から立ち上げられている。継線部42bは、Z軸に沿って延在しており、第1分岐部410bのY軸方向の端部から立ち上げられている。継線部42aには、切欠部420aが形成されている。切欠部420aは、継線部42aのX軸方向の内側の端部に位置し、継線部42aのZ軸方向の一端から第1分岐部410aに向かって延在している。図7Aに示すように、切欠部420aには、引出部3aが配置されている。引出部3bは、継線部42bのX軸方向の内側の端部に配置されている。
【0048】
継線部42aのZ軸に沿った長さは、継線部42bのZ軸に沿った長さよりも長い。引出部3aは巻回部2の2層目から引き出されるところ、引出部3aを不要に屈曲させることなく、巻回部2から継線部42aまで引き出すためである。
【0049】
図7Bに示すように、引出部3aは、切欠部420aの底からZ軸方向に離間した位置に配置されており、切欠部420aの底には接触してはいない。そのため、引出部3aは、切欠部420aの内部に全体的に収容されてはおらず、切欠部420aからZ軸に沿って突出している。
【0050】
引出部3aおよび3bは、継線部42aおよび42bに対して、例えばレーザ溶接、ハンダ、導電性接着剤、熱圧着、超音波接合、抵抗ろう付けまたは紫外線硬化樹脂接合等によって接続される。
【0051】
次に、巻回部2、引出部3aおよび引出部3bの詳細な形状について説明する。図5Bには、コア8の外形を二点鎖線で示している。また、従来技術における引出部3aの外形を一点鎖線で示している。図5B中の一点鎖線で示すように、従来技術では、引出部3aは、巻回部2の外周面2eの最外端2gからY軸に沿って引き出され、引出部3bは、巻回部2の外周面2eの最外端2hからY軸に沿って引き出される。ただし、最外端2gおよび2hは、Y軸方向から見て(コア8の第5面8eから見て)巻回部2の外周面2eの径が最大となる位置に位置する。
【0052】
これに対して、本実施形態では、引出部3aは、巻回部2の第1引出位置2cから引き出されており、引出部3bは、巻回部2の第2引出位置2dから引き出されている。第1引出位置2cは、引出部3aが巻回部2の外周面2eから離間し始める位置である。また、第2引出位置2dは、引出部3bが巻回部2の外周面2eから離間し始める位置である。
【0053】
すなわち、本実施形態では、ワイヤ10は、巻回部2の周方向に沿って、少なくとも、最外端2gから第1引出位置2cまで巻回される。また、ワイヤ10は、巻回部2の周方向に沿って、少なくとも、最外端2hから第2引出位置2dまで巻回される。したがって、従来に比べて、巻回部2のターン数を増大させることができる。
【0054】
引出部3aは屈曲部33aを有し、引出部3bは屈曲部33bを有する。屈曲部33aおよび33bは、外周面2eに隣接するように配置されている。Y軸方向に関して、屈曲部33aの位置と、屈曲部33bの位置とは、等しくなっている。ただし、Y軸方向に関して、屈曲部33aの位置と、屈曲部33bの位置とは、異なっていてもよい。
【0055】
屈曲部33aおよび33bは、それぞれX軸方向の内側に向けて突出するように屈曲している。すなわち、屈曲部33aおよび33bは、互いに近づく方向に向けて屈曲している。また、屈曲部33aおよび33bは、それぞれ巻回部2の外周面2eに向けて突出するように(巻回部2の外周面2eに近づくように)屈曲している。また、屈曲部33aは、引出部3aの内側に向けて突出するように屈曲しており、屈曲部33bは、引出部3bの内側に向けて突出するように屈曲している。また、屈曲部33aは、引出部3aの外側が凹むように屈曲しており、屈曲部33bは、引出部3bの外側が凹むように屈曲している。
【0056】
図5Bでは、説明の便宜上、屈曲部33aおよび33bは、角張るように屈曲している。しかしながら、屈曲部33aおよび33bは、滑らかに(湾曲するように)屈曲していてもよい。
【0057】
屈曲部33aは、外周面2eの最外端2gよりも、X軸方向の内側(X軸正方向側)に位置する。また、屈曲部33aは、内周面2fの最外端2g’よりも、X軸方向の外側(X軸負方向側)に位置する。同様に、屈曲部33bは、外周面2eの最外端2hよりも、X軸方向の内側(X軸負方向側)に位置する。また、屈曲部33bは、内周面2fの最外端2h’よりも、X軸方向の外側(X軸正方向側)に位置する。ただし、屈曲部33aおよび33bの位置は、上記の位置に限定されず、例えば、最外端2g’および2h’よりも、Y軸方向の内側に位置していてもよい。なお、最外端2g’および2h’は、Y軸方向から見て(コア8の第5面8eから見て)巻回部2の内周面2fの径が最大となる位置に位置する。
【0058】
また、屈曲部33aおよび33bは、巻回部2の外周面2eの最先端2iよりも、Y軸方向の内側(Y軸負方向側)に位置する。ただし、最先端2iは、X軸方向から見て(コア8の第4面8dから見て)巻回部2の外周面2eの径が最大となる位置に位置する。また、屈曲部33aおよび33bは、最先端2i’よりも、Y軸方向の外側(Y軸正方向側)に位置する。ただし、最先端2i’は、X軸方向から見て(コア8の第4面8dから見て)巻回部2の内周面2fの径が最大となる位置に位置する。また、屈曲部33aおよび33bは、第1引出位置2cまたは第2引出位置2dよりも、Y軸方向の外側(Y軸正方向側)に位置する。ただし、屈曲部33aおよび33bの位置は、上記の位置に限定されず、例えば、最先端2iよりも、Y軸方向の外側に位置していてもよい。
【0059】
図5Cに示すように、屈曲部33aと外周面2eの最外端2gとの間のX軸に沿った長さLは、特に限定されないが、ワイヤ10の線径の1/2倍以上、1倍以上、2倍以上、3倍以上、あるいは5倍以上である。屈曲部33bと外周面2eの最外端2hとの間のX軸に沿った長さについても同様である。
【0060】
図5Bに示すように、引出部3aは、屈曲部33aで屈曲した後、第5面8eに向けてY軸に沿って延在している。また、引出部3bは、屈曲部33bで屈曲した後、第5面8eに向けてY軸に沿って延在している。ただし、後述するように、引出部3aは、屈曲部33aで屈曲した後、第5面8eに向けて、Y軸に対して傾斜した方向に沿って延在していてもよい。また、引出部3bは、屈曲点34bで屈曲した後、第5面8eに向けて、Y軸に対して傾斜した方向に沿って延在していてもよい。
【0061】
本実施形態では、屈曲部33aと巻回部2の外周面2eとは離間している。そのため、引出部3aは、外周面2eから離間した位置で屈曲した後、第5面8eに向けてY軸に沿って(あるいは、Y軸に対して傾斜した方向に沿って)延在している。また、屈曲部33bと外周面2eとは離間している。そのため、引出部3bは、外周面2eから離間した位置で屈曲した後、第5面8eに向けてY軸に沿って(あるいは、Y軸に対して傾斜した方向に沿って)延在している。
【0062】
屈曲部33aの内角θ1は、鈍角であり、90°<θ1<180°である。また、屈曲部33bの内角θ2は、鈍角であり、90°<θ2<180°である。ただし、屈曲部33aの内角θ1について、120°<θ1<170°でもよく、130°<θ1<170°でもよい。また、屈曲部33bの内角θ2について、120°<θ2<170°でもよく、130°<θ2<170°でもよい。なお、屈曲部33aの内角θ1および屈曲部33bの内角θ2は、それぞれ、後述する基端部31と先端部32とが為す内角である。屈曲部33aおよび33bが滑らかに湾曲している場合、内角θ1およびθ2は、それぞれ、基端部31の仮想的な延長線と先端部32の仮想的な延長線とが為す内角として定義される。内角θ1およびθ2は、等しくなっているが、異なっていてもよい。
【0063】
屈曲部33aと屈曲部33bとの間のX軸に沿った間隔は、第5面8e側から見た巻回部2(外周面2e)の最大径よりも小さい。すなわち、屈曲部33aと屈曲部33bとの間のX軸に沿った間隔は、外周面2eの最外端2gと最外端2hとの間のX軸に沿った間隔よりも小さい。
【0064】
また、屈曲部33aと屈曲部33bとの間のX軸に沿った間隔は、第5面8e側から見た内周面2fの最大径よりも大きい。すなわち、屈曲部33aと屈曲部33bとの間のX軸に沿った間隔は、内周面2fの最外端2g’と最外端2h’との間のX軸に沿った間隔よりも大きい。ただし、屈曲部33aと屈曲部33bとの間のX軸に沿った間隔は、第5面8e側から見た内周面2fの最大径よりも小さくなっていてもよい。
【0065】
屈曲部33aと外周面2eとの間の距離は、ワイヤ10の線径(直径)よりも小さく、またワイヤ10の線径の1/2よりも小さい。ただし、屈曲部33aと外周面2eとの間の距離は、ワイヤ10の線径(直径)と等しくてもよく、またワイヤ10の線径よりも大きくてもよい。屈曲部33bと外周面2eとの間の距離についても同様である。
【0066】
なお、屈曲部33aと外周面2eとは、離間していなくてもよい。この場合、引出部3aは、外周面2e上の屈曲部33aにおいて、外周面2eに対して屈曲しつつ、第5面8eに向けて、Y軸に沿って(あるいは、Y軸に対して傾斜した方向に沿って)延在することになる。
【0067】
また、屈曲部33bと外周面2eとは、離間していなくてもよい。この場合、引出部3bは、外周面2e上の屈曲部33bにおいて、外周面2eに対して屈曲しつつ、第5面8eに向けて、Y軸に沿って(あるいは、Y軸に対して傾斜した方向に沿って)延在することになる。
【0068】
引出部3a(後述する基端部31)と巻回部2の外周面2eとの間には、隙間G1が形成されている。隙間G1は、屈曲部33aの近傍から第1引出位置2cに向かって延在している。隙間G1は、外周面2eに沿って延在しており、隙間G1の幅は第1引出位置2cに近づくにしたがって狭くなっている。隙間G1の最大幅は、上述した屈曲部33aと外周面2eとの間の距離に相当する。
【0069】
同様に、引出部3b(後述する基端部31)と巻回部2の外周面2eとの間には、隙間G2が形成されている。隙間G2は、屈曲部33bの近傍から第2引出位置2dに向かって延在している。隙間G2は、外周面2eに沿って延在しており、隙間G2の幅は第2引出位置2dに近づくにしたがって狭くなっている。隙間G2の最大幅は、上述した屈曲部33bと外周面2eとの間の距離に相当する。
【0070】
引出部3aは、屈曲部33aよりも一方側に位置する基端部31と、屈曲部33aよりも他方側に位置する先端部32とを有する。また、引出部3bは、屈曲部33bよりも一方側に位置する基端部31と、屈曲部33bよりも他方側に位置する先端部32とを有する。
【0071】
基端部31は、巻回部2の外周面2eに沿うように延在しており、先端部32よりも、巻回部2の外周面2eの近傍に配置されている。引出部3aにおいて、基端部31は、第1引出位置2cと屈曲部33aとの間に位置する部分である。引出部3bにおいて、基端部31は、第2引出位置2dと屈曲部33bとの間に位置する部分である。基端部31の延在方向は、第1引出位置2c(または第2引出位置2d)における接線方向と等しくなっているが、異なっていてもよい。例えば、基端部31は、第1引出位置2c(または第2引出位置2d)における接線方向に対して外側(巻回部2の中心から離れる側)に向けて傾斜した方向に引き出されていてもよい。基端部31と巻回部2の外周面2eとの間には、隙間G1またはG2が形成されており、隙間G1またはG2は、基端部31および外周面2eに沿って形成されている。
【0072】
先端部32は、巻回部2の外周面2から離間するように、基端部31とは異なる方向に延在している。先端部32は、基端部31よりも、巻回部2の外周面2eから離間した位置に配置されている。先端部32は、第5面8e側に、Y軸に沿って延在しているが、Y軸に対して傾斜した方向に延在していてもよい。先端部32の延在方向に沿った長さは、基端部31の延在方向に沿った長さよりも長くなっているが、これと等しくてもよく、これよりも短くてもよい。
【0073】
引出部3aの先端部32と引出部3bの先端部32との間隔は、第5面8e側から見た巻回部2(外周面2e)の最大径よりも小さい。すなわち、引出部3aの先端部32と引出部3bの先端部32との間のX軸に沿った間隔は、外周面2eの最外端2gと最外端2hとの間のX軸に沿った間隔よりも小さい。ただし、引出部3aの先端部32と引出部3bの先端部32との間隔が、部分的に、第5面8e側から見た巻回部2の最大径よりも大きくなっていてもよい。
【0074】
また、引出部3aの先端部32と引出部3bの先端部32との間隔は、第5面8e側から見た内周面2fの最大径よりも大きい。すなわち、引出部3aの先端部32と引出部3bの先端部32との間のX軸に沿った間隔は、内周面2fの最外端2g’と最外端2h’との間のX軸に沿った間隔よりも大きい。ただし、引出部3aの先端部32と引出部3bの先端部32との間隔は、第5面8e側から見た内周面2fの最大径よりも小さくてもよい。
【0075】
前述のように、基端部31と外周面2eとの間には、隙間G1またはG2が形成されている。ただし、隙間G1またはG2は省略されてもよい。隙間G1またはG2を省略した場合、基端部31は、巻回部2の周方向に沿って、外周面2eと隣り合うように(外周面2eと接するように)延在することになる。そのため、基端部31は、巻回部2の一部を構成することになる。このように、基端部31が巻回部2に吸収される結果、引出部3aから基端部31が省略されるとともに、引出部3bから基端部31が省略される。
【0076】
この場合、先端部32は、外周面2e上から、第5面8eに向けて、Y軸に沿って(あるいは、Y軸に対して傾斜した方向に沿って)延在することになる。この場合も、先端部32は、外周面2eに対して屈曲するため、屈曲部33aまたは33bが、外周面2e上に形成される。そして、引出部3aの先端部32は、外周面2e上の屈曲部33aにおいて、外周面2eから離間するため、屈曲部33aの位置が第1引出位置2cとなる。また、引出部3bの先端部32は、外周面2e上の屈曲部33bにおいて、外周面2eから離間するため、屈曲部33bの位置が第2引出位置2dとなる。
【0077】
図5Cに示すように、巻回部2の外周面2eの形状は、Y軸正方向側(第1方向側:引出部3aおよび3bが引き出される側)とY軸負方向側(第2方向側)とで異なっている。巻回部2の外周面2eは、Y軸正方向側で、巻回部2の外周面2eの外側に向けて膨出するように歪曲している。また、巻回部2の外周面2eは、Y軸負方向側に向けて凸状となる(尖る)ように歪曲している。すなわち、外周面2eは、真円形状を有しておらず、三角形状となるように歪んでいる。
【0078】
巻回部2の外周面2eは、最先端2iの近傍では、最基端2jの近傍に比べて、緩やかに(平坦状に)湾曲している。また、巻回部2の外周面2eは、最基端2jの近傍では、最先端2iの近傍に比べて、急峻に(凸状に)湾曲している。ただし、最基端2jは、X軸方向から見て(コア8の第4面8dから見て)巻回部2の外周面2eの径が最大となる位置に位置する。
【0079】
巻回部2の内周面2fの形状は、Y軸正方向側(第1方向側)とY軸負方向側(第2方向側)とで異なっている。巻回部2の内周面2fは、Y軸正方向側で、巻回部2の内周面2fの外側に向けて膨出するように歪曲している。また、巻回部2の内周面2fは、Y軸負方向側に向けて凸状となるように歪曲している。すなわち、内周面2fは、外周面2eと同様に、真円形状を有しておらず、三角形状となるように歪んでいる。
【0080】
ここで、外周面2eのうち、最外端2gから最基端2jまでの区間を2gjとする。また、外周面2eのうち、最外端2gから最先端2iまでの区間を2giとする。また、外周面2eのうち、最外端2hから最基端2jまでの区間を2hjとする。また、外周面2eのうち、最外端2hから最先端2iまでの区間を2hiとする。
【0081】
本実施形態では、区間2gjにおける外周面2eの曲率半径は、区間2giにおける外周面2eの曲率半径よりも小さい。また、区間2hjにおける外周面2eの曲率半径は、区間2hiにおける外周面2eの曲率半径よりも小さい。Y軸正方向側における外周面2eの湾曲度合は、Y軸負方向側における外周面2eの湾曲度合よりも小さいからである。
【0082】
また、区間2gjにおける外周面2eの曲率半径は、区間2hjにおける外周面2eの曲率半径と等しい。ただし、これらの曲率半径は、異なっていてもよい。また、区間2giにおける外周面2eの曲率半径は、区間2hiにおける外周面2eの曲率半径と等しい。ただし、これらの曲率半径は、異なっていてもよい。
【0083】
ここで、図5Cに示すように、直線Lxと直線Lyとを設定し、直線Lxと直線Lyとの交点をOとする。直線LxはX軸に平行な直線であり、直線LyはY軸に平行な直線である。交点Oと外周面2eの最外端2gとの間の長さと、交点Oと外周面2eの最外端2hとの間の長さとは、等しいものとする。また、交点Oと外周面2eの最先端2iとの間の長さと、交点Oと外周面2eの最基端2jとの間の長さとは、等しいものとする。
【0084】
直線Lxと直線Lyと区間2hjにおける外周面2eとで囲まれた区画を区画Shjとし、直線Lxと直線Lyと区間2hiにおける外周面2eとで囲まれた区画を区画Shjとしたとき、区画Shjの面積は、区画Shiの面積よりも小さい。また、直線Lxと直線Lyと区間2gjにおける外周面2eとで囲まれた区画を区画Sgjとし、直線Lxと直線Lyと区間2giにおける外周面2eとで囲まれた区画を区画Sgiとしたとき、区画Sgjの面積は、区画Sgiの面積よりも小さい。巻回部2の外周面2eは、Y軸負方向側に向けて凸状となるように歪曲しているからである。
【0085】
このような形状を有する巻回部2は、例えば、Y軸負方向側において、真円形状を有する巻回部2の外周面2e(特に、区画2hjおよび2gj)を径方向内側(巻回部2の中心)に向けて押圧することにより形成される。加えて、Y軸正方向側において、真円形状を有する巻回部2の内周面2fを径方向外側に向けて押圧することにより形成される。
【0086】
中芯部51の外周面51eの形状は、Y軸正方向側(第1方向側)とY軸負方向側(第2方向側)とで異なっている。中芯部51の外周面51eは、Y軸正方向側で、中芯部51の外周面51eの外側に向けて膨出するように歪曲している。また、中芯部51の外周面51eは、Y軸負方向側に向けて凸状となるように歪曲している。すなわち、中芯部51の外周面51eは、真円形状を有しておらず、三角形状となるように歪んでいる。
【0087】
中芯部51の外周面51eは、最先端2Iの近傍では、最基端2Jの近傍に比べて、緩やかに(平坦状に)湾曲している。また、中芯部51の外周面51eは、最基端2Jの近傍では、最先端2Iの近傍に比べて、急峻に(凸状に)湾曲している。ただし、最先端2Iおよび最基端2Jは、X軸方向から見て(コア8の第4面8dから見て)中芯部51の径が最大となる位置に位置する。
【0088】
ここで、外周面51eのうち、最外端2Gから最基端2Jまでの区間を2GJとする。また、外周面51eのうち、最外端2Gから最先端2Iまでの区間を2GIとする。また、外周面51eのうち、最外端2Hから最基端2Jまでの区間を2HJとする。また、外周面51eのうち、最外端2Hから最先端2Iまでの区間を2HIとする。ただし、最外端2Gおよび2Hは、Y軸方向から見て(コア8の第5面8eから見て)中芯部51の外周面51eの径が最大となる位置に位置する。
【0089】
本実施形態では、区間2GJにおける外周面51eの曲率半径は、区間2GIにおける外周面51eの曲率半径よりも小さい。また、区間2HJにおける外周面51eの曲率半径は、区間2HIにおける外周面51eの曲率半径よりも小さい。Y軸正方向側における外周面51eの湾曲度合は、Y軸負方向側における外周面51eの湾曲度合よりも小さいからである。
【0090】
また、区間2GJにおける外周面51eの曲率半径は、区間2HJにおける外周面51eの曲率半径と等しい。ただし、これらの曲率半径は、異なっていてもよい。また、区間2GIにおける外周面51eの曲率半径は、区間2HIにおける外周面51eの曲率半径と等しい。ただし、これらの曲率半径は、異なっていてもよい。
【0091】
直線Lxと直線Lyと区間2HJにおける外周面51eとで囲まれた区画を区画SHJとし、直線Lxと直線Lyと区間2HIにおける外周面51eとで囲まれた区画を区画SHIとしたとき、区画SHJの面積は、区画SHIの面積よりも小さい。また、直線Lxと直線Lyと区間2GJにおける外周面51eとで囲まれた区画を区画SGJとし、直線Lxと直線Lyと区間2GIにおける外周面51eとで囲まれた区画を区画SGIとしたとき、区画SGJの面積は、区画SGIの面積よりも小さい。中芯部51の外周面51eは、Y軸負方向側に向けて凸状となるように歪曲しているからである。
【0092】
このような形状を有する中芯部51は、図3に示す第1コア5の中芯部51の断面形状が図5Cに示す断面形状となるように、中芯部51を成形することにより形成される。また、例えば、コア8(図3に示す第1コア5と図4に示す第2コア6)の圧縮成形時において、コア8(図3に示す第1コア5と図4に示す第2コア6)を構成する磁性材料の密度差を利用することにより、図5Cに示すような形状を有する中芯部51を形成することができる。本実施形態では、コア8(図3に示す第1コア5と図4に示す第2コア6)の密度は、Y軸正方向側よりも、Y軸負方向側で大きくなっている
【0093】
次に、図8A図8Fを参照しつつ、コイル装置1の製造方法について説明する。まず、Snめっき金属板等の導電板を図8Aまたは図8Cに示す形状に打抜き加工する。これにより、打抜き加工後の導電板に、端子4aおよび4bとフレーム7とが具備される。
【0094】
次に、端子4aと端子4bとの間に巻回部2を配置する。また、引出部3aの先端部32を継線部42aの切欠部420aに配置するとともに、引出部3bの先端部32をベース部41bの第1分岐部410bに配置する。なお、巻回部2としては、図5Bに示すような歪曲形状を具備した巻回部ではなく、平面視において真円形状を有する巻回部を用いる。また、引出部3aには、あらかじめ屈曲部33aを形成しておき、引出部3bには、あらかじめ屈曲部33bを形成しておく。
【0095】
次に、図8Bに示すように、継線部42bにレーザを照射し、引出部3b(先端部32)を継線部42bに溶融部9を介して一体化させる。また、継線部42aにレーザを照射し、引出部3a(先端部32)を継線部42aに溶融部9を介して一体化させる(図2参照)。本実施形態では、引出部3aおよび3bは同一方向に引き出されているため、引出部3aおよび3bに対して同一方向からレーザ照射を行うことができ、レーザ溶接が容易である。
【0096】
次に、巻回部2を端子4aおよび4bとともに金型に設置する。そして、図8Cに示すように、第1コア5の中芯部51(図3)に巻回部2を配置するとともに、第2コア6を巻回部2に覆い被せるように、第1コア5のベース部50に配置する。そして、図8Dに示すように、第1コア5と第2コア6との組立体を形成する。中間部43aおよび中間部43bについては、第1コア5および第2コア6から露出させておく。第1コア5および第2コア6としては、予め成形しておいたコア(仮成形コア)を用いる。第1コア5および第2コア6を構成する材料としては、流動性のある材料が用いられ、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂をバインダとした複合磁性材料が用いられる。
【0097】
次に、図8Dに示す組立体を圧縮成形することにより、第1コア5と第2コア6とを一体化させ、コア8(図8E)を形成する。このとき、第1コア5および第2コア6の各々を構成する磁性材料の密度差(密度の偏り)によって、中芯部51の外周面51eに図5Bに示すような歪曲形状(膨出形状および凸形状)を付与することができる。また、圧縮成形時の圧力(第1コア5の中芯部51から受ける圧力/第2コア6の本体部60から受ける圧力)によって、巻回部2の外周面2eに図5Bに示すような歪曲形状(膨出形状および凸形状)を付与することができる。例えば、継線部42aおよび42bの周辺部ほど、第2コア6を構成する磁性材料の密度を低くしてもよい。
【0098】
次に、図8Eに示すように、フレーム7(図8D)を切断器具で切断して除去する。次に、図8Fに示すように、中間部43aを折り曲げ、コア8の第4面8d(側方凹部80)に固定する。さらに、中間部43aの先端部を折り曲げ、コア8の第1面8aに配置し、接続部44aを形成する。また、中間部43bを折り曲げ、コア8の第3面8c(側方凹部80)に配置する。さらに、中間部43bの先端部を折り曲げ、コア8の第1面8aに配置し、接続部44bを形成する。以上のようにして、コイル装置1を製造することができる。
【0099】
図5Bに示すように、本実施形態のコイル装置1では、引出部3aが、内側に向けて突出するように屈曲する屈曲部33aを有する。そのため、屈曲部33aの屈曲度合に応じて、引出部3aの一部が巻回部2の外周面2eの近傍に配置され、引出部3aと外周面2eとの間に隙間G1が形成されにくくなる。それゆえ、コイル装置1の製造時において、コア8を構成する磁性材料が、引出部3aと外周面2eとの間に入り込みにくくなる。これにより、磁性材料を介して、引出部3aと外周面2eとの間でショート不良が発生することを防止することができる。また、引出部3aの一部が外周面2eの近傍に配置されることにより、巻回部2のターン数を増大させ、コイル装置1の磁気特性(インダクタンス値)を向上させることができる。また、屈曲部33aの内角θ1は鈍角であるため、屈曲部33aにおいて引出部3aが過度に屈曲することがなく、引出部3aの屈曲に起因するコイル装置1の電気的特性の変動を防止することができる。
【0100】
また、屈曲部33aは、巻回部2の外周面2eに隣接している。そのため、引出部3aの一部が巻回部2の外周面2eの近傍に配置され、引出部3aと外周面2eとの間に隙間G1が形成されにくくなる。そのため、上述した効果を有効に得ることができる。
【0101】
また、引出部3aは、屈曲部33aよりも一方側に位置する基端部31と、屈曲部33aよりも他方側に位置する先端部32とを有する。そして、基端部31は、先端部32よりも、巻回部2の外周面2eの近傍に配置されている。基端部31が外周面2eの近傍に配置されることにより、基端部31と外周面2eとの間に隙間G1が形成されにくくなる。そのため、コイル装置1の製造時において、コア8を構成する磁性材料が、基端部31と巻回部2の外周面2eとの間に入り込みにくくなる。これにより、磁性材料を介して、基端部31と外周面2eとの間でショート不良が発生することを防止することができる。また、基端部31が外周面2eの近傍に配置されることにより、巻回部2のターン数を増大させ、コイル装置1の磁気特性を向上させることができる。
【0102】
また、巻回部2の巻軸は、コア8の中心に対して、引出部3aが配置される側とは反対側に位置ずれしている。そのため、引出部3aの引出先において、コア8の内部に引出部3aの設置スペースを確保することができ、コア8の内部に引出部3aを配置しやすくなる。また、引出部3aの引出先において、コア8の内部に継線部42a(図2)の設置スペースを確保することができ、コア8の内部に継線部42aを設置しやすくなる。
【0103】
また、コア8の第5面8e側において、コア8の体積を確保しやすくなる。そのため、継線部42aおよび42bと、引出部3aおよび3bとがコア8から露出することを防止し、これらをコア8で保護することができる。また、コア8の第5面8e側に継線部42aおよび42bを配置するためのスペースが形成されるため、当該スペースを確保するためにコア8を第5面8e側に拡張する必要がなく、コイル装置1の小型化を図ることができる。
【0104】
また、巻回部2の外周面2eをコア8の第5面8eから離間した位置に配置させることができる。そのため、外周面2eとコア8の第5面8eとの間において、コア8の厚みを十分に確保することが可能となり、コア8の第5面8eにクラックが生じることを防止することができる。
【0105】
また、コイル装置1は、引出部3aと、引出部3aとは巻回部2の巻軸に沿って位置ずれした引出部3bとを有する。そして、引出部3aには屈曲部33aが設けられており、引出部3bには屈曲部33bが設けられている。そのため、屈曲部33aの屈曲度合に応じて、引出部3aの一部が巻回部2の外周面2eの近傍に配置され、引出部3aと外周面2eとの間に隙間G1が形成されにくくなる。また、屈曲部33bの屈曲度合に応じて、引出部3bの一部が巻回部2の外周面2eの近傍に配置され、引出部3bと外周面2eとの間に隙間G2が形成されにくくなる。そのため、コイル装置1の製造時において、コア8を構成する磁性材料が、引出部3aと外周面2eとの間、さらには引出部3bと外周面2eとの間に入り込みにくくなる。これにより、磁性材料を介して、引出部3aと外周面2eとの間、さらには引出部3bと外周面2eとの間で、ショート不良が発生することを防止することができる。
【0106】
また、引出部3aには先端部32が設けられており、引出部3bには先端部32が設けられている。そして、引出部3aの先端部32と引出部3bの先端部32との間隔は、巻回部2の最大径(最外端2gと最外端2hとの間のX軸に沿った長さ)よりも小さい。そのため、引出部3aの先端部32と引出部3bの先端部32との間隔に応じて、引出部3aと巻回部2の外周面2eとの間隔、さらには引出部3bと巻回部2の外周面2eとの間隔を狭くすることが可能となる。これにより、引出部3aと巻回部2の外周面2eとの間に隙間G1が形成されることを有効に防止することができる。また、引出部3bと巻回部2の外周面2eとの間に隙間G2が形成されることを有効に防止することができる。
【0107】
(第2実施形態)
図9に示す第2実施形態のコイル装置1Aは、以下に示す点を除いて、第1実施形態のコイル装置1と同様の構成を有する。第1実施形態のコイル装置1と重複する部分には、同一符号を付し、その詳細な説明については省略する。なお、図9では、巻回部2および引出部3aAおよび3bAのみ図示している。
【0108】
引出部3aAおよび3bAは、先端部32Aを有する。先端部32Aは、Y軸に対して、外側(巻回部2の中心から離れる側)に向けて傾斜した方向に引き出されている。図9中の二点鎖線で示すように、先端部32Aは、Y軸に対して、内側に向けて傾斜した方向に引き出されていてもよい。本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0109】
(第3実施形態)
図10に示す第3実施形態のコイル装置1Bは、以下に示す点を除いて、第1実施形態のコイル装置1と同様の構成を有する。第1実施形態のコイル装置1と重複する部分には、同一符号を付し、その詳細な説明については省略する。なお、図10では、巻回部2および引出部3aBおよび3bBのみ図示している。
【0110】
引出部3aBは、先端部32Bと、屈曲部33aおよび34aとを有する。また、引出部3bBは、先端部32Bと、屈曲部33bおよび34bとを有する。屈曲部33aおよび34aの各々の内角は鈍角であり、屈曲部33bおよび34bの各々の内角は鈍角である。本実施形態では、引出部3aBには、2つの屈曲部33aおよび34aが形成されているが、屈曲部の数は3つ以上でもよい。また、引出部3bBには、2つの屈曲部33bおよび34bが形成されているが、屈曲部の数は3つ以上でもよい。
【0111】
屈曲部33aの内角θ3は、屈曲部34aの内角θ4よりも小さくなっているが、内角θ4よりも大きくてもよい。あるいは、屈曲部33aの内角θ3は、屈曲部34aの内角θ4と等しくてもよい。屈曲部33bの内角および屈曲部34bの内角についても同様である。
【0112】
先端部32Bは、第1部分321と、第1部分321に連続する第2部分322とを有する。屈曲部33aまたは33bは、基端部31と第1部分321との交差部に形成されている。屈曲部34aまたは34bは、第1部分321と第2部分322との交差部に形成されている。第1部分321の延在方向の長さは、第2部分322の延在方向の長さよりも短くなっているが、これよりも長くてもよい。あるいは、第1部分321の延在方向の長さは、第2部分322の延在方向の長さと等しくてもよい。
【0113】
第1部分321は、Y軸に対して、外側(巻回部2の中心から離れる側)に向けて傾斜した方向に引き出されている。ただし、図11に示すように、第1部分321は、Y軸に対して、内側に向けて傾斜した方向に引き出されていてもよい。
【0114】
図10に示すように、第2部分322は、Y軸に沿って引き出されている。ただし、第2部分322は、Y軸に対して、外側(巻回部2の中心から離れる側)に向けて傾斜した方向に引き出されていてもよい。あるいは、図11に示すように、第2部分322は、Y軸に対して、内側に向けて傾斜した方向に引き出されていてもよい。
【0115】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。加えて、図10に示すように、本実施形態では、引出部3aBには、複数の屈曲部33aおよび34aが設けられている。そのため、屈曲部33aによって、引出部3aBの一部を巻回部2の外周面2eの近傍に配置するとともに、屈曲部34aによって、引出部3aBの引出先を継線部42a(図2)の近傍に配置することができる。これにより、引出部3aBを継線部42aに接続しやすくなる。
【0116】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。上記第1実施形態において、図12Aおよび図12Bに示すように、引出部3aの第1引出位置2cは、巻回部2の最外端2gに位置していてもよい。また、引出部3bの第2引出位置2dは、巻回部2の最外端2hに位置していてもよい。すなわち、Y軸方向から見て(図2のコア8の第5面8e側から見て)、引出部3aおよび3bは、巻回部2の外周面2eの径が最大となる位置から引き出されてもよい。この場合、隙間G1は、屈曲部33aの近傍から最外端2gにかけて形成される。また、隙間G2は、屈曲部33bの近傍から最外端2hにかけて形成される。上記第2実施形態および第3実施形態についても同様である。
【0117】
上記各実施形態では、巻回部2の外周面2eおよび中芯部51の外周面51eのいずれも、膨出形状(歪曲形状)を有していた。しかしながら、巻回部2の外周面2eおよび中芯部51の外周面51eは、膨出形状(歪曲形状)を具備していなくてもよい。上記第2実施形態および第3実施形態についても同様である。
【0118】
上記各実施形態では、巻回部2の外周面2eおよび中芯部51の外周面51eのいずれも、凸形状(歪曲形状)を有していた。しかしながら、巻回部2の外周面2eおよび中芯部51の外周面51eは、凸形状(歪曲形状)を具備していなくてもよい。上記第2実施形態および第3実施形態についても同様である。
【0119】
上記第1実施形態では、引出部3aおよび3bのいずれにも屈曲部が形成されていた。しかしながら、引出部3aおよび3bのいずれか一方にのみ屈曲部が形成されていてもよい。上記第2実施形態および第3実施形態についても同様である。
【0120】
上記各実施形態において、ワイヤ10は平角線ワイヤで構成されていたが、丸線、撚り線、リッツ線、編組線等、平角線ワイヤ以外のワイヤで構成されていてもよい。
【0121】
上記各実施形態では、第1コア5と第2コア6の2つのコアでコア8を構成したが、1つのコアのみでコイル装置1のコア8を構成してもよい。この場合、金型の内部において、圧粉成形あるいは射出成型等によりコア8を形成してもよい。
【0122】
上記各実施形態では、本開示のインダクタへの適用例について示したが、インダクタ以外のコイル装置に本開示を適用してもよい。
【符号の説明】
【0123】
1,1A,1B…コイル装置
2…巻回部
2a…第1端部
2b…第2端部
2c…第1引出位置
2d…第2引出位置
2e…外周面
2f…内周面
2g,2h…最外端
2i…最先端
2j…最基端
3a,3b,3aA,3bA,3aB,3bB…引出部
31…基端部
32,32A,32B…先端部
321…第1部分
322…第2部分
33a,33b,34a,34b…屈曲部
4a,4b…端子
41a,41b…ベース部
410a,410b…第1分岐部
411a,411b…第2分岐部
412a,412b…第1湾曲部
413a,413b…第2湾曲部
42a,42b…継線部
420a…切欠部
43a,43b…中間部
44a,44b…接続部
45a,45b…凹部
5…第1コア
50…ベース部
51…中芯部
51e…外周面
52…凹部
6…第2コア
60…本体部
61…収容孔
62a,62b…収容溝
63a,63b…連結溝
64,65…凹部
66…底部
7…フレーム
8…コア
80…側方凹部
9…溶融物
10…ワイヤ
11…被膜
G1,G2…隙間
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9
図10
図11
図12A
図12B