(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119481
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】無線端末用カバー及び無線端末
(51)【国際特許分類】
H01Q 5/30 20150101AFI20240827BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20240827BHJP
H04M 1/11 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H01Q5/30
H01Q1/24 Z
H04M1/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026407
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】524066085
【氏名又は名称】FCNT合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 実
【テーマコード(参考)】
5J047
5K023
【Fターム(参考)】
5J047AA01
5J047AA02
5J047AB06
5J047EF05
5J047FD01
5K023AA07
5K023LL05
5K023MM03
(57)【要約】
【課題】外部に設けたアンテナの性能劣化を抑制できる無線端末用カバー及び無線端末を提供する。
【解決手段】本無線端末用カバーは、枠状の金属筐体の一部に形成されたアンテナを有する無線端末に装着される無線端末用カバーであって、装着された上記無線端末の背面側に配置される背面カバーと、上記背面カバーと折り曲げ部で接続され、上記折り曲げ部で折り曲げられることで上記無線端末の前面側に配置される前面カバーと、上記前面カバー内に配置され、第1の周波数の電波で動作するアンテナエレメントと、上記背面カバー上に形成され、装着された上記無線端末の上記アンテナの側面に配置される第1の導体部と、前記第1の導体部に接続されるとともに、前記アンテナエレメントに沿って配置される第2の導体部と、を備え、上記アンテナと上記第1の導体部とが容量結合されるとともに、上記アンテナエレメントと上記第2の導体部とが容量結合される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠状の金属筐体の一部に形成されたアンテナを有する無線端末に装着される無線端末用カバーであって、
装着された前記無線端末の背面側に配置される背面カバーと、
前記背面カバーと折り曲げ部で接続され、前記折り曲げ部で折り曲げられることで前記無線端末の前面側に配置される前面カバーと、
前記前面カバー内に配置され、第1の周波数の電波で動作するアンテナエレメントと、
前記背面カバー上に形成され、装着された前記無線端末の前記アンテナの側面に配置される第1の導体部と、
前記第1の導体部に接続されるとともに、前記アンテナエレメントに沿って配置される第2の導体部と、を備え、
前記アンテナと前記第1の導体部とが容量結合されるとともに、前記アンテナエレメントと前記第2の導体部とが容量結合される、
無線端末用カバー。
【請求項2】
前記背面カバー上において少なくとも前記アンテナの側方に形成され、前記無線端末を保持する保持部をさらに備え、
前記第1の導体部は、前記保持部内に配置される、
請求項1に記載の無線端末用カバー。
【請求項3】
前記第1の導体部と前記アンテナとの間隔は、0.4mmから0.8mmの範囲内である、
請求項1に記載の無線端末用カバー。
【請求項4】
前記第1の導体部の前記アンテナに沿った長さは、30mmから50mmの範囲内である、
請求項1に記載の無線端末用カバー。
【請求項5】
前記背面カバーの前記無線端末に対向する面とは反対側の第1の面に取り付けられるベルト部材と、
前記前面カバーの前記折り曲げ部で折り返されることで前記前面側に対向する面とは反対側の第2の面に取り付けられる固定部材と、をさらに備え、
前記第1の面と前記第2の面とが接近するように前記背面カバーと前記前面カバーと前記折り曲げ部において折り曲げた状態で、前記ベルト部材の前記第1の面に取り付けられた端部とは反対側の端部が前記固定部材に固定される、
請求項1に記載の無線端末用カバー。
【請求項6】
前記背面カバー、前記折り曲げ部及び前記前面カバーのいずれかにストラップ用ホールが形成され、
前記アンテナエレメントの一端は、前記ストラップ用ホールに達する、
請求項1に記載の無線端末用カバー。
【請求項7】
前記ストラップ用ホールには、前記第1の周波数とは異なる第2の周波数で動作する第2のアンテナエレメントが接続される、
請求項6に記載の無線端末用カバー。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の無線端末用カバーを装着した無線端末であって、
接続端子と、
前記接続端子に接続され、前記第1の周波数の前記電波で動作する外部アンテナと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記外部アンテナによる第1の受信品質を測定し、
前記アンテナエレメントによる第2の受信品質を測定し、
前記外部アンテナと前記アンテナエレメントのうち前記第1の周波数の前記電波の送受信に用いるアンテナを前記第1の受信品質及び前記第2の受信品質を基に決定する、
無線端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線端末用カバー及び無線端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン等の無線端末が広く利用されている。このような無線端末では、アンテナ性能の向上を図る様々な技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2018/003182号
【特許文献2】特開2017-118304号公報
【特許文献2】特開2005-303849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地上デジタル放送で用いられる電波の波長は比較的長い(例えば、周波数470MHzの場合で160mm)ため、地上デジタル放送用のアンテナをスマートフォン等の無線端末内に収容することは困難である。そこで、無線端末の筐体に設けた外部端子に地上デジタル放送用のアンテナを接続することが行われる。しかしながら、外部端子において高周波信号の伝送にロスが生じるため、地上デジタル放送用のアンテナの性能が劣化する虞がある。
【0005】
開示の技術の1つの側面は、外部に設けたアンテナの性能劣化を抑制できる無線端末用カバー及び無線端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の1つの側面は、次のような無線端末用カバーによって例示される。本無線端末用カバーは、枠状の金属筐体の一部に形成されたアンテナを有する無線端末に装着される無線端末用カバーであって、装着された上記無線端末の背面側に配置される背面カバーと、上記前面カバー内に配置され、第1の周波数の電波で動作するアンテナエレメントと、上記背面カバーと折り曲げ部で接続され、上記折り曲げ部で折り曲げられることで上記無線端末の前面側に配置される前面カバーと、上記背面カバー上に形成され、装着された上記無線端末の上記アンテナの側面に配置される第1の導体部と、上記第1の導体部に接続されるとともに、上記アンテナエレメントに沿って配置される第2の導体部と、を備え、上記アンテナと上記第1の導体部とが容量結合されるとともに、上記アンテナエレメントと上記第1の導体部とが容量結合される。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、外部に設けたアンテナの性能劣化を抑制できる無線端末用カバー及び無線端末を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るスマートフォンカバーの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、スマートフォンカバーが装着されるスマートフォンのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、信号処理回路の構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1比較例に係るスマートフォンの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第2比較例に係るスマートフォンの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態、第1比較例及び第2比較例の放射効率を検証するシミュレーションの結果を例示する図である。
【
図8】
図8は、スマートフォンカバーをスマートフォンに装着した状態における放射効率と、スマートフォン単体での放射効率を比較するシミュレーションの結果を例示する図である。
【
図9】
図9は、第1導体部のY方向の長さとアンテナエレメントの放射効率を検証するシミュレーションの結果を例示する図である。
【
図10】
図10は、アンテナと第1導体部とのX方向の距離について検証するシミュレーションの結果を例示する図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係るスマートフォンによる受信アンテナ選択の処理フローの一例を示す第1の図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係るスマートフォンによる受信アンテナ選択の処理フローの一例を示す第2の図である。
【
図13】
図14は、第1変形例に係るスマートフォンカバーの一例を示す第1の図である。
【
図14】
図14は、第1変形例に係るスマートフォンカバーの一例を示す第2の図である。
【
図15】
図15は、スマートフォンカバーの使用態様の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、第2変形例に係るスマートフォンカバーの一例を示す図である。
【
図17】
図17は、第2変形例に係るストラップの一例を示す図である。
【
図18】
図18は、第2変形例に係るスマートフォンカバーにストラップを取り付けた状態を例示する図である。
【
図19】
図19は、アンテナの位置に応じたアンテナエレメント及び導体部の配置の例を示す図である。
【
図20】
図20は、アンテナエレメントのバリエーションの例を示す図である。
【
図21】
図21は、第2導体部の位置のバリエーションの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
以下、図面を参照して実施形態についてさらに説明する。
図1は、実施形態に係るスマートフォンカバー1の一例を示す図である。
図1では、スマートフォンカバー1が装着されるスマートフォン500も例示される。なお、
図1では、外観では目視できないアンテナエレメント31、導体部32及び信号処理回路540も説明のため記載されている。スマートフォン500は、「無線端末」の一例である。スマートフォンカバー1は、「無線端末用カバー」の一例である。
【0010】
スマートフォンカバー1がスマートフォン500に装着されると、背面カバー11はスマートフォン500の背面(ディスプレイ513とは反対側の面)に配置される。スマートフォンカバー1では、背面カバー11と側面カバー13との間に折り曲げ部132が設けられ、側面カバー13と前面カバー12との間に折り曲げ部131が設けられる。スマートフォンカバー1の背面カバー11、前面カバー12及び側面カバー13は、例えば、皮、布、合成皮革等によって形成される。背面カバー11は、「背面カバー」の一例である。
【0011】
折り曲げ部131、132で前面カバー12及び側面カバー13をスマートフォン500の前面側に折り曲げると、側面カバー13はスマートフォン500の側面に配置され、前面カバー12はスマートフォン500の前面に配置される。スマートフォンカバー1は
、いわゆる手帳型のカバーである。以下、本明細書において、背面カバー11から前面カバー12に向かう方向をX方向、背面カバー11からスマートフォン500に向かう方向をZ方向、X方向とZ方向に直交する方向をY方向とする。折り曲げ部131、132は、「折り曲げ部」の一例である。前面カバー12は、「前面カバー」の一例である。
【0012】
スマートフォン500は、金属で形成された矩形枠状の筐体510を備える。筐体510には、アンテナ530が形成される。アンテナ530は、例えば、全球測位衛星システム(GNSS)用のモノポールアンテナである。アンテナ530の長さは、例えば、GNSSで使用される電波の波長をλ1とすると、λ1/4となるように設定される。アンテナ530の長さは、例えば、アンテナ530がGNSSで使用される場合には50mmである。アンテナ530は、隙間521、522によって筐体510のうちのアンテナ530以外の領域から分離される。隙間521、522には、例えば、樹脂が充填されてもよい。筐体510は、「金属筐体」の一例である。
【0013】
アンテナ530には、筐体510内に装着された信号処理回路540が接続される。信号処理回路540は、例えば、アンテナ530への給電を行ったり、アンテナ530によって送受信される信号の処理を行ったりする。アンテナ530は、「アンテナ」の一例である。
【0014】
背面カバー11において、矩形に形成されたスマートフォン500の四隅の夫々に対応する位置には、保持ホルダ21が配置される。スマートフォン500は、保持ホルダ21によって四隅を保持されることで、スマートフォンカバー1に装着される。保持ホルダ21は、「保持部」の一例である。
【0015】
スマートフォンカバー1に装着されたスマートフォン500のアンテナ530に対応する位置には、導体部32が配置される。
図1の例では、導体部32は、保持ホルダ21のうち左上に配置された保持ホルダ22の内部に設けられ、スマートフォンカバー1の外観には現れない。導体部32とアンテナ530との距離は、導体部32とアンテナ530とが容量結合できる距離に設定される。
【0016】
アンテナエレメント31は、前面カバー12から側面カバー13を経て導体部32の背面側に延びるように配置される。アンテナエレメント31は、例えば、フレキシブル基板上に形成される。アンテナエレメント31は、例えば、背面カバー11内に配置されており、スマートフォンカバー1の外観には現れない。アンテナエレメント31の長さは、例えば、地上デジタル放送で使用される電波の波長をλ2とすると、λ2/4となるように設定される。アンテナエレメント31が地上デジタル放送で使用される場合、アンテナエレメント31の長さは150mmから160mmである。アンテナエレメント31は、容量結合によって給電されるアンテナである。アンテナエレメント31は、「アンテナエレメント」の一例である。波長λ2の電波は、「第1の周波数の電波」の一例である。
【0017】
図2は、
図1のA-A線断面を示す図である。導体部32はY方向視おいてL字状に形成され、アンテナ530の側方(+X方向)に配置される第1導体部321と、アンテナ530の下方(-Z方向)に配置されるとともに、アンテナ530とアンテナエレメント31との間に配置される第2導体部322を含む。第1導体部321は、スマートフォン500にスマートフォンカバー1が装着されると、アンテナ530とX方向に並んで配置される位置に設けられる。第1導体部321は、法線方向をX方向とした板状に形成される。第1導体部321は、アンテナ530に面方向を向けた状態で(対向して)配置される。第2導体部322は、第1導体部321の背面カバー11側の端部(-Z方向の端部)に接続され、法線方向をZ方向とした板状に形成される。第2導体部322は、アンテナエレメント31に面方向を向けた状態で(対向して)配置される。
【0018】
アンテナ530と第1導体部321とは、容量結合する距離で互いに離れて配置される。また、第2導体部322とアンテナエレメント31とは、容量結合する距離で互いに離れて配置される。そのため、アンテナエレメント31が地上デジタル放送で使用される電波を受信すると、アンテナエレメント31と第2導体部322との容量結合、及び、第1導体部321とアンテナ530との容量結合を介して、受信した信号が信号処理回路540に入力される。すなわち、スマートフォンカバー1のアンテナエレメント31は、アンテナエレメント31と第2導体部322との容量結合、及び、第1導体部321とアンテナ530との容量結合を介して、信号処理回路540に接続される。第1導体部321は、「第1の導体部」の一例である。第2導体部322は、「第2の導体部」の一例である。
【0019】
図3は、スマートフォンカバー1が装着されるスマートフォン500のハードウェア構成の一例を示す図である。スマートフォン500は、CPU501、主記憶部502、補助記憶部503、信号処理回路540、アンテナ530、外部端子531、スピーカー511、マイクロフォン512、ディスプレイ513、接続バスB1及び接続バスB2を備える。CPU501、主記憶部502、補助記憶部503、信号処理回路540、スピーカー511、マイクロフォン512及びディスプレイ513は、接続バスB1によって接続される。信号処理回路540、アンテナ530及び外部端子531は、接続バスB2によって接続される。
【0020】
CPU501は、マイクロプロセッサユニット(MPU)、プロセッサとも呼ばれる。CPU501は、単一のプロセッサに限定される訳ではなく、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一のCPU501がマルチコア構成を有していてもよい。CPU501が実行する処理のうち少なくとも一部は、CPU501以外のプロセッサ、例えば、Digital Signal Processor(DSP)、Graphics Processing Unit(GPU)、数値演算プロセッサ、ベクトルプロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用プロセッサで行われてもよい。また、CPU501が実行する処理のうち少なくとも一部は、集積回路(IC)、その他のデジタル回路によって実行されてもよい。また、CPU501の少なくとも一部にアナログ回路が含まれてもよい。集積回路は、Large Scale Integrated circuit(LSI)、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)を含む。PLDは、例えば、Field-Programmable Gate Array(FPGA)を含む。CPU501は、プロセッサと集積回路との組み合わせであってもよい。組み合わせは、例えば、マイクロコントローラーユニット(MCU)、System-on-a-chip(SoC)、システムLSI、チップセットなどと呼ばれる。スマートフォン500では、CPU501が補助記憶部503に記憶されたプログラムを主記憶部502の作業領域に展開し、プログラムの実行を通じて周辺装置の制御を行う。これにより、スマートフォン500は、所定の目的に合致した処理を実行することができる。主記憶部502及び補助記憶部503は、CPU501が読み取り可能な記録媒体である。CPU501は、「制御部」の一例である。
【0021】
主記憶部502は、CPU501から直接アクセスされる記憶部として例示される。主記憶部502は、例えば、Random Access Memory(RAM)及びRead Only Memory(ROM)である。
【0022】
補助記憶部503は、各種のプログラム及び各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納する。補助記憶部503には、オペレーティングシステム(Operating System、OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。なお、補助記憶部
503は、例えば、ネットワーク上のコンピューター群であるクラウドシステムの一部であってもよい。
【0023】
補助記憶部503は、例えば、Erasable Programmable ROM(EPROM)、ソリッドステートドライブ(Solid State Drive、SSD)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、HDD)等である。
【0024】
信号処理回路540は、アンテナ530やアンテナエレメント31によって受信された電波を処理する回路である。
図4は、信号処理回路540の構成の一例を示す図である。
図4では、アンテナ530、アンテナエレメント31、外部端子531及び外部アンテナ532も例示される。アンテナ530とアンテナエレメント31とは、アンテナエレメント31と第2導体部322との容量結合、及び、第1導体部321とアンテナ530との容量結合を介して、接続される。
【0025】
信号処理回路540は、第1受信回路541、第2受信回路542、スイッチ543、マッチング回路544、ダイプレクサ545及びマッチング回路546を有する。第1受信回路541は、地上デジタル放送の受信に用いられる回路である。第2受信回路542は、GNSSの受信に用いられる回路である。
【0026】
スイッチ543は、第1受信回路541をアンテナエレメント31への接続と外部アンテナ532への接続とを切り替えるスイッチである。スイッチ543は、例えば、CPU501によって制御される。マッチング回路544は、外部端子531に接続される外部アンテナ532とのインピーダンス整合を行う回路である。外部アンテナ532は、例えば、外部端子531に接続されるアンテナケーブルである。
【0027】
ダイプレクサ545は、アンテナ530によって受信されたGNSSの信号またはアンテナエレメント31によって受信された地上デジタル放送の信号を分離する。ダイプレクサ545は、地上デジタル放送の信号を第1受信回路541に入力させ、GNSSの信号を第2受信回路542に入力させる。
【0028】
外部端子531は、外部アンテナ532を接続する端子である。外部端子531は、イヤホン端子を兼ねてもよい。スマートフォン500は、外部端子531に接続された外部アンテナ532を用いても、地上デジタル放送の信号を受信できる。外部端子531は、「接続端子」の一例である。外部アンテナ532は、「外部アンテナ」の一例である。
【0029】
図3に戻り、スピーカー511は、音を出力する音源である。スピーカー511は、例えば、スマートフォン500が受信した地上デジタル放送の音を出力する。マイクロフォン512は、例えば、通話や動画の音声取得に用いられる。
【0030】
ディスプレイ513は、CPU501で処理されるデータや主記憶部502に記憶されるデータを表示する。ディスプレイ513は、例えば、スマートフォン500の前面側に配置される。ディスプレイ513は、例えば、Liquid Crystal Display(LCD)、Plasma Display Panel(PDP)、無機Electroluminescence(EL)パネル、有機ELパネルである。ディスプレイ513には、例えば、ユーザの指等によるタッチ操作を検知するタッチパネルが重畳して設けられてもよい。スマートフォン500は、ディスプレイ513にタッチパネルが重畳して設けられることで、直感的な操作環境をユーザに提供することができる。
【0031】
<比較例>
ここで、比較例について説明する。
図5は、第1比較例に係るスマートフォン700の一例を示す図である。スマートフォン700は、筐体710内に地上デジタル放送の受信に用いるアンテナ731を備える。
図6は、第2比較例に係るスマートフォン800の一例を示す図である。スマートフォン800は、イヤホンジャック801に接続されて筐体810の外部に配置されるアンテナ831を備える。
【0032】
<シミュレーション>
本実施形態に係るスマートフォンカバー1が装着されたスマートフォン500のアンテナエレメント31、第1比較例に係るスマートフォン700のアンテナ731及び第2比較例に係るスマートフォン800のアンテナ831について放射効率を検証するシミュレーションを行ったので、説明する。本シミュレーションでは、アンテナ731の長さを120mm、アンテナ831の長さを138mm、アンテナエレメント31の長さを129mmに設定した。また、スマートフォンカバー1の背面カバー11、前面カバー12及び側面カバー13の比誘電率を3.0に設定した。
【0033】
図7は、実施形態、第1比較例及び第2比較例の放射効率を検証するシミュレーションの結果を例示する図である。
図7の縦軸は放射効率(dB)を例示し、横軸は周波数(MHz)を例示する。
図7を参照すると、第1比較例では、筐体710に対して比較的大きなアンテナ731が筐体710内に内蔵されていることから、アンテナ731と筐体710内の金属との距離が近くなる。そのため、第2比較例及び実施形態と比較して、アンテナの特性が大きく劣化する。
【0034】
第2比較例では、アンテナ831が筐体810外部に出ていることからアンテナ効率は高くなっている。しかしながら、アンテナ831とスマートフォン800との接続にイヤホンジャック801が用いられるため、アンテナ831への給電を行うイヤホンジャック801において信号の伝搬にロスが生じる。このロスは、イヤホンジャック801と筐体810内の基板とのコネクタ、基板上の配線、イヤホンジャック801自身の金属等で生じる伝送損失、接触抵抗、インピーダンス不整合損失等の影響によると考えられる。
【0035】
図7を参照すると、実施形態によれば、第1比較例及び第2比較例のいずれに対しても高い効率のアンテナが実現できることが理解できる。実施形態におけるアンテナ特性は、第1比較例よりも約20dBの改善が見られ、第2比較例よりも1-2dBの改善がみられる。
【0036】
つづいて、スマートフォンカバー1をスマートフォン500に装着した状態における放射効率と、スマートフォン500単体での放射効率を比較した。
図8は、スマートフォンカバー1をスマートフォン500に装着した状態における放射効率と、スマートフォン500単体での放射効率を比較するシミュレーションの結果を例示する図である。
図8の縦軸は放射効率(dB)を例示し、横軸は周波数(MHz)を例示する。
図8では、アンテナエレメント31は「カバーアンテナ」と記載され、アンテナ530は「筐体アンテナ」と記載される。
【0037】
スマートフォン500が単体で使用される場合には、アンテナ530は、例えば、GNSS用のアンテナとして動作する。一方、スマートフォンカバー1がスマートフォン500に装着されると、アンテナ530はアンテナエレメント31との容量結合部、いわゆるアンテナエレメント31の給電部として動作する。すなわち、スマートフォン500が単体で使用される場合にはアンテナ530がアンテナとして使用され、スマートフォンカバー1がスマートフォン500に装着されるとアンテナエレメント31がアンテナとして使用されることになる。
【0038】
図8を参照すると、スマートフォンカバー1がスマートフォン500に装着されることで、地上デジタル放送の帯域(
図8の「地デジ帯域」)においてアンテナ効率が得られとともに、GNSS帯域においてはスマートフォン500単体で使用する場合よりも0.5dB程アンテナ効率が改善されることが理解できる。
【0039】
アンテナ530と容量結合させる第1導体部321のY方向の長さについて検証したので、説明する。本シミュレーションでは、第1導体部321とアンテナ530とのX方向の距離を0.6mmに設定し、電波の周波数は470MHzとした。
図9は、第1導体部321のY方向の長さとアンテナエレメント31の放射効率を検証するシミュレーションの結果を例示する図である。
図9の縦軸は放射効率(dB)を例示し、横軸は第1導体部321のY方向の長さ(mm)を例示する。
図9を参照すると、第1導体部321のY方向の長さがλ
2/8(約80mm)以下であってもアンテナエレメント31の放射効率に問題は無いことが理解できる。
【0040】
つづいて、アンテナ530と第1導体部321とのX方向の距離について検証したので、説明する。本シミュレーションでは、第1導体部321のY方向の長さを40mm、電波の周波数は570MHzとした。
図10は、アンテナ530と第1導体部321とのX方向の距離について検証するシミュレーションの結果を例示する図である。
図10の縦軸は放射効率(dB)を例示し、横軸はアンテナ530と第1導体部321とのX方向の距離(mm)を例示(
図10では、「間隔」と記載)する。
【0041】
図10を参照すると理解できるように、アンテナ530と第1導体部321とのX方向の距離が0.6mmを中心として±0.2mmの範囲で変化させても、放射効率の変化は0.2dB程度に抑えられることが理解できる。また、第1導体部321のY方向の長さについて40mmを中心として±10mmの範囲で変化させても、
図9に例示するように、放射効率の変化は0.3dB程度に抑えられることが理解できる。すなわち、スマートフォンカバー1について多少の製造誤差が生じても、アンテナエレメント31の放射効率への影響は少ないと考えられる。
【0042】
<スマートフォン500による受信アンテナの選択>
図11及び
図12は、実施形態に係るスマートフォン500による受信アンテナ選択の処理フローの一例を示す図である。
図11及び
図12に例示する処理フローの各処理は、例えば、補助記憶部503に記憶されたプログラムを実行したCPU501によって実現される。なお、
図11では、アンテナエレメント31は「カバーアンテナ」と記載される。以下、
図11及び
図12を参照して、スマートフォン500による受信アンテナ選択の処理フローの一例について説明する。
【0043】
T1では、CPU501は、地上デジタル放送の受信を外部アンテナ532を用いて開始させる。すなわち、CPU501は、スイッチ543を切り替えることで、第1受信回路541を外部アンテナ532側に接続した状態で地上デジタル放送の受信を開始させる。
【0044】
T2では、CPU501は、地上デジタル放送で放送される放送局から任意の放送局を選択する。ここでは、前回地上デジタル放送を受信した際に選択された放送局が選択されてもよい。CPU501は、また、放送局の指定をユーザから受け付けてもよい。
【0045】
T3では、CPU501は、T2で選択された放送局を受信する際のCN値(キャリアノイズ値)を測定する。ここでは、T2で選択された放送局による放送を外部アンテナ532を用いて受信する際のCN値が測定される。T3で測定されるCN値は、「第1の受信品質」の一例である。
【0046】
T4では、CPU501は、スイッチ543を切り替えることで、第1受信回路541をアンテナエレメント31側に接続した状態で、T2で選択された放送局による放送の受信を開始させる。
【0047】
T5では、CPU501は、T2で選択された放送局をアンテナエレメント31を用いて受信する際のCN値を測定する。T5で測定されるCN値は、「第2の受信品質」の一例である。
【0048】
T6では、CPU501は、T3で測定されたCN値とT5で測定されたCN値のいずれもが閾値以上であるか否かを判定する。いずれも閾値以上である場合(T6でYES)、処理はT7に進められる。少なくともいずれか一方が閾値未満である場合(T6でNO)、処理はT8に進められる。なお、閾値は、例えば、補助記憶部503に予め記憶される。
【0049】
T7では、CPU501は、地上デジタル放送の受信に用いるアンテナとして、CN値の大きいアンテナを選択する。CPU501は、例えば、T3で測定されたCN値の方がT5で測定されたCN値よりも大きい場合には、地上デジタル放送の受信に用いるアンテナとして、外部アンテナ532を選択する。また、CPU501は、例えば、T3で測定されたCN値の方がT5で測定されたCN値よりも小さい場合には、地上デジタル放送の受信に用いるアンテナとして、アンテナエレメント31を選択する。なお、CPU501は、T3で測定されたCN値とT5で測定されたCN値が等しい場合には、地上デジタル放送の受信に用いるアンテナとして、外部アンテナ532を選択してもよい。
【0050】
T8では、CPU501は、T3で測定されたCN値とT5で測定されたCN値のいずれもが閾値未満であるか否かを判定する。いずれも閾値未満である場合(T8でYES)、処理はT10に進められる。少なくともいずれか一方が閾値以上である場合(T8でNO)、処理はT9に進められる。
【0051】
T9では、CPU501は、地上デジタル放送の受信に用いるアンテナとして、CN値が閾値以上のアンテナを選択する。
【0052】
T10では、CPU501は、地上デジタル放送の受信に用いるアンテナとして、外部アンテナ532を選択する。
【0053】
<実施形態の作用効果>
本実施形態に係るスマートフォンカバー1をスマートフォン500に装着させることで、アンテナエレメント31とアンテナ530とを導体部32を介した容量結合で接続できる。このようにアンテナエレメント31が接続されることで、筐体710内にアンテナ731を実装したスマートフォン700やイヤホンジャック801を介してアンテナ831が接続されるスマートフォン800よりも高いアンテナ特性を期待できる。
【0054】
また、本実施形態では、スマートフォン500は、アンテナエレメント31を用いた場合と外部アンテナ532を用いた場合におけるCN値を測定し、測定したCN値を基に地上デジタル放送の受信に用いるアンテナを選択する。そのため、本実施形態によれば、スマートフォンカバー1を装着したスマートフォン500は、より好適なアンテナを選択して地上デジタル放送を受信できる。
【0055】
<第1変形例>
以上説明した実施形態に係るスマートフォンカバー1は、スマートフォン500の保護
に加えて、地上デジタル放送の閲覧に好適な姿勢にスマートフォン500を支持する台として使用されてもよい。第1変形例では、地上デジタル放送の閲覧する際にスマートフォンカバー1を支持する台として利用可能なスマートフォンカバーについて説明する。
【0056】
図13及び
図14は、第1変形例に係るスマートフォンカバー1Aの一例を示す図である。
図13では、スマートフォンカバー1Aを背面から見た状態が例示される。
図14では、スマートフォンカバー1AをY方向から見た状態が例示される。また、
図15では、スマートフォンカバー1Aの使用態様が例示される。なお、
図14では、スマートフォンカバー1Aが装着されたスマートフォン500も例示される。
【0057】
スマートフォンカバー1Aでは、背面カバー11の背面のY方向の中央付近にベルト14が設けられ、前面カバー12の背面のY方向の中央付近にマグネットタグ15が設けられる。ベルト14及びマグネットタグ15は、例えば、布、皮等の可撓性を有する材料で形成される。ベルト14は、「ベルト部材」の一例である。マグネットタグ15は、「固定部材」の一例である。背面カバー11の背面は、「第1の面」の一例である。前面カバー12の背面は、「第2の面」の一例である。
【0058】
ベルト14は、接着部141、自由部142及びマグネットタグ部143を含む。ベルト14は、接着部141によって背面カバー11に接着され、自由部142及びマグネットタグ部143は背面カバー11に接着されていない。そのため、ベルト14は、接着部141を起点として自由に折り曲げることができる。マグネットタグ部143には、その内部に磁石が配置される。
【0059】
マグネットタグ15は、接着部151及びマグネットタグ部152を含む。マグネットタグ15は接着部151によって前面カバー12に接着され、マグネットタグ部152は前面カバー12に接着されていない。そのため、マグネットタグ部152は接着部151を起点として自由に折り曲げることができる。マグネットタグ部152には、その内部に磁石が配置される。
【0060】
このようなスマートフォンカバー1Aは、スマートフォン500を用いて地上デジタル放送を閲覧する際に、スマートフォン500のスタンドとして利用することができる。
図15は、スマートフォンカバー1Aの使用態様の一例を示す図である。なお、
図15では、スマートフォンカバー1Aが装着されたスマートフォン500も例示される。
【0061】
スマートフォンカバー1Aをスタンドとして利用する際には、側面カバー13を上に向けた状態で背面カバー11と前面カバー12との背面同士が近付くように背面カバー11及び前面カバー12を側面カバー13を起点として折り曲げることで、Y方向視において逆V字形状とする。また、マグネットタグ部152を接着部151を起点として前面カバー12の裏側に折り曲げるとともに、自由部142のマグネットタグ部143をマグネットタグ部152に接触させる。マグネットタグ部143は、磁力によってマグネットタグ部152に固定される。このようにスマートフォンカバー1AをY方向視において逆V字状にして、背面カバー11の背面カバー外辺111及び前面カバー12の前面カバー外辺121を机等の台に載置する形態を、スマートフォンカバー1Aのスタンド形態とも称する。
【0062】
スタンド形態でスマートフォンカバー1Aを使用する場合、スマートフォン500の重みによって背面カバー11の背面カバー外辺111と前面カバー12の前面カバー外辺121が滑ることで、背面カバー11と前面カバー12とが互いに離れようとする力が働く。第1変形例に係るスマートフォンカバー1Aでは、マグネットタグ部143がマグネットタグ部152に固定されることで、背面カバー11の背面カバー外辺111と前面カバ
ー12の前面カバー外辺121との距離が所定距離内に制限される。ひいては、スマートフォンカバー1Aの姿勢をスマートフォン500を地上デジタル放送の閲覧に好適な姿勢とすることができる。なお、スマートフォンカバー1Aのスタンド形態は、スマートフォン500による地上デジタル放送の閲覧に限定されず、スマートフォン500による写真やビデオ等の他の映像の閲覧にも好適である。
【0063】
なお、第1変形例においては、ベルト14をマグネットタグ15に固定する際に磁力が用いられたが、ベルト14をマグネットタグ15に固定する手段は磁力に限定されない。ベルト14は、例えば、ボタンによってマグネットタグ15に固定されてもよい。また、ベルト14は、例えば、フックによってマグネットタグ15に固定されてもよい。ベルト14のマグネットタグ15への固定には、任意の固定手段を採用できる。
【0064】
また、背面カバー11の一部を折りたたむことでスタンド形態になるスマートフォンカバーと比較して、第1変形例に係るスマートフォンカバー1Aは、背面カバー11内に配置されたアンテナエレメント31と保持ホルダ22内に配置された第2導体部322との距離を近い状態に保つことができる。そのため、第1変形例によれば、アンテナエレメント31と第2導体部322との容量結合を好適な状態に保つことができる。
【0065】
<第2変形例>
実施形態では、アンテナエレメント31によってスマートフォン500のアンテナの特性が改善された。第2変形例では、ストラップ形状の外部アンテナをさらに接続できる変形例について説明する。
【0066】
図16は、第2変形例に係るスマートフォンカバー1Bの一例を示す図である。スマートフォンカバー1Aでは、アンテナエレメント31に代えてアンテナエレメント31Aを備えるとともに、側面カバー13の下端部にストラップ孔16が形成されている点で、実施形態に係るスマートフォンカバー1とは異なる。
【0067】
アンテナエレメント31Aは、前面カバー12の外周部に沿って延在するように配置される。アンテナエレメント31Aの開放端31A1は、ストラップ孔16の下端部を閉塞するように配置される。ストラップ孔16は、側面カバー13の下端部を側面カバー13の厚さ方向(Z方向)に貫通して形成される孔である。ストラップ孔16は、「ストラップ用ホール」の一例である。
【0068】
図17は、第2変形例に係るストラップ33の一例を示す図である。ストラップ33は、ストラップアンテナ331及び取付部332を有する。ストラップアンテナ331及び取付部332は、金属等の導体で形成される。また、ストラップアンテナ331の長さは、ストラップアンテナ331及びアンテナエレメント31Aの長さの合計が、例えば、FMラジオで使用される周波数帯の波長λ
3のλ
3/4となるように決定される。取付部332は、例えば輪状に形成されており、ストラップ33をストラップ孔16に取り付ける際に用いられる。ストラップ33は、「第2のアンテナエレメント」の一例である。波長λ
3の電波は、「第2の周波数」の一例である。
【0069】
図18は、第2変形例に係るスマートフォンカバー1Bにストラップ33を取り付けた状態を例示する図である。取付部332がストラップ孔16に取り付けられることで、アンテナエレメント31A、取付部332及びストラップアンテナ331が電気的に接続される。ひいては、アンテナエレメント31A、取付部332及びストラップアンテナ331がアンテナ530から給電を受けるひとつのアンテナエレメントとして動作するようになる。
【0070】
ここで、スマートフォンカバー1Bにストラップ33を取り付けたことによるアンテナの放射効率について検証するシミュレーションを行ったので、説明する。本シミュレーションでは、ストラップ33のストラップアンテナ331の長さを176mmとした。その上で、スマートフォンカバー1Aを開いた状態(例えば、
図16に例示する状態)及びスマートフォンカバー1Bを閉じた状態(前面カバー12をスマートフォン500上に載せた状態)の夫々について、放射効率がどのようになるか検証した。また、スマートフォンカバー1Bについては、ストラップ33を付けない状態とストラップ33を付けた状態の双方でシミュレーションを行った。
【0071】
その結果、スマートフォンカバー1Bを閉じた状態での放射効率は、ストラップ33を付けないスマートフォンカバー1Bをスマートフォン500に装着した状態では「-18.1dB」、ストラップ33を付けたスマートフォンカバー1Bをスマートフォン500に装着した状態では「-17.8dB」となった。また、スマートフォンカバー1Bを開いた状態での放射効率は、ストラップ33を付けないスマートフォンカバー1Bをスマートフォン500に装着した状態では「-40.1dB」、ストラップ33を付けたスマートフォンカバー1Bをスマートフォン500に装着した状態では「-27.1dB」となった。
【0072】
すなわち、ストラップ33をスマートフォンカバー1Bに接続することで、スマートフォンカバー1Bを閉じた状態における放射効率が向上、すなわち、アンテナ性能が改善することが理解できる。
【0073】
<その他の変形>
実施形態では、スマートフォン500の左角部にアンテナ530が設けられたが、アンテナ530の位置は左角部に限定されない。アンテナ530の位置に応じて、アンテナエレメント31及び導体部32がスマートフォンカバー1上に配置されればよい。
図19は、アンテナ530の位置に応じたアンテナエレメント31及び導体部32の配置の例を示す図である。
図19Aでは、スマートフォン500の左辺(側面カバー13側の辺)の中央付近にアンテナ530が配置された状態を例示する。このような場合、アンテナ530が存在するスマートフォン500の左辺の中央付近を側方から支持する保持ホルダ23を配置し、保持ホルダ23内に導体部32Aを配置することで、導体部32Aとアンテナ530とを容量結合させる。そして、導体部32Aと容量結合する位置にアンテナエレメント31を配置すればよい。
【0074】
また、
図19Bでは、スマートフォン500の上辺の中央付近にアンテナ530が配置された状態を例示する。このような場合、アンテナ530が存在するスマートフォン500の上辺の中央付近を上方から支持する保持ホルダ24を配置し、保持ホルダ24内に導体部32Bを配置することで、導体部32Bとアンテナ530とを容量結合させる。そして、導体部32Bと容量結合する位置にアンテナエレメント31を配置すればよい。
【0075】
また、アンテナエレメント31は折り返しアンテナやループアンテナであってもよい。
図20は、アンテナエレメント31のバリエーションの例を示す図である。
図20Aでは、一端が導体部32と容量結合し、他端が導体部32Aと容量結合する折り返しアンテナ31Bが例示される。また、
図20Bでは、一端が導体部32と容量結合し、他端がスマートフォン500の左下を支持する保持ホルダ22内に設けられた導体部32Cと容量結合するループアンテナ31Cが例示される。
【0076】
また、実施形態においては、第2導体部322がスマートフォン500と背面カバー11との間に配置されたが、第2導体部322は他の位置に配置されてもよい。
図21は、第2導体部322の位置のバリエーションの例を示す図である。第2導体部322Bは、
側面カバー13及び背面カバー11内に延在するように配置される。そして、第2導体部322Bとアンテナエレメント31とは、側面カバー13及び背面カバー11内で容量結合する。このように、アンテナエレメント31に容量結合させる第2導体部322及び第2導体部322Bは、アンテナエレメント31と容量結合可能であって第1導体部321と接続可能な位置であれば、任意の位置に配置できる。なお、第2導体部322Bは、前面カバー12、側面カバー13及び背面カバー11に延在するように配置されてもよい。
【0077】
以上説明した実施形態に係る技術は、スマートフォン500に装着される態様に限定されず、タブレット端末等の他の無線端末に適用されてもよい。
【0078】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0079】
1・・スマートフォンカバー
1A・・スマートフォンカバー
1B・・スマートフォンカバー
11・・背面カバー
12・・前面カバー
13・・側面カバー
14・・ベルト
111・・背面カバー外辺
121・・前面カバー外辺
141・・接着部
142・・自由部
143・・マグネットタグ部
15・・マグネットタグ
151・・接着部
152・・マグネットタグ部
16・・ストラップ孔
21・・保持ホルダ
22・・保持ホルダ
23・・保持ホルダ
24・・保持ホルダ
31・・アンテナエレメント
31A・・アンテナエレメント
31A1・・開放端
31B・・折り返しアンテナ
31C・・ループアンテナ
32・・導体部
32A・・導体部
32B・・導体部
32C・・導体部
32D・・導体部
33・・ストラップ
321・・第1導体部
322・・第2導体部
322B・・第2導体部
131・・折り曲げ部
132・・折り曲げ部
331・・ストラップアンテナ
332・・取付部
500・・スマートフォン
510・・筐体
521・・隙間
522・・隙間
501・・CPU
502・・主記憶部
503・・補助記憶部
511・・スピーカー
512・・マイクロフォン
513・・ディスプレイ
530・・アンテナ
531・・外部端子
532・・外部アンテナ
540・・信号処理回路
541・・第1受信回路
542・・第2受信回路
543・・スイッチ
544・・マッチング回路
545・・ダイプレクサ
546・・マッチング回路
700・・スマートフォン
710・・筐体
731・・アンテナ
800・・スマートフォン
801・・イヤホンジャック
810・・筐体
831・・アンテナ
B1・・接続バス
B2・・接続バス