(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119483
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】キーボード装置、コンピュータシステム、及びキーボード制御方法
(51)【国際特許分類】
H03M 11/26 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
H03M11/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026410
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000219233
【氏名又は名称】東プレ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】平城 聖士
【テーマコード(参考)】
5B020
【Fターム(参考)】
5B020DD27
(57)【要約】
【課題】キーボードの入力頻度等を可視化したヒートマップを表示するための制御装置であって、コンピュータの負荷を低減させることが可能なキーボード装置を提供する。
【解決手段】キーボード装置は、複数のキーと、押下判断部と、メモリ部と、キートップを照光させる照光部と、キーボード制御部110と、を備える。キーボード制御部110は、キーの押下有無データを取得し、メモリ部に格納された押下回数を1つ加算する押下情報取得部113を有する。また、キーボード制御部110は、複数のキーの押下回数に基づいて、最大押下回数を検出する最大押下回数検出部114を有する。また、キーボード制御部110は、複数のキーの押下回数と、最大押下回数とに基づいて、キーの発光色を決定する押下割合判定部115を有する。さらに、キーボード制御部110は、照光部に対して、発光色に応じた照光を指示する発光制御指示部116を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって押下される複数のキーと、
前記キーの押下の有無を検出する押下判断部と、
前記キーの押下回数を格納するメモリ部と、
前記キーのキートップを照光させる照光部と、
キーボード制御部と、を備え、
前記キーボード制御部は、
前記押下判断部で押下されたと判断された前記キーの押下有無データを取得し、前記メモリ部に格納された前記押下回数を1つ加算する押下情報取得部と、
前記メモリ部に格納された複数の前記キーの前記押下回数に基づいて、前記押下回数の最大値を最大押下回数として検出する最大押下回数検出部と、
複数の前記キーの前記押下回数と、前記最大押下回数とに基づいて、前記キーの発光色を決定する押下割合判定部と、
前記照光部に対して、前記キーの前記発光色に応じた照光を指示する発光制御指示部と、を有するキーボード装置。
【請求項2】
前記押下割合判定部は、前記最大押下回数における、前記キーの前記押下回数の割合に応じて、前記キーの前記発光色を決定する請求項1に記載のキーボード装置。
【請求項3】
前記キーの前記発光色は、赤色、緑色、及び青色の3色の階調を、前記最大押下回数における前記キーの前記押下回数の割合に応じて組み合わせることで生成される請求項2記載のキーボード装置。
【請求項4】
請求項1に記載のキーボード装置と、
表示部を備えるコンピュータと、を備えるコンピュータシステムであって、
前記コンピュータは、前記キーボード装置から前記キーの前記発光色に関する情報を受け取り、前記キーボード装置の前記キーの前記押下回数に対応する前記発光色で前記表示部にヒートマップを表示するコンピュータシステム。
【請求項5】
コンピュータによって実行されるキーボード制御方法であって、
ユーザによって押下される複数のキーの押下の有無を検出する押下判断部で押下されたと判断された前記キーの押下有無データを取得し、
押下されたと判断された前記キーに対する、メモリ部に格納された前記キーの押下回数を1つ加算し、
前記メモリ部に格納された複数の前記キーの前記押下回数に基づいて、前記押下回数の最大値を最大押下回数として検出し、
複数の前記キーの前記押下回数と、前記最大押下回数とに基づいて、前記キーの発光色を決定し、
前記キーの前記発光色に応じた照光を、前記キーのキートップを照光させる照光部に指示する、キーボード制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キーボード装置、コンピュータシステム、及びキーボード制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータ用キーボードの入力頻度等を可視化してヒートマップに表示するソフトウェアが提案されている。例えば、コンピュータゲーム(ビデオゲーム)をスポーツ競技として捉えたeスポーツにおいては、競技者の癖や誤入力を知るツールとしてヒートマップが利用される。特許文献1には、ヒートマップ機能を備えたコンピュータ装置が開示されている。特許文献1に開示されたコンピュータ装置は、キーボードにより入力されたキー情報を、コンピュータで受取り、コンピュータがキーの押下頻度や押下時間を分析し、分析した結果を、キーのカラーLEDに表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0100465号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、eスポーツにおいては、競技者のより速い反応がゲームの勝敗を左右する為、競技者の技能と共に高性能なコンピュータが使用される。また、競技者は、このコンピュータに対して、その処理能力をゲームソフトに占有させることを望み、他のソフトウェアを常駐させたくないと考える。しかしながら、特許文献1において開示されるコンピュータ装置においては、上述のヒートマップに関する処理を行うヒートマップソフトを、コンピュータのOS(オペレーティングシステム)上で動作させる。そのため、コンピュータは、動作が遅くなり、かつCPUの処理能力を費やされてしまい、ゲームソフトが高速に処理できない恐れがある。
【0005】
そこで、本発明は、キーボードの入力頻度等を可視化したヒートマップを表示するための制御装置であって、コンピュータの負荷を低減させることが可能なキーボード装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係るキーボード装置は、ユーザによって押下される複数のキーと、キーの押下の有無を検出する押下判断部と、キーの押下回数を格納するメモリ部と、キーのキートップを照光させる照光部と、キーボード制御部と、を備え、キーボード制御部は、押下判断部で押下されたと判断されたキーの押下有無データを取得し、メモリ部に格納された押下回数を1つ加算する押下情報取得部と、メモリ部に格納された複数のキーの押下回数に基づいて、押下回数の最大値を最大押下回数として検出する最大押下回数検出部と、複数のキーの押下回数と、最大押下回数とに基づいて、キーの発光色を決定する押下割合判定部と、照光部に対して、キーの発光色に応じた照光を指示する発光制御指示部と、を有する。
【0007】
本発明の他の態様に係るコンピュータシステムは、上述のキーボード装置と、表示部を備えるコンピュータと、を備えるコンピュータシステムであって、コンピュータは、キーボード装置からキーの発光色に関する情報を受け取り、キーボード装置のキーの押下回数に対応する発光色で表示部にヒートマップを表示する。
【0008】
本発明の他の態様に係るキーボード制御方法は、コンピュータによって実行されるキーボード制御方法であって、ユーザによって押下される複数のキーの押下の有無を検出する押下判断部で押下されたと判断されたキーの押下有無データを取得し、押下されたと判断されたキーに対する、メモリ部に格納されたキーの押下回数を1つ加算し、メモリ部に格納された複数のキーの押下回数に基づいて、押下回数の最大値を最大押下回数として検出し、複数のキーの押下回数と、最大押下回数とに基づいて、キーの発光色を決定し、キーの発光色に応じた照光を、キーのキートップを照光させる照光部に指示する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係るキーボード装置によれば、キーボードの入力頻度等を可視化したヒートマップを表示するための制御装置であって、コンピュータの負荷を低減させることが可能なキーボード装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係るキーボード装置が適用されるコンピュータシステムの構成を示す図である。
【
図2】本実施形態に係るキーボード装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る押下情報について説明するための図である。
【
図4】本実施形態に係るキーボード装置によって表示される発光色とキーボードの押下回数との関係について説明するための図である。
【
図5】本実施形態に係るキーボード装置によるキーボードの発光について説明するための図である。
【
図6】本実施形態に係るキーボード装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態に係るキーボード装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】本実施形態に係るコンピュータシステムにおいて、PC本体にヒートマップ情報を表示する例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態に係るキーボード装置100及びコンピュータシステム10を、図面を参照して説明する。
【0012】
(コンピュータシステム10の構成)
図1は、本実施形態に係るキーボード装置100が適用されるコンピュータシステム10の構成を示す図である。本実施形態に係るコンピュータシステム10は、キーボード装置100と、キーボード装置100に接続されるパーソナルコンピュータ200(PC)と、を含んで構成される。
【0013】
(パーソナルコンピュータ200の構成)
パーソナルコンピュータ200は汎用のコンピュータであり、パーソナルコンピュータ200で動作するオペレーティングシステム(OS)は、例えば、マルチタスク機能とグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)機能を備える。
【0014】
パーソナルコンピュータ200は、表示部210を備える。また、パーソナルコンピュータ200は、キーボード装置100に設けられたキーの押下によってキーボード装置100から送信されるキーコードに応じて動作する。
【0015】
(キーボード装置100の構成)
キーボード装置100は、キーボード制御部110(CPU)と、メモリ部120と、通信制御部130と、を含んで構成される。また、キーボード装置100は、キー群140と、キースキャン制御部141と、キースキャン検出部142と、押下判断部143と、を含んで構成される。さらに、キーボード装置100は、照光LED150(Light-Emitting Diode)と、照光回路制御部151と、LED発光部152と、を含んで構成される。
【0016】
本明細書において、本実施形態に係るキーボード装置100は、静電容量式スイッチが適用される例を示す。なお、本実施形態に適用されるキーボード装置100の種類は、静電容量式スイッチに限定されず、有接点式キーなどの一般的なキーボードが適用されてもよい。
【0017】
キーボード制御部110は、キーボード装置100内のメモリ部120、キースキャン制御部141、押下判断部143、照光回路制御部151、及び通信制御部130を制御する。
【0018】
また、キーボード制御部110は、例えば、ワンチップマイコンで構成され、キーボードシステムの全体制御、キースキャン、キー押下判断、押下キーのキーコード変換、通信制御などのキースイッチ制御を行う。さらに、キーボード制御部110は、本実施形態に係るヒートマップのキー入力回数の積算処理、表示等の制御を行う。キーボード制御部110の機能の詳細については後述する。
【0019】
メモリ部120は、リードオンリーメモリ(ROM)と、ランダムアクセスメモリ(RAM)から構成されている。リードオンリーメモリ(ROM)は、フラッシュメモリからなる不揮発メモリであってもよい。ROM領域には、照光色に関するデータや制御プログラムが予め保存されている。RAM領域には、キー押下回数積算領域として、後述の押下情報が含まれる。押下情報の詳細については後述する。
【0020】
通信制御部130は、パーソナルコンピュータ200と通信を行うためのインタフェースであり、例えば、周知のUSB(登録商標)等のインタフェースによって構成される。
【0021】
キー群140は、電気回路的に(m行×n列)個のキーを備えている。キー群140の各キーは、ユーザによって押下されるキーであって、キースイッチ部に設けられる。すなわち、キースイッチ部は、静電容量式のキースイッチと照光LED150から構成される。
【0022】
キースキャン制御部141は、キーボード制御部110からの制御指示により、キー群140から該当キー番地を選択し、選択された該当キー番地に対応するキースイッチの順次スキャンを行う。さらにキースキャン制御部141は前述の選択されたキー番地をキーボード制御部110に出力する。
【0023】
キースキャン検出部142は、キー群140をスキャンして、キースキャン制御部141で選択されたキーの押下データを出力する。
【0024】
押下判断部143は、キーの押下データにより、当該キーの押下の有無を検出する。また、押下判断部143は、キーの押下有無データを、キーボード制御部110、及び通信制御部130に出力する。
【0025】
照光LED150は、基板(図示なし)に載置され、キースイッチの近傍に一体化した青色、赤色、緑色の3色LEDを配置し、キートップの文字を発光させる。なお、
図1では、照光LED150はLED発光部152に含まれる。
【0026】
照光回路制御部151は、キースイッチ部の下に配置された照光LED150を発光させる。具体的には、照光回路制御部151は、キーボード制御部110からの照光の指示により照光LED150を制御する。なお、本実施形態において、照光部は、照光回路制御部151に相当する。
【0027】
LED発光部152は、キースイッチ部の下部に配置されたLEDとその制御回路に相当する。LED発光部152は、照光回路制御部151の制御により、照光LED150を発光させる。3色のLED(R色,G色,B色)を組み合わせ、フルカラーで発光(照光)できる。LED発光部152の詳細については後述する。
【0028】
(キーボード制御部110の機能的構成)
次に、本実施形態に係るキーボード制御部110の機能的構成について説明する。
図2は、本実施形態に係るキーボード制御部110の機能的構成、及びメモリ部120に格納された押下情報DB121を示す図である。
【0029】
キーボード制御部110は、初期化制御部111と、スキャン制御指示部112と、押下情報取得部113と、最大押下回数検出部114と、押下割合判定部115と、発光制御指示部116と、を機能として備える。
【0030】
初期化制御部111は、メモリ部120の押下情報DB121に格納されたキーの押下回数の積算値を初期化する。この初期化制御部111による押下回数の初期化は、キーボード装置100の起動時に実施される。また、初期化制御部111による押下回数の初期化は、キーボード装置100を介して所定のキーが押下された場合にも行われてもよい。所定のキーの押下は、例えば、「Fn」(ファンクションキー)+「Ctrl」(コントロールキー)であってもよい。なお、本実施形態において所定のキーの押下による押下回数の初期化(リセット)は、「Fn」+「Ctrl」に限定されるものではなく、設定により特定のキーを割り当ててもよい。
【0031】
スキャン制御指示部112は、キースキャン制御部141に対して、複数のキースイッチを順次スキャンするように制御指示を送る。
【0032】
押下情報取得部113は、押下判断部143で押下されたと判断されたキーの押下有無データを取得し、メモリ部120に格納された押下情報DB121の押下回数を1つ加算する。
図3は、本実施形態に係る押下情報DB121に格納された押下情報の一例を示す図である。
図3に示す例において、押下情報は、「キー」、「押下回数積算値」、「最大値」、「R」、「G」、及び「B」に関する情報を項目として格納する。
【0033】
「キー」に関する情報には、キーボード装置100に設けられた各キーを識別するための情報が格納される。「押下回数積算値」は、押下されたキーの押下回数の積算値に関する情報が格納される。「最大値」には、各キーの押下回数の中で、最大値が格納されるキーに対して所定の情報が記憶される。
図3に示す例においては、「キー」に関する情報が「F」であるキーの「押下回数積算値」が100で最大であるため、「キー」に関する情報が「F」の「最大値」の項目には「○」が格納された例が示されている。
【0034】
「R」、「G」、及び「B」に格納される情報は、照光LED150で発光されるキーボードの発光色を定めるための値が格納される。
図3に示す例においては、「R」、「G」、及び「B」は、それぞれ0~255の256階調で示すことができる。すなわち、本実施形態における照光LED150の発光色は、赤色、緑色、及び青色の3色の階調に基づいて、256×256×256=16777216色を表現することが可能となる。
【0035】
最大押下回数検出部114は、メモリ部120に格納された複数のキーの押下回数に基づいて、押下回数の最大値を最大押下回数として検出する。具体的には、最大押下回数検出部114は、押下情報DB121に格納された各キーの押下回数積算値の中から、押下回数積算値が最大であるキーを検出し、押下情報の「最大値」の欄に最大値である旨の情報を格納する。
【0036】
上述の通り、
図3に示す例においては、「キー」に関する情報が「F」であるキーの「押下回数積算値」が101で最大であるため、「キー」に関する情報が「F」の「最大値」の項目には「○」が格納された例が示されている。
【0037】
押下割合判定部115は、キーの押下回数により、キーの発光色を決定する。具体的には、押下割合判定部115は、メモリ部120の押下情報DB121に格納された押下回数の最大値である最大押下回数と、キーの押下回数とに基づいてキーの発光色を決定する。押下割合判定部115は、キーの押下回数を全てのキーの中での最大押下回数で割った割合を算出し、算出された割合に応じて、発光色を定める。これにより、本実施形態に係るキーボード装置100は、キーの押下回数に応じて、複数の発光色を割り当てることが可能となり、ユーザは、最大押下回数と比較することで、より具体的な押下回数の多少を認識することが可能となる。
【0038】
図4は、本実施形態に係る照光LED150で発光される発光色について説明するための図である。押下割合判定部115は、キーの押下回数が最大押下回数と一致する場合の色を赤色(R)として割り当てる。また、押下割合判定部115は、キーの押下回数が、最大押下回数の半分の場合の色を緑色(G)として割り当てる。さらに、押下割合判定部115は、キーの押下回数が、1回の場合の色を青色(B)として割り当てる。なお、本実施形態において最大押下回数が1回の場合には、緑色(G)を割り当てる。
【0039】
すなわち、
図4に示す例において、最大押下回数の場合の(R、G、B)による発光色は、(255、0、0)で示され、最大押下回数の半分(1/2)の場合には、(R、G、B)による発光色は、(0、255、0)で示さる。さらに、押下回数が1回の場合の(R、G、B)による発光色は、(0、0、255)で示される。また、押下が無い場合の(R、G、B)による発光色は、(0、0、0)で示される。
【0040】
さらに詳細には、赤色(R)は、最大押下回数の半分までは値は0であり、最大押下回数の半分から最大押下回数までは、値が0から255まで線形的に増加する。また、緑色(G)は、最大押下回数の半分までは値は0から255まで線形的に増加し、最大押下回数の半分から最大押下回数までは、値が255から0まで線形的に減少する。さらに、青色(B)は、最大押下回数の半分までは値は255から0まで線形的に減少し、最大押下回数の半分から最大押下回数までは、値が0となる。
【0041】
すなわち、本実施形態においては、キーの押下回数に応じて変化する発光色は、赤色、緑色、及び青色の3色の階調を、最大押下回数におけるキーの押下回数の割合に応じて組み合わせることで生成される。これにより、ユーザは、キーの押下状況を、押下回数に応じて順次変化する発光色によって視覚的に認識することが可能となり、押下回数の多少を連続的に把握することが可能となる。
【0042】
発光制御指示部116は、照光部に対して、キーの発光色に応じた照光を指示する。
図5は、
図3に示す押下回数積算値、及び最大値に基づいて定められた発光色をキーボード装置100の照光LED150で照光させた例を模式的に示す図である。
【0043】
図5においては、パターンP1が赤色に対応し、パターンP2が緑色に対応し、パターンP3が青色に対応する場合の例を示している。
図5に示す例においては、
図3に示すキー「F」の押下回数が最大であり、パターンP1で示されている。また、
図3の例において、押下回数が最大押下回数の半分であるキー「C」が、パターンP2で示されている。さらに、
図3の例において、押下回数が1回であるキー「B」が、パターンP3で示されている。
【0044】
(キーボード制御部110の処理フローの概略)
次に、
図6及び
図7に示すフローチャートを用いてキーボード制御部110における処理の流れを示す。
図6及び
図7のフローチャートに示すキーボード制御部110の一連の動作は、キーボード装置100のUSBインタフェースとパーソナルコンピュータ200とが接続されることでキーボード装置100が起動されると開始されてもよい。また、
図6及び
図7のフローチャートに示すキーボード制御部110の一連の動作は、USBインタフェースをパーソナルコンピュータ200から外すことより処理が終了する。また、
図6及び
図7に示すフローチャートは、電源オフや処理終了の割り込みによっても処理は終了する。また、以下のフローチャートの説明において、上述のコンピュータシステム10及びキーボード装置100の説明で記載した内容と同じ内容については、省略又は簡略化して説明する。
【0045】
まず、
図6に示す、キーの押下による積算処理について説明する。
【0046】
ステップS601において、初期化制御部111は、メモリ部120の押下情報DB121に格納されたキーの押下回数の積算値を初期化する。この初期化制御部111による押下回数の初期化は、キーボード装置100の起動時に実施される。また、初期化制御部111による押下回数の初期化は、キーボード装置100を介して所定のキーが押下された場合にも行われてもよい。その後、処理はステップS602に進む。
【0047】
ステップS602において、スキャン制御指示部112は、キースキャン制御部141に対して、複数のキースイッチを順次スキャンするように制御指示を送る。その後、処理は、ステップS603に進む。
【0048】
ステップS603において、押下情報取得部113は、押下判断部143から、押下の有無を示す押下データ(押下有無データ)を取得する。その後、処理はステップS604に進む。
【0049】
ステップS604において、押下情報取得部113は、押下データにより、キーの押下があったか否かを判定する。ステップS604において、押下情報取得部113は、キーの押下があったと判定した場合(ステップS604:YES)には、処理は、ステップS605に進む。一方で、ステップS604において、押下情報取得部113は、キーの押下がないと判定した場合(ステップS604:NO)には、処理は、ステップS608に進む。
【0050】
ステップS605において、押下情報取得部113は、押下判断部143で押下されたと判断されたキーの押下有無データを取得し、メモリ部120に格納された押下情報DB121の押下回数を1つ加算する。すなわち、押下情報取得部113は、押下されたキーに対応する押下回数の積算値を1増加させる。その後、処理はステップS606に進む。
【0051】
ステップS606において、キーボード制御部110は、押下されたキーのキーコードを生成する。その後、処理はステップS607に進む。
【0052】
ステップS607において、キーボード制御部110は、通信制御部130を介して、キーコードを本体PCであるパーソナルコンピュータ200に送る。その後、処理はステップS608に進む。
【0053】
ステップS608において、初期化制御部111は、リセット入力があるか否かを判定する。本実施形態において、リセット入力は、例えば、キーボード装置100を介して所定のキーが押下された場合にも行われる。所定のキーの押下は、例えば、「Fn」(ファンクションキー)+「Ctrl」(コントロールキー)であってもよい。なお、本実施形態において所定のキーの押下による押下回数の初期化は、「Fn」+「Ctrl」に限定されるものではなく、設定により特定のキーを割り当ててもよい。
【0054】
ステップS608において、初期化制御部111は、リセット入力があると判定した場合には、処理はステップS601に戻り、ステップS601からの処理が実施される。一方で、ステップS608において、初期化制御部111は、リセット入力がないと判定した場合には、処理はステップS602に戻り、ステップS602からの処理が実施される。
【0055】
【0056】
ステップS701において、最大押下回数検出部114は、メモリ部120に格納された複数のキーの押下回数に基づいて、押下回数の最大値を最大押下回数として検出する。具体的には、最大押下回数検出部114は、押下情報DB121に格納された各キーの押下回数積算値の中から、押下回数積算値が最大であるキーを検出し、押下情報の「最大値」の欄に最大値である旨の情報を格納する。その後、処理はステップS702に進む。
【0057】
ステップS702において、押下割合判定部115は、キーの押下回数により、キーの発光色を決定する。具体的には、押下割合判定部115は、メモリ部120の押下情報DB121に格納された押下回数の最大値である最大押下回数と、キーの押下回数とに基づいてキーの発光色を決定する。押下割合判定部115は、キーの押下回数を全てのキーの中での最大押下回数で割った割合を算出し、算出された割合に応じて、発光色を定める。その後、処理は、ステップS703に進む。
【0058】
ステップS703において、発光制御指示部116は、照光部に対して、キーの発光色に応じた照光を指示する。具体的には、発光制御指示部116は、算出された発光色に基づいて、対応するキーのキートップを発光させる。その後、処理は、ステップS701に戻り、ステップS701からの処理が繰り返し実施される。
【0059】
すなわち、本実施形態においては、
図6に示す押下回数の積算と並行して、
図7に示すキーの照光制御が実施される。
【0060】
上述の通り、本実施形態に係るキーボード装置100は、ユーザによって押下される複数のキーと、キーの押下の有無を検出する押下判断部143と、を備える。また、キーボード装置100は、キーの押下回数を格納するメモリ部120と、キーのキートップを照光させる照光部と、キーボード制御部110と、を備える。キーボード制御部110は、押下判断部143で押下されたと判断されたキーの押下有無データを取得し、メモリ部120に格納された押下回数を1つ加算する押下情報取得部113を有する。また、キーボード装置100は、メモリ部120に格納された複数のキーの押下回数に基づいて、押下回数の最大値を最大押下回数として検出する最大押下回数検出部114を有する。また、キーボード装置100は、複数のキーの押下回数と、最大押下回数とに基づいて、キーの発光色を決定する押下割合判定部115を有する。さらに、キーボード装置100は、照光部に対して、キーの発光色に応じた照光を指示する発光制御指示部116を有する。なお、本実施形態において照光部は、照光回路制御部151に相当する。
【0061】
この構成により、本実施形態に係るキーボード装置100は、パーソナルコンピュータ200の本体に余分な負荷を課すことなく、キーボードの入力頻度等を可視化したヒートマップをキーのキートップに表示することが可能となる。
【0062】
また、押下割合判定部115は、最大押下回数における、キーの押下回数の割合に応じて、キーの発光色を決定する。これにより、本実施形態に係るキーボード装置100は、キーの押下回数に応じて、複数の発光色を割り当てることが可能となり、ユーザは、最大押下回数と比較することで、より具体的な押下回数の多少を認識することが可能となる。
【0063】
さらに、本実施形態において、キーの発光色は、赤色、緑色、及び青色の3色の階調を、最大押下回数におけるキーの押下回数の割合に応じて組み合わせることで生成される。これにより、キーボード装置100を使用するユーザは、キーの押下状況を、押下回数に応じて順次変化する発光色によって視覚的に認識することが可能となり、押下回数の多少を連続的に把握することが可能となる。
【0064】
(他の実施形態)
以上、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0065】
なお、本発明では、静電容量式キースイッチのキーボードで説明したが、静電容量式である必要はなく、アナログの入力デバイスであって閾値を設定して押下の有無(オン/オフ)を出力可能なスイッチを備えたキーボード装置100であればよい。例えば、感圧式、電気抵抗式、磁気検知式、超音波式、光学式等の様々なスイッチによりキーボードを構成することができる。さらにメンブレンスイッチ等の有接点スイッチによりキーボードを構成することもできる。
【0066】
また、上述の実施形態においては、キーボード制御部110により算出された発光色に基づいて、対応するキーのキートップを照光させる構成を示した。例えば、算出された発光色を、パーソナルコンピュータ200の画面に表示する構成を適用してもよい。具体的には、上述のキーボード装置100と、表示部210を備えるパーソナルコンピュータ200と、備えるコンピュータシステム10により構成してもよい。パーソナルコンピュータ200は、キーボード装置100からキーの発光色に関する情報を受け取り、キーボード装置100のキーの押下回数に対応する発光色で表示部210に表示する。
図8は、表示部210に表示されたヒートマップの一例を示す図である。
図8に示すように、
図5のキーボード装置100で示したヒートマップ情報が表示部210に示される。これは発光色の算出をキーボード装置100で行い、ヒートマップ情報の表示をパーソナルコンピュータ200の表示部210に行うものである。これはゲームが終了した後に表示することができ、競技者の押下軌跡を振り返ることができ、誤入力を知ることができる。さらに
図8の中央部のやや下に、「総打鍵数」と「49」が表示されている。これは
図3の押下情報DB121の押下回数積算値をパーソナルコンピュータ200へ送り、合計して表示部210に表示したものである。これにより本キーボード装置の累積使用度が分かり、eスポーツ競技者の疲労度を把握する目安とすることができる。
【0067】
また、キーボード装置100における処理(キーボード制御方法)をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム(キーボード制御プログラム)、及びそのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、本実施形態の範囲に含まれる。ここで、コンピュータで読み取り可能な記録媒体の種類は任意である。また、上記コンピュータプログラムは、記録媒体に記録されたものに限られず、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送されるものであってもよい。
【0068】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0069】
(1)第1の態様に係るキーボード装置100は、ユーザによって押下される複数のキーと、キーの押下の有無を検出する押下判断部143と、を備える。また、キーボード装置100は、キーの押下回数を格納するメモリ部120と、キーのキートップを照光させる照光部と、キーボード制御部110と、を備える。キーボード制御部110は、押下判断部143で押下されたと判断されたキーの押下有無データを取得し、メモリ部120に格納された押下回数を1つ加算する押下情報取得部113を有する。また、キーボード装置100は、メモリ部120に格納された複数のキーの押下回数に基づいて、押下回数の最大値を最大押下回数として検出する最大押下回数検出部114を有する。また、キーボード装置100は、複数のキーの押下回数と、最大押下回数とに基づいて、キーの発光色を決定する押下割合判定部115を有する。さらに、キーボード装置100は、照光部に対して、キーの発光色に応じた照光を指示する発光制御指示部116を有する。なお、本実施形態において照光部は、照光回路制御部151に相当する。
【0070】
これにより、本実施形態に係るキーボード装置100は、パーソナルコンピュータ200の本体に余分な負荷を課すことなく、キーボードの入力頻度等を可視化したヒートマップをキーのキートップに表示することが可能となる。
【0071】
(2)第2の態様に係るキーボード装置100の押下割合判定部115は、最大押下回数における、キーの押下回数の割合に応じて、キーの発光色を決定する。
【0072】
これにより、本実施形態に係るキーボード装置100は、キーの押下回数に応じて、複数の発光色を割り当てることが可能となり、ユーザは、最大押下回数と比較することで、より具体的な押下回数の多少を認識することが可能となる。
【0073】
(3)第3の態様に係るキーボード装置100のキーの発光色は、赤色、緑色、及び青色の3色の階調を、最大押下回数におけるキーの押下回数の割合に応じて組み合わせることで生成される。
【0074】
これにより、キーボード装置100を使用するユーザは、キーの押下状況を、押下回数に応じて順次変化する発光色によって視覚的に認識することが可能となり、押下回数の多少を連続的に把握することが可能となる。
【0075】
(4)第4の態様に係るコンピュータシステム10は、上述のキーボード装置100と、表示部210を備えるコンピュータと、を備えるコンピュータシステム10である。コンピュータは、キーボード装置100からキーの発光色に関する情報を受け取り、キーボード装置100のキーの押下回数に対応する発光色で表示部210にヒートマップを表示する。
【0076】
これにより、本実施形態に係るコンピュータシステム10は、パーソナルコンピュータ200の本体に余分な負荷を課すことなく、キーボードの入力頻度等を可視化したヒートマップを、コンピュータ本体の表示部210に表示することが可能となる。
【0077】
(5)第5の態様に係るキーボード制御方法は、コンピュータによって実行されるキーボード制御方法である。キーボード制御方法は、ユーザによって押下される複数のキーの押下の有無を検出する押下判断部143で押下されたと判断されたキーの押下有無データを取得する。また、キーボード制御方法は、押下されたと判断されたキーに対する、メモリ部120に格納されたキーの押下回数を1つ加算する。また、キーボード制御方法は、メモリ部120に格納された複数のキーの押下回数に基づいて、押下回数の最大値を最大押下回数として検出する。また、キーボード制御方法は、複数のキーの押下回数と、最大押下回数とに基づいて、キーの発光色を決定する。さらに、キーボード制御方法は、キーの発光色に応じた照光を、キーのキートップを照光させる照光部に指示する。
【0078】
これにより、本実施形態に係るキーボード制御方法によれば、パーソナルコンピュータ200の本体に余分な負荷を課すことなく、キーボードの入力頻度等を可視化したヒートマップをキーのキートップに表示することが可能となる。
【符号の説明】
【0079】
10 コンピュータシステム
100 キーボード装置
110 キーボード制御部
111 初期化制御部
112 スキャン制御指示部
113 押下情報取得部
114 最大押下回数検出部
115 押下割合判定部
116 発光制御指示部
120 メモリ部
121 押下情報DB
130 通信制御部
140 キー群
141 キースキャン制御部
142 キースキャン検出部
143 押下判断部
150 照光LED
151 照光回路制御部
152 LED発光部
200 パーソナルコンピュータ