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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119484
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】コイル装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/08 20060101AFI20240827BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20240827BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20240827BHJP
   H01F 27/22 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H01F27/08 101
H01F17/04 F
H01F27/08 150
H01F27/24 W
H01F27/24 P
H01F27/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026411
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】堀川 俊之
(72)【発明者】
【氏名】國保 慎一郎
【テーマコード(参考)】
5E050
5E070
【Fターム(参考)】
5E050JA01
5E050JA03
5E070BA08
5E070CA12
5E070DA18
(57)【要約】
【課題】優れた放熱性を有し、第1コアと第2コアとの間にギャップが形成された場合において損失を低減することが可能なコイル装置を提供すること。
【解決手段】コイル装置1は、コイル4と、コイル4が設けられるボビン2と、相互に対向するようにボビン2に取り付けられる第1コア6aおよび第2コア7aと、第1コア6aに取り付けられる放熱板8a1と、を有する。第1コア6aは、ベース部61と、ベース部61から突出し、ギャップGを介して第2コア7aと対向する外脚部62とを有する。外脚部62の側面62sと第2コア7aの側面72sとの間には、ギャップGのギャップ側方部G1が形成されている。放熱板8a1は、ギャップ側方部G1の少なくとも一部が開放されるように、ベース部61および外脚部62の少なくとも一方を覆っている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルと、
前記コイルが設けられるボビンと、
相互に対向するように前記ボビンに取り付けられる第1コアおよび第2コアと、
前記第1コアに取り付けられる第1放熱板と、を有し、
前記第1コアは、第1ベース部と、前記第1ベース部から突出し、ギャップを介して前記第2コアと対向する第1外脚部とを有し、
前記第1外脚部の第1側面と前記第2コアの第2側面との間には、前記ギャップのギャップ側方部が形成されており、
前記第1放熱板は、前記ギャップ側方部の少なくとも一部が開放されるように、前記第1ベース部および前記第1外脚部の少なくとも一方を覆っているコイル装置。
【請求項2】
前記第1放熱板は、前記第1側面に沿って延在する側部を有し、
前記側部は、前記ギャップ側方部の全部が開放されるように、前記第1側面を覆っている請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記側部は、前記第1外脚部の軸方向に沿って、前記ギャップ側方部から離間した位置に配置されている請求項2に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記第1放熱板は、前記第1側面に沿って延在する側部を有し、
前記側部は、前記ギャップ側方部の一部が開放されるように、前記第1側面および前記ギャップ側方部を覆っている請求項1に記載のコイル装置。
【請求項5】
前記側部は、前記第1側面に当接している請求項2~4のいずれかに記載のコイル装置。
【請求項6】
前記第1放熱板は、前記第1側面に沿って延在する側部を有し、
前記側部は、第1部分と、前記第1部分よりも前記第2コアに近接する第2部分とを有し、
前記第2部分は、前記ギャップ側方部の少なくとも一部が開放されるように、前記第2側面および前記ギャップ側方部を覆っている請求項1に記載のコイル装置。
【請求項7】
前記第1部分と前記第2部分とは、段差形成部を介して接続されている請求項6に記載のコイル装置。
【請求項8】
前記第1部分は、前記第1側面に当接しており、
前記第2部分は、前記第2部分と前記ギャップ側方部との間に隙間が形成されるように前記ギャップ側方部から離間しているとともに、前記第2部分と前記第2側面との間に隙間が形成されるように前記第2側面から離間している請求項7に記載のコイル装置。
【請求項9】
前記第1放熱板は、前記第1側面に沿って延在する側部を有し、
前記側部は、第1部分と、前記第1部分よりも前記第2コアに近接する第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間に介在する第3部分とを有し、
前記第3部分は、前記ギャップ側方部の少なくとも一部が開放されるように、前記ギャップ側方部を覆っている請求項1に記載のコイル装置。
【請求項10】
前記第1部分と前記第3部分とは、第1段差形成部を介して接続されており、
前記第2部分と前記第3部分とは、第2段差形成部を介して接続されている請求項9に記載のコイル装置。
【請求項11】
前記第1部分は、前記第1側面に当接しており、
前記第2部分は、前記第2側面に当接しており、
前記第3部分は、前記第3部分と前記ギャップ側方部との間に隙間が形成されるように、前記ギャップ側方部から離間している請求項10に記載のコイル装置。
【請求項12】
前記第1放熱板は、前記側部に連続し、前記ベース部の頂面に沿って延在する天板部を有する請求項2~4および6~11のいずれかに記載のコイル装置。
【請求項13】
前記第2コアには、第2放熱板が取り付けられており、
前記第2放熱板は、前記ギャップ側方部の少なくとも一部が開放されるように、前記第2側面を覆っている請求項1~4のいずれかに記載のコイル装置。
【請求項14】
前記第2コアは、第2ベース部と、前記第2ベース部から突出し、前記ギャップを介して前記第1外脚部と対向する第2外脚部を有する請求項1~4および6~11のいずれかに記載のコイル装置。
【請求項15】
前記ボビンは、前記第1放熱板が取り付けられた前記第1コアとともに、ケースに収容される請求項1~4および6~11のいずれかに記載のコイル装置。
【請求項16】
前記ケースの内部には、前記第1コアおよび前記第2コアが浸漬されるように、放熱性樹脂が充填されている請求項15に記載のコイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、例えばトランスとして用いられるコイル装置には、放熱性を向上させるための手段として、放熱板が具備される場合がある。特許文献1のコイル装置では、相互に対向するようにボビンに取り付けられた第1コアおよび第2コア(ともにE型コア)を覆うように、放熱板が第1コアおよび第2コアに取り付けられている。
【0003】
ところで、インダクタンス値の調整あるいは磁気飽和の防止の観点から、第1コアの第1外脚部と第2コアの第2外脚部との間には、ギャップが形成される場合がある。この場合、第1コアおよび第2コアを覆うように、第1コアおよび第2コアに放熱板を取り付けると、コイル装置の損失が大きくなり、コイル装置の効率が低下することが判明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-036194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、優れた放熱性を有し、第1コアと第2コアとの間にギャップが形成された場合において損失を低減することが可能なコイル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るコイル装置は、
コイルと、
前記コイルが設けられるボビンと、
相互に対向するように前記ボビンに取り付けられる第1コアおよび第2コアと、
前記第1コアに取り付けられる第1放熱板と、を有し、
前記第1コアは、第1ベース部と、前記第1ベース部から突出し、ギャップを介して前記第2コアと対向する第1外脚部とを有し、
前記第1外脚部の第1側面と前記第2コアの第2側面との間には、前記ギャップのギャップ側方部が形成されており、
前記第1放熱板は、前記ギャップ側方部の少なくとも一部が開放されるように、前記第1ベース部および前記第1外脚部の少なくとも一方を覆っている。
【0007】
本発明に係るコイル装置では、第1放熱板が、ギャップ側方部の少なくとも一部が開放されるように、第1ベース部および第1外脚部の少なくとも一方を覆っている。この場合、第1放熱板の取付に起因して、ギャップ側方部が、第1放熱板によって完全に塞がれることがない。そのため、ギャップ側方部上において、ギャップ側方部で発生する磁場の影響が第1放熱板に及びにくくなり、第1放熱板に渦電流が発生しにくくなると考えられる。これにより、コイル装置の損失を低減することが可能となり、コイル装置の効率を向上させることができる。また、第1コアの熱が第1放熱板に伝熱されるため、コイル装置の放熱性を高めることができる。
【0008】
前記第1放熱板は、前記第1側面に沿って延在する側部を有し、前記側部は、前記ギャップ側方部の全部が開放されるように、前記第1側面を覆っていてもよい。この場合、ギャップ側方部は、側部によって、一切塞がれることがない。そのため、ギャップ側方部上において、ギャップ側方部で発生する磁場の影響が側部に及ぶことがなく、側部における渦電流の発生を防止し、損失を低減することができる。
【0009】
前記側部は、前記第1外脚部の軸方向に沿って、前記ギャップ側方部から離間した位置に配置されていてもよい。この場合、第1側面上において、ギャップ側方部で発生する磁場の影響が側部に及びにくくなり、側部における渦電流の発生を防止し、損失を低減することができる。
【0010】
前記第1放熱板は、前記第1側面に沿って延在する側部を有し、前記側部は、前記ギャップ側方部の一部が開放されるように、前記第1側面および前記ギャップ側方部を覆っていてもよい。この場合、第1放熱板の取付に起因して、ギャップ側方部が、側部によって完全に塞がれることがない。そのため、ギャップ側方部上において、ギャップ側方部で発生する磁場の影響が側部に及びにくくなり、側部における渦電流の発生を防止し、損失を低減することができる。
【0011】
前記側部は、前記第1側面に当接していてもよい。この場合、第1コアの熱が側部を介して第1放熱板に伝熱されやすくなり、コイル装置の放熱性を高めることができる。
【0012】
前記第1放熱板は、前記第1側面に沿って延在する側部を有し、前記側部は、第1部分と、前記第1部分よりも前記第2コアに近接する第2部分とを有し、前記第2部分は、前記ギャップ側方部の少なくとも一部が開放されるように、前記第2側面および前記ギャップ側方部を覆っていてもよい。この場合、第1放熱板の取付に起因して、ギャップ側方部が、第2部分によって完全に塞がれることがない。そのため、ギャップ側方部上において、ギャップ側方部で発生する磁場の影響が第2部分に及びにくくなり、第2部分における渦電流の発生を防止し、損失を低減することができる。また、第2コアの熱が第2部分を介して第1放熱板に伝熱されるため、コイル装置の放熱性を高めることができる。
【0013】
前記第1部分と前記第2部分とは、段差形成部を介して接続されていてもよい。この場合、段差形成部の長さに応じて、第2部分をギャップ側方部から離間した位置に配置することができる。これにより、ギャップ側方部上において、ギャップ側方部で発生する磁場の影響が第2部分に及びにくくなり、第2部分における渦電流の発生を防止し、損失を低減することができる。
【0014】
前記第1部分は、前記第1側面に当接しており、前記第2部分は、前記第2部分と前記ギャップ側方部との間に隙間が形成されるように前記ギャップ側方部から離間しているとともに、前記第2部分と前記第2側面との間に隙間が形成されるように前記第2側面から離間していてもよい。この場合、隙間の長さに応じて、第2部分をギャップ側方部および第2側面から離間した位置に配置することができる。これにより、ギャップ側方部上において、ギャップ側方部で発生する磁場の影響が第2部分に及びにくくなり、第2部分における渦電流の発生を防止し、損失を低減することができる。また、第2側面上において、ギャップ側方部で発生する磁場の影響が第2部分に及びにくくなり、第2部分における渦電流の発生を防止し、損失の発生を防止することができる。また、第1コアの熱が第1部分を介して第1放熱板に伝熱されやすくなり、コイル装置の放熱性を高めることができる。
【0015】
前記第1放熱板は、前記第1側面に沿って延在する側部を有し、前記側部は、第1部分と、前記第1部分よりも前記第2コアに近接する第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間に介在する第3部分とを有し、前記第3部分は、前記ギャップ側方部の少なくとも一部が開放されるように、前記ギャップ側方部を覆っていてもよい。この場合、第1放熱板の取付に起因して、ギャップ側方部が、第3部分によって完全に塞がれることがない。そのため、ギャップ側方部上において、ギャップ側方部で発生する磁場の影響が第3部分に及びにくくなり、第3部分における渦電流の発生を防止し、損失を低減することができる。加えて、第1コアの熱が第1部分を介して第1放熱板に伝熱されるとともに、第2コアの熱が第2部分を介して第1放熱板に伝熱されるため、コイル装置の放熱性を高めることができる。
【0016】
前記第1部分と前記第3部分とは、第1段差形成部を介して接続されており、前記第2部分と前記第3部分とは、第2段差形成部を介して接続されていてもよい。この場合、第1段差形成部および第2段差形成部の各々の長さに応じて、第3部分をギャップ側方部から離間した位置に配置することができる。これにより、ギャップ側方部上において、ギャップ側方部で発生する磁場の影響が第3部分に及びにくくなり、第3部分における渦電流の発生を防止し、損失を低減することができる。
【0017】
前記第1部分は、前記第1側面に当接しており、前記第2部分は、前記第2側面に当接しており、前記第3部分は、前記第3部分と前記ギャップ側方部との間に隙間が形成されるように、前記ギャップ側方部から離間していてもよい。この場合、隙間の長さに応じて、第3部分をギャップ側方部から離間した位置に配置することができる。これにより、ギャップ側方部上において、ギャップ側方部で発生する磁場の影響が第3部分に及びにくくなり、第3部分における渦電流の発生を防止し、損失を低減することができる。また、第1コアの熱が第1部分を介して第1放熱板に伝熱されやすくなるとともに、第2コアの熱が第2部分を介して第1放熱板に伝熱されやすくなり、コイル装置の放熱性を高めることができる。
【0018】
前記第1放熱板は、前記側部に連続し、前記ベース部の頂面に沿って延在する天板部を有していてもよい。この場合、第1コアの熱が天板部を介して第1放熱板に伝熱されるため、コイル装置の放熱性を高めることができる。
【0019】
前記第2コアには、第2放熱板が取り付けられており、前記第2放熱板は、前記ギャップ側方部の少なくとも一部が開放されるように、前記第2側面を覆っていてもよい。この場合、第2放熱板の取付に起因して、ギャップ側方部が、第2放熱板によって完全に塞がれることがない。そのため、ギャップ側方部上において、ギャップ側方部で発生する磁場の影響が第2放熱板に及びにくくなり、第2放熱板における渦電流の発生を防止し、損失を低減することができる。また、第2コアの熱が第2放熱板に伝熱されるため、コイル装置の放熱性を高めることができる。
【0020】
前記第2コアは、第2ベース部と、前記第2ベース部から突出し、前記ギャップを介して前記第1外脚部と対向する第2外脚部を有していてもよい。この場合、第1コアおよび第2コアのいずれもE型コアで構成することが可能となり、コイル装置の磁気特性を向上させることができる。
【0021】
前記ボビンは、前記第1放熱板が取り付けられた前記第1コアとともに、ケースに収容されていてもよい。この場合、第1コアの熱が第1放熱板を介してケースに伝熱されるため、コイル装置の放熱性を高めることができる。
【0022】
前記ケースの内部には、前記第1コアおよび前記第2コアが浸漬されるように、放熱性樹脂が充填されていてもよい。この場合、第1コアの熱が、第1放熱板さらには放熱性樹脂を介して、ケースに伝熱されるため、コイル装置の放熱性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は本発明の第1実施形態に係るコイル装置の斜視図である。
図2図2図1に示すコイル装置の分解斜視図である。
図3図3図1に示すコイル装置からケースおよび放熱性樹脂を省略した斜視図である。
図4図4図3に示すIV-IV線に沿う断面図である。
図5図5図2に示すボビンの斜視図である。
図6図6図5に示すボビンの平面図である。
図7図7は本発明の第2実施形態に係るコイル装置の斜視図である。
図8図8図7に示すVIII-VIII線に沿う断面図である。
図9図9は本発明の第3実施形態に係るコイル装置の斜視図である。
図10図10図9に示すX-X線に沿う断面図である。
図11図11は本発明の第4実施形態に係るコイル装置の断面図である。
図12A図12A図4に示す放熱板の変形例の一部断面図である。
図12B図12B図4に示す放熱板の他の変形例の一部断面図である。
図12C図12C図4に示す放熱板の他の変形例の一部断面図である。
図12D図12D図4に示す放熱板の他の変形例の一部断面図である。
図12E図12E図8に示す放熱板の変形例の一部断面図である。
図12F図12F図8に示す放熱板の他の変形例の一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図示する内容は、本発明の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。また、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0025】
(第1実施形態)
図1に示す本発明の第1実施形態に係るコイル装置1は、例えばリーケージトランスとして機能し、車載用充電器や各種電気機器の電源回路等に用いられる。図2に示すように、コイル装置1は、少なくとも、ボビン2と、第1コイル4と、第1コア6aおよび6bと、第2コア7aおよび7bと、放熱板8a1と、を有する。本実施形態のコイル装置1は、放熱板8a2と、放熱板8b1と、放熱板8b2と、第2コイル5と、端子10a~10dと、ケース14と、放熱性樹脂15(図1)とをさらに有するが、これらの構成については必須ではなく、必要に応じて省略してもよい。コイル装置1は、ボビン2の軸芯あるいは第1コイル4(または第2コイル5)の巻軸が、実装基板(図示略)に対して垂直に配置されるコイル装置である。
【0026】
図2等において、X軸は、第1コア6aと第1コア6bとが対向する方向に平行な軸である。Y軸は、放熱板8a1と放熱板8a2とが対向する方向に平行な軸である。Z軸は、X軸およびY軸に垂直な軸である。以下の説明では、X軸、Y軸およびZ軸の各々について、コイル装置1の中心に向かう方向を内側と呼び、コイル装置1の中心から離れる方向を外側と呼ぶ。
【0027】
第1コア6aおよび6bは、E型コアであり、同一形状を有する。第1コア6aおよび6bの材質は、例えば金属あるいはフェライト等の磁性材料である。本実施形態では、第1コア6aと第1コア6bとがそれぞれ分割コアで構成されているが、第1コア6aと第1コア6bとは一体となっていてもよい。第1コア6aおよび6bは、それぞれ、ベース部61と、外脚部62とを有する。第1コア6aおよび6bは、それぞれ、中脚部63をさらに有していてもよい。
【0028】
ベース部61は、Z軸方向に厚みを有する板体である。一対の外脚部62は、ベース部61のZ軸方向の一方の面から突出している。一方の外脚部62は、ベース部61のY軸方向の一端に形成されており、他方の外脚部62は、ベース部61のY軸方向の他端に形成されている。
【0029】
中脚部63は、一対の外脚部62の間に位置する。中脚部63は、ベース部61のZ軸方向の一方の面から突出している。中脚部63は、ベース部61のY軸方向の中央に位置しているが、ベース部61の中央よりもY軸方向の一方側に位置ずれしていてもよい。中脚部63の横断面形状(中脚部63の軸方向に垂直な断面形状)は、半楕円形であるが、半円形あるいは多角形等でもよい。
【0030】
図3に示すように、第1コア6aと第1コア6bとは、X軸に沿って、隣接して配置されている。第1コア6aと第1コア6bとの間には、ギャップが形成されているが、第1コア6aと第1コア6bとは接触していてもよい。
【0031】
図2に示すように、第2コア7aおよび7bは、E型コアであり、同一形状を有する。第2コア7aおよび7bの材質は、第1コア6aおよび6bの材質と同一であるが、異なっていてもよい。本実施形態では、第2コア7aと第2コア7bとがそれぞれ分割コアで構成されているが、第2コア7aと第2コア7bとは一体となっていてもよい。第2コア7aおよび7bは、それぞれ、ベース部71と、外脚部72とを有する。第2コア7aおよび7bは、それぞれ、中脚部73をさらに有していてもよい。ベース部71の構成はベース部61の構成と同様であり、外脚部72の構成は外脚部62の構成と同様であり、中脚部73の構成は中脚部63の構成と同様である。本実施形態では、第1コア6a(6b)および第2コア7a(7b)のいずれもE型コアで構成されており、コイル装置1の磁気特性を向上させることができる。
【0032】
図3に示すように、第2コア7aと第2コア7bとは、X軸に沿って、隣接して配置されている。第2コア7aと第2コア7bとの間には、ギャップが形成されているが、第2コア7aと第2コア7bとは接触していてもよい。
【0033】
第1コア6aと第2コア7aとは、Z軸に沿って、対向して配置されている。同様に、第1コア6bと第2コア7bとは、Z軸に沿って、対向して配置されている。第1コア6aの外脚部62は、ギャップGを介して、第2コア7aの外脚部72と対向している。また、第1コア6bの外脚部62は、ギャップGを介して、第2コア7bの外脚部72と対向している。図4に示すように、ギャップGのZ軸に沿った長さL1は、例えば1~3mmである。ギャップGのZ軸に沿った長さL1は、1.5~2.5mmでもよい。また、ギャップGのZ軸に沿った長さL1は、後述する放熱板8a1の厚みよりも大きくてもよい。
【0034】
本実施形態では、ギャップGにはボビン2の一部(後述する鍔延長部31)が配置されているが、ギャップGには空気の層が形成されていてもよい。あるいは、ギャップGには、放熱性樹脂15(図1)が充填されていてもよい。あるいは、ギャップGには、ボビン2とは別体からなる樹脂製の部材(樹脂製シート等)が配置されていてもよい。
【0035】
外脚部62のY軸方向の外側に位置する側面62sと、外脚部72のY軸方向の外側に位置する側面72sとは、ギャップGを介して、Z軸方向に隣接している。側面62sと側面72sとは、XZ平面に平行な同一面上に位置するが、側面62sと側面72sとの間には段差が形成されていてもよい。
【0036】
外脚部62の側面62sと外脚部72の側面72sとの間には、ギャップGのギャップ側方部G1が形成されている。ギャップ側方部G1は、ギャップGのY軸方向の外側に位置する部分である。より詳細には、ギャップ側方部G1は、外脚部62の先端部62eと外脚部72の先端部72eとの間に位置する部分である。ただし、先端部62eは、外脚部62の先端面(XY平面に平行な面)の外縁部のうち、Y軸方向の外側に位置する部分(X軸に沿って延在する部分)である。また、先端部72eは、外脚部72の先端面(XY平面に平行な面)の外縁部のうち、Y軸方向の外側に位置する部分(X軸に沿って延在する部分)である。ギャップ側方部G1は、側面62sと側面72sとの間において、側面62sおよび側面72sに対して平行に延在する仮想的な面を構成している。
【0037】
中脚部63の先端面と中脚部73の先端面とは、ギャップを介して対向している。中脚部63と中脚部73との間のギャップには、放熱性樹脂15が充填されている。ただし、中脚部63と中脚部73との間のギャップには、ボビン2の一部が配置されていてもよく、あるいはボビン2とは別体からなる樹脂製の部材(樹脂製シート等)が配置されていてもよい。あるいは、当該ギャップには、空気の層が形成されていてもよい。
【0038】
図2に示すように、第1コイル4および第2コイル5は、ボビン2に設けられている。第1コイル4は、ワイヤ40がコイル状に巻回された巻回部41と、巻回部41から引き出された引出部42および43とを有する。第2コイル5は、ワイヤ50がコイル状に巻回された巻回部51と、巻回部51から引き出された引出部52および53とを有する。第1コイル4および第2コイル5の一方は一次側コイルであり、他方は二次側コイルである。
【0039】
ワイヤ40および50は、それぞれ、例えば銅などで構成される丸線、平角線、撚り線、リッツ線、編組線などの導電性芯線である。ワイヤ40および50は、これらの導電性芯線を絶縁性の被膜で被覆した絶縁被覆ワイヤでもよい。ワイヤ40および50の各々の線径(直径)は、例えば1.0~3.0mmである。ワイヤ40および50の線径は、それぞれ等しくてもよく、あるいは異なっていてもよい。たとえば、ワイヤ40および50のうち、電流が大きい一方のワイヤの線径を他方のワイヤの線径よりも太くしてもよい。
【0040】
ボビン2には、第1コア6aと第2コア7aとが、Z軸に沿って相互に対向するように取り付けられる。また、ボビン2には、第1コア6bと第2コア7bとが、Z軸に沿って相互に対向するように取り付けられる。図5に示すようにボビン2は、筒部20を有する。ボビン2は、鍔部21~23と、端子台24aおよび24bと、設置部34aおよび34bと、鍔延長部31と、凸部32と、溝部33_1および33_2とをさらに有していてもよい。ボビン2は、例えばPPS、PET、PBT、LCP等のプラスチック、あるいはその他の絶縁部材(好ましくは、耐熱性を有する材料)で構成されている。
【0041】
筒部20は、無底筒状の筒体であり、貫通孔を有する。筒部20の内部には、第1コア6aおよび6bの各々の中脚部63(図2)が挿入される。また、筒部20の内部には、第2コア7aおよび7bの各々の中脚部73(図2)が挿入される。筒部20の外周面には、ワイヤ40が巻回されることにより、第1コイル4の巻回部41が設けられる。また、鍔部20の外周面には、ワイヤ50が巻回されることにより、第2コイル5の巻回部51が設けられる。
【0042】
鍔部21は、筒部20のZ軸方向の一端に形成されており、鍔部22は、筒部20のZ軸方向の他端に形成されている。鍔部23は、鍔部21と鍔部22との間に位置する。鍔部21~23は、筒部20の外周面から、その径方向の外側に向かって突出している。鍔部21と鍔部23との間には巻回部41が配置され、鍔部22と鍔部23との間には巻回部51が配置される。鍔部21~23の径方向の外側への突出長は、特に限定されないが、巻回部41または51の径方向の長さと同等以上である。
【0043】
凸部32は、鍔部21および22の各々の表面に形成されている。また、凸部32は、筒部20の内周面に形成されている。凸部32は、鍔部21および22の表面から、Z軸に沿って外側に突出している。また、凸部32は、筒部20の内周面から、その径方向の内側に突出している。
【0044】
凸部32は、第1コア6aのベース部61(図2)と第1コア6bのベース部61との間に配置される。そのため、第1コア6aのベース部61と第1コア6bのベース部61との間には、X軸に沿って、凸部32の厚みに応じた長さのギャップが形成される。また、凸部32は、第1コア6aの中脚部63(図2)と第1コア6bの中脚部63との間に配置される。そのため、第1コア6aの中脚部63と第1コア6bの中脚部63との間には、X軸に沿って、凸部32の厚みに応じた長さのギャップが形成される。
【0045】
同様に、凸部32は、第2コア7aのベース部71(図2)と第2コア7bのベース部71との間に配置される。そのため、第2コア7aのベース部71と第2コア7bのベース部71との間には、X軸に沿って、凸部32の厚みに応じた長さのギャップが形成される。また、凸部32は、第2コア7aの中脚部73と第2コア7bの中脚部73との間に配置される。そのため、第2コア7aの中脚部73と第2コア7bの中脚部73との間には、X軸に沿って、凸部32の厚みに応じた長さのギャップが形成される。
【0046】
鍔部23の外縁部には、複数(本実施形態では、2つ)の鍔延長部31が形成されている。一方の鍔延長部31は、鍔部23のY軸方向の一端に形成されており、Y軸に沿って外側に突出している。他方の鍔延長部31は、鍔部23のY軸方向の他端に形成されており、Y軸に沿って外側に突出している。鍔延長部31の厚みは、鍔部23の厚みと等しくなっている。図3に示すように、鍔延長部31は、第1コア6aの外脚部62と第2コア7aの外脚部72との間のギャップGに配置される。また、鍔延長部31は、第1コア6bの外脚部62と第2コア7bの外脚部72との間のギャップGに配置される。
【0047】
図5に示すように、溝部33_1および33_2は、鍔部23のX軸方向の一端に形成されており、鍔部23の外縁部から、その径方向の内側に向かって凹んでいる。溝部33_1および33_2には、第2コイル5の引出部52および53が引き出される。溝部33_1には、鍔部22と鍔部23との間の巻回部51から立ち上げられた引出部52が、Z軸に沿って通過する。溝部33_2には、鍔部22と鍔部23との間の巻回部51から立ち上げられた引出部53が、Z軸に沿って通過する。
【0048】
端子台24aは、鍔部21のX軸方向の一端に形成されており、端子台24bは、鍔部21のX軸方向の他端に形成されている。端子台24aと端子台24bとは、同一の形状を有するが、異なる形状を有していてもよい。端子台24aは、壁部25と、側方壁部26_1および26_2と、仕切部27と、柱部28_1および28_2と、底部29と、引出通路30_1および30_2とを有する。
【0049】
壁部25と側方壁部26_1および26_2とは、鍔部21の表面から、Z軸に沿って外側に突出している。壁部25はY軸に沿って延在しており、側方壁部26_1および26_2はX軸に沿って延在している。端子台24aの壁部25と側方壁部26_1および26_2とは、引出部42および43を第1コア6a(図2)から絶縁する。端子台24bの壁部25と側方壁部26_1および26_2とは、引出部52および53を第1コア6b(図2)から絶縁する。
【0050】
底部29は、X軸に沿って、壁部25の一方の面から外側に突出している。仕切部27は、壁部25と底部29とに跨るように形成されている。仕切部27は、底部29のY軸方向の中央部に位置する。また、仕切部27は、X軸に沿って、壁部25の一方の面から外側に突出している。
【0051】
柱部28_1および28_2は、底部29から、Z軸に沿って突出している。柱部28_1は、仕切部27よりもY軸方向の一方側に位置しており、柱部28_2は、仕切部27よりもY軸方向の他方側に位置している。
【0052】
引出通路30_1は、柱部28_1の周囲に形成されており、柱部28_1を囲むように延在している。引出通路30_1は、柱部28_1と側方壁部26_1との間の通路と、柱部28_1と壁部25との間の通路と、柱部28_1と仕切部27との間の通路とで構成されている。
【0053】
引出通路30_2は、柱部28_2の周囲に形成されており、柱部28_2を囲むように延在している。引出通路30_2は、柱部28_2と側方壁部26_2との間の通路と、柱部28_2と壁部25との間の通路と、柱部28_2と仕切部27との間の通路とで構成されている。
【0054】
図5および図6に示すように、第1コイル4の引出部42は、鍔部21と鍔部23との間の空間において、巻回部41から立ち上げられ、端子台24aの引出通路30_1へ案内される。そして、引出部42は、引出通路30_1に沿って、端子台24aの柱部28_1の周囲を屈曲しつつ通過し、端子台24aよりもX軸方向の外側に引き出される。
【0055】
また、第1コイル4の引出部43は、鍔部21と鍔部23との間の空間において、巻回部41から立ち上げられ、端子台24aの引出通路30_2へ案内される。そして、引出部43は、引出通路30_2に沿って、端子台24aの柱部28_2の周囲を屈曲しつつ通過し、端子台24aよりもX軸方向の外側に引き出される。
【0056】
また、第2コイル5の引出部52は、鍔部22と鍔部23との間の空間において、巻回部51から立ち上げられ、溝部33_1を通じて、端子台24bの引出通路30_1へ案内される。そして、引出部52は、引出通路30_1に沿って、端子台24bの柱部28_1の周囲を屈曲しつつ通過し、端子台24bよりもX軸方向の外側に引き出される。
【0057】
また、第2コイル5の引出部53は、鍔部22と鍔部23との間の空間において、巻回部51から立ち上げられ、溝部33_2を通じて、端子台24bの引出通路30_2へ案内される。そして、引出部53は、引出通路30_2に沿って、端子台24bの柱部28_2の周囲を屈曲しつつ通過し、端子台24bよりもX軸方向の外側に引き出される。
【0058】
設置部34aは、鍔部22のX軸方向の一方の端部に形成されており、鍔部23とは反対側に向けて、鍔部22からZ軸に沿って突出している。設置部34bは、鍔部22のX軸方向の他方の端部に形成されており、鍔部23とは反対側に向けて、鍔部22からZ軸に沿って突出している。ボビン2は、設置部34aおよび34bを介して、ケース14の底部14b(図2)に設置される。
【0059】
図2に示すように、端子10a~10dは、同一の形状を有し、それぞれ継線部11と、接続部12と、中間部13とを有する。本実施形態では、端子10aおよび10bは、ボビン2の端子台24a(図5)に一体的に形成されているが、端子台24aに対して後付されてもよい。また、端子10cおよび10dは、ボビン2の端子台24b(図5)に一体的に形成されているが、端子台24bに対して後付されてもよい。
【0060】
端子10aの継線部11には、第1コイル4の引出部42がかしめられつつ接続される。端子10bの継線部11には、第1コイル4の引出部43がかしめられつつ接続される。端子10cの継線部11には、第2コイル5の引出部52がかしめられつつ接続される。端子10dの継線部11には、第2コイル5の引出部53がかしめられつつ接続される。引出部42、43、52および53は、継線部11に対して溶接されてもよい。あるいは、引出部42、43、52および53は、継線部11に対して、例えばレーザ溶接、ハンダ、導電性接着剤、熱圧着、超音波接合、抵抗ろう付けまたは紫外線硬化樹脂接合等によって接続されてもよい。
【0061】
接続部12は、例えば実装基板に接続される部分である。接続部12は、Z軸に沿って突出しているが、X軸またはY軸に沿って突出していてもよい。図2および図5に示すように、接続部12の一部は、ボビン2の柱部28_1または28_2に埋設されている。
【0062】
中間部13は、継線部11と接続部12との間に位置し、これらに対して連続している。中間部13の少なくとも一部は、ボビン2の柱部28_1または28_2(図5)に埋設されている。中間部13の少なくとも一部は、ボビン2の底部29(図5)に埋設されていてもよい。
【0063】
図2に示すように、ケース14は、側部14sと、底部14bとを有する。ケース14は、アルミ等の冷却性に優れた金属等で構成されている。ケース14には、第1コア6a、第1コア6b、第2コア7aおよび第2コア7b等が装着されたボビン2を収容するための開口部が形成されている。図1に示すように、ボビン2、放熱板8a1、放熱板8a2、放熱板8b1、放熱板8b2、第1コア6aおよび第1コア6bは、それぞれ部分的にケース14の開口部から露出している。
【0064】
図1および図2に示すように、ケース14の内部には、放熱性樹脂15を充填することが可能となっている。放熱性樹脂15は、第1コア6aおよび6bと、第1コイル4と、第2コイル5と、第2コア7aおよび7bと、放熱板8a1および8a2と、放熱板8b1および8b2とが浸漬されるように、ケース14の内部に充填される。放熱性樹脂15は、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂あるいはエポキシ樹脂等で構成される。放熱性樹脂15は、ケース14の開口部付近、例えば側部14sのZ軸に沿った高さの70~90%程度まで充填される。
【0065】
本実施形態では、ケース14および放熱性樹脂15を介して、第1コイル4、第2コイル5、ボビン2、第1コア6a、第1コア6b、第2コア7aおよび第2コア7b等の熱を外部に効率よく放熱し、コイル装置1の冷却効率を高めることが可能となっている。
【0066】
図2に示すように、放熱板8a1および8a2は、同一の形状を有し、例えば接着剤やテープによって第1コア6aに取り付けられる。ただし、放熱板8a1および8a2は、ケース14に充填される放熱性樹脂15(図1)によって第1コア6aに取り付けられてもよい。放熱板8a1および8a2は、アルミニウム、銅および銀等の金属、あるいは樹脂で構成されている。放熱板8a1は、第1コア6aのY軸方向の一方側に取り付けられ、放熱板8a2は、第1コア6aのY軸方向の他方側に取り付けられる。放熱板8a1と放熱板8a2とは、Y軸に沿って、離間している。
【0067】
放熱板8b1および8b2は、同一の形状を有し、例えば接着剤やテープによって、第1コア6bに取り付けられる。ただし、放熱板8b1および8b2は、ケース14に充填される放熱性樹脂15(図1)によって第1コア6bに取り付けられてもよい。放熱板8b1および8b2は、アルミニウム、銅および銀等の金属、あるいは樹脂で構成されている。放熱板8b1は、第1コア6bのY軸方向の一方側に取り付けられ、放熱板8b2は、第1コア6bのY軸方向の他方側に取り付けられる。放熱板8b1と放熱板8b2とは、Y軸に沿って、離間している。
【0068】
放熱板8a1、8a2、8b1および8b2は、それぞれ、L字形状を有しており、側部80と、天板部86とを有する。放熱板8a1、8a2、8b1および8b2の各々の厚みは、特に限定されないが、0.5~2mmである。
【0069】
図4に示すように、天板部86は、ベース部61の頂面61sに沿って延在している。天板部86は、ベース部61をZ軸方向の一方側から覆うように、頂面61sに当接している。側部80は、天板部86のY軸方向の一端に接続されており、天板部86に対して直交するように、外脚部62の側面62sに沿って延在している。側部80は、外脚部62をY軸方向の一方側(外側)から覆うように、側面62sに当接している。側部80の一部は、ケース14に充填された放熱性樹脂15で覆われている。放熱板8a1および8a2は、それぞれ、ベース部61および外脚部62の両方を覆っているが、後述するように、ベース部61および外脚部62のいずれか一方のみを覆っていてもよい。
【0070】
ここで、側部80のZ軸に沿った長さをL3とし、ベース部61の頂面61sから外脚部62の先端部62eまでの長さL2とする。本実施形態では、L3<L2である。ただし、後述するように、L3=L2でもよく、L3>L2でもよい。また、本実施形態では、L3>L2/2であるが、L3=L2/2でもよく、L3<L2/2でもよい。
【0071】
側部80の先端部80eは、外脚部62の先端部62eから、Z軸に沿って、頂面61s側に離間した位置に位置する。すなわち、側部80は、側面62s上において、ギャップ側方部G1から、Z軸に沿って、頂面61s側に離間した位置に配置されている。ここで、側部80の先端部80eと外脚部62の先端部62eとの間の距離をL4とする。本実施形態では、L4=L1であるが、L4>L1でもよく、L4≧2L1でもよく、L4≧3L1でもよい。また、L4≧L1/5でもよく、L4≧L1/2でもよい。あるいは、L4<L1でもよく、あるいはL4≦L1/2でもよい。ただし、L1は、ギャップGのZ軸に沿った長さである。
【0072】
放熱板8a1は、ギャップGのギャップ側方部G1の少なくとも一部(本実施形態では、キャップ側方部G1の全部)が開放されるように、ベース部61および外脚部62をY軸方向の外側から覆っている。また、側部80は、ギャップ側方部G1の全部が開放されるように、側面62sをY軸方向の外側から覆っている。そのため、ギャップ側方部G1は、側部80に重複することなく、ケース14に充填された放熱性樹脂15で直接的に覆われている。本実施形態では、ギャップ側方部G1の全部が放熱性樹脂15で直接的に覆われているが、後述するように、ギャップ側方部G1の一部が放熱性樹脂15で直接的に覆われていてもよい。なお、ケース14の内部に放熱性樹脂15が充填されない場合、ギャップ側方部G1は、ケース14の内部の空気の層で覆われていてもよい。
【0073】
放熱板8a2は、放熱板8a1と同様の態様で、ギャップ側方部G1の少なくとも一部(本実施形態では、キャップ側方部G1の全部)が開放されるように、ベース部61および外脚部62を覆っている。
【0074】
また、詳細な図示は省略するが、放熱板8b1および8b2(図2)は、それぞれ、ギャップ側方部G1(第1コア6bの外脚部62と第2コア7bの外脚部72との間に形成されたギャップGのギャップ側方部G1)の少なくとも一部(本実施形態では、キャップ側方部G1の全部)が開放されるように、ベース部61および外脚部62を覆っている。
【0075】
次に、コイル装置1の製造方法について説明する。まず、図2に示す各部材を準備する。図3に示すように、ボビン2の端子台24aおよび24bには、端子10a~10dを一体的に形成しておく。次に、図2および図5に示すように、ボビン2の筒部20の外周面にワイヤ40を巻回し、巻回部41を形成する。また、引出部42を巻回部41から端子台24aに向けて立ち上げる。そして、図6に示すように、端子台24aの引出通路30_1を介して、引出部42を端子台24aのX軸方向の外側に引き出す。また、図5に示すように、引出部43を巻回部41から端子台24aに向けて立ち上げる。そして、端子台24aの引出通路30_2を介して、引出部43を端子台24aのX軸方向の外側に引き出す。
【0076】
次に、図5に示すように、ボビン2の筒部20の外周面にワイヤ50を巻回し、巻回部51を形成する。また、溝部33_1を通じて、引出部52を巻回部51から端子台24bに向けて立ち上げる。そして、図6に示すように、端子台24bの引出通路30_1を介して、引出部52を端子台24bのX軸方向の外側に引き出す。また、図5に示すように、溝部33_2を介して、引出部53を巻回部51から端子台24bに向けて立ち上げる。そして、図6に示すように、端子台24bの引出通路30_2を通じて、引出部53を端子台24bのX軸方向の外側に引き出す。
【0077】
次に、図3に示すように、端子10a(継線部11)に引出部42を接続するとともに、端子10b(継線部11)に引出部43を接続する。また、端子10c(継線部11)に引出部52を接続するとともに、端子10d(継線部11)に引出部53を接続する。
【0078】
次に、第1コア6aと第2コア7aとを相互に向かい合うようにボビン2に取り付けるとともに、第1コア6bと第2コア7bとを相互に向かい合うようにボビン2に取り付ける。必要に応じて、第1コア6aと第2コア7aとを接着してもよく、第1コア6bと第2コア7bとを接着してもよい。
【0079】
次に、第1コア6aに放熱板8a1および8a2を取り付ける。図4に示すように、Y軸方向の一方側において、ベース部61の頂面61sと外脚部62の側面62sとに跨るように、放熱板8a1を取り付ける。また、Y軸方向の他方側において、ベース部61の頂面61sと外脚部62の側面62sとに跨るように、放熱板8a2を取り付ける。同様にして、図3に示すように、第1コア6bに放熱板8b1および8b2を取り付ける。必要に応じて、第1コア6aと放熱板8a1および8a2とを接着剤などで固定してもよい。また、第1コア6bと放熱板8b1および8b2とを接着剤などで固定してもよい。
【0080】
次に、図1に示すように、第1コア6a等が取り付けられたボビン2をケース14に収容する。次に、ケース14の内部に放熱性樹脂15を充填する。以上のようにして、コイル装置1を製造することができる。
【0081】
図4に示すように、本実施形態のコイル装置1では、放熱板8a1が、ギャップ側方部G1の少なくとも一部(本実施形態では、ギャップ側方部G1の全部)が開放されるように、ベース部61および外脚部62の少なくとも一方(本実施形態では、ベース部61および外脚部62の両方)を覆っている。そのため、放熱板8a1の取付に起因して、ギャップ側方部G1が、放熱板8a1によって完全に塞がれることがない。そのため、ギャップ側方部G1上において、ギャップ側方部G1で発生する磁場の影響が放熱板8a1に及びにくくなり、放熱板8a1に渦電流が発生しにくくなると考えられる。これにより、コイル装置1の損失を低減することが可能となり、コイル装置1の効率を向上させることができる。また、第1コア6aの熱が放熱板8a1に伝熱されるため、コイル装置1の放熱性を高めることができる。
【0082】
また、側部80は、ギャップ側方部G1の全部が開放されるように、外脚部62の側面62sを覆っている。そのため、ギャップ側方部G1は、側部80によって、一切塞がれることがない。したがって、ギャップ側方部G1上において、ギャップ側方部G1で発生する磁場の影響が側部80に及ぶことがなく、側部80における渦電流の発生を防止し、損失を低減することができる。
【0083】
なお、本発明者等の実験によると、側部80の先端部80eの位置をZ軸に沿ってギャップ側方部G1から遠ざけるほど(すなわち、図4に示す側部80のZ軸に沿った長さL3を短くするほど)、損失を低減する効果が大きくなることが確認されている。例えば、側部80のZ軸に沿った長さL3を、ベース部61の頂面61sから外脚部62の先端部62eまでの長さL2の1/2未満とした場合、損失をさらに低減することができる。
【0084】
また、側部80は、Z軸に沿って、ギャップ側方部G1から離間した位置に配置されている。そのため、側面62s上において、ギャップ側方部G1で発生する磁場の影響が側部80に及びにくくなり、側部80における渦電流の発生を防止し、損失を低減することができる。
【0085】
また、側部80は、側面62sに当接している。そのため、第1コア6aの熱が側部80を介して放熱板8a1に伝熱されやすくなり、コイル装置1の放熱性を高めることができる。
【0086】
また、放熱板6a1は、側部80に連続し、ベース部61の頂面61sに沿って延在する天板部86を有している。そのため、第1コア6aの熱が天板部86を介して放熱板8a1に伝熱されるため、コイル装置1の放熱性を高めることができる。
【0087】
また、ボビン2は、放熱板8a1が取り付けられた第1コア6aとともに、ケース14に収容されている。そのため、第1コア6aの熱が放熱板8a1を介してケース14に伝熱されるため、コイル装置1の放熱性を高めることができる。
【0088】
また、ケース14の内部には、第1コア6aおよび第2コア7aが浸漬されるように、放熱性樹脂15が充填されている。そのため、第1コア6aの熱が、放熱板8a1さらには放熱性樹脂15を介して、ケース14に伝熱されるため、コイル装置1の放熱性を高めることができる。
【0089】
(第2実施形態)
図7に示す第2実施形態のコイル装置101は、以下に示す点を除いて、第1実施形態のコイル装置1と同様の構成を有する。第1実施形態のコイル装置1と重複する部分には、同一符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0090】
コイル装置101は、放熱板108a1および108a2と、放熱板108b1および108b2とを有する。放熱板108a1および108a2は同一の形状を有し、放熱板108b1および108b2は同一の形状を有する。放熱板108a1、108a2、108b1および108b2は、それぞれ、L字形状を有しており、第1実施形態の側部80(図2)に代えて側部180を有する。放熱板108a1、108a2、108b1および108b2は、それぞれ、ベース部61、外脚部62および外脚部72の各々を覆っている。ただし、放熱板108a1、108a2、108b1および108b2から天板部86を省略し、放熱板108a1、108a2、108b1および108b2によって外脚部62および外脚部72のみを覆ってもよい。
【0091】
側部180は、第1部分81と、第2部分82と、段差形成部84とを有する。図8に示すように、第1部分81は、第2部分82よりも、第1コア6aに近接している。第1部分81は、天板部86のY軸方向の一端に接続されており、天板部86に対して直交するように、外脚部62の側面62sに沿って延在している。第1部分81は、外脚部62をY軸方向の一方側(外側)から覆うように、側面62sに当接している。第1部分81の一部は、ケース14に充填された放熱性樹脂15で覆われている。第1部分81のZ軸に沿った長さは、第1実施形態の側部80のZ軸に沿った長さL3(図4)と等しくなっているが、これよりも長くてもよく、あるいはこれよりも短くてもよい。
【0092】
段差形成部84は、第1部分81に連続しており、第1部分81に対して直交するように、Y軸に沿って、側面62から離間する方向に延在している。ただし、段差形成部84は、第1部分81に対して斜め方向に延在していてもよい。段差形成部84は、第1部分81と第2部分82との間に位置しており、これらを接続している。
【0093】
第2部分82は、第1部分81よりも、第2コア7aに近接している。第2部分82は、段差形成部84に連続しており、段差形成部84に対して直交するように、Z軸に沿って、ケース14の底部14bに向かって延在している。第2部分82は、第1コア6aの外脚部62および第2コア7aの外脚部72に沿って延在している。より詳細には、第2部分82と外脚部62の側面62sとは平行に配置されており、第2部分82と外脚部72の側面72sとは平行に配置されている。第2部分82の先端部82eは、ケース14の底部14bから離間した位置に配置されている。ただし、先端部82eは、ケース14の底部14bに当接していてもよい。
【0094】
第2部分82は、側面62s上、ギャップ側方部G1上および側面72s上に配置されている。ただし、第2部分82は、ギャップ側方部G1上および側面72s上にのみ配置されていてもよい。あるいは、第2部分82は、側面62s上およびギャップ側方部G1上にのみ配置されていてもよい。あるいは、第2部分82は、ギャップ側方部G1上にのみ配置されていてもよい。
【0095】
第2部分82は、ギャップ側方部G1の少なくとも一部が開放されるように、ギャップ側方部G1および外脚部72の側面72sをY軸方向の外側から覆っている。本実施形態では、第2部分82は、ギャップ側方部G1の全部が開放されるように、ギャップ側方部G1および側面72sをY軸方向の外側から覆っている。ただし、第2部分82は、ギャップ側方部G1の一部が開放されるように、ギャップ側方部G1および側面72sをY軸方向の外側から覆っていてもよい。
【0096】
第2部分82は、側面72sおよびギャップ側方部G1に加えて、側面62sをY軸方向の外側から覆っている。ただし、第2部分82は、ギャップ側方部G1および側面72sのみをY軸方向の外側から覆っていてもよい。あるいは、第2部分82は、側面62sおよびギャップ側方部G1のみをY軸方向の外側から覆っていてもよい。あるいは、第2部分82は、ギャップ側方部G1のみをY軸方向の外側から覆っていてもよい。
【0097】
第2部分82は、第2部分82とギャップ側方部G1との間に隙間Sが形成されるように、ギャップ側方部G1から離間している。また、第2部分82は、第2部分82と側面72sとの間に隙間Sが形成されるように、側面72sから離間している。隙間Sには放熱性樹脂15が充填されているが、隙間Sには空気の層が形成されていてもよい。
【0098】
ここで、第2部分82とギャップ側方部G1(または外脚部72の側面72s)との間の隙間Sの長さをL5とする。本実施形態では、L5=L1(図4)であるが、L5>L1でもよく、L5≧2L1でもよく、L5≧3L1でもよい。また、L5≧L1/5でもよく、L5≧L1/2でもよい。あるいは、L5<L1でもよく、L5≦L1/2でもよい。ただし、L1は、ギャップGのZ軸に沿った長さである。
【0099】
ギャップ側方部G1は、第2部分82に当接することなく、ケース14に充填された放熱性樹脂15で直接的に覆われている。本実施形態では、ギャップ側方部G1の全部が放熱性樹脂15で直接的に覆われているが、ギャップ側方部G1の一部が放熱性樹脂15で直接的に覆われていてもよい。なお、ケース14の内部に放熱性樹脂15が充填されない場合、ギャップ側方部G1は、ケース14の内部の空気の層で覆われていてもよい。
【0100】
放熱板108a2は、放熱板108a1と同様の態様で、ギャップ側方部G1の少なくとも一部(本実施形態では、キャップ側方部G1の全部)が開放されるように、ベース部61、外脚部62、ギャップ側方部G1および外脚部72を覆っている。
【0101】
また、詳細な図示は省略するが、放熱板108b1および108b2(図7)は、それぞれ、ギャップ側方部G1(第1コア6bの外脚部62と第2コア7bの外脚部72との間に形成されたギャップGのギャップ側方部G1)の少なくとも一部(本実施形態では、キャップ側方部G1の全部)が開放されるように、ベース部61、外脚部62、ギャップ側方部G1および外脚部72を覆っている。
【0102】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、本実施形態では、第2部分82が、ギャップ側方部G1の少なくとも一部(本実施形態では、ギャップ側方部G1の全部)が開放されるように、側面72sおよびギャップ側方部G1を覆っている。そのため、放熱板108a1の取付に起因して、ギャップ側方部G1が、第2部分82によって完全に塞がれることがない。これにより、ギャップ側方部G1上において、ギャップ側方部G1で発生する磁場の影響が第2部分82に及びにくくなり、第2部分82における渦電流の発生を防止し、損失を低減することができる。また、第2コア7aの熱が第2部分82を介して放熱板108a1に伝熱されるため、コイル装置101の放熱性を高めることができる。
【0103】
また、第1部分81と第2部分82とは、段差形成部84を介して接続されている。そのため、段差形成部84の長さに応じて、第2部分82をギャップ側方部G1から離間した位置に配置することができる。これにより、ギャップ側方部G1上において、ギャップ側方部G1で発生する磁場の影響が第2部分82に及びにくくなり、第2部分82における渦電流の発生を防止し、損失を低減することができる。
【0104】
また、第1部分81は、側面62sに当接している。そして、第2部分82は、隙間Sが形成されるように、ギャップ側方部G1および側面72sから離間している。そのため、隙間Sの長さに応じて、第2部分82をギャップ側方部G1および側面72sから離間した位置に配置することができる。これにより、ギャップ側方部G1上において、ギャップ側方部G1で発生する磁場の影響が第2部分82に及びにくくなり、第2部分82における渦電流の発生を防止し、損失を低減することができる。また、第2側面72s上において、ギャップ側方部G1で発生する磁場の影響が第2部分82に及びにくくなり、第2部分82における渦電流の発生を防止し、損失の発生を防止することができる。また、第1コア6aの熱が第1部分81を介して放熱板108a1に伝熱されやすくなり、コイル装置101の放熱性を高めることができる。
【0105】
(第3実施形態)
図9に示す第3実施形態のコイル装置201は、以下に示す点を除いて、第2実施形態のコイル装置101と同様の構成を有する。第2実施形態のコイル装置101と重複する部分には、同一符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0106】
コイル装置201は、放熱板208a1および208a2と、放熱板208b1および208b2とを有する。放熱板208a1および208a2は同一の形状を有し、放熱板208b1および208b2は同一の形状を有する。放熱板208a1、208a2、208b1および208b2は、それぞれ、L字形状を有しており、第2実施形態の側部180(図7)に代えて側部280を有する。放熱板208a1、208a2、208b1および208b2は、それぞれ、ベース部61、外脚部62および外脚部72の各々を覆っている。ただし、放熱板208a1、208a2、208b1および208b2から天板部86を省略して、放熱板208a1、208a2、208b1および208b2によって外脚部62および外脚部72のみを覆ってもよい。
【0107】
側部280は、第1部分81と、第2部分82と、第3部分83と、段差形成部84と、段差形成部85とを有する。本実施形態の第1部分81および段差形成部84の各構成は、第2実施形態の第1部分81(図7)および段差形成部84の各構成と同様である。
【0108】
図10に示すように、第2部分82は、第1部分81よりも、第2コア7aに近接している。第2部分82は、外脚部72の側面72sに沿って、ケース14の底部14bに向かって延在している。第2部分82は、外脚部72をY軸方向の一方側(外側)から覆うように、側面72sに当接している。第2部分82は、ケース14に充填された放熱性樹脂15で覆われている。第2部分82のZ軸に沿った長さは、第1部分81のZ軸に沿った長さと等しくなっているが、これよりも長くてもよく、あるいはこれよりも短くてもよい。第2部分82の先端部82eは、ケース14の底部14bから離間した位置に配置されている。ただし、先端部82eは、底部14bに当接していてもよい。
【0109】
第3部分83は、第1部分81と第2部分82との間に介在しており、外脚部62、ギャップ側方部G1および外脚部72に沿って延在している。第3部分83は、外脚部62の側面62s、ギャップ側方部G1および外脚部72の側面72sに対して平行に配置されている。第3部分83は、側面62s上、ギャップ側方部G1上および側面72s上に配置されている。ただし、第3部分83は、側面62s上およびギャップ側方部G1上にのみ配置されていてもよい。あるいは、第3部分83は、ギャップ側方部G1上および側面72s上にのみ配置されていてもよい。あるいは、第3部分83は、ギャップ側方部G1上にのみ配置されていてもよい。
【0110】
段差形成部84は、第1部分81と第3部分83とを接続しており、段差形成部85は、第2部分82と第3部分83とを接続している。段差形成部84および85は、第3部分83に対して直交するように延在しているが、第3部分83に対して斜め方向に延在していてもよい。
【0111】
第3部分83は、ギャップ側方部G1の少なくとも一部が開放されるように、ギャップ側方部G1を覆っている。本実施形態では、第3部分83は、ギャップ側方部G1の全部が開放されるように、ギャップ側方部G1をY軸方向の外側から覆っている。ただし、第3部分83は、ギャップ側方部G1の一部が開放されるように、ギャップ側方部G1をY軸方向の外側から覆っていてもよい。
【0112】
本実施形態では、第3部分83は、ギャップ側方部G1に加えて、側面62sおよび側面72sをY軸方向の外側から覆っている。ただし、第3部分83は、側面62sおよびギャップ側方部G1のみをY軸方向の外側から覆っていてもよい。あるいは、第3部分83は、ギャップ側方部G1および側面72sのみをY軸方向の外側から覆っていてもよい。あるいは、第3部分83は、ギャップ側方部G1のみをY軸方向の外側から覆っていてもよい。
【0113】
第3部分83は、第3部分83とギャップ側方部G1との間に隙間Sが形成されるように、ギャップ側方部G1から離間している。また、第3部分83は、第3部分83と側面62sとの間に隙間Sが形成されるように、側面62sから離間している。また、第3部分83は、第3部分83と側面72sとの間に隙間Sが形成されるように、側面72sから離間している。隙間Sは、第3部分83と段差形成部84と段差形成部85とで囲まれている。隙間Sには放熱性樹脂15が充填されているが、隙間Sには空気の層が形成されていてもよい。本実施形態の隙間SのY軸に沿った長さは、第2実施形態の隙間SのY軸に沿った長さL5(図8)と等しくなっているが、異なっていてもよい。
【0114】
ギャップ側方部G1は、第3部分83に当接することなく、ケース14に充填された放熱性樹脂15で直接的に覆われている。本実施形態では、ギャップ側方部G1の全部が放熱性樹脂15で直接的に覆われているが、ギャップ側方部G1の一部が放熱性樹脂15で直接的に覆われていてもよい。なお、ケース14の内部に放熱性樹脂15が充填されない場合、ギャップ側方部G1は、ケース14の内部の空気の層で覆われていてもよい。
【0115】
放熱板208a2は、放熱板208a1と同様の態様で、ギャップ側方部G1の少なくとも一部(本実施形態では、キャップ側方部G1の全部)が開放されるように、ベース部61、外脚部62、ギャップ側方部G1および外脚部72を覆っている。
【0116】
また、詳細な図示は省略するが、放熱板208b1および208b2(図9)は、それぞれ、ギャップ側方部G1(第1コア6bの外脚部62と第2コア7bの外脚部72との間に形成されたギャップGのギャップ側方部G1)の少なくとも一部(本実施形態では、キャップ側方部G1の全部)が開放されるように、ベース部61、外脚部62、ギャップ側方部G1および外脚部72を覆っている。
【0117】
本実施形態においても、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、本実施形態では、第3部分83が、ギャップ側方部G1の少なくとも一部(本実施形態では、ギャップ側方部G1の全部)が開放されるように、ギャップ側方部G1を覆っている。そのため、放熱板208a1の取付に起因して、ギャップ側方部G1が、第3部分83によって完全に塞がれることがない。そのため、ギャップ側方部G1上において、ギャップ側方部G1で発生する磁場の影響が第3部分83に及びにくくなり、第3部分83における渦電流の発生を防止し、損失を低減することができる。加えて、第1コア6aの熱が第1部分81を介して第1放熱板に伝熱されるとともに、第2コア7aの熱が第2部分82を介して放熱板208a1に伝熱されるため、コイル装置201の放熱性を高めることができる。
【0118】
また、第1部分81と第3部分83とは、段差形成部84を介して接続されており、第2部分82と第3部分83とは、段差形成部85を介して接続されている。そのため、段差形成部84および85の各々の長さに応じて、第3部分83をギャップ側方部G1から離間した位置に配置することができる。これにより、ギャップ側方部G1上において、ギャップ側方部G1で発生する磁場の影響が第3部分83に及びにくくなり、第3部分83における渦電流の発生を防止し、損失を低減することができる。
【0119】
また、第1部分81は、側面62sに当接しており、第2部分82は、側面72sに当接しており、第3部分83は、隙間Sが形成されるように、ギャップ側方部G1から離間している。そのため、隙間Sの長さに応じて、第3部分83をギャップ側方部G1から離間した位置に配置することができる。これにより、ギャップ側方部G1上において、ギャップ側方部G1で発生する磁場の影響が第3部分83に及びにくくなり、第3部分83における渦電流の発生を防止し、損失を低減することができる。また、第1コア6aの熱が第1部分81を介して放熱板208a1に伝熱されやすくなるとともに、第2コア7aの熱が第2部分82を介して放熱板208a1に伝熱されやすくなり、コイル装置201の放熱性を高めることができる。
【0120】
(第4実施形態)
図11に示す第4実施形態のコイル装置301は、以下に示す点を除いて、第1実施形態のコイル装置1と同様の構成を有する。第1実施形態のコイル装置1と重複する部分には、同一符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0121】
コイル装置301は、放熱板9a1および9a2を有する。放熱板9a1および9a2は、それぞれ、側部90と、天板部96とを有する。側部90は、第2コア7aの外脚部72の側面72sに当接している。側部90の構成は、側部80の構成と同様である。また、側面72sに対する側部90の取付態様は、側面62sに対する側部80の取付態様と同様である。
【0122】
天板部96は、第2コア7aのベース部71の頂面71sに当接している。天板部96の構成は、天板部86の構成と同様である。また、頂面71sに対する天板部96の取付態様は、頂面61sに対する天板部86の取付態様と同様である。なお、詳細な図示は省略するが、第2コア7bにも、放熱板9a1および9a2と同様の放熱板を取り付けてもよい。
【0123】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、本実施形態では、放熱板9a1(側部90)は、ギャップ側方部G1の少なくとも一部(本実施形態では、ギャップ側方部G1の全部)が開放されるように、側面72sを覆っている。そのため、放熱板9a1の取付に起因して、ギャップ側方部G1が、放熱板9a1(側部90)によって完全に塞がれることがない。そのため、ギャップ側方部G1上において、ギャップ側方部G1で発生する磁場の影響が放熱板9a1(側部90)に及びにくくなり、放熱板9a1(側部90)における渦電流の発生を防止し、損失を低減することができる。また、第2コア7aの熱が放熱板9a1(側部90)に伝熱されるため、コイル装置301の放熱性を高めることができる。
【0124】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。例えば、図12Aに示すように、放熱板8a1の側部80の先端部80eは、Z軸方向に関して、外脚部62の先端部62eと外脚部72の先端部72eとの間に位置していてもよい。すなわち、先端部80eは、ギャップ側方部G1の内側に配置されていてもよい。放熱板8a2、8b1および8b2についても同様である。側部80は、ギャップ側方部G1の一部が開放されるように、側面62sおよびギャップ側方部G1を覆っている。ここで、外脚部62の先端部62eと側部80の先端部80eとの間のZ軸に沿った長さをL6とし、ギャップGのZ軸に沿った長さをL1とすると、L6<L1である。ただし、L6≦L1/2でもよく、L6≦L1/5でもよい。あるいは、L6≧L1/8でもよく、L6≧L1/5でもよく、L6≧L1/2でもよい。
【0125】
本変形例においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、本変形例では、放熱板8a1の取付に起因して、ギャップ側方部G1が、側部80によって完全に塞がれることがない。そのため、ギャップ側方部G1上において、ギャップ側方部G1で発生する磁場の影響が側部80に及びにくくなり、側部80における渦電流の発生を防止し、コイル装置1の損失を低減することができる。
【0126】
図12Bに示すように、側部80の先端部80eは、外脚部62の先端部62e上に位置していてもよい。放熱板8a2、8b1および8b2についても同様である。この場合、第1実施形態に比べて、側部80によって、外脚部62の側面62を広範囲にわたって覆うことができる。そのため、第1コア6aの熱が放熱板8a1に伝熱されやすくなり、コイル装置1の放熱性を高めることができる。
【0127】
図12Cに示すように、放熱板8a1から側部80を省略してもよい。また、図12Dに示すように、放熱板8a1から天板部86を省略してもよい。放熱板8a2、8b1および8b2についても同様である。この場合も、放熱板8a1の取付に起因して、ギャップ側方部G1が、放熱板8a1によって完全に塞がれることがなく、ギャップ側方部G1で発生する磁場の影響が放熱板8a1に及ぶことを防止することができる。
【0128】
図12Eに示すように、放熱板188a1の段差形成部84は、外脚部62の先端部62eにおいて、第1部分81に対して直交する方向に立ち上げられていてもよい。また、図12Fに示すように、放熱板108a1の段差形成部84は、外脚部62のZ軸方向の中心(あるいは、第1コア6aのZ軸方向の中心)よりも頂面62s側において、第1部分81に対して直交する方向に立ち上げられていてもよい。この場合も、放熱板108a1の取付に起因して、ギャップ側方部G1が、第2部分82によって塞がれることがなく、ギャップ側方部G1で発生する磁場の影響が第2部分82に及ぶことを防止することができる。なお、本発明者等の実験によると、図12Fに示す変形例では、図12Eに示す変形例に比べて、損失を低減する効果が大きくなることが確認されている。
【0129】
図12A図12Dに示す構成を、第4実施形態の放熱板9a1および9a2に適用してもよい。
【0130】
上記第1実施形態において、図4に示す放熱板8a1の側部80は、側面62s、ギャップ側方部G1および側面72sのいずれにも当接しなくてもよい。放熱板8a2、8b1および8b2についても同様である。この場合も、放熱板8a1の取付に起因して、ギャップ側方部G1が、側部80によって塞がれることがなく、ギャップ側方部G1で発生する磁場の影響が側部80に及ぶことを防止することができる。
【0131】
上記第1実施形態において、図2に示すように、放熱板8a1および8a2は、別体で構成されていたが、一体となっていてもよい。同様に、放熱板8b1および8b2は、別体で構成されていたが、一体となっていてもよい。また、放熱板8a1および8b1は、別体となっていたが、一体となっていてもよい。また、放熱板8a2および8b2は、別体となっていたが、一体となっていてもよい。上記第2実施形態~第4実施形態についても同様である。また、上記第4実施形態の放熱板9a1および9a2(図11)についても同様である。
【0132】
上記第1実施形態において、図2に示すように、第1コア6aおよび6bと、第2コア7aおよび7bとは、E型コアであったが、これらのコアの形状は特に限定されない。例えば、第1コア6aおよび6bがそれぞれE型コア(あるいはI型コア)であり、第2コア7aおよび7bがそれぞれI型コアでもよい。あるいは、第2コア7aおよび7bがそれぞれE型コア(あるいはI型コア)であり、第1コア6aおよび6bがそれぞれI型コアでもよい。上記第2実施形態~第4実施形態についても同様である。
【0133】
上記第1実施形態では、図4に示すように、放熱板8a1(放熱板8a2、8b1および8b2についても同様)において、側部80と天板部86とは一体となっていたが、側部80と天板部86とは別体で構成されていてもよい。上記第2実施形態~第4実施形態についても同様である。また、上記第4実施形態の放熱板9a1および9a2(図11)についても同様である。
【0134】
上記各実施形態では、本発明のトランスへの適用例について説明したが、本発明をトランス以外のコイル装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0135】
1,101,201,301…コイル装置
2…ボビン
20…筒部
21~23…鍔部
24a,24b…端子台
25…壁部
26_1,26_2…側方壁部
27…仕切部
28_1,28_2…柱部
29…底部
30_1,30_2…引出通路
31…鍔延長部
32…凸部
33_1,33_2…溝部
34a,34b…設置部
4…第1コイル
40…ワイヤ
41…巻回部
42,43…引出部
5…第2コイル
50…ワイヤ
51…巻回部
52,53…引出部
6a,6b…第1コア
61…ベース部
61s…頂面
62…外脚部
62s…側面
62e…先端部
63…中脚部
7a,7b…第2コア
71…ベース部
71s…側面
72…外脚部
72s…側面
72e…先端部
73…中脚部
8a1,8a2,8b1,8b2,108a1,108a2,108b1,108b2,208a1,208a2,208b1,208b2…放熱板
80,180,280…側部
80e…先端部
81…第1部分
82…第2部分
82e…先端部
83…第3部分
84,85…段差形成部
86…天板部
9a,9b…放熱板
90…側部
96…天板部
10a~10d…端子
11…継線部
12…接続部
13…中間部
14…ケース
14s…側部
24b…底部
15…放熱性樹脂
G…ギャップ
G1…ギャップ側方部
S…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F