(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119491
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】データ中継端末、コンピュータプログラムおよび宅配ドローン
(51)【国際特許分類】
B64U 20/80 20230101AFI20240827BHJP
B64U 10/25 20230101ALI20240827BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20240827BHJP
G06Q 10/083 20240101ALI20240827BHJP
B64U 101/64 20230101ALN20240827BHJP
【FI】
B64U20/80
B64U10/25
B65G61/00 550
G06Q10/083
B64U101:64
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026419
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】521184874
【氏名又は名称】株式会社空解
(74)【代理人】
【識別番号】100101742
【弁理士】
【氏名又は名称】麦島 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】川村 剛
(72)【発明者】
【氏名】小宮 光裕
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】 往復路データの一括送信や受取確認が可能なドローン宅配サービスを実現する。
【解決手段】 出発地から運搬すべき荷物の届け先である到着地までの往路データおよび到着地から次の到着地である復路データをドローン制御端末から受信する制御端末データ受信手順と、復路データを格納する復路データ格納手順と、受信した往路データを宅配ドローンが読み込めるデータとして送信する往路データ送信手順と、宅配ドローンが到着地へ到着したか否かを判断する到着判断手順と、到着地へ到着したと判断した場合に復路データ格納手順にて格納した復路データを宅配ドローンが読み込めるデータとして送信する復路データ送信手順と、をデータ中継端末に実行させる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を運搬する宅配ドローン、およびその宅配ドローンを外部から制御するためのドローン制御端末とのデータ中継を実施するデータ中継端末であって、
前記のドローン制御端末とのデータ送受信を実施する制御端末データ送受信手段と、
前記の宅配ドローンが読み込めるデータによるデータ送信を実施するドローンデータ送信手段と、
前記の宅配ドローンが当該宅配ドローンによって運搬された荷物を受け取る受取人のいる受取地へ到着した旨を判断する到着判断手段と、
を備え、
前記の宅配ドローンにおいて前記のデータ中継端末を物理的に装着するために備えられた装着手段へ装着可能であるように形成し、
前記の制御端末データ送受信手段は、前記の宅配ドローンが前記の受取地に関する受取地データおよびその受取地から次の移動地に関する移動地データをドローン制御端末から受信し、
前記のドローンデータ送信手段は、前記の受取地データを宅配ドローンへ送信するとともに、前記の到着地判断手段が前記の受取地へ到着したと判断した場合に前記の移動地データを宅配ドローンへ送信することとしたデータ中継端末。
【請求項2】
前記の荷物受取人に対して本人認証を督促する督促データを出力する督促データ出力手段と、
前記の荷物受取人から入力される本人認証データを受信する認証データ入力手段と、
を備え、
前記の認証データ入力手段が本人認証データを受信した場合に、前記の宅配ドローンが荷物を格納している荷物ハッチのロックを解除するロック解除信号を出力することとした
請求項1に記載のデータ中継端末。
【請求項3】
前記の荷物受取人に対して本人認証を督促する督促データを出力する督促データ出力手段と、
前記の荷物受取人から入力される本人認証データを受信する認証データ入力手段と、
前記のデータ入力手段が受信した本人認証データによって荷物受取人が正当か否かを確認する本人確認手段と、
を備え、
前記の制御端末データ送受信手段は、前記のドローン制御端末から本人認証データを受信し、
前記の本人確認手段は、前記の認証データ入力手段が受信した本人認証データおよび前記の制御端末データ送受信手段が受信した本人認証データの一致を確認した場合に、前記の宅配ドローンが荷物を格納している荷物ハッチのロックを解除するロック解除信号を出力することとした
請求項1に記載のデータ中継端末。
【請求項4】
宅配ドローンを制御するためのドローン制御データを受信するドローン制御データ受信手段と、
そのドローン制御データ受信手段が受信したドローン制御データを出力する制御データ出力手段と、を備えることとした
請求項1から請求項3のいずれかに記載のデータ中継端末。
【請求項5】
宅配ドローンによって運搬された荷物を受け取る受取人に係る情報端末との双方向通信を可能とした
請求項1に記載のデータ中継端末。
【請求項6】
荷物を運搬する宅配ドローン、およびその宅配ドローンを外部から制御するためのドローン制御端末(たとえば宅配手配端末)とのデータ中継を実施するデータ中継端末を制御するコンピュータプログラムであって、
出発地から運搬すべき荷物の届け先である到着地までの往路データおよび前記の到着地から次の到着地である復路データを前記のドローン制御端末から受信する制御端末データ受信手順と、
前記の復路データを格納する復路データ格納手順と、
その制御端末データ受信手順にて受信した往路データを前記の宅配ドローンが読み込めるデータとして前記の宅配ドローンへ送信する往路データ送信手順と、
前記の宅配ドローンが到着地へ到着したか否かを判断する到着判断手順と、
その到着判断手順にて前記の宅配ドローンが到着地へ到着したと判断した場合に、前記の復路データ格納手順にて格納した前記の復路データを前記の宅配ドローンが読み込めるデータとして前記の宅配ドローンへ送信する復路データ送信手順と、
を前記のデータ中継端末に実行させることとしたコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記の荷物受取人に対して本人認証を督促する督促データを出力する督促データ出力手順と、
前記の荷物受取人から入力される本人認証データを受信する認証データ入力手順と、
その認証データ入力手順にて本人認証データを受信した場合に、前記の宅配ドローンが荷物を格納している荷物ハッチのロックを解除するロック解除信号を出力するロック解除出力手順と、
を前記のデータ中継端末に実行させることとした請求項6に記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記の荷物受取人に対して本人認証を督促する督促データを出力する督促データ出力手順と、
前記の荷物受取人から入力される本人認証データを受信する認証データ入力手順と、
その認証データ入力手順にて受信した本人認証データによって荷物受取人が正当か否かを確認する本人確認手順と、
前記の制御端末データ送受信手順においては、前記のドローン制御端末から本人認証データを受信することとし、
前記の認証データ入力手順にて受信した本人認証データおよび前記の制御端末データ送受信手順にて受信した本人認証データの一致を確認した場合に、前記の宅配ドローンが荷物を格納している荷物ハッチのロックを解除するロック解除信号を出力するロック解除出力手順と、
を前記のデータ中継端末に実行させることとした請求項6に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
宅配ドローンを制御するためのドローン制御データを受信するドローン制御データ受信手順と、
そのドローン制御データ受信手順にて受信したドローン制御データを出力する制御データ出力手順と、を前記のデータ中継端末に実行させることとした
請求項6または請求項8のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
飛行機型ドローンであって、
宅配する荷物を収納可能で紡錘形をしたボディと、 そのボディに固定された主翼と、 前記のボディの後方部分に位置させた尾翼と、を備えるとともに、
前記のボディの前方前面には、端末収納空間と、その端末収納空間を覆う収納空間カバーと、前記の宅配ドローンを制御する制御部と有線接続してデータ送受信を可能とするための接続ケーブルと、
を備え、
前記の接続ケーブルは、前記の端末収納空間へデータ中継端末を装着した場合に当該データ中継端末と有線接続を可能とした宅配ドローン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人で荷物を配送する輸送機器(主に飛行ドローン)に搭載するデータ中継端末、およびそのデータ中継端末を装着した輸送機器の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
配送事業は、新型コロナウィルスの蔓延と相まって活況を呈している。その一方で、人手不足(特に配送用車両のドライバーの不足)が深刻化している。そのため、人手不足を解消するために、現状業務の省力化や無人化が求められている。
【0003】
配送の自由度、及び、使い勝手、また配送の自由度による配送サービスの選択肢増加などを意図して、特許文献1には、配送管理システムが開示されている。
【0004】
特許文献2には、施設、建造物、土地、圃場、森林などの人工物または自然物に対する調査、点検、保守、加工、破壊または建造などの作業にドローンを採用した技術が開示されている。
【0005】
なお、「ドローン」とは、搭乗者なしに移動可能な移動体(航空機、走行機、水上船、潜水機)であり、搭乗者なしに移動可能とするために、遠隔から無線で制御可能、または移動体自らが自律的に制御可能なハードウェアおよびソフトウェアを備えている。配送業務に対して採用されれば、省力化や無人化が期待できる。
【0006】
特許文献3には、少ない機械化と少ない構成コストとによって構成され稼働される空路によって配達される小包又は荷物用の受取装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-81685号公報
【特許文献2】特開2018-169995号公報
【特許文献3】特開2020-517035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現状技術によって、荷物の配送機器にドローンを採用して宅配サービスを実現すると、
図1に示すような手順となる。
【0009】
(
図1)
まず、荷物依頼人が荷物の配送を宅配業者に依頼する(1)。宅配業者におけるドローン・オペレータ(甲)が、依頼された荷物をドローンに積載し、受取人やその場所などのデータを入力する(2)。
【0010】
荷物の積載とデータ入力が完了したドローンは、飛行して荷物を荷物受取人へ届ける(3)。荷物受取人の場所へ到着したドローンに対して、ドローン・オペレータ(乙)は、復路のデータ入力をする(4)。復路のデータ入力を終えたドローンは、復路を飛行して帰還する(5)。
【0011】
以下、
図1に説明した技術における問題点を、
図2および
図3を用いて説明する。
【0012】
(
図2)
第一の問題点は、ドローンの飛行(移動)を実現するため、往路用データの入力と復路用データの入力とが別々に実施されている点である。ドローンを制御するためのオペレーションズシステム(ドローンOS)が、ドローン・オペレータ(甲や乙)が用いている端末に採用されているオペレーションズシステム(端末OS)と異なるためである。すなわち、ドローン・オペレータ(甲や乙)が用いている端末から入力されたデータは、ドローンOSが読み込めるようにするためにはプロトコル変換が必要となるのである。
加えて、ドローンOSは、一度の飛行用データのみを記憶し、飛行を終えた場合にはその飛行に用いたデータを完全に消去してから次の飛行用データを読み込むようにしている。
【0013】
プロトコル変換の必要性やドローンOSの基本構造、安全性への配慮などの理由から、往路用データの入力と復路用データの入力とを、一度に実施していないため、往路用データの入力と復路用データの入力とを別々に実行せざるを得ない。往路用データの入力と復路用データの入力とを一度に実施できれば合理的であるが、それを実現するためにはドローンOSの基本構造を変更しなければならない。それは現実的ではないため、飛行に用いたデータを完全に消去してから次の飛行用データを読み込ませるため、往路用データの入力と復路用データの入力とが別々に実施されているのである。
【0014】
(
図3)
第二の問題点は、荷物の受け取り場面において、受取人に対する本人確認の仕組みがない点である。実用実験中の無人配送ドローンは、入力されたデータに基づいて受取人の住所地などへ飛行して到着するが、到着する場所が決められているのみである。すなわち、受取人が確かに受け取ったと意思表示する仕組みが存在していない。加えて、ドローンによって宅配された荷物を、依頼人の指定する受取人だけが受け取れるようにする仕組みもない。
【0015】
ドローンには、飛行を制御するなどの目的でいくつかのカメラが搭載されており、それらのカメラを使うことで荷物受取人の顔認証システム(撮影誘導、撮影した画像データの送信、認証、認証後の荷物受け取り確認といった手順)を実施する、といった方法が考えられなくもない。しかし、ドローンに搭載されたカメラによる撮影や、その撮影データの処理などはドローンOSに基づいたアプリケーションプログラムを開発して実施しなければならず、荷物受取人が保有する一般の通信端末と連携させて実現するのは困難である。
【0016】
本発明が解決しようとする課題は、ドローンを荷物の運搬媒体として採用した場合に、往路および復路のデータ一括入力や荷物受取人の本人確認を、簡便な手段で実行する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前述した課題を解決するため、宅配ドローンとドローン制御端末との間にデータ中継端末を介在させたシステムを提供する。また、データ中継端末を搭載可能な宅配ドローンを併せて提供する。
【0018】
(第一の発明)
第一の発明は、荷物を運搬する宅配ドローン(たとえば飛行機型ドローン10)と、その宅配ドローン(10)を外部から制御するためのドローン制御端末(たとえば宅配手配端末30)とのデータ中継を実施するデータ中継端末(たとえば、スマートフォン20)に係る。
そのデータ中継端末(20)は、前記のドローン制御端末(30)とのデータ送受信を実施する制御端末データ送受信手段と、
前記の宅配ドローン(10)が読み込めるデータによるデータ送信を実施するドローンデータ送信手段と、
前記の宅配ドローン(10)が当該宅配ドローン(10)によって運搬された荷物を受け取る受取人のいる受取地へ到着した旨を判断する到着判断手段と、
を備え、
前記の宅配ドローン(10)において前記のデータ中継端末(20)を物理的に装着するために備えられた装着手段へ装着可能であるように形成し、
前記の制御端末データ送受信手段は、前記の宅配ドローン(10)が前記の受取地に関する受取地データおよびその受取地から次の移動地に関する移動地データをドローン制御端末(30)から受信し、
前記のドローンデータ送信手段は、前記の受取地データを宅配ドローン(10)へ送信するとともに、前記の到着地判断手段が前記の受取地へ到着したと判断した場合に前記の移動地データを宅配ドローン(10)へ送信することする(
図4、
図5参照)。
【0019】
(用語説明)
「宅配ドローン(10)」とは、搭乗者なしに移動可能な移動体(航空機、走行機、水上船、潜水機)であり、搭乗者なしに移動可能とするために、遠隔から無線で制御可能、または移動体自らが自律的に制御可能なハードウェアおよびソフトウェアを備えた移動体であり、宅配に係る荷物を搭載可能である。後述する実施形態においては、航続距離が比較的長い飛行機型ドローンを採用して説明している。
【0020】
「装着手段」とは、物理的な装着である。宅配ドローン(10)側にデータ中継端末(20)をそのまま装着固定できる手段が備えられている場合には、データ中継端末(20)側に特別な物理的な手段は必要ない。ただし、宅配ドローン(10)が移動する際に邪魔にならず、安定した装着となるように内包することが望ましい(たとえば、
図5におけるスマフォカバー13)。加えて、データ中継端末(20)と宅配ドローン(10)とのデータ送受信が安定してできるように有線接続(ケーブル接続)することが望ましい。
【0021】
「宅配ドローンが読み込めるデータ」とは、宅配ドローンを制御するオペレーションズシステム(ドローンOS)が扱えるデータ方式へプロトコル変換したデータである。
【0022】
「到着地判断手段が受取地へ到着したと判断」する方法としては、以下のようないくつかの方法がある(
図8参照)。
第一の方法は、データ中継端末にGPS機能を搭載し、そのGPS機能によって取得した位置データが到着地データと一致した場合に受取地へ到着したと判断する方法である。
第二の方法は、宅配ドローンに搭載されたGPS機能が取得する位置データを宅配ドローンからドローン制御端末へ送信し、位置データが到着地データと一致したとドローン制御端末が判断してからデータ中継端末へその旨を送信する方法である(この方法の場合、データ中継端末における到着地判断手段は、ドローン制御端末からの判断結果データを受信する手段となる)。
第三の方法は、宅配ドローンに搭載されたGPS機能が取得する位置データをデータ中継端末が受信し、プロトコル変換した位置データが到着地データと一致したとデータ中継端末が判断する方法である。後述する実施形態においては、この方法を採用している。
【0023】
第四の方法は、前述した三種類の方法を複数組み合わせて判断する方法である。複数組み合わせた場合、最終的な判断を細分化することが可能である。
例えば、第一の方法と第三の方法とを組み合わせたとする。両方法ともが到着したと判断できた場合にのみ到着したと判断する場合、どちらか一方の方法で到着したと判断できた場合に到着したと判断する場合、の少なくとも2つの方法がある。GPSによって取得した位置データには誤差が付きものであるため、複数の方法を組み合わせたり、誤差を考慮したりしたアルゴリズムを採用する。
【0024】
第五の方法は、データ中継端末と荷物受取人に係る受取人端末とが双方向通信を開始したことを認知する方法である。この方法を採用する場合、荷物受取人に係る受取人端末のメールアドレスなどの受取人端末を特定するための端末特定データをデータ中継端末が保持しておく必要がある。そのためには、ドローン制御端末から端末特定データを受取人端末が予め受信しておく必要がある。
【0025】
(作用)
データ中継端末(20)は、装着手段へ装着することで宅配ドローン(10)に装着される。
制御端末データ送受信手段は、宅配ドローン(10)が受取地に関する受取地データおよびその受取地から次の移動地に関する移動地データを受信する。そして、ドローンデータ送信手段は、宅配ドローン(10)が読み込めるデータによる受取地データを宅配ドローン(10)へ送信する。
【0026】
宅配ドローン(10)は、受信した受け取り地データに基づいた移動を実施して荷物を運搬する。そして、宅配ドローン(10)が荷物を受け取る受取人のいる受取地へ到着した旨を、到着判断手段が判断する。受取地において受取人が宅配ドローン(10)に搭載された荷物を受け取る。
【0027】
ドローンデータ送信手段は、到着地判断手段が受取地へ到着したと判断した場合に、宅配ドローン(10)が読み込める移動地データを宅配ドローン(10)へ送信する。受取地において、ドローン制御端末(30)が移動地データを送り込まなくてもよい。
移動地データを受信して読み込んだ宅配ドローン(10)は、その移動地データに係る移動地へ移動することができる。
【0028】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のように形成すると好ましい。
すなわち、前記の荷物受取人に対して本人認証を督促する督促データ(たとえば音声、文字による画面出力、その組み合わせ)を出力する督促データ出力手段と、
前記の荷物受取人から入力される本人認証データを受信する認証データ入力手段と、
を備え、
前記の認証データ入力手段が本人認証データを受信した場合に、前記の宅配ドローンが荷物を格納している荷物ハッチのロックを解除するロック解除信号を出力することとする(
図11参照)。
【0029】
(用語説明)
「本人認証」とは、たとえば、前記のドローン制御端末が発行した本人認証データ(数字列や文字列による認証データ、それらに代わる二次元バーコードなど)、あるいは荷物受取人の個人情報(例えば生年月日)や顔写真を荷物受取人に係る通信端末(受取人端末)が受信し、その本人認証データを「データ入力手段」にて荷物受取人が入力することによって実施される。
「データ入力手段」とは、数字列や文字列による認証データの入力を受け付けるタッチパネル、二次元バーコードを認識するカメラ、顔写真を撮影するカメラなどが該当する。
【0030】
(作用)
データ出力手段は、荷物受取人に対して本人認証を督促するデータを出力する。督促された荷物受取人は、データ入力手段を用いて本人認証データを入力し、データ入力手段がそれを受信する。データ入力手段が本人認証データを受信した場合には、宅配ドローンが荷物を格納している荷物ハッチのロックを解除するロック解除信号が出力されるので、荷物受取人は荷物を受け取ることができる。
【0031】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明は、以下のように形成することもできる。
すなわち、 前記の荷物受取人に対して本人認証を督促する督促データを出力する督促データ出力手段と、
前記の荷物受取人から入力される本人認証データを受信する認証データ入力手段と、
前記のデータ入力手段が受信した本人認証データによって荷物受取人が正当か否かを確認する本人確認手段と、
を備え、
前記の制御端末データ送受信手段は、前記の宅配手配端末(30)から本人認証データを受信し、
前記の本人確認手段は、前記の認証データ入力手段が受信した本人認証データおよび前記の制御端末データ送受信手段が受信した本人認証データの一致を確認した場合に、前記の宅配ドローンが荷物を格納している荷物ハッチのロックを解除するロック解除信号を出力することとするのである(
図11参照)。
【0032】
「本人確認手段」とは、宅配手配端末から受信した本人認証データがある場合には、その本人認証データの入力を受け付け、予め宅配手配端末から送信していた本人認証データとの一致不一致を確認する手段である。
【0033】
(作用)
制御端末データ送受信手段が、ドローン制御端末から本人認証データを受信しておく。また、荷物受取人に対して、督促データ出力手段が本人認証を督促する督促データを出力する。その督促データの出力を受けた荷物受取人から入力される本人認証データを、認証データ入力手段が受信する。
認証データ入力手段が受信した本人認証データおよび制御端末データ送受信手段が受信した本人認証データの一致を確認した場合、宅配ドローンが荷物を格納している荷物ハッチのロックを解除するロック解除信号が出力される。そこで、荷物受取人は、荷物を受け取ることができる。
【0034】
本人認証データをデータ中継端末に送信できない人は、荷物を受け取ることができない。すなわち、本人以外が荷物を受け取れないようにすることで、セキュリティを高めることとなる。
【0035】
(第一の発明のバリエーション3)
第一の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、宅配ドローン(10)を制御するためのドローン制御データを受信するドローン制御データ受信手段と、
そのドローン制御データ受信手段が受信したドローン制御データを出力する制御データ出力手段と、を備えることとするのである。
【0036】
ここで、「ドローン制御データ」とは、たとえば、宅配ドローンの動力源である動力バッテリの残量を示す動力バッテリ残量データである。換言すれば、データ中継端末は、自らのバッテリ残量を表示するのみならず、宅配ドローンの動力バッテリ残量データをも、制御データ出力手段を介して表示することとなる。そのほか、飛行中の風速データも取得し、復路の選択などの判断に用いる。
【0037】
(作用)
ドローン制御データをドローン制御データ受信手段が受信し、受信したドローン制御データを制御データ出力手段が出力する。
たとえば、宅配手配端末の操作者などが、宅配ドローンの状態を知ることができる。
【0038】
(第一の発明のバリエーション4)
第一の発明は、以下のように形成することも可能である。
すなわち、宅配ドローン(10)によって運搬された荷物を受け取る受取人に係る情報端末(受取人端末)との双方向通信を可能とするのである(
図20参照)。
【0039】
双方向通信の手段としては、短距離無線通信(たとえば、ブルートゥース(登録商標)、赤外線通信)など非接触式の通信手段が最も合理的である。受取人端末の出力画面に二次元バーコードを表示させ、データ中継端末に搭載されたカメラがその二次元バーコードを読み取る、といったデータ送信法でもよい。
【0040】
(第二の発明)
第二の発明は、荷物を運搬する宅配ドローン(たとえば飛行機型ドローン)と、その宅配ドローンを外部から制御するためのドローン制御端末(たとえば宅配手配端末)とのデータ中継を実施するデータ中継端末を制御するコンピュータプログラムに係る。
そのコンピュータプログラムは、出発地から運搬すべき荷物の届け先である到着地までの往路データおよび前記の到着地から次の到着地である復路データを前記のドローン制御端末から受信する制御端末データ受信手順と、
前記の復路データを格納する復路データ格納手順と、
その制御端末データ受信手順にて受信した往路データを前記の宅配ドローンが読み込めるデータとして前記の宅配ドローンへ送信する往路データ送信手順と、
前記の宅配ドローンが到着地へ到着したか否かを判断する到着判断手順と、
その到着判断手順にて前記の宅配ドローンが到着地へ到着したと判断した場合に、前記の復路データ格納手順にて格納した前記の復路データを前記の宅配ドローンが読み込めるデータとして前記の宅配ドローンへ送信する復路データ送信手順と、
を前記のデータ中継端末に実行させるコンピュータプログラムに係る(
図5参照)。
【0041】
(第二の発明のバリエーション1)
第二の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、 前記の荷物受取人に対して本人認証を督促する督促データ(たとえば音声、文字による画面出力、その組み合わせ)を出力する督促データ出力手順と、
前記の荷物受取人から入力される本人認証データを受信する認証データ入力手順と、
その認証データ入力手順にて本人認証データを受信した場合に、前記の宅配ドローンが荷物を格納している荷物ハッチのロックを解除するロック解除信号を出力するロック解除出力手順と、
を前記のデータ中継端末に実行させるコンピュータプログラムとするのである(
図11参照)。
【0042】
(第二の発明のバリエーション2)
第二の発明は、以下のように形成することとしてもよい。
すなわち、 前記の荷物受取人に対して本人認証を督促する督促データを出力する督促データ出力手順と、
前記の荷物受取人から入力される本人認証データを受信する認証データ入力手順と、
その認証データ入力手順にて受信した本人認証データによって荷物受取人が正当か否かを確認する本人確認手順と、
前記の制御端末データ送受信手順においては、前記のドローン制御端末から本人認証データを受信することとし、
前記の認証データ入力手順にて受信した本人認証データおよび前記の制御端末データ送受信手順にて受信した本人認証データの一致を確認した場合に、前記の宅配ドローンが荷物を格納している荷物ハッチのロックを解除するロック解除信号を出力するロック解除出力手順と
を前記のデータ中継端末に実行させるコンピュータプログラムとするのである。
【0043】
(第二の発明のバリエーション3)
第二の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、宅配ドローンを制御するためのドローン制御データを受信するドローン制御データ受信手順と、
そのドローン制御データ受信手順にて受信したドローン制御データを出力する制御データ出力手順と、を前記のデータ中継端末に実行させることとするのである。
【0044】
(第三の発明)
第三の発明は、第一の発明に係るデータ中継端末(20)を装着可能な宅配ドローンに係る。
その宅配ドローン(10)は、飛行機型ドローンであって、
宅配する荷物を収納可能で紡錘形をしたボディ(11)と、 そのボディ(11)に固定された主翼(16)と、 前記のボディ(11)の後方部分に位置させた尾翼(18)と、を備えるとともに、
前記のボディ(11)の前方前面には、端末収納空間(スマフォ収納部14)と、その端末収納空間(14)を覆う収納空間カバー(スマフォカバー13)と、前記の宅配ドローン(11)を制御する制御部と有線接続してデータ送受信を可能とするための接続ケーブル(15)と、を備え、
前記の接続ケーブル(15)は、前記の端末収納空間(14)へデータ中継端末(20)を装着した場合に当該データ中継端末(20)と有線接続を可能としている(
図5参照)。
【0045】
(作用)
宅配するための荷物はボディ(11)へ収納する。端末収納空間(14)には、接続ケーブル(15)と有線接続したデータ中継端末(20)を収納する。そして、収納空間カバー(13)を収納する。データ中継端末(20)は、宅配ドローン(10)を構成する他の部位よりも密度が大きいので、前方に収納されることで飛行状態の安定に寄与する。
【0046】
第二の発明に係るコンピュータプログラムを、記録媒体へ記憶させて提供することもできる。なお、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体である。例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、DVD-R、フラッシュメモリなどである。
また、この発明に係るプログラムを格納したコンピュータから、通信回線を通じて情報端末へ伝送(ダウンロード)することも可能である。
【発明の効果】
【0047】
第一の発明によれば、ドローンを荷物の運搬媒体として採用した場合に、往路および復路のデータ一括入力や荷物受取人の本人確認を、簡便な手段で実行するためのデータ中継端末を提供することができる。
第二の発明によれば、ドローンを荷物の運搬媒体として採用した場合に、往路および復路のデータ一括入力や荷物受取人の本人確認を、簡便な手段で実行するためのデータ中継端末を制御するコンピュータプログラムを提供することができる。
第三の発明によれば、荷物の運搬媒体としてのドローンであって、往路および復路のデータ一括入力や荷物受取人の本人確認を、簡便な手段で実行するためのデータ中継端末を搭載可能なドローンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】現状技術によって想定されているドローン宅配サービスの手順を示す概念図である。
【
図2】現状技術によって想定されているドローン宅配サービスの問題点を示す概念図である。
【
図3】現状技術によって想定されているドローン宅配サービスの問題点を示す概念図である。
【
図4】ドローン宅配サービスを実現するために必要なシステムや機能を示す概念図である。
【
図5】飛行機型ドローンにスマートフォンを搭載した状態を示す斜視図である。
【
図6】往路データおよび復路データを一括送信するために必要な機能を示す概念図である。
【
図7】ドローン宅配サービスを実現するために必要なハードウェアと、そのハードウェアが実行する情報処理手順を示すブロック図である。
【
図8】受取地へ飛行機型ドローンが到着した旨を判断する方法を図示した概念図である。
【
図9】受取人による受取確認を実現するために必要な機能を示す概念図である。
【
図10】飛行機型ドローンに搭載されたスマートフォンを中心としたフローチャートである。
【
図11】データ中継端末、飛行機型ドローン、受取人端末の情報処理を示すブロック図である。
【
図12】飛行機型ドローンに搭載されたスマートフォンを中心としたフローチャートである。
【
図13】
図6に示した概念のバリエーションを示す概念図である。
【
図14】荷物受取人がデータ中継端末から荷物受取の指示を受ける際の、データ中継端末における出力画面を示す図である。
【
図15】宅配手配端末を操作するドローン・オペレータによるデータ中継端末へのデータ送信が完了した状態における、データ中継端末の出力画面を示す図である。
【
図16】配達ルートを示す配達前のデータ中継端末の出力画面を示す図である。
【
図17】配達開始の準備が整った離陸直前に表示されるデータ中継端末の出力画面を示す図である。
【
図18】受取地へ飛行機型ドローンが到着した際に表示されるデータ中継端末の出力画面を示す図である。
【
図19】受取人の本人認証に関するバリエーションを概念的に示す図である。
【
図20】宅配手配端末において、往路と復路のフライトルートをデータ中継端末に送信するための出力画面を示す図である。
【
図21】宅配手配端末において、配送完了後、その配送に関する情報を確認するための出力画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施形態について、図面(
図4から
図21)を参照して説明する。本発明は、実施形態に限定されるものではなく、本発明を解釈するための形態である。
【0050】
(
図4)
図4は、ドローン宅配サービスを実現するために必要なシステムや機能を概念的に示している。有線接続は実線の両矢印で、無線接続は二点破線の両矢印で関連機器を結び、図示している。以下に記す機器の説明においては、関連機器が担っている機能について、a~hまでの記号に対応させて説明している。
【0051】
以下の実施形態においては、宅配サービスにおいて荷物を搭載する宅配ドローン10は、航続距離の長い飛行機型ドローンを採用している。換言すれば、本願発明は、どのようなドローン(ヘリコプター型、モータボート型など)でも採用可能である。
【0052】
宅配ドローン10である飛行機型ドローンは、データ中継端末20を有線接続し機内に装着してデータの送受信をしつつ飛行する(g)。また、自らの位置データや飛行関連データを、当該飛行機型ドローン10を制御する宅配手配端末30へ送信している(h)。
【0053】
宅配手配端末30は、荷物依頼人からの荷物を受け取って宅配の手配などの事務管理をしたり、飛行機型ドローン10から飛行記録などを管理したり(b)、荷物受取人に対する本人認証データを送信したりする(j)。また、データ中継端末20との間で双方向通信をすることで、宅配ドローン10とのデータ送受信を実行する(a)。
【0054】
データ中継端末20は、装着された宅配ドローン10へのデータ送信(d)、宅配手配端末30とのデータ送受信(c)を担うほか、荷物受取人に対するデータ出力機能(e)、荷物受取人からのデータ入力(f)も行う。
【0055】
(
図5)
図5は、宅配ドローン10とデータ中継端末20との物理的な関係を示す。
図5(a)は、飛行する状態を示しており、データ中継端末20であるスマートフォンは宅配ドローン10である飛行機型ドローンに内蔵された状態にある。
図5(b)は、宅配ドローン10が着陸時にデータ中継端末10を閲覧あるいは操作したり、装着された状態から取り外したりすることができる状態にある。
【0056】
飛行機型ドロー10ンは、紡錘形をしたボディ11と、そのボディ11の上部に固定された主翼16と、その主翼16の後方部分から更に後方へ延伸させた尾翼18を備えている。主翼16における前方中央側には、一対の主翼プロペラ17を備え、ボディ11の後端にはボディプロペラ12を備えている。
なお、図示は省略するが、ボディ11には宅配する荷物を収納する荷物収納空間と、その荷物収納空間の開閉を担う荷物ハッチとを備えている。そして、荷物ハッチにはロック機構が備えられている。
【0057】
ボディ11の前方前面には、蝶番構造にて上方へ開放されるスマフォカバー13が備えられており、そのスマフォカバー13を開放した状態の内部にスマフォ収納部14が設けられている。そのスマフォ収納部14へデータ中継端末20であるスマートフォンを装着し、宅配ドローン10に搭載されている制御部との有線接続をするための接続ケーブル15とスマートフォンとを接続する。
【0058】
スマートフォン(データ中継端末20)にはカメラが装備されており、操作面側にいる操作者の顔を撮影したり、別のスマートフォンの画面に出力された二次元バーコードを読み取ったりすることができる。
宅配ドローン10の着陸時、スマートフォンの閲覧や操作の際には、スマフォカバー13を開放するが、飛行前には閉じて
図5(a)の状態になる。なお、スマフォカバー13を閉じた状態では、容易に空かないようにするロックする機構を備えているが、詳細な図示は省略する。
【0059】
(
図6)
図6は、往路データおよび復路データを宅配手配端末から飛行機型ドローンに一括送信するために必要な機能を図示したものである。
宅配手配端末には、データ中継端末とのデータ送受信機能、および飛行機型ドローンからのデータ受信機能が必要である。データ中継端末には、宅配手配端末とのデータ送受信機能、および飛行機型ドローンへのデータ送信機能(プロトコル変換機能)が必要である。飛行機型ドローンには、データ中継端末とのデータ送受信機能が必要である。
【0060】
宅配手配端末は、往路飛行用のデータおよび復路飛行用のデータをデータ中継端末へ無線通信にて送信する。データ中継端末は、往路飛行用のデータおよび復路飛行用のデータをプロトコル変換して飛行機型ドローンへ送信する。飛行機型ドローンは、宅配手配端末に対して、現在位置データや飛行関連データを送信する。
【0061】
(
図7)
図7は、飛行機型ドローン(宅配ドローン)にデータ中継端末(スマートフォン)を装着手段にて装着し、データ中継端末を介して宅配手配端末(ドローン制御端末)と飛行機型ドローンとのデータ送受信を実行する様子を、
図6よりも詳細に図示している。
【0062】
データ中継端末と飛行機型ドローンとは、データ送受信が可能であるように物理的に接続される。ただし、データ中継端末が一般的に送受信しているデータと飛行機型ドローン内の制御手段が扱えるデータとは、プロトコルが異なるので、データ中継端末においてプロトコル変換が必要である。
【0063】
宅配手配端末は、飛行機型ドローンによって荷物を届ける場所を特定する目的地データや受取人を特定するための受取人データを含む往路データと、荷物の届け先から次の移動場所を特定するための復路データとを、一括で送信する。
【0064】
宅配手配端末から送信されてきた往路データおよび復路データのうち、復路データは、復路データ格納手段に格納する。そして、往路データに対して往路データ送信手段がプロトコル変換してから飛行機型ドローンへ送信する。電気的に接続されているので、有線通信であるとして図示しているが、ハードウェア構成によっては無線通信としてもよい。
【0065】
データ中継端末から送られた往路データは、飛行機型ドローン内の往路データ受信手段が受信し、目的地データ格納手段に格納する。目的地データ格納手段に格納された往路データは、飛行制御手段に用いられ、飛行機型ドローンを目的地まで飛行させる。
【0066】
飛行中の位置データ(現在位置データ)は、飛行機型ドローンに内蔵されたGPSが取得し、飛行制御手段に送り、軌道修正などを実行する。また、宅配手配端末に対しては無線通信にて、データ中継端末に対しては有線通信にて、所定間隔で送信する。宅配手配端末に送信された現在位置データは、現在位置データ受信手段が受信する。
【0067】
データ中堅端末は、現在位置データを受信し、往路の目的地へ到着したか否かを到着判断手段が判断する。到着したと判断したら、宅配手配端末にその旨を送信する。この後、荷物の受取人による本人確認や荷物の受け取りが行われるが、この
図7では示していない。
【0068】
荷物の受け取りなどが終了したら、復路データ送信手段が復路データ格納手段から復路データを読み出し、プロトコル変換して飛行機型ドローンへ送信する。
【0069】
送信された復路データは、飛行機型ドローンの復路データ受信手段が受信し、目的地データ格納手段へ格納させる。復路データの格納前には、往路データを完全に消去しておく。飛行場所を誤らないためである。
【0070】
飛行機型ドローンは、飛行制御手段にて復路データおよびGPSからの現在位置データを用いながら復路を飛行することとなる。復路の到着地に到着したか否か、についても到着判断手段が判断する。
【0071】
なお、前述した到着判断手段は、データ中継端末に備えられているとして説明し、
図7でもそのように図示しているが、飛行機型ドローン内に備えることとしても良い。
【0072】
図6および
図7を使って説明したように、宅配手配端末は、往路データおよび復路データを、データ中継端末を介することで予め飛行機型ドローンに送信しておくことができる。そのため、荷物を届けた後で復路データを送り込まなければならなかった従来の事態を、合理化することができる。
【0073】
(
図8)
図8には、飛行機型ドローンが運搬する荷物の受取地への到着をどのように判断しているかについて、複数の方法を図示している。
【0074】
第一の方法は、データ中継端末にGPS機能を搭載し、そのGPS機能によって取得した位置データが到着地データと一致した場合に受取地へ到着したと判断する方法である。
【0075】
第二の方法は、宅配ドローンに搭載されたGPS機能が取得する位置データを宅配ドローンからドローン制御端末へ送信し、位置データが到着地データと一致したとドローン制御端末が判断してからデータ中継端末へその旨を送信する方法である(この方法の場合、データ中継端末における到着地判断手段は、ドローン制御端末からの判断結果データを受信する手段となる)。
【0076】
第三の方法は、宅配ドローンに搭載されたGPS機能が取得する位置データをデータ中継端末が受信し、プロトコル変換した位置データが到着地データと一致したとデータ中継端末が判断する方法である。
図7や
図9以降に示した実施形態では、この方法を採用している。
【0077】
第四の方法は、前述した三種類の方法を複数組み合わせて判断する方法である。複数組み合わせた場合、最終的な判断を細分化することが可能である。
例えば、第一の方法と第三の方法とを組み合わせたとする。両方法ともが到着したと判断できた場合にのみ到着したと判断する場合、どちらか一方の方法で到着したと判断できた場合に到着したと判断する場合、の少なくとも2つの方法がある。GPSによって取得した位置データには誤差が付きものであるため、複数の方法を組み合わせたり、誤差を考慮したりしたアルゴリズムを採用する。
【0078】
第五の方法は、データ中継端末と荷物受取人に係る受取人端末とが双方向通信を開始したことを認知する方法である。この方法を採用する場合、荷物受取人に係る受取人端末のメールアドレスなどの受取人端末を特定するための端末特定データをデータ中継端末が保持しておく必要がある。そのためには、ドローン制御端末から端末特定データを受取人端末が予め受信しておく必要がある。
【0079】
(
図9)
図9は、受取人が受取確認をするために必要な機能を示している。
図6と異なる点として、データ中継端末に対して、荷物受取人に対するデータ出力機能、および荷物受取人からのデータ入力機能が必要とされる。
【0080】
荷物受取人に対するデータ出力機能としては、「荷物ハッチを開けてお荷物を取り出してください。荷物を取り出したら、カメラに顔を向けて、受取確認ボタンをタップしてください。」といった音声出力や画面出力を実行する機能である。
【0081】
荷物受取人からのデータ入力機能としては、カメラによって受取人の顔を撮影し、その撮影データを取り込む機能がある。また、この図では示していないが、受取人の本人確認を実行するために、予め受取人に係る情報端末へ送信していた二次元バーコードを読み込むカメラ機能、確認番号などの情報を入力する機能(
図12におけるS26)も必要とされる。
【0082】
(
図10)
図10は、飛行機型ドローンに搭載されたデータ中継端末(スマートフォン)を中心としたフローチャートである。
【0083】
まず、データ中継端末におけるドローン宅配アプリケーションプログラム(以下、「ドローン宅配アプリ」と略記)を起動させる(S1)。そして、宅配手配端末から往路データおよび復路データを受信する(S2)。
【0084】
データ中継端末は、受信した往路データを、飛行機型ドローンが読み込めるデータ形式にプロトコル変換をして送信する。復路データは、復路データ格納手段(メモリ)へ格納する(S3)。
【0085】
飛行機型ドローンは、運ぶべき荷物を搭載し、往路データに基づく受取地への飛行を開始する(S4)。飛行中の飛行機型ドローンは、定期的に現在位置データを宅配手配端末およびデータ中継端末へ送信している。そのため、データ中継端末においても現在位置データを把握している。
【0086】
受取地への到着を、
図8に示したいずれかの手段で確認する。未到着であれば、データ中継端末は、現在位置データを含めた各種データ(たとえば、ドローンの動力を供給するバッテリの残量など)を受信し続ける(S5)。
【0087】
受取地へ到着した場合、飛行機型ドローンが荷物を搭載している荷物ハッチのロック解除をする(S6)。ロック解除には、荷物受取人が宅配手配端末から入手した二次元バーコードを撮影させての入力、または確認番号の荷物受取人による入力が条件となる(
図11参照)。
【0088】
荷物ハッチのロックを解除できたら、荷物受取人が荷物ハッチから荷物を取り出す(S7)。そして、荷物受取人が受取確認のためのデータ入力を実施する(S8)。たとえば、データ中継端末に搭載されたカメラを起動させ、荷物受取人の顔写真を撮影する。撮影した顔写真データは、時刻データとともに保存し、宅配手配端末へ送信する。
【0089】
荷物受取人は、荷物を受け取ったら、荷物ハッチをロックする。ロックされたか否かの結果は、データ中継端末に送られる。そして、ロックされていない場合には、荷物受取人に対して荷物ハッチのロックを依頼するための音声出力、文字出力などをデータ中継端末が実行する(S9)。
【0090】
荷物ハッチがロックされた場合には、メモリへ格納していた復路データを読み出し、プロトコル変換して飛行機型ドローンへ送信する(S10)。飛行機型ドローンにおいては、データ格納部の往路データを消去してから、受信した復路データを読み込む。
【0091】
飛行機型ドローンは、復路データを使って復路飛行を開始する。飛行中のデータ中継端末は、飛行機型ドローンから各種のデータ(現在位置データ、ドローンの動力を供給するバッテリの残量など)を受信する(S11)。やがて飛行機型ドローンは、復路の目的地に到着し(S12)、ドローン宅配アプリは終了する(S13)。
【0092】
復路の目的地としては、たとえば、宅配手配端末の操作者がいる場所、飛行機型ドローンを充電できる基地、連続的な宅配が可能である場合には次の宅配受取地、などである。
【0093】
(
図11)
図11は、宅配手配端末、データ中継端末、飛行機型ドローンに加え、受取人端末の情報処理を示すブロック図である。
【0094】
荷物依頼人が指定する荷物受取人は、自らに係る通信端末(受取人端末)において、受取人本人であることを示す際に用いる本人認証データを宅配手配端末から予め受信しておく。図示しているように、受取人端末には、二次元バーコードが送信される。図示は省略するが、「本人認証の際、以下の番号を入力して下さい。98765」というような本人認証データを受信することとしてもよい。荷物受取の場面では、受取人は本人認証データの画面を表示させて使うこととなる。
【0095】
宅配手配端末からデータ中継端末へ往路データおよび復路データを一括で送信し、受取地へ到着するまでは、
図7を用いて説明しており、
図12のフローチャートでも説明するので省略する。以下、到着判断手段が受取地へ到着した後に、荷物受取人に対してデータ中継端末がどのようなデータを出力し、データを入力されるか、を説明する。
【0096】
到着判断手段が受取地へ到着したら、データ中継端末は、データ出力手段にて本人認証を催促する。具体的には、「本人認証のため、認証用の二次元バーコードをかざして下さい。」といった音声出力や画面出力を実行する。荷物受取人は、自らの情報端末にて予め受信していた二次元バーコードをデータ中堅他院末に読み込ませる。
【0097】
なお、本人認証データが数字列であるような場合には、荷物受取人は、データ中継端末の液晶画面に現れた入力画面(データ入力手段)に、本人認証データである「98765」という数字を指でタッチして入力する。
【0098】
データ中継端末においては、データ入力手段にて入力された本人認証データが往路データの中に含まれていた本人認証データと一致するか否かを、本人確認手段にて判断する。一致した場合には、ロック解除信号を飛行機型ドローンの荷物ハッチに対して送信する。これによって、荷物ハッチのロックが解除され、荷物受取人は荷物を受け取ることができる。
【0099】
(
図12)
図12は、飛行機型ドローンに搭載されたデータ中継端末(スマートフォン)を中心としたフローチャートである。
図10では示せなかった受取人の動作を含めている。
【0100】
ドローン宅配アプリが起動し(S21)、届出地に到着したか否かの判断までのステップ(S25)は、
図10と同じであるので、説明を省略する。届出地に到着したら、荷物受取人による本人認証データの入力を受け付ける(S26)。
【0101】
荷物受取人によって入力された本人認証データが、データ中継端末において宅配手配端末から予め受信していた本人認証データと一致していることを確認できた場合には、荷物ハッチのロックを解除する(S27)。荷物ハッチのロックが解除されたら、荷物受取人が荷物を取り出す(S28)。そして、
図10のフローチャートで示した「荷物受取人による受取確認(S8)」を実行する。
【0102】
荷物を受け取った荷物受取人は、荷物ハッチを元に戻し、ロックする。そのロック確認(S29)以降、ドローン宅配アプリの終了(S33)までは、
図10に示したステップと同様であるので、説明を省略する。
【0103】
(
図13)
図13は、往路データと復路データを一括で送信せず、分割するための機能を図示している。宅配ドローン(飛行機型ドローン)が出発する際に、宅配手配端末のある地点から出発する場合は少なくない。その場合には、往路飛行用のデータは、宅配手配端末から直接送信することとしてもよい。以下、順に説明する。
【0104】
飛行機型ドローンに対して、宅配手配端末から往路飛行用のデータを送信する(1)。ここで送信するデータは、飛行機型ドローンの制御部が読み込み可能なデータ(プロトコル変換済み)である。
【0105】
飛行機型ドローンは、宅配手配端末から受信した往路飛行用のデータに基づいて飛行しつつ、現在位置データおよび飛行関連データを宅配手配端末へ送信する(2)。現在位置データが荷物の届け先と一致し、飛行も停止(着陸)したら、荷物受取人の受取地へ到着したこととなる。
【0106】
受取地においては、宅配手配端末からデータ中継端末へ復路飛行用のデータを送信する(3)。データ中継端末が受信した復路飛行用のデータが飛行機型ドローンの制御部による読み込み可能なデータではない場合には、プロトコル変換を実行し、飛行機型ドローンへ送信する(4)。これによって、飛行機型ドローンは、次の場所(たとえば帰還地)へ飛行することができる。
【0107】
(
図14)
図14は、受取地に到着した飛行機型ドローンのスマフォカバー13(
図5参照)を開けたデータ中継端末の出力画面を示している。荷物受取人が情報端末を持っていない場合や、荷物を受け取る際に情報端末を使用するのに不安があるような場合の荷物受取のパターンである。宅配手配端末からは受取人が顔認証をする旨を予め受信している。
【0108】
データ中継端末の出力画面には、「カバーを開けて荷物をお受け取り下さい。受け取りましたら、カメラに顔を向けてボタンをタップして下さい。」と表示されている。この際、データ中継端末に搭載されたカメラは起動しており、荷物受取人の方を撮影するモードとなっている。荷物受取人が顔をカメラに向けて静止したら、その顔を撮影する。撮影が失敗したら、再度の撮影を実行する。
なお、荷物受取人の顔を撮影したらハッチのロックを解除して荷物を受け取れるようにする、という手順を採用しても良い。
【0109】
撮影が終了したら、「受取確認」のボタンを荷物受取人がタップする。すると、データ中継端末から受け取りデータおよび本人確認データが宅配手配端末へ送信される(
図9参照)。
【0110】
(
図15)
図15は、宅配を開始する直前のデータ中継端末の出力画面を示している。
宅配手配端末の操作者または宅配ドローンをケアする者は、データ中継端末または宅配手配端末から往路用データを受信していることを確認し、「新規デリバリ開始」のボタンをタップする。
【0111】
(
図16)
図16は、現在位置データおよび往路用データに基づいて、配達ルートを地図上に表示するとともに、お問い合わせ番号や受取人の氏名などをデータ中継端末の出力画面を示している。地図には、「+」および「-」のボタンが用意されており、地図の拡大縮小を指示できる。
【0112】
宅配手配端末の操作者または宅配ドローンをケアする者は、受取人、配達ルートなどを確認したら、「配達スタート」のボタンをタップする。
【0113】
(
図17)
図17は、
図16に示した「配達スタート」のボタンがタップされた後に、データ中継端末が出力した画面を示したものである。「まもなく離陸いたします。機体から離れて下さい。」という画面出力がなされるが、スピーカから音声でも出力することとするとなお良い。
【0114】
また、離陸までのカウントダウンタイマー(
図17では、「8秒前」と表示)と、飛行機型ドローンを「緊急停止」させるためのボタンとが用意されている。「緊急停止」させるためのボタンがタップされると、飛行機型ドローンのプロペラが停止する。
【0115】
(
図18)
図18は、届出地の直前においてデータ中継端末が出力した画面を示したものである。「プロペラが完全に停止するまでは、お待ち下さいますようお願いします。」と表示され、荷物受取人などへの注意を促している。
【0116】
(
図19)
図19は、予め入手していた受取人端末における本人認証用のデータを使う場合について示している。
【0117】
この本人認証用のデータをデータ中継端末へ送信する手段としては、たとえば、ブルートゥース(登録商標)、赤外線通信、など、非接触式の通信手段が最も合理的である。
また、本人認証データを受取人端末の出力画面に二次元バーコードとして表示させ、データ中継端末に搭載されたカメラがその二次元バーコードを読み取る、といったデータ送信法でもよい。
【0118】
(
図20)
図20は、宅配手配端末において、往路と復路のフライトルートをデータ中継端末に送信するための出力画面を示す図である。
【0119】
(
図21)
図21は、宅配手配端末において、配送完了後、その配送に関する情報を確認するための出力画面を示す図である。配送完了後、その配送に関する情報を確認する画面である。受取状況、写真、往路、復路それぞれの離陸時間、着陸時間を確認できる。
【0120】
前述してきた各種の実施形態によれば、ドローンを荷物の運搬媒体として採用した場合に、往路および復路のデータ一括入力や荷物受取人の本人確認を、簡便な手段で実行することに寄与する。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、物流業、物流の管理業、物流データの通信機器の製造業、物流データの通信におけるデータ管理業、物流に用いる宅配ドローンの製造業、宅配ドローンの制御ユニットや物流管理サーバにおけるアプリケーションソフトウェアの開発業、などにおいて利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0122】
10;宅配ドローン(飛行機型ドローン)
11;ボディ 12;ボディプロペラ
13;スマフォカバー 14;スマフォ収納部
15;接続ケーブル 16;主翼
17;主翼プロペラ 18;尾翼
20;スマートフォン(データ中継端末)
30;ドローン制御端末(宅配手配端末)