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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119492
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】吐水装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 1/00 20060101AFI20240827BHJP
   E03C 1/042 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
A47K1/00 Q
E03C1/042 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026420
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】山本 翔
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 陽一
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA03
2D060BF01
(57)【要約】
【課題】樹脂製のパネル部と陶器製の手洗器とを組み合わせて用いる場合であっても、パネル部と手洗器との間における漏水を抑制できる吐水装置を提供する。
【解決手段】パネル部と、パネル部に設けられた吐水部と、吐水部へ給水する給水部と、パネル部の前方に設けられた陶器製の手洗器と、を備え、パネル部は、設置面との間に給水部の少なくとも一部を収容する収容空間を有し、パネル部は、前後方向において手洗器と重なる被覆面と、被覆面の上方に位置し、前後方向において手洗器と重ならない露出面と、を有し、被覆面の反りは、露出面の反りよりも小さい、吐水装置。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に対向するように設置される樹脂製のパネル部と、
前記パネル部に設けられた吐水部と、
前記吐水部へ給水する給水部と、
前記パネル部の前方に設けられた陶器製の手洗器と、
を備え、
前記パネル部は、前記設置面との間に前記給水部の少なくとも一部を収容する収容空間を有し、
前記パネル部は、
前後方向において前記手洗器と重なる被覆面と、
前記被覆面の上方に位置し、前後方向において前記手洗器と重ならない露出面と、
を有し、
前記被覆面の反りは、前記露出面の反りよりも小さい、吐水装置。
【請求項2】
前記パネル部は、
前記被覆面の背面側に設けられ、後方に向かって突出する第1リブと、
前記露出面の背面側に設けられ、後方に向かって突出する第2リブと、
を有し、
前記第1リブの単位面積あたりの密度は、前記第2リブの前記単位面積あたりの密度よりも高い、請求項1に記載の吐水装置。
【請求項3】
前記被覆面の上端部と前記手洗器の上端部との間を埋めるコーキング材と、
前記コーキング材の上に溜まった水が前記コーキング材の側端部から垂れることを抑制する水垂れ抑制部と、
をさらに備えた、請求項1に記載の吐水装置。
【請求項4】
前記水垂れ抑制部は、前記コーキング材の側端部に設けられる、請求項3に記載の吐水装置。
【請求項5】
前記被覆面の上端部と前記手洗器の上端部との間を埋めるクッション材をさらに備えた、請求項2に記載の吐水装置。
【請求項6】
前記露出面は、前方に向かって突出する、請求項1~5のいずれか1つに記載の吐水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パネル部に吐水部を設け、パネル部の前方に設けられた手洗器によって吐水部からの水を受ける吐水装置がある(例えば、特許文献1)。このような吐水装置では、パネル部側から水が吐出されるため、手に当たった水がパネル部に向かって跳ね返りやすい。そのため、手洗器がパネル部から分離可能な場合には、跳ね返った水がパネル部と手洗器との隙間へ垂れて、漏水するおそれがある。
【0003】
漏水を抑制する手段として、例えば、コーキング処理を行うことが知られている(例えば、特許文献2)。しかし、樹脂製のパネル部を用いた場合には、パネル部に反りが発生しやすい。また、陶器製の手洗器を用いた場合には、陶器であるために寸法精度が低く、手洗器のパネル部と接触する面が平らになりにくい。そのため、樹脂製のパネル部と陶器製の手洗器とを組み合わせて用いると、パネル部と手洗器との間にコーキング処理では埋めきれない大きな隙間が空いてしまうおそれがあり、その隙間から漏水が発生する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-067996号公報
【特許文献2】特開2022-074492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、樹脂製のパネル部と陶器製の手洗器とを組み合わせて用いる場合であっても、パネル部と手洗器との間における漏水を抑制できる吐水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、設置面に対向するように設置される樹脂製のパネル部と、前記パネル部に設けられた吐水部と、前記吐水部へ給水する給水部と、前記パネル部の前方に設けられた陶器製の手洗器と、を備え、前記パネル部は、前記設置面との間に前記給水部の少なくとも一部を収容する収容空間を有し、前記パネル部は、前後方向において前記手洗器と重なる被覆面と、前記被覆面の上方に位置し、前後方向において前記手洗器と重ならない露出面と、を有し、前記被覆面の反りは、前記露出面の反りよりも小さい、吐水装置である。
【0007】
この吐水装置によれば、被覆面の反りを露出面の反りよりも小さくすることで、手洗器と接触する被覆面を手洗器と接触しない露出面よりも平らにできる。これにより、樹脂製のパネル部と陶器製の手洗器とを組み合わせて用いる場合であっても、パネル部と手洗器との間に大きな隙間が空くことを抑制でき、パネル部と手洗器との間における漏水を抑制できる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記パネル部は、前記被覆面の背面側に設けられ、後方に向かって突出する第1リブと、前記露出面の背面側に設けられ、後方に向かって突出する第2リブと、を有し、前記第1リブの単位面積あたりの密度は、前記第2リブの前記単位面積あたりの密度よりも高い、吐水装置である。
【0009】
この吐水装置によれば、被覆面の背面側に設けられる第1リブの単位面積あたりの密度を、露出面の背面側に設けられる第2リブの単位面積あたりの密度よりも高くすることで、被覆面の反りを露出面の反りよりも小さくすることができる。また、リブを形成すると、ヒケなどによって表面側に凹みが生じる場合がある。露出面の背面側に設けられる第2リブの単位面積あたりの密度を被覆面の背面側に設けられる第1リブの単位面積あたりの密度をよりも低くしているため、露出面の凹みを被覆面の凹みよりも少なくすることができる。これにより、使用者から見られる露出面の外観意匠性を、使用者から見られない被覆面の外観意匠性よりも高めることができる。
【0010】
第3の発明は、第1の発明において、前記被覆面の上端部と前記手洗器の上端部との間を埋めるコーキング材と、前記コーキング材の上に溜まった水が前記コーキング材の側端部から垂れることを抑制する水垂れ抑制部と、をさらに備えた、吐水装置である。
【0011】
この吐水装置によれば、水垂れ抑制部を設けることで、被覆面の上端部と手洗器の上端部との間をコーキング材で埋めた場合に、コーキング材の上に溜まった水がコーキング材の側端部から垂れることを抑制できる。
【0012】
第4の発明は、第3の発明において、前記水垂れ抑制部は、前記コーキング材の側端部に設けられる、吐水装置である。
【0013】
この吐水装置によれば、水垂れ抑制部をコーキング材の側端部に設けることで、コーキング材の上に溜まった水がコーキング材の側端部から垂れることをより確実に抑制できる。
【0014】
第5の発明は、第2の発明において、前記被覆面の上端部と前記手洗器の上端部との間を埋めるクッション材をさらに備えた、吐水装置である。
【0015】
この吐水装置によれば、クッション材を設けることで、コーキング材を設けなくても、被覆面の上端部と手洗器の上端部との間を埋めることができる。これにより、コーキング材を設ける場合に比べて、意匠性を向上できる。
【0016】
第6の発明は、第1~第5のいずれか1つの発明において、前記露出面は、前方に向かって突出する、吐水装置である。
【0017】
この吐水装置によれば、露出面が前方に向かって突出することで、露出面に丸みをもたせることができる。これにより、樹脂製のパネル部の露出面を陶器のように見せることができ、意匠性を向上できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の態様によれば、樹脂製のパネル部と陶器製の手洗器とを組み合わせて用いる場合であっても、パネル部と手洗器との間における漏水を抑制できる吐水装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係る吐水装置を前方側から見た斜視図である。
図2】第1実施形態に係る吐水装置を後方側から見た斜視図である。
図3】第1実施形態に係る吐水装置の分解斜視図である。
図4】第1実施形態に係る吐水装置の給水部の正面図である。
図5】第1実施形態に係る吐水装置のパネル部の正面図である。
図6】第1実施形態に係る吐水装置のパネル部の断面図である。
図7】第1実施形態に係る吐水装置のパネル部の断面図である。
図8】第1実施形態に係る吐水装置のパネル部の断面図である。
図9図9(a)~図9(c)は、反りの説明図である。
図10】第2実施形態に係る吐水装置の正面図である。
図11】第2実施形態に係る吐水装置の側面図である。
図12】第3実施形態に係る吐水装置の正面図である。
図13】第3実施形態に係る吐水装置の側面図である。
図14】第4実施形態に係る吐水装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、第1実施形態に係る吐水装置を前方側から見た斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る吐水装置を後方側から見た斜視図である。
図3は、第1実施形態に係る吐水装置の分解斜視図である。
図4は、第1実施形態に係る吐水装置の給水部の正面図である。
図1図4に表したように、第1実施形態に係る吐水装置100は、パネル部10と、手洗器20と、給水部30と、吐水部40と、センサ50と、ガイド部70と、を備えている。
【0021】
吐水装置100は、例えば、トイレ室に設けられる。吐水装置100は、例えば、トイレ室において、便器の側方に設けられたカウンターの上に設けられる。
【0022】
パネル部10は、設置面Sに対向するように設置される。設置面Sは、例えば、トイレ室の壁である。パネル部10は、例えば、設置面Sにねじ止めなどで固定された取付材を介して、設置面Sに取り付けられる。取付材とパネル部10とは、例えば、面ファスナーなどにより、接続される。パネル部10を設置面Sに取り付ける手段は、これに限定されない。パネル部10は、樹脂製である。
【0023】
パネル部10は、前面部10aと、上面部10bと、下面部10cと、左側面部10dと、右側面部10eと、を有する。前面部10aは、上下方向及び左右方向に広がる板状である。上面部10bは、前面部10aの上端から後方に延びており、パネル部10の上端を構成している。下面部10cは、前面部10aの下端から後方に延びており、パネル部10の下端を構成している。左側面部10dは、前面部10aの左側端から後方に延びており、パネル部10の左側端を構成している。右側面部10eは、前面部10aの右側端から後方に延びており、パネル部10の右側端を構成している。パネル部10は、前方に向かって窪む凹形状である。
【0024】
なお、本願明細書においては、吐水装置100と向き合う使用者からみて手前側を「前方」とし、奥側を「後方」とし、上側を「上方」とし、下側を「下方」とし、右側を「右側方」とし、左側を「左側方」とする。
【0025】
パネル部10は、収容空間11を有する。収容空間11は、前面部10aと設置面Sとの間の空間である。つまり、収容空間11は、前面部10a、上面部10b、下面部10c、左側面部10d、右側面部10e、及び設置面Sによって囲まれた空間である。収容空間11は、給水部30の少なくとも一部(第2給水路32)を収容する。また、前後方向において収容空間11と重なる位置には、前面部10aを前後方向に貫通する孔12が設けられている。給水部30の少なくとも一部(第2給水路32)は、収容空間11から孔12を通って、前面部10aよりも前方側に延びるように配置される。
【0026】
また、パネル部10は、前面部10aの背面側に設けられ、後方に向かって突出するリブ13を有する。リブ13は、例えば、前後方向において、収容空間11と重ならない位置に設けられる。この例では、パネル部10は、複数のリブ13を有する。リブ13を設けることで、パネル部10の反りなどを抑制できる。リブ13については、後述する。
【0027】
手洗器20は、吐水部40から吐出された水を受ける。手洗器20は、パネル部10の前方に設けられる。手洗器20は、前面部10aに接する。手洗器20と前面部10aとが接する箇所には、例えば、手洗器20と前面部10aとの間の隙間を埋めるためのコーキング材60が設けられる。手洗器20は、例えば、カウンターに載置される。手洗器20は、陶器製である。手洗器20は、ボウル部21と、載置部22と、を有する。
【0028】
ボウル部21は、下方に向かって窪む凹形状である。この例では、ボウル部21は、上方が開放された箱状である。ボウル部21は、吐水部40の下に設けられ、吐水部40から吐出された水を受ける。ボウル部21の底には、図示しない排水口が設けられており、受けた水を排水口から排出する。
【0029】
載置部22は、物品を載置可能な棚として機能する。載置部22の上面は、例えば、平面である。載置部22は、ボウル部21の側方に設けられる。この例では、載置部22は、ボウル部21の右側方に設けられている。載置部22は、ボウル部21の左側方に設けられていてもよい。載置部22は、例えば、石鹸やハンドソープなどを置くための棚として機能する。載置部22は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0030】
給水部30は、吐水部40へ給水する。給水部30は、吐水部40の上流に接続される。給水部30は、給水源WSと吐水部40との間に設けられる。この例では、給水部30は、第1給水路31と、複数の第2給水路32と、分岐継手33と、を有する。第1給水路31及び第2給水路32は、それぞれ、水が通過可能なチューブである。第1給水路31及び第2給水路32は、例えば、樹脂製である。この例では、給水部30は、2つの第2給水路32を有する。給水部30は、3つ以上の第2給水路32を有していてもよい。
【0031】
第1給水路31は、給水源WSの下流に接続される。複数の第2給水路32は、それぞれ、分岐継手33を介して、第1給水路31の下流に接続される。吐水部40(合流部43)は、複数の第2給水路32の下流に接続される。つまり、第1給水路31は、給水源WSと複数の第2給水路32との間に設けられる。また、複数の第2給水路32は、それぞれ、第1給水路31と吐水部40(合流部43)との間に設けられる。
【0032】
より具体的には、第1給水路31の上流端は、給水源WSに接続される。第1給水路31の下流端は、分岐継手33の上流端に接続される。複数の第2給水路32の上流端は、それぞれ、分岐継手33の下流端に接続される。複数の第2給水路32の下流端は、それぞれ、吐水部40(合流部43)に接続される。
【0033】
複数の第2給水路32の外形寸法ED2は、それぞれ、第1給水路31の外形寸法ED1よりも小さい。複数の第2給水路32の外形寸法ED2は、例えば、それぞれ、同じである。複数の第2給水路32は、それぞれ、可撓性を有する。第1給水路31は、可撓性を有していてもよいし、可撓性を有していなくてもよい。
【0034】
なお、給水部30は、分岐していなくてもよい。つまり、第2給水路32及び分岐継手33は、省略されてもよい。この場合、第1給水路31の下流端は、吐水部40(合流部43)に接続される。
【0035】
吐水部40は、水を吐出する。吐水部40は、例えば、下方に向けて水を吐出する。吐水部40は、パネル部10の前面部10aに設けられる。吐水部40は、前後方向において、孔12と重なる位置に設けられる。
【0036】
この例では、吐水部40は、パネル部10の前面部10aから前方に向かって略垂直に延びている。吐水部40は、例えば、前方に向かうにつれて下方に向かうように斜めに延びていてもよい。つまり、吐水部40は、例えば、パネル部10の前面部10aから前下方に向かって斜めに延びていてもよい。
【0037】
吐水部40は、カバー部41と、固定具42と、合流部43と、泡沫キャップ44と、を有する。カバー部41は、吐水部40の外郭を構成する。カバー部41は、固定具42、合流部43、及び泡沫キャップ44を覆っている。カバー部41は、例えば、樹脂製である。この例では、カバー部41は、パネル部10の前面部10aと一体である。カバー部41は、パネル部10の前面部10aから分離可能であってもよい。
【0038】
固定具42は、カバー部41内に設けられている。固定具42は、合流部43及び泡沫キャップ44の位置を固定する。合流部43及び泡沫キャップ44の位置を固定することで、吐水方向が固定される。固定具42は、手洗いする手に対して適切な方向に吐水されるように、合流部43及び泡沫キャップ44の位置を固定する。固定具42は、例えば、接着剤、両面テープ、超音波溶着、ねじなどにより、カバー部41に対して固定される。固定具42は、例えば、樹脂製である。
【0039】
合流部43は、カバー部41内に設けられている。合流部43は、複数の第2給水路32の下流に接続される。合流部43は、複数の第2給水路32の水を合流させて、吐出する。つまり、給水源WSから供給された水は、第1給水路31を流れて、複数の第2給水路32に分岐し、複数の第2給水路32のそれぞれを流れて、合流部43において合流し、吐出される。合流部43は、例えば、樹脂製である。合流部43については、後述する。
【0040】
泡沫キャップ44は、カバー部41内に設けられている。泡沫キャップ44は、合流部43の下流端に設けられている。泡沫キャップ44を設けることで、吐水部40から吐出される水の流れを整えることができる。泡沫キャップ44は、例えば、金属製である。泡沫キャップ44は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0041】
センサ50は、使用者の手を検出する。センサ50は、センサ本体51と、ケーブル52と、を有する。センサ本体51は、例えば、赤外線センサである。センサ本体51は、ケーブル52を介して、図示しない制御部と電気的に接続される。センサ本体51は、検出結果を制御部に出力する。制御部は、例えば、検出結果に基づいて、吐水部40からの水の吐出の開始や停止を制御する。センサ50は、必要に応じて設けられ、省略可能である。センサ50が省略される場合には、例えば、吐水部40からの水の吐出の開始や停止の操作を行うための操作部が設けられる。
【0042】
ガイド部70は、第2給水路32の少なくとも一部を案内する。この例では、ガイド部70は、パネル部10の前面部10aの背面側から後方に向かって突出するリブである。また、この例では、ガイド部70は、パネル部10と一体である。ガイド部70は、前後方向において、収容空間11と重なる位置に設けられている。
【0043】
ガイド部70は、例えば、パネル部10の前面部10aの背面側に設けられた凹部(ザグリ)であってもよい。ガイド部70は、例えば、第2給水路32の少なくとも一部をひっかけるフックであってもよい。ガイド部70は、例えば、第2給水路32の少なくとも一部を前面部10aの背面側に貼り付けるシールであってもよい。ガイド部70は、パネル部10から分離可能であってもよい。ガイド部70は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0044】
図5は、第1実施形態に係る吐水装置のパネル部の正面図である。
図6は、第1実施形態に係る吐水装置のパネル部の断面図である。
図7は、第1実施形態に係る吐水装置のパネル部の断面図である。
図8は、第1実施形態に係る吐水装置のパネル部の断面図である。
図9(a)~図9(c)は、反りの説明図である。
図6は、図5に示したA1-A2線による断面図である。
図7は、図5に示したB1-B2線による断面図である。
図8は、図5に示したC1-C2線による断面図である。
図5図8に表したように、パネル部10の前面部10aは、被覆面16と、露出面17と、を有する。
【0045】
被覆面16は、前面部10aの下部に位置する。被覆面16は、前後方向において手洗器20と重なる。つまり、手洗器20が設けられた状態において、被覆面16は、手洗器20によって覆われる。被覆面16は、手洗器20と接触する。
【0046】
露出面17は、前面部10aの上部に位置する。露出面17は、被覆面16の上方に位置する。露出面17は、前後方向において手洗器20と重ならない。つまり、手洗器20が設けられた状態において、露出面17は、手洗器20によって覆われない。被覆面16は、手洗器20と接触しない。
【0047】
被覆面16は、例えば、平坦な面である。露出面17は、例えば、前方に向かって突出する面である。図6及び図8では、露出面17の前方への突出のイメージを仮想線IL1及び仮想線IL2で示している。被覆面16の反りは、露出面17の反りよりも小さい。
【0048】
図9(a)~図9(c)に表したように、反りは、前端18と後端19との間の前後方向の長さである。被覆面16の前端18は、被覆面16のうち最も前方側に位置する点である。被覆面16の後端19は、被覆面16のうち最も後方側に位置する点である。露出面17の前端18は、露出面17のうち最も前方側に位置する点である。露出面17の後端19は、露出面17のうち最も後方側に位置する点である。
【0049】
図9(a)に表したように、被覆面16または露出面17が前方に向かって突出する面のみを含む場合、反りは、中央部分に位置する前端18と外周部分に位置する後端19との間の前後方向の長さL1で表される。
【0050】
図9(b)に表したように、被覆面16または露出面17が後方に向かって突出する面のみを含む場合、反りは、外周部分に位置する前端18と中央部分に位置する後端19との間の前後方向の長さL2で表される。
【0051】
図9(c)に表したように、被覆面16または露出面17が前方に向かって突出する面及び後方に向かって突出する面の両方を含む場合、反りは、面内で最も前方側に位置する前端18と面内で最も後方側に位置する後端19との間の前後方向の長さL3で表される。
【0052】
なお、図6に表したように、カバー部41とパネル部10の前面部10aとが一体の場合、上面部10bの前後方向の長さをtとしたときに、上面部10bの後端(すなわち、パネル部10を取り付けた状態の設置面S)から前方に2tの長さ離れた位置をカバー部41とパネル部10の前面部10aとの境界面BPとする。
【0053】
また、図2に表したように、パネル部10は、第1リブ13aと、第2リブ13bと、を有する。第1リブ13aは、被覆面16の背面側に設けられる。つまり、第1リブ13aは、前後方向において被覆面16と重なる。第1リブ13aは、後方に向かって突出する。第2リブ13bは、露出面17の背面側に設けられる。つまり、第2リブ13bは、前後方向において露出面17と重なる。第2リブ13bは、後方に向かって突出する。
【0054】
第1リブ13aの単位面積あたりの密度は、例えば、第2リブ13bの前記単位面積あたりの密度よりも高い。
【0055】
この吐水装置によれば、被覆面16の反りを露出面17の反りよりも小さくすることで、手洗器20と接触する被覆面16を手洗器20と接触しない露出面17よりも平らにできる。これにより、樹脂製のパネル部10と陶器製の手洗器20とを組み合わせて用いる場合であっても、パネル部10と手洗器20との間に大きな隙間が空くことを抑制でき、パネル部10と手洗器20との間における漏水を抑制できる。
【0056】
また、被覆面16の背面側に設けられる第1リブ13aの単位面積あたりの密度を、露出面17の背面側に設けられる第2リブ13bの単位面積あたりの密度よりも高くすることで、被覆面16の反りを露出面17の反りよりも小さくすることができる。
【0057】
また、リブを形成すると、ヒケなどによって表面側に凹みが生じる場合がある。露出面17の背面側に設けられる第2リブ13bの単位面積あたりの密度を被覆面16の背面側に設けられる第1リブ13aの単位面積あたりの密度をよりも低くしているため、露出面17の凹みを被覆面16の凹みよりも少なくすることができる。これにより、使用者から見られる露出面17の外観意匠性を、使用者から見られない被覆面16の外観意匠性よりも高めることができる。
【0058】
また、露出面17が前方に向かって突出することで、露出面17に丸みをもたせることができる。これにより、樹脂製のパネル部10の露出面17を陶器のように見せることができ、意匠性を向上できる。
【0059】
なお、被覆面16の反りを露出面17の反りよりも小さくする手段は、第1リブ13aの単位面積あたりの密度を、第2リブ13bの単位面積あたりの密度よりも高くすることに限定されない。例えば、被覆面16を削ったり、被覆面16の背面側に別の部材を取り付けたりすることで、被覆面16の反りを露出面17の反りよりも小さくしてもよい。
【0060】
図10は、第2実施形態に係る吐水装置の正面図である。
図11は、第2実施形態に係る吐水装置の側面図である。
図10及び図11に表したように、第2実施形態に係る吐水装置100Aでは、パネル部10と手洗器20との間に、パネル部10と手洗器20との間を埋めるコーキング材60が設けられている。
【0061】
より具体的には、コーキング材60は、パネル部10の被覆面16の上端部と手洗器20の上端部との間を埋めている。このようなコーキング材60を設けることで、パネル部10と手洗器20との間における漏水を抑制できる。
【0062】
また、この例では、水垂れ抑制部80が設けられている。水垂れ抑制部80は、コーキング材60の上に溜まった水がコーキング材60の側端部から垂れることを抑制する。
【0063】
この例では、コーキング材60は、両側端部において、上方に向かって盛り上がるように設けられている。両側端部において上方に向かって盛り上がっている部分は、水垂れ抑制部80として機能する。つまり、この例では、水垂れ抑制部80は、コーキング材60と一体である。
【0064】
この例では、水垂れ抑制部80は、コーキング材60の側端部に設けられている。水垂れ抑制部80は、コーキング材60の側端部以外の位置(例えば、中央付近)に設けられていてもよい。
【0065】
このように、水垂れ抑制部80を設けることで、被覆面16の上端部と手洗器20の上端部との間をコーキング材60で埋めた場合に、コーキング材60の上に溜まった水がコーキング材60の側端部から垂れることを抑制できる。
【0066】
また、水垂れ抑制部80をコーキング材60の側端部に設けることで、コーキング材60の上に溜まった水がコーキング材60の側端部から垂れることをより確実に抑制できる。
【0067】
図12は、第3実施形態に係る吐水装置の正面図である。
図13は、第3実施形態に係る吐水装置の側面図である。
図12及び図13に表したように、第3実施形態に係る吐水装置100Bでは、水垂れ抑制部80は、コーキング材60から分離可能である。それ以外は、第2実施形態に係る吐水装置100Aと実質的に同じである。
【0068】
この例では、水垂れ抑制部80は、コーキング材60の側方を覆うように設けられている。つまり、水垂れ抑制部80は、コーキング材60の側端部に設けられている。また、この例では、水垂れ抑制部80は、パネル部10の一部及び手洗器20の一部を覆うように設けられている。この例でも、水垂れ抑制部80は、コーキング材60の上に溜まった水がコーキング材60の側端部から垂れることを抑制する。
【0069】
このように、水垂れ抑制部80を設けることで、被覆面16の上端部と手洗器20の上端部との間をコーキング材60で埋めた場合に、コーキング材60の上に溜まった水がコーキング材60の側端部から垂れることを抑制できる。
【0070】
また、水垂れ抑制部80をコーキング材60の側端部に設けることで、コーキング材60の上に溜まった水がコーキング材60の側端部から垂れることをより確実に抑制できる。
【0071】
図14は、第4実施形態に係る吐水装置の分解斜視図である。
図14に表したように、第4実施形態に係る吐水装置100Cでは、コーキング材60の代わりに、クッション材65が設けられている。それ以外は、第1実施形態に係る吐水装置100と実質的に同じである。
【0072】
クッション材65は、被覆面16の上端部と手洗器20の上端部との間を埋める。クッション材65は、例えば、ウレタンフォームなどを含む。クッション材65は、例えば、被覆面16と手洗器20との間で押しつぶされることで、被覆面16の上端部と手洗器20の上端部との間を埋める。
【0073】
このように、クッション材65を設けることで、コーキング材60を設けなくても、被覆面16の上端部と手洗器20の上端部との間を埋めることができる。これにより、コーキング材60を設ける場合に比べて、意匠性を向上できる。
【0074】
実施形態は、以下の構成を含んでもよい。
【0075】
(構成1)
設置面に対向するように設置される樹脂製のパネル部と、
前記パネル部に設けられた吐水部と、
前記吐水部へ給水する給水部と、
前記パネル部の前方に設けられた陶器製の手洗器と、
を備え、
前記パネル部は、前記設置面との間に前記給水部の少なくとも一部を収容する収容空間を有し、
前記パネル部は、
前後方向において前記手洗器と重なる被覆面と、
前記被覆面の上方に位置し、前後方向において前記手洗器と重ならない露出面と、
を有し、
前記被覆面の反りは、前記露出面の反りよりも小さい、吐水装置。
【0076】
(構成2)
前記パネル部は、
前記被覆面の背面側に設けられ、後方に向かって突出する第1リブと、
前記露出面の背面側に設けられ、後方に向かって突出する第2リブと、
を有し、
前記第1リブの単位面積あたりの密度は、前記第2リブの前記単位面積あたりの密度よりも高い、構成1に記載の吐水装置。
【0077】
(構成3)
前記被覆面の上端部と前記手洗器の上端部との間を埋めるコーキング材と、
前記コーキング材の上に溜まった水が前記コーキング材の側端部から垂れることを抑制する水垂れ抑制部と、
をさらに備えた、構成1または2に記載の吐水装置。
【0078】
(構成4)
前記水垂れ抑制部は、前記コーキング材の側端部に設けられる、構成3に記載の吐水装置。
【0079】
(構成5)
前記被覆面の上端部と前記手洗器の上端部との間を埋めるクッション材をさらに備えた、構成1~4のいずれか1つに記載の吐水装置。
【0080】
(構成6)
前記露出面は、前方に向かって突出する、構成1~5のいずれか1つに記載の吐水装置。
【0081】
以上のように、実施形態によれば、樹脂製のパネル部と陶器製の手洗器とを組み合わせて用いる場合であっても、パネル部と手洗器との間における漏水を抑制できる吐水装置が提供される。
【0082】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、吐水装置などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0083】
10:パネル部
10a:前面部
10b:上面部
10c:下面部
10d:左側面部
10e:右側面部
11:収容空間
12:孔
13:リブ
13a:第1リブ
13b:第2リブ
16:被覆面
17:露出面
18:前端
19:後端
20:手洗器
21:ボウル部
22:載置部
30:給水部
31:第1給水路
32:第2給水路
33:分岐継手
40:吐水部
41:カバー部
42:固定具
43:合流部
44:泡沫キャップ
50:センサ
51:センサ本体
52:ケーブル
60:コーキング材
65:クッション材
70:ガイド部
80:水垂れ抑制部
100、100A、100B、100C:吐水装置
BP:境界面
ED1、ED2:外形寸法
IL1、IL2:仮想線
L1~L3:長さ
S:設置面
WS:給水源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14