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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119497
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 49/02 20060101AFI20240827BHJP
   F24F 11/36 20180101ALI20240827BHJP
【FI】
F25B49/02 520Z
F24F11/36
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026431
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】日本キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩井 良輔
(72)【発明者】
【氏名】仙道 要
(72)【発明者】
【氏名】三浦 賢
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA52
3L260CA32
3L260CB01
3L260CB04
3L260CB26
3L260EA27
(57)【要約】
【課題】様々な環境下や据付条件下であっても精度よく冷媒漏洩を検知することが可能な空気調和装置を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る空気調和装置は、室外ユニットと、室内ユニットと、制御ユニットを備える。制御ユニットは、冷媒漏洩検出部を有する。冷媒漏洩検出部は、室内膨張弁の現在の開度である実開度を取得するとともに、冷媒が漏洩していないことを前提とした場合における圧縮機の回転数と、冷媒の第1の圧力および第2の圧力と、室内膨張弁の開度とに少なくとも基づいて室内膨張弁の予測開度を算出し、実開度と予測開度との差分を判定閾値と比較して冷媒の漏洩を検出する。冷媒漏洩検出部は、外気温度が第1の基準温度以上で第2の基準温度以下である場合よりも、第1の基準温度未満である場合および第2の基準温度を超えている場合に判定閾値が大きくなるように、外気温度に応じて判定閾値を補正する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を吸い込み、圧縮して吐出する圧縮機と、室外の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う室外熱交換器と、前記室外の空気を吸い込み、前記室外熱交換器で熱交換された空気を前記室外に吹き出す室外送風機と、前記圧縮機から吐出された前記冷媒の第1の圧力を検出する第1の圧力検出部と、前記圧縮機に吸い込まれる前記冷媒の第2の圧力を検出する第2の圧力検出部と、前記室外の空気の温度である外気温度を検出する外気温度検出部と、を有する室外ユニットと、
室内の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う室内熱交換器と、前記室内の空気を吸い込み、前記室内熱交換器で熱交換された空気を前記室内に吹き出す室内送風機と、開度に応じて前記冷媒の流量を調整可能な室内膨張弁とを有する少なくとも一つの室内ユニットと、
前記室外ユニットおよび前記室内ユニットの動作を制御する制御ユニットと、を備え、
前記室外ユニットと前記室内ユニットとが前記冷媒が流れる配管で接続された空気調和装置であって、
前記制御ユニットは、前記室内膨張弁の現在の開度である実開度を取得するとともに、前記配管から前記冷媒が漏洩していないことを前提とした場合における前記圧縮機の回転数と、前記冷媒の前記第1の圧力および前記第2の圧力と、前記室内膨張弁の開度とに少なくとも基づいて前記室内膨張弁の現在の開度として予測される予測開度を算出し、前記実開度と前記予測開度との差分を所定の判定閾値と比較して前記配管からの前記冷媒の漏洩を検出する冷媒漏洩検出部を有し、
前記冷媒漏洩検出部は、前記外気温度が第1の基準温度以上で前記第1の基準温度よりも大きな第2の基準温度以下である場合よりも、前記第1の基準温度未満である場合および前記第2の基準温度を超えている場合に前記判定閾値が大きくなるように、前記外気温度に応じて前記判定閾値を補正する
空気調和装置。
【請求項2】
前記冷媒漏洩検出部は、前記室外ユニットの定格能力と前記室内ユニットの定格能力との比率を能力比率として算出し、前記能力比率が第1の基準能力比率以上で前記第1の基準能力比率よりも大きな第2の基準能力比率以下である場合よりも、前記第1の基準能力比率未満である場合もしくは前記第2の基準能力比率を超えている場合に前記判定閾値が大きくなるように、前記能力比率に応じて前記判定閾値を補正する
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記冷媒漏洩検出部は、運転中の前記室内ユニットの台数を取得し、前記室内ユニットの合計台数に対する運転中の前記室内ユニットの台数の比率を運転台数比率として算出し、前記運転台数比率が第1の基準運転台数比率以上である場合、前記第1の基準運転台数比率未満で前記第1の基準運転台数比率よりも小さな第2の基準運転台数比率以上である場合、前記第2の基準運転台数比率未満である場合の順に前記判定閾値が大きくなるように、前記運転台数比率に応じて前記判定閾値を補正する
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記室外ユニット、前記室内ユニット、前記制御ユニットの少なくとも一つは、前記判定閾値を補正するための補正係数が入力されて、入力された前記補正係数を前記冷媒漏洩検出部に付与する入力部を有し、
前記冷媒漏洩検出部は、前記入力部から入力された前記補正係数に応じて前記判定閾値を補正する
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記冷媒漏洩検出部は、複数の補正係数に応じて前記判定閾値を補正し、複数の前記補正係数の各々によって前記判定閾値を補正するタイミングを変動させる
請求項1に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室外ユニットと室内ユニットとの間で配管を通って冷媒が循環する空気調和装置においては、配管の接続部などから冷媒が漏洩する場合がある。例えば、空気調和装置において、冷媒の漏洩が発生していないことを前提とした状態(初期状態)における冷凍サイクルの各種情報(パラメータ)を取得し、取得した情報から室外ユニットの膨張弁の現在の開度を予測する。そして、予測した開度を適正値として想定し、該開度と膨張弁の実際の開度とを比較することで、冷媒の漏洩有無の判定を行う方法がある。これにより、冷媒の漏洩有無を精度よく判定することができる。
【0003】
しかしながら、冷媒漏洩の判定精度に影響を与える要因には様々なものがあり、例えば外気温度の変動、室外ユニットに対して接続される室内ユニットの容量などのように、環境や据付条件によっては、判定精度が悪化するおそれがある。特に、ビル用の空気調和装置で一般的に使用される可変冷媒流量制御では、室外ユニットの連結、室外ユニットと室内ユニットの能力アンバランス、複数の室内ユニットの各々での運転・停止などによって冷媒漏洩の判定精度が低下する場合があることを考慮する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6130921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、これを踏まえてなされたものであり、その目的は、様々な環境下や据付条件下であっても精度よく冷媒漏洩を検知することが可能な空気調和装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る空気調和装置は、室外ユニットと、少なくとも一つの室内ユニットと、制御ユニットとを備え、前記室外ユニットと前記室内ユニットとが冷媒が流れる配管で接続される。
前記室外ユニットは、圧縮機と、室外熱交換器と、室外送風機と、第1の圧力検出部と、第2の圧力検出部と、外気温度検出部とを有する。前記圧縮機は、冷媒を吸い込み、圧縮して吐出する。前記室外熱交換器は、室外の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う。前記室外送風機は、前記室外の空気を吸い込み、前記室外熱交換器で熱交換された空気を前記室外に吹き出す。前記第1の圧力検出部は、前記圧縮機から吐出された前記冷媒の第1の圧力を検出する。前記第2の圧力検出部は、前記圧縮機に吸い込まれる冷媒の第2の圧力を検出する。前記外気温度検出部は、前記室外の空気の温度である外気温度を検出する。
前記室内ユニットは、室内熱交換器と、室内送風機と、室内膨張弁とを有する。前記室内熱交換器は、室内の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う。前記室内送風機は、前記室内の空気を吸い込み、前記室内熱交換器で熱交換された空気を前記室内に吹き出す。前記室内膨張弁は、開度に応じて前記冷媒の流量を調整可能に構成される。
前記制御ユニットは、前記室外ユニットおよび前記室内ユニットの動作を制御する。
前記制御ユニットは、冷媒漏洩検出部を有する。前記冷媒漏洩検出部は、前記室内膨張弁の現在の開度である実開度を取得するとともに、前記配管から前記冷媒が漏洩していないことを前提とした場合における前記圧縮機の回転数と、前記冷媒の前記第1の圧力および前記第2の圧力と、前記室内膨張弁の開度とに少なくとも基づいて前記室内膨張弁の現在の開度として予測される予測開度を算出し、前記実開度と前記予測開度との差分を所定の判定閾値と比較して前記配管からの前記冷媒の漏洩を検出する。
前記冷媒漏洩検出部は、前記外気温度が第1の基準温度以上で前記第1の基準温度よりも大きな第2の基準温度以下である場合よりも、前記第1の基準温度未満である場合および前記第2の基準温度を超えている場合に前記判定閾値が大きくなるように、前記外気温度に応じて前記判定閾値を補正する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る空気調和装置を概略的に示す回路図である。
図2】実施形態に係る空気調和装置における外気温度による補正係数の値の一例を示す図である。
図3】実施形態に係る空気調和装置における能力比率による補正係数の値の一例を示す図である。
図4】実施形態に係る空気調和装置における運転台数比率による補正係数の値の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る空気調和装置1を概略的に示す回路図である。空気調和装置1は、冷房運転もしくは暖房運転でそれぞれ運転が可能である。図1に示すように、空気調和装置1は、冷媒が流れる流路によって接続された室外ユニット2と室内ユニット4、室外ユニット2および室内ユニット4の動作を制御する制御ユニット6を備える。図1には、室外ユニット2および室内ユニット4をそれぞれ一つずつ備えた構成例を示す。図示例に限らず、空気調和装置1は、複数の室内ユニット4を備えていてもよい。流路は、複数の配管が接続されて構成されている。これらの配管は、室外ユニット2側の流路を構成する配管(以下、室外側配管という)201と、室内ユニット4の流路を構成する配管(以下、室内側配管という)401とを含む。
【0009】
室外ユニット2は、主たる要素として、圧縮機202、第1の圧力検出部203、室外熱交換器204、室外送風機205、室外膨張弁206、第2の圧力検出部207、外気温度検出部208、四方弁209などを有する。
【0010】
圧縮機202は、吸込管201aから冷媒を吸い込んで圧縮し、圧縮した冷媒を吐出管201bに吐出する。吸込管201aおよび吐出管201bは、室外側配管201の一部をそれぞれ構成する。例えば、圧縮機202は、密閉容器、回転軸、圧縮機構、電動機構などを備えて構成され、吐出管201bへ高温・高圧の気相冷媒を吐出する。圧縮機202は、運転中の回転数の値を有線もしくは無線を介して制御ユニット6に付与する。吐出管201bは、一端が圧縮機202の吐出口に接続され、他端が四方弁209に接続されている。四方弁209は、圧縮機202から吐出された冷媒を凝縮器に導く。
【0011】
第1の圧力検出部(以下、高圧圧力検出部という)203は、吐出管201bに配置され、圧縮機202から吐出された冷媒の圧力(第1の圧力。以下、吐出圧という)、つまり吐出管201bを流れる高温・高圧の気相冷媒の吐出圧を検出する。高圧圧力検出部203は、例えば感圧素子が吐出管201bの配管内に配置されて吐出圧を検出する圧力センサなどである。高圧圧力検出部203は、検出した吐出圧の値を有線もしくは無線を介して制御ユニット6に付与する。
【0012】
室外熱交換器204は、室外の空気と冷媒との間で熱交換を行い、空気調和装置1が冷房運転する場合には凝縮器として機能し、暖房運転する場合には蒸発器として機能する。例えば、冷房運転時には、圧縮機202、四方弁209、室外熱交換器204、室外膨張弁206、および室内ユニット4の順に冷媒が流れ、空調対象空間が冷房される。一方、暖房運転時には、圧縮機202、四方弁209、室内ユニット4、室外膨張弁206、および室外熱交換器204の順に冷媒が流れ、空調対象空間が暖房される。
【0013】
室外送風機205は、室外熱交換器204の近傍に配置され、室外の空気(以下、外気という)を吸い込み、室外熱交換器204で熱交換された空気を室外に吹き出す。室外送風機205によって吸い込まれた外気は、室外熱交換器204に吹き付けられる。これにより、かかる外気と室外熱交換器204を流れる冷媒との間で熱交換がなされる。
【0014】
室外膨張弁206は、例えば室外熱交換器204から流出した冷媒(高圧の液相冷媒)を開度に応じて減圧させ、低圧の気液二相冷媒や液相冷媒に変化させる。室外膨張弁206は、例えば最小開度と最大開度との間で弁の開度を制御することで冷媒の絞り量が調整される減圧器であり、供給される駆動パルスの数に応じて開度が連続的に変化するPMV(Pulse Motor Valve)として構成されている。室外膨張弁206は、制御ユニット6に開度調整され、現在の開度(実開度)の値を有線もしくは無線を介して制御ユニット6に付与する。
【0015】
第2の圧力検出部(以下、低圧圧力検出部という)207は、四方弁209と後述する気液分離器(アキュムレータ)210との間の配管(室外側配管201の一部)に配置され、圧縮機202に吸い込まれる冷媒の圧力を検出する。より具体的には、低圧圧力検出部207は、上記配管を流れて気液分離器210で気液分離される低圧の気液二相冷媒の圧力(第2の圧力)を検出する。低圧圧力検出部207は、例えば感圧素子が前記配管内に配置されて第2の圧力を検出する圧力センサなどである。低圧圧力検出部207は、検出した第2の圧力の値を有線もしくは無線を介して制御ユニット6に付与する。気液分離器210は、圧縮機202が液相冷媒を圧縮しないように、冷媒を気液分離する。気液分離器210の冷媒流出口には、吸込管201aが接続され、気液分離器210で気液分離された冷媒が該吸込管201aを通って圧縮機202の吸込口から吸い込まれる。
【0016】
外気温度検出部208は、室外の空気の温度である外気温度を検出する。ここでの室外は、空調対象空間である室内に対する室外であり、例えば室外熱交換器204や室外送風機205が設置された屋外空間などである。外気温度検出部208は、例えば感温素子が室外熱交換器204の近傍に配置されて外気温度を検出する温度センサ(サーミスタ)などである。外気温度検出部208は、検出した外気温度の値を有線もしくは無線を介して制御ユニット6に付与する。
【0017】
四方弁209は、圧縮機202から吐出された冷媒を凝縮器、つまり冷房時には室外熱交換器204、暖房時には後述する室内ユニット4の室内熱交換器402にそれぞれ導く。また、四方弁209は、蒸発器、つまり冷房時には室内熱交換器402、暖房時には室外熱交換器204から戻る圧縮機202に戻る冷媒をアキュムレータ210に導く。
【0018】
室内ユニット4は、主たる要素として、室内熱交換器402、室内送風機403、室内膨張弁404などを有する。
【0019】
室内熱交換器402は、室内の空気と冷媒との間で熱交換を行い、空気調和装置1が冷房運転する場合には蒸発器として機能し、暖房運転する場合には凝縮器として機能する。例えば、冷房運転時には、圧縮機202、四方弁209、室外熱交換器204、室外膨張弁206、および室内熱交換器402、室内膨張弁404の順に冷媒が流れ、空調対象空間が冷房される。一方、暖房運転時には、圧縮機202、四方弁209、室内膨張弁404、室内熱交換器402、室外膨張弁206、および室外熱交換器204の順に冷媒が流れ、空調対象空間が暖房される。
【0020】
室内送風機403は、室内熱交換器402の近傍に配置され、空調対象の室内の空気(以下、内気という)を吸い込み、室内熱交換器402で熱交換された空気を室内に吹き出す。室内送風機403によって吸い込まれた内気は、室内熱交換器402に吹き付けられる。これにより、かかる内気と室内熱交換器402を流れる冷媒との間で熱交換がなされる。
【0021】
室内膨張弁404は、開度に応じて冷媒の流量を調整可能な調整弁である。すなわち、室内膨張弁404は、冷房時には室内熱交換器402から流出する冷媒の流量を調整し、暖房時には室内熱交換器402に流入する冷媒の流量を調整する。室内膨張弁404は、例えば最小開度と最大開度との間で弁の開度を制御することで冷媒の絞り量が調整される減圧器であり、供給される駆動パルスの数に応じて開度が連続的に変化するPMV(Pulse Motor Valve)として構成されている。室内膨張弁404は、制御ユニット6に開度調整され、現在の開度(実開度)の値を有線もしくは無線を介して制御ユニット6に付与する。
【0022】
制御ユニット6は、室外ユニット2と室内ユニット4の動作を制御し、空気調和装置1の運転制御を行う。制御ユニット6は、CPU、メモリ、記憶装置(不揮発メモリ)、入出力回路、タイマなどを含み、所定の演算処理を実行する。例えば、制御ユニット6は、各種データを入出力回路により読み込み、記憶装置からメモリに読み出したプログラムを用いてCPUで演算処理し、処理結果に基づいて圧縮機202、高圧圧力検出部203、室外膨張弁206、低圧圧力検出部207、外気温度検出部208、および室内膨張弁404などの動作制御を行う。その際、制御ユニット6は、これらとの間で制御信号やデータ信号を有線もしくは無線を介して送受信する。すなわち、制御ユニット6と上記制御対象である各構成要素とは、有線もしくは無線により電気的に接続されている。
【0023】
本実施形態において、制御ユニット6は、冷媒が流れる流路を構成する配管(室外側配管201および室内側配管401)からの冷媒の漏洩を検出する冷媒漏洩検出部601を有する。冷媒漏洩検出部601は、例えば冷媒の漏洩を検出するための所定の演算処理をCPUに実行させるプログラムとして構成されており、制御ユニット6の記憶装置に記憶されて実行時にメモリに読み出される。
【0024】
冷媒の漏洩を検出するべく、冷媒漏洩検出部601は、室内膨張弁404の実開度を取得するとともに、該室内膨張弁404の予測開度を算出する。
【0025】
室内膨張弁404の実開度は、該室内膨張弁404の現在の開度、つまりその時点における実際の開度である。冷媒漏洩検出部601は、室内膨張弁404から実開度の値を取得する。取得された実開度の値は、制御ユニット6のメモリに保持される。
【0026】
予測開度は、室内膨張弁404の現在の開度(実開度)として予測される開度、つまり実開度の予測値であり、所定のパラメータを用いて算出される。所定のパラメータは、配管(室外側配管201および室内側配管401)から冷媒が漏洩していないことを前提とした場合(以下、適正状態という)における各種の値である。本実施形態においては、例えば適正状態における次の各値、具体的には適正状態における圧縮機202の回転数、冷媒の第1の圧力(吐出圧)および第2の圧力、室内膨張弁404の開度が少なくともパラメータとして用いられる。すなわち、予測開度は、適正状態である場合(冷媒が漏洩していないことを前提とした場合)に、空気調和装置1の現運転時に室内膨張弁404が至る筈の開度である。算出された予測開度の値は、制御ユニット6の記憶装置(不揮発メモリ)、図1に示す例では予測開度記憶部602に記憶されている。予測開度記憶部602に記憶された予測開度の値は、冷媒漏洩有無の判定時のパラメータとして制御ユニット6のメモリに読み出される。
【0027】
適正状態は、空気調和装置1が運転を開始し、開始時からの累計時間が所定時間を超えた後、所定条件を満たした状態であり、配管(室外側配管201および室内側配管401)から冷媒が漏洩していないことを前提とした初期状態である。所定時間は、空気調和装置1が据え付けられる環境などに応じて任意に設定可能であり、例えば10時間から50時間程度である。所定条件は、例えば空気調和装置1における冷凍サイクルの各状態が適切に判定できるように、過熱度(SH:Super Heat)が適正であること、外気温度が極端に使用範囲から外れていないこと、圧縮機202の回転数が極端に低くないことなどを条件として含んでいればよい。
【0028】
冷媒漏洩検出部601は、適正状態における圧縮機202の回転数の値を圧縮機202から取得する。冷媒漏洩検出部601は、適正状態における冷媒の第1の圧力(吐出圧)の値を高圧圧力検出部203から取得する。冷媒漏洩検出部601は、適正状態における冷媒の第2の圧力の値を低圧圧力検出部207から取得する。なお、予測開度のパラメータとして、高圧圧力検出部203および低圧圧力検出部207からそれぞれ取得した値(検出値)、つまり圧力値ではなく、温度値を用いてもよい。この場合、高圧圧力検出部203および低圧圧力検出部207からそれぞれ取得した値(検出値)から飽和温度を算出し、算出した飽和温度をパラメータとして用いることが可能である。冷媒漏洩検出部601は、適正状態における室内膨張弁404の開度の値を該室内膨張弁404から取得する。取得された圧縮機202の回転数、冷媒の第1の圧力(吐出圧)および第2の圧力、室内膨張弁404の開度の各々の値は、制御ユニット6のメモリに保持される。
【0029】
冷媒漏洩検出部601は、例えば空気調和装置1が複数の室内ユニット4を備える場合、各々の室内ユニット4が有する室内膨張弁404、つまり複数の室内膨張弁404の各々の実開度の予測値の合計値として予測開度を算出する。ただし、この場合、複数の室内膨張弁404の各々の実開度の予測値の平均値として予測開度を算出してもよい。
【0030】
冷媒漏洩検出部601は、室内膨張弁404の実開度と予測開度との差分を所定の判定閾値と比較して冷媒の漏洩を検出する。判定閾値は、配管(室外側配管201および室内側配管401)から冷媒が漏洩しているか否かを判定するための閾値であり、本実施形態においては後述する補正前の値、つまり初期値である。判定閾値は、予め設定された固定値であってもよいし、冷媒の漏洩有無の判定時によって変動する可変値であってもよい。判定閾値は、例えば制御ユニット6のメモリに保持され、あるいは記憶装置(不揮発メモリ)に記憶され、冷媒の漏洩有無の判定時にパラメータとして用いられる。なお、例えば空気調和装置1が複数の室内ユニット4を備え、複数の室内膨張弁404の各々の実開度の予測値の合計値として予測開度を算出した場合、前記差分を算出する際の実開度は、複数の室内膨張弁404の各々の実開度の合計値である。
【0031】
冷媒漏洩の検出にあたって、冷媒漏洩検出部601は、判定閾値を所定の係数(以下、補正係数という)に応じて補正する。補正係数は、適正状態における各種の要件によって定まる値である。かかる補正係数としては、例えば適正状態における外気温度を用いることができる。またこれ以外にも、補正係数として、例えば室外ユニット2に対する室内ユニット4の能力比率(以下、単に能力比率という)、複数の室内ユニット4が備えられている場合におけるこれら室内ユニット4の運転台数比率(以下、単に運転台数比率という)などを適用可能であり、これらはいずれも適正状態における検出値が用いられる。これらの補正係数は一例であって、適正状態における外気温度、能力比率、運転台数比率の他にも、任意の要件によって定まる値を補正係数として追加することが可能である。
【0032】
外気温度は、上述したように室外熱交換器204や室外送風機205が設置された屋外空間などの空気の温度であり、外気温度検出部208によって検出される。冷媒漏洩検出部601は、適正状態における外気温度の値を外気温度検出部208から取得する。取得された外気温度の値は、制御ユニット6のメモリに保持される。
【0033】
能力比率は、空気調和装置1が備える室外ユニット2の能力値および室内ユニット4の能力値の比率である。能力値は、例えばキロワット(kW)単位で表される冷暖房の定格能力であり、室内ユニット4が複数存在する場合、各々の定格能力の合計値である。冷媒漏洩検出部601は、適正状態における室外ユニット2の能力値および室内ユニット4の能力値に基づいて、能力比率を算出する。算出された能力比率の値は、制御ユニット6のメモリに保持される。
【0034】
運転台数比率は、複数の室内ユニット4が備えられている場合、室内ユニット4の合計台数に対する運転中の室内ユニット4の台数の比率である。室内ユニット4が運転されているか否かは、例えば室内膨張弁404が開いた状態であるか否か、室内ユニット4のリモコンなどからユーザ等が運転を選択したか否かなど、任意の条件で判定可能である。冷媒漏洩検出部601は、適正状態における運転中の室内ユニット4の台数に基づいて、運転台数比率を算出する。算出された運転台数比率の値は、制御ユニット6のメモリに保持される。
【0035】
冷媒漏洩検出部601は、このような室内膨張弁404の実開度と予測開度、および補正係数に基づいて冷媒の漏洩を検出する。かかる検出に際して、冷媒漏洩検出部601は、次の式(1)を演算する。
(実開度)-(予測開度)>α×W×X×Y×Z …(1)
式(1)において、実開度は、該式(1)の演算時における室内膨張弁404の実際の開度の値である。予測開度は、予測開度記憶部602に記憶された予測開度の値である。αは、判定閾値の値、より厳密には補正前の判定閾値の値(判定閾値の初期値)である。Wは、入力部による補正係数の値である。Xは、外気温度による補正係数である。Yは、能力比率による補正係数の値である。Zは、運転台数比率による補正係数の値である。入力部は、判定閾値を補正するための補正係数を入力して冷媒漏洩検出部601に付与する。図1に示す例において、入力部603は、制御ユニット6において切り替え、操作、設定などを行うことが可能な任意の外部入力手段、例えば制御基板上のスイッチなどとして構成されている。ただし、入力部603の所在は特に限定されず、例えば、室外ユニット2の操作パネルや室内ユニット4のリモコンなどの外部入力手段として構成されていてもよい。
【0036】
式(1)が成立する場合、冷媒漏洩検出部601は、配管(室外側配管201および室内側配管401)から冷媒が漏洩しているものと判定する。これにより、室内膨張弁404の実開度、予測開度、および補正係数に基づいて、冷媒の漏洩が検出される。これに対し、式(1)が成立しない場合、冷媒漏洩検出部601は、配管(室外側配管201および室内側配管401)から冷媒が漏洩していないものと判定する。この場合、室内膨張弁404の実開度、予測開度、および補正係数に基づいて、冷媒が漏洩していないことが検出される。
【0037】
式(1)においてXで示す外気温度による補正係数について説明する。図2は、外気温度による補正係数の値の一例を示す図である。外気温度による補正係数の値は、例えば図2に示すようなテーブル形式で制御ユニット6の記憶装置(不揮発メモリ)、図1に示す例では補正係数記憶部604に記憶されている。ただし、記憶形式はこれに限定されない。補正係数記憶部604に記憶された外気温度による補正係数の各々の値は、冷媒漏洩有無の判定時に判定閾値を補正する際のパラメータとして制御ユニット6のメモリに読み出さる。
【0038】
図2に示す例では、外気温度(Tx)による補正係数の値(X)は二つの閾値、第1の基準温度(Tx1)および第2の基準温度(Tx2)により設定される。第2の基準温度は、第1の基準温度よりも大きい。これにより、外気温度が高、中、低の三つの温度幅に区分される。外気温度による補正係数の値は、外気温度が標準状態である場合、外気温度が標準状態以外である場合よりも小さく設定されている。外気温度の標準状態は、図2に示す例では外気温度が第1の基準温度以上で第2の基準温度以下である場合(Tx1≦Tx≦Tx2)である。すなわち、外気温度が第1の基準温度以上で第2の基準温度以下である場合の補正係数は、第1の基準温度未満である場合(Tx<Tx1)の補正係数および前記第2の基準温度を超えている場合(Tx2<Tx)の補正係数のいずれよりも小さく設定されている(図2に「大」、「小」として示すような関係である)。
【0039】
したがって、冷媒漏洩検出部601は、外気温度が第1の基準温度以上で第2の基準温度以下である場合よりも、第1の基準温度未満である場合および第2の基準温度を超えている場合に判定閾値が大きくなるように、外気温度による補正係数に応じて判定閾値を補正する。第1の基準温度および第2の基準温度は、例えば空気調和装置1が冷房運転する場合には外気温度の標準状態に35℃程度、暖房運転する場合には外気温度の標準状態に7℃程度の温度範囲がそれぞれ含まれるように設定されていればよい。外気温度による補正係数は、外気温度が標準状態から外れる範囲ほど大きくなるように設定されていればよい。なお、外気温度を区分する閾値(基準温度)の数は三つ以上であってもよく、一つとすることも可能である。外気温度を区分する閾値(基準温度)の数を一つとした場合、外気温度が該閾値に対応する基準温度である状態を標準状態とすればよい。
【0040】
式(1)においてYで示す能力比率による補正係数について説明する。図3は、能力比率による補正係数の値の一例を示す図である。能力比率による補正係数の値は、例えば図3に示すようなテーブル形式で制御ユニット6の記憶装置(不揮発メモリ)、図1に示す例では補正係数記憶部604に記憶されている。ただし、記憶形式はこれに限定されない。補正係数記憶部604に記憶された能力比率による補正係数の各々の値は、冷媒漏洩有無の判定時に判定閾値を補正する際のパラメータとして制御ユニット6のメモリに読み出される。
【0041】
図3に示す例では、能力比率(Ry)による補正係数の値(Y)は二つの閾値、第1の基準能力比率(Ry1)および第2の基準能力比率(Ry2)により設定される。第2の基準能力比率は、第1の基準能力比率よりも大きい。これにより、能力比率が高、中、低の三つの比率幅に区分される。能力比率が標準状態である場合の補正係数は、能力比率が標準状態以外である場合の補正係数よりも小さく設定されている。能力比率の標準状態は、図3に示す例では能力比率が第1の基準能力比率以上で第2の基準能力比率以下である場合(Ry1≦Ry≦Ry2)である。すなわち、能力比率が第1の基準能力比率以上で第2の基準能力比率以下である場合の補正係数は、第1の基準能力比率未満である場合(Ry<Ry1)の補正係数および前記第2の基準能力比率を超えている場合(Ry2<Ry)の補正係数のいずれよりも小さく設定されている(図3に「大」、「小」として示すような関係である)。
【0042】
したがって、冷媒漏洩検出部601は、能力比率が第1の基準能力比率以上で第2の基準能力比率以下である場合よりも、第1の基準能力比率未満である場合および第2の基準能力比率を超えている場合に判定閾値が大きくなるように、能力比率による補正係数に応じて判定閾値を補正する。第1の基準能力比率および第2の基準能力比率は、例えば能力比率の標準状態に1、つまり室外ユニット2の能力値:室内ユニット4の能力値が1:1である場合が含まれるように設定されていればよい。能力比率による補正係数は、能力比率が標準状態から外れる範囲ほど大きくなるように設定されていればよい。なお、能力比率を区分する閾値(基準能力比率)の数は三つ以上であってもよく、一つとすることも可能である。能力比率を区分する閾値(基準能力比率)の数を一つとした場合、能力比率が該閾値に対応する基準能力比率である状態を標準状態とすればよい。
【0043】
式(1)においてZで示す運転台数比率による補正係数について説明する。図4は、運転台数比率による補正係数の値の一例を示す図である。運転台数比率による補正係数の値は、例えば図4に示すようなテーブル形式で制御ユニット6の記憶装置(不揮発メモリ)、図1に示す例では補正係数記憶部604に記憶されている。ただし、記憶形式はこれに限定されない。補正係数記憶部604に記憶された運転台数比率による補正係数の各々の値は、冷媒漏洩有無の判定時に判定閾値を補正する際のパラメータとして制御ユニット6のメモリに読み出される。
【0044】
図4に示す例では、運転台数比率(Rz)による補正係数の値(Z)は二つの閾値、第1の基準運転台数比率(Rz1)および第2の基準運転台数比率(Rz2)により設定される。第2の基準運転台数比率は、第1の基準運転台数比率よりも小さい。これにより、運転台数比率が高、中、低の三つの比率幅に区分される。運転台数比率が標準状態である場合の補正係数は、運転台数比率が標準状態以外である場合の補正係数よりも小さく設定されている。運転台数比率の標準状態は、図4に示す例では運転台数比率が第1の基準運転台数比率以上である場合(Rz1≦Rz)である。ここでは、運転台数比率が第1の基準運転台数比率以上である場合(Rz1≦Rz)、第1の基準運転台数比率未満で第2の基準運転台数比率以上である場合(Rz2≦Rz<Rz1)、第2の基準運転台数比率未満である場合(Rz<Rz2)の順に大きくなるように補正係数が設定されている(図4に「小」、「中」、「大」として示すような関係である)。
【0045】
したがって、冷媒漏洩検出部601は、運転台数比率が第1の基準運転台数比率以上である場合、第1の基準運転台数比率未満で第2の基準運転台数比率以上である場合、第2の基準運転台数比率未満である場合の順に判定閾値が大きくなるように、運転台数比率による補正係数に応じて判定閾値を補正する。第1の基準運転台数比率および第2の基準運転台数比率は、運転台数比率の標準状態を100%(すべての室内ユニット4が運転されている状態)として設定されていればよい。運転台数比率による補正係数は、運転台数比率が標準状態から外れる範囲ほど大きくなるように設定されていればよい。なお、運転台数比率を区分する閾値(基準運転台数比率)の数は三つ以上であってもよく、一つとすることも可能である。運転台数比率を区分する閾値(基準運転台数比率)の数を一つとした場合、運転台数比率が該閾値に対応する基準運転台数比率である状態を標準状態とすればよい。
【0046】
式(1)においてWで示す入力部603による補正係数について説明する。入力部603による補正係数の値は、例えば制御ユニット6の制御基板上のスイッチ、室外ユニット2の操作パネル、室内ユニット4のリモコンなどをユーザ等が切り替え、操作、設定することなどにより入力される。入力された補正係数の値は、例えば制御ユニット6の記憶装置(不揮発メモリ)、図1に示す例では補正係数記憶部604に記憶される。冷媒漏洩検出部601は、冷媒漏洩有無の判定時に判定閾値を補正する際、入力部603による補正係数をパラメータとして補正係数記憶部604から制御ユニット6のメモリに読み出す。これにより、入力部603において入力された補正係数が冷媒漏洩検出部601に付与される。
【0047】
入力部603による補正係数(W)は、例えば空気調和装置1が据え付けられる環境などに応じて任意に設定され、外気温度による補正係数(X)、能力比率による補正係数(Y)、および運転台数比率による補正係数(Z)とは別途用いることで、判定閾値をより柔軟に補正するために用いられる。
【0048】
なお、本実施形態において、判定閾値が補正されるタイミングとしては、適正状態から、つまり室内膨張弁404の予測開度を算出するためのパラメータが取得されてから空気調和装置1が継続して運転されている所定のタイミングを想定している。ただし、変形例として、判定閾値の補正タイミングを補正係数に応じて変動させてもよい。例えば、適正状態において室内膨張弁404の予測開度を算出するためのパラメータを取得した際、能力比率による補正係数および運転台数比率による補正係数に応じて判定閾値を補正する。そして、冷媒が流れる流路を構成する配管(室外側配管201および室内側配管401)から冷媒が漏洩しているか否かを判定する際、外気温度による補正係数に応じて判定閾値を補正する。
【0049】
このように本実施形態および変形例によれば、室内膨張弁404の実開度と予測開度との差分に基づいて、配管(室外側配管201および室内側配管401)からの冷媒の漏洩を検出することができる。その際、冷媒の漏洩有無を判定するための判定閾値を所定の補正係数により補正できる。
【0050】
例えば、適正状態において外気温度が空気調和装置1の定格温度から外れている場合、その程度によっては室内膨張弁404の予測開度の精度が悪化するおそれがある。この場合であっても、外気温度による補正係数に応じて判定閾値を補正することで、冷媒の漏洩有無を精度よく判定できる。すなわち本実施形態によれば、外気温度による補正係数の値は、外気温度が標準状態(第1の基準温度以上で第2の基準温度以下)である場合、外気温度が標準状態以外である場合よりも小さく設定されている。このため、外気温度が標準状態である場合よりも、標準状態以外である場合に判定閾値が大きくなるように、外気温度による補正係数に応じて判定閾値を補正できる。これにより、外気温度によって冷媒漏洩の検出精度を高めることができる。
【0051】
また、能力比率による補正係数を用いて判定閾値を補正できる。例えば、能力比率による補正係数の値は、能力比率が標準状態(第1の基準能力比率以上で第2の基準能力比率以下)である場合、能力比率が標準状態以外である場合よりも小さく設定されている。このため、能力比率が標準状態である場合よりも、標準状態以外である場合に判定閾値が大きくなるように、能力比率による補正係数に応じて判定閾値を補正できる。これにより、能力比率によっても冷媒漏洩の検出精度を高めることができる。
【0052】
さらに、運転台数比率による補正係数を用いて判定閾値を補正できる。例えば、運転台数比率による補正係数の値は、運転台数比率が標準状態である(第1の基準運転台数比率を超えている)場合、運転台数比率が標準状態以外である場合よりも小さく設定されている。このため、運転台数比率が標準状態である場合よりも、標準状態以外である場合に判定閾値が大きくなるように、運転台数比率による補正係数に応じて判定閾値を補正できる。これにより、運転台数比率によっても冷媒漏洩の検出精度を高めることができる。
【0053】
加えて、入力部603による補正係数を用いて判定閾値を補正できる。例えば、入力部603による補正係数の値は、空気調和装置1が据え付けられる環境などに応じて任意に設定され、外気温度、能力比率、および運転台数比率による各々の補正係数とは別途用いることができる。これにより、判定閾値をより柔軟に補正することができる。
【0054】
このように本実施形態および変形例によれば、判定閾値の補正の自由度を高めることができる。例えば空気調和装置1が据え付けられる環境などに応じて、判定閾値をより適切に補正できる。その結果、様々な環境下や据付条件下であっても精度よく冷媒漏洩を検知することが可能となる。
【0055】
以上、本発明の実施形態(変形例を含む)を説明したが、該実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。かかる新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1…空気調和装置、2…室外ユニット、4…室内ユニット、6…制御ユニット、201…室外側配管、201a…吸込管、201b…吐出管、202…圧縮機、203…第1の圧力検出部(高圧圧力検出部)、204…室外熱交換器、205…室外送風機、206…室外膨張弁、207…第2の圧力検出部(低圧圧力検出部)、208…外気温度検出部、209…四方弁、210…気液分離器(アキュムレータ)、401…室内側配管、402…室内熱交換器、403…室内送風機、404…室内膨張弁、601…冷媒漏洩検出部、602…予測開度記憶部、603…入力部、604…補正係数記憶部。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-04-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を吸い込み、圧縮して吐出する圧縮機と、室外の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う室外熱交換器と、前記室外の空気を吸い込み、前記室外熱交換器で熱交換された空気を前記室外に吹き出す室外送風機と、前記圧縮機から吐出された前記冷媒の第1の圧力を検出する第1の圧力検出部と、前記圧縮機に吸い込まれる前記冷媒の第2の圧力を検出する第2の圧力検出部と、前記室外の空気の温度である外気温度を検出する外気温度検出部と、を有する室外ユニットと、
室内の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う室内熱交換器と、前記室内の空気を吸い込み、前記室内熱交換器で熱交換された空気を前記室内に吹き出す室内送風機と、開度に応じて前記冷媒の流量を調整可能な室内膨張弁とを有する少なくとも一つの室内ユニットと、
前記室外ユニットおよび前記室内ユニットの動作を制御する制御ユニットと、を備え、
前記室外ユニットと前記室内ユニットとが前記冷媒が流れる配管で接続された空気調和装置であって、
前記制御ユニットは、前記室内膨張弁の現在の開度である実開度を取得するとともに、前記配管から前記冷媒が漏洩していないことを前提とした場合における前記圧縮機の回転数と、前記冷媒の前記第1の圧力および前記第2の圧力と、前記室内膨張弁の開度とに少なくとも基づいて前記室内膨張弁の現在の開度として予測される予測開度を算出し、前記実開度と前記予測開度との差分を所定の判定閾値と比較して前記配管からの前記冷媒の漏洩を検出する冷媒漏洩検出部を有し、
前記冷媒漏洩検出部は、前記外気温度が第1の基準温度以上で前記第1の基準温度よりも大きな第2の基準温度以下である場合よりも、前記第1の基準温度未満である場合および前記第2の基準温度を超えている場合に前記判定閾値が大きくなるように、前記外気温度に応じて前記判定閾値を補正し、
前記室外ユニットの定格能力と前記室内ユニットの定格能力との比率を能力比率として算出し、前記能力比率が第1の基準能力比率以上で前記第1の基準能力比率よりも大きな第2の基準能力比率以下である場合よりも、前記第1の基準能力比率未満である場合もしくは前記第2の基準能力比率を超えている場合に前記判定閾値が大きくなるように、前記能力比率に応じて前記判定閾値を補正する
空気調和装置。
【請求項2】
冷媒を吸い込み、圧縮して吐出する圧縮機と、室外の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う室外熱交換器と、前記室外の空気を吸い込み、前記室外熱交換器で熱交換された空気を前記室外に吹き出す室外送風機と、前記圧縮機から吐出された前記冷媒の第1の圧力を検出する第1の圧力検出部と、前記圧縮機に吸い込まれる前記冷媒の第2の圧力を検出する第2の圧力検出部と、前記室外の空気の温度である外気温度を検出する外気温度検出部と、を有する室外ユニットと、
室内の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う室内熱交換器と、前記室内の空気を吸い込み、前記室内熱交換器で熱交換された空気を前記室内に吹き出す室内送風機と、開度に応じて前記冷媒の流量を調整可能な室内膨張弁とを有する少なくとも一つの室内ユニットと、
前記室外ユニットおよび前記室内ユニットの動作を制御する制御ユニットと、を備え、
前記室外ユニットと前記室内ユニットとが前記冷媒が流れる配管で接続された空気調和装置であって、
前記制御ユニットは、前記室内膨張弁の現在の開度である実開度を取得するとともに、前記配管から前記冷媒が漏洩していないことを前提とした場合における前記圧縮機の回転数と、前記冷媒の前記第1の圧力および前記第2の圧力と、前記室内膨張弁の開度とに少なくとも基づいて前記室内膨張弁の現在の開度として予測される予測開度を算出し、前記実開度と前記予測開度との差分を所定の判定閾値と比較して前記配管からの前記冷媒の漏洩を検出する冷媒漏洩検出部を有し、
前記冷媒漏洩検出部は、前記外気温度が第1の基準温度以上で前記第1の基準温度よりも大きな第2の基準温度以下である場合よりも、前記第1の基準温度未満である場合および前記第2の基準温度を超えている場合に前記判定閾値が大きくなるように、前記外気温度に応じて前記判定閾値を補正し、
複数の補正係数に応じて前記判定閾値を補正し、複数の補正係数の各々によって前記判定閾値を補正するタイミングを変動させる
空気調和装置。
【請求項3】
前記冷媒漏洩検出部は、運転中の前記室内ユニットの台数を取得し、前記室内ユニットの合計台数に対する運転中の前記室内ユニットの台数の比率を運転台数比率として算出し、前記運転台数比率が第1の基準運転台数比率以上である場合、前記第1の基準運転台数比率未満で前記第1の基準運転台数比率よりも小さな第2の基準運転台数比率以上である場合、前記第2の基準運転台数比率未満である場合の順に前記判定閾値が大きくなるように、前記運転台数比率に応じて前記判定閾値を補正する
請求項1または2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記室外ユニット、前記室内ユニット、前記制御ユニットの少なくとも一つは、前記判定閾値を補正するための補正係数が入力されて、入力された補正係数を前記冷媒漏洩検出部に付与する入力部を有し、
前記冷媒漏洩検出部は、前記入力部から入力された補正係数に応じて前記判定閾値を補正する
請求項1または2に記載の空気調和装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
一実施形態に係る空気調和装置は、室外ユニットと、少なくとも一つの室内ユニットと、制御ユニットとを備え、前記室外ユニットと前記室内ユニットとが冷媒が流れる配管で接続される。
前記室外ユニットは、圧縮機と、室外熱交換器と、室外送風機と、第1の圧力検出部と、第2の圧力検出部と、外気温度検出部とを有する。前記圧縮機は、冷媒を吸い込み、圧縮して吐出する。前記室外熱交換器は、室外の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う。前記室外送風機は、前記室外の空気を吸い込み、前記室外熱交換器で熱交換された空気を前記室外に吹き出す。前記第1の圧力検出部は、前記圧縮機から吐出された前記冷媒の第1の圧力を検出する。前記第2の圧力検出部は、前記圧縮機に吸い込まれる冷媒の第2の圧力を検出する。前記外気温度検出部は、前記室外の空気の温度である外気温度を検出する。
前記室内ユニットは、室内熱交換器と、室内送風機と、室内膨張弁とを有する。前記室内熱交換器は、室内の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う。前記室内送風機は、前記室内の空気を吸い込み、前記室内熱交換器で熱交換された空気を前記室内に吹き出す。前記室内膨張弁は、開度に応じて前記冷媒の流量を調整可能に構成される。
前記制御ユニットは、前記室外ユニットおよび前記室内ユニットの動作を制御する。
前記制御ユニットは、冷媒漏洩検出部を有する。前記冷媒漏洩検出部は、前記室内膨張弁の現在の開度である実開度を取得するとともに、前記配管から前記冷媒が漏洩していないことを前提とした場合における前記圧縮機の回転数と、前記冷媒の前記第1の圧力および前記第2の圧力と、前記室内膨張弁の開度とに少なくとも基づいて前記室内膨張弁の現在の開度として予測される予測開度を算出し、前記実開度と前記予測開度との差分を所定の判定閾値と比較して前記配管からの前記冷媒の漏洩を検出する。
前記冷媒漏洩検出部は、前記外気温度が第1の基準温度以上で前記第1の基準温度よりも大きな第2の基準温度以下である場合よりも、前記第1の基準温度未満である場合および前記第2の基準温度を超えている場合に前記判定閾値が大きくなるように、前記外気温度に応じて前記判定閾値を補正する。
前記冷媒漏洩検出部は、前記室外ユニットの定格能力と前記室内ユニットの定格能力との比率を能力比率として算出し、前記能力比率が第1の基準能力比率以上で前記第1の基準能力比率よりも大きな第2の基準能力比率以下である場合よりも、前記第1の基準能力比率未満である場合もしくは前記第2の基準能力比率を超えている場合に前記判定閾値が大きくなるように、前記能力比率に応じて前記判定閾値を補正する。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を吸い込み、圧縮して吐出する圧縮機と、室外の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う室外熱交換器と、前記室外の空気を吸い込み、前記室外熱交換器で熱交換された空気を前記室外に吹き出す室外送風機と、前記圧縮機から吐出された前記冷媒の第1の圧力を検出する第1の圧力検出部と、前記圧縮機に吸い込まれる前記冷媒の第2の圧力を検出する第2の圧力検出部と、前記室外の空気の温度である外気温度を検出する外気温度検出部と、を有する室外ユニットと、
室内の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う室内熱交換器と、前記室内の空気を吸い込み、前記室内熱交換器で熱交換された空気を前記室内に吹き出す室内送風機と、開度に応じて前記冷媒の流量を調整可能な室内膨張弁とを有する少なくとも一つの室内ユニットと、
前記室外ユニットおよび前記室内ユニットの動作を制御する制御ユニットと、を備え、
前記室外ユニットと前記室内ユニットとが前記冷媒が流れる配管で接続された空気調和装置であって、
前記制御ユニットは、前記室内膨張弁の現在の開度である実開度を取得するとともに、前記配管から前記冷媒が漏洩していないことを前提とした場合における前記圧縮機の回転数と、前記冷媒の前記第1の圧力および前記第2の圧力と、前記室内膨張弁の開度とに少なくとも基づいて前記室内膨張弁の現在の開度として予測される予測開度を算出し、前記実開度と前記予測開度との差分を所定の判定閾値と比較して前記配管からの前記冷媒の漏洩を検出する冷媒漏洩検出部を有し、
前記冷媒漏洩検出部は、前記外気温度が第1の基準温度以上で前記第1の基準温度よりも大きな第2の基準温度以下である場合よりも、前記第1の基準温度未満である場合および前記第2の基準温度を超えている場合に前記判定閾値が大きくなるように、前記外気温度に応じて前記判定閾値を補正し、
前記室外ユニットの定格能力と前記室内ユニットの定格能力との比率を能力比率として算出し、前記能力比率が第1の基準能力比率以上で前記第1の基準能力比率よりも大きな第2の基準能力比率以下である場合よりも、前記第1の基準能力比率未満である場合もしくは前記第2の基準能力比率を超えている場合に前記判定閾値が大きくなるように、前記能力比率に応じて前記判定閾値を補正する
空気調和装置。
【請求項2】
冷媒を吸い込み、圧縮して吐出する圧縮機と、室外の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う室外熱交換器と、前記室外の空気を吸い込み、前記室外熱交換器で熱交換された空気を前記室外に吹き出す室外送風機と、前記圧縮機から吐出された前記冷媒の第1の圧力を検出する第1の圧力検出部と、前記圧縮機に吸い込まれる前記冷媒の第2の圧力を検出する第2の圧力検出部と、前記室外の空気の温度である外気温度を検出する外気温度検出部と、を有する室外ユニットと、
室内の空気と前記冷媒との間で熱交換を行う室内熱交換器と、前記室内の空気を吸い込み、前記室内熱交換器で熱交換された空気を前記室内に吹き出す室内送風機と、開度に応じて前記冷媒の流量を調整可能な室内膨張弁とを有する少なくとも一つの室内ユニットと、
前記室外ユニットおよび前記室内ユニットの動作を制御する制御ユニットと、を備え、
前記室外ユニットと前記室内ユニットとが前記冷媒が流れる配管で接続された空気調和装置であって、
前記制御ユニットは、前記室内膨張弁の現在の開度である実開度を取得するとともに、前記配管から前記冷媒が漏洩していないことを前提とした場合における前記圧縮機の回転数と、前記冷媒の前記第1の圧力および前記第2の圧力と、前記室内膨張弁の開度とに少なくとも基づいて前記室内膨張弁の現在の開度として予測される予測開度を算出し、前記実開度と前記予測開度との差分を所定の判定閾値と比較して前記配管からの前記冷媒の漏洩を検出する冷媒漏洩検出部を有し、
前記冷媒漏洩検出部は、前記外気温度が第1の基準温度以上で前記第1の基準温度よりも大きな第2の基準温度以下である場合よりも、前記第1の基準温度未満である場合および前記第2の基準温度を超えている場合に前記判定閾値が大きくなるように、前記外気温度に応じて前記判定閾値を補正し、
複数の補正係数に応じて前記判定閾値を補正し、複数の補正係数の各々によって前記判定閾値を補正するタイミングを変動させる
空気調和装置。