(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119515
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】硬貨取扱装置
(51)【国際特許分類】
G07D 1/00 20060101AFI20240827BHJP
G07D 11/14 20190101ALI20240827BHJP
G07F 9/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G07D1/00 Z
G07D11/14
G07F9/00 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026480
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】菊池 励
(72)【発明者】
【氏名】山岸 悟
(72)【発明者】
【氏名】田村 健一
【テーマコード(参考)】
3E044
3E141
【Fターム(参考)】
3E044AA01
3E044AA02
3E044FA12
3E141AA08
3E141BA07
3E141BA12
3E141BA13
3E141FF04
3E141GB03
3E141HA06
3E141JA05
3E141LA77
(57)【要約】
【課題】硬貨返却皿から硬貨が飛び出すことを防止する。
【解決手段】硬貨が投入される投入部と、前記投入部に投入された前記硬貨が排出される開口部と、を有する硬貨排出部と、前記硬貨排出部の斜面に沿って落下し、前記開口部から排出された硬貨を受け取る硬貨返却皿と、を有し、前記硬貨排出部は、前記硬貨の落下速度を減速させる減速部、を備える、硬貨取扱装置。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨が投入される投入部と、前記投入部に投入された前記硬貨が排出される開口部と、を有する硬貨排出部と、
前記硬貨排出部の斜面に沿って落下し、前記開口部から排出された硬貨を受け取る硬貨返却皿と、
を有し、
前記硬貨排出部は、
前記硬貨の落下速度を減速させる減速部、
を備える、硬貨取扱装置。
【請求項2】
前記減速部は、複数のチェーンである、
請求項1に記載の硬貨取扱装置。
【請求項3】
前記複数のチェーンは、前記開口部に近接する位置に取り付けられる、
請求項2に記載の硬貨取扱装置。
【請求項4】
前記複数のチェーンの先端および前記硬貨排出部の斜面の間の鉛直方向の距離は、前記硬貨の厚さ未満である、
請求項2に記載の硬貨取扱装置。
【請求項5】
前記複数のチェーンの各チェーンの間隔は、前記硬貨の直径未満である、
請求項4に記載の硬貨取扱装置。
【請求項6】
前記複数のチェーンの各々は、複数の球状のパーツを繋げたボールチェーンである、
請求項2から請求項5までのうちいずれか一項に記載の硬貨取扱装置。
【請求項7】
前記硬貨排出部は、前記斜面の先端側の上方に櫛歯構造を有し、
前記ボールチェーンは、前記櫛歯構造に取り付けられる、
請求項6に記載の硬貨取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動券売機や自動販売機等の硬貨返却口から排出される硬貨が外部に飛び出すことを防止する技術が開発されている。例えば、特許文献1では、硬貨返却口に蓋や開閉板を設け、返却された硬貨が筐体の外部に飛び出すことを防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、硬貨返却口の内部には傾斜が設けられ、当該傾斜に沿って落下した硬貨が硬貨返却口の外部にある硬貨返却皿に滞留することで、利用者に硬貨が返却される仕組みも想定される。このような仕組みによれば、当該傾斜に沿って落下した硬貨が勢いを増して硬貨返却皿を飛び越えてしまう恐れがあった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、硬貨返却皿から硬貨が飛び出すことを防止することが可能な、新規かつ改良された硬貨取扱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、硬貨が投入される投入部と、前記投入部に投入された前記硬貨が排出される開口部と、を有する硬貨排出部と、前記硬貨排出部の斜面に沿って落下し、前記開口部から排出された硬貨を受け取る硬貨返却皿と、を有し、前記硬貨排出部は、前記硬貨の落下速度を減速させる減速部、を備える、硬貨取扱装置が提供される。
【0007】
前記減速部は、複数のチェーンであってもよい。
【0008】
前記複数のチェーンは、前記開口部に近接する位置に取り付けられてもよい。
【0009】
前記複数のチェーンの先端および前記硬貨排出部の斜面の間の鉛直方向の距離は、前記硬貨の厚さ未満であってもよい。
【0010】
前記複数のチェーンの各チェーンの間隔は、前記硬貨の直径未満であってもよい。
【0011】
前記複数のチェーンの各々は、複数の球状のパーツを繋げたボールチェーンであってもよい。
【0012】
前記硬貨排出部は、前記斜面の先端側の上方に櫛歯構造を有し、前記ボールチェーンは、前記櫛歯構造に取り付けられてもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明によれば、硬貨返却皿から硬貨が飛び出すことを防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る媒体処理装置1の概要を説明するための説明図である。
【
図2】比較例による硬貨返却ユニット45の機能構成の一例を説明する説明図である。
【
図3】比較例による硬貨排出部500の内部構造の一例を説明するための説明図である。
【
図4】比較例による硬貨返却ユニット40の課題を説明するための説明図である。
【
図5】本実施形態に係る硬貨返却ユニット40の機能構成の一例を説明するための説明図である。
【
図6】本実施形態に係る硬貨排出部400の内部構造の一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
<<1.媒体処理装置の概要>>
本発明の一実施形態は、硬貨返却皿から硬貨が飛び出すことを防止することを可能とする媒体処理装置に関する。まず、
図1を参照し、本実施形態に係る媒体処理装置の概要を説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る媒体処理装置1の概要を説明するための説明図である。本実施形態に係る媒体処理装置1は、硬貨等の媒体を処理する装置である。
【0018】
本実施形態に係る媒体処理装置1は、小売店等において設置される釣銭機であってもよい。ここでの釣銭機とは、小売店等において顧客により操作されるセミセルフ釣銭機であってもよいし、セルフ釣銭機であってもよい。但し、本実施形態に係る媒体処理装置1は、釣銭機に限定されない。
【0019】
例えば、媒体処理装置1は、例えばスーパーマーケットまたはコンビニエンスストアのような小売店舗の精算所(いわゆるレジ)において、顧客が購入したい商品を精算する際にレジ係員により操作される精算機であってもよい。
【0020】
また、媒体処理装置1は、現金自動預払機(ATM:Automatic Teller Machine)であってもよい。この場合、媒体処理装置1は、例えば金融機関等に設置され、顧客との間で行われる入金処理または出金処理等の現金に関する取引において用いられる。
【0021】
本実施形態に係る媒体処理装置1は、
図1に示すように、表示部10と、硬貨投入ユニット20と、硬貨返却ボタン30と、硬貨返却ユニット40と、を有する。
【0022】
(表示部10)
本実施形態に係る表示部10は、各種取引に関する画面を表示する。例えば、表示部10は、
図1に示すような請求金額を表示する。媒体処理装置1の利用者は、
図1に示すような表示部10の画面を確認することで、後述する硬貨投入ユニット20に投入する硬貨の種別および枚数を判断し得る。
【0023】
(硬貨投入ユニット20)
本実施形態に係る硬貨投入ユニット20は、硬貨を投入する硬貨投入口を有する。また、硬貨投入ユニット20は、利用者により投入された複数の硬貨を一時的に滞留させるための受け皿である硬貨投入皿を有してもよい。硬貨投入皿に滞留した硬貨は、硬貨投入口を介して一枚ずつ媒体処理装置1の内部に投入され得る。
【0024】
例えば、硬貨投入ユニット20の硬貨投入皿には、利用者により複数の硬貨が投入される。また、硬貨投入ユニット20の硬貨投入皿には、利用者により異なる金種の複数の硬貨Cが投入され得る。
【0025】
ここで、異なる金種の硬貨は、例えば、100円硬貨、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、または500円硬貨などの日本国内で流通する各種硬貨を含む。また、異なる金種の硬貨は、1セント硬貨等の他の国(即ち、日本国外)で流通する各種硬貨を含んでもよい。
【0026】
(硬貨返却ボタン30)
本実施形態に係る硬貨返却ボタン30は、利用者により硬貨投入口に投入された硬貨を返却させる際に利用されるボタンである。硬貨返却ボタン30は、機械的に硬貨返却ユニット40に硬貨を返却させるボタンであってもよいし、電気的に硬貨返却ユニット40に硬貨を返却させるボタンであってもよい。
【0027】
(硬貨返却ユニット40)
本実施形態に係る硬貨返却ユニット40は、硬貨取扱装置の一例であり、硬貨を返却するユニットである。硬貨返却ユニット40は、例えば、料金精算に際して生じたお釣りを返却する。具体的には、請求金額が400円である際に、利用者が500円を硬貨投入ユニット20に投入すると、硬貨返却ユニット40からは100円分の硬貨がお釣りとして返却される。
【0028】
また、硬貨返却ユニット40は、硬貨返却ボタン30が利用者により押下されることで、当該利用者が硬貨投入ユニット20に投入した硬貨が返却される。具体的には、利用者が300円を硬貨投入ユニット20に投入した後、更に硬貨返却ボタン30を押下すると、硬貨返却ユニット40からは300円分の硬貨が返却される。
【0029】
以上、本実施形態に係る媒体処理装置1が有する機能構成の一例を説明したが、本実施形態に係る媒体処理装置1が有する機能構成は係る例に限定されない。例えば、本実施形態に係る媒体処理装置1は、紙幣およびカード類等の各種媒体を投入する構成を有していてもよいし、紙幣およびカード類等の各種媒体を返却する構成を有していてもよいし、領収書等の証明書が排出される構成を有していてもよい。
【0030】
本実施形態に係る媒体処理装置1は、硬貨返却ユニット40に創意工夫がなされる。ここで、
図2~
図4を参照し、比較例による硬貨返却ユニット45(
図2)の構成と、当該比較例による硬貨返却ユニット45(
図2)の課題について順次説明する。
【0031】
<<2.比較例による硬貨返却ユニット45の構成>>
図2は、比較例による硬貨返却ユニット45の機能構成の一例を説明する説明図である。比較例による硬貨返却ユニット45は、硬貨排出部500と、硬貨返却皿600と、を有する。
【0032】
(硬貨排出部500)
硬貨排出部500は、
図2に示すように、硬貨が排出される開口部を有する。硬貨排出部500の開口部から排出された硬貨は、硬貨返却皿600に受け取られる。
【0033】
(硬貨返却皿600)
硬貨返却皿600は、硬貨排出部500から排出された硬貨を滞留させることで、利用者が返却された硬貨を受け取り易い皿状の構造を有する。ここで、
図3を参照し、比較例による硬貨排出部500の内部構造の一例を説明する。
【0034】
図3は、比較例による硬貨排出部500の内部構造の一例を説明するための説明図である。
図3に示すように、比較例による硬貨排出部500は、第1の投入部511と、第2の投入部513と、を有する。
【0035】
例えば、
図1に示した硬貨返却ボタン30が押下されることで、硬貨投入ユニット20に投入された硬貨の払出処理が動作する。この際に、払出処理の対象である硬貨は、第1の投入部511のルートを介して硬貨排出部500の内部に投入されてもよい。そして、硬貨排出部500の内部に投入された硬貨は傾斜部520を落下し、硬貨排出部500の開口部側にある硬貨返却皿600に排出されてもよい。
【0036】
また、媒体処理装置1による精算料金の決済完了後に、お釣りの払出処理が動作する。この際にも、払出処理の対象である硬貨は、第1の投入部511のルートを介して硬貨排出部500の内部に投入されてもよい。そして、硬貨排出部500の内部に投入された硬貨は傾斜部520に沿って落下し、硬貨排出部500の開口部側にある硬貨返却皿600に排出されてもよい。なお、第1の投入部511に入る硬貨は、例えば媒体処理装置1内の搬送路(リフター等)を経由して搬送され得る。
【0037】
また、硬貨投入ユニット20の内部には、物体(ほこり又は水滴など)を排出するための排出機構が設けられている場合がある。硬貨投入ユニット20に投入された硬貨のうち、硬貨投入ユニット20の内部に設けられた排出機構に入った硬貨は、第2の投入部513のルートを介して硬貨排出部500の内部に投入されてもよい。そして、硬貨排出部500の内部に投入された硬貨は傾斜部520に沿って落下し、硬貨排出部500の外部にある硬貨返却皿600に排出されてもよい。
【0038】
また、精算料金が300円であるのに対し、4枚の100円硬貨が硬貨投入ユニット20に投入された場合、余剰硬貨(即ち、精算料金を超えた硬貨である1枚の100円硬貨)は、第2の投入部513のルートを介して硬貨排出部500の内部に投入されてもよい。そして、硬貨排出部500の内部に投入された余剰硬貨は傾斜部520に沿って落下し、硬貨排出部500の外部にある硬貨返却皿600に排出されてもよい。
【0039】
なお、硬貨排出部500は、必ずしも第1の投入部511と、第2の投入部513の両方を有している必要はない。例えば、硬貨排出部500は、上述したような各種硬貨が硬貨排出部500の内部に投入されるための投入部を一つ有していてもよい。
【0040】
図4は、比較例による硬貨返却ユニット40の課題を説明するための説明図である。
図3に示した傾斜部520に沿って落下し、硬貨排出部500の外部に排出された硬貨C1は、
図4に示すように、硬貨返却皿600によって受け取られる。
【0041】
しかしながら、硬貨排出部500の傾斜部520により落下する硬貨は、硬貨排出部500の外部に排出された時の勢いが異なり得る。そのため、
図4に示す硬貨C2のように、硬貨C2の排出時の勢いによっては、硬貨返却皿600から硬貨C2が飛び出してしまう恐れがあった。その結果、利用者は、硬貨返却皿600から飛び出した硬貨C2を拾う必要が生じ、硬貨C2の回収に係る利用者の手間が生じ得た。
【0042】
ここで、硬貨C2が硬貨返却皿600から飛び出すことを防止する方法の一例として、硬貨排出部500の開口部を小さくする対策案が想定され得る。しかし、当該対策案では、一度に多くの硬貨が返却される場合に、硬貨排出部500の開口部で硬貨が詰り生じる可能性があるという課題が生じ得る。
【0043】
また、硬貨C2が硬貨返却皿600から飛び出すことを防止する方法の他の例として、硬貨返却皿600を大きくする対策案が想定され得る。しかし、硬貨返却皿600のサイズ変更に伴い、媒体処理装置1または硬貨返却ユニット40を大きくする必要が生じ、媒体処理装置1に構造上の制限が掛かる課題が生じ得る。
【0044】
そこで、本実施形態に係る硬貨返却ユニット40は、上述したような課題を発生させずに硬貨が硬貨返却皿700(
図5)から飛び出してしまうことを防止する特徴を有する。続いて、
図5および
図6を参照し、本実施形態に係る硬貨返却ユニット40の機能構成について説明する。
【0045】
<<本実施形態に係る硬貨返却ユニット40の構成>>
図5は、本実施形態に係る硬貨返却ユニット40の機能構成の一例を説明するための説明図である。本実施形態に係る硬貨返却ユニット40は、
図5に示すように、硬貨排出部400と、硬貨返却皿700と、を有する。ここで、本実施形態に係る硬貨返却皿700は、上述した比較例による硬貨返却皿600と実質的に同一の構成であるため、以下での詳細な説明は省略する。
【0046】
(硬貨排出部400)
本実施形態に係る硬貨排出部400は、
図5に示すように、硬貨が排出される開口部を有する。更に、本実施形態に係る硬貨排出部500は、
図5に示すような、硬貨の落下速度を減速させる複数のボールチェーン430を有する。ボールチェーン430は、複数の球状のパーツを繋げたチェーンであり、減速部の一例である。
【0047】
本実施形態に係る硬貨排出部400によれば、硬貨排出部400の傾斜部420(
図6)を落下する硬貨は、ボールチェーン430と接触することで減速した後に、硬貨返却皿700に排出される。硬貨返却皿700は、排出時の勢い(即ち、排出時の速度)が小さくなった硬貨を受け取るため、硬貨返却皿700から硬貨が飛び出してしまうことを防止することが可能になり得る。
【0048】
ここで、複数のボールチェーン430の先端および硬貨排出部400の傾斜部420の表面(以下では、傾斜面と表現する場合がある。)の間の鉛直方向の距離D1は、硬貨の厚さ未満であることが望ましい。ここで、媒体処理装置1が複数の金種の硬貨を取り扱う場合、複数のボールチェーン430の先端および硬貨排出部400の傾斜面の間の鉛直方向の距離D1は、当該複数の金種の硬貨の中で最も薄い硬貨(例えば、1円など)の厚さ未満であることが望ましい。これにより、いずれの金種の硬貨であっても、排出時にボールチェーン430に接触するため、金種の違いによらず、硬貨返却皿700から硬貨が飛び出してしまうことを防止することが可能になり得る。
【0049】
図6は、本実施形態に係る硬貨排出部400の内部構造の一例を説明するための説明図である。本実施形態に係る第1の投入部411および第2の投入部413は、投入部の一例であり、上述した比較例による第1の投入部511および第2の投入部513と実質的に同一の構成であるため、以下での詳細な説明は省略する。
【0050】
本実施形態に係る複数のボールチェーン430は、例えば
図6に示すように、硬貨排出部400の開口部に近接する位置に取り付けられてもよい。
【0051】
例えば、本実施形態に係る硬貨排出部400は、
図6に示すように、傾斜部420の先端側(即ち、開口部側)の上方に櫛歯構造440を有していてもよい。そして、櫛歯構造440の溝に対し、複数のボールチェーン430の2つの球状のパーツの間が挟まるように取り付けられてもよい。
【0052】
なお、硬貨がボールチェーン430に接触した際に、当該ボールチェーン430は、硬貨の落下方向側に押し出されて硬貨排出部400の櫛歯構造440から分離され得る。そのため、複数のボールチェーン430と、硬貨排出部400の櫛歯構造440と、は接着されてもよい。例えば、櫛歯構造440の溝に対して複数のボールチェーン430の2つの球状のパーツの間が挟まるように取り付けられた後、当該複数のボールチェーン430の上側から、当該複数のボールチェーン430と、櫛歯構造440を覆うようにテープが貼り付けられてもよいし、複数のボールチェーン430と、硬貨排出部400の櫛歯構造440が接着材により接着されてもよい。
【0053】
また、複数のボールチェーン430の各チェーンの間隔D2は、硬貨の直径未満であることが望ましい。ここで、媒体処理装置1が複数の金種の硬貨を取り扱う場合、複数のボールチェーン430の各チェーンの間隔D2は、当該複数の金種の硬貨の中で最も直径が小さい硬貨(例えば、1円など)の直径未満であることが望ましい。これにより、いずれの金種の硬貨であっても、排出時にボールチェーン430に接触するため、金種の違いによらず、硬貨返却皿700から硬貨が飛び出してしまうことを防止することが可能になり得る。
【0054】
また、
図6に示す例では、13個のボールチェーン430が櫛歯構造440に取り付けられているが、櫛歯構造440に取り付けられるボールチェーン430の数量は13個に限定されない。櫛歯構造440に取り付けられるボールチェーン430の数量は、1個であってもよいし、2~12個であってもよいし、14個以上であってもよい。
【0055】
また、
図6では、ボールチェーン430の球状のパーツの数量が7個である例が図示されているが、ボールチェーン430の球状のパーツは7個に限定されない。ボールチェーン430の球状のパーツは1個であってもよいし、2~6個であってもよいし、8個以上であってもよい。
【0056】
また、ボールチェーンの材質は、例えばステンレス鋼であってもよいが係る例に限定されない。例えばボールチェーンの材質は、アルミニウム等の他の金属材であってもよいし、プラスチックや樹脂材などの非金属材であってもよい。
【0057】
また、ボールチェーン430の球状のパーツの大きさ、球状のパーツの間隔、ボールチェーン全体の長さ等は、硬貨排出部400の開口部の大きさ、傾斜部420の傾斜角度、または媒体処理装置1が取り扱う硬貨の金種等の各種条件に応じて適宜設計されてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、ボールチェーン430が減速部である例を主に説明したが、減速部はボールチェーン430に限定されない。例えば、減速部は、通常のチェーン(即ち、球状のパーツがついていないチェーン)であってもよい。
【0059】
また、減速部として傾斜部420の表面に凹凸構造が形成されてもよい。凹凸構造の面を硬貨が滑ることで、当該硬貨は摩擦により減速され得る。また、減速部として、傾斜部420が凸部を有していてもよいし、粘性材などの硬貨を減速させることが可能な材料が傾斜部420上に貼り付けられていてもよい。
【0060】
以上説明した、本実施形態によれば、硬貨排出部400から排出される硬貨がボールチェーン430等の減速部に接触することで、当該硬貨の勢いが抑制される。この結果、硬貨が硬貨返却皿700より飛び出すことが防止され得る。そして、硬貨が硬貨返却皿700より飛び出すことが防止されることで、利用者は、硬貨返却更に700に滞留する硬貨の受取が容易になり得る。
【0061】
<<4.補足>>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0062】
1 媒体処理装置
10 表示部
20 硬貨投入ユニット
30 硬貨返却ボタン
40、45 硬貨返却ユニット
400、500 硬貨排出部
600、700 硬貨返却皿
411、511 第1の投入部
413、513 第2の投入部
420、520 傾斜部
430 ボールチェーン
440 櫛歯構造