(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119526
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の入力制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20240827BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G06F3/03 400A
G06F3/041 520
G06F3/041 600
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026503
(22)【出願日】2023-02-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】東京 旭
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 亮吏
(57)【要約】
【課題】ディスプレイの特性に合わせた感度特性を用いてペン入力を行うこと。
【解決手段】情報処理装置1は、ペン型入力デバイスによる入力が可能なタッチパネルと、タッチパネルの識別情報であるパネル識別情報を取得するパネル情報取得部33と、複数のパネル識別情報と複数のペン入力感度特性とがそれぞれ関連付けられたペン入力情報が格納されている記憶部31と、ペン入力情報に基づいて、パネル情報取得部33によって取得されたパネル識別情報に対応するペン入力感度特性を特定する特性特定部34と、特定されたペン入力感度特性を用いてペン入力の制御を行う入力制御部35とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペン型入力デバイスによる入力が可能なタッチパネルと、
前記タッチパネルの識別情報であるパネル識別情報を取得するパネル情報取得部と、
複数のパネル識別情報と複数のペン入力感度特性とがそれぞれ関連付けられたペン入力情報に基づいて、前記パネル情報取得部によって取得された前記パネル識別情報に対応するペン入力感度特性を特定する特性特定部と、
特定された前記ペン入力感度特性を用いてペン入力の制御を行う入力制御部と、
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
前記ペン入力情報は、複数のタッチパネルの識別情報と、複数のペン型入力デバイスの識別情報と、複数のペン入力感度特性とがそれぞれ関連付けられた情報であり、
前記ペン型入力デバイスの識別情報を取得するペン情報取得部を備え、
前記特性特定部は、前記パネル情報取得部によって取得されたタッチパネルの識別情報と、前記ペン情報取得部によって取得されたペン型入力デバイスの識別情報とに対応するペン入力感度特性を前記ペン入力情報に基づいて特定する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ペン型入力デバイスの識別情報を取得するペン情報取得部と、
複数のペン型入力デバイスの識別情報と補正パラメータとが関連付けられた補正情報から、前記ペン情報取得部によって取得された前記ペン型入力デバイスの識別情報に対応する補正パラメータを特定する補正パラメータ特定部と、
特定された前記補正パラメータを用いて、前記特性特定部によって特定された前記ペン入力感度特性を補正する特性補正部と
を備え、
前記入力制御部は、補正後の前記ペン入力感度特性を用いて前記ペン入力の制御を行う請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
ペン型入力デバイスによる入力が可能なタッチパネルを備えた情報処理装置の入力制御方法であって、
前記タッチパネルの識別情報であるパネル識別情報を取得するパネル情報取得工程と、
複数のパネル識別情報と複数のペン入力感度特性とがそれぞれ関連付けられたペン入力情報に基づいて、前記パネル情報取得工程において取得した前記パネル識別情報に対応するペン入力感度特性を特定する特性特定工程と、
特定された前記ペン入力感度特性を用いてペン入力の制御を行う入力制御工程と、
を有する情報処理装置の入力制御方法。
【請求項5】
コンピュータを請求項1から3のいずれかに記載の情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理装置の入力制御方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ペン入力可能なタッチパネルを有するノートPC、タブレット端末、スマートフォン等の情報処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
一般的に、ペン入力が可能なタッチパネルは、例えば、
図12に示すように、液晶層の上面にガラス層が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、タッチパネルの薄型化及び軽量化を目的として、液晶層の上面に配置されたガラス層を取り払ったタッチパネルや、ガラス層に代えて薄いフィルムを貼付したタッチパネルが提案されている。
このようなタッチパネルに対して直接ペン入力を行うと、ガラス層ほどの強度がないために液晶がつぶれてしまい、ペン先回りが白点として見えてしまうおそれがあった。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ディスプレイの特性に合わせた感度特性を用いてペン入力を行うことのできる情報処理装置、情報処理装置の入力制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第一態様は、ペン型入力デバイスによる入力が可能なタッチパネルと、前記タッチパネルの識別情報であるパネル識別情報を取得するパネル情報取得部と、複数のパネル識別情報と複数のペン入力感度特性とがそれぞれ関連付けられたペン入力情報に基づいて、前記パネル情報取得部によって取得された前記パネル識別情報に対応するペン入力感度特性を特定する特性特定部と、特定された前記ペン入力感度特性を用いてペン入力の制御を行う入力制御部と、を具備する情報処理装置である。
【0007】
本開示の第二態様は、ペン型入力デバイスによる入力が可能なタッチパネルを備えた情報処理装置の入力制御方法であって、前記タッチパネルの識別情報であるパネル識別情報を取得するパネル情報取得工程と、複数のパネル識別情報と複数のペン入力感度特性とがそれぞれ関連付けられたペン入力情報に基づいて、前記パネル情報取得工程において取得した前記パネル識別情報に対応するペン入力感度特性を特定する特性特定工程と、特定された前記ペン入力感度特性を用いてペン入力の制御を行う入力制御工程と、を有する情報処理装置の入力制御方法である。
【0008】
本開示の第三態様は、コンピュータを上記情報処理装置として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
ディスプレイの特性に合わせた感度特性を用いてペン入力を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る情報処理装置の概略外観図である。
【
図2】本開示の第1実施形態に係る情報処理装置のハードウェアの一構成例を示す概略図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に係る情報処理装置が備える各種機能のうち、入力制御機能の一例を示した機能構成図である。
【
図4】本開示の第1実施形態に係るペン入力情報の一例を示した図である。
【
図5】本開示の第1実施形態に係るペン入力感度特性の一例を示した図である。
【
図6】本開示の第1実施形態に係る入力制御方法の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図7】本開示の第1実施形態に係るペンセッティング画面の一画面例を示した図である。
【
図8】本開示の第1実施形態に係る情報処理装置において、ペンセッティング画面で感度調整がユーザによって行われた場合のペン入力感度特性の調整について説明するための図である。
【
図9】本開示の第2実施形態に係る情報処理装置が備える各種機能のうち、入力制御機能の一例を示した機能構成図である。
【
図10】本開示の第2実施形態に係るペン入力情報の一例を示した図である。
【
図11】本開示の第3実施形態に係る情報処理装置が備える各種機能のうち、入力制御機能の一例を示した機能構成図である。
【
図12】液晶層の上面にガラス層が配置されたタッチパネルの縦断面を概略的に示した図である。
【
図13】液晶層の上面に配置されたガラス層を取り払ったタッチパネルの縦断面を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔第1実施形態〕
以下、本開示の第1実施形態に係る情報処理装置、情報処理装置の入力制御方法、及びプログラムについて、図面を参照して説明する。本実施形態では、情報処理装置1として、ノート型PC(以下「ノートPC」という。)を例示した場合について説明するが、この例に限定されない。例えば、情報処理装置1は、タブレット端末、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistance)等であってもよく、ペン型の入力デバイスに対応している情報処理装置に広く適用することが可能である。
【0012】
図1は、本開示の第1実施形態に係る情報処理装置1の概略外観図である。
図1に示すように、情報処理装置1は、いずれも略直方体である本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3を備える。本体側筐体2は、入力部4を備える。入力部4は、使用者が入力操作を行うための使用者インターフェースであり、例えば、キーボード、タッチパッド等を備えている。
【0013】
ディスプレイ側筐体3は、タッチパネル5を備える。タッチパネル5は、入力される表示データをビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号に応じた各種情報を表示画面に表示すると共にペン型入力デバイス10を用いて行われる各種操作を検出する。ペン型入力デバイス10の一例として、スタイラスペン(タッチペン)が挙げられる。
【0014】
本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3は、それぞれの端部近傍で一対の連結部6によって連結されている。連結部6は、ヒンジであり、本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3を開閉可能に支持している。
【0015】
図2は、本実施形態に係る情報処理装置1のハードウェアの一構成例を示す概略図である。情報処理装置1は、
図2に示すように、例えば、入力部4、タッチパネル5、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)11、主記憶装置(Main Memory)12、二次記憶装置(Secondary storage:メモリ)13、グラフィクスアダプタ16、タッチコントローラ17、外部インターフェース18、通信インターフェース19等を備えている。これら各部は直接的にまたはバスを介して間接的に相互に接続されており互いに連携して各種処理を実行する。
【0016】
CPU11は、例えば、バスを介して接続された二次記憶装置13に格納されたOS(Operating System)により情報処理装置1全体の制御を行うとともに、二次記憶装置13に格納された各種プログラムを実行することにより各種処理を実行する。CPU11は、1つ又は複数設けられており、互いに協働して処理を実現してもよい。
【0017】
主記憶装置12は、例えば、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPU11の実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
【0018】
二次記憶装置13は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)である。二次記憶装置13は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどである。二次記憶装置13の一例として、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)フラッシュメモリなどが挙げられる。二次記憶装置13は、例えば、Windows(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)等の情報処理装置1全体の制御を行うためのOS、BIOS(Basic Input/Output System)、周辺機器類をハードウェア操作するための各種デバイスドライバ、各種アプリケーションソフトウェア、及び各種データやファイル等を格納する。また、二次記憶装置13には、各種処理を実現するためのプログラムや、各種処理を実現するために必要とされる各種データが格納されている。二次記憶装置13は、複数設けられていてもよく、各二次記憶装置13に上述したようなプログラムやデータが分割されて格納されていてもよい。
【0019】
タッチパネル5は、ディスプレイ14及びタッチセンサ15を備えている。
ディスプレイ14は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等であり、CPU11の制御に従って、グラフィクスアダプタ16からのビデオ信号を画像として表示する。
【0020】
グラフィクスアダプタ16は、CPU11の制御に従って、表示情報をビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号をディスプレイ14に出力する。
【0021】
タッチセンサ15は、ペン等による入力の押圧力(圧力)を検出し、タッチコントローラ17に出力する。また、タッチセンサ15は、ディスプレイ14へのユーザのペン型入力デバイス10の接触位置を検出して、タッチコントローラ17に出力する。なお、ペン型入力デバイス10を用いて入力を行う場合には、ペン側で押圧力(圧力)を検出し、検出した押圧力を通信媒体を介して情報処理装置1が取得するような構成とされていてもよい。
本実施形態に係るタッチセンサ15は、一例として、ペン型入力デバイス10による接触位置を電磁誘導方式により検出するが、他の方式によって検出するものであってもよい。また、タッチセンサ15は、ペン型入力デバイス10だけでなく、指による入力を検出可能な構成とされていてもよい。
【0022】
タッチコントローラ17は、例えば、タッチICなどから構成され、タッチセンサ15から出力された接触位置に基づいて入力座標を検知し、CPU11に出力する。また、タッチコントローラ17は、CPU11からの指令に基づいてタッチセンサ15の感度制御等を行う。
【0023】
外部インターフェース18は、外部機器と接続するためのインターフェースである。外部機器の一例として、外部モニタ、USBメモリ、外付けHDD、外付けカメラ等が挙げられる。なお、
図1に示した例では、外部インターフェースは、1つしか図示されていないが、複数の外部インターフェースを備えていてもよい。
【0024】
通信インターフェース19は、ネットワークに接続して他の装置と通信を行い、情報の送受信を行うためのインターフェースとして機能する。例えば、通信インターフェース19は、有線又は無線により他の装置と通信を行う。無線通信として、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、移動通信システム(3G、4G、5G、6G、LTE等)、無線LANなどの回線を通じた通信が挙げられる。有線通信の一例として、有線LAN(Local Area Network)などの回線を通じた通信が挙げられる。
【0025】
図3は、本実施形態に係る情報処理装置1が備える機能のうち、入力制御機能の一例を示した機能構成図である。後述する各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラム(例えば、入力制御プログラム)の形式で二次記憶装置13に記憶されており、このプログラムをCPU11が主記憶装置12に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、二次記憶装置13に予めインストールされている形態や、他のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0026】
情報処理装置1は、タッチパネル5の構造(特性)に応じたペン入力感度特性を用いて入力制御を行う機能を有している。
図3に示すように、情報処理装置1は、例えば、記憶部31、パネル情報記憶部32、パネル情報取得部33、特性特定部34、入力制御部35等を備えている。
【0027】
記憶部31には、例えば、
図4に例示するように、複数のタッチパネルの識別情報(以下「パネル識別情報」という。)と複数のペン入力感度特性とがそれぞれ関連付けられたペン入力情報が格納されている。
パネル識別情報とは、タッチパネルの製品毎に一意に与えられる識別番号である。パネル識別情報の一例として、タッチICのプロダクトID(以下、「タッチPID」という。)が挙げられる。タッチPIDは、タッチパネル5の製品固有の番号であり、例えば、サプライヤ、タッチパネルの構造(液晶パネル+ガラス層、液晶パネル+薄いフィルム、液晶パネルのみ等)等に応じて異なる番号が付与されている。タッチPIDによって、タッチパネル5の強度を判別することが可能となる。
【0028】
ペン入力感度特性は、例えば、ペンの押圧力に対する出力値の関係を定義した情報である。本実施形態において、記憶部31には、複数の異なるペン入力感度特性、例えば、第1ペン入力感度特性A、第2ペン入力感度特性B、第3ペン入力感度特性C、第4ペン入力感度特性Dが格納されている。
図5には、複数の入力感度特性の一例が示されている。
図5に例示したペン入力感度特性において、横軸は、例えば、押圧値、縦軸は、例えば、出力値とされている。第1ペン入力感度特性Aが最も感度が高く、第2ペン入力感度特性B、第3ペン入力感度特性C、第4ペン入力感度特性Dの順に、感度が低下する特性とされている。
図5に例示したペン入力感度特性は、一例であり、この例に限定されない。例えば、ペン入力感度特性は、一次関数でもよく、他の関数(例えば、指数関数、対数関数等)で表されていてもよい。また、登録されるペン入力感度特性の数も一例であり、これに限られない。
【0029】
また、これらのペン入力感度特性は、必ずしも記憶部31(
図3参照)に常時格納されている必要はない。例えば、ネットワークを通じて接続される所定の格納場所、例えば、クラウドサーバや所定のサーバに格納されており、タッチパネル5に応じたペン入力感度特性をダウンロードして取得することとしてもよい。
【0030】
パネル情報記憶部32には、当該情報処理装置1に搭載されているタッチパネル5のパネル識別情報が格納されている。本実施形態において、パネル情報記憶部32には、タッチパネル5のタッチPIDが格納されている。
パネル情報取得部33は、パネル情報記憶部32に格納されているパネル識別情報、具体的には、タッチPIDを取得する。
【0031】
特性特定部34は、記憶部31に格納されたペン入力情報に基づいて、パネル情報取得部33によって取得されたパネル識別情報に対応するペン入力感度特性を特定する。
入力制御部35は、特定されたペン入力感度特性を用いてペン入力の感度制御を行う。すなわち、入力制御部35は、特定されたペン入力感度特性を用いて、押圧力(押圧値)に応じた出力値を決定する。ここで、押圧力は、例えば、タッチセンサ15によって検出される値である。出力値が大きいほど、太い線がディスプレイ14に描画される。
【0032】
例えば、液晶層がガラス面で覆われておらず、液晶層に直接的にペン入力するようなタッチパネルの場合(例えば、
図13参照)、又は、液晶層の上面に薄いフィルムが貼付されたタッチパネル等のように、タッチパネル5におけるペン接触面の強度がそれほど高くない場合、大きな押圧力をかけると液晶が損傷する可能性がある。このため、入力感度を高くし、小さな押圧力でも通常の描画が行えるような感度設定とする。これにより、タッチパネル5の構造(特性)に応じた適切な感度特性を用いてペン入力制御を行うことが可能となる。
【0033】
次に、本実施形態に係る入力制御方法について、
図6を参照して説明する。
図6は、本実施形態に係る入力制御方法の手順の一例を示したフローチャートである。以下に説明する処理は、例えば、CPU11が二次記憶装置13に格納されているプログラム(入力制御プログラム)を主記憶装置12に読み出して実行することにより実現される。また、以下に示す処理は、例えば、ユーザによってペン型入力デバイス10による入力が初めて行われるときに実行される。
【0034】
ユーザが使用するペン型入力デバイス10とタッチパネル5との距離が近付き通信可能な状態となると、情報処理装置1は、パネル情報記憶部32からタッチPIDを取得する(SA1)。続いて、情報処理装置1は、記憶部31に格納されているペン入力情報を参照して当該タッチパネル5のタッチPIDに対応するペン入力感度特性を特定する(SA2)。そして、特定したペン入力感度特性を用いて入力制御、すなわち、ペンの感度制御を行う(SA3)。
【0035】
なお、ペン入力感度特性が一度特定された後は、タッチパネル5が修理などによって他の構造を有するタッチパネルと付け替えられない限り、そのペン入力感度特性は維持される。したがって、例えば、特性特定部34によって特定されたペン入力感度特性を二次記憶装置13の所定の記憶領域に格納しておき、次回以降におけるペン入力の際には、その所定の記憶領域からペン入力感度特性を読み出して、入力制御を行うこととしてもよい。
また、上記手法に代えて、
図6に示した処理をペン入力が行われる度に行うこととしてもよい。
【0036】
以上説明してきたように、本実施形態に係る情報処理装置1によれば、タッチパネル5のパネル識別情報に応じたペン入力感度特性を用いてペン入力の感度制御を行う。これにより、タッチパネル5の特性、換言すると、タッチパネル5におけるペン接触面の強度に応じてペン入力感度特性を異ならせることができる。これにより、タッチパネル5の特性に応じた適切な筆圧コントロールを行うことが可能となる。
【0037】
例えば、
図12に示すように、液晶層の上面にガラス層が配置されたタッチパネルが搭載されている場合には、例えば、第3ペン入力感度特性Cを用い、液晶層の上面に薄いフィルムが配置されたタッチパネルが搭載されている場合には、第1ペン入力感度特性Aを用いて、入力制御(ぺン入力の感度制御)を行う。このように、液晶層の上面に薄いフィルムが配置されたタッチパネルのペン入力感度をガラス面が配置されているタッチパネルに比べて高めることにより、ペンとの接触面の強度が弱いタッチパネルほど、小さい筆圧によって文字や線を描くことが可能となる。
【0038】
また、本実施形態において、情報処理装置1は、ペン型入力デバイス10の感度調整をユーザがカスタマイズ可能に構成されていてもよい。例えば、
図7に、ユーザがペンセッティングを行うためのペンセッティング画面の一例を示す。このペンセッティング画面において、ユーザはペン感度調整部40に示されているスライドバーを左右に移動させることにより、感度を調整することができる。このペン感度調整部40において感度調整が行われた場合、入力制御部35は、
図8に示すように、ペンセッティング画面における感度調整に応じて、特性特定部34によって特定されたペン入力感度特性を平行移動させることで、感度を行う。
図8において、符号Clowは、感度を低くする方向に調整された場合の第3ペン入力感度特性Cの一例を、符号Chighは、感度を高くする方向に調整された場合の第3ペン入力感度特性Cの一例を示している。
【0039】
〔第2実施形態〕
次に、本開示の第2実施形態に係る情報処理装置、情報処理装置の入力制御方法、及びプログラムについて説明する。
以下、本実施形態に係る情報処理装置1aについて、上述した第1実施形態に係る情報処理装置1と共通の構成については同じ符号を付して説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0040】
図9は、本実施形態に係る情報処理装置1aが備える各種機能のうち、入力制御機能の一例を示した機能構成図である。
図9に示すように、本実施形態に係る情報処理装置1aは、記憶部31a、パネル情報記憶部32、パネル情報取得部33、ペン情報取得部37、特性特定部34a、及び入力制御部35等を備えている。
【0041】
本実施形態において、ペン情報取得部37は、ペン型入力デバイス10の識別情報を取得する。例えば、ペン情報取得部37は、ペン型入力デバイス10との相互通信により、ペン型入力デバイス10に内蔵されている記憶部(例えば、ROM)からペン型入力デバイス10の識別情報であるデバイスIDを取得する。ペン型入力デバイス10のデバイスIDを取得することで、ペン先の構造(例えば、先端のとがり具合等の形状、材質等)を判別することができる。
【0042】
記憶部31aには、例えば、
図10に示すように、複数のパネル識別情報と、複数のペン型入力デバイス10の識別情報(ペン識別情報)と、複数のペン入力感度特性とがそれぞれ関連付けられたペン入力情報が格納されている。例えば、ペン型入力デバイス10の先端が鋭いほど、液晶層を傷つける可能性は高くなる。したがって、ペン型入力デバイス10の構造(特性)を考慮することで、ペン入力の感度制御をより適切に行うことが期待できる。ここで、第2実施形態に使用するペン入力感度特性は、第1実施形態で使用されるペン入力感度特性とは異なる特性とされていてもよい。ペン入力感度特性については、タッチパネル5の特性とペン型入力デバイス10の特性に応じて事前に適切な特性を設定しておけばよい。
【0043】
特性特定部34aは、ペン入力情報からパネル情報取得部33によって取得されたパネル識別情報と、ペン情報取得部37によって取得されたペン型入力デバイス10の識別情報(例えば、デバイスID)とに対応するペン入力感度特性を特定する。これにより、特性特定部34aによって特定されたペン入力感度特性を用いてペン入力の感度制御が行われることとなる。
【0044】
このように、本実施形態に係る情報処理装置1によれば、ペン型入力デバイス10の識別情報も考慮してペン入力感度特性を特定するので、ペンの特性を考慮したペン入力感度特性を用いてペン入力の感度制御を行うことができる。
【0045】
〔第3実施形態〕
次に、本開示の第3実施形態に係る情報処理装置、情報処理装置の入力制御方法、及びプログラムについて説明する。
以下、本実施形態に係る情報処理装置1bについて、上述した第1実施形態及び第2実施形態に係る情報処理装置1、1aと共通の構成については同じ符号を付して説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0046】
図11は、本実施形態に係る情報処理装置1bが備える各種機能のうち、入力制御機能の一例を示した機能構成図である。
図11に示すように、本実施形態に係る情報処理装置1bは、記憶部31b、パネル情報記憶部32、パネル情報取得部33、ペン情報取得部37、特性特定部34、補正パラメータ特定部38、特性補正部39、及び入力制御部35等を備えている。
【0047】
本実施形態において、記憶部31bには、上記第1実施形態において説明したペン入力情報(
図4参照)と、補正情報とが格納されている。補正情報は、複数のペン型入力デバイス10の識別情報(例えば、デバイスID)と複数の補正パラメータとがそれぞれ関連付けられた情報である。ここで、補正パラメータとは、ペン入力感度特性を補正するための情報である。
【0048】
補正パラメータ特定部38は、ペン情報取得部37によって取得されたペン型入力デバイスの識別情報に対応する補正パラメータを補正情報から特定する。
特性補正部39は、特性特定部34によって特定されたペン入力感度特性、すなわち、パネル識別情報に対応するペン入力感度特性を、補正パラメータ特定部38によって特定された補正パラメータを用いて補正する。これにより、タッチパネル5の特性及びペン型入力デバイス10の特性に応じたペン入力感度特性を得ることができる。入力制御部35は、補正後のペン入力感度特性を用いてペン入力の感度制御を行う。
【0049】
このように、本実施形態に係る情報処理装置1によれば、パネル識別情報に応じて設定されているペン入力感度特性をペン型入力デバイス10の特性に応じた補正パラメータによって補正することで、ペン入力の感度制御に用いるペン入力感度特性を得る。これにより、第2実施形態に比べて、記憶部31bに格納するペン入力感度特性の数を減らすことが可能となる。
【0050】
以上、本開示について実施形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。開示の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0051】
例えば、上述した各実施形態では、タッチICのプロダクトID(タッチPID)をタッチパネル5の識別情報として用いることとしたが、これに限られない。例えば、タッチパネル5の識別情報として、他のデバイスのプロダクトID、例えば、情報処理装置1のプロダクトID、又はシステムモデル(PCの型番)等を使用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 :情報処理装置
1a :情報処理装置
1b :情報処理装置
2 :本体側筐体
3 :ディスプレイ側筐体
4 :入力部
5 :タッチパネル
6 :連結部
10 :ペン型入力デバイス
11 :CPU
12 :主記憶装置
13 :二次記憶装置
14 :ディスプレイ
15 :タッチセンサ
16 :グラフィクスアダプタ
17 :タッチコントローラ
18 :外部インターフェース
19 :通信インターフェース
31 :記憶部
31a :記憶部
31b :記憶部
32 :パネル情報記憶部
33 :パネル情報取得部
34 :特性特定部
34a :特性特定部
35 :入力制御部
37 :ペン情報取得部
38 :補正パラメータ特定部
39 :特性補正部
40 :ペン感度調整部