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特開2024-119535会計装置、取引処理装置及び情報処理プログラム
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  • 特開-会計装置、取引処理装置及び情報処理プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119535
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】会計装置、取引処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20240827BHJP
   G07G 1/01 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G07G1/12 361E
G07G1/01 301E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026515
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 祐司
【テーマコード(参考)】
3E142
【Fターム(参考)】
3E142AA01
3E142AA03
3E142EA03
3E142EA06
3E142FA31
3E142FA32
3E142GA07
3E142HA03
(57)【要約】
【課題】値引きの実施状況を具体的に事後把握することを可能とする。
【解決手段】実施形態の会計装置は、選出手段、決定手段、決済手段及び出力手段を備える。選出手段は、取引の内容に合致する適用条件が定められている値引項目を、複数の値引項目のうちから選出する。決定手段は、選出手段により選出された値引項目に関する値引額に関する値引額を決定する。決済手段は、決定手段により値引額が決定された場合には、当該の決定された値引額の総額の値引を含んで取引に関して決まる決済額を決済する。出力手段は、選出手段により選出された値引項目に関連付けて、当該値引項目に関して決定手段により決定された値引額を表した値引データを、決済手段による決済の完了後に出力する。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
決済の対象となる取引の内容に合致する適用条件が定められている値引項目を、それぞれに異なる適用条件が定められている複数の値引項目のうちから選出する選出手段と、
前記選出手段により1つ又は複数の値引項目が選出された場合に、選出された1つの値引項目に関する値引額、あるいは選出された複数の値引項目それぞれに関する値引額を決定する決定手段と、
前記決定手段により1つ又は複数の値引額が決定された場合には、当該の決定された値引額の総額の値引を含んで前記取引に関して決まる決済額を決済する決済手段と、
前記選出手段により1つの値引項目が選出された場合には、当該の選出された1つの値引項目に関連付けて、当該値引項目に関して前記決定手段により決定された値引額を表した値引データを、また前記選出手段により複数の値引項目が選出された場合には、当該の選出された複数の引項目のそれぞれに関連付けて、当該の関連付ける値引項目に関して前記決定手段により決定された値引額を表した値引データを、前記決済手段による決済の完了後に出力する出力手段と、
を具備した会計装置。
【請求項2】
前記選出手段は、前記適用条件とは別の条件と前記適用条件との組み合わせよりなる条件がそれぞれ予め定められている複数の値引企画のうちから適用する値引企画を選出することにより、当該値引企画が属する値引項目を選出する、
請求項1に記載の会計装置。
【請求項3】
前記出力手段は、値引データを予め定められたサーバ装置にアップロードする、
請求項1に記載の会計装置。
【請求項4】
決済の対象となる取引の内容を登録する登録手段と、
前記登録手段により登録された取引の内容に合致する適用条件が定められている値引項目を、それぞれに異なる適用条件が定められている複数の値引項目のうちから選出する選出手段と、
前記選出手段により1つ又は複数の値引項目が選出された場合に、選出された1つの値引項目に関する値引額、あるいは選出された複数の値引項目それぞれに関する値引額を決定する決定手段と、
前記決定手段により1つ又は複数の値引額が決定された場合には、当該の決定された値引額の総額の値引を含んで前記取引に関して決まる決済額を決済する決済手段と、
前記選出手段により1つの値引項目が選出された場合には、当該の選出された1つの値引項目に関連付けて、当該値引項目に関して前記決定手段により決定された値引額を表した値引データを、また前記選出手段により複数の値引項目が選出された場合には、当該の選出された複数の引項目のそれぞれに関連付けて、当該の関連付ける値引項目に関して前記決定手段により決定された値引額を表した値引データを、前記決済手段による決済の完了後に出力する出力手段と、
を具備する取引処理装置。
【請求項5】
会計装置に備えられたコンピュータを、
決済の対象となる取引の内容に合致する適用条件が定められている値引項目を、それぞれに異なる適用条件が定められている複数の値引項目のうちから選出する選出手段と、
前記選出手段により1つ又は複数の値引項目が選出された場合に、選出された1つの値引項目に関する値引額、あるいは選出された複数の値引項目それぞれに関する値引額を決定する決定手段と、
前記決定手段により1つ又は複数の値引額が決定された場合には、当該の決定された値引額の総額の値引を含んで前記取引に関して決まる決済額を決済する決済手段と、
前記選出手段により1つの値引項目が選出された場合には、当該の選出された1つの値引項目に関連付けて、当該値引項目に関して前記決定手段により決定された値引額を表した値引データを、また前記選出手段により複数の値引項目が選出された場合には、当該の選出された複数の引項目のそれぞれに関連付けて、当該の関連付ける値引項目に関して前記決定手段により決定された値引額を表した値引データを、前記決済手段による決済の完了後に出力する出力手段と、
して機能させるための情報処理プログラム。
【請求項6】
取引処理装置に備えられたコンピュータを、
決済の対象となる取引の内容を登録する登録手段と、
前記登録手段により登録された取引の内容に合致する適用条件が定められている値引項目を、それぞれに異なる適用条件が定められている複数の値引項目のうちから選出する選出手段と、
前記選出手段により1つ又は複数の値引項目が選出された場合に、選出された1つの値引項目に関する値引額、あるいは選出された複数の値引項目それぞれに関する値引額を決定する決定手段と、
前記決定手段により1つ又は複数の値引額が決定された場合には、当該の決定された値引額の総額の値引を含んで前記取引に関して決まる決済額を決済する決済手段と、
前記選出手段により1つの値引項目が選出された場合には、当該の選出された1つの値引項目に関連付けて、当該値引項目に関して前記決定手段により決定された値引額を表した値引データを、また前記選出手段により複数の値引項目が選出された場合には、当該の選出された複数の引項目のそれぞれに関連付けて、当該の関連付ける値引項目に関して前記決定手段により決定された値引額を表した値引データを、前記決済手段による決済の完了後に出力する出力手段と、
して機能させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、会計装置、取引処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばチェーン店において、全店共通の値引販売を行っている商品について、ある店舗において独自に、追加の値引を行う場合がある。具体的には、1000円が正規の単価である商品を、全店共通の特売として200円引きの800円で販売している際に、ある店舗で見切り値引としてさらに100円引きして700円で販売されるようなことがある。
このように複数項目の値引が重複して適用される場合に従来は、正規の単価と実際の販売価格との差額として値引額を管理していた。
このため、事後の販売管理において、値引きの実施状況を具体的に把握することが困難であった。
このような事情から、値引きの実施状況を具体的に事後把握することができることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2021-114393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、値引きの実施状況を具体的に事後把握することを可能とする会計装置、取引処理装置及び情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の会計装置は、選出手段、決定手段、決済手段及び出力手段を備える。選出手段は、決済の対象となる取引の内容に合致する適用条件が定められている値引項目を、それぞれに異なる適用条件が定められている複数の値引項目のうちから選出する。決定手段は、選出手段により1つ又は複数の値引項目が選出された場合に、選出された1つの値引項目に関する値引額、あるいは選出された複数の値引項目それぞれに関する値引額を決定する。決済手段は、決定手段により1つ又は複数の値引額が決定された場合には、当該の決定された値引額の総額の値引を含んで取引に関して決まる決済額を決済する。出力手段は、選出手段により1つの値引項目が選出された場合には、当該の選出された1つの値引項目に関連付けて、当該値引項目に関して決定手段により決定された値引額を表した値引データを、また選出手段により複数の値引項目が選出された場合には、当該の選出された複数の値引項目のそれぞれに関連付けて、当該の関連付ける値引項目に関して決定手段により決定された値引額を表した値引データを、決済手段による決済の完了後に出力する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態に係るPOSシステムの概略構成と、POS端末装置の要部回路構成とを表すブロック図。
図2図1中の値引項目データベースに含まれるデータレコードの1つの構造を模式的に表す図。
図3図1中の値引企画テーブルに含まれるデータレコードの1つの構造を模式的に表す図。
図4図1中の取引データの構造を模式的に表す図。
図5図1中の値引管理データの構造を模式的に表す図。
図6】取引処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態の一例について図面を用いて説明する。
図1は本実施形態に係るPOSシステム1の概略構成と、POS端末装置100の要部回路構成とを表すブロック図である。
POSシステム1は、POS端末装置100、店舗サーバ200及び本部サーバ300を、通信ネットワーク2を介して通信可能として構成されている。なお、POS端末装置100及び店舗サーバ200は、通常は複数がPOSシステム1に含まれるが、図1では1つずつのみを表している。
通信ネットワーク2としては、典型的にはLAN(local area network)が用いられる。しかしながら通信ネットワーク2としては、LANの他に、インターネット、VPN(virtual private network)、公衆通信網、移動体通信網などを、単独又は適宜に組み合わせて用いることができる。
【0008】
POS端末装置100は、店舗における客に対する商品の販売のための処理を行う。つまりPOS端末装置100は、店舗運営者と客との間での商品販売のための取引に関する処理を行う取引処理装置の一例である。より具体的には、POS端末装置100は、取引の内容を登録する登録装置としての機能と、登録した内容の取引についての会計を行う会計装置としての機能とを備える。
POS端末装置100は、いわゆる対面式であり、主に店員がその操作者となる。POS端末装置100は、店員用のワークスペースに面する状態で店内等に設置される。客は、通常は、ワークスペースとは別に定められた待機スペースで待機する。
【0009】
店舗サーバ200は、POS端末装置100が利用される店舗に設置され、当該店舗で利用される複数のPOS端末装置100でそれぞれ生成される後述する値引履歴データを収集して管理する。
本部サーバ300は、複数の店舗を統括する本部に設置され、複数の店舗のそれぞれに設置されている店舗サーバ200から値引履歴データを収集して管理する。
【0010】
POS端末装置100は、プロセッサ101、メイン記憶ユニット102、補助記憶ユニット103、店員側タッチパネル104、キーボード105、固定スキャナ106、ハンディスキャナ107、クレジットカードリーダ108、近接通信ユニット109、カードリーダ/ライタ110、レシートプリンタ111、釣銭ユニット112、客側タッチパネル113、通信ユニット114及び伝送路115を含む。そしてプロセッサ101、メイン記憶ユニット102、補助記憶ユニット103、店員側タッチパネル104、キーボード105、固定スキャナ106、ハンディスキャナ107、クレジットカードリーダ108、近接通信ユニット109、カードリーダ/ライタ110、レシートプリンタ111、釣銭ユニット112、客側タッチパネル113及び通信ユニット114は、伝送路115に接続されている。
【0011】
プロセッサ101、メイン記憶ユニット102及び補助記憶ユニット103が伝送路115で接続されて、POS端末装置100の制御に関する情報処理を実行するためのコンピュータが構成される。
プロセッサ101は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ101は、メイン記憶ユニット102及び補助記憶ユニット103に記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェア及びアプリケーションプログラムなどの情報処理プログラムに基づく情報処理を実行することにより、POS端末装置100の各種の機能を実現するべくPOS端末装置100の各部を制御する。
【0012】
メイン記憶ユニット102は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メイン記憶ユニット102は、読み出し専用のメモリ領域と書き換え可能なメモリ領域とを含む。メイン記憶ユニット102は、読み出し専用のメモリ領域では上記の情報処理プログラムの一部を記憶する。またメイン記憶ユニット102は、プロセッサ101が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを読み出し専用のメモリ領域又は書き換え可能なメモリ領域で記憶する場合もある。メイン記憶ユニット102は、書き換え可能なメモリ領域を、プロセッサ101によるワークエリアとして使用する。
【0013】
補助記憶ユニット103は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット103は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disc drive)、SSD(solid state drive)等の周知の記憶デバイスを備える。補助記憶ユニット103は、プロセッサ101が各種の情報処理を行う上で使用するデータや、プロセッサ101での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶ユニット103は、上記の情報処理プログラムを記憶する場合もある。補助記憶ユニット103は、本実施形態においては、取引処理プログラムPRAを記憶する。取引処理プログラムPRAは、取引を処理するための後述する情報処理(以下、取引処理と称する)に関する処理手順を記述したアプリケーションプログラムである。補助記憶ユニット103の記憶領域の一部は、値引項目データベースDBA、値引企画テーブルTAA、取引データDAA、値引管理データDAB及び値引履歴データDACを記憶する領域として利用される。値引項目データベースDBAは、それぞれに異なる適用条件が定められている複数の値引項目のそれぞれを管理するためのデータベースである。取引データDAAは、後述する取引処理の処理対象となっている取引の内容を管理するための作業用データである。値引企画テーブルTAAは、POS端末装置100で処理する取引に際して適用され得る値引企画の内容を管理するための設定テーブルである。値引管理データDABは、後述する取引処理の処理対象となっている取引に適用すべき値引きを管理するための作業用データである。値引履歴データDACは、決済済みの取引のそれぞれに関する売上データの集合である。
【0014】
店員側タッチパネル104は、店員側に向けて設けられている。店員側タッチパネル104は、店員に対する情報提示のための画面を表示する。また店員側タッチパネル104は、店員による画面へのタッチ操作による指示を入力する。
キーボード105は、多数のキーを、店員側からの店員による操作が簡易なように備える。キーボード105は、これらのキーの押下による店員の指示を入力する。
【0015】
固定スキャナ106は、店員側に向けられた読取窓を有する。固定スキャナ106は、読取窓の前に翳された商品を撮像した上で、当該商品に形成されたバーコードが表すバーコード情報を画像処理によって認識する。そして固定スキャナ106は、プロセッサ101へ出力する。なお、固定スキャナ106は、レーザ光の反射を利用して光学的にバーコードを読み取るような他のタイプの周知のデバイスを利用することもできる。また固定スキャナ106は、商品を撮像して得た商品自体の画像からオブジェクト認識技術を利用して商品を特定する機能を備えるタイプの周知のデバイスを利用することもできる。
ハンディスキャナ107は、店員の手に持って用いられ、読み取り口に対向されたバーコードを光学的に読み取る。ハンディスキャナ107は、読み取ったバーコードが表すバーコード情報をプロセッサ101へと出力する。
【0016】
クレジットカードリーダ108は、クレジットカードからカード情報を読み取る。
近接通信ユニット109は、近接された無線タグとの間で近接無線通信を行い、当該無線タグに記憶されたデータを取得する。また近接通信ユニット109は、上記の近接無線通信により、上記の無線タグに任意の情報を書き込む。
【0017】
カードリーダ/ライタ110は、会員カード及びプリペイドカードなどの予め定められたカードに記録されたカードデータを読み取る。またカードリーダ/ライタ110は、会員カードに対して任意のデータを書き込む。
【0018】
レシートプリンタ111は、レシート用紙に対してレシート、領収証又は売上票などの証票の画像を印刷する。レシートプリンタ111は、上記の画像を印刷したレシート用紙をレシート排出口から外部へと排出する。
釣銭ユニット112は、硬貨投入口から投入された硬貨を、その金額を計数しつつ、内部の収納庫に収容する。釣銭ユニット112は、収納庫に収容している硬貨を、硬貨排出口を介して硬貨トレイへと排出する。釣銭ユニット112は、紙幣投入口から投入された紙幣を、その金額を計数しつつ、内部の収納庫に収容する。釣銭ユニット112は、収納庫に収容している紙幣を紙幣排出口から排出する。紙幣排出口は、排出された紙幣を、その一部を外部に露出させた状態で保持する。
【0019】
客側タッチパネル113は、客側に向けて設けられている。客側タッチパネル113は、客に対する情報提示のための画面を表示する。また客側タッチパネル113は、客による画面へのタッチ操作による指示を入力する。
通信ユニット114は、プロセッサ101が通信ネットワーク2を介して、例えば店舗サーバ200などの任意の装置と各種データを授受するための通信処理を行う。通信ユニット114としては、通信ネットワーク2の通信方式に準じた周知のデバイスを用いることができる。
伝送路115は、アドレスバス、データバス及び制御信号線等を含む。伝送路115は、接続されている各部の間で授受されるデータ及び信号を伝送する。
【0020】
POS端末装置100の基本ハードウェアとしては、例えば既存の別のPOS端末装置のハードウェアを用いることができる。このときにPOS端末装置100の譲渡は一般に、取引処理プログラムPRAが補助記憶ユニット103に記憶された状態にて行われる。しかし、取引処理プログラムPRAが補助記憶ユニット103に記憶されない状態のPOS端末装置100のハードウェアと取引処理プログラムPRAとが個別に譲渡されても構わない。そして、補助記憶ユニット103に、任意の作業者の操作に応じて取引処理プログラムPRAが書き込まれても構わない。あるいは、取引処理プログラムPRAと同種の別バージョンの情報処理プログラムが補助記憶ユニット103に記憶された状態のPOS端末装置100のハードウェアと取引処理プログラムPRAとが個別に譲渡されても構わない。そして、補助記憶ユニット103に既に記憶されている情報処理プログラムを置き換える形で、取引処理プログラムPRAが書き込まれても構わない。取引処理プログラムPRAの譲渡は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介した通信により行うことができる。取引処理プログラムPRAは、メイン記憶ユニット102に記憶されても構わない。
【0021】
図2は値引項目データベースDBAに含まれるデータレコードREAの1つの構造を模式的に表す図である。
値引項目データベースDBAは、値引項目のそれぞれに関連付けられたデータレコードREAの集合である。なお値引項目とは、様々に条件が異なる複数の値引を、いくつかに分類する際の分類項目である。値引項目は、例えばPOS端末装置100が使用される店舗の運営ポリシーなどを考慮して適宜に定められて構わない。
【0022】
データレコードREAは、フィールドFAA,FAB,FACを含む。フィールドFAAは、関連付けられた値引項目の識別子として定められた値引項目コードがセットされる。フィールドFABには、関連付けられた値引項目に対して定められた名称がセットされる。フィールドFACには、関連付けられた値引項目での値引の適用条件がセットされる。適用条件は、例えば、「対象商品を取引商品に含む」「対象商品分類に属する商品を取引商品に含む」「値引宣言の操作が行われた」「値引バーコードがスキャンされた」「規定の組み合わせで対象商品が取引商品に含まれる」「緊急での売価変更」「見切り販売」などのように定められる。
【0023】
図3は値引企画テーブルTAAに含まれるデータレコードREBの1つの構造を模式的に表す図である。
値引企画テーブルTAAは、POS端末装置100で処理する取引に際して適用され得る値引企画のそれぞれに関連付けたデータレコードREBの集合である。値引企画テーブルTAAは、値引企画の開始に伴って、その値引企画に関連付けたデータレコードREBが追加され、値引企画の終了に伴って、その値引企画に関連付けたデータレコードREBが削除されるなど、適宜に更新される。そしてデータレコードREBの内容は、値引企画を設定する権限者などによって適宜に定められて構わない。
【0024】
データレコードREBは、フィールドFBA,FBB,FBC,FBD,FBE,FIFを含む。フィールドFBAには、関連付けられた値引企画の識別子としての企画コードがセットされる。フィールドFBBには、関連付けられた値引企画で適用される値引項目に関する値引項目コードがセットされる。フィールドFBCには、関連付けられた値引企画の適用条件の成立判断における対象商品の識別子としての商品コードがセットされる。フィールドFBDには、関連付けられた値引企画での値引を適用する商品の商品コードがセットされる。フィールドFBEには、関連付けられた値引企画での値引情報がセットされる。値引情報は例えば、値引額、割引率及び値引後の売価のいずれかを表す。フィールドFBFには、関連付けられた値引企画の適用に関する追加の条件が必要に応じてセットされる。
【0025】
例えば、「商品コード“M001”の商品を取引商品として含む場合に、当該商品を50円引き」のような値引企画に関連付けたデータレコードREBのフィールドFBB,FBC,FBD,FBEには、「対象商品を取引商品に含む」なる適用条件が設定されている値引項目の値引項目コードを“I001”とするならば、“I001”、“M001”、“M001”、“-50円”がそれぞれセットされる。また例えば、「商品コード“M001”の商品と商品コード“M002”の商品とを取引商品として含む場合に、商品コード“M002”の商品を30%引き」のような値引企画に関連付けたデータレコードREBのフィールドFBB,FBC,FBD,FBEには、「対象商品のまとめ買い」なる適用条件が設定されている値引項目の値引項目コードを“I002”とするならば、“I002”、“M001,M002”、“M002”、“-30%”がそれぞれセットされる。また例えば、「17時以降、商品コード“M001”の商品を300円で見切り販売」のような値引企画に関連付けたデータレコードREBのフィールドFBB,FBC,FBD,FBEには、「見切り販売」なる適用条件が設定されている値引項目の値引項目コードを“I003”とするならば、“I003”、“M001”、“M001”、“30円”がそれぞれセットされ、フィールドFBFには“17:00~”がセットされる。
【0026】
図4は取引データDAAの構造を模式的に表す図である。
取引データDAAは、フィールドFCA,FCBを含む。取引データDAAは、フィールドFCC以降に任意の数のフィールドを含み得る。フィールドFDAには、該当の取引の識別子としての取引コードがセットされる。フィールドFDBには、該当の取引の対象となる商品(以下、取引商品と称する)として登録済みの商品に関する商品データがセットされる。登録済みの取引商品が2つ以上である場合には、フィールドFCC以降の各フィールドにも商品データがセットされる。商品データは、フィールドFDA,FDB,FDCを含む。フィールドFDAには、該当の商品に関する商品コードがセットされる。フィールドFDBには、該当の商品の商品名がセットされる。フィールドFDCには、該当の商品の正規単価がセットされる。正規単価とは、値引無しでの販売に適用するものとして予め定められた単価である。
取引データDAAは、後述する取引処理により適宜に生成され、更新される。
【0027】
図5は値引管理データDABの構造を模式的に表す図である。
値引管理データDABは、値引の適用対象となる取引商品に関連付けられる。処理中の取引に値引の適用対象となる取引商品が複数存在する場合には、それら複数の取引商品にそれぞれ関連付けられた複数の値引管理データDABが補助記憶ユニット103に記憶される。
【0028】
値引管理データDABは、フィールドFEA,FEB,FECを含む。値引管理データDABは、フィールドFED以降に任意の数のフィールドを含む場合もある。フィールドFEAには、関連付けられた商品の商品コードがセットされる。フィールドFEBには、関連付けられた商品の正規単価がセットされる。フィールドFECには、関連付けられた取引商品に適用される値引企画に関する値引データがセットされる。フィールドFED以降の各フィールドには、関連付けられた取引商品に複数の値引企画が適用される場合に、2つ目以降の各値引企画に関する値引データがセットされる。
【0029】
値引データは、フィールドFFA,FFB,FFCを含む。フィールドFFAには、関連付けられた値引企画の企画コードがセットされる。フィールドFFBには、関連付けられた値引企画が属する値引項目の値引項目コードがセットされる。フィールドFFCには、関連付けられた値引企画に関して適用するべき値引額がセットされる。
【0030】
次に以上のように構成されたPOSシステム1の動作について説明する。なお、以下に説明する処理の内容は、特徴的な動作に関する処理の説明を中心とし、既存の同種のPOS端末装置で行われている一部の処理の説明は省略する。また以下に説明する処理に関しても一例であって、一部の処理の順序の変更、一部の処理の省略などは適宜に可能である。
POS端末装置100が、取引処理のための動作状態で起動されると、プロセッサ101は取引処理プログラムPRAに基づく取引処理を開始する。
図6は取引処理のフローチャートである。
【0031】
ACT1としてプロセッサ101は、取引商品として登録する商品の指定がなされたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT2へと進む。
ACT2としてプロセッサ101は、予め定められたアップロードタイミングとなったか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT1へと戻る。
かくしてプロセッサ101はACT1及びACT2としては、商品指定がなされるか、アップロードタイミングとなるのを待ち受ける。
【0032】
店員は、客が購入しようとする商品の1つを取引商品として登録するよう指示するための予め定められた操作を行う。ここで店員が行う操作は例えば、商品に表示されているバーコードを、固定スキャナ106又はハンディスキャナ107などを用いてスキャンさせるための操作である。ここで店員が行う操作は例えば、商品コードを直接入力するための店員側タッチパネル104又はキーボード105の操作であっても構わないし、商品を示すあらかじめ設定された商品のプリセットキーを押下するような店員側タッチパネル104又はキーボード105の操作であっても構わない。つまり、ここで店員が行う操作は例えば、既存のPOS端末装置で行われているのと同様な操作であって構わない。この操作に応じてプロセッサ101は、ACT1にてYESと判定し、ACT3へと進む。
【0033】
ACT3としてプロセッサ101は、取引データを生成する。つまりプロセッサ101は、他の取引を識別するための取引コードとは異なる新たな取引コードを予め定められたルールに従って決定し、この取引コードをフィールドFCAにセットするとともに、上記の操作に基づいて特定される商品に関する商品データをフィールドFCBにセットした取引データDAAを生成し、補助記憶ユニット103に記憶させる。なおプロセッサ101は、フィールドFCBにセットする商品データのフィールドFDA,FDB,FDCには、該当の商品の商品コード、商品名及び正規単価をセットする。なおプロセッサ101は例えば、補助記憶ユニット103に記憶される図示しない商品マスタデータベースから商品名及び正規単価を取得する。あるいはプロセッサ101は、店舗サーバ200から商品名及び正規単価を取得するのでも構わない。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは登録手段として機能する。
【0034】
ACT4としてプロセッサ101は、上記のように取引商品を新たに登録したことにより、適用となる値引企画(以下、適用企画と称する)が有るか否かを確認する。つまりプロセッサ101は例えば、値引企画テーブルTAAに含まれるデータレコードREBのそれぞれを対象として、そのデータレコードREBで管理される値引企画が、現状の取引データDAAの内容に照らして適用の対象となるかどうかを次のように確認する。プロセッサ101は、対象とするデータレコードREBのフィールドFBBにセットされている値引項目コードがフィールドFAAにセットされているデータレコードREAを値引項目データベースDBAからみつけ出す。プロセッサ101は、みつけ出したデータレコードREAのフィールドFACにセットされている適用条件と、対象としているデータレコードREBのフィールドFBC,FBFにセットされている対象商品及び追加条件と、により定まる値引企画の条件が成立するかどうかを確認する。具体的には、みつけ出したデータレコードREAのフィールドFACにセットされている適用条件と、対象としているデータレコードREBのフィールドFBC,FBFにセットされている対象商品及び追加条件と、により定まる値引企画の条件が「商品コード“M001”の商品を取引商品として含む場合に、当該商品を50円引き」であるならば、今回登録した取引商品の商品コードが“M001”である場合に、条件が成立することとなる。そしてプロセッサ101は、このように値引企画の条件が成立するならば、適用企画が存在するとしてYESと判定し、ACT5へと進む。
【0035】
ACT5としてプロセッサ101は、値引管理データを生成する。つまりプロセッサ101は例えば、条件が成立すると判定した値引企画を、処理対象となっている取引に関する適用企画として管理できるように値引管理データを生成する。プロセッサ101は例えば、ここで生成する値引管理データDABのフィールドFEA,FEBには、ACT3にて商品データのフィールドFDA,FDCにセットした商品コード及び正規単価をセットする。プロセッサ101は例えば、ここで生成する値引管理データDABのフィールドFECには、条件が成立すると判断した際に着目しているデータレコードREBのフィールドFBA,FBBにセットされている企画コード及び値引項目コードと、同データレコードREBのフィールドFBEにセットされている値引情報に基づいて定まる値引額と、をフィールドFFA,FFB,FFCにそれぞれセットした値引データをセットする。
なおプロセッサ101は、値引情報が割引率を表すならば、フィールドFDCにセットした正規単価に該当の割引率を適用して求まる金額を値引額とする。またプロセッサ101は,値引情報が値引後売価を表すならば、フィールドFDCにセットした正規単価から値引後単価を差し引いて求まる金額を値引額とする。
【0036】
なお、商品コード“M001”の商品を取引商品として登録したときにおいて、例えば「商品コード“M001”の商品を取引商品として含む場合に、当該商品を50円引き」なる値引企画と、「17時以降、商品コード“M001”の商品を300円で見切り販売」なる値引企画と、がいずれも存在するような場合においては、これらの値引企画のいずれも条件が成立する場合がある。そしてこのような場合にプロセッサ101はACT5としては、それら条件が成立する複数の値引企画のそれぞれに関する値引データを値引管理データに含める。
【0037】
ACT6としてプロセッサ101は、取引商品の変更が指示されたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT7へと進む。
ACT7としてプロセッサ101は、会計が指示されたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT6へと戻る。
かくしてプロセッサ101は、ACT6及びACT7としては、変更指示又は会計指示を待ち受ける。
【0038】
こののち店員は、客が購入しようとする商品の全てを取引商品とするべく、取引商品の変更を指示するための予め定められた操作を順次に行う。なお取引商品の変更とは、取引商品の追加、すなわち新たな商品の登録、削除及び点数変更などである。ここで店員が行う操作は、例えば既存のPOS端末装置で行われている操作と同様であって構わない。この変更指示を受けるとプロセッサ101は、ACT6にてYESと判定し、ACT8へと進む。
【0039】
ACT8としてプロセッサ101は、上記の変更指示に応じて取引データを更新する。つまりプロセッサ101は例えば、取引商品に追加する商品を指定する操作が追加指示として行われたならば、取引データDAAの末尾のフィールドの後ろにフィールドを追加し、指定された商品に関する商品データをセットする。ここでの処理は、例えば既存のPOS端末装置で行われている処理と同様であって構わない。
【0040】
なお、本実施形態においては、既に取引商品として登録済みの商品が新たに追加指定された場合には、当該の追加指示に応じた商品データをセットした新たなフィールドを追加することとする。つまり、取引データDAAには、内容が同じ商品データがそれぞれセットされているフィールドが複数存在する場合もある。ただし、商品データに点数をセットするフィールドを追加し、このフィールドにセットされている点数を更新することにより、取引データDAAに、内容が同じ商品データがそれぞれセットされているフィールドを複数存在させないようにしても構わない。
【0041】
ACT9としてプロセッサ101は、既に適用対象とされている値引企画のうちに、上記のように更新後の取引データDAAが表す内容の取引に関しては不適用とすべき値引企画(以下、失効企画と称する)が有るか否かを確認する。プロセッサ101は例えば、値引管理データDABのフィールドFEC以降の各フィールドにセットされている値引データのそれぞれを対象として、当該値引データのフィールドFFAにセットされている企画コードで識別される値引企画を適用する条件が成立しているか否かをACT5と同様にして確認する。そしてプロセッサ101は、条件が成立しなくなっている値引企画があればそれを失効企画とする。そしてプロセッサ101は、このように失効企画をみつけたならば、ACT9にてYESと判定し、ACT10へと進む。
【0042】
ACT10としてプロセッサ101は、失効企画に関する値引データがセットされているフィールドを削除するべく値引管理データDABを更新する。そしてプロセッサ101はこののち、ACT11へと進む。なおプロセッサ101は、失効企画がみつからなかったならばACT9にてNOと判定し、ACT10をパスしてACT11へと進む。
【0043】
ACT11としてプロセッサ101は、既に適用対象とされている値引企画とは別に、上記のように更新後の取引データDAAが表す内容の取引に関して適用とすべき値引企画(以下、追加企画と称する)が有るか否かを確認する。つまりプロセッサ101は例えば、ACT4と同様にして適用すべき値引企画をみつけ、かつ当該みつけた値引企画に、値引管理データDABにセットされている値引データが関連付けられた適用企画とは別の値引企画が含まれるならばYESと判定し、ACT12へと進む。
【0044】
ACT12としてプロセッサ101は、値引管理データDABを更新する。つまりプロセッサ101は、ACT5にて適用企画に関して値引データを生成したのと同様にして追加企画に関する値引データを生成する。そしてプロセッサ101は、追加企画の対象となる商品の商品コードがフィールドFEAにセットされている値引管理データDABが補助記憶ユニット103に記憶されているならば、当該の値引管理データDABの末尾のフィールドの後に、上記の生成した値引データをセットした新たなフィールドを追加する。プロセッサ101は、追加企画の対象となる商品の商品コードがフィールドFEAにセットされている値引管理データDABが補助記憶ユニット103に記憶されていないならば、上記の生成した値引データをフィールドFECにセットした新たな値引管理データDABを、既に保存されている値引管理データDABはそのままに、補助記憶ユニット103に追加保存する。かくして、このような場合には、複数の値引管理データDABが補助記憶ユニット103に記憶される状態となる。そしてプロセッサ101はこののち、ACT6及びACT7の待ち受け状態に戻る。なおプロセッサ101は、ACT11にて該当の追加企画がみつからなかったならばNOと判定し、ACT12へと進むことなしにACT6及びACT7の待ち受け状態に戻る。
【0045】
以上のように、プロセッサ101がACT5、ACT10及びACT12にて値引管理データDABの生成及び更新を行うことによって、当該の値引管理データDABは、取引の内容に合致する適用条件が定められている値引項目を選出した結果を表すデータとなる。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは選出手段として機能している。また値引管理データDABに表される値引額は、選出された値引項目に関する値引額であり、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータはこの値引額を決定する決定手段として機能している。
【0046】
店員は、客が購入しようとする商品の全てを取引商品として登録し終えたならば、会計を指示するための予め定められた操作を例えば店員側タッチパネル104又はキーボード105等にて行う。これに応じてプロセッサ101は、ACT7にてYESと判定し、ACT13へと進む。
ACT13としてプロセッサ101は、決済金額を算出する。つまりプロセッサ101は例えば、取引データDAAのフィールドFCB以降の各フィールドにセットされている商品データのそれぞれのフィールドFDCにセットされた正規単価の総和として値引前の商品代金の金額を算出する。プロセッサ101は、1つの値引管理データDABのフィールドFEC以降にセットされている値引データのそれぞれのフィールドFFCにセットされている値引額の総和として1つの商品の値引額を算出する。プロセッサ101は、値引管理データDABが複数存在するならば、それら複数の値引管理データDABのそれぞれに関して算出された値引額の総和として、処理対象となっている取引に関しての値引額を算出する。そしてプロセッサ101は、値引前の商品代金の金額から取引に関しての値引額を差し引くことにより、決済金額を算出する。
【0047】
ACT14としてプロセッサ101は、決済金額を決済するための決済処理を行う。決済処理は例えば、クレジットカードリーダ108を利用しながらクレジット決済を行うための処理、近接通信ユニット109を利用しながらタッチ決済を行うための処理、カードリーダ/ライタ110を用いながらプリペイド決済を行うための処理、あるいは釣銭ユニット112を利用しながら現金決済を行うための処理などであり、既存の同種のPOS端末装置で行われている処理と同様であって構わない。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは決済手段として機能する。
【0048】
ACT15としてプロセッサ101は、今回の取引に関する売上データを生成し、値引履歴データDACに追加することにより保存する。売上データは、今回の取引の対象となった全ての取引商品を表すとともに、値引が適用した商品に関しては、値引額を値引項目毎に表すデータとする。プロセッサ101は例えば、補助記憶ユニット103に記憶されている全ての値引管理データDABのフィールドFEC以降の各フィールドにセットされている値引データの全てを売上データに含める。ただしプロセッサ101は、値引データのフィールドFFAにセットされた企画コードに関しては売上データに含めなくても構わない。例えばプロセッサ101は、取引データDAAと、値引管理データDABとを含むデータとして売上データを生成するのでも構わない。
【0049】
そしてプロセッサ101はこののち、ACT1及びACT2の待ち受け状態に戻る。なお図示は省略しているが、ACT1及びACT2の待ち受け状態に戻るに当たってプロセッサ101は、補助記憶ユニット103に記憶されている取引データDAA及び全ての
値引管理データDABをクリアし、別の取引に関する処理の開始に備える。
【0050】
アップロードタイミングは、毎正時及び店舗営業終了後として設定されることが想定される。ただしアップロードタイミングは、POSシステム1の管理者などによって適宜に定められて構わない。
プロセッサ101は、アップロードタイミングとなると、ACT2にてYESと判定し、ACT16へと進む。
ACT16としてプロセッサ101は、値引履歴データDACを、店舗サーバ200及び本部サーバ300の少なくともいずれか一方にアップロードする。値引履歴データDACのアップロード先は、POSシステム1の管理者などによって適宜に定められて構わない。また、本部サーバ300への値引履歴データDACのアップロードは、店舗サーバ200を介して行われても構わない。プロセッサ101は、値引履歴データDACの全てをアップロードするのでも構わないし、値引履歴データDACに含まれる売上データのうちで、過去にアップロードしていない売上データのみを抽出してアップロードするのでも構わない。またプロセッサ101は、値引履歴データDACの全てをアップロードし、アップロード完了後に補助記憶ユニット103に記憶される値引履歴データをクリアするのでも構わない。そしてプロセッサ101はこののち、ACT1及びACT2の待ち受け状態に戻る。
以上のアップロードは、サーバ装置の一例である店舗サーバ200又は本部サーバ300への値引データの出力の一例である。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは出力手段として機能する。
【0051】
さて、店舗サーバ200及び本部サーバ300の少なくとも一方は、値引履歴データDACがアップロードされると、集計処理を行う。店舗サーバ200及び本部サーバ300は、集計処理においては、少なくとも値引項目毎の値引額を算出する。つまり店舗サーバ200及び本部サーバ300は、値引履歴データDACに値引項目コードのそれぞれに関して、その値引項目コードに関連付けられている全ての値引額の総和を算出する。
【0052】
なお店舗サーバ200及び本部サーバ300は、値引履歴データDACがアップロードされたことに応じて集計処理を開始するのでも構わないし、アップロードされた値引履歴データDACを保存しておき、別途定められた集計タイミングにて集計処理を開始するのでも構わない。店舗サーバ200及び本部サーバ300が集計処理の対象とする期間は、例えばPOSシステム1の管理者などにより適宜に定められてよい。当該期間は、例えば連続する2回のアップロードタイミングの間の期間とするか、あるいは店舗の営業開始から営業終了までの期間とすることなどが想定される。集計処理は、POS端末装置100にてプロセッサ101が行い、集計結果を店舗サーバ200及び本部サーバ300の少なくともいずれか一方にアップロードするのでも構わない。
【0053】
以上のようにPOS端末装置100は、取引に関して適用する値引項目と、その値引項目についての値引額とを表した値引データを、店舗サーバ200及び本部サーバ300などに対して出力する。これにより、このように出力された値引データに基づき、各値引項目の値引がどのように行われているかを、つまり値引きの実施状況を具体的に事後把握することが可能となる。例えば、前述の具体例のように、「商品コード“M001”の商品を取引商品として含む場合に、当該商品を50円引き」なる値引企画と、「17時以降、商品コード“M001”の商品を300円で見切り販売」なる値引企画と、がいずれも同一の取引商品に対して適用される場合には、当該の商品に関する会計上の値引額は350円となるが、これが「対象商品を取引商品に含む」なる値引項目の適用による50円の値引と、「見切り販売」なる値引項目の適用による300円の値引と、であることを事後確認把握することが可能である。
【0054】
ここで、値引項目毎に、その値引項目に属する値引企画の実施に関する権限部署を予め明らかとしておけば、各値引がどの部署により行われたものであるのかを事後把握することも可能となる。
【0055】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
図6中のACT4,ACT5,ACT9~ACT12は省略し、ACT7にてYESと判定した場合にACT13の実行前に、登録済みの取引内容で適用すべき全ての値引企画を選び出して値引管理データを生成するのでも構わない。
【0056】
フルセルフタイプのPOS端末装置として実現することも可能である。
【0057】
登録装置と会計装置とを別体としたセミセルフタイプのPOSシステムにおいても実施が可能である。
【0058】
情報処理によりプロセッサ101が実現する各機能は、その一部又は全てをロジック回路などのようなプログラムに基づかない情報処理を実行するハードウェアにより実現することも可能である。また上記の各機能のそれぞれは、上記のロジック回路などのハードウェアにソフトウェア制御を組み合わせて実現することも可能である。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1…POSシステム、2…通信ネットワーク、100…POS端末装置、101…プロセッサ、102…メイン記憶ユニット、103…補助記憶ユニット、104…店員側タッチパネル、105…キーボード、106…固定スキャナ、107…ハンディスキャナ、108…クレジットカードリーダ、109…近接通信ユニット、110…カードリーダ/ライタ、111…レシートプリンタ、112…釣銭ユニット、113…客側タッチパネル、114…通信ユニット、115…伝送路、200…店舗サーバ、300…本部サーバ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6