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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119536
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】排熱回収制御システム
(51)【国際特許分類】
   F01N 5/02 20060101AFI20240827BHJP
   F02G 5/02 20060101ALI20240827BHJP
   F02G 1/05 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
F01N5/02 G
F02G5/02 A
F02G1/05 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026516
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】木村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】川口 竜生
(57)【要約】
【課題】冷却液とトランスミッションオイルとを独立して加熱することができる排熱回収制御システムを提供する。
【解決手段】内燃機関1と、内燃機関1を冷却する冷却液が流通可能な第1冷却液流路11と、第1冷却液流路11に設けられ、内燃機関1の排ガスから冷却液に熱を回収可能な排熱回収器2と、排熱回収器2が設けられた第1冷却液流路11の下流側において分岐した第2冷却液流路12と、第2冷却液流路12に設けられ、排熱回収器2で熱を回収した冷却液によってトランスミッションオイルを加熱可能なトランスミッションオイルウォーマ3と、第2冷却液流路12における冷却液の流れを制御可能な第1バルブ21とを備える排熱回収制御システムとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、
前記内燃機関を冷却する冷却液が流通可能な第1冷却液流路と、
前記第1冷却液流路に設けられ、前記内燃機関の排ガスから前記冷却液に熱を回収可能な排熱回収器と、
前記排熱回収器が設けられた前記第1冷却液流路の下流側において分岐した第2冷却液流路と、
前記第2冷却液流路に設けられ、前記排熱回収器で熱を回収した前記冷却液によってトランスミッションオイルを加熱可能なトランスミッションオイルウォーマと、
前記第2冷却液流路における前記冷却液の流れを制御可能な第1バルブと
を備える排熱回収制御システム。
【請求項2】
前記第1バルブは、前記第1冷却液流路と前記第2冷却液流路との分岐部に設けられた方向制御バルブ、又は前記第2冷却液流路に設けられた流量調整バルブである、請求項1に記載の排熱回収制御システム。
【請求項3】
前記内燃機関と前記排熱回収器との間の前記第1冷却液流路において分岐した第3冷却液流路と、
前記第3冷却液流路に設けられたラジエータと、
前記第3冷却液流路における前記冷却液の流れを制御可能な第2バルブと
を更に備える、請求項1又は2に記載の排熱回収制御システム。
【請求項4】
前記第2バルブは、前記第1冷却液流路と前記第3冷却液流路との分岐部に設けられた方向制御バルブ、又は前記第3冷却液流路に設けられた流量調整バルブである、請求項3に記載の排熱回収制御システム。
【請求項5】
前記排熱回収器で熱を回収した前記冷却液を、前記トランスミッションオイルウォーマが設けられた前記第2冷却液流路に流通させるトランスミッションオイル加熱モード、又は
前記排熱回収器で熱を回収した前記冷却液を、前記トランスミッションオイルウォーマが設けられた前記第2冷却液流路に流通させないトランスミッションオイル非加熱モード
に前記第1バルブを制御可能な制御部を更に有する、請求項1又は2に記載の排熱回収制御システム。
【請求項6】
前記排熱回収器で熱を回収した前記冷却液を、前記トランスミッションオイルウォーマが設けられた前記第2冷却液流路に流通させるトランスミッションオイル加熱モード、又は
前記排熱回収器で熱を回収した前記冷却液を、前記トランスミッションオイルウォーマが設けられた前記第2冷却液流路に流通させないトランスミッションオイル非加熱モード
に前記第1バルブを制御可能な制御部を更に有する、請求項4に記載の排熱回収制御システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記冷却液を前記ラジエータで冷却する冷却液冷却モード、又は
前記冷却液を前記ラジエータで冷却しない冷却液非冷却モード
に前記第2バルブを更に制御可能である、請求項6に記載の排熱回収制御システム。
【請求項8】
前記制御部は、
前記内燃機関の暖機運転時に、前記冷却液が前記第1冷却液流路のみに流通可能なように前記第1バルブを制御し、
前記第1冷却液流路を流通する前記冷却液が目標温度に到達した後に、前記冷却液が前記第1冷却液流路及び前記第2冷却液流路の両方に流通可能なように前記第1バルブを制御して前記トランスミッションオイルを加熱し、
前記トランスミッションオイルが目標温度に到達した後に、前記冷却液及び前記トランスミッションオイルの温度に基づいて、前記第1バルブ及び前記第2バルブを制御して前記第1冷却液流路、前記第2冷却液流路及び前記第3冷却液流路を流通する前記冷却液の流量を調整する、請求項6に記載の排熱回収制御システム。
【請求項9】
前記冷却液の温度は、前記内燃機関と前記排熱回収器との間の前記第1冷却液流路に配置された温度センサによって測定され、
前記トランスミッションオイルの温度は、前記トランスミッションオイルウォーマとトランスミッションとの間のトランスミッションオイル流路に配置された温度センサによって測定される、請求項8に記載の排熱回収制御システム。
【請求項10】
前記排熱回収器は、前記熱を回収して冷却された前記排ガスを前記内燃機関の吸気系に再循環させるEGRクーラー機能を有する、請求項1又は2に記載の排熱回収制御システム。
【請求項11】
前記排熱回収器が設けられた前記第1冷却液流路の下流側において分岐した第4冷却液流路と、
前記第4冷却液流路に設けられ、前記冷却液を媒体として熱交換可能な被熱供給部と、
前記第4冷却液流路における前記冷却液の流れを制御可能な第3バルブと
を更に備える、請求項1又は2に記載の排熱回収制御システム。
【請求項12】
前記第3バルブは、前記第1冷却液流路と前記第4冷却液流路との分岐部に設けられた方向制御バルブ、又は前記第4冷却液流路に設けられた流量調整バルブである、請求項11に記載の排熱回収制御システム。
【請求項13】
前記冷却液の温度が目標温度以上になってから、前記第4冷却液流路に前記冷却液が流通するように前記第3バルブを制御する、請求項11に記載の排熱回収制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排熱回収制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のエンジンなどの内燃機関の冷却液流路に排熱回収器やオイルウォーマが設けられ、内燃機関の排ガスからの熱を内燃機関の暖機(冷却液やオイルの加熱)などに利用する排熱回収制御システムが知られている。
例えば、特許文献1には、車両に搭載されるエンジンの冷却水流路が、第一循環流路と第二循環流路とに分岐した並列流路に構成され、前記エンジンの冷却水が前記第一循環流路と前記第二循環流路とを共に流れ、前記第一循環流路には、前記冷却水と前記エンジンの排気との間で熱交換を行うことで前記冷却水を加熱する排熱回収器と、前記排熱回収器の前記冷却水下流側に設けられ前記冷却水と熱交換を行うことでオイルを加熱するオイルウォーマとが設けられ、前記第二循環流路は、前記冷却水を冷却するラジエータが介装された冷却流路と該冷却流路をバイパスするバイパス流路とにさらに分岐して設けられた排熱回収システムであって、前記排気の前記排熱回収器への流入状態と前記排熱回収器を通過した直後の前記冷却水の温度とに応じて、前記排気の前記排熱回収器への流入を遮断する第一切替弁と、前記エンジンを通過した前記冷却水の前記第二循環流路での温度が所定の開弁温度よりも低いときに、前記冷却水の前記ラジエータへの流入を遮断する第二切替弁とを備え、前記第一切替弁が、前記排気の前記排熱回収器への流入時、且つ、前記排熱回収器を通過した直後の前記冷却水の温度が前記開弁温度よりも高く、且つ、前記冷却水の許容温度よりも低く設定された第一温度以上である場合に、前記排気の前記排熱回収器への流入を遮断することを特徴とする排熱回収制御システムが提案されている。この排熱回収制御システムは、排熱回収器による排熱回収時間を十分確保することにより、オイルウォーマでのオイル類の加熱時間を十分確保できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5556582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の排熱回収制御システムは、排熱回収器及びオイルウォーマが、分岐した1つの冷却水流路(第一循環流路)に直列して設けられている。この冷却水流路の上流側に設けられた排熱回収器は、エンジンの排気と熱交換することによって冷却水を加熱する。そして、排熱回収器おいて加熱された冷却水は、この冷却水流路の下流側に設けられたオイルウォーマ内を流通するオイルと熱交換することによってオイルを加熱する。したがって、排熱回収器による冷却水の加熱と、オイルウォーマによるオイルの加熱とを同時に行うことしかできない。すなわち、排熱回収器による冷却水の加熱を行う場合、オイルウォーマによるオイルの加熱も必然的に行われる。
他方、自動車などの車両においては、搭載される部品の種類や配置によって、冷却水などの冷却液と、オイル(特に、トランスミッションオイル)とを独立して加熱制御することが必要とされることがある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、冷却液とトランスミッションオイルとを独立して加熱することができる排熱回収制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、排熱回収器及びトランスミッションオイルウォーマを備える排熱回収制御システムについて鋭意研究を行った結果、排熱回収器が設けられた冷却液流路の下流側において分岐した冷却液流路にトランスミッションオイルウォーマを設け、これらの冷却液流路における冷却液の流れをバルブによって制御することにより、上記の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下のように例示される。
【0007】
(1) 内燃機関と、
前記内燃機関を冷却する冷却液が流通可能な第1冷却液流路と、
前記第1冷却液流路に設けられ、前記内燃機関の排ガスから前記冷却液に熱を回収可能な排熱回収器と、
前記排熱回収器が設けられた前記第1冷却液流路の下流側において分岐した第2冷却液流路と、
前記第2冷却液流路に設けられ、前記排熱回収器で熱を回収した前記冷却液によってトランスミッションオイルを加熱可能なトランスミッションオイルウォーマと、
前記第2冷却液流路における前記冷却液の流れを制御可能な第1バルブと
を備える排熱回収制御システム。
【0008】
(2) 前記第1バルブは、前記第1冷却液流路と前記第2冷却液流路との分岐部に設けられた方向制御バルブ、又は前記第2冷却液流路に設けられた流量調整バルブである、(1)に記載の排熱回収制御システム。
【0009】
(3) 前記内燃機関と前記排熱回収器との間の前記第1冷却液流路において分岐した第3冷却液流路と、
前記第3冷却液流路に設けられたラジエータと、
前記第3冷却液流路における前記冷却液の流れを制御可能な第2バルブと
を更に備える、(1)又は(2)に記載の排熱回収制御システム。
【0010】
(4) 前記第2バルブは、前記第1冷却液流路と前記第3冷却液流路との分岐部に設けられた方向制御バルブ、又は前記第3冷却液流路に設けられた流量調整バルブである、(3)に記載の排熱回収制御システム。
【0011】
(5) 前記排熱回収器で熱を回収した前記冷却液を、前記トランスミッションオイルウォーマが設けられた前記第2冷却液流路に流通させるトランスミッションオイル加熱モード、又は
前記排熱回収器で熱を回収した前記冷却液を、前記トランスミッションオイルウォーマが設けられた前記第2冷却液流路に流通させないトランスミッションオイル非加熱モード
に前記第1バルブを制御可能な制御部を更に有する、(1)~(3)のいずれか一つに記載の排熱回収制御システム。
【0012】
(6) 前記排熱回収器で熱を回収した前記冷却液を、前記トランスミッションオイルウォーマが設けられた前記第2冷却液流路に流通させるトランスミッションオイル加熱モード、又は
前記排熱回収器で熱を回収した前記冷却液を、前記トランスミッションオイルウォーマが設けられた前記第2冷却液流路に流通させないトランスミッションオイル非加熱モード
に前記第1バルブを制御可能な制御部を更に有する、(4)に記載の排熱回収制御システム。
【0013】
(7) 前記制御部は、
前記冷却液を前記ラジエータで冷却する冷却液冷却モード、又は
前記冷却液を前記ラジエータで冷却しない冷却液非冷却モード
に前記第2バルブを更に制御可能である、(5)又は(6)に記載の排熱回収制御システム。
【0014】
(8) 前記制御部は、
前記内燃機関の暖機運転時に、前記冷却液が前記第1冷却液流路のみに流通可能なように前記第1バルブを制御し、
前記第1冷却液流路を流通する前記冷却液が目標温度に到達した後に、前記冷却液が前記第1冷却液流路及び前記第2冷却液流路の両方に流通可能なように前記第1バルブを制御して前記トランスミッションオイルを加熱し、
前記トランスミッションオイルが目標温度に到達した後に、前記冷却液及び前記トランスミッションオイルの温度に基づいて、前記第1バルブ及び前記第2バルブを制御して前記第1冷却液流路、前記第2冷却液流路及び前記第3冷却液流路を流通する前記冷却液の流量を調整する、(5)~(7)のいずれか一つに記載の排熱回収制御システム。
【0015】
(9) 前記冷却液の温度は、前記内燃機関と前記排熱回収器との間の前記第1冷却液流路に配置された温度センサによって測定され、
前記トランスミッションオイルの温度は、前記トランスミッションオイルウォーマとトランスミッションとの間のトランスミッションオイル流路に配置された温度センサによって測定される、(8)に記載の排熱回収制御システム。
【0016】
(10) 前記排熱回収器は、前記熱を回収して冷却された前記排ガスを前記内燃機関の吸気系に再循環させるEGRクーラー機能を有する、(1)~(9)のいずれか一つに記載の排熱回収制御システム。
【0017】
(11) 前記排熱回収器が設けられた前記第1冷却液流路の下流側において分岐した第4冷却液流路と、
前記第4冷却液流路に設けられ、前記冷却液を媒体として熱交換可能な被熱供給部と、
前記第4冷却液流路における前記冷却液の流れを制御可能な第3バルブと
を更に備える、(1)~(10)のいずれか一つに記載の排熱回収制御システム。
【0018】
(12) 前記第3バルブは、前記第1冷却液流路と前記第4冷却液流路との分岐部に設けられた方向制御バルブ、又は前記第4冷却液流路に設けられた流量調整バルブである、(11)に記載の排熱回収制御システム。
【0019】
(13) 前記冷却液の温度が目標温度以上になってから、前記第4冷却液流路に前記冷却液が流通するように前記第3バルブを制御する、(11)又は(12)に記載の排熱回収制御システム。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、冷却液とトランスミッションオイルとを独立して加熱することができる排熱回収制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る排熱回収制御システムの全体概略構成図である。
図2】本発明の別の実施形態に係る排熱回収制御システムの全体概略構成図である。
図3】本発明の別の実施形態に係る排熱回収制御システムの全体概略構成図である。
図4】本発明の別の実施形態に係る排熱回収制御システムの全体概略構成図である。
図5】本発明の別の実施形態に係る排熱回収制御システムの全体概略構成図である。
図6A】排熱回収器として用いられる熱交換器のハニカム構造体のセルが延びる方向に平行な模式的な断面図である。
図6B図6Aの熱交換器のa-a’線の模式的な断面図である。
図7】本発明の別の実施形態に係る排熱回収制御システムの全体概略構成図である。
図8】本発明の別の実施形態に係る排熱回収制御システムの全体概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態に係る排熱回収制御システムは、内燃機関と、内燃機関を冷却する冷却液が流通可能な第1冷却液流路と、第1冷却液流路に設けられ、内燃機関の排ガスから冷却液に熱を回収可能な排熱回収器と、排熱回収器が設けられた第1冷却液流路の下流側において分岐した第2冷却液流路と、第2冷却液流路に設けられ、排熱回収器で熱を回収した冷却液によってトランスミッションオイルを加熱可能なトランスミッションオイルウォーマと、第2冷却液流路における冷却液の流れを制御可能な第1バルブとを備える。本発明の実施形態に係る排熱回収制御システムは、このような構成とすることにより、冷却液とトランスミッションオイルとを独立して加熱することができる。例えば、第1冷却液流路のみに冷却液が流通する場合には、冷却液のみを加熱することができる。また、第2冷却液流路に冷却液が流通する場合には、冷却液及びトランスミッションオイルの両方を加熱することができる。
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し変更、改良などが適宜加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0024】
本発明の実施形態に係る排熱回収制御システムは、内燃機関を備える各種車両における排熱回収制御システムとして好適に利用可能である。車両としては、特に限定されないが、自動車及び電車が挙げられる。自動車としては、特に限定されないが、ガソリン車、ディーゼル車、CNG(圧縮天然ガス)やLNG(液化天然ガス)などを用いるガス燃料車、燃料電池自動車、及びプラグインハイブリッド自動車が挙げられる。
本発明の実施形態に係る排熱回収制御システムは、内燃機関の始動時だけでなく、内燃機関を停止してから十分時間が経過し、冷却液やトランスミッションオイルの温度が十分低温になっている状態で内燃機関を再始動する場合や、冬場で気温が特に低い地域において信号待ちや人待ちなどでアイドリング運転をする場合などのように、冷却水の温度が低く、排熱回収によって早期に冷却液やトランスミッションオイルの温度を昇温し、内燃機関の暖機を早期に完了させたい場合に適用することが可能である。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る排熱回収制御システムの全体概略構成図である。
図1に示されるように、本発明の実施形態に係る排熱回収制御システムは、内燃機関1、排熱回収器2、トランスミッションオイルウォーマ3、第1冷却液流路11、第2冷却液流路12及び第1バルブ21を少なくとも備えている。内燃機関1及び排熱回収器2は、第1冷却液流路11に設けられている。また、トランスミッションオイルウォーマ3は、第2冷却液流路12に設けられている。内燃機関1としては、特に限定されないが、一般にエンジンである。
【0026】
第1冷却液流路11は、内燃機関1を冷却する冷却液が流通可能な流路である。第1冷却液流路11にはポンプ31が設けられ、ポンプ31によって冷却液が内燃機関1に送給される。冷却液は、内燃機関1のシリンダブロック及びシリンダヘッド(ともに図示していない)内の流路を通過し、第1冷却液流路11を循環してポンプ31に還流される。ポンプ31は、内燃機関1を駆動源とすることができる。また、ポンプ31は、冷却液が送給される内燃機関1の入口周辺に設けることができる。なお、冷却液としては、特に限定されないが、一般に冷却水である。
【0027】
第1冷却液流路11に設けられる排熱回収器2は、内燃機関1の排ガスから冷却液に熱を回収可能な機器である。排熱回収器2は、内燃機関1の排気管41に接続されており、内燃機関1から排出される排ガスと、排熱回収器2を流通する冷却液との熱交換が可能なように構成されている。排熱回収器2は、内燃機関1の排ガスが排気管41を通って排熱回収器2を通過する際に、第1冷却液流路11を通って排熱回収器2を流通する冷却液との間で熱交換を行い、冷却液によって排熱が回収される。すなわち、排ガスによって冷却液が加熱される。
【0028】
第2冷却液流路12は、排熱回収器2が設けられた第1冷却液流路11の下流側において分岐した流路である。第1冷却液流路11から分岐した第2冷却液流路12は、分岐した位置よりも下流側の位置において第1冷却液流路11と合流する。
【0029】
第2冷却液流路12に設けられるトランスミッションオイルウォーマ3は、排熱回収器2で熱を回収した冷却液によってトランスミッションオイルを加熱可能な機器である。トランスミッションオイルウォーマ3は、トランスミッション32に供給されるトランスミッションオイルが流通可能なトランスミッションオイル流路42に接続されている。そして、トランスミッションオイルウォーマ3は、第2冷却液流路12を流通する加熱された冷却液と、トランスミッションオイル流路42を流通するトランスミッションオイルとの熱交換が可能なように構成されている。トランスミッションオイルウォーマ3は、加熱された冷却液がトランスミッションオイルウォーマ3を流通する際に、トランスミッションオイルウォーマ3を流通するトランスミッションオイルとの間で熱交換を行い、トランスミッションオイルが加熱される。
【0030】
第1バルブ21は、第2冷却液流路12における冷却液の流れを制御可能なバルブである。
第1バルブ21としては、特に限定されないが、図1に示されるような、第1冷却液流路11と第2冷却液流路12との分岐部に設けられた方向制御バルブ21aとすることができる。方向制御バルブ21aは、第1冷却液流路11への冷却液の流れを完全に遮断することにより、第2冷却液流路12のみに冷却液が流れるようにすることができる。逆に、第2冷却液流路12への冷却液の流れを完全に遮断することにより、第1冷却液流路11のみに冷却液が流れるようにすることができる。また、方向制御バルブ21aは、遮断の程度を調整することにより、第1冷却液流路11及び第2冷却液流路12の両方に最適な流量で冷却液が流れるようにしてもよい。
【0031】
また、第1バルブ21は、図2に示されるような、第2冷却液流路12に設けられた流量調整バルブ21bとしてもよい。流量調整バルブ21bは、第2冷却液流路12を流れる冷却液の流量を調整することにより、第1冷却液流路11を流れる冷却液の流量を調整することができる。例えば、第2冷却液流路12を流れる冷却液の流量をゼロとすることにより、第1冷却液流路11のみに冷却液が流れるようにすることができる。また、第2冷却液流路12を流れる冷却液の流量を増大させることにより、第2冷却液流路12に冷却液を流れ易くすることができる。
なお、流量調整バルブ21bは、図2において、トランスミッションオイルウォーマ3の下流側の第2冷却液流路12に設けた例を示しているが、トランスミッションオイルウォーマ3の上流側の第2冷却液流路12に設けることもできる。
【0032】
第1バルブ21は、制御部33によって制御することができる。制御部33としては、特に限定されないが、一般にECU(Engine (electronic) Control Unit)である。ECUは、エンジン制御や排気浄化制御などに関する各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータが記憶されたROM、CPUでの演算結果などが一時的に記憶されるRAM、外部との間で信号を入出力するための入出力ポートを備える。制御部33は、各種センサによる検出結果に基づいて、第1バルブ21などの各種機器を駆動制御することができる。
【0033】
制御部33は、排熱回収器2で熱を回収した冷却液を、トランスミッションオイルウォーマ3が設けられた第2冷却液流路12に流通させるトランスミッションオイル加熱モード、又は排熱回収器2で熱を回収した冷却液を、トランスミッションオイルウォーマ3が設けられた第2冷却液流路12に流通させないトランスミッションオイル非加熱モードに第1バルブ21を制御することができる。このように第1バルブ21を制御することにより、トランスミッションオイルの加熱又は非加熱を適切に制御することができる。
【0034】
本発明の実施形態に係る排熱回収制御システムは、ラジエータ、第3冷却液流路及び第2バルブを更に備えることができる。これらを備えた排熱回収制御システムの全体概略構成図を図3に示す。
図3に示されるように、本発明の実施形態に係る排熱回収制御システムは、内燃機関1と排熱回収器2との間の第1冷却液流路11において分岐した第3冷却液流路13と、第3冷却液流路13に設けられたラジエータ4と、第3冷却液流路13における冷却液の流れを制御可能な第2バルブ22とを更に備える。このような構成とすることにより、冷却液を冷却したい場合には、第3冷却液流路13に冷却液を流通させることにより、ラジエータ4で冷却液を冷却することができる。したがって、第1バルブ21を制御してトランスミッションオイルウォーマ3が設けられた第2冷却液流路12に冷却液を流通させつつ、第2バルブ22を制御してラジエータ4が設けられた第3冷却液流路13に冷却液を流通させることにより、トランスミッションオイルのみを加熱して冷却液を冷却することも可能になる。
【0035】
第3冷却液流路13は、内燃機関1と排熱回収器2との間の第1冷却液流路11において分岐した流路である。第1冷却液流路11から分岐した第3冷却液流路13は、内燃機関1よりも上流側の位置において第1冷却液流路11と合流する。
【0036】
第3冷却液流路13に設けられるラジエータ4は、冷却液によって回収された内燃機関1の熱を放熱して冷却液を冷却する機器であり、放熱器とも称される。ラジエータ4は、内燃機関1の熱を回収した冷却液の温度がそれほど高くないときは、走行風などによって冷却液を冷却できる。また、冷却液の温度が高温になったときは、走行風のみでは十分に冷却できないことがあるため、ラジエータ4の近傍に設けられた冷却ファン(図示していない)を稼働させることにより、ラジエータ4の放熱効果を高めてもよい。
【0037】
第2バルブ22は、第3冷却液流路13における冷却液の流れを制御可能なバルブである。
第2バルブ22としては、特に限定されないが、図3に示されるような、第1冷却液流路11と第3冷却液流路13との分岐部に設けられた方向制御バルブ22aとすることができる。方向制御バルブ22aは、第1冷却液流路11への冷却液の流れを完全に遮断することにより、第3冷却液流路13のみに冷却液が流れるようにすることができる。逆に、第3冷却液流路13への冷却液の流れを完全に遮断することにより、第1冷却液流路11のみに冷却液が流れるようにすることができる。また、方向制御バルブ22aは、遮断の程度を調整することにより、第1冷却液流路11及び第3冷却液流路13の両方に最適な流量で冷却液が流れるようにしてもよい。
【0038】
また、第2バルブ22は、図4に示されるような、第3冷却液流路13に設けられた流量調整バルブ22bとしてもよい。流量調整バルブ22bは、第3冷却液流路13を流れる冷却液の流量を調整することにより、第1冷却液流路11を流れる冷却液の流量を調整することができる。例えば、第3冷却液流路13を流れる冷却液の流量をゼロとすることにより、第1冷却液流路11のみに冷却液が流れるようにすることができる。また、第3冷却液流路13を流れる冷却液の流量を増大させることにより、第3冷却液流路13に冷却液を流れ易くすることができる。
なお、流量調整バルブ22bは、図4において、ラジエータ4の上流側の第3冷却液流路13に設けた例を示しているが、ラジエータ4の下流側の第3冷却液流路13に設けることもできる。
【0039】
第2バルブ22は、制御部33によって制御することができる。
制御部33は、冷却液をラジエータ4で冷却する冷却液冷却モード、又は冷却液をラジエータ4で冷却しない冷却液非冷却モードに第2バルブ22を制御することができる。このように第2バルブ22を制御することにより、冷却液の冷却又は非冷却を適切に制御することができる。
【0040】
制御部33は、内燃機関1の暖機運転時に、冷却液が第1冷却液流路11のみに流通可能なように第1バルブ21を制御することが好ましい。このように制御することにより、内燃機関1の暖機を優先的且つ迅速に行うことができる。
制御部33は、第1冷却液流路11を流通する冷却液が目標温度に到達した後に、冷却液が第1冷却液流路11及び第2冷却液流路12の両方に流通可能なように第1バルブ21を制御してトランスミッションオイルを加熱することが好ましい。このように制御することにより、トランスミッションオイルの暖機を迅速且つ効率的に行うことができる。
ここで、第1冷却液流路11を流通する冷却液の目標温度は、内燃機関1を有する車両の種類に応じて適宜設定すればよく特に限定されない。例えば、第1冷却液流路11を流通する冷却液の目標温度は、内燃機関1の暖機が完了する温度であってもよいし、内燃機関1の暖機が完了する温度よりも少し低い温度であってもよい。第1冷却液流路11を流通する冷却液の目標温度を、内燃機関1の暖機が完了する温度よりも少し低い温度とする場合、車両の種類によっては燃費を向上させることができる。
【0041】
制御部33は、トランスミッションオイルが目標温度に到達した後に、冷却液及びトランスミッションオイルの温度に基づいて、第1バルブ21及び第2バルブ22を制御して第1冷却液流路11、第2冷却液流路12及び第3冷却液流路13を流通する冷却液の流量を調整することが好ましい。このように制御することにより、暖機運転から通常運転にスムーズに移行させることができる。
【0042】
冷却液の温度は、内燃機関1と排熱回収器2との間の第1冷却液流路11に配置された温度センサ51によって測定することができる。また、トランスミッションオイルの温度は、トランスミッションオイルウォーマ3とトランスミッション32との間のトランスミッションオイル流路42に配置された温度センサ52によって測定することができる。これらの位置において冷却液及びトランスミッションオイルの温度を測定することにより、内燃機関1及びトランスミッションオイルの暖機状態を適切に判断することができる。
【0043】
本発明の実施形態に係る排熱回収制御システムは、排熱回収器2が、熱を回収して冷却された排ガスを内燃機関1の吸気系に再循環させるEGRクーラー機能を有していてもよい。このような機能を有する排熱回収器2を備えた排熱回収制御システムの全体概略構成図を図5に示す。
図5に示されるように、排熱回収器2において熱を回収して冷却された排ガスが流れる排気管41は、排熱回収器2よりも下流側の位置で分岐しており、分岐した排気管41が内燃機関1の吸気系に接続されている。このような構成とすることにより、排熱回収器2において熱を回収して冷却された排ガスを内燃機関1の吸気系に再循環させることができる。
【0044】
EGRクーラー機能を有する排熱回収器2としては、特に限定されないが、例えば、以下の特徴:
熱遮断時に排ガスが流通可能な第1流路と、
前記第1流路から分岐し、ハニカム構造体が配置されている第2流路であって、前記ハニカム構造体が、外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、第1端面から第2端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁とを有し、熱交換時に前記排ガスが前記セル内を流通可能な第2流路と、
前記第2流路に隣接して配置され、前記排ガスと熱交換を行う冷却液が流通可能な第3流路と、
前記ハニカム構造体よりも下流側に配置され、前記第1流路内及び前記第2流路内の前記排ガスの流通を制御可能な1つの流路バルブと
を備え、
前記第2流路は、前記ハニカム構造体の第2端面と前記流路バルブとの間に、前記排ガスを内燃機関1の吸気系に還流するEGR管と接続可能な接続口を有する熱交換器を用いることができる。
上記のような特徴を有する熱交換器とすることにより、熱交換時に熱交換部(ハニカム構造体)全体で排ガスを冷却することができるため、排ガスの冷却効果を高めることができる。同様に、熱交換時に熱交換部全体で排ガスから熱回収することができるため、熱回収性能を高めることができる。また、1つの流路バルブによって第1流路内及び第2流路内の排ガスの流通を制御しているため、排ガスの逆流が生じ難い。また、排ガスの逆流を抑制するために流路を狭くする必要もないため、圧力損失の増大を抑制することもできる。
【0045】
ここで、上記の特徴を有する熱交換器の模式的な断面図を図6A及び6Bに示す。図6Aは、ハニカム構造体のセルが延びる方向に平行な断面図であり、図6Bは、図6Aのa-a’線の断面図である。
図6A及び6Bに示されるように、熱交換器100は、第1流路110と、第1流路110から分岐した第2流路120と、第2流路120に隣接して配置された第3流路130と、第1流路110内及び第2流路120内の排ガスの流通を制御可能な1つの流路バルブ140とを備える。第1流路110は、熱遮断時に排ガスが流通可能となっている。第2流路120には、外周壁151と、外周壁151の内側に配設され、第1端面153aから第2端面153bまで延びる複数のセル154を区画形成する隔壁152とを有するハニカム構造体150が配置されており、熱交換時に排ガスがハニカム構造体150のセル154内を流通可能となっている。また、第2流路120は、ハニカム構造体150の第2端面153bと流路バルブ140との間に、排ガスを内燃機関1の吸気系に還流するEGR管160と接続可能な接続口121を有する。第3流路130は、排ガスと熱交換を行う冷却液が流通可能となっている。1つの流路バルブ140は、ハニカム構造体150よりも下流側に配置される。
【0046】
第1流路110は、熱遮断時に第1流体が流通可能な流路である。第1流路110としては、内燃機関1からの排気管41とすることができる。第1流路110は、熱交換時に排ガスが流通可能な第2流路120の主流路(第1流路110と平行な第2流路120の流路)と離れているため、熱遮断時の熱遮断性に優れている。
第2流路120は、第1流路110から分岐した流路であり、熱交換時に排ガスが流通可能な流路である。第2流路120は、排ガスの流路と平行な主流路と、排ガスの流路から分岐した分岐路とを有する。このような構成とすることにより、熱交換時に熱交換性能を高めることができる。第2流路120としては、特に限定されないが、排気管41から分岐した分岐管122とすることができる。分岐管122は、排気管41に設けられた2つの分岐口112に接続される。
【0047】
第3流路130は、第2流路120に隣接して配置され、排ガスと熱交換を行う冷却液が流通可能な流路である。また、特に限定されないが、第3流路130は、ハニカム構造体150の外周壁151の径方向外側に配置することができる。
第3流路130としては、特に限定されないが、第1外筒部材155と、第1外筒部材155の径方向外側に少なくとも一部が間隔をもって配置される第2外筒部材131とによって囲まれる領域を含むことができる。第2外筒部材131は、冷却液を第2外筒部材131と第1外筒部材155との間の領域に供給するための供給管132、及び冷却液を第2外筒部材131と第1外筒部材155との間の領域から排出するための排出管133に接続されていることが好ましい。供給管132及び排出管133は、ハニカム構造体150の軸方向両端部に対応する位置に設けられていることが好ましい。また、供給管132及び排出管133は、同じ方向に向けて延出されていても、異なる方向に向けて延出されていてもよい。
【0048】
また、熱交換器100は、接続口121に接続されたEGR管160を更に有することができ、EGR管160の途中に排ガスの内燃機関1の吸気系への流通を制御可能なEGRバルブ161を設けることができる。EGR管160を設けることにより、熱交換器100をEGRクーラーとして使用することが可能となる。したがって、熱交換器100を車両に用いることでEGRクーラーを別途設けることが不要となるため、車両の軽量化などを図ることができる。また、EGR管160は、ハニカム構造体150と第3流路130との間で熱交換されて冷却された排ガスが流れることで、高温にならないため、周りの部品へ熱害を及ぼすことを抑制することができる。
【0049】
本発明の実施形態に係る排熱回収制御システムは、第4冷却液流路、被熱供給部及び第3バルブを更に備えることができる。これらを備えた排熱回収制御システムの全体概略構成図を図7に示す。
図7に示されるように、本発明の実施形態に係る排熱回収制御システムは、排熱回収器2が設けられた第1冷却液流路11の下流側において分岐した第4冷却液流路14と、第4冷却液流路14に設けられ、冷却液を媒体として熱交換可能な被熱供給部5と、第4冷却液流路14における冷却液の流れを制御可能な第3バルブ23とを更に備える。このような構成とすることにより、排熱回収器2によって回収された熱を被熱供給部5でも有効利用することができる。
【0050】
第4冷却液流路14は、排熱回収器2が設けられた第1冷却液流路11の下流側において分岐した流路である。第4冷却液流路14が分岐する位置は、図7に示されるように、第2冷却液流路12が分岐する位置と同じ位置にすることができる。このような位置で第4冷却液流路14を分岐させることにより、バルブの数を低減することができる。また、第4冷却液流路14が分岐する位置は、第2冷却液流路12が分岐する位置とは異なる位置に設けてもよく、第2冷却液流路12が分岐する位置よりも上流側であっても下流側であってもよい。第1冷却液流路11から分岐した第4冷却液流路14は、下流側の位置において第1冷却液流路11と合流する。
【0051】
第4冷却液流路14に設けられる被熱供給部5としては、特に限定されず、熱供給が必要とされる機関、機構、機器、駆動回路、システムなどが挙げられる。被熱供給部5の例としては、空調システム、バッテリー、変速機、燃料噴射弁、燃料電池などが挙げられる。なお、空調システムは、排熱回収器2によって加熱された冷却液を媒体として車室の暖房などを行う装置である。空調システムの種類は特に限定されず、公知のものを用いることができる。
【0052】
第3バルブ23は、第4冷却液流路14における冷却液の流れを制御可能なバルブである。
第3バルブ23としては、特に限定されないが、図7に示されるような、第1冷却液流路11と第4冷却液流路14との分岐部に設けられた方向制御バルブ23aとすることができる。特に、この分岐部を第2冷却液流路12が分岐する位置と同じ位置にすることにより、方向制御バルブ23a及び方向制御バルブ21aを1つの方向制御バルブにまとめることができる。方向制御バルブ23aは、第1冷却液流路11への冷却液の流れを完全に遮断することにより、第4冷却液流路14のみに冷却液が流れるようにすることができる。逆に、第4冷却液流路14への冷却液の流れを完全に遮断することにより、第1冷却液流路11のみに冷却液が流れるようにすることができる。また、方向制御バルブ23aは、遮断の程度を調整することにより、第1冷却液流路11及び第4冷却液流路14の両方に最適な流量で冷却液が流れるようにしてもよい。なお、分岐部を第2冷却液流路12が分岐する位置と同じ位置にした場合、上記と同様の操作により、第1冷却液流路11、第2冷却液流路12及び第4冷却液流路14における冷却液の流れを制御できる。
【0053】
また、第3バルブ23は、図8に示されるような、第4冷却液流路14に設けられた流量調整バルブ23bとしてもよい。流量調整バルブ23bは、第4冷却液流路14を流れる冷却液の流量を調整することにより、第1冷却液流路11を流れる冷却液の流量を調整することができる。例えば、第4冷却液流路14を流れる冷却液の流量をゼロとすることにより、第1冷却液流路11のみに冷却液が流れるようにすることができる。また、第4冷却液流路14を流れる冷却液の流量を増大させることにより、第4冷却液流路14に冷却液を流れ易くすることができる。
なお、流量調整バルブ23bは、図8において、被熱供給部5の下流側の第4冷却液流路14に設けた例を示しているが、被熱供給部5の上流側の第4冷却液流路14に設けることもできる。
【0054】
第3バルブ23は、制御部33によって制御することができる。
制御部33は、冷却液を被熱供給部5に流通させるモード、又は冷却液を被熱供給部5に流通させないモードに第3バルブ23を制御することができる。このように第3バルブ23を制御することにより、被熱供給部5における冷却液の利用を適切に制御することができる。
【0055】
制御部33は、冷却液の温度が目標温度以上になってから、第4冷却液流路14に冷却液が流通するように第3バルブ23を制御することが好ましい。このように制御することにより、排熱回収器2によって回収された熱を被熱供給部5で効率的に利用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 内燃機関
2 排熱回収器
3 トランスミッションオイルウォーマ
4 ラジエータ
5 被熱供給部
11 第1冷却液流路
12 第2冷却液流路
13 第3冷却液流路
14 第4冷却液流路
21 第1バルブ
21a,22a,23a 方向制御バルブ
21b,22b,23b 流量調整バルブ
22 第2バルブ
23 第3バルブ
31 ポンプ
32 トランスミッション
33 制御部
41 排気管
42 トランスミッションオイル流路
51,52 温度センサ
100 熱交換器
110 第1流路
112 分岐口
120 第2流路
121 接続口
122 分岐管
130 第3流路
131 第2外筒部材
132 供給管
133 排出管
140 流路バルブ
150 ハニカム構造体
151 外周壁
152 隔壁
153a 第1端面
153b 第2端面
154 セル
155 第1外筒部材
160 EGR管
161 EGRバルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8