(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119538
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】商品販売データ処理装置及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
G07G 1/12 20060101AFI20240827BHJP
G07G 1/01 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G07G1/12 321Z
G07G1/12 361E
G07G1/01 301E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026519
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】唐 暁霓
【テーマコード(参考)】
3E142
【Fターム(参考)】
3E142AA01
3E142CA12
3E142DA07
3E142EA02
3E142FA12
3E142FA18
3E142FA22
3E142FA31
3E142GA02
3E142JA01
(57)【要約】
【課題】特定の分類に属する商品を除いた商品の買上金額を容易に確認できるようにする。
【解決手段】商品販売データ処理装置は、入力手段と、設定手段と、第1合計手段と、第2合計手段と、出力手段とを備える。入力手段は、商品の販売に係る情報を入力する。設定手段は、識別対象の商品群を設定する。第1合計手段は、入力手段により販売に係る情報が入力された商品の金額を合計する。第2合計手段は、入力手段により販売に係る情報が入力された商品のうち、識別対象の商品群に属する商品の金額を合計する。出力手段は、第1合計手段により算出された第1合計金額及び第2合計手段により算出された第2合計金額を出力する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の販売に係る情報を入力する入力手段と、
識別対象の商品群を設定する設定手段と、
前記入力手段により前記販売に係る情報が入力された商品の金額を合計する第1合計手段と、
前記入力手段により前記販売に係る情報が入力された商品のうち、前記識別対象の商品群に属する商品の金額を合計する第2合計手段と、
前記第1合計手段により算出された第1合計金額及び前記第2合計手段により算出された第2合計金額を出力する出力手段と、
を具備する商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記出力手段は、表示デバイスの一画面に、前記第1合計金額と前記第2合計金額とが表示されるように出力する、請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記第2合計金額と比較する設定金額を取得する取得手段と、
前記第2合計金額が前記設定金額以上であると報知する報知手段と、
をさらに具備する請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
前記設定手段は、購買者に提供するサービスの種類別に識別対象の商品群を設定し、
前記第2合計手段は、前記サービスの種類別に前記識別対象の商品群に属する商品の金額を合計し、
前記出力手段は、前記第1合計手段により算出された第1合計金額及び前記第2合計手段により前記サービスの種類別に算出された第2合計金額を出力する、請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項5】
複数種類の前記サービスの中から適用されるサービスを特定する特定手段と、
前記特定手段により特定されたサービスに対する設定金額を取得する取得手段と、
前記特定手段により特定されたサービスに対して設定された識別対象の商品群に属する商品の合計金額が前記取得手段により取得した設定金額以上であるとき、前記サービスが有効であることを報知する報知手段と、
をさらに具備する請求項4記載の商品販売データ処理装置。
【請求項6】
商品販売データ処理装置のコンピュータを、
入力手段により販売に係る情報が入力された商品の金額を合計する第1合計手段、
前記入力手段により前記販売に係る情報が入力された商品のうち、識別対象の商品群に属する商品の金額を合計する第2合計手段、及び、
前記第1合計手段により算出された第1合計金額及び前記第2合計手段により算出された第2合計金額を出力する出力手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、商品販売データ処理装置及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品を購入した購買者との会計の際に、例えば商品券、プリペイドカード、新聞等の特定の分類に属する商品を除いた商品の買上金額が設定金額以上になると購買者にサービスを適用したいという要望が小売店からある。このよう要望に応えるためには、会計担当の店員が特定の分類に属する商品を除いた商品の買上金額を容易に確認できる仕組みが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、特定の分類に属する商品を除いた商品の買上金額を容易に確認できる商品販売データ処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態において、商品販売データ処理装置は、入力手段と、設定手段と、第1合計手段と、第2合計手段と、出力手段とを備える。入力手段は、商品の販売に係る情報を入力する。設定手段は、識別対象の商品群を設定する。第1合計手段は、入力手段により販売に係る情報が入力された商品の金額を合計する。第2合計手段は、入力手段により販売に係る情報が入力された商品のうち、識別対象の商品群に属する商品の金額を合計する。出力手段は、第1合計手段により算出された第1合計金額及び第2合計手段により算出された第2合計金額を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、POSシステムの概略構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、商品データレコードのデータ構造を示す模式図である。
【
図3】
図3は、POS端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態において、POS端末が有する部門テーブルのデータ構造を示す模式図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態において、POS端末のメインメモリに形成される主要なメモリ領域を示す模式図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態において、POS端末のプロセッサが有する主要な機能構成を示す模式図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態において、商品コードの入力に応じてプロセッサが実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態において、小計キー信号の入力に応じてプロセッサが実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態において、ディスプレイに表示される登録画面の一例である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態において、ディスプレイに表示される小計画面の一例である。
【
図11】
図11は、第2の実施形態において、POS端末が有する設定金額メモリのデータ構造を示す模式図である。
【
図12】
図12は、第2の実施形態において、POS端末のプロセッサが有する主要な機能構成を示す模式図である。
【
図13】
図13は、第2の実施形態において、小計キー信号の入力に応じてプロセッサが実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。
【
図14】
図14は、第2の実施形態において、ディスプレイに表示される小計画面の一例である。
【
図15】
図15は、第3の実施形態において、POS端末が有する部門テーブルのデータ構造を示す模式図である。
【
図16】
図16は、第3の実施形態において、POS端末が有する券種テーブルのデータ構造を示す模式図である。
【
図17】
図17は、第3の実施形態において、POS端末のメインメモリに形成される主要なメモリ領域を示す模式図である。
【
図18】
図18は、第3の実施形態において、POS端末のメインメモリに形成される主要なメモリ領域を示す模式図である。
【
図19】
図19は、第3の実施形態において、商品コードの入力に応じてプロセッサが実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。
【
図20】
図20は、第3の実施形態において、小計キー信号の入力に応じてプロセッサが実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。
【
図21】
図21は、第3の実施形態において、ディスプレイに表示される小計画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、特定の分類に属する商品を除いた商品の買上金額を容易に確認できる商品販売データ処理装置の実施形態を、第1の実施形態、第2の実施形態及び第3の実施形態の順で説明する。はじめに、各実施形態において共通となるPOS(Point Of Sales)システムの概略構成、及び、POS端末のハードウェア構成について、
図1乃至
図3を用いて説明する。
【0008】
[POSシステムの概略構成]
図1は、POSシステム100の概略構成を示す模式図である。POSシステム100は、複数台のPOS端末10と、各POS端末10の上位機であるPOSサーバ20とを、通信ネットワーク30で接続してなる。通信ネットワーク30は、典型的にはLAN((Local Area Network)である。LANは、有線LANであってもよいし、無線LANであってもよい。
【0009】
POS端末10は、商品販売データ処理装置として機能する電子機器である。各POS端末10は、店舗の会計場に設置される。POSシステム100が導入される多くの店舗は、商品が陳列された売場と会計を行う会計場とが区分けされている。会計場には、会計担当の店員、いわゆるキャッシャが居る。客である購買者は、売場で買上商品を集めた後、会計場へと移動し、キャッシャに会計を申し出る。キャッシャは、POS端末10を操作して、買上商品の販売データを登録する。販売データを登録することにより、買上商品の代金が算出されるので、キャッシャは、購買者から代金の支払いを受ける。
【0010】
POSサーバ20は、商品マスタ21を備える。商品マスタ21は、商品毎に作成される商品データレコード22(
図2を参照)を保存する。商品データレコード22は、
図2に示すように、商品コード、商品名、価格、部門コード等のデータ項目の集合体である。商品コードは、各商品を個々に識別するために商品毎に設定された一意のコードである。商品名は、商品コードで識別される商品の品目名であり、価格は、その商品の1点当たりの価格、つまりは単価である。部門コードは、その商品が属する部門の識別コードである。各商品は、その属性により複数の部門に分類される。部門コードは、各部門を個々に識別するために部門毎に設定された一意のコードである。商品データレコード22は、各POS端末10において買上商品の販売データを登録する際に活用される。
【0011】
[POS端末のハードウェア構成]
図3は、POS端末10の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。POS端末10は、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶デバイス13、時計14、通信インターフェース15、釣銭機インターフェース16、デバイスインターフェース17及びシステム伝送路18を備える。システム伝送路18は、アドレスバス、データバス等を含む。POS端末10は、システム伝送路18を介してプロセッサ11と、メインメモリ12、補助記憶デバイス13、時計14、通信インターフェース15、釣銭機インターフェース16及びデバイスインターフェース17とを接続することによりコンピュータを構成する。
【0012】
プロセッサ11は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ11は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムに従って、POS端末10としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0013】
メインメモリ12は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メインメモリ12は、プロセッサ11が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ12は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ11によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROM(Read Only Memory)である。揮発性のメモリ領域は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0014】
補助記憶デバイス13は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、あるいはSSD(Solid State Drive)等が補助記憶デバイス13となり得る。補助記憶デバイス13は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ11での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス13は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0015】
時計14は、日付と時刻を計時する。プロセッサ11は、時計14によって計時されている日付と時刻を現在日時として処理する。
【0016】
通信インターフェース15は、通信ネットワーク30との接続部である。通信インターフェース15は、通信ネットワーク30に接続されたPOSサーバ20との間でデータ通信を行う。通信インターフェース15は、POSサーバ20以外の機器と通信ネットワーク30を介してデータ通信を行うことも可能である。
【0017】
釣銭機インターフェース16は、自動釣銭機41との接続部である。自動釣銭機41は、投入口から投入された現金を基に算出される釣銭を払出口から払い出す周知の機器である。釣銭機インターフェース16は、自動釣銭機41との間で釣銭の払い出しに必要なデータ信号を授受する。
【0018】
デバイスインターフェース17は、キーボード42、スキャナ43、ディスプレイ44、客面表示器45、プリンタ46等の種々の入出力デバイスとの接続部である。デバイスインターフェース17は、当該デバイスインターフェース17に接続された入出力デバイスとの間でデータ通信を行う。
【0019】
キーボード42は、テンキー、乗算キー、クリアキー、小計キー、現計キー等の種々のハードキーを備えた入力デバイスである。テンキーは、数値データの入力を受け付けるための操作子である。乗算キーは、数値データが乗数であることを指令するための操作子である。クリアキーは、数値データのクリアを指令するための操作子である。小計キーは、小計金額の出力を指令するための操作子である。現計キーは、現金取引の決済を指令するための操作子である。
【0020】
スキャナ43は、バーコードを読み取ることが可能な入力デバイスである。売場で販売される多くの商品には、その商品固有の商品コードを表すバーコードが付されている。スキャナ43で買上商品に付されたバーコードが読み取られることによって、その買上商品の商品コードがPOS端末10に入力される。
【0021】
ディスプレイ44は、買上商品の商品名、価格、合計金額等を表示することが可能な出力デバイスである。ディスプレイ44に表示される情報は、そのPOS端末10を操作するキャッシャが閲覧可能である。
【0022】
客面表示器45は、買上商品の商品名、価格、合計金額等を表示することが可能な出力デバイスである。客面表示器45に表示される情報は、そのPOS端末10で会計を行う購買者が閲覧可能である。
【0023】
プリンタ46は、取引レシートを印字し、発行することが可能な出力デバイスである。会計を終えた購買者は、取引レシートを受け取ることができる。
【0024】
かかる構成のPOS端末10は、例えばスキャナ43によって買上商品のバーコードが読み取られると、そのバーコードから得られる商品コードを含む商品データレコード22を取得し、商品コード、商品名、価格、部門コード、販売点数、販売金額等の項目からなる商品販売データを生成する。販売点数は、キーボード42のテンキーと乗算キーとによって乗数が入力されている場合にはその乗数であり、乗数が入力されていない場合には“1”である。販売金額は、価格に販売点数を乗算して算出される金額である。POS端末10は、商品販売データをメモリに登録処理する。POS端末10は、商品販売データの商品名、価格等をディスプレイ44及び客面表示器45に表示する。
【0025】
その後、小計キーが入力されると、POS端末10は、メモリに登録処理された商品販売データを基に算出される小計金額をディスプレイ44及び客面表示器45に表示する。そして現計キーが入力されると、POS端末10は、自動釣銭機41に投入された現金の総額、つまりは預かり金額から小計金額を減じて釣銭を算出し、釣銭相当の現金を払い出すように自動釣銭機41を制御する。またPOS端末10は、プリンタ46を駆動して取引レシートを発行する。
【0026】
なお、デバイスインターフェース17に接続されるデバイスは、上述したキーボード42、スキャナ43、ディスプレイ44、客面表示器45及びプリンタ46に限定されない。例えばポイントカード、クレジットカードのデータを読み取るカードリーダ、あるいは電子マネー、コード決済等のキャッシュレス決済を処理するキャッシュレス決済端末等がデバイスインターフェース17に接続されてもよい。
【0027】
[第1の実施形態]
次に、第1の実施形態について、
図4乃至
図10を用いて説明する。
第1の実施形態は、特定の部門に属する商品を除いた買上商品の合計金額が設定金額以上であるとき購買者にサービス券を発券する店舗に用いて好適なPOS端末10を例示する。サービス券の種類は、特に限定されない。例えばポイント券、クーポン券、割引券、招待券等であってもよい。サービス券は、紙を媒体としたものであってもよいし、スマートフォン等に表示される電子媒体であってもよい。以下では、第1の実施形態に係る商品販売データ処理装置、すなわちPOS端末10をPOS端末101と表す。
【0028】
POS端末101は、部門テーブル51(
図4を参照)を備える。部門テーブル51は、補助記憶デバイス13に記憶される。部門テーブル51は、メインメモリ12に記憶されてもよい。
【0029】
図4は、部門テーブル51のデータ構造を示す模式図である。部門テーブル51は、各商品を分類する部門毎に設定された部門コード別に、部門名称と除外フラグFaとを記述したデータテーブルである。部門名称は、対応する部門コードで分類される部門の識別名称である。除外フラグFaは、対応する部門コードが除外部門であるか否かを識別するための1ビットデータである。除外部門とは、サービスの適用から除外される部門である。本実施形態では、除外部門であることを示す除外フラグFaを“1”とし、除外部門でないことを示す除外フラグFaを“0”とする。
【0030】
例えば、部門コード「100」の部門「部門A」に属する商品を除いた買上商品の合計金額が設定金額以上であるとき購買者にサービス券を発券する場合、部門コード「100」に対応した除外フラグFaは“1”となる。部門コード「100」以外の部門コードに対応した除外フラグFaは“0”となる。この場合、部門「部門A」以外の部門に属する商品が識別対象の商品群となる。すなわち、除外フラグFaが“0”に設定された部門に属する商品群が識別対象の商品群となる。
【0031】
例えば、部門コード「100」の部門「部門A」に属する商品と、部門コード「300」の部門「部門C」に属する商品を除いた買上商品の合計金額が設定金額以上であるときサービス券を発券する場合、部門コード「100」に対応した除外フラグFaと、部門コード「300」に対応した除外フラグFaは“1”となる。部門コード「100」及び「300」以外の部門コードに対応した除外フラグFaは“0”となる。この場合、部門「部門A」及び部門「部門C」以外の部門に属する商品が識別対象の商品群となる。すなわち、除外フラグFaが“0”に設定された部門に属する商品群が識別対象の商品群となる。
【0032】
図5は、メインメモリ12に形成される主要なメモリ領域を示す模式図である。図示するようにPOS端末101は、メインメモリ12の記憶領域の一部を、取引ファイル61、第1合計器62、第2合計器63及び登録中フラグFbのフラグメモリ64の記憶領域としている。
【0033】
取引ファイル61は、一取引分の買上商品の商品販売データを記憶するための領域である。第1合計器62は、一取引分の買上商品の合計点数Taと合計金額Tbとを記憶するための領域である。第2合計器63は、一取引分の買上商品のうち除外部門に属する商品を除いた買上商品、すなわち識別対象の商品群に属する買上商品の合計点数Tcと合計金額Tdとを記憶するための領域である。登録中フラグFbは、一取引分の買上商品を登録中であるか否かを識別するための1ビットデータである。本実施形態では、登録中でないときの登録中フラグFbを“0”とし、登録中であるときの登録中フラグFbを“1”とする。
【0034】
図6は、プロセッサ11が有する主要な機能構成を示す模式図である。図示するようにプロセッサ11は、入力手段111、設定手段112、第1合計手段113、第2合計手段114及び出力手段115としての機能を有する。
【0035】
入力手段111は、商品の販売に係る情報を入力する機能である。商品の販売に係る情報は、例えば商品コードである。プロセッサ11は、スキャナ43と協働して商品コードを入力する。なお、商品には必ずしもバーコードが付されているとは限らない。また、スキャナ43がバーコードの読み取りを失敗する場合もあり得る。そこでPOS端末101は、キーボード42を介して商品コードを入力することも可能としている。プロセッサ11は、キーボード42と協働して商品コードを入力する。
【0036】
設定手段112は、識別対象の商品群を設定する機能である。識別対象の商品群は、除外部門に属さない商品群である。すなわち識別対象の商品群は、部門テーブル51の除外フラグFaが“0”に設定された部門に属する商品群である。プロセッサ11は、部門テーブル51の除外フラグFaを“0”または“1”に設定する機能を有している。プロセッサ11は、除外部門に属さない商品群の部門に対応した除外フラグFaを“0”とする。プロセッサ11は、除外部門に属する商品群の部門に対応した除外フラグFaを“1”とする。
【0037】
第1合計手段113は、入力手段111により販売に係る情報が入力された商品の金額を合計する機能である。プロセッサ11は、第1合計器62を用いて商品の金額を合計する。以下では、第1合計器62を用いて合計された商品の金額を第1合計金額と称する。
【0038】
第2合計手段114は、入力手段111により販売に係る情報が入力された商品のうち、識別対象の商品群に属する商品の金額を合計する機能である。プロセッサ11は、第2合計器63を用いて識別対象の商品群に属する商品の金額を合計する。以下では、第2合計器63を用いて合計された商品の金額を第2合計金額と称する。
【0039】
出力手段115は、第1合計手段113により算出された第1合計金額及び第2合計手段114により算出された第2合計金額を出力する機能である。プロセッサ11は、第1合計金額及び第2合計金額をディスプレイ44に出力する。例えばプロセッサ11は、ディスプレイ44の一画面に、第1合計金額と第2合計金額とを並べて表示するように出力する。
【0040】
入力手段111、設定手段112、第1合計手段113、第2合計手段114及び出力手段115としての機能は、いずれもプロセッサ11が業務プログラムに従って実行する情報処理によって実現される。業務プログラムは、メインメモリ12又は補助記憶デバイス13に記憶されるアプリケーションプログラムの一種である。業務プログラムをメインメモリ12又は補助記憶デバイス13にインストールする方法は特に限定されるものではない。リムーバブルな記録媒体に登録プログラムを記録して、あるいは通信ネットワーク30を介した通信により業務プログラムを配信して、メインメモリ12又は補助記憶デバイス23にインストールすることができる。記録媒体は、CD-ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。
【0041】
次に、
図7及び
図8の流れ図と、
図9及び
図10の画面例とを用いて、POS端末101のプロセッサ11が実行する主要な情報処理について具体的に説明する。なお、流れ図を用いて説明する情報処理の内容と手順は一例である。同様な作用効果を奏し得るのであれば、その内容及び手順は適宜変更することができる。また、画面例も一例である。出力されるテキストの内容、画像の配置等は、適宜変更することができる。
【0042】
はじめに、購買者が買上商品の会計に来ると、POS端末101のオペレータである店員は、スキャナ43又はキーボード42を操作して、買上商品の商品コードを1品ずつ入力する。
【0043】
図7は、商品コードの入力に応じてプロセッサ11が実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。入力手段111を介して商品コードが入力されると、プロセッサ11は、
図7の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。先ず、プロセッサ11は、ACT1として登録中フラグFbを調べる。登録中フラグFbが“0”にリセットされている場合、すなわち、買上商品を登録中でない状態で商品コードが入力された場合には、プロセッサ11は、ACT1からACT2へと進む。プロセッサ11は、ACT2として取引ファイル61、第1合計器62及び第2合計器63のデータをクリアする。またプロセッサ11は、ACT3として登録中フラグFbを“1”にセットする。その後、プロセッサ11は、ACT4へと進む。すなわち、1点目の買上商品の登録の際には、ACT2及びACT3の処理を実行してACT4へと進む。
【0044】
一方、ACT1において登録中フラグFbが“1”にセットされている場合、すなわち、一取引分の買上商品を登録中に商品コードが入力された場合には、プロセッサ11は、ACT2及びACT3の処理をスキップしてACT4へと進む。このように、1取引における1点目の買上商品の登録の際には、プロセッサ11は、ACT2及びACT3の処理を経てACT4へと進む。すなわち、2点目以降の買上商品の登録の際には、プロセッサ11は、ACT2及びACT3の処理をスキップしてACT4へと進む。
【0045】
プロセッサ11は、ACT4としてその商品コードを含む商品データレコード22を取得する。そしてプロセッサ11は、ACT5として商品データレコード22に含まれる商品コード、商品名、価格、部門コード等を基に商品販売データを生成する。プロセッサ11は、ACT6として商品販売データを取引ファイル61に登録する。またプロセッサ11は、ACT7として商品販売データの販売点数及び販売金額を、第1合計器62の合計点数Ta及び合計金額Tbに加算する。
【0046】
プロセッサ11は、ACT8として商品販売データから部門コードを検出する。以下では、検出された部門コードを検出部門コードと称する。プロセッサ11は、ACT9として部門テーブル51を検索して、検出部門コードに対応した除外フラグFaを調べる。除外フラグFaが“0”の場合、検出部門コードは、除外部門のコードではない。プロセッサ11は、ACT9からACT10へと進む。プロセッサ11は、ACT10として商品販売データの販売点数及び販売金額を、第2合計器63の合計点数Tc及び合計金額Tdに加算する。その後、プロセッサ11は、ACT11へと進む。他方、除外フラグFaが“1”の場合には、検出部門コードは、除外部門のコードである。プロセッサ11は、ACT9からACT11へと進む。
【0047】
このように、検出部門コードが除外部門のコードでない場合には、プロセッサ11は、商品販売データの販売点数及び販売金額を第2合計器63の合計点数Tc及び合計金額Tdに加算してからACT11へと進む。検出部門コードが除外部門のコードである場合には、プロセッサ11は、商品販売データの販売点数及び販売金額を第2合計器63に加算することなくACT11へと進む。
【0048】
プロセッサ11は、ACT11として第1合計器62の合計点数Ta及び合計金額Tbを、商品販売データの商品名、販売点数、販売金額等とともにディスプレイ44及び客面表示器45に表示する。以上で、プロセッサ11は、
図7の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。
【0049】
ここに、プロセッサ11は、ACT7の処理により第1合計手段113としての機能を実現する。プロセッサ11は、ACT8乃至ACT10の処理により第2合計手段114としての機能を実現する。
【0050】
図9は、
図7の流れ図に示す手順を終了した時点でディスプレイ44に表示される画像の一例である。画像は、登録画面SAaを表す。登録画面SAaは、カレントエリアAAaと、明細エリアAAbと、合計エリアAAcとに区分される。カレントエリアAAaは、最新の購買商品の商品名、販売点数及び販売金額を表示するためのエリアである。明細エリアAAbは、一連の番号順に、一取引における購買商品の商品名、販売点数(数量)、価格(単価)、販売金額(金額)、除外マーク(除外)をリスト形式で表示するエリアである。除外マークについては、後述する。合計エリアAAcは、一取引における購買商品の購買数量の合計と販売金額の合計とを表示するエリアである。
【0051】
ACT11の処理においては、ACT6の処理で取引ファイル61に新たに登録された商品販売データの商品名、販売点数及び販売金額が、カレントエリアAAaに表示される。また、ACT7の処理で算出された合計点数と合計金額が、合計エリアAAcに表示される。
【0052】
このように、入力手段111を介して買上商品の商品コードが入力される毎に、プロセッサ11は、ACT1乃至ACT11の処理を繰り返し実行する。その結果、取引ファイル61には、一取引分の買上商品の商品販売データが記憶される。第1合計器62には、
一取引分の買上商品の合計点数Ta及び合計金額Tbが記憶される。第2合計器63には、一取引分の買上商品のうち除外部門に属さない買上商品、すなわち識別対象の商品群の合計点数Tc及び合計金額Tdが記憶される。
【0053】
キャッシャは、購買者の買上商品を登録し終えると、キーボード42の小計キーを押下する。小計キーを押下することにより、デバイスインターフェース17を介してプロセッサ11に小計キー信号が入力される。
【0054】
図8は、小計キー信号の入力に応じてPOS端末101のプロセッサ11が実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。小計キー信号が入力されると、プロセッサ11は、
図8の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。先ずプロセッサ11は、ACT21として登録中フラグFbを調べる。登録中フラグFbが“0”にリセットされている場合、プロセッサ11は、エラーとして処理を終了する。登録中フラグFbがリセットされている状態では、買上商品がまだ登録されていない。したがって、エラーとして処理を終了することで、小計キーの操作は無効となる。
【0055】
一方、登録中フラグFbが“1”にセットされた状態で小計キーが入力された場合には、プロセッサ11は、ACT21からACT22へと進む。プロセッサ11は、ACT22として第1合計器62に記憶されている合計点数Taと合計金額Tbとをディスプレイ44と客面表示器45とに表示させる。またプロセッサ11は、ACT23として第2合計器63に記憶されている合計点数Tcと合計金額Tdとをディスプレイ44に表示させる。客面表示器45には、合計点数Tcと合計金額Tdを表示させない。以上で、プロセッサ11は、
図8の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。
【0056】
ここに、プロセッサ11は、ACT22及びACT23の処理により出力手段115としての機能を実現する。
【0057】
図10は、
図8の流れ図に示す手順を終了した時点でディスプレイ44に表示される画像の一例である。画像は、小計画面SAbを表す。小計画面SAbは、明細エリアAAdと小計エリアAAeとを含む。明細エリアAAdは、登録画面SAaにおける明細エリアAAbと共通である。すなわち明細エリアAAdは、一連の番号順に、一取引における購買商品の商品名、販売点数(数量)、価格(単価)、販売金額(金額)、除外マーク(除外)をリスト形式で表示するエリアである。そして、
図8の流れ図に示す手順を終了した時点では、取引ファイル61に記憶された商品販売データの商品名、販売点数(数量)、価格(単価)、販売金額(金額)が表示される。また、
図7のACT9の処理において除外部門であると判定された商品については、星印の除外マークMaが表示される。
【0058】
小計エリアAAeは、合計点数と合計金額とを表示する第1小計エリアAAexと、同じく合計点数と合計金額とを表示する第2小計エリアAAeyとを並列にしたものである。そして、
図8の流れ図に示す手順を終了した時点では、第1小計エリアAAexには、第1合計器62に記憶されている合計点数Taと合計金額Tbとが表示される。第2小計エリアAAeyには、第2合計器63に記憶されている合計点数Tcと合計金額Tdが表示される。
【0059】
このように、購買者が購入する買上商品の登録を終えたキャッシャが小計キーを押下すると、ディスプレイ44の画面が小計画面SAbとなる。小計画面SAbには、一取引分の買上商品の合計点数Ta及び合計金額Tbが第1小計エリアAAexに表示される。さらには、除外部門に属さない買上商品、すなわち識別対象の商品群の合計点数Tc及び合計金額Tdが第2小計エリアAAefに表示される。したがって、第2小計エリアAAefに表示された合計金額Tdがサービスの適用条件である設定金額以上の場合には、キャッシャは、購買者にサービスを適用する。例えばキャッシャは、購買者にポイント券、クーポン券、割引券、招待券等のサービス券を発券する。合計金額Tdが設定金額未満の場合には、キャッシャは、購買者にサービス券を発券しない。
【0060】
以上詳述したように、POS端末101は、除外部門に属さない買上商品、すなわち識別対象の商品群の合計点数Tc及び合計金額Tdを小計画面SAbに表示する。したがって、小計画面SAbを確認したキャッシャは、サービスを適用するか否かの判断に必要な合計金額Tdを容易に確認することができる。
【0061】
その上、POS端末101は、識別対象の商品群の合計点数Tc及び合計金額Tdを、一取引分の買上商品の合計点数Ta及び合計金額Tbとともに小計画面SAbの一画面に表示する。したがってキャッシャは、小計画面SAbから購買者が支払うべき代金である合計金額Tbを認識すると同時に、その購買者に対してサービスを適用するか否かを判断することができる。すなわちサービスを適用するか否かを判断するために格別な作業を行う必要はないので、キャッシャの会計業務に支障をきたすことはない。
【0062】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について、
図11乃至
図14を用いて説明する。
第2の実施形態も、第1の実施形態と同様に、特定の部門に属する商品を除いた買上商品の合計金額が設定金額以上であるとき購買者にサービス券を発券する店舗に用いて好適なPOS端末10を例示する。以下では、第2の実施形態におけるPOS端末10をPOS端末102と表す。
【0063】
POS端末102は、第1の実施形態におけるPOS端末101と同様に、部門テーブル51を備える。またPOS端末102は、メインメモリ12の記憶領域の一部を、取引ファイル61、第1合計器62、第2合計器63及び登録中フラグFbのフラグメモリ64の記憶領域としている。
【0064】
POS端末102がPOS端末101と異なる点の1つは、設定金額メモリ71(
図11を参照)を備えている点である。POS端末102は、補助記憶デバイス13に設定金額メモリ71を備える。POS端末102は、メインメモリ12に設定金額メモリ71を備えてもよい。
【0065】
図11は、設定金額メモリ71の模式図である。設定金額メモリ71は、サービスの適用条件である設定金額Gを記憶するための領域である。例えば特定の部門に属する商品を除いた買上商品の合計金額が300円以上であるときサービス券を発券する店舗では、設定金額Gとして300円を設定金額メモリ71に記憶する。例えば特定の部門に属する商品を除いた買上商品の合計金額が500円以上であるときサービス券を発券する店舗では、設定金額Gとして500円を設定金額メモリ71に記憶する。
【0066】
またPOS端末102は、プロセッサ11が有する機能構成の一部がPOS端末101とは異なる。
図12は、POS端末102のプロセッサ11が有する主要な機能構成を示す模式図である。図示するようにプロセッサ11は、入力手段111、設定手段112、第1合計手段113、第2合計手段114及び出力手段115としての機能に加えて、取得手段116及び報知手段117としての機能を有する。
【0067】
取得手段116は、第2合計金額と比較する設定金額Gを取得する機能である。プロセッサ11は、設定金額メモリ71から設定金額Gを取得する。
【0068】
報知手段117は、第2合計金額が設定金額G以上であると報知する機能である。プロセッサ11は、第2合計金額が設定金額G以上であると、例えばディスプレイ44に報知マークを表示して、キャッシャに第2合計金額が設定金額G以上であることを報知する。報知手段117は、例えば音声により第2合計金額が設定金額G以上であることを報知してもよい。
【0069】
取得手段116及び報知手段117としての機能は、小計キー信号の入力に応じてプロセッサ11が実行する情報処理において実現される。そこで次に、
図14の流れ図及び
図14の画面例を用いて、取得手段116及び報知手段117としての機能について具体的に説明する。なお、POS端末102においても、第1の実施形態のPOS端末101と同様に、プロセッサ11が商品コードの入力に応じて
図7の流れ図に示す手順の情報処理を実行する点に変わりはない。よって、
図7の流れ図及び
図9の画面例については、第2の実施形態でもそのまま適用する。
【0070】
図13は、小計キー信号の入力に応じてPOS端末102のプロセッサ11が実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。小計キー信号が入力されると、プロセッサ11は、
図13の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。先ずプロセッサ11は、ACT31として登録中フラグFbを調べる。登録中フラグFbが“0”にリセットされている場合、プロセッサ11は、エラーとして処理を終了する。
【0071】
登録中フラグFbが“1”にセットされた状態で小計キーが入力された場合には、プロセッサ11は、ACT31からACT32へと進む。プロセッサ11は、ACT32として第1合計器62に記憶されている合計点数Taと合計金額Tbとをディスプレイ44と客面表示器45とに表示させる。またプロセッサ11は、ACT33として第2合計器63に記憶されている合計点数Tcと合計金額Tdとをディスプレイ44に表示させる。客面表示器45には、合計点数Tcと合計金額Tdを表示させない。
【0072】
その後、プロセッサ11は、ACT34として設定金額メモリ71から設定金額Gを取得する。そしてプロセッサ11は、ACT35として第2合計器63に記憶されている合計金額Tdと設定金額Gとの大小を比較する。その結果、合計金額Tdが設定金額Gよりも小さい場合には、プロセッサ11は、
図13の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。
【0073】
これに対し、合計金額Tdが設定金額Gと等しい、又は合計金額Tdが設定金額Gよりも大きい場合には、プロセッサ11は、ACT35からACT36へと進む。プロセッサ11は、ACT36として合計金額Tdが設定金額G以上であることを報知する。具体的には、
図14に示す小計画面SAbのように、第2小計エリアAAeyに表示されている合計金額Tdの近くに二重丸の報知マークMbを表示させて報知する。以上でプロセッサ11は、
図13の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。
【0074】
ここに、プロセッサ11は、ACT34の処理により取得手段116としての機能を実現する。プロセッサ11は、ACT35及びACT36の処理により報知手段117としての機能を実現する。
【0075】
以上詳述したように、POS端末102は、除外部門に属さない買上商品、すなわち識別対象の商品群の合計金額Tdが設定金額G以上になると、小計画面SAbに報知マークMbを表示させて、店員に報知を行う。したがって、小計画面SAbに報知マークMbが表示された場合には、店員は購買者にサービスを適用する。例えばキャッシャは、購買者にポイント券、クーポン券、割引券、招待券等のサービス券を発券する。小計画面SAbに報知マークMbが表示されなかった場合には、店員は購買者にサービス券を発券しない。かくして店員は、サービスを適用するか否かの判断をミスなく適切に、しかも簡単に行うことができる。
【0076】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について、
図15乃至
図21を用いて説明する。
第1又は第2の実施形態では、特定の部門に属する商品を除いた買上商品の合計金額が設定金額以上であるとき購買者にサービス券を発券する場合を例示した。第3の実施形態では、特定の部門に属する商品を除いた買上商品の合計金額が設定金額以上であるとき、購買者が所持するサービス券を有効にする。サービス券は、購買者にポイントを付与するポイント券と、小計割引を適用する割引券の2種類とする。サービス券は、紙を媒体としたものであってもよいし、スマートフォン等に表示される電子媒体であってもよい。以下では、第3の実施形態におけるPOS端末10をPOS端末103と表す。
【0077】
POS端末101は、部門テーブル52(
図15を参照)と券種テーブル72(
図16を参照)を備える。部門テーブル52及び券種テーブル72は、補助記憶デバイス13に記憶される。部門テーブル52及び券種テーブル72は、メインメモリ12に記憶されてもよい。
【0078】
図15は、部門テーブル52のデータ構造を示す模式図である。部門テーブル52は、各商品を分類する部門毎に設定された部門コード別に、部門名称と第1除外フラグFcと第2除外フラグFdとを記述したデータテーブルである。部門名称は、対応する部門コードで分類される部門の識別名称である。第1除外フラグFc及び第2除外フラグFdは、いずれも対応する部門コードが除外部門であるか否かを識別するための1ビットデータである。除外部門とは、サービスの適用から除外される部門である。本実施形態では、除外部門であることを示す除外フラグFc及び除外フラグFdを“1”とし、除外部門でないことを示す除外フラグFc及び除外フラグFdを“0”とする。
【0079】
図16は、券種テーブル72のデータ構造を示す模式図である。券種テーブル72は、サービス券の券種コード別に、券種名称と設定金額と除外フラグ識別データとを記述したデータテーブルである。券種コードは、特定の部門に属する商品を除いた買上商品の合計金額が設定金額以上であるとき有効となるサービス券を識別するためにサービス券毎に付されたコードである。本実施形態では、サービス券は、ポイント券と割引券の2種類である。ポイント券には、ポイント券の券種コードを表すバーコードが付されている。割引券には、割引券の券種コードを表すバーコードが付されている。
【0080】
券種名称は、券種コードで特定されるサービス券の名称である。本実施形態では、券種コード「1000」の券種名称をポイント券とし、券種コード「2000」の券種名称を割引券とする。
【0081】
設定金額は、券種コードで特定されるサービス券が有効となる金額である。すなわちポイント券は、特定の部門に属する商品を除いた買上商品の合計金額が設定金額Ga以上となると有効となる。割引券は、特定の部門に属する商品を除いた買上商品の合計金額が設定金額Gb以上となると有効となる。
【0082】
除外フラグ識別データは、券種コードで特定されるサービス券に対して適用される除外フラグの識別データである。すなわちポイント券に対しては、第1除外フラグFcが適用される。割引券に対しては、第2除外フラグFdが適用される。
【0083】
図17は、メインメモリ12に形成される主要なメモリ領域を示す模式図である。図示するようにPOS端末103は、メインメモリ12の記憶領域の一部を、取引ファイル61、第1合計器62、第3合計器65、第4合計器66及び登録中フラグFbのフラグメモリ64の記憶領域としている。取引ファイル61、第1合計器62及びフラグメモリ64は、第1の実施形態と同様なので、ここでの説明は省略する。
【0084】
第3合計器65は、一取引分の買上商品のうち、第1除外フラグFcによって特定される除外部門に属する商品を除いた買上商品、すなわち識別対象の第1の商品群に属する買上商品の合計点数Teと合計金額Tfとを記憶するための領域である。第4合計器66は、一取引分の買上商品のうち、第2除外フラグFdによって特定される除外部門に属する商品を除いた買上商品、すなわち識別対象の第2の商品群に属する買上商品の合計点数Tgと合計金額Thとを記憶するための領域である。
【0085】
図18は、プロセッサ11が有する主要な機能構成を示す模式図である。図示するようにプロセッサ11は、入力手段111、設定手段112、第1合計手段113、第2合計手段114、出力手段115、特定手段118、取得手段119及び報知手段1110としての機能を有する。入力手段111、設定手段112、第1合計手段113、第2合計手段114及び出力手段115については第1の実施形態と同様なので、ここでの説明は省略する。
【0086】
特定手段118は、複数種類のサービスの中から適用されるサービスを特定する機能である。プロセッサ11は、スキャナ43で読み取ったバーコードがポイント券の券種コードを表すバーコードである場合、ポイント券を有効にしてポイントを付与するサービスを適用する。プロセッサ11は、スキャナ43で読み取ったバーコードが割引券の券種コードを表すバーコードである場合、割引券を有効にして小計割引を行うサービスを適用する。
【0087】
取得手段119は、特定手段118により特定されたサービスに対する設定金額を取得する機能である。プロセッサ11は、特定手段118によりポイント券が特定された場合、券種テーブル72から券種コード「1000」に対応付けられた設定金額Gaを取得する。プロセッサ11は、特定手段118により割引券が特定された場合、券種テーブル72から券種コード「2000」に対応付けられた設定金額Gbを取得する。
【0088】
報知手段1110は、特定手段118により特定されたサービスに対して設定された識別対象の商品群に属する商品の合計金額が、取得手段119により取得した設定金額以上であるとき、サービスが有効であることを報知する機能である。プロセッサ11は、特定手段118によりポイント券が特定された場合、券種テーブル72から券種コード「1000」に対応付けられた除外フラグ識別データ「Fc」を取得する。そしてプロセッサ11は、この除外フラグ識別データ「Fc」で識別される第1除外フラグFcが“0”に設定されている部門に属する買上商品の合計金額が設定金額Ga以上の場合、ポイント券が有効であることを報知する。プロセッサ11は、特定手段118により割引券が特定された場合、券種テーブル72から券種コード「2000」に対応付けられた除外フラグ識別データ「Fd」を取得する。そしてプロセッサ11は、この除外フラグ識別データ「Fd」で識別される第2除外フラグFdが“0”に設定されている部門に属する買上商品の合計金額が設定金額Gb以上の場合、割引券が有効であることを報知する。例えばプロセッサ11は、ディスプレイ44に有効となったサービス券の券種名称を表示して、キャッシャに報知する。例えばプロセッサ11は、有効となったサービス券の券種名称を音声によって出力して、キャッシャに報知する。
【0089】
図19は、POS端末103のプロセッサ11が、商品コードの入力に応じて実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。図示するように、入力手段111を介して商品コードが入力されると、プロセッサ11は、ACT1乃至ACT8として第1の実施形態と同様の処理を実行する。すなわちプロセッサ11は、登録中フラグFbが“0”にリセットされている場合には、ACT2として取引ファイル61、第1合計器62、第3合計器65及び第4合計器66のデータをクリアする。またプロセッサ11は、ACT3として登録中フラグFbを“1”にセットする。登録中フラグFbが“1”にセットされている場合には、プロセッサ11は、ACT2及びACT3の処理をスキップする。
【0090】
次いで、プロセッサ11は、ACT4として商品コードを含む商品データレコード22を取得し、ACT5として商品販売データを生成する。そしてプロセッサ11は、ACT6として商品販売データを取引ファイル61に登録し、ACT7として商品販売データの販売点数及び販売金額を、第1合計器62の合計点数Ta及び合計金額Tbに加算する。
【0091】
次いでプロセッサ11は、ACT8として商品販売データから部門コードを検出する。そしてプロセッサ11は、ACT41としてその検出部門コードが第1除外部門であるか否かを確認する。第1除外部門とは、第1除外フラグFcが“1”に設定されている部門である。検出部門コードが第1除外部門でない場合、プロセッサ11は、ACT42へと進む。プロセッサ11は、ACT42として商品販売データの販売点数及び販売金額を、第3合計器65の合計点数Te及び合計金額Tfに加算する。検出部門コードが第1除外部門である場合には、プロセッサ11は、ACT42の処理をスキップする。
【0092】
このように、検出部門コードが第1除外部門でない場合には、プロセッサ11は、商品販売データの販売点数及び販売金額を第3合計器65の合計点数Te及び合計金額Tfに加算する。検出部門コードが第1除外部門である場合には、プロセッサ11は、商品販売データの販売点数及び販売金額を第3合計器65の合計点数Te及び合計金額Tfに加算しない。
【0093】
次いで、プロセッサ11は、ACT43として検出部門コードが第2除外部門であるか否かを確認する。第2除外部門とは、第2除外フラグFdが“1”に設定されている部門である。検出部門コードが第2除外部門でない場合、プロセッサ11は、ACT44へと進む。プロセッサ11は、ACT44として商品販売データの販売点数及び販売金額を、第4合計器66の合計点数Tg及び合計金額Thに加算する。検出部門コードが第2除外部門である場合には、プロセッサ11は、ACT44の処理をスキップする。
【0094】
このように、検出部門コードが第2除外部門でない場合には、プロセッサ11は、商品販売データの販売点数及び販売金額を第4合計器66の合計点数Tg及び合計金額Thに加算する。検出部門コードが第2除外部門である場合には、プロセッサ11は、商品販売データの販売点数及び販売金額を第4合計器66の合計点数Tg及び合計金額Thに加算しない。
【0095】
その後、プロセッサ11は、第1の実施形態におけるACT11の処理を実行する。すなわちプロセッサ11は、第1合計器62の合計点数Ta及び合計金額Tbを、商品販売データの商品名、販売点数、販売金額等とともにディスプレイ44及び客面表示器45に表示する。以上で、プロセッサ11は、
図19の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。
【0096】
ここに、プロセッサ11は、ACT42及びACT44の処理により、サービスの種類別に識別対象の商品群に属する商品の金額を合計する第2合計手段としての機能を有する。
【0097】
プロセッサ11は、入力手段111を介して商品コードが入力される如に、
図19の流れ図に示す手順の情報処理を実行する。かくして、取引ファイル61には、一取引分の買上商品の商品販売データが記憶される。第1合計器62には、一取引分の買上商品の合計点数Ta及び合計金額Tbが記憶される。第3合計器65には、一取引分の買上商品のうち第1除外部門に属さない買上商品、すなわち識別対象の第1商品群の合計点数Te及び合計金額Tfが記憶される。第4合計器66には、一取引分の買上商品のうち第2除外部門に属さない買上商品、すなわち識別対象の第2商品群の合計点数Tg及び合計金額Thが記憶される。
【0098】
キャッシャは、購買者の買上商品を登録し終えると、キーボード42の小計キーを押下する。小計キーを押下することにより、デバイスインターフェース17を介してプロセッサ11に小計キー信号が入力される。また購買者がポイント券又は割引券を所持している場合には、キャッシャは、そのポイント券又は割引券に付されているバーコードをスキャナ43で読み取る。スキャナ43でバーコードを読み取ることにより、そのバーコードで表されている券種コードがプロセッサ11に入力される。
【0099】
図20は、小計キー信号の入力に応じてPOS端末103のプロセッサ11が実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。小計キー信号が入力されると、プロセッサ11は、
図20の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。先ずプロセッサ11は、ACT51として登録中フラグFbを調べる。登録中フラグFbが“0”にリセットされている場合、プロセッサ11は、エラーとして処理を終了する。
【0100】
一方、登録中フラグFbが“1”にセットされた状態で小計キーが入力された場合には、プロセッサ11は、ACT51からACT52へと進む。プロセッサ11は、ACT52として第1合計器62に記憶されている合計点数Taと合計金額Tbとをディスプレイ44と客面表示器45とに表示させる。
【0101】
次いで、プロセッサ11は、ACT43として券種コードを取得しているか否かを確認する。検出コードを取得していない場合には、プロセッサ11は、
図20の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。
【0102】
これに対し、券種コードを取得している場合には、プロセッサ11は、ACT53からACT54へと進む。プロセッサ11は、ACT54として券種テーブル72を検索して、券種コードに対応付けられた設定金額Gnと除外フラグ識別データFnとを取得する。プロセッサ11は、ACT55として除外フラグ識別データFnによって識別される除外フラグを特定する。除外フラグ識別データFnが第1除外フラグFcを識別するデータである場合、プロセッサ11は、ACT55からACT56へと進む。プロセッサ11は、ACT56として第3合計器65に記憶されている合計点数Teと合計金額Tfとをディスプレイ44に表示させる。
【0103】
プロセッサ11は、ACT57へと進む。プロセッサ11は、ACT57として第3合計器65に記憶されている合計金額Tfと設定金額Gnとの大小を比較する。その結果、合計金額Tfが設定金額Gnよりも小さい場合には、プロセッサ11は、
図20の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。
【0104】
これに対し、合計金額Tfが設定金額Gnと等しい、又は合計金額Tfが設定金額Gnよりも大きい場合には、プロセッサ11は、ACT57からACT58へと進む。プロセッサ11は、ACT58として合計金額Tfが設定金額Gn以上であることを報知する。以上でプロセッサ11は、
図13の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。
【0105】
一方、ACT55において除外フラグ識別データFnが第2除外フラグFdを識別するデータである場合、プロセッサ11は、ACT55からACT59へと進む。プロセッサ11は、ACT59として第4合計器66に記憶されている合計点数Tgと合計金額Thとをディスプレイ44に表示させる。
【0106】
プロセッサ11は、ACT60へと進む。プロセッサ11は、ACT60として第4合計器66に記憶されている合計金額Thと設定金額Gnとの大小を比較する。その結果、合計金額Thが設定金額Gnよりも小さい場合には、プロセッサ11は、
図20の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。
【0107】
これに対し、合計金額Thが設定金額Gnと等しい、又は合計金額Thが設定金額Gnよりも大きい場合には、プロセッサ11は、ACT60からACT61へと進む。プロセッサ11は、ACT61として合計金額Thが設定金額Gn以上であることを報知する。以上でプロセッサ11は、
図13の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。
【0108】
ここに、プロセッサ11は、ACT53の処理により特定手段118としての機能を実現する。プロセッサ11は、ACT54の処理により取得手段119としての機能を実現する。プロセッサ11は、ACT56及びACT59の処理により出力手段115としての機能を実現する。プロセッサ11は、ACT58及びACT61の処理により報知手段1110としての機能を実現する。
【0109】
図21は、購買者がポイント券を所持している場合において、第1除外フラグFcが“0”に設定されている部門に属する買上商品の合計金額Tfが設定金額Ga以上であり、ポイント券が有効である場合の小計画面SAbの一表示例である。図示するように、第2小計エリアAAeyには、報知手段1110としての機能により、「ポイント券有効」の報知マークMcが表示されている。したがって、キャッシャは、この報知マークMcを見ることにより、購買者が所持するポイント券は有効であると認識することができる。
【0110】
[変形例]
入力手段111によって入力される商品の販売に係る情報は、商品コードに限定されない。例えば、キーボード42に配置された部門キーにより買上商品の部門コードを入力することで商品登録を行う商品販売データ処理装置においては、商品の販売に係る情報は部門コードである。
【0111】
設定手段112は、部門テーブル51の除外フラグFaを“0”又は“1”に設定手段には限定されない。例えば、メインメモリ12の記憶領域の一部を除外部門メモリとする。そしてこの除外部門メモリに除外対象の部門コードを設定する手段が設定手段112であってもよい。
【0112】
出力手段115は、ディスプレイ44に表示される小計画面SAbに、第1合計金額と第2合計金額とが表示されるように出力する手段には限定されない。第1合計金額が表示される小計画面SAbに第2合計金額を表示した画像をポップアップ表示の手法で表示させてもよい。
【0113】
報知手段117は、報知マークMbを表示する手段には限定されない。例えば、POS端末10に設けられたLADを点灯又は点滅させることで、報知してもよい。要は、キャッシャにサービスが適用されることを報知できれば良い。報知手段1110についても同様である。
【0114】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0115】
10…POS端末、11…プロセッサ、12…メインメモリ、13…補助記憶デバイス、14…時計、15…通信インターフェース、16…釣銭機インターフェース、17…デバイスインターフェース、18…システム伝送路、41…自動釣銭機、42…キーボード、43…スキャナ、44…ディスプレイ、45…客面表示器、46…プリンタ、51,52…部門テーブル、61…取引ファイル、62…第1合計器、63…第2合計器、64…フラグメモリ、65…第3合計器、66…第4合計器、71…設定金額メモリ、72…券種テーブル、111…入力手段、112…設定手段、113…第1合計手段、114…第2合計手段、115…出力手段、116,119…取得手段、117,1110…報知手段、118…特定手段。