(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119539
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】ロータ鉄芯構造、磁性板、磁性板セット、回転電機、およびレゾルバ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/24 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
H02K1/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026520
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119264
【弁理士】
【氏名又は名称】富沢 知成
(72)【発明者】
【氏名】山道 修一
【テーマコード(参考)】
5H601
【Fターム(参考)】
5H601AA09
5H601CC04
5H601CC14
5H601DD01
5H601DD11
5H601FF15
5H601FF17
5H601GA02
5H601GB05
5H601GB14
5H601GB22
5H601GB33
5H601GC02
5H601GC12
5H601GC22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】レゾルバその他の回転電機において、スキュー構造を有する積層鉄芯であってもプラスチックキャップを使用可能であり、塗装処理の不要化に資する技術を提供すること。
【解決手段】ロータ鉄芯構造は、軸方向に対して角度を有する構造であるスキュー構造1を有する回転電機のロータ鉄芯構造であって、スキュー構造は、鉄芯を構成するティース2の外周部3に形成され、ティースの巻線部4は軸方向に方向を合わせた垂直形態5に形成されている構成とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に対して角度を有する構造であるスキュー構造を有する回転電機のロータ鉄芯構造であって、
前記スキュー構造は、鉄芯を構成するティースの外周部に形成され、
該ティースの巻線部は軸方向に方向を合わせた垂直形態に形成されている
ことを特徴とする、ロータ鉄芯構造。
【請求項2】
前記鉄芯は、鉄芯構成用の磁性板を複数枚積層することにより形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のロータ鉄芯構造。
【請求項3】
前記磁性板は、円環状の基部上に外方に突設された複数のティース部からなり、
該ティース部は該基部から突出していて前記巻線部を形成する脚部と、該脚部の外方端にこれに略直交して形成されていて前記外周部を形成する端部とからなり、
該端部はその長手方向にずれをもって該脚部に設けられており、
該ずれGの大きさは、該脚部の幅をW、該端部の長さをLとしたときに、
0 ≦ G < W+L
の範囲内である
ことを特徴とする、請求項2に記載のロータ鉄芯構造。
【請求項4】
請求項2に記載のロータ鉄芯構造を形成するための磁性板であって、
円環状の基部上に外方に突設された複数のティース部からなり、
該ティース部は該基部から突出している脚部と、該脚部の外方端にこれに略直交して形成されている端部とからなり、
該端部はその長手方向にずれをもって該脚部に設けられており、
該ずれGの大きさは、該脚部の幅をW、該端部の長さをLとしたときに、
0 ≦ G < W+L
の範囲内であることを特徴とする、磁性板。
【請求項5】
請求項2に記載のロータ鉄芯構造を形成するための複数の磁性板からなる磁性板セットであって、各磁性板は、
円環状の基部上に外方に突設された複数のティース部からなり、
該ティース部は該基部から突出している脚部と、該脚部の外方端にこれに略直交して形成されている端部とからなり、
該端部はその長手方向にずれをもって該脚部に設けられており、
該ずれGの大きさは、該脚部の幅をW、該端部の長さをLとしたときに、
0 ≦ G < W+L
の範囲内であることを特徴とする、磁性板セット。
【請求項6】
前記ずれGの大きさが全て異なる複数の磁性板からなることを特徴とする、請求項5に記載の磁性板セット。
【請求項7】
前記ずれGの大きさにより等差数列を形成できる複数の磁性板からなることを特徴とする、請求項5に記載の磁性板セット。
【請求項8】
前記等差数列の公差dは、ティース数をt、磁性板枚数をnとすると、
d = 360/(t*n)
により角度(°)として規定されることを特徴とする、請求項7に記載の磁性板セット。
【請求項9】
請求項1、2、3のいずれかに記載のロータ鉄芯構造を有することを特徴とする、回転電機。
【請求項10】
請求項1、2、3のいずれかに記載のロータ鉄芯構造を有することを特徴とする、レゾルバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロータ鉄芯構造、磁性板、磁性板セット、回転電機、およびレゾルバに係り、特に、モ-タの回転検出・回転制御に用いられるレゾルバなど回転電機におけるロータ鉄芯構造、製造技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8は、従来のレゾルバにおいてスキュー構造を有するロータ積層鉄芯を形成するための磁性板の構成例を示す説明図である。図示するように磁性板86は、円環状の基部87上に複数のティース部88が外方に突設されてなる。ティース部88は、基部87から突出していて巻線が施される脚部88Fと、脚部88Fに略直交する端部88Tとからなる。従来のロータ積層鉄芯は、かかる磁性板86が複数枚積層されて構成される。なお磁性板86としては、電磁鋼板を好適に用いることができる。
【0003】
図9は、
図8に示した磁性板を用いて形成されたスキュー構造を有するロータ積層鉄芯の構成を示す説明図である。図示するように従来のレゾルバにおけるロータ積層鉄芯820では、性能向上のため、
図8に示した同一仕様の各磁性板86を一枚一枚等角度でずらして階段状に積層して斜溝構造とする、すなわちスキュー構造81を形成する方式が採用されている。同一仕様の各磁性板86の積層によるため、
図9に示す通り、鉄芯820の外周部83のみならず巻線部84すなわちスロット内部の構造も、当然ながらスキュー構造85となる。したがって、絶縁目的のプラスチックキャップは適用できないため、塗装処理による絶縁がなされている。
【0004】
なお、
図10は、スキュー構造ではない場合のロータ積層鉄芯におけるプラスチックキャップによる絶縁方法の説明図、また
図11は
図10に示す絶縁方法により形成されたロータを示す説明図である。これらに示すように、磁性板96の積層により形成されるロータ鉄芯構造920が外周部93にスキュー構造を有せず、ティース部98の脚部98Fが積層されてなる巻線部94が軸方向に合わせたまっすぐな形状であれば、プラスチックキャップ99u、99dをそれぞれ上下から被せることによって、絶縁処理とすることができる。
【0005】
レゾルバのスキュー構造については従来、特許出願等もなされている。たとえば後掲特許文献1には、スキュ-効果が高く、かつ組み立て容易なスキュ-方法として、レゾルバの磁性板において、複数のキ-溝が下式の角度θの間隔で各磁極に対応して設けられ、各磁性板を積層する際にキ-溝をずらしながら積み重ねることで所定のスキュ-角度Sを得るように構成するという技術が開示されている。
θ=(360°/K)±(S/K)
S=P/N
(K:キ-溝数、S:スキュ-角度、P:磁極ピッチ、N:歪みの原因となる高調波次数に対応して設定される整数)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5-312590号公報「磁気レゾルバ-のスキュ-方法」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
さて、
図8、9により説明した通り、従来は、磁性板の積層によるロータ鉄芯構造において性能向上のためのスキュー構造を備える構成とする場合、スロット内部までもがスキュー構造となってしまうため、絶縁目的のプラスチックキャップを適用することができず、手間がかかりコストの高い絶縁コーティング塗装処理を選択せざるを得ない。スキュー構造を有する積層鉄芯であってもプラスチックキャップを使用可能であり、塗装処理の不要化に資する技術が求められている。これは、レゾルバのみならず広く回転電機全般にも敷衍されることである。
【0008】
そこで本発明が解決しようとする課題は、かかる従来技術の問題点を踏まえ、レゾルバその他の回転電機において、スキュー構造を有する積層鉄芯であってもプラスチックキャップを使用可能であり、塗装処理の不要化に資する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者は上記課題について検討した結果、ロータ鉄芯構造に関して、外周面にはスキュー構造を確保しつつスロット内部にはストレートな構造を構築するための磁性板の構成方式に想到した。つまり、下から積み上げる磁性板ごとにティース部の端部=外周部は任意の角度でずれてスキュー構造を形成するが、スロット内部の方は、絶縁用のキャップを適用可能なようにストレートな形態が保持される、というものである。そして、これに基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下の通りである。
【0010】
〔1〕 軸方向に対して角度を有する構造であるスキュー構造を有する回転電機のロータ鉄芯構造であって、
前記スキュー構造は、鉄芯を構成するティースの外周部に形成され、
該ティースの巻線部は軸方向に方向を合わせた垂直形態に形成されている
ことを特徴とする、ロータ鉄芯構造。
〔2〕 前記鉄芯は、鉄芯構成用の磁性板を複数枚積層することにより形成されていることを特徴とする、〔1〕に記載のロータ鉄芯構造。
〔3〕 前記磁性板は、円環状の基部上に外方に突設された複数のティース部からなり、
該ティース部は該基部から突出していて前記巻線部を形成する脚部と、該脚部の外方端にこれに略直交して形成されていて前記外周部を形成する端部とからなり、
該端部はその長手方向にずれをもって該脚部に設けられており、
該ずれGの大きさは、該脚部の幅をW、該端部の長さをLとしたときに、
0 ≦ G < W+L
の範囲内である
ことを特徴とする、〔2〕に記載のロータ鉄芯構造。
【0011】
〔4〕 〔2〕に記載のロータ鉄芯構造を形成するための磁性板であって、
円環状の基部上に外方に突設された複数のティース部からなり、
該ティース部は該基部から突出している脚部と、該脚部の外方端にこれに略直交して形成されている端部とからなり、
該端部はその長手方向にずれをもって該脚部に設けられており、
該ずれGの大きさは、該脚部の幅をW、該端部の長さをLとしたときに、
0 ≦ G < W+L
の範囲内であることを特徴とする、磁性板。
〔5〕 〔2〕に記載のロータ鉄芯構造を形成するための複数の磁性板からなる磁性板セットであって、各磁性板は、
円環状の基部上に外方に突設された複数のティース部からなり、
該ティース部は該基部から突出している脚部と、該脚部の外方端にこれに略直交して形成されている端部とからなり、
該端部はその長手方向にずれをもって該脚部に設けられており、
該ずれGの大きさは、該脚部の幅をW、該端部の長さをLとしたときに、
0 ≦ G < W+L
の範囲内であることを特徴とする、磁性板セット。
〔6〕 前記ずれGの大きさが全て異なる複数の磁性板からなることを特徴とする、〔5〕に記載の磁性板セット。
【0012】
〔7〕 前記ずれGの大きさにより等差数列を形成できる複数の磁性板からなることを特徴とする、〔5〕に記載の磁性板セット。
〔8〕 前記等差数列の公差dは、ティース数をt、磁性板枚数をnとすると、
d = 360/(t*n)
により角度(°)として規定されることを特徴とする、〔7〕に記載の磁性板セット。
〔9〕 〔1〕、〔2〕、〔3〕のいずれかに記載のロータ鉄芯構造を有することを特徴とする、回転電機。
〔10〕 〔1〕、〔2〕、〔3〕のいずれかに記載のロータ鉄芯構造を有することを特徴とする、レゾルバ。
すなわち本発明を一言で表すと、ロータ積層鉄芯の外周のスキュー構造を確保しながらスロット内部のみストレート構造を構築するという発明である。
【発明の効果】
【0013】
本発明のロータ鉄芯構造、鉄芯用板、鉄芯用板セット、回転電機、およびレゾルバは上述のように構成されるため、これらによれば、スキュー構造を有する積層鉄芯であっても絶縁用のプラスチックキャップを使用可能であり、手間がかかり高コストである絶縁コーティング塗装処理の不要化に資することができ、しかも絶縁用のキャップはワンタッチで取り付けが可能なため、工数もかからず、製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明ロータ鉄芯構造の要部構成を示す平面視の説明図である。
【
図2】
図1に示す本発明ロータ鉄芯構造の要部構成をティース外周部側およびその反対側から示す説明図である。
【
図3】
図1、2に示す本ロータ鉄芯構造10によるロータ鉄芯の側面視半断面図であり、中心線から左は側面図、右は断面図を示す。
【
図4】本発明ロータ鉄芯構造を積層により形成する場合の積層用磁性板の基本構成を示す説明図である。
【
図4-2】
図4に示す基本構成を有する本発明磁性板の仕様的な特徴を示す説明図である。
【
図5】本発明に係る磁性板におけるずれの例を示す説明図である。
【
図6】本発明に係るロータ鉄芯への絶縁用のキャップ取り付け方法を示す説明図である。
【
図7】本発明に係るロータ鉄芯に
図6に示す方法で絶縁用のキャップを取り付けて完成したロータの構造を示す説明図である。
【
図8】従来のレゾルバにおいてスキュー構造を有するロータ積層鉄芯を形成するための磁性板の構成例を示す説明図である。
【
図9】
図8に示した磁性板を用いて形成されたスキュー構造を有するロータ積層鉄芯の構成を示す説明図である。
【
図10】スキュー構造ではない場合のロータ積層鉄芯におけるプラスチックキャップによる絶縁方法の説明図である。
【
図11】
図10に示す絶縁方法により形成されたロータを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面により本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明ロータ鉄芯構造の要部構成を示す平面視の説明図である。また
図2は、
図1に示す本発明ロータ鉄芯構造の要部構成をティース外周部側およびその反対側(裏側)から示す説明図である。
図2中、(F)は外周部側から、(R)は裏側からの図である。これらに図示するように本ロータ鉄芯構造10は、軸方向に対して角度を有する構造であるスキュー構造1を有する回転電機のロータ鉄芯構造であって、スキュー構造1は、鉄芯を構成するティース2の外周部3に形成され、ティース2の巻線部4は軸方向に方向を合わせた垂直形態5に形成されていることを、主たる構成とする。
【0016】
かかる構成により本ロータ鉄芯構造10は、鉄芯を構成するティース2の外周部3には所望のスキュー構造1が形成されているが、一方、スロット内部となるティース2の巻線部4は、軸方向に方向を合わせた垂直形態5に形成されているため、これに対して軸方向から絶縁用のキャップを被せ、装着することが可能である。なお、
図3は、
図1、2に示す本ロータ鉄芯構造10によるロータ鉄芯の側面視半断面図であり、中心線から左は側面図、右は断面図を示す。側面図がわには形成されているスキュー構造1、1、・・・が示されている。
【0017】
図4は、本発明ロータ鉄芯構造を積層により形成する場合の積層用磁性板の基本構成を示す説明図である。つまりロータ鉄芯構造は、鉄芯構成用の磁性板を複数枚積層することにより形成することができるが、図示するように本発明ロータ鉄芯構造を積層により形成する場合の磁性板6の構成も、基本的には前出
図8に示した従来の磁性板86と同様である。すなわち、磁性板6は円環状の基部7上に外方に突設された複数のティース部8からなり、ティース部8は基部7から突出していてティースの巻線部を形成する脚部8Fと、脚部8Fの外方端にこれに略直交して形成されていてティースの外周部を形成する端部8Tとからなり、磁性板6としては電磁鋼板を好適に用いることができる、という基本構成である。しかしながら従来技術とは大きな相違があることを、別図により説明する。
【0018】
図4-2は、
図4に示す基本構成を有する本発明磁性板の仕様的な特徴を示す説明図である。積層鉄芯の形成に用いる本発明に係る磁性板は、従来技術とは異なり、その形態・使用が同一仕様ではない。図では、3枚の磁性板6、6ii、6iiiを示した。ここに示した通り磁性板6、6ii、6iiiは、ティース部8、8ii、8iiiを構成する脚部に対する端部の配置が一様ではない。磁性板6では、端部8Tは脚部8Fの遠心方向に対して右にずれた配置、磁性板6iiでは、端部8iiTは脚部8iiFの遠心方向に対してほぼ左右へのずれが無い配置、そして、磁性板6iiiでは、端部8iiiTは脚部8iiiFの遠心方向に対して左にずれた配置である。
【0019】
すなわち本発明に係る磁性板6、6ii、6iiiでは、それぞれのティース部8、8ii、8iiiにおける端部8T、8iiT、8iiiTは、その長手方向にずれをもって脚部8F、8iiF、8iiiFに設けられている構造である。なお、ずれをGとすると、ずれGの大きさは、脚部8F等の幅をW、端部8T等の長さをLとしたときに、
0 ≦ G < W+L ・・・(式1)
の範囲内のものとして規定することができる。なお、上式1に示す通り、本発明では、G=0 すなわちずれが無い場合もふくめて「ずれ(G)」とする。
【0020】
磁性板6等を、図では3枚のみ示したが、鉄芯を形成するのに必要な所定枚数の複数の磁性板が用いられ、それぞれのティース部8等の脚部8F等を上下間で揃えて積層させることによりティースが形成され、スロット内部となる巻線部は軸方向に方向を合わせた垂直形態に形成され、一方ティースの外周部は、ずれGを考慮しつつ各磁性板6等を積層することによって、所望のスキュー構造を形成し得る。
【0021】
図5は、本発明に係る磁性板におけるずれの例を示す説明図である。(a)~(h)として例示するように、本発明に係る磁性板6a、6b、・・・、6hでは、それぞれのティース部8a、8b、・・・、8hにおける端部8Ta、8Tb、・・・、8Thは、その長手方向にずれをもって脚部8Fに設けられている構造である。そして、各磁性板6a、6b、・・・、6hにおけるずれGの大きさは、上式1にて示した範囲内のものとして規定されている。
【0022】
このように、上式1により規定されるずれGをもって形成されている個々の磁性板6a、6b等自体も本発明の範囲内である。また、ロータ鉄芯構造・ロータ鉄芯を形成するための、所定必要枚数の磁性板からなる磁性板セットも、本発明の範囲内である。
【0023】
本発明磁性板セットでは、各磁性板におけるずれGの大きさを全て異なるものとすることができる。磁性板セットを構成する全磁性板の、脚部を揃えての積層が完成した際に顕れるティース外周部のスキュー構造形状をより適切な形状とするためである。
【0024】
具体的には、ずれGの大きさが等差数列を形成するように設計することが望ましい。さらには、その等差数列の公差dが下式2により角度(°)として規定されるような等差数列とすることが最良の形態である。
d = 360/(t*n) ・・・(式2)
ただし、t:ティース数(ロータスロット数)、n:磁性板枚数
【0025】
図6は、本発明に係るロータ鉄芯への絶縁用のキャップ取り付け方法を示す説明図であり、巻線部がわ(スロット内部がわ)からの図である。上述の通り本発明によれば、ティ―ス62の外周部63にのみスキュー構造61が形成されるが、巻線部64はスキューされた形状ではなく垂直形態65となる。したがって巻線部64には、絶縁用のキャップ(プラスチックキャップ)69u、69dを、それぞれ上、下の方向から被せて取り付け、絶縁処理とすることができる。
【0026】
図7は、本発明に係るロータ鉄芯に
図6に示す方法で絶縁用のキャップを取り付けて完成したロータの構造を示す説明図である。ロータ630の外周部にはスキュー構造61、61、・・・が形成され、また巻線部には絶縁用のキャップ69u、69dが取付けられて絶縁状態が確保される。なお、かかるロータ、レゾルバを初めとしてかかるロータを備えた回転電機もまた、本発明の範囲内である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明のロータ鉄芯構造、鉄芯用板、鉄芯用板セット、回転電機、およびレゾルバによれば、スキュー構造を有する積層鉄芯であっても絶縁用のプラスチックキャップを使用でき、製造コストを抑えることができる。したがって、レゾルバを初めとする回転電機の製造、使用分野、および関連する全分野において、産業上利用性が高い発明である。
【符号の説明】
【0028】
1、61…スキュー構造
2、62…ティース
3、63…外周部
4、64…巻線部
5、65…垂直形態
6、6ii、6iii、6a、6b、6c、6d、6e、6f、6g、6h…磁性板
7、7ii、7iii…基部
8、8ii、8iii、8a、8b、8c、8d、8e、8f、8g、8h…ティース部
8F、8iiF、8iiiF…脚部
8T、8iiT、8iiiT、8Ta、8Tb、8Tc、8Td、8Te、8Tf、8Tg、8Th…端部
10…ロータ鉄芯構造
20、620…ロータ鉄芯
69u、69d…絶縁用のキャップ(プラスチックキャップ)
630…ロータ
81…スキュー構造
82…ティース
83…外周部
84…巻線部
85…スロット内部のスキュー構造
86…磁性板
87…基部
88…ティース部
88F…脚部、88T…端部
820…ロータ積層鉄芯
92…ティース
93…外周部
94…巻線部
96…磁性板
98…ティース部
98F…脚部、98T…端部
99u、99d…絶縁用のキャップ(プラスチックキャップ)
920…ロータ鉄芯構造